説明

ネットワークシステム

【課題】OAMのCC機能を利用して、伝送路で障害が発生したことをメディアコンバータに接続されたスイッチングハブへ通知することができる技術を提供する。
【解決手段】メディアコンバータ1とスイッチングハブ8との間で通信障害が発生した場合、スイッチングハブ8は,スイッチングハブ10へ向けてRFを送信する。RFを受信したメディアコンバータ1は、CCMフレーム12内のRF領域の値をON(1)に設定したCCM(RF)12aを生成し、これをメディアコンバータ6へ向けて送信する。CCM(RF)12aを受信したメディアコンバータ6は、RFをスイッチングハブ10へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、長距離離れて配置された2つのネットワークの間を長距離伝送用の中継リンクによって接続する際に、ネットワーク内のネットワーク機器(スイッチングハブ)と中継リンクとの間を、ネットワーク機器と中継リンクとの間で媒体変換を行うネットワーク接続装置(メディアコンバータ)によって接続する先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この先行技術において、一方のネットワーク機器とこれに接続されたネットワーク接続装置との間の伝送路で障害が発生した場合、障害を検知した上記のネットワーク接続装置は他方のネットワーク接続装置への信号の送信を停止し、一方のネットワーク接続装置からの信号を受信しなくなったことを検出した他方のネットワーク接続装置は、これに接続されたネットワーク機器への信号を停止する、という動作を行っている。これにより、一方のネットワーク機器とこれに接続されたネットワーク接続装置との間の伝送路で発生した障害を、他方のネットワーク機器まで通知することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−187213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、ITU−T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の国際勧告「Y.1731」規格や、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.1agの通信規格によって規定されたネットワークの運用、保守及び管理に関するイーサネット(登録商標)OAM(Operations Administration Maintenance)が知られている(以下、「イーサネット(登録商標)OAM」をOAMと略して表記するものとする。)。
【0006】
従来のメディアコンバータに対してOAMの機能を実装し、OAMのCC(Continuity Check)機能を利用して、一方のメディアコンバータと他方のメディアコンバータとの間の接続性を監視するという技術が想定される。
【0007】
この技術において、メディアコンバータに実装されたOAMのCC機能を、伝送路で発生した障害をメディアコンバータに接続されたスイッチングハブへ通知する動作に適用できるとよい。
【0008】
そこで本発明は、OAMのCC機能を利用して、伝送路で発生した障害をメディアコンバータに接続されたスイッチングハブへ通知することができる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明のネットワークシステムは、第1のネットワーク中継器と、第1のネットワーク中継器と接続された第1のネットワーク接続装置と、第1のネットワーク接続装置と接続された第2のネットワーク接続装置と、第2のネットワーク接続装置と接続された第2のネットワーク中継器とから構成されるネットワークシステムであって、第1のネットワーク接続装置と第2のネットワーク接続装置とは、OAMのCCMフレームを相互に相手方に送信することにより、互いの間の通信の接続性を監視し、CCMフレームには、障害情報を格納するための障害情報格納領域が設定してあり、第1のネットワーク接続装置は、第1のネットワーク中継器との間で障害の発生を検出した場合、CCMフレームの障害情報格納領域に障害情報を格納し、第2のネットワーク接続装置は、障害情報格納領域に障害情報が格納されたCCMフレームを受信した場合、第2のネットワーク中継器へ障害の発生を通知する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のネットワークシステムによれば、OAMのCC機能を利用して、伝送路で発生した障害をメディアコンバータに接続されたスイッチングハブへ通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ネットワークシステムの構成を概略的に示す図である。
