説明

ネットワークシステム、及び消費電力制御方法

【課題】ネットワークシステムの管理者が受信信号断警報の原因を判定しなくてもよく、保守作業が簡単なネットワークシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】ユーザ端末を収容する宅内装置と、宅内装置にアクセス網を介して接続される局装置とを備えるネットワークシステムにおいて、宅内装置は、ユーザ端末との物理リンクが切断されたか否かを判定する物理リンク切断判定部と、物理リンク切断部によってユーザ端末との物理リンクが切断されたと判定された場合、他方の宅内装置に対して、低消費電力モードに遷移させる低消費電力モード制御信号を送信して、自身を低消費電力モードに遷移させる低消費電力モード処理部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力を制御可能な宅内装置を備えるネットワークシステムに関し、特に、一対一で接続される宅内装置を備えるネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロードバンド・サービスであるFTTH(Fiber To The Home)向けのアクセス網は、ATM技術に基づいて構築されてきたが、近年では、FTTH向けのアクセス網も、イーサネット(登録商標、以下同じ)の技術が使用されるようになってきている。LAN(Local Area Network)向けに広く普及しているイーサネットの技術をアクセス網に使用することによって、より高速なサービスをより安価に提供できる。
【0003】
ネットワークシステムにおいては、安定したサービスを提供するために、ユーザ端末に接続される宅内装置と中継網を介して接続される対向側の宅内装置との間(エンド・エンド区間)における運用、保守、及び管理(OAM:Operation Administration and Management)が要求される。当該区間の運用、保守、及び管理は、局装置が宅内装置を遠隔で保守、及び監視することによって実現される。
【0004】
一方、通信速度の向上に伴って、ネットワーク上の機器の消費電力は増大する傾向にある。宅内装置は加入者宅に設置されるが、近年、加入者宅における電子機器類の消費電力を低減させるニーズが高まっており、宅内装置の消費電力を低減することが望まれている。
【0005】
PON(Passive Optical Network)技術を使用した光アクセスネットワークにおける宅内装置の消費電力の低減に関する技術として、宅内装置と宅内装置に接続されているOLT(Optical Line Termination)又はTE(Terminal Equipment)との接続状態、及び宅内装置とOLTとの論理リンク状態に基づいて、宅内装置の消費電力を機能ブロック単位で制御することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−113193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術では、宅内装置とOLT又はTEとの接続状態が非接続になった場合、及び宅内装置とOLTとの論理リンク状態が確立されていない場合、宅内装置は自身を低消費電力モードに制御するが、一方の宅内装置が他方の宅内装置を低消費電力モードに制御するものではない。
【0008】
ここで、エンド・エンド区間(宅内装置から対向側の宅内装置までの区間)が一対一で接続されたネットワークシステムにおいて、一方の宅内装置がエンド・エンド区間で正常にデータ通信できない状態であれば、対向側の宅内装置もデータ通信できない状態である。
【0009】
このため、一方の宅内装置がデータ通信できない状態であるにもかかわらず、対向側の宅内装置が通常モードで動作していれば、当該対向側の宅内装置は、無駄な電力を消費してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、一方の宅内装置がデータ通信できない状態であれば、両方の宅内装置を通常モードよりも消費電力が低い低消費電力モードに制御するネットワークシステムを提供することを第1の目的とする。
【0011】
次に、本発明の第2の目的について説明する。
【0012】
宅内装置は、局装置に所定周期で監視フレームを送信し、局装置は所定時間監視フレームを受信しない場合、受信信号断警報を検出する。この受信信号断警報は、例えば、宅内装置と局装置との間の伝送路を構成する光ファイバが断線した場合等の伝送路障害の発生時に検出される。このため、受信信号断警報が検出された場合には、受信信号断警報の発生要因が装置間の伝送路障害である可能性が高いため、重大な障害であるため直ちに復旧対策が必要となる。
【0013】
宅内装置が低消費電力モードに遷移した場合にフレーム送信部が無効化されるので、フレーム送信部からフレームが送信されなくなる。このため、宅内装置は所定周期で監視フレームを送信できない。したがって、局装置は、監視フレームを受信しないので、伝送路障害が発生していないのにもかかわらず、受信信号断警報を検出してしまう。
【0014】
ネットワークシステムの管理者は、受信信号断警報が検出された場合、当該受信信号断警報は伝送路障害に起因するのか、宅内装置が低消費電力モードに制御されたことに起因するのかを判定しなければならず、ネットワークシステムの保守が煩雑となってしまう。
【0015】
このため、本発明は、ネットワークシステムの管理者が受信信号断警報の原因を判定しなくてもよく、保守作業が簡単なネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の代表的な一例を示せば、ユーザ端末を収容する宅内装置と、前記宅内装置にアクセス網を介して接続される局装置とを備えるネットワークシステムにおいて、前記宅内装置は第1宅内装置及び第2宅内装置を含み、前記局装置は第1局装置及び第2局装置を含み、前記第1宅内装置及び前記第1局装置は第1アクセス網を介して接続され、前記第2宅内装置及び前記第2局装置は第2アクセス網を介して接続され、前記第1局装置及び前記第2局装置は中継網を介して接続され、前記第1宅内装置と前記第2宅内装置とが前記第1アクセス網、前記中継網、及び前記第2アクセス網を介して一対一で接続され、前記宅内装置は、前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたか否かを判定する物理リンク切断判定部と、前記物理リンク切断部によって前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたと判定された場合、自身を通常モードよりも消費電力が低い低消費電力モードに遷移させ、前記中継網を介して一対一で接続される対向する宅内装置に対して、前記低消費電力モードに遷移させる低消費電力モード制御信号を送信する低消費電力モード処理部と、を備え、前記低消費電力モード処理部は、前記他方の宅内装置から前記低消費電力モード制御信号を受信した場合にも、自身を前記低消費電力モードに遷移させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ネットワークシステムの管理者が受信信号断警報の原因を判定しなくてもよく、保守作業が簡単なネットワークシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態のネットワークシステムの説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の宅内装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の局装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の宅内装置が低消費電力モードへ遷移する場合のシーケンス図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の宅内装置が低消費電力モードから通常モードへ遷移する場合のシーケンス図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のネットワークシステムで通信されるCCフレーム、低消費電力モード通知フレーム、及び低消費電力制御フレームのフォーマット構成の説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の低消費電力モード制御フレーム及び低消費電力モード通知フレームが宛先の機器へ到達するまでの説明図である。
【図8A】本発明の第2の実施形態のネットワークシステムの説明図である。
【図8B】本発明の第2の実施形態の宅内装置及び局装置が保持するVLANテーブルの説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態のネットワークシステムで送受信されるフレームの説明図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の宅内装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の低消費電力モード判定処理部によって実行される低消費電力モード制御処理のフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態の低消費電力モード判定処理部によって実行される低消費電力モード解除処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態の宅内装置100が保持するVLANテーブルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図7を用いて説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態のネットワークシステムの説明図である。
【0021】
本ネットワークシステムは、ユーザ端末104A及び104B(以下、総称してユーザ端末104という)、宅内装置100A及び100B(以下、総称して宅内装置100という)、局装置101A及び101B(以下、総称して局装置101という)を備える。
【0022】
宅内装置100は、ユーザ端末104を収容する。宅内装置100A及び局装置101Aはアクセス網102Aを介して接続され、宅内装置100B及び局装置101Bはアクセス網102Bを介して接続される。なお、アクセス網102A及び102Bを総称してアクセス網102という。また、局装置101A及び101Bは中継網103を介して接続される。
【0023】
宅内装置100Aは、宅内装置100Bに対して中継網103を介して一対一で接続される。換言すれば、宅内装置100A及び宅内装置100Bは中継網103を介して対向設置される。
【0024】
宅内装置100及び局装置101は、ITU−T勧告Y.1731に規定されるイーサOAM機能を備える。局装置101は、イーサOAMフレームを用いて、宅内装置100が制御可能な状態にあるかを監視する。
【0025】
イーサOAMフレームを終端するノードはMEP(MEG End Point)と定義され、イーサOAMフレームを中継するノードはMIP(MEG Intermediate Point)と定義される。図7で詳細を説明するが、各MEPにはMEG(Maintenance Entity Group)レベルが設定され、同じMEGレベルとなるMEP区間が監視区間となる。MEGレベルの設定によって、監視区間をアクセス網102、中継網103、及びエンド・エンド区間等任意に設定できる。
【0026】
