説明

ネットワークを利用したゲームシステム

【課題】ゲーム上の複数の選択項目からプレイヤに希望する項目を選択させる際に適切な目安を与えることが可能なゲームシステムを提供する。
【解決手段】ネットワークに接続された複数のゲーム機を含み、予め用意されたゲーム上の複数の選択項目からゲーム機のプレイヤに項目を選択させ、選択された項目を反映した内容のゲームを当該プレイヤにプレイさせるゲームシステムにおいて、プレイヤ間に所定の結び付きが存在するか否かを判別するための関係データを記憶する手段と、複数のゲーム機のそれぞれにおけるプレイヤの選択項目に関する選択状況を判別する手段と、プレイヤと所定の結び付きを有する他のプレイヤを関係データに基づいて判別する手段と、プレイヤが選択項目を選択するときに、そのプレイヤと所定の結び付きを有する他のプレイヤの選択状況を選択中のプレイヤに対して提示する手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを利用したゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のゲーム機がネットワークに接続され、そのゲーム機間の通信を利用して複数のプレイヤが共通のゲームをプレイ可能とされたゲームシステムが知られている。この種のゲームシステムとしては、参加モード、対戦形式といったゲーム上の複数の選択項目から、プレイヤに希望する項目を選択させ、選択された項目が一致するプレイヤ同士を共通のゲームに参加させるシステムが存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−004799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ゲーム機では、ゲームの興趣を高めるためにゲーム上の選択項目を豊富化することが試みられる。しかし、選択項目が増加すればそれに伴って不都合が生じることがある。例えば、多数の選択項目から、プレイヤが希望する項目を探し出すことが困難となり、選択に要する時間が長引いたり、あるいは時間の制限に焦って不本意な選択を行うといった不都合が生じるおそれがある。あるいは、特許文献1のゲームのように選択項目が一致すれば共通のゲームに参加できる場合でも、どの項目を選択すればよいかを判断できず、共通のゲームに参加する機会を逸することがある。
【0005】
そこで、本発明は、ゲーム上の複数の選択項目からプレイヤに希望する項目を選択させる際に、そのプレイヤに適切な目安を与えることが可能なゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ネットワーク(5)に接続された複数のゲーム機(2A、2B)を含み、予め用意されたゲーム上の複数の選択項目からゲーム機のプレイヤに希望する項目を選択させ、選択された項目を反映した内容のゲームを当該プレイヤのゲーム機にてプレイさせるゲームシステム(1)において、前記プレイヤ間に所定の結び付きが存在するか否かを判別するために必要な情報を記述した関係データ(36)を記憶するデータ記憶手段(32)と、複数のゲーム機のそれぞれにおけるプレイヤの前記選択項目に関する選択状況を判別する選択状況判別手段(11)と、プレイヤと前記所定の結び付きを有する他のプレイヤを前記関係データに基づいて判別する関係判別手段(11、12)と、プレイヤが前記選択項目を選択するときに、その選択中のプレイヤに対して前記関係判別手段が前記所定の結び付きを有すると判別した前記他のプレイヤに関して、前記選択状況判別手段が判別した選択状況を前記選択中のプレイヤに対して提示する選択状況提示手段(21)とを備えたものである。
【0007】
本発明は、複数のゲーム機がネットワークに接続された環境では、各ゲーム機のプレイヤの選択状況を判別できることに着目し、その判別によって得られた情報をプレイヤ間の結び付きと関連付けて取捨選択し、結び付きのあるプレイヤの選択状況を提示することにより、各プレイヤに項目選択の目安を与えるものである。すなわち、本発明のゲームシステムでは、関係データに基づいて、選択項目を選択中のプレイヤと所定の結び付きを有する他のプレイヤが判別され、他のプレイヤに関する選択状況が判別され、判別された選択状況がプレイヤに対して提示される。したがって、選択中のプレイヤは、自己と所定の結び付きを有する他のプレイヤがどのような項目を選択したかを知り、これを目安として、同じ項目を選択し、あるいは敢えて他の項目を選択する、といった判断を行うことができる。
【0008】
本発明において、結び付きは様々な観点から設定することができる。例えば、結び付きは、プレイヤ同士が仲間、友人、知人といった人的関係を有する場合に、結び付きが存在するとして関係データに記述されてもよいし、プレイヤのレベル、ステータス、プレイ時間、プレイ回数といったゲーム上における共通又は類似の関係があるときに結び付きが存在するとして関係データに記述されてもよい。関係データへの結び付きの記述は、プレイヤからのオンライン又はオフラインによる指示、ゲームシステム上での何らかの条件に基づく自動的な設定等、様々な形態でこれを実現してよい。ゲーム上の選択項目は、ゲームの内容に対して選択結果が何らかの形で反映されるものであればよい。例えば、ゲーム上のステージ、マップ、シナリオといった区分可能な単位に従って選択項目が設定されてよい。
【0009】
本発明の一形態においては、選択した項目が一致することを条件として、複数のプレイヤに共通のゲームをプレイさせる共通ゲーム実行手段(21)をさらに備えてもよい。これによれば、所定の結び付きを有するプレイヤが特定の項目を選択していることが判明したときに、それと同一の項目を選択してそのプレイヤと共通のゲームをプレイし、あるいは、敢えて異なる項目を選択してそのプレイヤとは異なるゲームをプレイするといったは判断の目安をプレイヤに提供することができる。
【0010】
上記形態においては、選択した項目が一致することを条件として複数のプレイヤをマッチングするマッチング手段(11)をさらに具備し、前記ゲーム機には、前記プレイヤに複数の選択項目を提示して、希望する項目をプレイヤに選択させる選択実行手段(21)と、プレイヤが選択した項目を特定するために必要な情報を前記マッチング手段に提供しつつ当該マッチング手段に対してマッチングを要求するマッチング要求手段(21)と、が設けられ、前記選択状況提示手段は、前記所定の結び付きを有しかつ前記マッチング手段に対してマッチングを要求している他のユーザが選択した項目を判別するための情報(104a、104b)を前記選択中のプレイヤに提供し、前記共通ゲーム実行手段は、前記マッチング要求手段からの要求に応答して前記マッチング手段がマッチングしたプレイヤ間で前記共通ゲームをプレイさせるものとしてもよい。これによれば、プレイヤは、自己と所定の結び付きを有するプレイヤがどのような項目を選択しているかを、選択状況提示手段から提供される情報によって把握することができきる。その情報で示された項目をプレイヤが選択すれば、自己と結び付きを有する他のプレイヤとマッチングされて共通のゲームをプレイできる可能性が生じ、別の項目を選択すれば、自己と結び付きを有するプレイヤとはマッチングされることなく、別のプレイヤと共通のゲームをプレイすることができる。