【図2】CCMフレームの構成例を概略的に示す図である。
【図3】CCMフレームに含まれるOptional TLVs領域の詳細な構成を示す図である。
【図4】メディアコンバータからスイッチングハブへ向かう通信経路で障害が発生した場合における、CCMフレームを利用した障害の発生を通知する動作を示す図である。
【図5】スイッチングハブからメディアコンバータへ向かう通信経路で障害が発生した場合における、CCMフレームを利用した障害の発生を通知する動作を示す図である。
【図6】管理用ネットワーク外のメディアコンバータで障害を検出した場合における、CCMフレームを利用した障害の発生を通知する動作を示す図である。
【図7】メディアコンバータの間で通信障害が発生した場合における、CCMフレームを利用した障害の発生を通知する動作を示す図である。
【図8】1Gbpsに対応したスイッチングハブとメディアコンバータとの間で通信障害が発生した場合における、CCMフレームを利用した障害の発生を通知する動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本発明のネットワークシステムは、OAM機能により1つの管理用ネットワークを構成する複数のメディアコンバータと、この管理用ネットワークに接続されたスイッチングハブとを用いて実現されている。
【0013】
図1は、ネットワークシステムの構成を概略的に示す図である。メディアコンバータ1,2,4,6は、例えば1Gbps(Gigabit per second)や10Gbps等の通信速度に対応しており、電気信号として受信したデータを光信号に変換して送信したり、受信した光信号を電気信号に変換して送信したりする。また、スイッチングハブ8,10は、レイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチであり、これらは相互にフレームの送受信を行う。
【0014】
〔ネットワークシステムの構成〕
メディアコンバータ1は、ユーザポート1a及び長距離ポート1bを備えている。メディアコンバータ2,4,6もメディアコンバータ1と同様にそれぞれ、ユーザポート2a,4a,6a及び長距離ポート2b,4b,6bを備えている。また、スイッチングハブ8,10はそれぞれポート8a,10aを備えている。なお、スイッチングハブ8,10は図示しないその他のポートを備え、他のネットワーク(図示しない)と接続されている。
【0015】
メディアコンバータ1のユーザポート1a及び長距離ポート1bはそれぞれ、スイッチングハブ8のポート8a及びメディコンバータ2の長距離ポート2bと図示しないネットワークケーブルを介して相互に対向して接続されており、メディアコンバータ2のユーザポート2aは、メディアコンバータ4のユーザポート4aと対向して接続されている。また、メディアコンバータ4の長距離ポート4bは、メディアコンバータ6の長距離ポート6bと対向して接続されており、メディアコンバータ6のユーザポート6aはスイッチングハブ10のポート10aと対向して接続されている。相互に対向して接続されたユーザポート同士は、電気信号の状態でフレームを送受信する。また、相互に対向して接続された長距離ポート同士は、光信号の状態でフレームを送受信する。
【0016】
このネットワークシステム内には、大きく分けて2つの通信経路が形成されている。1つ目は、一方のスイッチングハブ8から他方のスイッチングハブ10に至る方向への通信経路であり、2つ目は、逆に他方のスイッチングハブ10から一方のスイッチングハブ8に至る方向への通信経路である。1つ目の通信経路上では、スイッチングハブ8のポート8aから送信されたフレームがユーザポート1a、長距離ポート1b,2b、ユーザポート2a,4a、長距離ポート4b,6b、及びユーザポート6aを経由してスイッチングハブ10のポート10aまで転送される。また2つ目の通信経路上では、先と逆向きにスイッチングハブ10のポート10aから送信されたフレームがユーザポート6a、長距離ポート6b,4b、ユーザポート4a,2a、長距離ポート2b,1b、及びユーザポート1aを経由してスイッチングハブ8のポート8aまで転送される。
【0017】
なお、スイッチングハブ8のポート8aとメディアコンバータ1のユーザポート1aとは、これらを1本のネットワークケーブルで接続した状態で、互いが双方向にフレームを送受信する形式であっても、2本のケーブルを用いて送信側と受信側に分けて送受信する形式であってもよい。また、メディアコンバータ2とメディアコンバータ4との間、メディアコンバータ4とメディアコンバータ6との間、及びメディアコンバータ6とスイッチングハブ10との間も同様に、1本のネットワークケーブルで接続する形式であっても、それぞれ別のネットワークケーブルで接続する形式であってもよい。