ネットワークシステムのユーザ端末104を含まない場合のエンド点(宅内装置100)間の品質確認には、ITU−T勧告Y.1731に規定されるETH−CC(Ethernet Continuity Check)(Ethernetは登録商標)機能が使用される。具体的には、宅内装置100と局装置101とのセグメント区間、及び宅内装置100と対向する宅内装置100とのエンド・エンド間で、CCフレームを周期的かつ連続的に送受することによって、通信経路の正常性が監視される。
【0027】
宅内装置100及び局装置101は、他の装置に対して所定時間間隔でCCフレームを送信し、他の装置からCCフレームを受信することによって通信経路の正常性を確認する。
【0028】
宅内装置100及び局装置101は、他の装置からCCフレームを所定時間連続で受信しなかった場合、通信警報としてLOC(Loss Of Continuity)警報を検出する。ITU−T勧告Y.1731では、宅内装置100及び局装置101がCCフレームを3.5周期連続で受信しなければ、LOC警報を検出することが規定されている。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施形態の宅内装置100の構成を示すブロック図である。
【0030】
宅内装置100は、アクセス網インタフェース部200、上りフレーム処理部204、低消費電力モード判定処理部205、下りフレーム処理部206、ユーザ端末インタフェース部208、及び表示部211を備える。
【0031】
アクセス網インタフェース部200は、宅内装置100とアクセス網102との間でフレームを送受信するためのインタフェースであり、宅内装置100とアクセス網102との物理リンク状態を監視する。
【0032】
アクセス網インタフェース部200は、アクセス網102にフレームを送信する送信部201、及びアクセス網102からフレームを受信する受信部202を備える。
【0033】
また、アクセス網インタフェース部200が送受信するフレームは、ユーザ端末104から送信されたユーザフレーム又はイーサOAMフレームである。
【0034】
ユーザ端末インタフェース部208は、ユーザ端末104との間でフレームを送受信するためのインタフェースであり、宅内装置100とユーザ端末104との物理リンク状態を監視する。
【0035】
ユーザ端末インタフェース部208は、ユーザ端末104にフレームを送信する送信部210、及びユーザ端末104からフレームを受信する受信部209を備える。
【0036】
上りフレーム処理部204は、ユーザ端末インタフェース部208から入力されたフレームをアクセス網インタフェース部200に出力するか否かを決定する。
【0037】
具体的には、上りフレーム処理部204は、ユーザ端末インタフェース部208から入力されたフレームがユーザフレームであるか、イーサOAMフレームであるかを判定する。
【0038】
ユーザ端末インタフェース部208から入力されたフレームがユーザフレームである場合、ユーザフレームは対向する宅内装置100を宛先とするので、上りフレーム処理部204は、当該ユーザフレームをアクセス網インタフェース部200の送信部201へ出力する。
【0039】
一方、ユーザ端末インタフェース部208から入力されたフレームがイーサOAMフレームである場合、上りフレーム処理部204は、イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルに基づいて、当該イーサOAMフレームを終端させるか、アクセス網インタフェース部200に出力するかを決定するイーサOAM処理を実行する。
【0040】
イーサOAM処理について、詳細に説明する。
【0041】
イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが宅内装置100に設定されたMEGレベルよりも大きい場合、上りフレーム処理部204は、当該イーサOAMフレームをアクセス網インタフェース部200の送信部201へ出力する。
【0042】
一方、イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが宅内装置100に設定されたMEGレベルと一致する場合、上りフレーム処理部204は、当該イーサOAMフレームを終端させる。イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが宅内装置100に設定されたMEGレベル未満である場合、上りフレーム処理部204は、当該イーサOAMフレームを破棄する。
【0043】
下りフレーム処理部206は、アクセス網インタフェース部200から入力されたフレームをユーザ端末インタフェース部208に出力するか低消費電力モード判定処理部205に出力するかを決定する。
【0044】
アクセス網インタフェース部200から入力されたフレームがユーザフレームである場合、ユーザフレームは対向するユーザ端末104を宛先とするので、下りフレーム処理部206は、当該ユーザフレームをユーザ端末インタフェース部208の送信部210へ出力する。
【0045】
一方、アクセス網インタフェース部200から入力されたフレームがイーサOAMフレームである場合、下りフレーム処理部206は、当該イーサOAMフレームを解析し、当該イーサOAMフレームが図4で説明する低消費電力モード通知フレーム又は低消費電力モード制御フレームであるか否かを判定する。
【0046】
イーサOAMフレームが低消費電力モード通知フレーム又は低消費電力モード制御フレームである場合、下りフレーム処理部206は、当該イーサOAMフレームを低消費電力モード判定処理部205に出力する。
【0047】
イーサOAMフレームが低消費電力モード通知フレーム又は低消費電力モード制御フレームでない場合、イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルに基づいて、当該イーサOAMフレームを終端させるか、ユーザ端末インタフェース部208に出力するかを決定するイーサOAM処理を実行する。
【0048】
具体的には、イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが宅内装置100に設定されたMEGレベルよりも大きい場合、下りフレーム処理部206は、当該イーサOAMフレームをユーザ端末インタフェース部208の送信部210へ出力する。
【0049】
一方、イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが宅内装置100に設定されたMEGレベルと一致する場合、下りフレーム処理部206は、当該イーサOAMフレームを終端させる。イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが宅内装置100に設定されたMEGレベル未満である場合、下りフレーム処理部206は、当該イーサOAMフレームを破棄する。
【0050】
低消費電力モード判定処理部205は、ユーザ端末インタフェース部208によるユーザ端末104との物理リンク状態の監視結果、及び、下りフレーム処理部206から入力された低消費電力モード制御フレームに基づいて、宅内装置100の消費電力モードを制御する。
【0051】
宅内装置100の消費電力モードには、通常モードと低消費電力モードとがあり、低消費電力モードの場合の宅内装置100の消費電力は通常モードの場合の宅内装置100の消費電力よりも低くなる。
【0052】
低消費電力モード判定処理部205は、ユーザ端末インタフェース部208によるユーザ端末104との物理リンク状態の監視結果が物理リンクの切断を示す場合、又は、低消費電力モードに遷移させる低消費電力モード制御フレームを受信した場合、上りフレーム処理部204、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及びユーザ端末インタフェース部208の送信部210を停止(無効化)する。
【0053】
具体的には、宅内装置100は、低消費電力モード時に停止される上りフレーム処理部204、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及びユーザ端末インタフェース部208の送信部210に接続される図示しないイネーブル回路を備える。イネーブル回路は、低消費電力モード時に上りフレーム処理部204、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及びユーザ端末インタフェース部208の送信部210にディゼーブル信号を出力することによって、これらを停止する。
【0054】
なお、イネーブル回路によらずとも、低消費電力モード時に、上りフレーム処理部204、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及びユーザ端末インタフェース部208の送信部210に電力を供給しないようにしてもよい。
【0055】
低消費電力モード判定処理部205は、ユーザ端末インタフェース部208によるユーザ端末104との物理リンク状態の監視結果が物理リンクの回復を示す場合、又は、通常モードに遷移させる低消費電力モード制御フレームを受信した場合、停止していた上りフレーム処理部204、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及びユーザ端末インタフェース部208の送信部210を再稼働させ、通常モードに遷移させる。
【0056】
低消費電力モードであっても、アクセス網インタフェース部200の受信部202、下りフレーム処理部206、及びユーザ端末インタフェース部208の受信部209を停止させない理由について説明する。
【0057】
ユーザ端末インタフェース部208の受信部209を停止させない理由は、ユーザ端末104との物理リンク状態を低消費電力モード中にも監視させるためである。また、アクセス網インタフェース部200の受信部202、及び下りフレーム処理部206を停止させない理由は、通常モードに遷移させる低消費電力モード制御フレームを低消費電力モード中にも受信可能とするためである。すなわち、本実施形態では、低消費電力モード中であっても、低消費電力モードから通常モードへ遷移する条件を判定するに必要な機能ブロックは機能を停止させない。
【0058】
低消費電力モード判定処理部205は、宅内装置100が低消費電力モードに遷移する場合、低消費電力モードに遷移する前に、局装置101に宅内装置100が低消費電力モードに遷移することを通知する低消費電力モード通知フレーム、及び、対向する宅内装置100を低消費電力モードに遷移させる低消費電力モード制御フレームをアクセス網102に送信する。
【0059】
具体的には、低消費電力モード判定処理部205は、低消費電力モード通知フレーム及び低消費電力モード制御フレームを上りフレーム処理部204に出力する。
【0060】
上りフレーム処理部204は、低消費電力モード通知フレーム及び低消費電力モード制御フレームが入力された場合、入力された低消費電力モード通知フレーム及び低消費電力モード制御フレームをユーザ端末インタフェース部208から入力されたユーザフレームと多重化して、アクセス網インタフェース部200の送信部201を介して送信する。
【0061】
なお、低消費電力モード通知フレームは局装置101に送信され、低消費電力モード制御フレームは対向する宅内装置100に送信される。
【0062】
なお、低消費電力モード中に機能を停止するアクセス網インタフェース部200の送信部201、及びユーザ端末インタフェース部208の送信部210は、例えば、IEEE802.3で規定される1000BASE−SX等の光インタフェースに備わり、電気と光とを変換する光送信部に相当する。
【0063】
また、表示部211は、宅内装置100がどのモードで稼働しているかをユーザに報知するものであり、例えば、LED等である。表示部211は、低消費電力モード実行中は通常モード実行中の色(例えば緑色)と異なる色(例えば橙色)で点灯するように低消費電力モード判定処理部205によって制御される。
