説明

ネットワークアダプタ

【課題】データをメモリ上に保持し、USBデバイスとして動作する電子機器と接続することにより、電子機器のメモリに蓄積されたデータを自動的にネットワークへ送信するネットワークアダプタを提供すること。
【解決手段】ネットワークアダプタは、メモリ上にデータを保存する機能およびUSBデバイスとしての機能を有する電子機器が接続されるUSBホストインターフェイス部と、通信モジュールが接続される通信インターフェイス部と、メモリおよびCPUを有し、前記USBホストインターフェイス部および前記通信部が接続された主制御部とを備え、前記主制御部は、前記USBホストインターフェイス部に接続された電子機器のメモリから新規データを検出し、新規データがある場合には当該新規データを読み出して、前記通信インターフェイス部に接続された通信モジュールを制御して当該新規データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器等をネットワークに接続するためのネットワークアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ICレコーダ、デジタルオーディオプレーヤといった電子機器では、データを内蔵メモリまたは記憶メディア上に蓄積するとともに、USB(Universal Serial Bus)接続されたホストコンピュータに対してUSBマスストレージデバイスとして動作させることにより、コンピュータから当該データを読み出し可能にする構成が広く採用されている。このような構成を採用することで、ユーザは電子機器に蓄積されたデータをコンピュータの二次記憶装置にコピーして保存したり、アプリケーションプログラムによって加工したり、さらに別のコンピュータに転送したりと、様々な用途に使用することが可能になる。
【0003】
上記のような構成を実現するために、電子機器にはUSBインターフェイスが設けられている。また電子機器は、当該電子機器をホストコンピュータからUSBデバイスとして認識させるためのUSBデバイスコントローラを備えており、このUSBデバイスコントローラは、電子機器をマスストレージクラスのデバイスとして認識させるためのUSBディスクリプタを保持している(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−9253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パーソナル・コンピュータを所有していないユーザは、上述したように電子機器からデータを読み出してデータを各種用途に提供することができない。また、パーソナル・コンピュータを所有しているユーザであっても、コンピュータからネットワークを介してサーバにデータをアップロードしたりデータを同期させたりする場合には、例えばパーソナル・コンピュータと電子機器とをUSBケーブルで接続し、電子機器に蓄積されたデータを一旦パーソナル・コンピュータにより読み出した上で、当該パーソナル・コンピュータからサーバにアクセスしてデータをアップロードするといったように、煩雑な手順を踏まなければならなかった。このため、USBデバイスとして機能する電子機器に蓄積されたデータを、コンピュータを使用することなく、また煩雑な手順を踏むことなく利用できるようにする手段が切望されていた。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、USBデバイスとして動作する電子機器に蓄積されたデータを、コンピュータを使用することなく、また煩雑な手順を踏むことなくネットワークへ送信することを可能にしたネットワークアダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は以上の点に着目してなされたもので、前記目的を達成するために以下のような手段を講じている。
すなわち、メモリ上にデータを保存する機能およびUSBデバイスとしての機能を有する電子機器が接続されるUSBホストインターフェイス部と、通信モジュールが接続される通信インターフェイス部と、メモリおよびCPUを有し、前記USBホストインターフェイス部および前記通信部が接続された主制御部とを備え、この主制御部により、前記USBホストインターフェイス部に接続された電子機器のメモリから新規データを検出し、新規データがある場合には当該新規データを読み出して、前記通信インターフェイス部に接続された通信モジュールを制御して当該新規データを送信する。
【0008】
上記新規データを検出する手段としては、前記電子機器のメモリを管理するファイルシステムにアクセスし、当該メモリに格納されたファイルのタイムスタンプに基づいて新規ファイルを検出するものが考えられる。
【0009】
