説明

ネットワークゲームシステムにおけるゲームアイテム交換、ソーシャルメディアにおけるデジタルアイテム交換

【課題】ゲームアイテム交換に伴う詐取的な行為を完全に防ぐことができる。太郎から花子にアイテム交換を提案する場合、花子に対しては「これこれのゲームアイテムと交換しよう」と強制しない。代わりに、花子に知らせる交換提案メッセージには太郎のゲームアイテムのゲーム上での「価値情報」が記述されている。花子はこれを見て「価値情報」を参考にし、自分の保有するゲームアイテムの中から交換に差し出すゲームアイテムを落ち着いて選出することができるようにする。
【解決手段】花子が花子端末により花子のゲーム情報にアクセスし、花子端末ディスプレイに「アイテム管理画面」が表示された際、その画面中に「交換提案メッセージがあります詳細はこちら」ボタンを表示させる。花子が一覧表示されたゲームアイテムの中から1個以上のゲームアイテムを選出する。花子が「アイテム交換画面」中の「交換応諾メッセージを送る」ボタンをクリックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信網を介して利用者端末(パソコン、タブレット端末、家庭用・業務用ゲーム機、通信型携帯ゲーム機、携帯電話機、インターネット対応テレビ、その他通信端末など)と通信するコンピューターシステムによりゲーム情報や交流情報をデータベースに蓄積管理し、利用者端末上でゲームを行わせたり、利用者同士の情報交流の場を提供するネットワークゲームシステムやソーシャルメディア(ソーシャルネットワーキングサービス)に関し、とくに、ゲームアイテムや情報交流の場で使用するデジタルアイテムを利用者間で交換するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ソーシャルメディアFacebook(登録商標)は、世界中で5億人を超える会員がインターネットを通じて情報交流する場を創りだしている。出願人はモバゲータウン(登録商標)と名付けたソーシャルメディアを運営している。コンセプトおよび規模の異なるネットワークゲームシステムやソーシャルメディアがインターネット上に数多く存在し、さまざまな場面で人々に活用されている。
【0003】
ソーシャルメディアは、基本システムとして、会員ごとに記憶資源を提供し、会員が発信する情報をそこに記録し、記録された情報を会員本人以外の他人にも見せるとともに、見た情報にコメントできるようにするコンピューター情報処理の仕組みを提供している。ソーシャルメディアは、会員同士でコミュニティを作るための情報処理システムを提供しており、ある会員が発した情報が同じコミュニティの別の会員に伝えられる。ソーシャルメディアは、会員間で利用可能なブログ、ウェブメール、電子掲示板、チャット、ゲームといったサービスの1つまたは複数で構成される。ツイッターと呼ばれるソーシャルメディアの利用者が急激に増加している。
【0004】
ネットワークゲームシステムは、複数のユーザーが関与してゲームを進める情報処理システムを提供している。モバゲータウンにて利用できる(公序良俗違反につき、不掲載)という名のソーシャルゲームでは、ユーザーは怪盗団のリーダーとなり、ミッションを実行してお金を稼ぎ、他のユーザーにバトルを仕掛けてお宝を盗む。ときには他のユーザーと仲間になり、デジタルアイテム(武器・防具・乗り物)やお宝をプレゼントし合い、協力プレイをする。
【0005】
ソーシャルメディアは、各会員の個人情報・交流情報・交流管理情報を個人IDに対応付けて記憶管理している(その記憶資源のことを会員情報エリアとする)。個人情報はパスワード・氏名・年齢・住所・電話番号・メールアドレス・携帯電話機の端末識別情報・携帯電話機の契約者識別情報などである。交流情報は、典型的には、会員が投稿したブログの情報(ブログ記事に対する他人のコメントなどの関連情報も含む)や投稿した写真や動画、電子掲示板の書き込み、ウェブメールなどの情報であり、ソーシャルメディアを通じて他人と交換し合う情報の実質部分である。
【0006】