【0064】
図3は、本発明の第1の実施形態の局装置101の構成を示すブロック図である。
【0065】
局装置101は、アクセス網インタフェース部308、上りフレーム処理部304、中継網インタフェース部300、下りフレーム処理部306、及び低消費電力モード判定処理部305を備える。
【0066】
中継網インタフェース部300は、中継網103との間でフレームを送受信するためのインタフェースである。なお、中継網インタフェース部300が中継網103との間で送受信するフレームは、ユーザフレーム又はイーサOAMフレームである。
【0067】
アクセス網インタフェース部308は、アクセス網102との間でフレームを送受信するためのインタフェースである。なお、アクセス網インタフェース部308がアクセス網102との間で送受信するフレームは、ユーザフレーム又はイーサOAMフレームである。
【0068】
上りフレーム処理部304は、アクセス網インタフェース部308から入力されたフレームを中継網インタフェース部300に出力するか、低消費電力モード判定処理部305に出力するかを決定する。
【0069】
具体的には、上りフレーム処理部304は、アクセス網インタフェース部308から入力されたフレームがイーサOAMフレームであるか、ユーザフレームであるかを判定する。
【0070】
アクセス網インタフェース部308から入力されたフレームがユーザフレームである場合、上りフレーム処理部304は、当該フレームを中継網インタフェース部300へ出力する。
【0071】
一方、アクセス網インタフェース部308から入力されたフレームがイーサOAMフレームである場合、上りフレーム処理部304は、当該フレームのペイロードを解析して、当該フレームが低消費電力モード通知フレームであるか否かを判定する。
【0072】
アクセス網インタフェース部308から入力されたフレームが低消費電力モード通知フレームであると判定された場合、上りフレーム処理部304は、当該フレームを低消費電力モード判定処理部305に出力する。
【0073】
一方、アクセス網インタフェース部308から入力されたフレームが低消費電力モード通知フレームでないと判定された場合、上りフレーム処理部304は、イーサOAM処理を実行する。
【0074】
具体的には、イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが局装置101に設定されたMEGレベルよりも大きい場合、上りフレーム処理部304は、当該イーサOAMフレームを中継網インタフェース部300へ出力する。
【0075】
一方、イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが局装置101に設定されたMEGレベルと一致する場合、上りフレーム処理部304は、当該イーサOAMフレームを終端させる。イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが局装置101に設定されたMEGレベル未満である場合、上りフレーム処理部304は、当該イーサOAMフレームを破棄する。
【0076】
下りフレーム処理部306は、中継網インタフェース部300から入力されたフレームをアクセス網インタフェース部308に出力するか否かを決定する。
【0077】
具体的には、下りフレーム処理部306は、中継網インタフェース部300から入力されたフレームがユーザフレームであるか、イーサOAMフレームであるかを判定する。
【0078】
中継網インタフェース部300から入力されたフレームがユーザフレームであると判定された場合、下りフレーム処理部306は、当該フレームをアクセス網インタフェース部308に出力する。
【0079】
一方、中継網インタフェース部300から入力されたフレームがイーサOAMフレームであると判定された場合、下りフレーム処理部306は、イーサOAM処理を実行する。
【0080】
具体的には、イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが局装置101に設定されたMEGレベルよりも大きい場合、下りフレーム処理部306は、当該イーサOAMフレームをアクセス網インタフェース部308へ出力する。
【0081】
一方、イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが局装置101に設定されたMEGレベルと一致する場合、下りフレーム処理部306は、当該イーサOAMフレームを終端させる。イーサOAMフレームに含まれるMEGレベルが局装置101に設定されたMEGレベル未満である場合、下りフレーム処理部306は、当該イーサOAMフレームを破棄する。
【0082】
低消費電力モード判定処理部305は、上りフレーム処理部304から低消費電力モード通知フレームが入力された場合、宅内装置100からCCフレームを受信しなくても、LOC警報の検出を抑制(停止)する。
【0083】
LOC警報は、通常、局装置101がCCフレームを所定時間以上受信しない場合に局装置101によって検出され、局装置101は、当該LOC警報を図示しないネットワーク管理装置に送信する。ここで、LOC警報の検出の抑制とは、局装置101がCCフレームを所定時間以上受信しなくても、低消費電力モード判定処理部305が通信経路の異常を報知するLOC警報を検出しないように設定することである。
【0084】
図4は、本発明の第1の実施形態の宅内装置100A及び100Bが低消費電力モードへ遷移する場合のシーケンス図である。
【0085】
宅内装置100Aは、低消費電力モードよりも消費電力が高い通常モード時、CCフレームを局装置101Aへ周期的かつ連続的に送信する(410A)。そして、局装置101Aは宅内装置100AからCCフレームを受信することによって(411A)、局装置101Aと宅内装置100Aとの間の通信経路の正常性が確認される。
【0086】
また、宅内装置100Bも、宅内装置100Aと同じく、CCフレームを局装置101Bへ周期的かつ連続的に送信する(410B)。そして、局装置101Bは宅内装置100BからCCフレームを受信することによって(411B)、局装置101Bと宅内装置100Bとの間の通信経路の正常性が確認される。
【0087】
また、図示しないが、宅内装置100Aと宅内装置100Bとの間のエンド・エンド間の通信経路の正常性を確認する。
【0088】
具体的には、宅内装置100AがCCフレームを宅内装置100Bへ周期的かつ連続的に送信し、宅内装置100Bが宅内装置100AからのCCフレームを受信すること、及び、宅内装置100BがCCフレームを宅内装置100Aへ周期的かつ連続的に送信し、宅内装置100Aが宅内装置100BからのCCフレームを受信することによって、宅内装置100Aと宅内装置100Bとの間のエンド・エンド間の通信経路の正常性が確認される。
【0089】
宅内装置100Aは、自身とユーザ端末104Aとの物理リンクが切断されたことを検出すると(400)、自身が低消費電力モードへ遷移することを示す低消費電力モード通知フレームを局装置101Aへ送信し(414)、宅内装置100Bを低消費電力モードへ遷移させる指令を示す低消費電力モード制御フレームを宅内装置100Bに送信する(416)。
【0090】
宅内装置100Aとユーザ端末104Aとの物理リンクが切断されたことは、ユーザ端末インタフェース部208の受信部209が検出する。
【0091】
また、低消費電力モードへ遷移するとは、図2で説明したように、低消費電力モード判定処理部205が宅内装置100Aのユーザ端末インタフェース部208の送信部210、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及び上りフレーム処理部204を無効化することである。低消費電力モードではアクセス網インタフェース部200の送信部201が無効化されるので、宅内装置100Aは、低消費電力モードに遷移すると(401)、CCフレームの送信を停止する(420)。
【0092】
局装置101Aは、宅内装置100Aによって送信された低消費電力モード通知フレームを受信した場合(415)、宅内装置100Aが低消費電力モードに遷移することを認識し、宅内装置100Aと局装置101Aとの間のセグメント区間のLOC警報の検出を抑制する(422)。
【0093】
宅内装置100Bは、ステップ416の処理で宅内装置100Aによって送信された低消費電力モード制御フレームを受信した場合(417)、宅内装置100Aと宅内装置100Bとの間のエンド・エンド区間のLOC警報の検出を抑制し(424)、局装置101Bに低消費電力モード通知フレームを送信する(419)。
【0094】
局装置101Bは、ステップ419の処理で宅内装置100Bによって送信された低消費電力モード通知フレームを受信した場合(418)、宅内装置100Bが低消費電力状態に遷移することを認識し、宅内装置100Bと局装置101Bとの間のLOC警報の検出を抑制する(425)。
【0095】
次に、宅内装置100Bは、宅内装置100Aへ低消費電力モード通知フレームを送信し(426)、低消費電力モードへ遷移すると(406)、アクセス網インタフェース部200の送信部201が無効化されるので、CCフレームの送信を停止する(421)。
【0096】
宅内装置100Aは、宅内装置100Bがステップ426の処理で送信した低消費電力モード通知フレームを受信した場合(427)、宅内装置100Aと宅内装置100Bとの間のエンド・エンド区間のLOC警報の検出を抑制する(423)。
【0097】
なお、図4では、宅内装置100Aは、ステップ414の処理で低消費電力モード通知フレームを局装置101Aに送信してから、ステップ416の処理で低消費電力モード制御フレームを送信しているが、これらのフレームの送信処理はステップ401の処理で低消費電力モードへ遷移する前に実行されていればよく、これらの処理の順番はどちらを先に実行してもよい。
【0098】
また、宅内装置100が一つの低消費電力モード制御フレーム及び低消費電力モード通知フレームを送信する場合に、当該フレームを少なくとも2フレーム以上連続的に送信するようにすると、送信先の機器が当該フレームを確実に受信する可能性を高めることができる。フレームが送信元から送信先まで到達するまでに、局装置101やアクセス網102、中継網103等によって誤って破棄される場合があるからである。
【0099】
なお、宅内装置100が低消費電力モード制御フレーム及び低消費電力モード通知フレームを2フレーム以上送信する場合、低消費電力モード制御フレーム及び低消費電力モード通知フレームの送信周期をCCフレームの送信周期と同じく設定してもよい。
【0100】
図5は、本発明の第1の実施形態の宅内装置100A及び100Bが低消費電力モードから通常モードへ遷移する場合のシーケンス図である。
【0101】
宅内装置100Aがユーザ端末104Aとの物理リンク回復を検出した場合に、自身の低消費電力モードを解除して通常モードへ遷移し、宅内装置100Bも低消費電力モードから通常モードへ遷移させる。
【0102】
宅内装置100Aは、自身とユーザ端末104Aとの物理リンクが回復されたことを検出すると(500)、低消費電力モードを解除し、通常モードに遷移する(501)。
【0103】
宅内装置100Aとユーザ端末104Aとの物理リンクの回復は、低消費電力モードでも無効化されないユーザ端末インタフェース部208の受信部209によって検出される。
【0104】
また、低消費電力モードを解除するとは、低消費電力モード判定処理部205が、低消費電力モード中に無効化されていたユーザ端末インタフェース部208の送信部210、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及び上りフレーム処理部204を有効にすることである。具体的には、低消費電力モード判定処理部205は、図示しないイネーブル回路に低消費電力モード時に上りフレーム処理部204、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及びユーザ端末インタフェース部208の送信部210にイネーブル信号を出力するように指示する。