【0011】
本発明の一形態においては、前記所定の結び付きを有するプレイヤに、前記ネットワークを介した交流の場を提供する交流サービス提供手段(12、22)をさらに具備してもよい。これによれば、ネットワークを介して交流を図る関係にあるプレイヤのそれぞれがゲームをプレイする際に、自己と交流を図っている他のプレイヤの選択状況を把握して、選択の目安とすることができる。例えば、ソーシャルネットワーキングサービスのような交流サービスを通じて結び付けられたプレイヤ同士が、同一の選択項目を選択してプレイを競う、あるいは協力してゲームをプレイする、といった希望を有している場合に、その希望を実現するための目安をそれらのプレイヤに対して提供することができる。
【0012】
さらに、前記ネットワークには、前記プレイヤをユーザとする個人用の端末装置(7)が接続可能であり、前記交流サービス提供手段は、前記端末装置のユーザに対して前記交流の場を提供するように設けられてもよい。これによれば、個人用の端末装置を利用して交流を図っているユーザ同士がプレイヤとしてゲームをプレイする際に、同一の選択項目を選択してプレイを競う、あるいは協力してプレイする、といったゲーム上のさらなる交流を図るための目安をそれらのプレイヤに対して提供することができる。
【0013】
なお、個人用の端末装置とは、主として個人の使用を前提としてユーザに譲渡され、あるいは貸与される端末装置であって、譲渡又は貸与が有償か無償で行われるかは問わず、ネットワークに接続可能であればその呼称は問わない。例えばパーソナルコンピュータ、家庭用ゲーム機、携帯電話(いわゆるスマートフォンも含む。)といった各種の個人向け情報通信端末装置を、本発明における個人用の端末装置として利用可能である。
【0014】
さらに、交流サービス提供手段は、前記端末装置からの前記ユーザの指示に基づいて前記所定の結び付きを設定するものとされてもよい。これによれば、ユーザが端末装置からネットワークへアクセスして設定したユーザ同士の結び付きを、それらのユーザがプレイヤとしてゲームをプレイする際における選択の目安として利用することができる。
【0015】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0016】
以上に説明したように、本発明によれば、プレイヤがゲーム上の選択項目を選択する際に、自己と所定の結び付きを有する他のプレイヤに関する選択状況を把握することができるので、その選択状況を目安として、同じ項目を選択し、あるいは敢えて異なる項目を選択することが可能であり、項目選択に関してプレイヤに適切な目安を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一形態に係るゲームシステムの全体構成を示す図。
【図2】ゲームシステムの要部における機能ブロック図。
【図3】プレイヤがゲームを開始する際に行われるログイン処理等の手順を示すフローチャート。
【図4】ゲーム機が実行するマッチング処理の手順を示すフローチャート。
【図5】オンラインマッチング処理の手順を示すフローチャート。
【図6】仲間のプレイヤの楽曲選択状況が表示された楽曲選択画面の一例を示す図。
【図7】ゲームサーバによるマッチング時に生成されるマッチングテーブルを概念的に示す図。
【図8】一曲の楽曲のプレイが終了したときにゲーム機が実行するマッチング解除処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、図1を参照して、本発明の一形態に係るゲームシステムの全体構成を説明する。ゲームシステム1は、複数のゲーム機2A、2Bと、サーバ装置としてのサーバ群3とを含む。各ゲーム機2A、2Bは、音楽に合わせた一連の操作をプレイヤに指示し、プレイヤの操作に応じた楽音を発生させるとともに、指示した操作とプレイヤが実際に行った操作との関係に基づいてプレイヤの操作を評価する音楽ゲーム機として構成されている。
【0019】
ゲーム機2Aは、楽器のドラムセットを模した操作部2aを有し、ゲーム機2Bは楽器のギターを模した二つの操作部2bを有している。ゲーム機2Aは一人のプレイヤが操作部2aを操作することを想定して構成されている。一方、ゲーム機2Bは、一人のプレイヤが一方の操作部2bを操作し、他の一人のプレイヤが他方の操作部2bを操作することを想定して構成されている。つまり、ゲーム機2Bは、二人のプレイヤが同時にゲームをプレイすることが可能な構成を備えている。もちろん、一人のプレイヤがゲーム機2Bにてゲームをプレイすることも可能である。以下では、ゲーム機2Aをドラムゲーム機2Aと、ゲーム機2Bをギターゲーム機2Bと呼ぶことがある。また、これらのゲーム機2A、2Bを区別する必要がないときは、ゲーム機2と表記することがある。
【0020】
各ゲーム機2は、店舗4等の商業施設に設置され、所定額のプレイ料金の支払いと引き換えに、ユーザに対して所定範囲のゲームのプレイを許可する商業用(業務用)のゲーム機として構成されている。なお、本明細書においては、ゲームシステム1によるサービスを享受する者をユーザと総称し、そのユーザが特にゲーム機2でゲームをプレイする場合に当該ユーザをプレイヤと呼ぶことがある。各店舗4には適宜数のゲーム機2が設置される。図1の例では、各店舗4に、ドラムゲーム機2Aとギターゲーム機2Bとが混在するように設置されている。ただし、ドラムゲーム機2A又はギターゲーム機2Bのいずれか一方のみが設置された店舗4が一部に存在していてもよい。
【0021】
サーバ群3は、ゲームシステム1の運営者によって設置され、ゲームサーバ3AとWebサーバ3Bとを含む。ゲームサーバ3A及びWebサーバ3Bは、それぞれ独立した物理的なコンピュータ装置によって構成されてもよいし、一台の物理的なコンピュータ装置上にゲームサーバ3A及びWebサーバ3Bが論理的に構成されてもよい。あるいは、ゲームサーバ3A及びWebサーバ3Bの少なくともいずれか一方が、複数の物理的なコンピュータ装置の集合によって一台の論理的なサーバ3A又は3Bとして構成されてもよい。一例として、クラウドコンピューティングによりサーバ3A、3Bが構築されてもよい。
【0022】
ゲーム機2及びサーバ群3はネットワーク5を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク5は、WAN(ワイドエリアネットワーク)5Aと、店舗4毎に構築されてそれらのゲーム機2を収容するLAN(ローカルエリアネットワーク)5Bと、サーバ群3を収容してそのサーバ3A、3Bを相互に接続するLAN5Cとを含んでいる。WAN5Aには、一例として、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するインターネットが用いられる。LAN5B、5CもTCP/IPプロトコルを利用するイントラネットによって構築される。LAN5B、5Cはルータ6を介してWAN5Aに接続される。なお、ゲーム機2と店舗4のルータ6との間にローカルサーバが設置され、そのローカルサーバを介してゲーム機2がサーバ群3と通信可能に接続されてもよい。サーバ群3はLAN5Cに代えて、又は加えてWAN5Aを利用して構築される場合もある。