ネットワークゲームシステムでは、会員ごとのゲーム情報が記憶管理されている。ゲーム情報にはゲーム実行履歴や現況の情報が記述されており、会員が携帯電話機などの端末によりネットワークゲームシステム上のゲーム情報にアクセスすると、端末画面にゲーム画像が表示され、そこからゲームを進めることができる。ソーシャルゲームと呼ばれるゲームは、他人が自分のゲーム情報にアクセス可能であり、他人の干渉行為により自分のゲーム情報が更新されるという点にひとつの特徴がある。
【0007】
また、ネットワークゲームシステムでは、会員ごとのゲーム情報にはアイテム保有リストが含まれている。ネットワークゲームシステムでは、アイテム保有リストに関連付けられて、ゲームの実行場面にて使用する武器・防具・乗り物といったゲームアイテム(デジタルアイテム)の識別子(アイテム識別情報)が記述されている。
【0008】
利用者は、ネットワークゲームシステム上で販売あるいは無料提供されているゲームアイテム(デジタルアイテム)を購入あるいは無料取得することができる。取得したデジタルアイテムの識別情報が自分のアイテム保有リストと関連付けて記録される。この記録に基づいて、ゲーム実行場面(あるいは情報交流の場面)において適時に保有するゲームアイテム(デジタルアイテム)を使用することができ、それによりゲームの進行状況に変化を与えることができたり、情報交流の場面に変化を与えることができる。
【0009】
ネットワークゲームシステムは、提供しているゲームアイテムに関する情報をデータベース化して管理している。ゲームアイテムの情報としては、アイテムの名称や値段などを記したテキスト情報や、端末画面で利用者にゲームアイテムを見せる際の可視化情報や、ゲームアイテムがゲーム進行に与える攻撃能力値や防御能力値などが含まれている。
【0010】
ネットワークゲームシステムは、以上のように構成されている情報資源を用い、携帯電話機などでアクセスしてくる会員と通信し、怪盗ロワイヤルのようなソーシャルゲームや個人で楽しむさまざまなゲームの情報処理を遂行することができる。(公序良俗違反につき、不掲載)
【発明の開示】
【0011】
===発明が解決しようとする課題===
ネットワークゲームシステムでは、ゲーム上で使用するゲームアイテムを他人に譲ったり、他人から譲り受けたりする情報交流の場を提供している。
あるシステムにおいては、利用者同士でゲームアイテムのプレゼントについて情報交換し、太郎が自分の保有するゲームアイテムを花子にプレゼントし、代わりに花子が自分の保有するゲームアイテムを太郎にプレゼントする情報処理を行い、それぞれのアイテム保有の管理情報を更新するようになっている。
この従来システムにおいては、太郎が花子にゲームアイテムをプレゼントする情報処理の完了直後に、花子が意図的に太郎との連絡手段を遮断してしまい、花子が太郎にゲームアイテムをプレゼントするという約束を破棄する、詐取的な行為が発生し得た。
【0012】
別のネットワークゲームシステムでは、太郎が花子を指名し、太郎所有のあるゲームアイテムAと太郎希望の別のゲームアイテムBとを交換しようと花子に提案する情報処理サービスを取り扱っている。このサービスは、ゲームアイテムBを花子が所有しているかどうか分からない点や、自分のゲームアイテムAと他人のゲームアイテムBとの交換の価値判断に関して太郎が一方的に主導権を持っているという点において、アイテム交換の提案者の意向が強く働きすぎるという問題点があった。
【0013】
===ゲームアイテム交換方法の発明===
この発明に係るゲームアイテム交換方法の核心とするところは、分説すると、つぎの事項1〜8により特定されるものである。
【0014】
1.通信網を介して利用者端末と通信するコンピューターシステムにより、データベースに格納された個人IDごとのゲーム情報に基づいて利用者端末上でゲームを行わせるゲームプロセスと、データベースに格納された利用者情報に基づいて利用者相互の情報交換を行わせる交流プロセスを実行可能なネットワークゲームシステムにおけるゲームアイテム交換方法であること