【0105】
なお、上りフレーム処理部204、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及びユーザ端末インタフェース部208の送信部210への電源の供給を停止して、これらを無効化した場合には、電源の供給を開始する。
【0106】
次に、宅内装置100Aは、局装置101A及び宅内装置100BへのCCフレームの送信を開始する(503)。そして、宅内装置100Aは、ステップ501の処理で低消費電力モードを解除したことを局装置101Aに通知するため、局装置101Aへ低消費電力モード通知フレームを局装置101Aに送信する(505)。なお、低消費電力モードを解除したことを通知するための低消費電力モード通知フレームと、低消費電力モードに遷移したことを通知するための低消費電力モード通知フレームとは、区別可能なフレームである。これらの低消費電力モード通知フレームのデータ構成については、図6で詳細を説明する。
【0107】
次に、宅内装置100Aは、宅内装置100Bに対して低消費電力モードを解除させるため、低消費電力モード制御フレームを宅内装置100Bに送信する(508)。なお、低消費電力モードへの遷移を指示する低消費電力モード制御フレームと、低消費電力モードの解除を指示する低消費電力モード制御フレームとは、区別可能なフレームである。これらの低消費電力モード制御フレームのデータ構成については、図6で詳細を説明する。
【0108】
局装置101Aは、ステップ503の処理で宅内装置100Aによって送信されたCCフレームを受信する(504)。また、局装置101Aは、低消費電力モード通知フレームを受信した場合(506)、宅内装置100Aと局装置101Aとの間のセグメント区間のLOC警報の検出抑制を解除する(507)。
【0109】
宅内装置100Bは、ステップ508の処理で宅内装置100Aによって送信された低消費電力モード制御フレームを受信した場合(509)、宅内装置100Aと宅内装置100Bとの間のエンド・エンド区間のLOC警報の検出抑制を解除する(510)。
【0110】
そして、宅内装置100Bは、低消費電力モードを解除し、通常モードに遷移してから(502)、局装置101BへのCCフレームの送信を開始する(511)。
【0111】
次に、宅内装置100Bは、ステップ502の処理で低消費電力モードを解除したことを局装置101Bに通知するため、低消費電力モード通知フレームを局装置101Bに送信する(513)。また、宅内装置100Bは、宅内装置100Aと宅内装置100Bとの間のエンド・エンド区間のLOC警報の検出抑制を宅内装置100Aに解除させるため、低消費電力モード通知フレームを宅内装置100Aに送信する(516)。
【0112】
局装置101Bは、ステップ511の処理で宅内装置100Bによって送信されたCCフレームを受信する(512)。また、局装置101Bは、低消費電力モード通知フレームを受信した場合(514)、宅内装置100Bが低消費電力モードを解除し、通常モードに遷移したことを認識し、宅内装置100Bと局装置101Bとのセグメント区間のLOC警報の検出抑制を解除する(515)。
【0113】
宅内装置100Aは、ステップ516の処理で宅内装置100Bによって送信された低消費電力モード通知フレームを受信した場合(517)、宅内装置100Aと宅内装置100Bとの間のエンド・エンド区間のLOC警報の検出抑制を解除する(518)。
【0114】
なお、宅内装置100Aが、ステップ507の処理で局装置101AのLOC警報の検出抑制が解除された後に(低消費電力モード通知フレームを送信した後に)、CCフレームの送信を開始すると、局装置101AがCCフレームを受信する前に所定時間が経過してしまい、局装置101AがLOC警報を検出する可能性がある。このため、本実施形態では、図5に示すように、宅内装置100Aは、ステップ505の処理で低消費電力モード通知フレーム及びステップ508の処理で低消費電力モード制御フレームを送信する前に、ステップ503の処理でCCフレームの送信を開始している。
【0115】
なお、宅内装置100Bについても、ステップ513及び516の処理で低消費電力モード通知フレームを送信する前に、ステップ511の処理でCCフレームの送信を開始している。
【0116】
また、図5では、宅内装置100及び局装置101は、低消費電力モード通知フレーム又は低消費電力モード制御フレームを受信した場合にLOC警報の検出抑制を解除するが、CCフレームを受信した場合にLOC警報の検出抑制を解除してもよい。
【0117】
図6は、本発明の第1の実施形態のネットワークシステムで通信されるCCフレーム、低消費電力モード通知フレーム、及び低消費電力制御フレームのフォーマット構成の説明図である。
【0118】
CCフレーム、低消費電力モード通知フレーム、及び低消費電力モード制御フレームは、ITU-T勧告Y.1731に規定されるイーサOAMフレームを使用して作成される。
【0119】
これらのフレームは、図6に示すように、宛先MACアドレス601、送信元MACアドレス602、VLANタグ603、タイプ604、ペイロード605、FCS(Frame Check Sequence)606を含む。
【0120】
宛先MACアドレス601にはフレームの宛先の機器のMACアドレスが登録され、送信元MACアドレス602には自装置のMACアドレスが登録される。
【0121】
VLANタグ603には、VLAN(Virtual Local Area Network)の識別子が登録される。
【0122】
タイプ604には、当該フレームがイーサOAMフレームであることを示す16進数「8902」が登録される。
【0123】
ペイロード605は、MEGレベル607、バージョン608、OpCode609、フラグ610、TLV(Type Length Value)オフセット611、及びOAMデータ612を含む。
【0124】
FCS606には、データの誤りを検出するための値が登録される。送信側の機器は送信するフレームのチェックサムを算出し、FCS606に登録してフレームを送信する。受信側の機器は受信したフレームのチェックサムを算出し、算出した値がFCS606に登録された値と一致した場合、データ誤りがないと判定し、算出した値がFCS606に登録された値と一致しない場合、データ誤りがあると判定する。
【0125】
ペイロード605に含まれるMEGレベル607には、OAMフレームの管理レベルを示すMEGレベルが登録される。MEGレベルについては図7で詳細を説明する。
【0126】
バージョン608には、使用されるイーサOAMのバージョン情報が登録される。
【0127】
OpCode609には、IEEE802.1ag及びITU-T勧告Y.1731により規定されるイーサOAMの機能を識別するための識別子が登録される。低消費電力モード通知フレーム及び低消費電力モード制御フレームのOpCode609には、VSM(Vendor Specific OAM Message)フレームを使用することを示す16進数「33」が登録される。一方、CCフレームのOpCode609には、CCフレームを使用することを示す16進数「01」が登録される。
【0128】
すなわち、本実施形態のOpCode609には、低消費電力モード通知フレーム又は低消費電力モード制御フレームであるVSMフレームか、CCフレームかを識別するための識別子が登録される。
【0129】
フラグ610には、当該フレームの送信周期を示す情報が登録される。TLVオフセット611には、TLVまでの固定フィールド長が登録される。
【0130】
また、VSMフレームにおけるベンダが独自に使用可能であるOAMデータ612は、低消費電力モードに関する情報(OUI(Organizationally Unique Identifier)618、SubOpCode613、TLVタイプ614、情報識別615、動作状態616、及びモード種別617)を含む。
【0131】
OUI618には、組織IDが登録される。SubOpCode613には、VSMフレームが低消費電力モード通知フレームであるか低消費電力モード制御フレームであるかを示す識別子が登録される。低消費電力モード通知フレームであることを示す場合、SubOpCode613には、イベント通知フレームであることを示す16進数「31」が登録される。一方、低消費電力モード制御フレームであることを示す場合、SubOpCode613には、遠隔制御用フレームであることを示す16進数「21」が登録される。
【0132】
TLVタイプ614には、TLVのタイプを示す識別子が登録される。情報識別615には、制御する管理対象を示す識別子であり、低消費電力モードは16進数「30」を使用する。
【0133】
動作状態616には、送信元の宅内装置100がどのモードに遷移するかを示す識別子が登録される。送信元の宅内装置100が低消費電力モードに遷移する場合、動作状態616には16進数「01」が登録され、送信元の宅内装置100が通常モードに遷移する場合、動作状態616には16進数「00」が登録される。
【0134】
低消費電力モード通知フレームの動作状態616に「01」が登録されていれば、当該フレームは、局装置101及び対向する宅内装置100のLOC警報の検出を抑制する指示となる。また、低消費電力モード通知フレームの動作状態616に「00」が登録されていれば、当該フレームは、局装置101及び対向する宅内装置100のLOC警報の検出抑制を解除する指示となる。
【0135】
低消費電力モード制御フレームの動作状態616に「01」が登録されていれば、当該フレームは、対向する宅内装置100を低消費電力モードに遷移させ、当該対向する宅内装置100のLOC警報の検出を抑制する指示となる。また、低消費電力モード制御フレームの動作状態616に「00」が登録されていれば、当該フレームは、対向する宅内装置100を通常モードに遷移させ、当該対向する宅内装置100のLOC警報の検出抑制を解除する指示となる。
【0136】
モード種別617は、制御対象となる宅内装置100の制御モードの識別子が登録される。
【0137】
制御モードについては、本実施形態では二つの制御モードが用意されており、具体的には、第1モード、第2モードが用意されている。
【0138】
第1モードの識別子は16進数「01」であり、第2モードの識別子は16進数「03」である。
【0139】
第1モードは、宅内装置100のユーザ端末インタフェース部208の送信部210、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及び上りフレーム処理部204を無効化することによる低消費電力モードへの遷移を指示する。
【0140】
第2モードは、宅内装置100のユーザ端末インタフェース部208、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及び上りフレーム処理部204を無効化することによる低消費電力モードへの遷移を指示する。第2モードは、ユーザ端末インタフェース部208の受信部209及び送信部210を無効化する点で第1モードと異なる。第2モードは本実施形態では使用しないが、本実施形態の変形例で使用する。
【0141】
第1モード及び第2モードは宅内装置100が対向する宅内装置100の電力モードを制御する場合、及び局装置101が宅内装置100の電力モードを制御する場合に使用される。
【0142】