【0023】
サーバ群3は、ゲーム機2又はそのゲーム機2のユーザ(プレイヤ)に対してネットワーク5を介した各種のサービスを提供する。ゲームサーバ3Aは、ゲーム機2又はそのプレイヤに対して各種のゲームサービスを提供することを主目的として設置されている。一例として、ゲームサーバ3Aは、ゲーム機2を介したゲーム用のプログラムあるいはデータの更新サービス、ゲーム機2のユーザを認証し、そのユーザのプレイ履歴等を含んだプレイデータをゲーム機2から受け取って保存し、あるいはゲーム機2に提供するサービス、ネットワーク5を介して複数のユーザが共通のゲームをプレイする際のユーザ間のマッチングサービス等を提供する。一方、Webサーバ3Bは、ネットワーク5を介してアクセスするユーザ端末7に各種のWebサービスを提供することを主目的として設置されている。Webサービスとしては、例えば、Webサイトを通じてゲームに関する各種の情報をユーザに提供するサービス、ユーザによる情報発信、交換、共有といった交流の場を提供するコミュニティサービスといったサービスがある。ユーザ端末7は、例えばパーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する。)7a、あるいは携帯電話(スマートフォンを含む。)7bのように、ネットワーク接続が可能な個人用の通信端末装置として機能するコンピュータユニットであれば適宜にこれを利用してよい。
【0024】
サーバ群3には、ゲーム機2又はユーザ端末7からアクセスしたユーザに対して、有償サービスを提供する対価としての料金を課金し、ユーザの操作に応じてその料金を徴収する課金サーバも設けられている。ただし、その図示は省略した。課金サーバは、電子的情報の交換によって料金を徴収する。例えば、仮想通貨の引き落とし、クレジットカードによる決済といった手段によりサービス料金が徴収される。ゲーム機2におけるプレイ料金もその課金サーバによって課金され、徴収されてもよい。
【0025】
ゲーム機2及びサーバ3A、3Bには、ネットワーク5上でそれらを識別するためのユニークなIPアドレスが付されている。ゲーム機2同士あるいはゲーム機2とサーバ3A、3Bとの間の通信では、そのIPアドレスを利用して通信相手が特定される。WAN5Aがインターネットのように公開性のあるネットワークの場合には、各ルータ6にWAN5A上でユニークな固定アドレスが設定される。ゲーム機2には、その固定アドレスとの組み合わせによってネットワーク5上でゲーム機2を一意に識別するためのプライベートアドレスがIPアドレスとして設定される。この場合、ゲーム機2とサーバ3A、3Bとの間、あるいはゲーム機2同士の間には仮想プライベートネットワーク(VPN)が構築され、そのVPN上で各ゲーム機2がプライベートアドレスを用いて一意に特定される。ユーザ端末7にもネットワーク5上でユーザ端末7を一意に識別するためのユニークなIPアドレスが付与される。そのIPアドレスは、ネットワーク5への接続される毎に変化するいわゆる動的アドレスでもよいし、不変の固定アドレスであってもよい。以下では、ゲーム機2、サーバ3A、3B、ユーザ端末7をネットワーク5上で識別するための情報をアドレス情報と呼ぶ。ネットワーク5を介した通信では、特に断りのない限り、そのアドレス情報に基づいて通信すべき相手が特定されることを前提とする。
【0026】
図2は、ゲームシステム1の主要部の機能ブロック図である。なお、ゲーム機2に関しては、ドラムゲーム機2Aとギターゲーム機2Bとの間に存在する操作部2a、2b、及びそれらの操作部2a、2bに対応したゲームプログラム等の具体的相違は考慮せず、それらのゲーム機2A、2Bが基本的には共通の機能を有するものとして、単一のゲーム機2のみを示している。
【0027】
ゲームシステム1において、ゲームサーバ3Aには、ゲーム機2に対して各種のゲームサービスを提供するためのゲームサービス管理部11が設けられ、Webサーバ3Bには、ゲームシステム1のユーザに対して各種のコミュニティサービスを提供するためのコミュニティサービス管理部12が設けられている。これらの管理部11、12は、いずれもサーバ群3を構成するコンピュータユニットとソフトウエアとの組合せによって実現される論理的装置である。また、ゲーム機2には、ゲームサーバ3Aのゲームサービス管理部11と協働してゲームサービスを実現するためのゲームサービス処理部21が設けられ、ユーザ端末7には、Webサーバ3Bのコミュニティサービス管理部12と協働してコミュニティサービスを実現するためのコミュニティサービス処理部22が設けられている。これらの処理部21、22は、いずれもゲーム機2及びユーザ端末7を構成するコンピュータユニットとソフトウエアとの組合せによって実現される論理的装置である。なお、Webサーバ3Bのコミュニティサービス管理部12及びユーザ端末7のコミュニティサービス処理部22は、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)等の公知のコミュニケーションサービスにて実現されるユーザの情報発信、交換、共有、仲間の形成といった交流の場をユーザに提供する交流サービス提供手段であって、それらの機能は、公知のコミュニケーションサービスにてWebサーバ及びユーザ端末のそれぞれに実装されるソフトウエアを利用して構成することができる。
【0028】
ゲームサーバ3A及びWebサーバ3Bには記憶装置31、32が設けられている。ゲームサーバ3Aに対する記憶装置31にはID管理データ33、及びプレイデータ34の群が記録される。Webサーバ3Bに対する記憶装置32には、ID管理データ35及びコミュニティデータ36の群が記録される。ID管理データ33、35は、ユーザを特定するために必要な情報として設定される各種のIDの対応関係を管理するデータである。IDの種類及びその管理方法は、ユーザが特定できる限りにおいて適宜に設定してよいが、一例を挙げれば以下の通りである。まず、ゲーム機2は、カード8を利用してユーザを特定する。カード8には、カード毎にユニークなカードIDが記録されている。ゲーム機2は、カード8に記録されたカードIDを読み取ってこれをゲームサーバ3Aに送信する機能を有している。一方、ゲームサーバ3Aは、ユーザ毎にユニークに付されたユーザIDを利用してユーザを特定している。ID管理データ33には、カードIDとユーザIDとの対応関係が記述されている。ゲームサーバ3Aはゲーム機2から送られたカードIDに対応するユーザIDをID管理データ33に基づいて特定する。なお、一台のギターゲーム機2Bを二人のユーザが同時にプレイする場合、ユーザ毎にカードIDが読み取られてゲームサーバ3Aに送られる。
【0029】
