説明

ネットワークシステムおよび無線端末

【課題】電波を発することを禁止し、かつ、電波の送信が許可された際に、許可信号を無線経由で受信して、再度電波を発することのできる、ネットワークシステムおよび無線端末を提供することを目的とする。
【解決手段】電波の発信を禁止する際、乗客端末104の送信部201のみを停止する。無線基地局103は、サーバ101からのサービス開始の命令を受信すると、無線基地局103自身の無線機能を有効化し、無線基地局103が存在することを示す情報として、ビーコンフレームを、無線通信で発信する。ビーコンフレームに含まれるSSIDが、予め記録された接続する無線基地局103のIDであった場合、管理部203は送信部201に含まれる送信回路への電源供給を再開させ、送信部201を有効化することにより、乗客端末104は、無線基地局103と無線接続を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク内で無線端末の無線送信を禁止または許可するネットワークシステムおよび無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内や航空機等の移動体内において、複数の端末をネットワークに接続したシステムを構成する場合、一般的に、各端末に対し有線ネットワークを敷設し、接続する方法が採用されてきた。
【0003】
一例として、近年の航空機において普及が進んでいる、機内エンターテイメントシステム(In−Flight Entertainment System、以下IFEと記す)がある。IFEでは、機内の各座席にモニター及びコントローラが備え付けられ、乗客は座席のモニターで映画鑑賞やゲームを楽しむことができる。
【0004】
このモニターは機内の有線ネットワークに接続されており、映画やゲームといったコンテンツは、機内に設置されたサーバから、有線ネットワークを介して送られる。
【0005】
この有線ネットワークを敷設する方法は、信頼性が高いという長所を有する反面、配線の敷設に時間、経費がかかることや、敷設後の保守作業における労力も多大であるという欠点がある。
【0006】
また移動体、特に航空機においては、内部の空間は限られており、ケーブルを敷設するスペースも課題である。加えて、近年では航空機の燃料費の高騰により燃費を下げる要望が機体メーカーやエアラインから強くあるが、航空機の規格に適応したケーブルはコストが高く、重量も大きいため、ケーブル敷設はコストの面、及び燃費の面でも課題となっている。
【0007】
一方で、近年では、端末への配線を無線化したネットワークが提案され、徐々に採用されつつある。無線ネットワークは、従来の有線ネットワークと比較して、配線の敷設や保守に費やす時間、経費を削減できる利点を有している。また、無線化により、配線に要する面積や配線の重量をなくすことは、特に移動体に設置する場合に非常に有利な点となる。
【0008】
一般に航空機内においては、電波を発する機器の使用は禁じられている。これは機体の機器が受ける電波干渉の問題や、各国において使用可能な無線周波数が違う問題を考慮したものである。
【0009】
しかし機体メーカーの検証により、離着陸時を除けば、無線LANは機体の運航に問題がないことが確認されており、例えば近年では、離着陸時を除いた安定飛行中に限り、乗客のPCに無線LANサービスを行っている。
【0010】
機内のネットワークの無線化を説明するために、まず、従来の有線ネットワークで接続された航空機内ネットワークについて説明する。
【0011】
従来の有線ネットワークで接続された航空機内ネットワークは、図7のように配線されている。図7は、航空機を横から見た概略構成図であり、図の左が機体前方で、705は天井、706は床である。図7において、704は各座席(図示しない)に設置された乗客端末であり、映画やゲームといったサービスを乗客に提供する。
【0012】
この映画やゲームのデータ自体は、機体前方部のサーバ701に格納されている。サーバ701は、有線ネットワークにて第一の中継器702と接続されている。第一の中継器702は、一般に機体の天井裏に複数設置されており、機体の前方から順にデイジーチェーンで接続されている。
【0013】
各第一の中継器702には、それぞれ機体の床方向に分岐された有線ネットワークも接続されている。この有線ネットワークは、機体の床面に設置された第二の中継器703と接続される。この第二の中継器703は複数存在し、機体の前方から順にデイジーチェーンで接続される。
【0014】
また、各第二の中継器703は、前述の乗客端末704とも接続されている。1台の第二の中継器703に、複数の乗客端末704が接続されることもある。
【0015】
乗客端末704で、乗客によって選択された映画やゲームといったコンテンツのリクエストは、この有線ネットワークに沿って、まず第二の中継器703を通る。その後、第一の中継器702に達するまで、途中に存在する第二の中継器703を経由し、第一の中継器702まで渡される。その後、サーバ701に達するまで、途中に存在する第一の中継器702を経由して、最終的にサーバ701に到達する。
【0016】