低消費電力モード制御フレームのMEGレベルは、宅内装置100が対向する宅内装置100を制御する場合、宅内装置100と宅内装置100との間のエンド・エンド区間のMEGレベルが設定され、局装置101が宅内装置100を制御する場合、局装置101と宅内装置100との間のセグメント区間のMEGレベルが設定される。
【0143】
局装置101が宅内装置100を低消費電力モードへ遷移させる強制実行の制御は、動作状態616に「01」を登録し、モード識別617に第1モード又は第2モードを登録した低消費電力モード制御フレームを使用する。
【0144】
強制実行は、宅内装置100までの回線工事が完了後のユーザ端末104からのデータ通信がないユーザ開通前(つまり、サービス提供前)に使用される。
【0145】
局装置101が宅内装置100にした強制実行の解除は、動作状態616に「00」を登録した低消費電力モード制御フレームを使用する。
【0146】
パディング619には、イーサOAMフレームのフレーム長が最小パケット長以上にするために固定値(16進数「00」)が登録される。
【0147】
図7は、本発明の第1の実施形態の低消費電力モード制御フレーム及び低消費電力モード通知フレームが宛先の機器へ到達するまでの説明図である。
【0148】
宅内装置100及び局装置101には、イーサOAMフレームを終端させるためのMEP点が設定される。
【0149】
MEGレベルは監視区間を設定するものであり、監視区間は、MEGレベルの設定によってアクセス網102及びエンド・エンド間等の任意の区間に設定できる。
【0150】
ここで、中継網103に接続される局装置101A及び101Bに設定されるMEP点のセグメントMEGレベル702は「3」に設定される。エンド点となる宅内装置100A及び100Bに設定されるMEP点のセグメントMEGレベル701は「3」に設定され、エンド・エンドMEGレベル700は「4」に設定される。アクセス網102の装置及び中継網103の装置に設定されるMEP点のMEGレベル703は「3」未満の「2」に設定される。
【0151】
なお、MEP点におけるMEGレベルによるイーサOAMフィルタ処理は、ITU-T勧告Y.1731の規定に準拠する。
【0152】
宅内装置100によって生成される低消費電力モード通知フレームのSubOpCode613の領域には、低消費電力モード通知フレームであることを示す識別子が登録され、MEGレベル607の領域には、フレーム到達点である局装置101のMEP点に設定されたセグメントのMEGレベル702の値「3」が登録される。
【0153】
宅内装置100によって生成される低消費電力モード制御フレームのSubOpCode613の領域には、低消費電力モード制御フレームであることを示す識別子が登録され、MEGレベル607の領域には、フレーム到達点である宅内装置100のMEP点に設定されたエンド・エンド間のMEGレベル700の値「4」が登録される。
【0154】
アクセス網102の装置は、宅内装置100によって送信された低消費電力モード通知フレームを受信した場合、受信した低消費電力モード通知フレームがイーサOAMフレームであると判定した後、当該フレームのMEGレベル607を読み取る。
【0155】
低消費電力モード通知フレームのMEGレベル607に登録されたMEGレベルは「3」であり、アクセス網102の装置に設定されたMEGレベル703は「2」であり、低消費電力モード通知フレームのMEGレベル607がアクセス網102の装置のMEGレベル703より大きい。このため、アクセス網102の装置は、受信した低消費電力モード通知フレームをMEGレベル超過のイーサOAMフレームと判定し、低消費電力モード通知フレームを透過させる。この結果、宅内装置100によって送信された低消費電力モード通知フレームは、アクセス網102を通過し、局装置101まで到達する。
【0156】
宅内装置100によって送信された低消費電力モード制御フレームのMEGレベル607に登録されたMEGレベルは「4」であり、アクセス網102の装置及び中継網103の装置に設定されたMEGレベル703は「2」であり、低消費電力モード制御フレームのMEGレベル607がアクセス網102の装置及び中継網103の装置のMEGレベル703より大きい。このため、アクセス網102の装置及び中継網103の装置は、受信した低消費電力モード制御フレームをMEGレベル超過のイーサOAMフレームと判定し、低消費電力モード制御フレームを透過させる。この結果、宅内装置100によって送信された低消費電力モード制御フレームは、局装置101、アクセス網102、及び中継網103を通過し、対向する宅内装置100まで伝達される。
【0157】
以上のように、本実施形態では、宅内装置100がユーザ端末との物理リンクが切断されたことを検出した場合、対向する宅内装置100に低消費電力モードへ遷移する指示である低消費電力モード制御フレームを送信し、自身を低消費電力モードへ遷移させる。また、対向する宅内装置100は、低消費電力モード制御フレームを受信した場合、自身を低消費電力モードへ遷移させる。これによって、一方の宅内装置100がデータ通信できない状態であれば、両方の宅内装置100を低消費電力モードに遷移させることができ、加入者宅の消費電力を有効に低減できる。
【0158】
また、宅内装置100が低消費電力モードへ遷移する場合、自身が低消費電力モードへ遷移することを通知する低消費電力モード通知フレームを局装置101へ送信するので、局装置101は、宅内装置100が低消費電力モードへ遷移することを把握でき、CCフレームを所定時間以上受信しなくてもLOC警報を検出しない。これによって、LOC警報は通信経路に異常が発生したときのみに検出される。
【0159】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、宅内装置100は、ユーザ端末104との物理リンクが切断された場合、自身及び対向する宅内装置100のユーザ端末インタフェース部208の送信部210、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及び上りフレーム処理部204を無効化して低消費電力モードに遷移するものである。
【0160】
本変形例では、宅内装置100は、アクセス網102との物理リンクが切断された場合、又は局装置101からLOC警報を検出した場合、自身及び対向する宅内装置100のユーザ端末インタフェース部208、アクセス網インタフェース部200の送信部201、及び上りフレーム処理部204を無効化して低消費電力モードに遷移する。
【0161】
アクセス網102との物理リンクが切断されたことは、アクセス網インタフェース部200の受信部202によって検出される。また、局装置101からのLOC警報は下りフレーム処理部206によって検出される。
【0162】
本変形例は、低消費電力モード遷移時にユーザ端末インタフェース部208の受信部209も無効化する点で第1の実施形態と異なる。
【0163】
これは、本変形例では、アクセス網102側の障害によって低消費電力モードに遷移するものであるため、低消費電力モード遷移時にはユーザ端末インタフェース部208を監視しなくてもよいので、ユーザ端末インタフェース部208の受信部209も無効化する。
【0164】
なお、本変形例は、第1実施形態と組み合わせて実現してもよい。この場合、アクセス網102との物理リンクが切断された場合、又は局装置101からLOC警報を検出した場合に送信される低消費電力モード制御フレームのモード種別617にはモード2であることを示す識別子が登録され、ユーザ端末104との物理リンクが切断された場合に送信される低消費電力モード制御フレームのモード種別617にはモード1であることを示す識別子が登録される。
【0165】
これによって、異常が検出された箇所によって無効化する箇所が異なる場合であっても、宅内装置100は、検出された異常個所に対応した箇所を無効化することによる低消費電力モードに遷移できる。
【0166】
(第2の実施形態)
本実施形態では、宅内装置100は、ユーザ端末104を収容可能な複数の物理ポート801及び802を備え、一つの物理ポートごとに一つのユーザ端末104を収容する構成において、宅内装置100Aが備える物理ポートのうち、一つの物理ポートでユーザ端末104との物理リンクが切断された場合、対向する宅内装置100に備わる物理ポートのうち当該物理リンクが切断された物理ポートに対応する物理ポートを低消費電力モードへ遷移させる。
【0167】
図8Aは、本発明の第2の実施形態のネットワークシステムの説明図である。
【0168】
宅内装置100Aは、二つの物理ポート801A及び802Aを備え、二つの物理ポート801A及び802Aにユーザ端末104A及び104Cが収容される。また、宅内装置100Bは、二つの物理ポート801B及び802Bを備え、二つの物理ポート801B及び802Bにユーザ端末104B及び104Dが収容される。
【0169】
イーサネット網のエンド・エンド区間でフレームが伝送される通信回線(VLAN)の識別子は、イーサフレームのVLANタグに含まれる。
【0170】
宅内装置100及び局装置101は、通信回線の接続情報をVLANテーブル(図8参照)によって管理する。
【0171】
図8Bは、本発明の第2の実施形態の宅内装置100及び局装置101が保持するVLANテーブルの説明図である。
【0172】
宅内装置100が保持するVLANテーブルは、UNI(User Network Interface)ポート番号805、UNI VID803、及びANI(Access Network Interface) VID804を含む。
【0173】
UNIポート番号805には、宅内装置100に備わる物理ポートの一意な識別子が登録される。UNI VID803には、ユーザ端末104側のVLANの識別子が登録される。ANI VID804には、アクセス網102側のVLANの識別子が登録される。
【0174】
局装置101が保持するVLANテーブルは、ANI VID806及びNNI(Network Node Interface) VID807を含む。
【0175】
ANI VID806には、アクセス網102側のVLANの識別子が登録される。NNI VID807には、中継網103側のVLANの識別子が登録される。
【0176】
宅内装置100及び局装置101は、受信したイーサフレームのVID値が、自装置に保持されるVLANテーブルに登録されたVID値のうち当該イーサフレームを受信したインタフェース(受信側インタフェース)に設定されたVID値と一致する場合、当該イーサフレームの受信処理を実行する。
【0177】
そして、当該装置は、VLANテーブルに登録されたVID値のうち、受信したイーサフレームのVID値と一致する受信側インタフェースに設定されたVID値と同じエントリのVID値を取得し、受信したイーサフレームのVID値を取得したVID値に変換し、イーサフレームを送信する。
【0178】
宅内装置100Aに備わる物理ポートA801Aが受信する通信回線A(VLAN A)に属するイーサフレームが、宅内装置100Aと対向する宅内装置100Bの物理ポートA801Bに到達されるまでの動作について説明する。
【0179】
宅内装置100Aに備わる物理ポートA801Aが受信したイーサフレームのVID値が「1」である場合、宅内装置100Aは、図8Bに示すVLANテーブルを参照し、当該イーサフレームのVID値がUNI VID803Aに登録されたVID値と一致すれば、当該イーサフレームを受信し、VID値をANI VID804Aに登録された値「101」に変換したイーサフレームを局装置101Aへ送信する。
【0180】
一方、受信したイーサフレームのVID値がVLANテーブルに登録されていない場合には、宅内装置100Aは、当該イーサフレームを廃棄する。
【0181】