Webサーバ3BもまたユーザIDを利用してユーザを管理するが、コミュニティサービスに関しては、ユーザIDとは別に発行されるコミュニティIDと対応付けてユーザを管理する。ID管理データ35には、そのユーザIDとコミュニティIDとの対応関係が記述されている。Webサーバ3Bは、ID管理データ35を参照することにより、コミュニティIDに対応するユーザIDを特定し、あるいはユーザIDに対応するコミュニティIDを特定することができる。このように、全てのIDは、ID管理データ33、35を適宜に参照することで相互に対応関係を特定することができる。なお、カードIDとユーザIDとの対応関係、ユーザIDとコミュニティIDとの対応関係は、ユーザ端末7からWebサーバ3Bのユーザ管理サイトにアクセスすることにより新規に設定し、変更することが可能である。なお、これらのID間にはさらに別のIDが介在してもよい。ユーザIDは一人のユーザに対して一つのみ発行されるが、カードID及びコミュニティIDは、一人のユーザに対してそれぞれ複数発行されてもよい。この場合、ユーザIDに対して有効な一つのカードID及び一つのコミュニティIDをユーザに指定させることにより、カードID、ユーザID及びコミュニティIDのいずれか一つが判別すれば、他のIDも一義的に定まる対応関係を維持することができる。以下の説明では、ユーザIDに対してそれぞれ単一のカードID及びコミュニティIDが対応付けられているものとする。なお、ユーザID及びコミュニティIDには、それぞれユーザのニックネームを設定することが可能であり、ID管理データ33、35にはそれらのIDに対応付けられたニックネームも併せて登録される。ユーザIDにはさらにユーザの名称、住所といった個人情報が対応付けられる。
【0030】
プレイデータ34は、ユーザがゲーム機2にてゲームをプレイする際に参照されるべき各種の情報を記録したデータであって、ユーザID毎に作成される。例えば、ゲーム機2におけるプレイ履歴、プレイ結果に応じて設定されるユーザのランク、あるいはレベルといった情報がプレイデータ34に記録される。一方、コミュニティデータ36は、ユーザがコミュニティサービスを利用する際に参照されるべき各種の情報を記録したデータであって、コミュニティID毎に作成される。コミュニティデータ36には、例えば、ユーザが仲間として登録した他のユーザを特定するためのコミュニティID、ニックネームといった情報、及び、ユーザが仲間に対して発信し、あるいは仲間から受信したコメントのログ等がコミュニティデータ36に記録される。「仲間」は、ユーザ間に所定の人的な結び付きが存在することを示す概念として使用される用語である。仲間には、「グループ」及び「フレンド」の2種類の態様が存在する。コミュニティデータ36には、ユーザが所属するグループ及びユーザがフレンドとして登録した他のユーザを特定するために必要な情報が適宜の形式で記録される。例えば、ユーザのコミュニティIDと対応付けて、グループ内のユーザのコミュニティID、フレンドとして設定したユーザのコミュニティIDをコミュニティデータ36に記述すればよい。なお、仲間の設定や登録の手順は、一般的なコミュニティサービスのそれと同様に、端末装置7からWebサーバ3Bにアクセスして他のユーザに仲間としての招待を送信し、又はWebサーバ3Bに対して仲間の登録を申請する、といった処理を行えばよく、その詳細な説明は省略する。ただし、コミュニティデータ36への仲間の登録はネットワーク5を介したオンライン処理に限らず、オフラインで申請され、サーバ群3の運営者が適当な時期にコミュニティデータ36にその申請内容を記述してもよい。
【0031】
上述したデータ33〜36の他にも、ゲームシステム1には様々なデータが用意される。例えば、ゲーム機2の記憶装置には、音楽ゲームを実行するために必要なデータとして、楽曲を再生出力するための楽曲データ、楽曲に合わせて行うべき一連の操作をプレイヤに指示するためのシーケンスデータ、ゲーム画面を生成するための画像データ等が記録される。これらのデータは既存の音楽ゲーム機と同様に用意すれば足り、それらの詳細な説明は省略する。ゲーム機2では、予め複数の楽曲がゲーム上の選択項目として用意されている。プレイヤは、選択可能な範囲にある複数の楽曲から一つの楽曲を選択し、その楽曲に応じた内容のゲームをプレイすることができる。
【0032】
ゲームシステム1では、三人のプレイヤが同一の楽曲でゲームをプレイすることにより、音楽のセッションと同様のプレイを体験できるようなゲームモードが用意されている。以下、これをセッションプレイモードと呼ぶ。セッションプレイモードは、本発明における共通のゲームに相当し、そのセッションプレイモードは一つの楽曲を一つのプレイ単位として実行される。セッションプレイモードには、同一店舗4のゲーム機2間で三人のプレイヤが参加して実現されるローカルセッションと、ゲームサーバ3Aによるマッチングを経て実現されるオンラインセッションとが存在する。なお、オンラインセッションは、ゲームサーバ3Aによるマッチングを経て、結果的に同一店舗4内の二人又は三人のプレイヤがマッチングされる場合をその一形態に含む。以下では、同一店舗4のゲーム機2間でプレイヤをマッチングすることをローカルマッチングと呼び、ゲームサーバ3Aにてプレイヤをマッチングすることをオンラインマッチングと呼ぶ。また、ローカルマッチングによってマッチングされたプレイヤの集合をローカルメンバーと呼び、オンラインマッチングによってマッチングされたプレイヤの集合をオンラインメンバーと呼ぶことがある。
【0033】
セッションプレイモードにてゲームがプレイされる場合のマッチング手順は概ね次の通りである。ゲームシステム1では、プレイヤがセッションプレイモードでゲームを開始することを希望した場合、まず同一店舗4内のゲーム機2同士が通信して、ローカルマッチングが試みられる。ローカルマッチングで三人のプレイヤが集まった場合にはオンラインマッチングは行われず、ローカルセッションが開始される。一方、ローカルマッチングで三人のプレイヤが集まらなかった場合には、ゲーム機2からゲームサーバ3Aに対してオンラインマッチングが要求され、ゲームサーバ3Aにてオンラインマッチングが試みられる。そのオンラインマッチングでは、ローカルマッチングにおける不足人数のプレイヤが所定のマッチング条件に従って検索される。オンラインマッチングでは、ゲームサーバ3Aとネットワーク5を介して接続された全てのゲーム機2のプレイヤを範囲としてマッチング条件を満たすプレイヤが検索される。オンラインマッチングにて不足人数のプレイヤが検出されるとオンラインマッチングが完成し、マッチングされたプレイヤ間でオンラインセッションが開始される。セッションプレイモードが複数の楽曲に亘って続けられる場合、そのモードが終了するまで、ローカルメンバーは継続して維持される。一方、オンラインメンバーは一曲をプレイする間のみ維持され、一曲のプレイの終了により解除される。次の楽曲では新たにオンラインマッチングが試みられる。ローカルマッチングされたプレイヤのゲーム機2間における通信の制御は、いずれか一台のゲーム機2がマスター機としてこれを司る。ゲーム機2とサーバ群3との間の通信、又は他店舗のゲーム機2との間の通信に関しても同様にマスター機がそれらの制御を司る。
【0034】