2.ゲーム情報は、利用者が保有するゲームアイテムのアイテム識別情報に関連付けられたアイテム保有リストを含むこと
3.アイテム識別情報は、ゲームアイテムの名称、アイテムID、機能、画像、性質、属性、種類、数量、能力、価格、利用回数、利用条件などを表す価値情報を含むこと
【0015】
4.第1プロセスとして、アイテム交換に係る情報として、交換の一方当事者となる個人ID(ア)と、個人ID(ア)のアイテム保有リストに関連付けられているアイテム識別情報(イ)が特定され、アイテム識別情報(イ)と個人ID(ア)以外の個人ID(ウ)に基づいてアイテム識別情報(イ)のゲームアイテムと何かを交換したいという交換提案メッセージ(エ)を個人ID(ウ)の利用者端末に伝達可能とすること
5.交換提案メッセージ(エ)は、アイテム識別情報(イ)の価値情報を含むこと
【0016】
6.第2プロセスとして、交換提案メッセージ(エ)への応答用に個人ID(ウ)のアイテム保有リストに関連付けられているアイテム識別情報の中から交換対象のアイテム識別情報(オ)が特定された場合、アイテム識別情報(オ)と交換してもよいという交換応諾メッセージ(カ)を個人ID(ア)の利用者端末に伝達可能とすること
7.交換応諾メッセージ(カ)は、アイテム識別情報(オ)の価値情報を含むこと
【0017】
8.第3プロセスとして、個人ID(ア)の利用者端末から交換応諾メッセージ(カ)に対する承認応答があると判定した場合、個人ID(ア)のアイテム保有リストにアイテム識別情報(オ)に対応するアイテムIDを登録するとともにアイテム識別情報(イ)に対応するアイテムIDを削除し、かつ、個人ID(ウ)のアイテム保有リストにアイテム識別情報(イ)に対応するアイテムIDを登録するとともにアイテム識別情報(オ)に対応するアイテムIDを削除すること
【0018】
===ゲームアイテム交換方法の発明の効果===
この発明によれば前述した詐取的な行為は完全に防ぐことができる。また、この発明の方法において、太郎から花子にアイテム交換を提案する場合、太郎が交換対象となる自分のゲームアイテムを提示するものの、花子に対しては「これこれのゲームアイテムと交換しよう」と強制していない。代わりに、花子に知らせる交換提案メッセージには太郎のゲームアイテムのゲーム上での「価値情報」が記述されている。花子はこれを見て「価値情報」を参考にし、自分の保有するゲームアイテムの中から交換に差し出すゲームアイテムを落ち着いて選出することができる。選出した花子のゲームアイテムを太郎に知らせる交換応諾メッセージには当該アイテムの「価値情報」が記述されている。太郎がこれを見て承認応答をした場合に、アイテム交換の取り引きが遂行される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係るゲームアイテム交換の解説図
【実施例】
【0020】
周知慣用のネットワークゲームシステムやソーシャルメディアに関するコンピューター情報処理システムの構成については当業者において熟知されているところであり、この明細書においては本発明の核心に係わる新規な技術事項を中心に説明し、周知慣用事項についての冗長な説明はしない。
【0021】
===ネットワークゲームシステムの概要===
実施例として説明するネットワークゲームシステムは、周知のように、利用者が自分のパーソナルコンピュータや携帯電話機などを用いてインターネット上のゲームサイトにアクセスし、個人IDとパスワードによる認証を受けて利用者自身のマイページ情報にアクセスし、そこからゲーム情報やブログ情報などにアクセスするサービスを提供するものである。また、ネットワークゲームシステムが管理している会員情報に基づいて、利用者は他の会員の個人IDを直接的または間接的に指定することにより他の会員のゲーム情報やブログ情報にアクセスし、会員同士の情報交換を行うことができる。
【0022】
この発明に係るアイテム交換方法を端的に説明することを目的とし、ネットワークゲームシステムのソフトウエア構成を解説的に図1に示した。図1を参照しつつ、太郎が花子にゲームアイテム交換の提案をし、その交換処理が完了するまでの過程を説明する。