また新規データの送信先としては、ネットワークを介して接続されるサーバ又は端末が考えられる。さらに前記新規データの送信先としては、電子機器とペアリングされた対象としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るネットワークアダプタによれば、USBホストインターフェイス部に接続された電子機器のメモリから新規データを検出し、新規データがある場合には当該新規データを読み出して、通信インターフェイス部に接続された通信モジュールを制御して当該新規データを送信するので、電子機器のメモリに蓄積されたデータを自動的にネットワークへ送信することができる。したがって、USBデバイスとして機能する電子機器に蓄積されたデータを、コンピュータを使用することなく、また煩雑な手順を踏むことなく利用に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態に係るネットワークアダプタのハードウェア構成を示すブロック図。
【図2】この発明の一実施形態に係るネットワークアダプタのソフトウェア構成を示すブロック図。
【図3】図1及び図2に示したネットワークアダプタにデジタルスチルカメラを接続した場合の実施例を示すブロック図。
【図4】図3に示したデジタルスチルカメラの記憶メディアに記憶された画像ファイルの一覧情報の一例を示す図。
【図5】図3に示した実施例におけるネットワークアダプタの処理手順と処理内容を示すフローチャート。
【図6】図1及び図2に示したネットワークアダプタにヘルスメータを接続した場合の実施例を示すブロック図。
【図7】図6に示したヘルスメータのメモリに記憶された測定ファイルの一覧情報の一例を示す図。
【図8】図6に示した実施例におけるネットワークアダプタの処理手順と処理内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[一実施形態]
図1は、この発明の一実施形態に係るネットワークアダプタのハードウェア構成を示すブロック図である。
このネットワークアダプタ100Aのハードウェアは、主として、USBインターフェイス(USB I/F)101と、USBコントローラ102と、マイクロコントローラ103と、USBインターフェイス(USB I/F)108とから構成されている。ネットワークアダプタ100Aは、USB I/F101および108を筐体外に露出させ、その他の要素を筐体内に収容した構成となっている。
【0013】
USB I/F101は、例えばプラグ型のUSB端子からなる。このUSB I/F101には、USBデバイスとしての機能を有す、例えばデジタルスチルカメラやヘルスメータが、直接或いはUSBケーブルを介して接続される。USBコントローラ102は、USB I/F101を用いた通信を制御するもので、独立した1個の半導体チップにより構成される。
【0014】
一方、USB I/F108は、例えばソケット型のUSB端子からなる。このUSB I/F108には、モデム109が直接又はUSBケーブルを介して接続される。モデム109は、例えばUSBインターフェイスを備えた3Gモデムからなる。そして、ネットワークアダプタ100AからUSB I/F108を介して出力されたコマンドを受信すると、内蔵された通信制御部の制御の下で、アンテナ110を介して移動体通信ネットワークに対し接続して通信を行う機能を有する。
【0015】
マイクロコントローラ103は、中央処理ユニット(Central Processing Unit;CPU)104と、メモリ105と、タイマ106と、USBコントローラ107とを有している。CPU104は、メモリ105に格納されたプログラムを実行することにより後述する処理を実行する。メモリ105は、プログラム等が格納されたROMと、プログラムの実行時に利用されるRAMと、データ等の格納に利用される随時書込み及び読み出しが可能な不揮発性メモリからなるFlashROMとから構成されている。タイマ106は、マイクロコントローラ103による時間計測を可能にするためのもので、CPU104に対して一定の時間間隔で割り込み信号を発生する。
【0016】
USBコントローラ107は、後述するUSB I/F108を用いた通信を制御する。マイクロコントローラ103は、メモリ105内のROMに格納されたプログラムをCPU104に実行させることにより、USB I/F101、108に接続された機器と通信を行い、後述する動作を実現するものである。
【0017】
図2は、マイクロコントローラ103に実装されたソフトウェアの構成を示すブロック図である。図2に示すように、マイクロコントローラ103に実装されたソフトウェアは、主としてRTOS(Real-Time Operating System)131と、メイン制御プログラム132と、モデム制御プログラム133と、HTTP Client134と、TCP/IPプロトコルスタック135と、USBプロトコルスタック136と、USB I/Fアクセスコード140,141とから構成されている。
【0018】
RTOS101は、マイクロコントローラ103にコンピュータとしての基本的な機能を提供するとともに、処理時間が一定範囲内となることが予測可能なソフトウェア実行環境を提供する。メイン制御プログラム132は、後述するようにネットワークアダプタ100Aを動作させるためのソフトウェアであり、モデム109を介して接続されるサーバや端末等のアドレス情報および当該サーバにログインするための認証情報等が保持されている。