以下、図3〜図8を参照して、ローカルマッチング及びオンラインマッチングに関連してゲームシステム1で行われる各種の処理をより詳細に説明する。なお、以下の処理は、ゲーム機2のゲームサービス処理部21、ゲームサーバ3Aのゲームサービス管理部11、及びWebサーバ3Bのコミュニティサービス管理部12が適宜に協働して実現されるものであるが、以下では簡略化のため、それらの処理の実行主体をゲーム機2、及びサーバ3A、3Bとして説明することがある。
【0035】
まず、プレイヤがゲーム機2にてゲームを開始する際に実行されるログイン処理(認証処理)を図3により説明する。プレイヤがゲーム機2に対してログインを要求すると、ゲーム機2はそのログイン処理を開始し、まずプレイヤにカード8の読み取り操作を要求し、これに対応する読み取り操作を検出してログインに必要な情報(ログイン情報)をカード8から取得する(ステップS11)。ログインに必要な情報には少なくともカードIDが含まれる。続いて、ゲーム機2は、取得したログイン情報をゲームサーバ3Aに送信してプレイヤのログイン処理を要求する(ステップS12)。これを受けて、ゲームサーバ3Aもログイン処理を開始し、まずゲーム機2から送られたログイン情報を取得する(ステップS21)。続いて、ゲームサーバ3AはID管理データ33を参照してログイン情報に含まれるカードIDに対応するユーザIDを判別する(ステップS22)。このとき、ゲームサーバ3AはWebサーバ3AにユーザIDを通知して、そのユーザIDに対応する仲間の情報を送信するようにWebサーバ3Bに要求する。Webサーバ3Bはこれに応答して仲間情報提供処理を開始し、与えられたユーザIDに対応付けられたコミュニティIDをID管理データ35より取得し、そのコミュニティIDに対応付けてコミュニティデータ36に登録されている仲間の情報、例えば、グループとして登録されたユーザのコミュニティID、及びフレンドとして要録されたユーザのコミュニティIDを検出する(ステップS31)。その後、Webサーバ3Bは、検出した仲間の情報をゲームサーバ3Aに送信し(ステップS32)、その後に仲間情報提供処理を終える。
【0036】
Webサーバ3Bの仲間情報提供処理と並行して、ゲームサーバ3Aは、ステップS22で判別したユーザIDに対応するプレイデータ34を抽出する(ステップS23)。その後、ゲームサーバ3Aは、抽出したプレイデータ34を、ログイン要求を送信したゲーム機2に対して送信する(ステップS24)。このとき、ゲームサーバ3Aは、Webサーバ3Bから送信される仲間の情報も、プレイデータ34と一緒にゲーム機2に転送する。ゲーム機2は、ゲームサーバ3Aから送られたプレイデータ34及び仲間の情報を受信し(ステップS13)、それらのデータをゲーム機2の内部記憶装置に記録する(ステップS14)。以上によりログイン処理が終了する。ログイン処理が行われることにより、プレイヤはゲーム機2上で前回の続きからゲームをプレイすることが可能となるが、それに加えて、プレイヤがコミュニティサービスで仲間として設定したグループ及びフレンドを特定する情報(コミュニティID等)もゲーム機2上に保持される。なお、上記では、サーバ群3からゲーム機2に、仲間の情報としてコミュニティIDを提供するものとしたが、仲間のコミュニティIDをID管理テーブル35に従ってユーザIDに変換し、これを仲間の情報としてゲーム機2に提供してもよい。ギターゲーム機2Bを二人のプレイヤがプレイする場合には、各プレイヤについて上述したログイン処理理が行われる。
【0037】
図4は、ローカルメンバー又はオンラインメンバーをマッチングするためにゲーム機2が実行するマッチング処理を示している。マッチング処理は、プレイヤが一曲の楽曲をプレイするごとに実行される。また、マッチング処理は、上述した図3のログイン処理が完了している状態で実行される。ゲーム機2は、図4のマッチング処理を開始すると、まずステップS101で、自機のプレイヤに関してローカルメンバーが存在するか否かを判別する。プレイヤのログイン処理の完了後、セッションプレイモードで最初の楽曲がプレイされる場合には、ローカルマッチングが未了であるためにステップS101では否定判断がなされる。一方、ログイン処理後、ローカルメンバーが一旦形成されると、セッションプレイモードが終了するまでそのメンバーが維持される。そのため、セッションプレイモードにおける2曲目又はそれ以降の楽曲がプレイされる場合にはステップS101では肯定判断がなされる。
【0038】
ステップS101が否定判断された場合、ゲーム機2はステップS102に進み、自機のプレイヤがローカルセッションを希望するか否かを判別する。希望している場合、ゲーム機2はステップS103に進み、ローカルマッチング処理を実行する。そのローカルマッチング処理は、同一店舗4内の他のゲーム機2に対してローカルマッチングの要求を通知し、他にローカルマッチングを要求しているゲーム機2があれば、それらのゲーム機2間でマスター機とスレーブ機とを決定し、マスター機によりローカルメンバーを形成すべきプレイヤ及びそのゲーム機2を特定してスレーブ機にマッチング結果を通知する、といった手順で行われる。
【0039】
ローカルマッチング処理が終わると、ゲーム機2はステップS104に進み、ローカルマッチング処理の結果をプレイヤに対して表示し、かつその結果を自機の記憶装置に記憶する。続くステップS106にて、ゲーム機2はマッチングが完成しているか否か、つまり、ローカルマッチングによって三人のプレイヤが集まったか否かを判別する。なお、一台のギターゲーム機2Bで二人のプレイヤがプレイする場合には、一方のプレイヤが選択した楽曲を他方のプレイヤもプレイすることになる。この場合には、そのギターゲーム機2Bに関して、既に二人のプレイヤがローカルセッションを希望していると扱われる。このとき、同一店舗4内のドラムゲーム機2A又はギターゲーム機2Bの一人のプレイヤがローカルセッションを希望すれば、それらの三人のプレイヤによってローカルマッチングが完成したと判断される。ステップS101が肯定判断された場合には、ステップS102〜S104がスキップされてステップS105の処理が行われる。この場合には、既に形成されているローカルメンバーが三人であればマッチングが完成と判断され、二人以下であればマッチングが完成してないと判断される。
【0040】
ステップS105でマッチングが完成していると判断された場合、ゲーム機2はステップS106〜S108をスキップしてマッチング処理を終了する。一方、ステップS105でマッチングが完成していないと判断された場合、ゲーム機2はステップS106に進み、オンラインマッチング処理を実行する。つまり、ローカルマッチングでは、セッションプレイモードに必要な人数(三人)のプレイヤが集まらなかった場合、ゲーム機2はゲームサーバ3Aに対して、不足する人数のプレイヤのマッチングを要求する。なお、ローカルマッチングで二台のゲーム機2のプレイヤがマッチングされた場合、一方のゲーム機2がマスター機としてゲームサーバ3Aにオンラインマッチングを要求し、スレーブ機となった他方のゲーム機2はマスター機の指示に従う。オンラインマッチング処理の詳細は後述する。オンラインマッチング処理が終わると、ゲーム機2はその結果をプレイヤに対して表示し、かつその結果を自機の記憶装置に記憶する。その後、ゲーム機2はマッチング処理を終了する。ローカルマッチングにて三人のプレイヤがマッチングされた場合には、ローカルセッショが開始される。一方、オンラインマッチングによって三人のプレイヤがマッチングされた場合には、オンラインセッションが開始される。