【0023】
図1において、太郎端末は、会員である太郎の携帯電話機である。太郎には個人IDが割り当てられており、システムのデータベースには太郎の個人IDに対応付けされた太郎情報が記録されている。太郎情報には、会員認証情報(パスワードや携帯電話機の端末識別情報・契約者識別情報など)、氏名やメールアドレスなどの個人情報と、友人リストと、ブログ情報と、ゲーム情報が含まれている。ゲーム情報には、太郎が保有しているゲームアイテムのアイテムIDを記述したアイテム保有リストが含まれている。花子端末、花子情報についても同様である。
【0024】
ネットワークゲームシステムは会員の名簿情報や連絡先情報を記述した会員情報データベースを備えており、システムにアクセスした会員は、会員情報データベースからゲームアイテムの交換相手を選出することができる。
【0025】
また前述したように、ネットワークゲームシステムは、提供しているゲームアイテムに関する情報をデータベース化して管理している。ゲームアイテムの情報としては、アイテムの名称や値段などを記したテキスト情報や、端末画面で利用者にゲームアイテムを見せる際の可視化情報や、ゲームアイテムがゲーム進行に与える攻撃能力値や防御能力値などが含まれている。
【0026】
さらに、ネットワークゲームシステムは、この発明のゲームアイテム交換方法の情報処理を行うために取引データベースを備えている。取引データベースには、ひと組みの会員間のゲームアイテム交換取引に固有の取引番号を割り当てて、取引過程の情報を一時的に記録しておく。
【0027】
===第1プロセス===
太郎が太郎端末により太郎情報中のゲーム情報にアクセスして「アイテム管理画面」を太郎端末ディスプレイに表示させ、「アイテム管理画面」中のアイテム交換の相手選択ボタンをクリックすると、会員情報データベースから交換相手を検索するプロセスに移行する。このプロセスで太郎が交換相手として花子を選出したとする。すると、提案者が太郎、被指名者が花子である交換取引レコード(取引番号1がつく)が生成されて取引データベースに記録される。同時に太郎端末ディスプレイに太郎枠と花子枠を並べた「アイテム交換画面」が表示され、太郎枠内には「交換するアイテムを選ぶ」ボタンが表示される。
【0028】
太郎が「交換するアイテムを選ぶ」ボタンをクリックすると、太郎のゲーム情報中のアイテム保有リストに基づいて、太郎端末ディスプレイに太郎が保有しているゲームアイテムが一覧的に表示される(アイテムの図案・名称・値段・攻撃能力値・防御能力値・交換可能な個数などが表示される)。
【0029】
太郎が一覧表示されたゲームアイテムの中から1個以上のゲームアイテムを選出すると、太郎端末ディスプレイに「アイテム交換画面」が再び表示され、太郎枠内に選出したゲームアイテムのアイテム識別情報が記述されている。アイテム識別情報としては、ゲームアイテムの攻撃能力値・防御能力値の記述が含まれている。複数のゲームアイテムを交換対象として選んだ場合、各アイテムごとの攻撃能力値・防御能力値の総合値が記述される。
【0030】
つぎに太郎が「アイテム交換画面」中の「交換提案メッセージを送る」ボタンをクリックすると、ネットワークゲームシステムはレコード更新処理およびメッセージ伝達処理を行う。レコード更新処理は、取引番号1の交換取引レコードに太郎が選んだゲームアイテムのアイテムID(a)を太郎の個人IDに対応付けして記録するとともに、当該レコードの状態フラグを「提案中」とする。加えて、太郎のアイテム保有リスト中の当該アイテムID(a)に特定の印を付け、当該アイテムID(a)のゲームアイテムをシステム預かりとし、太郎が当該ゲームアイテムをゲーム中で使用できないようにする。つまり、交換対象として太郎が選出したゲームアイテムを取り引きが決着するまで使用できない状態とし、アイテム使用とアイテム交換の干渉が起きないようにしている。
【0031】