【0018】
このように、各メディアコンバータ間は互いに対向して接続された長距離ポートとユーザポートとが交互に組み合わさって構成されている。このような構成であれば、4台のメディアコンバータに限らず、図示しない複数のメディコンバータを組み合わせて構成することができる。これにより、例えば上記のスイッチングハブ8,10同士が数百キロメートル〜数千キロメートル程度まで離れて配置されていても、その距離に応じて複数のメディコンバータを接続すれば、スイッチングハブ8,10間での通信が可能となる。
【0019】
また、メディアコンバータ1,2,4,6は、ITU−Tの国際勧告「Y.1731」やIEEE802.1ag等で規格されたOAMの諸機能を実装している。これにより、ネットワーク内にはメディアコンバータ1,2,4,6を用いて通信を管理するための保守ドメインが規定されている。このうち、保守ドメインの両端にそれぞれ位置する2つのメディアコンバータ1,6は、この保守ドメイン内で通信を管理するための基点となる管理端点(MEP:Maintenance End Point)として規定されている。またその他のメディアコンバータ2,4は、上記の管理端点からOAMの各機能に基づいて送信されたフレームを中継する管理中継点(MHF:MIP Half Function)として設定されている。
【0020】
管理端点として設定されたメディアコンバータ1,6は、OAMのCC機能を用いてメディアコンバータの保守ドメイン内で通信が正常に実行されているか否かを監視する。具体的には、メディアコンバータ1,6はそれぞれ、OAMのCC機能を用いてCCM(Continuity Check Message)フレーム12を生成し、これを所定の間隔で送信する。そして、これら2つのメディアコンバータ1,6は、互いに相手から送信されてくるCCMフレーム12の到着確認を行うことで、メディアコンバータ1,2,4,6間の通信が正常に行われているか否かを監視している。そして、一方の管理端点から送信されたCCMフレーム12が他方の管理端点に到着しない場合、これを検知した他方の管理端点は、通信障害が発生したと判断し、各種の障害情報を格納した状態でCCMフレーム12を一方の管理端点へ向けて送信する。
【0021】
また、本実施形態では、CCMフレーム12の内部に、障害情報を格納するための障害情報格納領域を設定している。メディアコンバータ1,6は、接続されているスイッチングハブ8,10との間の通信経路で障害が発生したことを検出すると、CCMフレーム12の障害情報格納領域に障害情報を格納して、対向のメディアコンバータ6,1へ送信する。また、メディアコンバータ1,6は、障害情報格納領域に障害情報が格納されたCCMフレーム12を受信した場合、障害の発生をスイッチングハブ8,10へ通知する。
【0022】
また、スイッチングハブ8,10は、接続されているメディアコンバータ1,6との間の通信経路で障害が発生したことを検出すると、メディアコンバータ1,6へ障害の発生を通知する。この障害の発生の通知は、スイッチングハブ8,10が10Gbpsのイーサネット(登録商標)に対応している場合、LFS(Link Fault Signaling)機能によって行われ、スイッチングハブ8,10が1Gbpsのイーサネット(登録商標)に対応している場合、オートネゴシエーション機能によって行われる。なお、通信障害が発生した際の各メディアコンバータ1,2,4,6及びスイッチングハブ8,10による各種の障害情報を通知する手法については、別の図面を参照してさらに詳しく後述する。
【0023】
図2は、CCMフレーム12の構成例を概略的に示す図である。CCMフレーム12は、ITU−Tの国際勧告「Y.1731」やIEEE802.1ag等の通信規格に準拠した形式のフレームであり、このような形式のCCMフレーム12は、図1中に示す管理端点として設定されたメディアコンバータ1,6において生成される。また、通信障害が発生した場合、各種の障害情報がCCMフレーム12に格納される。以下、CCMフレーム12の構成について説明する。なお、CCMフレーム12の基本的な構成は、上記の通信規格に準拠しており、その詳細についての説明は適宜省略する。
【0024】
〔CCMフレーム〕
図2中に示すCCMフレーム12は、DA(Destination Address)領域14、SA(Source Address)領域16、S−TAG(Service VLAN−TAG)領域18、TYPE領域20、データ領域22、及びFCS(Frame Check Sequence)領域24を備える。