【0019】
メイン制御プログラム132は、USB I/F101に接続された電子機器から取得したUSBデバイスディスクリプタのベンダID、製品ID、シリアルIDの取得履歴を接続時刻とともに蓄積できるように構成されている。
【0020】
モデム制御プログラム133は、モデム109を制御するためのデバイスドライバである。HTTP Client134は、メイン制御プログラム132にHTTP通信のクライアントとしての機能を提供するためのモジュールである。TCP/IPプロトコルスタック135は、PPP(Point-to-Point Protocol)、IP(Internet Protocol)、TCP(Transmission Control Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)、Socket及びDNSといった各種通信プロトコルを実行するためのモジュールが集合したものである。
【0021】
USBプロトコルスタック136は、USBデバイスとしての電子機器と通信するための機能をメイン制御プログラム132に提供するもので、USB Hostドライバ139と、USB Mass Storage Host Class137と、USB CDC Host Class138等のモジュールが集合したものである。
【0022】
USB Hostドライバ139は、USBホストとしての共通な機能を実現する。USB Mass Storage Host Class137は、USBマスストレージデバイスに対するホストとしての機能を実現する。USB CDC Host Class138は、USB通信デバイスに対するホストとしての機能を提供する。
USB I/Fアクセスコード140,141は、それぞれUSBコントローラ102,107を制御するレジスタにアクセスするためのコードである。
【0023】
以上のようなソフトウェアを実装することにより、マイクロコントローラ103は、ネットワークアダプタ100Aの各部を制御して後述する動作を実現する。すなわち、ネットワークアダプタ100Aは、USB I/F101に接続された電子機器をUSBマスストレージとして認識して、当該電子機器内のメモリからデータを読み出す。そして、USB I/F108に接続されたモデム109を制御して、上記電子機器のメモリから読み出されたデータをネットワークへ送信する。したがって、電子機器には通信を実現するためのハードウェアおよびソフトウェアは一切必要がなく、既存の機器をそのまま使用することができ、新規に機器を開発する場合であっても通信のためにハードウェアまたはソフトウェアを追加開発する必要はない。
【0024】
(第1の実施例)
第1の実施例は、ネットワークアダプタ100Aにデジタルスチルカメラ200を接続したとき、ネットワークアダプタ100Aの制御の下で、デジタルスチルカメラ200の記憶メディアから記憶されている画像ファイルのうち新規ファイルを読み出し、この読み出された新規ファイルをモデム109からネットワークを介して図示しないサーバ又は端末へ送信するようにしたものである。
【0025】
図3は、この第1の実施例におけるデジタルスチルカメラ200の構成を示すブロック図である。なお、同図においてネットワークアダプタ100Aについては、図1及び図2に示したものと基本構成が同一であるため、詳しい説明を省略する。
【0026】
デジタルスチルカメラ200は、ストロボ201及びそのストロボ制御部202と、光学系203及びその光学系制御部204と、CCD205及びそのCCD制御部206と、ディスプレイ207及びそのディスプレイ制御部208とを備え、さらに主制御部209と、電源210及びその電源制御部211と、記憶メディア212と、メディア I/F213と、操作部214と、USB I/F215と、USBコントローラ216を備えている。
【0027】
デジタルスチルカメラ200は、例えばユーザが操作部214において起動操作したときに、電源制御部211の制御の下で電源210から各部に電力の供給が開始される。そして、主制御部209の制御の下、光学系203を介してCCD205が取得した画像データと、ユーザに対し操作案内するための操作UI情報をディスプレイ制御部208によりディスプレイ207に表示させる。
【0028】
この状態で、ユーザが操作部214において撮影のための操作を行うと、主制御部209はストロボ制御部202、光学制御部204およびCCD制御部206をそれぞれ制御して、ストロボ201、光学系203およびCCD205を動作させ、デジタル静止画像データを取得する。取得されたデジタル静止画像データは、主制御部209によって画像ファイルに変換され、メディア I/F213を介して記憶メディア212に記憶される。
【0029】