【0041】
図5は、ゲーム機2にて実行されるオンラインマッチング処理(図4のステップS106の処理)と、これに対応してサーバ群3にて実行される処理とを示している。ゲーム機2におけるオンラインマッチング処理は、マスター機とスレーブ機とで相違するので、図5ではゲーム機2の処理をマスター及びスレーブで区別して示している。以下の説明では、ゲーム機2を、マスター機2m、及びスレーブ機2sと区別して表現する場合がある。
【0042】
オンラインマッチング処理において、マスター機2mは、まずゲームサーバ3Aに対してオンラインマッチングを要求するための準備として、ステップS111にて楽曲選択情報の提供をゲームサーバ3Aに対して要求する。楽曲選択情報は、プレイヤがコミュニティサービスを利用して、仲間として登録したユーザの楽曲選択状況を特定するために必要な情報の一部である。ゲームサーバ3Aは、マスター機2mからの要求を受けると図5のオンライオンマッチング処理を開始し、まずステップS201で、現在、オンラインマッチングを要求している全てのプレイヤの楽曲選択状況を判別する。つまり、ゲーム機2からのマッチングの要求(後述するステップS114)では、セッションを希望する楽曲を特定する情報がマスター機2mからゲームサーバ3Aに提供され、楽曲が一致しているプレイヤ同士がマッチングされる。したがって、ゲームサーバ3Aは、オンラインマッチングを要求した全てのプレイヤの楽曲選択状況を把握することができる。そのため、ゲームサーバ3Aは、マスター機2mからオンラインマッチング処理の一環として楽曲選択情報の送信が要求された場合、その時点でオンラインマッチングを要求している全てのプレイヤを特定する情報と、それらのプレイヤが選択した楽曲を特定する情報とを検出する。ゲームサーバ3Aは、ステップS201で楽曲選択状況を判別すると、ステップS202に進んでその判別結果に対応する楽曲選択情報(楽曲及びそれらを選択しているプレイヤを特定する情報)を生成してマスター機2mに送信する。
【0043】
マスター機2mは、ステップS112で楽曲選択情報を受信し、続くステップS113にて、セッションを希望する楽曲をプレイヤに選択させる。このとき、ステップS112で受信した楽曲選択情報と、ログイン処理時に取得した仲間の情報とに基づいて、プレイヤの仲間がオンラインマッチングを待っているか否かが判別され、仲間がいるときはその者が選択した楽曲が判別される。すなわち、ログイン処理時には、プレイヤが仲間(グループ、フレンド)として登録したユーザを特定する情報として、それらのユーザのコミュニティID又はユーザIDがゲーム機2に提供されている。したがって、マスター機2mは、ゲームサーバ3Aから提供された楽曲選択情報において、自機のプレイヤに対する仲間のID(その仲間のコミュニティID又はユーザID)が含まれているか否かを判別することができる。そして、仲間のIDが含まれていれば、その仲間が選択している楽曲を楽曲選択情報から判別することができる。そして、そのような仲間がいる場合には、その仲間が選択している楽曲を判別するための情報がプレイヤに対して提示される。なお、ステップS112で受信した楽曲選択情報はスレーブ機2sにさらに提供されてもよい。その場合、スレーブ機2sはマスター機2mからの楽曲選択情報をステップS121で受信し、続くステップS122でマスター機2mと協働して楽曲選択処理を実行する。
【0044】
図6は、ゲーム機2上に表示される楽曲選択画面100に、仲間が選択中の楽曲を判別するための情報を表示した例を示している。ただし、この画面100は、ギターゲーム機2Bにて表示される画面の一例である。楽曲選択画面100では、プレイヤが選択可能な楽曲を象徴するタイトル画像101が、左右方向のタイトル列102を形成するように並べて表示されている。タイトル列102は、操作部2bに対する所定の選択操作に応じて左右にスクロールされる。タイトル列102の中央には仮選択部102aが設けられている。その仮選択部102aに位置するタイトル画像101は、その上方の拡大表示部103に拡大表示される。タイトル列102には、仲間のプレイヤが選択中の楽曲を判別するための標識として、自機のプレイヤが所属するグループ内のプレイヤが選択中の楽曲を示すグループアイコン104a、及び自機のプレイヤがフレンドとして登録したプレイヤが選択中の楽曲を示すフレンドアイコン104bが表示されている。このように仲間が選択中の楽曲を判別するための情報が提示されることにより、プレイヤはそれらのアイコン104a、104bが表示された楽曲を選択すれば、仲間とオンラインマッチングされて、オンラインセッションをプレイできる可能性があることを知ることができる。これにより、コミュニティ機能を利用して形成された仲間同士によるオンラインセッションの実現を支援することが可能である。あるいは、敢えて異なる楽曲を選択して仲間以外のプレイヤとのオンラインマッチングを期待することもできる。
【0045】
なお、マスター機2mからスレーブ機2sにも楽曲選択情報が提供される場合には、マスター機2mのみならず、スレーブ機2sでも楽曲選択画面100を表示させてもよい。ゲームサーバ3Aに対して、マスター機2mのプレイヤを特定する情報のみならず、スレーブ機2sのプレイヤを特定する情報をも通知し、プレイヤ毎に仲間の楽曲選択状況を判別してそれらの判別結果を楽曲選択情報に含めてもよい。この場合、マスター機2mの楽曲選択画面100には当該マスター機2mのプレイヤの仲間が選択中の楽曲を示すアイコン104a、104bを表示し、スレーブ機2sの楽曲選択画面100には当該スレーブ機2sのプレイヤの仲間が選択中の楽曲を示すアイコン104a、104bを表示してもよい。ステップS113及びS122で協働して楽曲を選択する場合、マスター機2mのプレイヤのみが楽曲を決定可能とし、その選択過程をスレーブ機2sのプレイヤに提示するものとしてもよい。あるいは、スレーブ機2sのプレイヤがマスター機2mのプレイヤに対して希望する楽曲を通知可能とし、マスター機2mのプレイヤがその通知を参照しつつ楽曲を決定してもよい。ローカルメンバーの各ゲーム機2に楽曲選択画面100を表示する場合、図6に例示したように、他のプレイヤが選択を希望する楽曲を示すプレイヤアイコン105を表示してもよい。
【0046】
図5に戻って説明を続ける。ステップS113にて楽曲が選択された場合、マスター機2mはステップS114に進み、ゲームサーバ3Aに対してオンラインマッチングを要求する。このとき、マスター機2mにて選択された楽曲を特定するために必要な情報がマスター機2mからゲームサーバ3Aに提供される。楽曲を特定するために必要な情報は、例えば楽曲毎にユニークな曲コードとすればよい。また、ステップS114にてオンラインマッチングを要求する際には、マスター機2mからゲームサーバ3Aに対してローカルメンバーに含まれる全てのプレイヤを特定するために必要な情報が提供される。その情報は例えばカードIDである。マスター機2mに提供されているプレイデータ34に基づいてマスター機2mのプレイヤのユーザIDを特定できる場合には、そのユーザIDをゲームサーバ3Aに通知してもよい。ログイン処理時において、ゲーム機2にプレイヤのコミュニティIDも提供されている場合には、カードID又はユーザIDに加えて、そのコミュニティIDがゲームサーバ3Aに提供されてもよい。