【0025】
DA領域14には、例えば、メディアコンバータ1からメディアコンバータ6へ向けてCCMフレーム12を送信する場合、マルチキャストアドレスが格納される。また、SA領域16には、CCMフレーム12を生成した送信元のメディアコンバータ1に設定されたMAC(Media Access Control)アドレスが格納される。S−TAG領域18には、例えば、図1中に示すメディアコンバータ1,2,4,6の保守ドメイン内で、VLAN(Vertual Local Area Network)を設定した場合、そのVLAN情報が格納される。
【0026】
また、TYPE領域20には、データ領域22にOAMに関するデータが格納されていることを示す情報が格納される。データ領域22は、Header領域26、Seq領域28、MEP ID領域30、MEG ID領域32 Rsv1731領域34、Optional TLVs(Type Lenght Values)領域36、及びEND領域38を有している。
【0027】
図3は、CCMフレーム12に含まれるOptional TLVs領域36の詳細な構成を示す図である。Optional TLV領域36の基本的な構成は、ITU−Tの国際勧告「Y.1731」やIEEE802.1agの通信規格に準拠しているため、ここでは各領域の詳細な説明を省略する。
【0028】
Optional TLVs領域36は、TYPE領域40、Length領域42、Value領域44から構成されている。また、各領域にはOUI(Organizationally Unique Identifier)46を設定することができ、このOUI46は、例えばベンダーに対して固有に割り当てられた識別番号である。
【0029】
Value領域44には、障害情報を格納するための障害情報格納領域が設定されている。Value領域44には、AIS(Alarm Indication Signal)領域44a、RF(Remote Fault)領域44b、LF(Link Fault)領域44c及びReserved領域44dが含まれている。本実施形態では、AIS領域44a、RF領域44b及びLF領域44cが障害情報格納領域に相当する。AIS領域44a、RF領域44b及びLF領域44cは、例えば、図1中に示すメディアコンバータ1とスイッチングハブ8との間で正常に通信が実行されている場合、その値がOFF(0)に設定されている。一方、上記の間で実行される通信に障害が発生した場合、通信障害の状況に応じて、これに対応する領域の値が障害情報としてON(1)に設定される。
【0030】
図4は、メディアコンバータ1からスイッチングハブ8へ向かう通信経路で障害が発生した場合における、CCMフレーム12を利用した障害の発生を通知する動作を示す図である。なお、スイッチングハブ8,10は、10Gbpsのイーサネット(登録商標)に対応しているものとする。
【0031】
メディアコンバータ1からスイッチングハブ8へ向かう通信経路で障害が発生した場合、スイッチングハブ8は、メディアコンバータ1からの信号が途絶えたことに基づき障害の発生を検出する。障害の発生を検出したスイッチングハブ8は、ポート8aからメディアコンバータ1に向けてRF(Remote Fault)の信号を送信する。
【0032】
メディアコンバータ1は、ユーザポート1aでRFを受信すると、図3中に示すCCMフレーム12のRF領域44bの値をON(1)に設定したCCM(RF)12aを生成して、長距離ポート1bから送信する。メディアコンバータ1から送信されたCCM(RF)12aは、メディアコンバータ2,4を介してメディアコンバータ6へ転送される。
【0033】
メディアコンバータ6は、長距離ポート6bでCCM(RF)12aを受信すると、RFをユーザポート6aからスイッチングハブ10へ送信する。RFを受信したスイッチングハブ10は、スイッチングハブ10からスイッチングハブ8へ向かう通信経路に障害が発生したことを検出する。
【0034】
これにより、メディアコンバータ1からスイッチングハブ8へ向かう通信経路で障害が発生したとき、この障害の発生をスイッチングハブ8に対向して配置されたスイッチングハブ10へ通知することができる。
【0035】
図5は、スイッチングハブ8からメディアコンバータ1へ向かう通信経路で障害が発生した場合における、CCMフレーム12を利用した障害の発生を通知する動作を示す図である。なお、スイッチングハブ8,10は10Gbpsのイーサネット(登録商標)に対応しているものとする。
【0036】