図4は、この記憶メディア212に保存された画像ファイルの一覧データを例示したものである。ここでは、主制御部255がファイルシステムとしての機能を有し、デジタル静止画像データが得られるごとに当該画像データをファイル化する。このファイル化処理において主制御部255は、当該画像ファイルに対し連続番号により表されるファイル名を生成すると共に、撮影年月日および時刻により表されるタイムスタンプを生成する。そして、このファイル名及びタイムスタンプを上記画像データに関連付けて一覧データとしてメモリ256に記憶させる。
【0030】
デジタルスチルカメラ200にネットワークアダプタ100Aを接続する使用形態は、デジタルスチルカメラ200にネットワークアダプタ100Aを接続したままにしておくのではなく、通常は単体で使用しているデジタルスチルカメラ200にネットワークアダプタ100Aを一時的に接続して画像データをネットワークへ送信するというものである。以下、その動作について詳細に説明する。図5は、このような使用形態におけるネットワークアダプタ100Aの処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0031】
ユーザは、ネットワークアダプタ100Aをデジタルスチルカメラ200のUSB I/F215に接続する。このとき、デジタルスチルカメラ200側のUSB I/F215がソケット型のUSB端子(メス側ソケット)である場合には、ネットワークアダプタ100AのUSB I/F101にプラグ型のUSB端子(オス側ソケット)を採用する。そして、デジタルスチルカメラ200のUSB I/F215に、ネットワークアダプタ100AのUSB I/F101を挿入することにより、両者を接続することができる。
【0032】
上記のようにネットワークアダプタ100AのUSB I/F101とデジタルスチルカメラ200のUSB I/F215とが接続されると、ネットワークアダプタ100AはUSB I/F101にUSB機器が接続されたことをUSBコントローラ102により検出する(ステップST101)。そして、ネットワークアダプタ100Aは、ホストとして機能するUSBコントローラ102により、デジタルスチルカメラ200のUSBコントローラ216に対してUSBディスクリプタを要求する。
【0033】
この要求に応じてUSBコントローラ216がUSBディスクリプタを返送すると、ネットワークアダプタ100Aは、上記接続されたデジタルスチルカメラ200をUSBマスストレージデバイスとして認識する(ステップST102)。また、USBディスクリプタの内容からベンダID、製品IDおよびシリアルIDを取得する(ステップST103)。そして、メモリ105に保存されている接続履歴情報をもとに、上記取得したIDに該当する機器がネットワークアダプタ100Aに接続された履歴があるか否かをステップST104により判定する。
【0034】
上記ステップST104において接続履歴があると判定された場合、CPU104はデジタルスチルカメラ200に対し一覧データの取得要求を送り、デジタルスチルカメラ200の記憶メディア212に記憶されている画像ファイルの一覧データを取得する(ST105)。続いてメイン制御プログラム132により、メモリ105に保存されている履歴情報と、上記取得した一覧データのタイムスタンプとを照合し、前回接続した後に記憶された新規ファイルの有無をステップST106で判定する。
【0035】
上記ステップST106において新規ファイルがあると判定されると、ネットワークアダプタ100Aはメイン制御プログラム132の制御の下、デジタルスチルカメラ200の記憶メディア212から新規ファイルを取得する(ステップST107)。続いて、USB I/F108に接続されたモデム109の電源をONにし、コマンドを送信してモデム109を図示しないネットワークに接続する(ステップST108)。そして、ネットワークに接続されると、メイン制御プログラム132の制御の下、HTTPクライアント134およびプロトコルスタック135を利用して、予め送信先として宛先情報が記憶されているサーバにアクセスし、上記取得した新規ファイルを送信する(ステップST109)。その後、上記取得した新規ファイルの送信が全て完了したか否かをステップST110で判定し、完了していないと判定された場合にはステップST109に戻り、上記送信制御動作を繰り返す。
【0036】
これに対しステップST110において送信が完了したと判定されると、ネットワークアダプタ100Aからモデム109に対しコマンドを送信してネットワークとの接続を終了し(ステップST111)、モデム109の電源をOFFにして一連の動作を終了する。なお、ステップST106で新規ファイルがないと判定された場合も、そのまま一連の処理動作を終了する。
【0037】
一方、ステップST104において、上記取得したIDに該当する機器がネットワークアダプタ100Aに接続された履歴がないと判定されたとする。この場合ネットワークアダプタ100Aは、ステップST112によりデジタルスチルカメラ200の記憶メディア212から、記憶されている全ての画像ファイルを取得する。そして、上記ステップST108〜ST111により、上記取得した全ての画像ファイルをサーバへ送信する処理を実行する。