なお、宅内装置100の物理ポートA801Aが受信するイーサフレームのVID値は、当該物理ポートA801Aに接続されるユーザ端末104Aごとに予め設定されている。例えば、ユーザ端末104Aが物理ポートA801Aに接続された場合、物理ポートA801Aは、ユーザ端末104AからVID値「1」のイーサフレームを受信する。
【0182】
図8Bでは、物理ポートA801Aは、二つの通信回線A及びB(VLAN A及びB)が用意されており、物理ポートA801Aに接続されたユーザ端末104からのフレームに含まれるUNI VIDによって、当該ユーザ端末104が属する一つの通信回線(VLAN)が選択される。
【0183】
局装置101A及び局装置101Bは、宅内装置100Aと同様に、VLANテーブルを参照し、イーサフレームを受信するか、廃棄するかを判定し、イーサフレームを受信すると判定された場合には受信したイーサフレームのVID値を変換する。
【0184】
具体的には、局装置101Aは、受信したイーサフレームのVID値「101」を、NNI VID807Aに登録されたVID値「501」に変換し、受信したイーサフレームを中継網103を介して局装置101Bに送信する。
【0185】
局装置101Bは、受信したイーサフレームのVID値「501」を、ANI VID806Bに登録されたVID値「201」に変換し、受信したイーサフレームをアクセス網102Bを介して宅内装置100Bに送信する。
【0186】
宅内装置100Bは、受信したイーサフレームのVID値「201」とVLANテーブルのANI VIDに登録されたVID値「201」とが一致する照合結果に従って、受信したイーサフレームのVID値を「11」に変換し、当該イーサフレームを物理ポートA801Bからユーザ端末104Bに送信する。
【0187】
以上のように、本実施形態のネットワークシステムでは、同じ通信回線に属するユーザ端末104間でデータ通信が可能となり、異なる通信回線に属するユーザ端末104ではデータ通信ができない。
【0188】
図9は、本発明の第2の実施形態のネットワークシステムで送受信されるフレームの説明図である。
【0189】
当該フレームは、図6と同じく、宛先MACアドレス601、送信元MACアドレス602、VLANタグ603、タイプ604、ペイロード605、及びFCS606を含む。
【0190】
宛先MACアドレス601、送信元MACアドレス602、タイプ604、ペイロード605、及びFCS606は、図6と同じであるので説明を省略する。
【0191】
VLANタグ603は、IEEE802.1Qの規定に準拠し、VLANタグを示すTPID(Tag Protocol Identifier)901、フレームの優先度を示すCOS(Class Of Service)902、フレームのフォーマットを示すCFI(Canonical Format Indicator)903、及び、通信回線(VLAN)の識別に使用するVLAN ID(VLAN Identifier:以下VIDとする)904を含む。
【0192】
図10は、本発明の第2の実施形態の宅内装置100の構成を示すブロック図である。
【0193】
宅内装置100は、図2で説明したアクセス網インタフェース部200、低消費電力モード判定処理部205、下りフレーム処理部206、及び表示部211の他に、複数のポートA801及びポートB802、上りフレーム多重部1000、並びにVLANテーブル1001を備える。
【0194】
ポートA801及びポートB802(以下、総称してポートという)は、ユーザ端末インタフェース部208A及び208B、並びに上りフレーム処理部204A及び204Bを備える。
【0195】
なお、ユーザ端末インタフェース部208A及び208Bは、図2に示すユーザ端末インタフェース部208と同じであるので説明を省略する。上りフレーム処理部204A及び204Bは、図2に示す上りフレーム処理部204と同じであるので説明を省略する。
【0196】
上りフレーム多重部1000は、ポート801及び802からアクセス網102へ送信する上りフレームを多重する。また、上りフレーム多重部1000は、低消費電力モード判定処理部205によって生成された低消費電力モード制御フレーム及び低消費電力モード通知フレームを多重し、アクセス網インタフェース部200の送信部201へ入力する。
【0197】
VLANテーブル1001は、図8Bで説明したように、通信回線と各インタフェースに設定されたVLANとの関係を管理する。
【0198】
下りフレーム処理部206は、アクセス網インタフェース部の受信部202から入力されたイーサフレームのタイプ604を読み取り、イーサOAMフレームかユーザフレームかを判定する。
【0199】
入力されたイーサフレームがユーザフレームであると判定した場合、下りフレーム処理部206は、VLANテーブルのエントリからANI VID804に登録されたVID値が入力されたユーザフレームのVID904に登録されたVID値と一致するエントリを検索する。両者が一致するエントリが検索された場合、下りフレーム処理部206は、入力されたユーザフレームのVID904を当該エントリのUNI VID803に登録されたVID値に変換したVLANタグ付きユーザフレームを、当該エントリのUNIポート805に登録されたポートへ出力する。
【0200】
一方、入力されたイーサフレームがイーサOAMフレームであると判定した場合、下りフレーム処理部206は、入力されたイーサOAMフレームの情報識別615を読み取り、情報識別615に低消費電力モードに関するフレームであることを示す16進数「30」が登録されているか否かを判定する。情報識別615に16進数「30」が登録されていると判定した場合、下りフレーム処理部206は、入力されたイーサOAMフレームを低消費電力モード判定処理部205へ入力する。
【0201】
低消費電力モード判定処理部205は、入力されたイーサOAMフレームのSubOpCode613を参照し、入力されたイーサOAMフレームが低消費電力モード制御フレームか低消費電力モード通知フレームかを判定する。
【0202】
入力されたイーサOAMフレームが低消費電力モード制御フレームである場合、VLANテーブルのうち、当該受信したフレームのVID値に対応するエントリに低消費電力モード制御フレームを受信したことを示す情報を登録する。
【0203】
一方、入力されたイーサOAMフレームが低消費電力モード通知フレームである場合、低消費電力モード判定処理部205は、当該フレームのVID904によって特定される通信回線のエンド・エンドのLOC警報の検出を抑制、又は、当該抑制を解除する。
【0204】
また、低消費電力モード判定処理部205は、ポート801及び802に備わる受信部209A及び209Bの物理リンク状態監視結果に基づいて、各ポートと各ポートが収容するユーザ端末104との物理リンクが切断されたかを検出する。
【0205】
低消費電力モード判定処理部205は、ユーザ端末104との物理リンクが切断されたポートを検出した場合、当該ポートに備わる上りフレーム処理部204及びユーザ端末インタフェース部208の送信部210を無効化し、低消費電力モードへ遷移する。
【0206】
また、低消費電力モード判定処理部205は、ユーザ端末104との物理リンクが切断されたポートに用意された通信回線の識別子の一つを含む低消費電力モード制御フレーム及び低消費電力通知フレームを送信する。この送信処理は、当該ポートに用意されたすべて通信回線の識別子に対応する低消費電力モード制御フレーム及び低消費電力モード通知フレームが送信されるまで実行される。
【0207】
また、低消費電力モード判定処理部205は、すべてのポートが低消費電力モードへ遷移した場合、アクセス網インタフェース部200の送信部201を無効化する。これは、いずれかのポートがユーザ端末104と正常に通信している場合に、アクセス網インタフェース部200の送信部201を無効化してしまうと、当該ユーザ端末104はアクセス網102へフレームを送信できなくなるためである。
【0208】
宅内装置100Aは、ポート801Aとユーザ端末104Aとの物理リンクが切断されたことを検出した場合に宅内装置100Bを低消費電力モードへ遷移させる処理について説明する。
【0209】
上述したように、宅内装置100Aは、ユーザ端末104Aとの物理リンクが切断されたポートA801Aに用意された通信回線を含む低消費電力モード制御フレーム及び低消費電力モード通知フレームを送信する。ここでは、ポートA801には、回線A及びBが用意されているので、VID904に「101」を含むフレームと、VID904に「102」を含むフレームとが送信される。
【0210】
なお、ポートB801Bに用意された通信回線の識別子(ANI VID「110」)は使用されない
図11は、本発明の第2の実施形態の低消費電力モード判定処理部205によって実行される低消費電力モード制御処理のフローチャートである。
【0211】
まず、低消費電力モード判定処理部205は、下りフレーム処理部206から低消費電力モード制御フレームを受信した場合(1100)、受信した低消費電力モード制御フレームのペイロード605に含まれる動作状態616に、低消費電力モードに遷移することを示す識別子(16進数「01」)が登録されているか否かを判定する(1101)。
【0212】
ステップ1101の処理で、受信した低消費電力モード制御フレームの動作状態616に低消費電力モードに遷移することを示す識別子が登録されていない場合、つまり、通常モードに遷移することを示す識別子(16進数「00」)が登録されていると判定された場合、低消費電力モード判定処理部205は、図12に示す低消費電力モード解除処理を実行する(1102)。
【0213】
一方、ステップ1101の処理で、受信した低消費電力モード制御フレームの動作状態616に低消費電力モードに遷移することを示す識別子が登録されていると判定された場合、低消費電力モード判定処理部205は、VLANテーブルに登録されたVID値が受信した低消費電力モード制御フレームのVID904に登録されたVID値と一致するエントリの受信フラグを「1」に設定する(1103)。
【0214】
なお、宅内装置100が保持するVLANテーブルの詳細を図13に示す。簡単に説明すると、VLANテーブルは、図8Bで説明したポート805A、UNI VID803A、及びANI VID804Aの他に、受信フラグ1300を含む。受信フラグ1300には、低消費電力モード制御フレームを受信したことを示す「1」又は低消費電力モード制御フレームを受信していないことを示す「0」が登録される。
【0215】
次に、低消費電力モード判定処理部205は、受信した低消費電力モード制御フレームのVID904に登録されたVIDによって特定される通信回線が設定されたポート(以下、対象ポート)を低消費電力モードに遷移させるかを判定するために、VLANテーブルを参照し、当該ポートのすべての受信フラグ1300に「1」が登録されているか否かを判定する(1104)。
【0216】
ステップ1104の処理で、対象ポートのすべての受信フラグ1300に「1」が登録されていないと判定された場合、ステップ1107の処理に処理を移行する。
【0217】
一方、ステップ1104の処理で、対象ポートのすべての受信フラグ1300に「1」が登録されていると判定された場合、低消費電力モード判定処理部205は、
対象ポートに設定されたすべての通信回線のANI VID804に登録されたVIDを含む低消費電力モード通知フレームを送信する(1105)。
【0218】
そして、低消費電力モード判定処理部205は、対象ポートに備わるユーザ端末インタフェース部208の送信部210、及び上りフレーム処理部204を無効化することによって、対象ポートを低消費電力モードに遷移する(1106)。
【0219】
次に、低消費電力モード判定処理部205は、宅内装置100に備わるすべてのポートが低消費電力モードに遷移しているか否かを判定する(1107)。具体的には、低消費電力モード判定処理部205は、VLANテーブルのすべてのVID値の受信フラグ1300に「1」が登録されているか否かを判定する。