スイッチングハブ8からメディアコンバータ1へ向かう通信経路で障害が発生した場合、メディアコンバータ1は、スイッチングハブ8からの信号が途絶えたことに基づき障害の発生を検出する。障害の発生を検出したメディアコンバータ1は、CCMフレーム12のAIS領域44aをON(1)に設定したCCM(AIS)12bを生成して、長距離ポート1bからメディアコンバータ6の長距離ポート6bへ向けて送信する。メディアコンバータ1から送信されたCCM(AIS)12bは、メディアコンバータ2,4を介してメディアコンバータ6へ転送される。
【0037】
メディアコンバータ6は、長距離ポート6bでCCM(AIS)12bを受信すると、ユーザポート6aからの信号の送信を停止する。スイッチングハブ10は、ポート10aでメディアコンバータ6からの信号が途絶えたことに基づき障害の発生を検出する。障害の発生を検出したスイッチングハブ10は、ポート10aからRFを送信する。メディアコンバータ6は、スイッチングハブ10から送信されたRFをユーザポート6aで受信すると、CCM(RF)12aを生成して、長距離ポート6bからメディアコンバータ1へ向けて送信する。一方、メディアコンバータ1は、メディアコンバータ6から送信されたCCM(RF)12aを長距離ポート1bで受信すると、RFをユーザポート1aからスイッチングハブ8のポート8aへ送信する。
【0038】
これにより、スイッチングハブ8からメディアコンバータ1へ向かう通信経路で障害が発生したとき、この障害の発生をスイッチングハブ8及びスイッチングハブ10へ通知することができる。
【0039】
図6は、管理用ネットワーク外のメディアコンバータで障害を検出した場合における、CCMフレーム12を利用した障害の発生を通知する動作を示す図である。図6では、管理用ネットワーク内で管理端点として規定されたメディアコンバータ1のユーザポート1aにメディアコンバータ50が接続されている場合に、スイッチングハブ10へ障害の発生を通知する手法について説明する。
【0040】
メディアコンバータ50は、ユーザポート50a及び長距離ポート50bを備えており、このうちユーザポート50aは、メディアコンバータ1のユーザポート1aと接続されている。また、メディアコンバータ50の長距離ポート50bには、図示しない他のメディアコンバータが接続されている。なお、メディアコンバータ50は、メディアコンバータ1,2,4,6が所属する管理用ネットワーク外に接続されており、メディアコンバータ1に対してOAMに基づくCCMフレーム12を相互に送受信することはないものとする。また、メディアコンバータ1のユーザポート1a及びメディアコンバータ50のユーザポート50aは、障害を相互に通知する手法としてLFS機能を用いることとする。
【0041】
上記の他のメディアコンバータからメディアコンバータ50へ向かう通信経路で障害が発生した場合、メディアコンバータ50の長距離ポート50bでは、他のメディアコンバータからの信号が途絶える。メディアコンバータ50は、信号が途絶えたことに基づき、上記の通信経路に障害が発生したこと(LF:Link Fault)を検出する。障害の発生を検出したメディアコンバータ50は、ユーザポート50aからメディアコンバータ1へ向けてLFの信号を送信する。
【0042】
メディアコンバータ1は、ユーザポート1aでLFを受信すると、CCMフレーム12のLF領域44cの値をON(1)に設定したCCM(LF)12cを生成して、長距離ポート1bから送信する。メディアコンバータ1から送信されたCCM(LF)12cは、メディアコンバータ2,4を介してメディアコンバータ6へ転送される。
【0043】
メディアコンバータ6は、長距離ポート6bでCCM(LF)12cを受信すると、LFをユーザポート6aからスイッチングハブ10へ送信する。LFを受信したスイッチングハブ10は、受信した信号の通信経路で障害が発生したことを検出する。
【0044】
これにより、管理用ネットワーク内のメディアコンバータ1,2,4,6は、管理用ネットワーク外に接続されたメディアコンバータ50で検知した障害情報(LF)をスイッチングハブ10へ通知することができる。
【0045】
また、LFを受信したスイッチングハブ10は、RFをメディアコンバータ6へ送信する。メディアコンバータ6はRFを受信すると、CCM(RF)12aを生成し、長距離ポート6bからメディアコンバータ1へ向けて送信する。メディアコンバータ1は、メディアコンバータ2,4を介してCCM(RF)12aを長距離ポート1bで受信すると、RFをユーザポート1aからメディアコンバータ50に送信する。
【0046】