【0038】
以上のように第1の実施例によれば、デジタルスチルカメラ200をネットワークアダプタ100AにUSB接続するだけで、デジタルスチルカメラ200の記憶メディア212に記憶されている画像ファイルを、パーソナル・コンピュータを使用することなく、また煩雑な手順を踏むことなく、サーバにアップロードしてユーザの利用に供することが可能となる。
【0039】
すなわち、ネットワークアダプタ100Aを用いることで、パーソナル・コンピュータを所有していないユーザであっても、デジタルスチルカメラ200の記憶メディア212に蓄積された画像データを各種用途に供することができる。また、パーソナル・コンピュータを所有しているユーザであっても、煩雑な手順を踏むことなくデジタルスチルカメラ200に蓄積された画像データをサーバにアップロードし、各種の用途に供することができる。
【0040】
例えば、画像ファイルをサーバにアップロードすれば、注目する商品や観光名所を撮像した画像ファイルを手軽に第三者に公開したり、サービス業者が上記アップロードされた画像データをもとにレコメンド情報を作成して利用者に配信するといったサービスを実施することができる。また、画像ファイルを特定の端末へ送信すれば、親しい友人等に種々の情報を画像ファイルにより通知することが可能となる。
【0041】
(第2の実施例)
第2の実施例は、先に述べたネットワークアダプタ100Bにヘルスメータ250を接続し、ネットワークアダプタ100Bの制御の下で、ヘルスメータ250から記憶されている測定ファイルのうち新規ファイルを予め設定された周期で読み込み、この読込んだ新規ファイルをモデム109からネットワークを介して図示しないサーバ又は端末へ送信するようにしたものである。
【0042】
図6は、この第2の実施例におけるヘルスメータ250の構成を示すブロック図である。なお、同図においても、ネットワークアダプタ100Bについては図1及び図2に示したものと基本構成が同一であるため、詳しい説明を省略する。
【0043】
ヘルスメータ250は、複数の測定端子251a〜251d及び圧力センサ253を備えている。これらの測定端子251a〜251d及び圧力センサ253は、筐体上面部に配置されている。ヘルスメータ250はさらに、体組成測定部252と、体重測定部254と、主制御部255と、メモリ256と、表示部257と、操作部258と、ブザー259と、USBコントローラ260と、USB I/F261を備えている。
【0044】
ヘルスメータ250は、ユーザが操作部258を操作することにより起動される。そして、筐体上面部にユーザが裸足で乗ると、測定端子215a〜215dにより測定された抵抗率をもとに、体組成測定部252により体脂肪率等が算出される。またそれと共に、圧力センサ253により測定された圧力値の大きさをもとに、体重測定部254により体重が算出される。この算出された体脂肪率及び体重の値はそれぞれ主制御部255に通知される。主制御部255は、これらの数値が安定した時点で各数値を測定データとして確定させ、ブザー259を鳴動させてユーザに測定の終了を通知すると共に測定データを表示部257に表示させ、さらに測定ファイルに変換してメモリ256に記憶させる。
【0045】
図7は、メモリ256に記憶された測定ファイルの一覧情報を例示したものである。ここでは、主制御部255がファイルシステムとしての機能を有し、測定データが得られるごとに当該測定データをファイル化する。このファイル化処理において主制御部255は、当該測定ファイルに対し連続番号により表されるファイル名を生成すると共に、測定年月日および時刻により表されるタイムスタンプを生成する。そして、このファイル名及びタイムスタンプを上記測定データに関連付けて一覧データとしてメモリ256に記憶させる。
【0046】
なお、測定データの記録方法は個別のファイル形式に限るものではなく、1つのファイルに測定データを測定日時とともに追記していく形で記録してもよいし、ファイル形式を採用しないデータ記録方式であっても構わない。また、複数のユーザにより共用されることを想定したヘルスメータ250においては、予め操作部158を操作することによりユーザ名を登録しておき、測定時にユーザが表示部257を視認しつつ操作部148を操作して自分のユーザ名を選択することにより、測定データとともに当該測定データに関連付けてユーザ名を記憶するようにしてもよい。
【0047】
ヘルスメータ250にネットワークアダプタ100Bを接続する使用形態は、ヘルスメータ250に対しネットワークアダプタ100Bをその都度着脱するのではなく、ヘルスメータ250にネットワークアダプタ100Bを接続したまま、ヘルスメータ250のメモリ256に記憶されている測定ファイルを周期的にネットワークアダプタ100Bに読み込んでネットワークへ送信するというものである。
【0048】
以下、その動作について詳細に説明する。図8は、このような使用形態におけるネットワークアダプタ100Bの処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