サーバ701は、この乗客端末704からのリクエストに応じて、必要なコンテンツを配信する。コンテンツは、先ほどのリクエストとは逆の経路で、第一の中継器702、第二の中継器703を通って、乗客端末704に到達する。
【0017】
この有線ネットワークを無線化する場合、図8のようなシステムが考えられる。図8(a)は、航空機を横から見た概略構成図であり、図の左が機体前方で、805は天井、806は床である。
【0018】
図8において、801はサーバであり、802は第一の中継器、803は無線基地局、804は各座席(図示しない)に設置された乗客端末である。乗客端末804は、無線クライアント機能を有し、無線を介して無線基地局803と接続されている。
【0019】
サーバ801に格納されているコンテンツは、有線ネットワークのときと同様に、第一の中継器802を通って、無線基地局803に渡される。無線基地局803では、有線から受け取ったデータを無線のフレームに変換して、無線ネットワークに送信する。乗客端末804は、この無線フレームを受信し、映画、ゲームといったコンテンツ情報を取得して、乗客に提供する。
【0020】
なお、この無線ネットワークの説明では、図7における第二の中継器703を排除した形で説明したが、図8(b)のように、第二の中継器807が無線ネットワークに存在することもある。この場合は、無線基地局803からの無線通信を受信するための無線クライアント機能を、乗客端末804ではなく、第二の中継器807内に持たせる。
【0021】
第二の中継器807と乗客端末804は有線ネットワークで接続されており、第二の中継器807で受信した無線通信は、図7と同様に有線ネットワークを介して乗客端末804に渡される。
【0022】
以上のように構成された無線ネットワークにより、航空機内のネットワークを構築することができるが、前述したように、機体の離着陸時は、無線を使用することはできない。
【0023】
このため、無線を使用できない時間においては、電波を発する機能を停止・無効化するなどの必要がある。
【0024】
従来、このような技術には、図9に示すものが提案されている。図9は、特許文献1の図1に相当するものである。図9において、901は無線基地局、902は管理者基地局、903は電波管理区域、904は無線端末である。
【0025】
通常の通信においては、無線端末904は、無線基地局901との間で無線通信をおこなっているが、無線端末904が電波管理区域903内に入った場合、管理者基地局902がこれを検知し、無線端末904に対し通信機能を停止させるための停止信号を送信する。
【0026】
無線端末904は、この停止信号を受信した場合、無線端末904内の送受信回路への電源供給を停止し、通信機能を無効化する。一方、無線端末904が、電波管理区域903から外に出ると、管理者基地局902は、電波を発信することを許可するための許可信号を発信する。無線端末904は、この許可信号を取得すると、無線端末904内の送受信回路への電源供給を再開することで、通信を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2002−84571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかしながら上記従来の技術では、電波管理区域内で無線端末904が送受信回路への電源供給を停止し、無効化させるが、無線端末904が電波管理区域外へ出た場合、無線端末904が電波を発信していないため、管理者基地局902はそれを検知できず、従って許可信号が発信されない。つまり、無線端末904が自動的に送信を開始することはできない。
【0029】
このため、管理者基地局902が無線端末904が電波管理区域外へ出たことを検知するには、別の手段が必要となる。
【0030】
また、この技術では、電波管理区域内で管理者基地局902は電波を自由に発信するため、航空機のように、完全に電波を禁止する必要がある場合には適用することができない。
【0031】
本発明は、このような従来の課題を解決するもので、電波を発することが禁じられている場合に、電波を発することを禁止し、かつ、電波の送信が許可された際に、許可信号を無線経由で受信して、再度電波を発することのできる、ネットワークシステムおよび無線端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のネットワークシステムは、無線送信および受信機能を有する無線端末と、無線端末に情報を提供するサーバと、サーバと有線で接続された中継器と、中継器と接続され無線端末と無線で通信を行う無線基地局とから構成されるネットワークシステムであって、無線端末は、サーバからの受信情報により、無線送信機能を停止または復活させることを特徴とする。
【0033】
さらに好適には、無線端末は、情報の送信を行う送信部と、情報の受信を行う受信部と、送信部と受信部を管理する管理部とを備え、受信部は、受信情報を管理部に伝え、管理部は、受信情報を検査し、所定の送信禁止信号が含まれると判断した場合に、送信部に対して、送信機能を無効化することを特徴とする。
【0034】
さらに好適には、管理部は、初期化時に送信部を無効化することを特徴とする。