【0220】
ステップ1107の処理で、宅内装置100に備わるすべてのポートが低消費電力モードに遷移していないと判定された場合、低消費電力モード制御処理を終了する。
【0221】
一方、ステップ1107の処理で、宅内装置100に備わるすべてのポートが低消費電力モードに遷移していると判定された場合、低消費電力モード判定処理部205は、アクセス網インタフェース部200の送信部201を無効化し(1108)、低消費電力モード制御処理を終了する。
【0222】
なお、図11のステップ1104の処理では、低消費電力モード判定処理部205は、受信した低消費電力モード制御フレームのVIDに対応するポートが低消費電力モードに遷移可能か否かを判定したが、宅内装置100に備わる各ポートが低消費電量モードに遷移可能か否かを判定してもよい。これによって、各ポートの低消費電力モードへの遷移漏れを防止できる。
【0223】
図12は、本発明の第2の実施形態の低消費電力モード判定処理部205によって実行される低消費電力モード解除処理のフローチャートである。
【0224】
まず、低消費電力モード判定処理部205は、宅内装置100に備わるすべてのポートが低消費電力モードに遷移しているか否かを判定する(1200)。具体的には、低消費電力モード判定処理部205は、VLANテーブルに登録されたすべてのVID値に対応する受信フラグ1300に「1」が登録されているか否かを判定する。
【0225】
ステップ1200の処理で、すべての受信フラグ1300に「1」が登録されていない場合、つまり、すべてのポートが低消費電力モードに遷移していないと判定された場合、ステップ1202の処理に処理を移行する。
【0226】
一方、ステップ1200の処理で、すべての受信フラグ1300に「1」が登録されている場合、つまり、すべてのポートが低消費電力モードに遷移していると判定された場合、アクセス網インタフェース部200の送信部201を有効化する(1201)。
【0227】
次に、低消費電力モード判定処理部205は、受信した低消費電力モード制御フレームのVID904に登録されたVIDによって特定される通信回線が設定されたポート(対象ポート)が低消費電力モードに遷移しているか否かを判定する(1202)。
【0228】
具体的には、低消費電力モード判定処理部205は、VLANテーブルに設定されたANI VID804に登録されたVID値が受信した低消費電力モード制御フレームのVID904に登録されたVID値と一致するエントリの受信フラグ1300に「1」が設定されているか否かを判定する。
【0229】
ステップ1202の処理で、対象ポートが低消費電力モードに遷移していないと判定された場合、ステップ1205の処理に処理を移行する。
【0230】
ステップ1202の処理で、対象ポートが低消費電力モードに遷移していると判定された場合、低消費電力モード判定処理部205は、当該対象ポートの低消費電力モードを解除する(1203)。具体的には、低消費電力モード判定処理部205は、対象ポートに備わるユーザ端末インタフェース部208の送信部210及び上りフレーム処理部204を有効化する。
【0231】
次に、低消費電力モード判定処理部205は、動作状態616に通常モードに遷移することを示す識別子が登録された低消費電力モード通知フレームを送信する(1204)。なお、ステップ1204で送信される低消費電力モード通知フレームのVID904には、図11に示すステップ1100の処理で受信した低消費電力モード制御フレームのVID904に登録されたVID値が登録される。
【0232】
そして、低消費電力モード判定処理部205は、VLANテーブルのANI VID804に登録されたVID値が受信した低消費電力モード制御フレームのVID904に登録されたVID値と一致するエントリの受信フラグ1300に「0」を登録し(1205)、低消費電力モード解除処理を終了する。
【0233】
図13は、本発明の第2の実施形態の宅内装置100が保持するVLANテーブルの説明図である。
【0234】
VLANテーブルは、ANI VID804、UNI VID803、及びUNIポート番号805の他に、受信フラグ1300を含む。
【0235】
局装置101が宅内装置100へ通信回線を設定すると、VLANテーブルへANI VID804、UNI VID803、及びUNIポート番号805が設定される。受信フラグ1300の初期値は「0」とする。
【0236】
受信フラグ1300には、動作状態616が低消費電力モードを示す低消費電力モード制御フレームを宅内装置100が受信した場合は「1」が登録され、 動作状態616が通常モードを示す低消費電力モード制御フレームを宅内装置100が受信した場合は「0」を記録する。
【0237】
例えば、宅内装置100AがANI VIDが「101」であって動作状態616が低消費電力モードを示す低消費電力モード制御フレームを受信すると、VLANテーブルのANI VID804に「101」が登録されたエントリの受信フラグ1300を「1」に設定し、当該低消費電力モード制御フレームを受信していないANI VID804が「102」及び「110」であるエントリの受信フラグ1300は「0」のままである。
【0238】
以上によって、ユーザ端末104が通信回線ごとにデータ通信するネットワークシステムにおいて、ユーザ端末104との物理リンクが切断された場合、宅内装置100は、物理リンクが切断されたポートに対応する対向する宅内装置100のポートを低消費電力モードに遷移させることができる。
【符号の説明】
【0239】
100 宅内装置
101 局装置
102 アクセス網
103 中継網
104 ユーザ端末
200 アクセス網インタフェース部
201 送信部
202 受信部
204 上りフレーム処理部
205 低消費電力モード判定処理部
206 下りフレーム処理部
208 ユーザ端末インタフェース部
209 受信部
209 送信部
210 送信部
211 表示部
300 中継網インタフェース部
304 上りフレーム処理部
305 低消費電力モード判定処理部
306 下りフレーム処理部
308 アクセス網インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末を収容する宅内装置と、前記宅内装置にアクセス網を介して接続される局装置とを備えるネットワークシステムにおいて、
前記宅内装置は第1宅内装置及び第2宅内装置を含み、前記局装置は第1局装置及び第2局装置を含み、
前記第1宅内装置及び前記第1局装置は第1アクセス網を介して接続され、前記第2宅内装置及び前記第2局装置は第2アクセス網を介して接続され、
前記第1局装置及び前記第2局装置は中継網を介して接続され、
前記第1宅内装置と前記第2宅内装置とが前記第1アクセス網、前記中継網、及び前記第2アクセス網を介して一対一で接続され、
前記宅内装置は、
前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたか否かを判定する物理リンク切断判定部と、
前記物理リンク切断部によって前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたと判定された場合、自身を通常モードよりも消費電力が低い低消費電力モードに遷移させ、前記中継網を介して一対一で接続される対向する宅内装置に対して、前記低消費電力モードに遷移させる低消費電力モード制御信号を送信する低消費電力モード処理部と、を備え、
前記低消費電力モード処理部は、前記他方の宅内装置から前記低消費電力モード制御信号を受信した場合にも、自身を前記低消費電力モードに遷移させることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
前記宅内装置は、
前記ユーザ端末に接続されるユーザ端末インタフェースと、
前記アクセス網に接続されるアクセス網インタフェースと、を備え、
前記ユーザ端末インタフェースは、前記ユーザ端末に信号を送信する第1送信部と前記ユーザ端末からフレームを受信する第1受信部とを有し、
前記アクセス網インタフェースは、前記アクセス網に信号を送信する第2送信部と前記アクセス網からフレームを受信する第2受信部とを有し、
前記宅内装置は、
前記局装置及び前記他方の宅内装置に対して監視信号を所定周期で前記第2送信部から送信する監視信号送信部と、
前記第2受信部が前記他方の宅内装置からの前記監視信号を前記所定周期よりも長い所定時間受信しない場合、当該宅内装置と前記他方の宅内装置との間の通信経路の異常を検出する第1異常検出部と、を備え、
前記低消費電力モード処理部は、少なくとも前記第2送信部を無効化することによって、前記低消費電力モードに遷移させ、
前記監視信号送信部は、前記宅内装置が前記低消費電力モードに遷移した場合、前記監視信号を送信できない状態となり、
前記局装置は、前記監視信号を前記所定周期よりも長い所定時間受信していない場合、当該局装置と当該局装置に前記アクセス網を介して接続された前記宅内装置との間の通信経路の異常を検出する第2異常検出部を備え、
前記第1異常検出部は、前記第2受信部が前記低消費電力モード制御信号を受信した場合、前記通信経路の異常の検出を停止し、
前記低消費電力モード処理部は、前記物理リンク切断判定部によって前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたと判定された場合、当該宅内装置に前記アクセス網を介して接続される前記局装置に備わる前記第2異常検出部に前記通信経路の異常の検出を停止させる低消費電力モード通知信号を当該局装置に送信し、
前記第2異常検出部は、前記低消費電力モード通知信号を受信した場合、前記通信経路の異常の検出を停止することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記低消費電力モード処理部は、前記宅内装置を前記低消費電力モードに遷移させる前に、前記低消費電力モード制御信号を前記他方の宅内装置に複数回送信し、前記低消費電力モード通知信号を前記局装置に複数回送信することを特徴とする請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記低消費電力モード処理部は、前記物理リンクが回復したと判定した場合、前記無効化した前記第2送信部を有効化することによって、前記低消費電力モードから前記通常モードに遷移させ、
前記監視信号送信部は、前記第2送信部が有効化された場合、前記監視信号の送信を再開し、
前記低消費電力モード処理部は、前記宅内装置が前記通常モードに遷移したことを示す前記低消費電力モード制御信号を前記他方の宅内装置に対して前記第2送信部から送信し、
前記他方の宅内装置に備わる前記低消費電力モード処理部は、前記監視信号又は前記通常モードに遷移したことを示す前記低消費電力モード制御信号を受信した場合、前記低消費電力モードから前記通常モードに遷移させることを特徴とする請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記宅内装置は、
前記アクセス網に送信するフレームに対して送信処理を実行する上りフレーム処理部を備え、
前記低消費電力モード判定部は、
前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたか否か、及び前記アクセス網を介して接続される前記局装置との物理リンクが切断されたか否かを判定し、
前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたと判定した場合、前記第1送信部、前記前記第2送信部、及び前記上りフレーム処理部を無効化することによって、前記低消費電力モードに遷移させ、