ユーザがネットワークアダプタ100Bをヘルスメータ250のUSB I/F215に接続すると、この接続がUSBコントローラ102により検出されてCPU104に通知される。上記接続通知を受けると、CPU104はタイマ106を初期化してカウントを開始させる(ステップST201)。このタイマ106は測定データの読み込み周期を規定する。
【0049】
なお、ネットワークアダプタ100Bとヘルスメータ250との接続については、第1の実施例で述べたデジタルスチルカメラ200を接続する場合と同様である。また、ネットワークアダプタ100Bおよびモデム109の機能をヘルスメータ250の筐体に内蔵させることも可能である。タイマに設定する時間には制限がなく、例えば1日に1回から数回の頻度で測定データのみ読込み動作を行うように設定してもよい。
【0050】
CPU104は上記タイマ106のカウント値をステップST202で監視している。そして、当該カウント値が読み込み周期に対応して予め設定した値に達すると、測定データの読み込みタイミングになったと判断してステップST203に移行し、ヘルスメータ250に対し測定データの取得要求を送信して、メモリ256に記憶された測定ファイルの一覧データを取得する。続いてメイン制御プログラム132により、メモリ105に保存されている履歴情報と、上記取得した一覧データのタイムスタンプとを照合し、前回接続した後に記憶された新規ファイルの有無をステップST204で判定する。この判定の結果、新規ファイルがなければ、ステップST202による読み込みタイミングの監視に戻る。
【0051】
一方、上記ステップST204において新規ファイルがあると判定されると、ネットワークアダプタ100Bはメイン制御プログラム132の制御の下、ヘルスメータ250のメモリ256から新規ファイルを取得する(ステップST205)。続いて、USB I/F108に接続されたモデム109の電源をONにし、コマンドを送信してモデム109を図示しないネットワークに接続する(ステップST206)。そして、ネットワークに接続されると、メイン制御プログラム132の制御の下、HTTPクライアント134およびプロトコルスタック135を利用して、予め送信先として宛先情報が記憶されているサーバに対しアクセスし、上記取得した新規ファイルを送信する(ステップST207)。その後、上記取得した新規ファイルの送信が全て完了したか否かをステップST208で判定し、完了していないと判定された場合にはステップST207に戻り、上記送信制御動作を繰り返す。
【0052】
これに対しステップST208において送信が完了したと判定されると、ネットワークアダプタ100Bからモデム109に対しコマンドを送信してネットワークとの接続を終了し(ステップST209)、モデム109の電源をOFFにしたのち、ステップST202による読み込みタイミングの監視に戻る。
【0053】
以上のように第2の実施例によれば、ヘルスメータ205をネットワークアダプタ100Bに常時USB接続しておくだけで、ヘルスメータ205において測定されメモリ256に記憶されていた測定ファイルが、ネットワークアダプタ100Bにより周期的に読み込まれてモデム109からサーバへ送信される。したがって、ヘルスメータ250のメモリ256に記憶された測定ファイルを、パーソナル・コンピュータを使用することなく、また煩雑な手順を踏むことなくサーバにアップロードしてユーザの利用に供することが可能となる。
【0054】
すなわち、ネットワークアダプタ100Bを用いることで、パーソナル・コンピュータを所有していないユーザであっても、ヘルスメータ205のメモリ256に記憶された測定データを自動的にサーバにアップロードすることができる。また、パーソナル・コンピュータを所有しているユーザであっても、煩雑な手順を踏むことなくヘルスメータ205に記憶された測定データをサーバにアップロードして各種用途に供することができる。
【0055】
例えば、ユーザの測定データの時系列変化をサーバから掛かり付けの医師又は保健師の端末に定期的に転送すれば、ユーザが医療機関に出向くことなく医師又は保健師はユーザの健康状態を遠隔的に監視することが可能となる。また、測定データに心拍や血圧等のバイタルデータを含め、これらのバイタルデータが予め設定した正常範囲から外れた場合に当該データをネットワークアダプタ100Bから医師又は保健師の端末へ送信するようにすれば、医師又は保健師はユーザの様態の急変を迅速に把握することが可能となる。
【0056】
[その他の実施形態]