メッセージ伝達処理とは、花子が花子端末により花子のゲーム情報にアクセスし、花子端末ディスプレイに「アイテム管理画面」が表示された際、その画面中に「交換提案メッセージがあります詳細はこちら」ボタンを表示させるとともに、花子が「詳細はこちら」ボタンをクリックした際、花子端末ディスプレイに太郎枠と花子枠を並べた「アイテム交換画面」を表示させるための情報処理である。このときの花子枠には「交換してもよいアイテムを選んでください」ボタンが表示されている。また太郎枠には、太郎が交換対象として選んだアイテムID(a)のゲームアイテムに関するアイテム識別情報(アイテムの図案・名称・値段と、アイテムごとの攻撃能力値・防御能力値およびそれらの総合値の記述などを含む)が表示されている。
【0032】
===第2プロセス===
花子が花子端末ディスプレイの上記「アイテム交換画面」中の「交換してもよいアイテムを選んでください」ボタンをクリックすると、太郎について説明したのと同様に、花子のゲーム情報中のアイテム保有リストに基づいて、花子端末ディスプレイに花子が保有しているゲームアイテムが一覧的に表示される(アイテムの図案・名称・値段・攻撃能力値・防御能力値・交換可能な個数などが表示される)。
【0033】
花子が一覧表示されたゲームアイテムの中から1個以上のゲームアイテムを選出すると、花子端末ディスプレイに「アイテム交換画面」が再び表示され、花子枠内に選出したゲームアイテムのアイテム識別情報が記述されている。アイテム識別情報としては、ゲームアイテムの攻撃能力値・防御能力値の記述が含まれている。複数のゲームアイテムを交換対象として選んだ場合、各アイテムごとの攻撃能力値・防御能力値の総合値が記述される。花子は、太郎枠内のアイテム識別情報と花子枠内のアイテム識別情報とを見比べて、自分が交換対象として差し出すアイテムの価値と太郎が交換するというアイテムの価値を比較し、差し出すアイテムを取捨選択して最終決定すればよい。
【0034】
つぎに花子が「アイテム交換画面」中の「交換応諾メッセージを送る」ボタンをクリックすると、ネットワークゲームシステムはレコード更新処理およびメッセージ伝達処理を行う。レコード更新処理は、取引番号1の交換取引レコードに花子が選んだゲームアイテムのアイテムID(b)を花子の個人IDに対応付けして記録するとともに、当該レコードの状態フラグを「受け取り待ち」とする。加えて、花子のアイテム保有リスト中の当該アイテムID(b)に特定の印を付け、当該アイテムID(b)のゲームアイテムをシステム預かりとし、花子が当該ゲームアイテムをゲーム中で使用できないようにする。つまり、交換対象として花子が選出したゲームアイテムを取り引きが決着するまで使用できない状態とし、アイテム使用とアイテム交換の干渉が起きないようにしている。
【0035】
メッセージ伝達処理とは、太郎が太郎端末により太郎のゲーム情報にアクセスし、太郎端末ディスプレイに「アイテム管理画面」が表示された際、その画面中に「交換応諾メッセージが届きました詳細はこちら」ボタンを表示させるとともに、太郎が「詳細はこちら」ボタンをクリックした際、太郎端末ディスプレイに太郎枠と花子枠を並べた「アイテム交換画面」を表示させるための情報処理である。このときの太郎枠と花子枠にはそれぞれが交換対象として選出したゲームアイテムに関するアイテム識別情報(アイテムの図案・名称・値段と、アイテムごとの攻撃能力値・防御能力値およびそれらの総合値の記述を含む)が表示されている。
【0036】
===第3プロセス===
太郎が太郎端末ディスプレイに表示された上記「アイテム交換画面」を見て、花子が応諾してきたゲームアイテムと交換しようと決めた場合、画面中の「交換承認」ボタンをクリックする。するとネットワークゲームシステムは太郎と花子のゲームアイテムを交換する実質の情報処理を実行する。つまり、太郎が交換対象としたアイテムID(a)を太郎のアイテム保有リストから削除するとともに、花子のアイテム保有リストに当該アイテムID(a)を記録する。また同時に、花子が交換対象としたアイテムID(b)を花子のアイテム保有リストから削除するとともに、太郎のアイテム保有リストに当該アイテムID(b)を記録する。さらに取引番号1の交換取引レコードの状態フラグを「取引終了」とする。