【0047】
マスター機2mからオンラインマッチングを要求されたゲームサーバ3Aは、ステップS203に進んでオンラインマッチング処理を実行する。その処理は、図7に示したように、ゲームサーバ3Aの内部記憶装置上にマッチングテーブル記憶領域40を確保し、その記憶領域40内に楽曲毎のマッチングテーブルTB1、TB2…を生成し、オンラインマッチングを要求したプレイヤのユーザIDを対応する楽曲のテーブルに順次収容するといった手順で行われる。オンラインマッチングの要求時に既に同一楽曲のテーブルが存在するときはそのテーブルに新たなプレイヤのユーザIDが収容され、同一楽曲のテーブルが存在しないときは新たにテーブルが生成される。なお、オンラインマッチングの要求時にマスター機2mからゲームサーバ3Aに二人のプレイヤのカードID等が提供された場合、つまり、二人のプレイヤがローカルマッチングされ、不足する一人のプレイヤをオンラインマッチングにて探し出す場合には、そのローカルメンバーを形成するプレイヤのユーザIDは同一のテーブルに収容される。なお、図7ではユーザIDのみがテーブルTB1、TB2に格納された状態を示しているが、ユーザIDに対応するコミュニティIDがさらに記録されてもよい。コミュニティIDは、マスター機2mから提供されるカードID又はユーザIDに基づいて、Webサーバ3Bと協働してコミュニティデータ36を検索して取得することができる。あるいは、ゲーム機2がログイン時にコミュニティデータIDを取得する場合には、そのコミュニティIDをマスター機2mから提供させてもよい。また、プレイヤのゲーム機2を特定するための情報、あるいはそのゲーム機2が設置された店舗4を特定するための情報等も必要に応じてテーブルTB1、TB2…に記録されてもよい。
【0048】
図5に戻って説明を続ける。ゲームサーバ3Aは、オンラインマッチング処理を終了するとステップS204に進み、オンラインマッチング処理の結果をマスター機2mに通知する。マッチングが完成した場合には、マッチングされたプレイヤのユーザID、そのプレイヤのゲーム機2をネットワーク5上で特定するために必要なアドレス情報等がマスター機2に提供される。マスター機2mはステップS115でゲームサーバ3Aからのマッチング結果を受信し、これをスレーブ機2sに提供する。スレーブ機2sはステップS123でマッチング結果を受信する。以上により、ゲーム機2のオンラインマッチング処理が終了する。オンラインマッチング処理を経て三人のプレイヤがマッチングされた場合、マスター機2mでは、オンラインマッチングされたプレイヤのゲーム機2との間でオンラインセッションを開始するために必要な通信環境の設定といった処理が実行され、その後、マッチングされたプレイヤのゲーム機2間でオンラインセッションが開始される。
【0049】
図8はオンラインセッションによる一曲のゲームのプレイが終了した時にマスター機2mにて実行されるマッチング解除処理を示している。この処理において、マスター機2mは、まずステップS131で現時点で形成されているオンラインマッチングを解除する。この処理は、オンラインメンバープレイヤ及びそのプレイヤのゲーム機2との間で通信するために必要な設定等に関する情報が削除される。続くステップS132にて、マスター機2mは、ローカルメンバーがプレイ継続、すなわち次の楽曲のセッションを希望するか否かを判別し、希望しているときはステップS133に進んで図4のマッチング処理を開始させる。その後、マスター機2mは図8の処理を終える。図4のマッチング処理が開始された場合、既にローカルメンバーが形成されていれば、ステップS101では肯定判断がなされる。なお、ステップS132でローカルメンバーがプレイ継続を希望していない場合、マスター機2mはステップS133をスキップして図8の処理を終了する。この場合、マスター機2mはゲームの終了に必要な所定の処理を実行する。
【0050】
以上に説明したように、本形態のゲームシステム1によれば、プレイヤが楽曲を選択する際に、そのプレイヤに対して「仲間」という人的な結び付きを有する他のプレイヤの楽曲選択状況が判別されてプレイヤに提示される。したがって、プレイヤは多数の楽曲から希望する楽曲を選択する目安として、仲間の選択状況を参照することが可能である。これにより、仲間と同一楽曲でオンラインセッションを楽しむ機会を増加させ、あるいは、仲間が選択してない楽曲を積極的に選んで仲間以外のプレイヤとのオンラインセッションをプレイするといった楽しみをプレイヤに提供することができる。
【0051】
「仲間」として設定されたプレイヤ同士が端末装置7を利用してネットワーク5上で交流を図ることができ、その結び付きを共通のゲームのプレイを通じてさらに深めることができる。これにより、ソーシャルネットワーキングサービスのようなネットワーク上の交流サービスの特徴である人的関係、人的ネットワークの構築の容易さ、拡大の容易さを活用して、多くのユーザにゲーム機でゲームをプレイするモチベーションを与えることが可能である。
【0052】
上記の形態では、コミュニティデータ36が本発明の関係データに相当し、ゲームサーバ3Aのゲームサービス管理部11が、図5のステップS201の処理を実行することにより本発明の選択状況判別手段として機能し、ゲームサーバ3Aのゲームサービス管理部11とWebサーバ3Bのコミュニティサービス管理部12とが図3のステップS21、S22、S31、S32で協働して仲間を特定することにより本発明の関係判別手段として機能し、ゲーム機2のゲームサービス処理部21が図5のステップS113にてプレイヤに楽曲選択画面100を提示して楽曲を選択させることにより本発明の選択実行手段として機能し、かつ、ステップS113で楽曲選択情報と仲間の情報とに基づいて仲間の選択している楽曲を判別し、判別した楽曲に対して楽曲選択画面100上でアイコン104a、104bを表示させることにより本発明の選択状況提示手段として機能する。また、ゲーム機2のゲームサービス処理部21は、図5のステップS114でマッチングを要求することにより、本発明のマッチング要求手段として機能し、その要求に応答してゲームサーバ3Aのゲームサービス管理部11がステップS203を実行することにより本発明のマッチング手段として機能する。さらに、ゲーム機2のゲームサービス処理部21は、オンラインマッチングされたプレイヤ間でのオンラインセッションを実現することにより、本発明の共通ゲーム実行手段として機能する。
【0053】