この発明は上記実施形態に限られるものではなく、以下のような種々変形が可能である。例えば、ネットワークアダプタに電子機器が接続されたときに当該電子機器の種類を判定し、その判定結果に応じて、データの取得から送信までの一連の処理を単発的に実行する処理と、ネットワークアダプタに電子機器が接続された状態でデータの取得から送信までの一連の処理を予め設定した時間間隔で繰り返し実行する処理とを選択的に実行するようにしてもよい。このようにすると、接続された電子機器が例えばデジタルスチルカメラのようなポータブルタイプであれば、接続直後に第1の実施例で述べた単発的な処理を自動的に実行することができ、一方接続された電子機器が例えばヘルスメータのような据え置きタイプであれば、接続されている状態で第2の実施例で述べたように、ファイルの取得から送信までの一連の処理を予め決められた周期で自動的に繰り返し実行することができる。
【0057】
また、ネットワークアダプタ100にモデム109ではなく有線または無線LANモジュールを接続した構成とし、移動通信ネットワーク以外にイーサネット(登録商標)網に接続する構成としてもよい。同様に、WiMAXモデムまたはLTEモデムを利用して、WiMAX(登録商標)網またはLTE網に接続する構成としても構わない。また、ネットワークアダプタ100が接続される電子機器についても、デジタルスチルカメラ200やヘルスメータ250に限るものではなく、監視用カメラや温度計、電力量計等のように、メモリに測定データ等を保存する機能およびUSBデバイスとしての機能を有する電子機器に広く適用することができる。
【0058】
さらに上記各実施形態では、ファイルの一覧データに含まれるタイムスタンプに基づいて新規ファイルの有無を判定する場合を例示したが、取得したファイル一覧データを前回取得したファイル一覧データと対比することにより新規ファイルの有無を判定するようにしてもよいし、タグまたはデリミタ、インデックス、ハッシュテーブル、メモリアドレスを利用して新規ファイルの有無を判定し取得する構成としてもよい。
【0059】
さらに上記第1の実施例では、ネットワークアダプタ100Aがデジタルスチルカメラ200のUSB I/F215から取得したIDに基づいて、接続された機器を識別する場合を示したが、ネットワークアダプタ100Aを接続する機器が固定的であるならば、このような判断は省略してもよい。
【0060】
さらに第2の実施例では、タイマを利用して周期的に新規ファイルの有無を判断したが、タイマから時刻情報を生成して時刻に応じて新規ファイルまたはデータの有無を判断するようにしても構わないし、ユーザによる電子機器の利用を検出してそれに応じて新規ファイルまたはデータの有無を判断する構成としてもよい。このようにすると、ヘルスメータ250において新規ファイルが生成された場合にのみ、ヘルスメータ250からネットワークアダプタ100Bへのファイル転送が行われ、かつ新規ファイルの有無の判定処理も不要になるので、ネットワークアダプタ100Bの処理負荷及び消費電力を低減することができる。
【0061】
さらに、前記実施形態では電子機器から取得したファイルをネットワークアダプタからネットワークを介してサーバへ送信する場合を例にとって説明したが、前記電子機器と予めペアリング設定された端末へ送信するようにしてもよい。このようにすると、ユーザは電子機器をネットワークアダプタに接続するだけで、特別な操作を何ら行うことなく、電子機器に記憶されたデータファイルを自身の他の端末、例えば携帯電話機やスマートホン、タブレット型端末、オーディオプレーヤ、ゲーム機器、カーナビゲーション機器へ転送させることが可能となる。
【0062】
さらに、前記実施形態では機器と接続されるUSB I/F101を介した通信を制御するUSBコントローラ101が独立した半導体チップとして構成され、モデムが接続されるUSB I/F108を介した通信を制御するUSBコントローラ107がマイクロコントローラに内蔵されている構成とした場合を示した。しかし、それに限るものではなく、USBコントローラ101をマイクロコントローラに内蔵してUSBコントローラ107を独立した半導体チップとしてもよいし、双方ともにマイクロコントローラに内蔵する構成としてもよく、さらには双方ともに独立した半導体チップとする構成も実施可能である。
【0063】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0064】
100,100A,100B…ネットワークアダプタ、101…USBインターフェイス(USB I/F)、102…USBコントローラ、103…マイクロコントローラ、104…CPU、105…メモリ、106…タイマ、107…USBコントローラ、108…USBインターフェイス(USB I/F)、109…モデム、110…アンテナ、131…RTOS、132…メイン制御プログラム、133…モデム制御プログラム、134…HTTP Client、135…TCP/IPプロトコルスタック、136…USBプロトコルスタック、137…USB Mass Storage Host Class、138…USB CDC Host Class、139…USB Hostドライバ、140,141…USB I/Fアクセスコード、200…デジタルスチルカメラ、201…ストロボ、202…ストロボ制御部、203…光学系、204…光学系制御部、205…CCD、206…CCD制御部、207…ディスプレイ、208…ディスプレイ制御部、209…主制御部、210…電源、211…電源制御部、212…記憶メディア、213…メディア I/F、214…操作部、215…USB I/F、216…USBコントローラ、250…ヘルスメータ、251a〜251d…複数の測定端子、253…圧力センサ、252…体組成測定部、254…体重測定部、255…主制御部、256…メモリ、257…表示部、258…操作部、259…ブザー、260…USBコントローラ、261…USB I/F。