【0037】
===補足事項===
上記の説明において、太郎から花子に対する取引番号1の交換提案メッセージが作成されてからの経過時間をシステムが計測しており、所定時間を経過しても取り引きが成立しなかった場合、システムは取引番号1の交換取引レコードの状態フラグを「時間満了」とし、太郎と花子のアイテム管理情報として取り引き中止としたことを記録して太郎と花子に伝達可能とし、上記「アイテム交換画面」が表示されないようにする。
【0038】
交換提案メッセージを見た花子が、あるいは、交換応諾メッセージを見た太郎が、「アイテム交換画面」中の「中止」ボタンをクリックすると、システムは上記の「時間満了」の場合と同様に当該交換取引を中止する情報処理を実行し、相手方にそのことを伝達可能とする。
【0039】
太郎は、自分の行為により花子に交換提案メッセージを伝達可能とした時点から、花子からの交換応諾メッセージが伝達されるまでの期間、上記の「アイテム交換画面」から交換対象とするアイテムを追加・交換・削除する操作を行うことができ、そうした操作を行うと、花子に対しては最新の情報が記述された「アイテム交換画面」を見てもらえるようになっている。花子は、自分の行為により太郎に交換応諾メッセージを伝達可能とした時点から、太郎が交換承認の操作をするまでの期間、上記の「アイテム交換画面」から交換対象とするアイテムを追加・交換・削除する操作を行うことができ、そうした操作を行うと、太郎に対しては最新の情報が記述された「アイテム交換画面」を見てもらえるようになっている。以上の機能により、アイテム交換の取り引きが成立する可能性が高まる。
【0040】
===ソーシャルメディアへの適用===
以上のようにネットワークゲームシステムに適用されるこの発明の方法は、以下の事項1〜9により特定されるソーシャルメディアにおけるデジタルアイテムの交換方法としても適用することができる。
【0041】
1.通信網を介して利用者端末と通信するコンピューターシステムにより、データベースに格納された個人IDごとの交流情報および利用者情報に基づいて利用者相互の情報交換の場を提供するソーシャルメディアにおけるデジタルアイテム交換方法であること
2.利用者情報は、利用者が保有するデジタルアイテムのアイテム識別情報に関連付けられたアイテム保有リストを含むこと
3.デジタルアイテムは、当該ソーシャルメディアの利用者が保有するデジタルアイテムのアイテム識別情報がアイテム保有リストに関連付けて記録されるものであり、その記録に基づいて利用者が当該ソーシャルメディアにおける情報交換場面にて利用できるものであること
4.アイテム識別情報は、当該ソーシャルメディアにおける情報交換場面におけるデジタルアイテムの名称、アイテムID、画像、性質、属性、種類、数量、能力、価格、利用回数、利用条件などの価値情報を含むこと
【0042】
5.第1プロセスとして、アイテム交換に係る情報として、交換の一方当事者となる個人ID(ア)と、個人ID(ア)のアイテム保有リストに関連付けられているアイテム識別情報(イ)が特定され、アイテム識別情報(イ)と個人ID(ア)以外の個人ID(ウ)に基づいてアイテム識別情報(イ)のデジタルアイテムと何かを交換したいという交換提案メッセージ(エ)を個人ID(ウ)の利用者端末に伝達可能とすること
6.交換提案メッセージ(エ)は、アイテム識別情報(イ)の価値情報を含むこと
【0043】
7.第2プロセスとして、交換提案メッセージ(エ)への応答用に個人ID(ウ)のアイテム保有リストに関連付けられているアイテム識別情報の中から交換対象のアイテム識別情報(オ)が特定された場合、アイテム識別情報(オ)と交換してもよいという交換応諾メッセージ(カ)を個人ID(ア)の利用者端末に伝達可能とすること
8.交換応諾メッセージ(カ)は、アイテム識別情報(オ)の価値情報を含むこと
【0044】