【0035】
以上のように、本発明のネットワークシステムは、電波を発することが禁止されている場合に、送信のみを禁止し、受信のみ行うものであり、電波を発することを禁じられた場合は、送信機能を無効化し、電波を発することはなく、かつ、電波を発しても良い場合では、無線経由で送信許可信号を受信することにより、送信機能を有効にさせることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明により、電波を発することが禁じられている場合に、電波を発することを禁止し、かつ、電波の送信が許可された際に、許可信号を無線経由で受信して、再度電波を発することを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態におけるネットワークシステムの構成図
【図2】本発明の一実施の形態におけるネットワークシステムの無線端末の構成図
【図3】同ネットワークシステムの無線端末の動作フロー例を示した図
【図4】同ネットワークシステムの無線端末の動作フロー例を示した図
【図5】同ネットワークシステムの無線端末の動作フロー例を示した図
【図6】同ネットワークシステムの無線端末の動作フロー例を示した図
【図7】従来の有線ネットワークで構成されたネットワークシステムの構成図
【図8】従来の無線ネットワークで構成されたネットワークシステムの構成図
【図9】従来の電波発信停止システムを示した図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態におけるネットワークシステムの構成を示した図、図2は無線端末である乗客端末の構成を示した図である。
【0040】
図1は、航空機を横から見た場合の概略構成を示しており、図の左が機体前方で、105は天井、106は床である。
【0041】
また、101はサーバであり、映画、ゲームといったコンテンツ情報を提供する他、航空機の運行情報、環境情報等を入手し、ネットワークシステム全体を管理する。
【0042】
102は中継器、103は無線基地局、104は各座席(図示しない)に配置される乗客端末である。乗客端末104は、無線クライアント機能を有し、無線を介して無線基地局103と接続されている。
【0043】
サーバ101に格納されているコンテンツは、中継器102を通って、無線基地局103に渡される。無線基地局103では、有線で受け取ったデータを無線のフレームに変換して、乗客端末104に送信する。乗客端末104は、この無線フレームを受信し、映画、ゲームといったコンテンツ情報を取得して、乗客に提供する。
【0044】
図2の乗客端末104において、201は無線の送信を行う送信部であり、送信アンテナ(図示せず)及び送信回路(図示せず)から構成される。202は無線の受信を行う受信部であり、受信アンテナ(図示せず)及び受信回路(図示せず)から構成される。
【0045】
ここで送信アンテナと受信アンテナを別々の構成で記述したが、アンテナは送受信一体で、回路構成のみ送受信で別々の構成も存在する。また、送信回路と受信回路がハードウェアとして一体であり、ソフトウェアで送信モジュールと受信モジュールに分けられる場合もある。
【0046】
203は送信部201及び受信部202の管理を行う管理部である。例として、無線ネットワーク装置内の演算装置内で動作するソフトウェアであり、無線の送信、受信を管理するデバイスドライバと関連するアプリケーションソフトウェア、及びオペレーティングシステム(OS)の中の関連する機能から構成される。
【0047】
この構成は一例であり、構成によってはOSを持たないものもあり、また、演算装置から切り離され、管理部203の一部がハードウェアもしくはファームウェアとして実装されている場合もあり、その形態は様々である。
【0048】
無線の方式には様々なものがあるが、以下では、IEEE802.11a/b/g無線LANを使用した場合の例を記述する。これは、本発明がIEEE802.11a/b/g無線LANに限定されることを意味するわけではなく、他の無線方式に置き換えることも可能であることは言うまでもない。
【0049】
次に、本実施の形態におけるネットワークシステムの動作について、図1、図2、および図3から図6のフロー図を用いて説明する。
【0050】
まず、航空機内の各機器に対して電源が供給されると、サーバ101、中継器102、無線基地局103、乗客端末104のそれぞれが起動処理を開始する。
【0051】
乗客端末104は、電源投入により、図3のS301の起動処理を行う。ここで起動処理は電源供給が開始された例を挙げたが、その他にもシステム全体の再起動や、各機器毎のリセットといった動作の後にも行われる。
【0052】
S301においては、送信部201は、送信が許可されていない状態で起動する。この送信が許可されていない状態は、管理部203が送信部201内の送信回路に電源を供給しないことで実現可能である。
【0053】
ただし、送信を許可しない方法は他にもあり、例えば、送信部201内のファームウェアに、管理部203から所定の指示があった場合は送信の動作を行わない処理を実装してもよい。
【0054】