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ上にデータを保存する機能およびUSBデバイスとしての機能を有する電子機器が接続されるUSBホストインターフェイス部と、通信モジュールが接続される通信インターフェイス部と、メモリおよびCPUを有し、前記USBホストインターフェイス部および前記通信部が接続された主制御部とを備え、
前記主制御部は、前記USBホストインターフェイス部に接続された電子機器のメモリから新規データを検出し、新規データがある場合には当該新規データを読み出して、前記通信インターフェイス部に接続された通信モジュールを制御して当該新規データを送信することを特徴とするネットワークアダプタ。
【請求項2】
前記主制御部は、前記電子機器のメモリを管理するファイルシステムにアクセスし、当該メモリに格納されたファイルのタイムスタンプに基づいて新規ファイルを検出し、新規ファイルがある場合には当該新規ファイルを読み出して、前記通信部から当該新規ファイルを送信することを特徴とする請求項1に記載のネットワークアダプタ。
【請求項3】
前記主制御部は、前記新規データ又は前記新規ファイルを所定のサーバまたは端末に送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネットワークアダプタ。
【請求項4】
前記主制御部は、前記新規データ又は前記新規ファイルをペアリングされた対象に送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネットワークアダプタ。
【請求項5】
データを記憶するデータ記憶部及び当該データを転送するためのインターフェイス部を備えた電子機器と、データを転送するためのインターフェイス部及びネットワークとの間で通信を行う機能を備えた通信モジュールにそれぞれ接続されるネットワークアダプタであって、
前記電子機器のインターフェイス部に対し着脱可能に接続され、前記電子機器との間でデータ転送を行う第1のインターフェイスユニットと、
前記通信モジュールのインターフェイス部に対し接続され、前記通信モジュールとの間でデータ転送を行う第2のインターフェイスユニットと、
前記第1及び第2のインターフェイスユニットに接続される制御ユニットと
を具備し、
前記制御ユニットは、
前記電子機器のデータ記憶部に記憶されたデータの中に未取得のデータが存在するか否かを判定する判定手段と、
未取得のデータが存在すると判定された場合に、前記データ記憶部から当該未取得のデータを前記第1のインターフェイスユニットを介して取得する取得手段と、
前記取得されたデータを前記第2のインターフェイスユニットを介して前記通信モジュールへ転送し、当該通信モジュールから前記ネットワークへ送信させる送信手段と
を備えることを特徴とするネットワークアダプタ。
【請求項6】
前記制御ユニットは、
前記電子機器のインターフェイス部に対する前記第1のインターフェイスユニットの接続を検出し、この接続の検出に応じて、前記判定手段、取得手段及び送信手段を動作させる第1の制御手段を
さらに備えることを特徴とする請求項5に記載のネットワークアダプタ。
【請求項7】
前記制御ユニットは、
前記電子機器のインターフェイス部に前記第1のインターフェイスユニットが接続されている状態で、予め設定した周期で前記判定手段、取得手段及び送信手段を動作させる第2の制御手段を
さらに備えることを特徴とする請求項5に記載のネットワークアダプタ。
【請求項8】
前記制御ユニットは、
前記電子機器のインターフェイス部に前記第1のインターフェイスユニットが接続されたとき、前記電子機器から当該電子機器に関する識別情報を取得して、この取得された識別情報をもとに前記接続された電子機器の種類を識別する手段と、
前記接続された電子機器の種類の識別結果に応じて、前記第1及び第2の制御手段を選択的に動作させる手段と
を、さらに備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のネットワークアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−109415(P2013−109415A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251956(P2011−251956)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(394020376)ガイアホールディングス株式会社 (51)
【Fターム(参考)】