9.第3プロセスとして、個人ID(ア)の利用者端末から交換応諾メッセージ(カ)に対する承認応答があると判定した場合、個人ID(ア)のアイテム保有リストにアイテム識別情報(オ)に対応するアイテムIDを登録するとともにアイテム識別情報(イ)に対応するアイテムIDを削除し、かつ、個人ID(ウ)のアイテム保有リストにアイテム識別情報(イ)に対応するアイテムIDを登録するとともにアイテム識別情報(オ)に対応するアイテムIDを削除すること
【0045】
===デジタルアイテムの具体例===
たとえば、アバターアイテム(ソーシャルメディアの会員が自己のソーシャルメディア内における分身として用いるキャラクター用画像)や自分のブログページを装飾するための短編アニメーション作品をデジタルアイテムとし(複製して外部持ち出し不能とする)、そのようなデジタルアイテムをソーシャルメディアにおいて販売したり、アンケートに答えたことの謝礼として配布したりする。そうしたデジタルアイテムを前述したゲームアイテムと同様にソーシャルメディアが管理するとともに、利用者間で交換できるようにすれば、ソーシャルメディアの楽しさや話題性が増大する。美しい鳥の声の録音データ、古美術品の実写データ、著名人のサインのデータなどもソーシャルメディア内のみで使用可能で複製持ち出し不能なデジタルアイテムとすることができ、これを利用者間での交換対象とすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介して利用者端末と通信するコンピューターシステムにより、データベースに格納された個人IDごとのゲーム情報に基づいて利用者端末上でゲームを行わせるゲームプロセスと、データベースに格納された利用者情報に基づいて利用者相互の情報交換を行わせる交流プロセスを実行可能なネットワークゲームシステムにおいて、
ゲーム情報は、利用者が保有するゲームアイテムのアイテム識別情報が関連付けられたアイテム保有リストを含み、
アイテム識別情報は、ゲームアイテムの価値情報を含み、
第1プロセスとして、アイテム交換に係る情報として、交換の一方当事者となる個人ID(ア)と、個人ID(ア)のアイテム保有リストに関連付けられているアイテム識別情報(イ)が特定され、アイテム識別情報(イ)と個人ID(ア)以外の個人ID(ウ)に基づいてアイテム識別情報(イ)のゲームアイテムと何かを交換したいという交換提案メッセージ(エ)を個人ID(ウ)の利用者端末に伝達可能とし、
交換提案メッセージ(エ)は、アイテム識別情報(イ)の価値情報を含み、
第2プロセスとして、交換提案メッセージ(エ)への応答用に個人ID(ウ)のアイテム保有リストに関連付けられているアイテム識別情報の中から交換対象のアイテム識別情報(オ)が特定された場合、アイテム識別情報(オ)と交換してもよいという交換応諾メッセージ(カ)を個人ID(ア)の利用者端末に伝達可能とし、
交換応諾メッセージ(カ)は、アイテム識別情報(オ)の価値情報を含み、
第3プロセスとして、個人ID(ア)の利用者端末から交換応諾メッセージ(カ)に対する承認応答があると判定した場合、個人ID(ア)のアイテム保有リストにアイテム識別情報(オ)に対応するアイテムIDを登録するとともにアイテム識別情報(イ)に対応するアイテムIDを削除し、かつ、個人ID(ウ)のアイテム保有リストにアイテム識別情報(イ)に対応するアイテムIDを登録するとともにアイテム識別情報(オ)に対応するアイテムIDを削除する
ゲームアイテム交換方法。
【請求項2】
第1プロセスにおいて、さらに、アイテム識別情報(イ)のゲームアイテムを第3プロセスによる交換成立まで使用不能とし、
第2プロセスにおいて、さらに、アイテム識別情報(オ)のゲームアイテムを第3プロセスによる交換成立まで使用不能とする
請求項1に記載のゲームアイテム交換方法。
【請求項3】
交換提案メッセージ(エ)を個人ID(ウ)の利用者端末に伝達可能としてから、交換応諾メッセージ(カ)を個人ID(ア)の利用者端末に伝達可能とするまでの期間において、個人ID(ウ)に対する交換対象として追加または削除するアイテム識別情報が特定された場合、その追加・削除情報を個人ID(ウ)の利用者端末に伝達可能とする