また、アンテナが送受信別々の場合は、管理部203が送信アンテナとの接続を切り離すことでも、送信部201にて送信が許可されていない状態を作ることは可能であり、送信が許可されていない状態を作る方法は、ここに記述した方法に制限されるものではない。
【0055】
送信部201は、送信が許可されていない状態においては、電波を発することはできないが、受信部202が電波を受信することは可能である。
【0056】
ここで、IEEE802.11a/b/g無線LANにおいては、無線基地局103からデータパケットを受信するには、無線基地局103と必要な情報を送受信することで接続状態にならなければならない。
【0057】
送信部201が無効化された状態では、乗客端末104と無線基地局103は接続状態にはならず、乗客端末104は無線基地局103が発信する無線基地局103の存在情報(IEEE802.11a/b/g無線LANにおいてはビーコンフレーム)を受信することは可能であるが、データを含んだパケットを無線基地局103との間で交換することはできない。
【0058】
このように、乗客端末104は受信のみ可能な状態で起動し、S302に移行する。S302においては、受信部202において、所定の送信許可信号を検出するまで、受信のみ可能な状態を維持する。
【0059】
次に、本実施の形態におけるネットワークシステムにおいて、乗客端末104の送信が許可されるまでに至る動作を説明する。
【0060】
サーバ101は、起動後、機体の情報を取得する。取得する情報には、機体の高度情報が含まれている。
【0061】
航空機内のネットワークに接続される各機器は、一部の機器を除いて、離着陸時は使用することはできない。このため、所定の高度に達していない場合には、サーバ101は機内のネットワークに接続される各機器に対して、サービスを停止する命令を送信する。
【0062】
無線基地局103は、起動後、無線の送信は行わない。航空機が離陸した後、所定の高度に達すると、サーバ101はサービス開始の命令を、機内のネットワークに接続された各機器に対して送信する。
【0063】
ここで、サーバ101が機体の高度情報から自動的にサービス開始を判断する方法を記述したが、これは機内のパイロットやアテンダントによる手動操作でもよい。
【0064】
機内のネットワークに接続された各機器は、サーバ101からのサービス開始の命令を受信すると、所定のサービスを開始する。
【0065】
無線基地局103は、サーバ101からのサービス開始の命令を受信すると、無線基地局103自身の無線機能を有効化し、無線基地局103が存在することを示す情報として、前述のビーコンフレームを、無線通信で発信する。
【0066】
一方で乗客端末104は、前述のように、S302で待機しており、ビーコンフレームが受信可能な状態である。ここで、無線基地局103は、図1のように機内に複数存在する場合があるが、各乗客端末104が接続する無線基地局103のIDは予め定められており、乗客端末104の管理部203内に記録されている。
【0067】
S302においては、乗客端末104内の受信部202は、常にビーコンフレームを受信しており、ビーコンの情報は管理部203に渡される。管理部203では、ビーコンフレームの情報を電気的な情報から論理的な情報に変換し、ビーコンフレームに含まれる無線基地局103のSSIDを検査する。
【0068】
ビーコンフレームに含まれるSSIDが、予め記録された接続する無線基地局103のIDであった場合、管理部203は図3のS303に移行する。SSIDが接続する無線基地局103のID以外であった場合、またはビーコンフレームを受信できなかった場合は、このS302を継続する。
【0069】
図3のS303において、管理部203は送信部201に含まれる送信回路への電源供給を再開させ、送信部201を有効化する。これにより、乗客端末104は、送信、受信ともに動作を行うことが可能となり、無線基地局103と無線接続を行うことが可能となる。
【0070】
ここで、S303の送信許可の動作を、送信回路への電源供給で説明したが、例えばソフトウェアでのON/OFFの切り替え等、送信動作を許可する他の方法も可能であり、電源供給の再開に限定するものではない。
【0071】
S303で送信が許可された後、乗客端末104は送信部201を用いて無線送信を行うことが可能となる。この後、乗客端末104は、S304に移行し、接続すべき無線基地局103に対して、接続要求を行い、無線接続の手順を開始する。
【0072】
なお、本実施の形態では、無線方式として、IEEE802.11a/b/g無線LANを、送信許可信号として、接続すべき無線基地局103のIDを含んだビーコンフレームとしたが、本実施の形態と同様の手順が可能であれば、他の無線方式であってもよい。
【0073】
なお、送信が禁止された状態で、通常のデータを受信可能な方式である場合は、送信許可信号はビーコンフレームである必要はなく、通常のデータパケットでも良いことは言うまでもない。この場合、データパケットが所定の送信許可信号となる。
【0074】