前記アクセス網との物理リンクが切断されたと判定した場合、前記ユーザ端末インタフェース、前記第2送信部、及び前記上りフレーム処理部を無効化することによって、前記低消費電力モードに遷移させることを特徴とする請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記宅内装置は、一つの前記ユーザ端末を収容するポートを複数備え、
前記ポートは、前記ユーザ端末インタフェースを備え、
前記ポートには少なくとも一つのVLANが設定可能であり、
前記宅内装置は、前記ポートに接続されたユーザ端末の識別子に対応する一つのVLANを選択し、前記選択したVLANの識別子を含むフレームを前記第2送信部から送信し、
前記宅内装置は、前記VLANの識別子を含む信号を第2受信部から受信した場合、前記信号に含まれるVLANの識別子によって特定されるVLANが選択されているポートに当該フレームを送信し、
前記物理リンク切断判定部は、前記ユーザ端末と前記ポートとの物理リンクが切断されたか否かを判定し、
前記低消費電力モード処理部は、
前記物理リンク切断判定部によって前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたと判定された場合に、前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたポートの前記第1送信部を無効化し、
前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたポートに設定可能なVLANの識別子を含む前記低消費電力モード制御信号を送信し、
前記低消費電力モード制御信号を受信した場合、前記受信した低消費電力モード制御信号に含まれるVLANの識別子のポートの前記第1送信部を無効化し、
自身に備わるすべてのポートの第1送信部が無効化されている場合、前記アクセス網インタフェースに備わる前記第2送信部を無効化することを特徴とする請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記低消費電力モード処理部は、
前自身に備わるポートに設定可能なすべてのVLANの識別子を含む前記低消費電力モード制御信号を受信している場合、前記ポートの前記第1送信部を無効化することを特徴とする請求項6に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
前記VLANの識別子を含む信号は、VLANタグ付きのイーサネットフレームを使用することを特徴とする請求項6に記載のネットワークシステム。
【請求項9】
前記低消費電力モード制御信号及び前記低消費電力モード通知信号は、ITU−T勧告Y.1731に規定されたイーサネットOAMのVSMフレームを使用し、
前記監視信号は、ITU−T勧告Y.1731に規定されたイーサネットOAMのCCフレームを使用することを特徴とする請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項10】
ユーザ端末を収容する宅内装置と、前記宅内装置にアクセス網を介して接続される局装置とを備えるネットワークシステムにおける前記宅内装置の消費電力制御方法において、
前記宅内装置は第1宅内装置及び第2宅内装置を含み、前記局装置は第1局装置及び第2局装置を含み、
前記第1宅内装置及び前記第1局装置は第1アクセス網を介して接続され、前記第2宅内装置及び前記第2局装置は第2アクセス網を介して接続され、
前記第1局装置及び前記第2局装置は中継網を介して接続され、
前記第1宅内装置と前記第2宅内装置とが前記第1アクセス網、前記中継網、及び前記第2アクセス網を介して一対一で接続され、
前記方法は、
前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたか否かを判定する物理リンク切断判定ステップと、
前記物理リンク切断ステップによって前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたと判定された場合、自身を通常モードよりも消費電力が低い低消費電力モードに遷移させ、前記中継網を介して一対一で接続される対向する宅内装置に対して、前記低消費電力モードに遷移させる指令として低消費電力モード制御信号を送信する低消費電力モード処理ステップと、を含み、
前記低消費電力モード処理ステップでは、前記他方の宅内装置から前記低消費電力モード制御信号を受信した場合にも、自身を前記低消費電力モードに遷移させることを特徴とする消費電力制御方法。
【請求項11】
前記宅内装置は、
前記ユーザ端末に接続されるユーザ端末インタフェースと、
前記アクセス網に接続されるアクセス網インタフェースと、を備え、
前記ユーザ端末インタフェースは、前記ユーザ端末にフレームを送信する第1送信部と前記ユーザ端末からフレームを受信する第1受信部と、を有し、
前記アクセス網インタフェースは、前記アクセス網にフレームを送信する第2送信部と前記アクセス網からフレームを受信する第2受信部とを有し、
前記方法は、
前記局装置及び前記他方の宅内装置に対して監視信号を所定周期で前記第2送信部から送信する監視信号送信ステップと、
前記第2受信部が前記他方の宅内装置からの前記監視信号を前記所定周期よりも長い所定時間受信しない場合、当該宅内装置と前記他方の宅内装置との間の通信経路の異常を検出する第1異常検出ステップと、を含み、
前記低消費電力モード処理ステップは、少なくとも前記第2送信部を無効化することによって、前記低消費電力モードに遷移させるステップを含み、
前記宅内装置が前記低消費電力モードに遷移した場合、前記監視信号を送信できない状態となり、
前記局装置が、前記監視信号を前記所定周期よりも長い所定時間受信していない場合、当該局装置と当該局装置に前記アクセス網を介して接続された前記宅内装置との間の通信経路の異常を検出する第2異常検出ステップを含み、
前記第1異常検出ステップは、前記第2受信部が前記低消費電力モード制御信号を受信した場合、前記通信経路の異常の検出を停止するステップを含み、
前記低消費電力モード処理ステップは、前記物理リンク切断判定ステップによって前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたと判定された場合、当該宅内装置に前記アクセス網を介して接続される前記局装置における前記第2異常検出ステップで前記通信経路の異常の検出を停止させるための低消費電力モード通知信号を当該局装置に送信するステップを含み、
前記第2異常検出ステップは、前記低消費電力モード通知信号を受信した場合、前記通信経路の異常の検出を停止するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の消費電力制御方法。
【請求項12】
前記低消費電力モード処理ステップでは、前記宅内装置を前記低消費電力モードに遷移させる前に、前記低消費電力モード制御信号を前記他方の宅内装置に複数回送信し、前記低消費電力モード通知信号を前記局装置に複数回送信することを特徴とする請求項11に記載の消費電力制御方法。
【請求項13】
前記低消費電力モード処理ステップでは、前記物理リンクが回復したと判定した場合、前記無効化した前記第2送信部を有効化することによって、前記低消費電力モードから前記通常モードに遷移させ、
前記監視信号送信ステップでは、前記第2送信部が有効化された場合、前記監視信号の送信を再開し、
前記低消費電力モード処理ステップでは、前記宅内装置が前記通常モードに遷移したことを示す前記低消費電力モード制御信号を前記他方の宅内装置に対して前記第2送信部から送信し、
前記他方の宅内装置における前記低消費電力モード処理ステップでは、前記監視信号又は前記通常モードに遷移したことを示す前記低消費電力モード制御信号を受信した場合、前記低消費電力モードから前記通常モードに遷移させることを特徴とする請求項11に記載の消費電力制御方法。
【請求項14】
前記宅内装置は、
前記アクセス網に送信するフレームに対して送信処理を実行する上りフレーム処理部を備え、
前記低消費電力モード判定ステップでは、
前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたか否か、及び前記アクセス網を介して接続される前記局装置との物理リンクが切断されたか否かを判定し、
前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたと判定した場合、前記第1送信部、前記前記第2送信部、及び前記上りフレーム処理部を無効化することによって、前記低消費電力モードに遷移させ、
前記アクセス網を介して接続される前記局装置との物理リンクが切断されたと判定した場合、前記ユーザ端末インタフェース、前記第2送信部、及び前記上りフレーム処理部を無効化することによって、前記低消費電力モードに遷移させることを特徴とする請求項11に記載の消費電力制御方法。
【請求項15】
前記宅内装置は、前記一つのユーザ端末を収容するポートを複数備え、
前記ポートは、前記ユーザ端末インタフェースを備え、
前記ポートには少なくとも一つのVLANが設定可能であり、
前記方法は、
前記宅内装置が、前記ポートに接続されたユーザ端末の識別子に対応する一つのVLANを選択し、前記選択したVLANの識別子を含むフレームを前記第2送信部から送信するステップと、
前記宅内装置が、前記VLANの識別子を含むフレームを第2受信部から受信した場合、前記フレームに含まれるVLANの識別子によって特定されるVLANが選択されているポートに当該フレームを送信するステップと、を含み、
前記物理リンク切断判定ステップでは、前記ユーザ端末と前記ポートとの物理リンクが切断されたか否かを判定し、
前記低消費電力モード処理ステップは、
前記物理リンク切断判定部によって前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたと判定された場合に、前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたポートの前記第1送信部を無効化するステップと、
前記ユーザ端末との物理リンクが切断されたポートに設定可能なVLANの識別子を含む前記低消費電力モード制御信号を送信するステップと、
前記低消費電力モード制御信号を受信した場合、前記受信した低消費電力モード制御信号に含まれるVLANの識別子のポートの前記第1送信部を無効化するステップと、
自身に備わるすべてのポートの第1送信部が無効化されている場合、前記アクセス網インタフェースに備わる前記第2送信部を無効化するステップと、を含むことを特徴とする請求項11に記載の消費電力制御方法。
【請求項16】
前記低消費電力モード処理ステップは、自身に備わるポートに設定可能なすべてのVLANの識別子を含む前記低消費電力モード制御信号を受信している場合、前記ポートの前記第1送信部を無効化するステップを含むことを特徴とする請求項15に記載の消費電力制御方法。
【請求項17】
前記VLANの識別子を含む信号は、VLANタグ付きのイーサネットフレームを使用することを特徴とする請求項15に記載の消費電力制御方法。
【請求項18】
前記低消費電力モード制御信号及び前記低消費電力モード通知信号は、ITU−T勧告Y.1731に規定されたイーサネットOAMのVSMフレームを使用し、
前記監視信号は、ITU−T勧告Y.1731に規定されたイーサネットOAMのCCフレームを使用することを特徴とする請求項11に記載の消費電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−119960(P2012−119960A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268169(P2010−268169)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】