請求項1または2に記載のゲームアイテム交換方法。
【請求項4】
交換応諾メッセージ(カ)を個人ID(ア)の利用者端末に伝達可能としてから、個人ID(ア)の利用者端末から交換応諾メッセージ(カ)に対する承認応答があると判定するまでの期間において、個人ID(ア)に対する交換対象として追加または削除するアイテム識別情報が特定された場合、その追加・削除情報を個人ID(ア)の利用者端末に伝達可能とする
請求項3に記載のゲームアイテム交換方法。
【請求項5】
交換提案メッセージまたは交換応諾メッセージに複数のアイテム識別情報が記述されている場合、それらアイテム識別情報の価値情報の総合値を伝達する
請求項1〜4のいずれかに記載のゲームアイテム交換方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のゲームアイテム交換方法をコンピューターシステムにより実行するネットワークゲームシステム。
【請求項7】
通信網を介して利用者端末と通信するコンピューターシステムにより、データベースに格納された個人IDごとの交流情報および利用者情報に基づいて利用者相互の情報交換の場を提供するソーシャルメディアにおいて、
利用者情報は、利用者が保有するデジタルアイテムのアイテム識別情報が関連付けられたアイテム保有リストを含み、
デジタルアイテムは、当該ソーシャルメディアの利用者が保有するデジタルアイテムのアイテム識別情報がアイテム保有リストに関連付けられるものであり、その記録に基づいて利用者が当該ソーシャルメディアにおける情報交換場面にて利用できるものであり、
アイテム識別情報は、当該ソーシャルメディアにおける情報交換場面における価値情報を含み、
第1プロセスとして、アイテム交換に係る情報として、交換の一方当事者となる個人ID(ア)と、個人ID(ア)のアイテム保有リストに関連付けられているアイテム識別情報(イ)が特定され、アイテム識別情報(イ)と個人ID(ア)以外の個人ID(ウ)に基づいてアイテム識別情報(イ)のデジタルアイテムと何かを交換したいという交換提案メッセージ(エ)を個人ID(ウ)の利用者端末に伝達可能とし、
交換提案メッセージ(エ)は、アイテム識別情報(イ)の価値情報を含み、
第2プロセスとして、交換提案メッセージ(エ)への応答用に個人ID(ウ)のアイテム保有リストに関連付けられているアイテム識別情報の中から交換対象のアイテム識別情報(オ)が特定された場合、アイテム識別情報(オ)と交換してもよいという交換応諾メッセージ(カ)を個人ID(ア)の利用者端末に伝達可能とし、
交換応諾メッセージ(カ)は、アイテム識別情報(オ)の価値情報を含み、
第3プロセスとして、個人ID(ア)の利用者端末から交換応諾メッセージ(カ)に対する承認応答があると判定した場合、個人ID(ア)のアイテム保有リストにアイテム識別情報(オ)に対応するアイテムIDを登録するとともにアイテム識別情報(イ)に対応するアイテムIDを削除し、かつ、個人ID(ウ)のアイテム保有リストにアイテム識別情報(イ)に対応するアイテムIDを登録するとともにアイテム識別情報(オ)に対応するアイテムIDを削除する
デジタルアイテム交換方法。
【請求項8】
請求項1に記載のデジタルアイテム交換方法をコンピューターシステムにより実行するソーシャルメディア。

【図1】
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【公開番号】特開2012−170509(P2012−170509A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32508(P2011−32508)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により明細書の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(599115217)株式会社 ディー・エヌ・エー (9)
【Fターム(参考)】