また、図4のフローで示すように、送信許可信号を、信号の情報ではなく、信号の強度で判断することも可能である。送信部201が、送信が許可されていない状態で起動し(S401)、接続すべき無線基地局103からの信号レベルが所定の閾値を超えた場合に、所定の送信許可信号と判断し(S402)、管理部203は送信部201に含まれる送信回路への電源供給を再開させ、送信部201を有効化し、無線基地局103と無線接続を行うことが可能となる(S403)。
【0075】
この後、乗客端末104は、S404に移行し、接続すべき無線基地局103に対して、接続要求を行い、無線接続の手順を開始する。
【0076】
以上のように、乗客端末104は、航空機の離陸中など、電波を発することができない状態においては電波を発することなく、航空機が所定の高度に達した後、電波を発する状態に移行することが可能となる。
【0077】
なお、ここでは、乗客端末104内に送信部201、受信部202および管理部203を設置される例で記述したが、例えば前述の図7のように、第二の中継器を設けてそこに設置するなど、乗客端末104と有線で接続される別ユニットに設置してもよい。
【0078】
この場合、無線基地局103との通信は第二の中継器等の別ユニットが行うことになる。
【0079】
図5は、乗客端末104が、無線基地局103と接続状態にある場合から、所定の条件に従って、送信部201に対し、送信を禁止するまでの動作フローを示したものである。
【0080】
図5において、S501においては、乗客端末104は、無線基地局103と接続状態にあり、データパケットの送受信を行っている。
【0081】
S502では、管理部203は、受信部202で受信されたパケットの情報を解析し、所定の送信禁止信号の情報が含まれているかどうかを検査する。
【0082】
所定の送信禁止信号の情報が含まれていない場合は、そのまま無線基地局103との接続状態を継続する。所定の送信禁止信号が含まれていた場合は、S503に移行し、管理部203は、送信部201に対し、送信禁止を指示する。
【0083】
ここで、この送信禁止の指示は、前述したように、例えば送信部201への電源供給の停止であってもよいし、送信部201内のファームウェアに対するソフトウェア上での通知でもよいし、送信アンテナとの接続を切り離すことでもよい。
【0084】
また、同様の結果が実現できるなら、ここに記載された方法以外でもよく、送信を禁止する方法は前述の内容に制限されるものではない。
【0085】
送信部201は、この送信禁止の指示を受け取った後、送信を停止する。ここで送信の停止の処理は、すぐさま全ての送信を停止してもよいし、接続している無線基地局103に対して接続解除の通知を行い、その後、全ての送信を停止してもよい。
【0086】
S503により、乗客端末104は送信が禁止された状態となる。その後、送信が許可された場合の処理は、前述の通りである。
【0087】
なお、本実施の形態では、S501を、無線基地局103と接続している通信サービス中の状態としたが、その他の状態であっても、受信部202が無線パケットを受信可能な状態であればよい。
【0088】
例えば、単に接続しているだけで、実際のデータパケットの送受信が無い状態でも良いし、無線ネットワーク装置の起動直後で状態が不定の場合であってもよい。
【0089】
図6は、乗客端末104が、無線基地局103と接続状態にある場合から、所定の条件に従って、送信部201に対し、送信を禁止するまでの他の例の動作フローを示したものである。
【0090】
前述の例では、送信禁止のトリガーを所定の送信禁止信号としていたが、本例では、接続している無線基地局103の存在を示す信号(IEEE802.11a/b/gにおいてはビーコンフレーム)の有無をトリガーとしている。
【0091】
図6において、S601では、本無線ネットワーク装置は、無線基地局103と接続状態にあり、データパケットの送受信を行っている。
【0092】
S602では、管理部203は、受信部202で受信されたビーコンフレームを解析し、接続している無線基地局103から発信されるビーコンフレームが存在するかどうかを検査する。接続している無線基地局103からのビーコンフレームが存在する場合は、現在の無線基地局103との接続を継続する。接続している無線基地局103からのビーコンフレームが存在しない場合は、S603に移行する。
【0093】
S603では、管理部203は、接続している無線基地局103からのビーコンフレームの有無を継続して検査する。接続している無線基地局103からのビーコンフレームが、所定の時間以上の間存在しなかった場合は、S604に移行し、管理部203は、送信部201に対して送信禁止の指示を行う。
【0094】
このようにしておけば、送信禁止が必要となったにもかかわらず、送信禁止を指示するため、乗客端末104に対して無線送信しなければならないという問題を無くすことができる。
【0095】
つまり、サーバ101からのサービスを停止する命令を無線基地局103に対して有線で行うだけで、無線基地局103から無線送信することなく乗客端末104の送信禁止状態を維持することができる。
【0096】
なお、前述の通り、この送信禁止の指示は、送信部201への電源供給の停止であっても良いし、送信部201内のファームウェアに対する命令であってもよいし、送信アンテナとの接続を切断することでもよい。