なお、上記の形態では、ログイン処理時にプレイヤの仲間を判別し、その仲間の情報としてのID(コミュニティIDやユーザID等)をゲーム機2に提供する一方、楽曲選択時には、オンラインマッチングを待っている全てのプレイヤを対象とした楽曲選択情報をゲーム機(マスター機)2に提供し、そのゲーム機2が楽曲選択情報と、既に取得した仲間の情報とに基づいて、仲間の選択中の楽曲を特定したが、本発明はそのような形態に限らない。例えば、ゲーム機2がゲームサーバ3Aに対して楽曲選択情報の提供を要求する際に、プレイヤのID(カードID、ユーザID、あるいはコミュニティID)をゲームサーバ3Aに提供し、ゲームサーバ3Aが、マッチングを待っている全てのプレイヤを対象として仲間を検索し、検出された仲間が選択している楽曲をゲームサーバ3Aからゲーム機2に通知してもよい。この場合、ゲーム機2は、ゲームサーバ3Aから通知された楽曲が仲間によって選択されていることをプレイヤに提示すれば足りる。
【0054】
上記の形態ではゲーム機2が商業施設に設置される商業用のゲーム機として構成されている。しかし、ゲーム機は商業用ゲーム機に限らず、個人用のゲーム機であってもよい。ゲーム機が設置される施設も商業施設に限らず、公共的な施設、あるいは個人的な施設であってもよい。本発明において、ゲーム機は音楽ゲーム機に限らず、各種のゲーム機で置換されてもよく、その場合、ゲーム上の選択項目は上述したように、ステージ、マップ、シナリオといった様々な観点で区切られてよい。共通のゲームも、複数のプレイヤが協力してゲームをプレイする例に限らず、プレイヤが対戦するものであってもよい。
【0055】
本発明は、複数のゲーム機がネットワークに接続されることにより、それぞれのゲーム機のプレイヤにおける選択項目の選択状況が把握できるものであれば足り、複数のプレイヤが共通のゲームに参加できるようにゲームシステムが構成されることは必ずしも必要ではない。例えば、複数のプレイヤが同一の項目を選択してゲームを個別にプレイし、その結果としてのスコア等をプレイヤ同士がオンライン又はオフラインで競うように構成されたゲームシステムでも本発明は適用可能である。あるいは、所定の結び付きを有するプレイヤが互いに異なる項目を選択してゲームをプレイし、そのプレイした感想等をプレイヤ同士がオンライン又はオフラインで共有するといった場合でも本発明は適用できる。このように、所定の結び付きを有するプレイヤ同士がそれぞれ個別にゲームをプレイする場合にはマッチング手段も省略可能である。選択項目に関する選択状況は、一のプレイヤが選択中における選択状況に限定されない。例えば、結び付きを有するプレイヤの選択履歴を蓄積し、その蓄積された履歴を選択状況としてプレイヤ間で相互に参照させることにより、プレイヤの項目選択の目安に供してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 ゲームシステム
2A、2B ゲーム機
3 サーバ群(サーバ装置)
3A ゲームサーバ
3B Webサーバ
4 店舗(施設)
5 ネットワーク
A ワイドエリアネットワーク
5B、5C ローカルエリアネットワーク
7 ユーザ端末(個人用の端末装置)
8 カード
11 ゲームサービス管理部(選択状況判別手段、関係判別手段、マッチング手段)
12 コミュニティサービス管理部(関係判別手段、交流サービス提供手段)
21 ゲームサービス処理部(選択状況提示手段、共通ゲーム実行手段、選択実行手段、)
22 コミュニティサービス処理部(交流サービス提供手段)
31 ゲームサーバ用記憶装置
32 Webサーバ用記憶装置(データ記憶手段)
33、35 ID管理データ
34 プレイデータ
36 コミュニティデータ(関係データ)
100 楽曲選択画面
101 タイトル画像
104a グループアイコン
104b フレンドアイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数のゲーム機を含み、予め用意されたゲーム上の複数の選択項目からゲーム機のプレイヤに希望する項目を選択させ、選択された項目を反映した内容のゲームを当該プレイヤのゲーム機にてプレイさせるゲームシステムにおいて、
前記プレイヤ間に所定の結び付きが存在するか否かを判別するために必要な情報を記述した関係データを記憶するデータ記憶手段と、
複数のゲーム機のそれぞれにおけるプレイヤの前記選択項目に関する選択状況を判別する選択状況判別手段と、
プレイヤと前記所定の結び付きを有する他のプレイヤを前記関係データに基づいて判別する関係判別手段と、
プレイヤが前記選択項目を選択するときに、その選択中のプレイヤに対して前記関係判別手段にて前記所定の結び付きを有すると判別される前記他のプレイヤに関して、前記選択状況判別手段が判別した選択状況を前記選択中のプレイヤに対して提示する選択状況提示手段と、
を備えたゲームシステム。
【請求項2】
選択した項目が一致することを条件として、複数のプレイヤに共通のゲームをプレイさせる共通ゲーム実行手段をさらに備えた請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
選択した項目が一致することを条件として複数のプレイヤをマッチングするマッチング手段を具備し、
前記ゲーム機には、前記プレイヤに複数の選択項目を提示して、希望する項目をプレイヤに選択させる選択実行手段と、プレイヤが選択した項目を特定するために必要な情報を前記マッチング手段に提供しつつ当該マッチング手段に対してマッチングを要求するマッチング要求手段と、が設けられ、
前記選択状況提示手段は、前記所定の結び付きを有しかつ前記マッチング手段に対してマッチングを要求している他のプレイヤが選択した項目を判別するための情報を前記選択中のプレイヤに提供し、
前記共通ゲーム実行手段は、前記マッチング要求手段からの要求に応答して前記マッチング手段がマッチングしたプレイヤ間で前記共通ゲームをプレイさせる請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記所定の結び付きを有するプレイヤに、前記ネットワークを介した交流の場を提供する交流サービス提供手段をさらに具備する請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記ネットワークには、前記プレイヤをユーザとする個人用の端末装置が接続可能であり、
前記交流サービス提供手段は、前記端末装置のユーザに対して前記交流の場を提供するように設けられている請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
交流サービス提供手段は、前記端末装置からの前記ユーザの指示に基づいて前記所定の結び付きを設定することを特徴とする請求項5に記載のゲームシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−34554(P2013−34554A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171367(P2011−171367)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【特許番号】特許第5129881号(P5129881)
【特許公報発行日】平成25年1月30日(2013.1.30)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】