【0097】
この送信を禁止する方法は、同様の効果が得られる他の方法でも問題はなく、本実施の形態に記述された方法に制限されるものではない。
【0098】
また本実施の形態では、特に航空機の離着陸時に無線をOFFにする場合で記述したが、ネットワークの周波数帯域を制限するために、一部の無線ネットワーク装置の送信を禁止するといった、ネットワーク帯域制御にも用いることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、無線通信の送信が禁止される状態が存在するネットワークサービスにおいて、無線通信以外の方法で通知することなく、無線通信の送信が許可されたことを、無線端末に通知することが可能な方法である。例えば航空機内など、無線通信が禁止される状態が存在する空間で、無線通信を用いたサービスを行う場合に、広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
101 サーバ
102 中継器
103 無線基地局
104 乗客端末
105 天井
106 床
201 送信部
202 受信部
203 管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信および受信機能を有する無線端末と、
前記無線端末に情報を提供するサーバと、
前記サーバと有線で接続された中継器と、
前記中継器と接続され前記無線端末と無線で通信を行う無線基地局と、
から構成されるネットワークシステムであって、
前記無線端末は、前記サーバからの受信情報により、
前記無線送信機能を無効または有効にさせることを特徴とする、
ネットワークシステム。
【請求項2】
前記無線端末は、
情報の送信を行う送信部と、
情報の受信を行う受信部と、
前記送信部と前記受信部を管理する管理部と、
を備え、
前記受信部は、受信した前記受信情報を前記管理部に伝え、
前記管理部は、前記受信情報を検査し、前記受信情報に所定の送信禁止信号が含まれると判断した場合に、
前記管理部は、前記送信部に対して、送信機能を無効化することを特徴とする、
請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記無線端末は、
情報の送信を行う送信部と、
情報の受信を行う受信部と、
前記送信部と前記受信部を管理する管理部と、
を備え、
前記受信部は、受信した前記受信情報を前記管理部に伝え、
前記管理部は、前記受信情報を検査し、前記受信情報に所定の送信許可信号が含まれると判断した場合に、
前記管理部は、前記送信部に対して、送信機能を有効にすることを特徴とする、
請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記無線端末が接続すべき無線基地局又は中継器のIDが定められており、
前記送信許可信号が、前記基地局または前記中継器のIDを示す信号であることを特徴とする、
請求項3に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記ネットワークシステムは、移動体内に設置されるものであり、
前記送信禁止信号または前記送信許可信号の有無は、前記移動体の位置情報に基づいたものであることを特徴とする、
請求項3または4に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記送信部は、初期状態では送信が許可されていないことを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれかに記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記管理部は、前記受信情報に含まれる、前記基地局または前記中継器のIDを検査し、
所定の時間以上、前記IDが存在しない場合に、
前記管理部は、前記送信部に対し、送信を禁止することを特徴とする、
請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
前記中継器は前記サーバに対し複数がデイジーチェーン接続され、
それぞれが無線基地局を接続していることを特徴とする、
請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項9】
前記無線端末は複数であることを特徴とする、
請求項1または8に記載のネットワークシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のネットワークシステムに使用され、無線送信機能および無線受信機能を有する無線端末であって、受信情報により送信機能を有効または無効化することを特徴とする、無線端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−15881(P2012−15881A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151780(P2010−151780)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】