図7は、メディアコンバータ1,6の間で通信障害が発生した場合における、CCMフレーム12を利用した障害の発生を通知する動作を示す図である。図7では、メディアコンバータ2からメディアコンバータ4へ向かう通信経路で障害が発生した場合について説明する。
【0047】
メディアコンバータ2からメディアコンバータ4へ向かう通信経路で障害が発生した場合、メディアコンバータ1から送信されたCCMフレーム12はメディアコンバータ6に到着しない。メディアコンバータ6は、メディアコンバータ1からのCCMフレーム12が途絶えたことに基づき、通信経路に障害が発生したこと(LOC:Loss Of Continuity)を検出する。
【0048】
障害の発生を検出したメディアコンバータ6は、ユーザポート6aからの信号の送信を停止する。また、メディアコンバータ6は、OAMの機能に基づいてLOCを検出したことを示す情報(RDI:Remote Defect Indication)をCCMフレーム12に格納したCCM(RDI)12dを生成して、これを長距離ポート6bからメディアコンバータ1へ向けて送信する。スイッチングハブ10は、メディアコンバータ6からの信号が途絶えたことに基づき、障害の発生を検出する。また、スイッチングハブ10は、RFを生成してポート10aからRFを送信する。
【0049】
メディアコンバータ1は、メディアコンバータ6から送信されたCCM(RDI)12dを長距離ポート1bで受信すると、ユーザポート1aからの信号の送信を停止する。スイッチングハブ8は、メディアコンバータ1からの信号が途絶えたことに基づき、障害の発生を検出する。また、スイッチングハブ8は、RFを生成してポート8aから送信する。
【0050】
メディアコンバータ1,6は、各スイッチングハブ8,10から送信されたRFをそれぞれのユーザポート1a,6aで受信すると、このRFに基づいてCCM(RF)12aを生成する。なお、メディアコンバータ6ではLOCを検出しているため、CCMフレーム12にRDIを格納したうえで、さらに、RF領域44bをON(1)に設定したフレームを生成する(以下、このフレームを「CCM(RDI・RF)12e」と称呼する。)。メディアコンバータ1,6は、生成したCCM(RF)12a、CCM(RDI・RF)12eをそれぞれ長距離ポート1b,6bから送信する。
【0051】
なお、メディアコンバータ1から送信されたCCM(RF)12aは、メディアコンバータ2,4の間で発生している通信障害により遮断されてしまう。一方、メディアコンバータ6から送信されたCCM(RDI・RF)12eは、メディアコンバータ2,4を介してメディアコンバータ1の長距離ポート1bへ転送される。
【0052】
これにより、メディアコンバータ2とメディアコンバータ4との間で障害が発生したとき、この障害の発生をスイッチングハブ8及びスイッチングハブ10へ通知することができる。なお、上記の動作は、メディアコンバータ1とメディアコンバータ2との間、及びメディアコンバータ4とメディアコンバータ6との間で障害が発生した場合も同様である。
【0053】
図8は、1Gbpsに対応したスイッチングハブ8とメディアコンバータ1との間で通信障害が発生した場合における、CCMフレーム12を利用した障害の発生を通知する動作を示す図である。図4〜図7では、10Gbpsに対応したスイッチングハブ8,10がLFS機能に基づく動作を行う例を説明したが、図8では、1Gbpsに対応したスイッチングハブ8,10がオートネゴシエーション機能に基づく動作を行う例を説明する。なお、図8では、メディアコンバータ1からスイッチングハブ8へ向かう通信経路で障害が発生した場合について説明する。
【0054】
メディアコンバータ1からスイッチングハブ8へ向かう通信経路で障害が発生した場合、スイッチングハブ8は、メディアコンバータ1からの信号が途絶えたことに基づき障害の発生を検出する。障害の発生を検出したスイッチングハブ8は、オートネゴシエーション機能による障害通知の信号(図8中に示す「A/N」)をメディアコンバータ1へ送信する。
【0055】
メディアコンバータ1は、スイッチングハブ8からオートネゴシエーション機能による障害通知の信号を受信することにより障害の発生を検出する。障害の発生を検出したメディアコンバータ1は、CCM(AIS)12bを生成して、長距離ポート1bからメディアコンバータ6へ向けて送信する。メディアコンバータ2,4はこのCCM(AIS)12bを中継してメディアコンバータ6へ転送する。メディアコンバータ6は、CCM(AIS)12bを受信すると、ユーザポート6aからの信号の送信を停止する。
【0056】
スイッチングハブ10は、メディアコンバータ6からの信号が途絶えたことに基づき、障害が発生したことを検出する。さらに、スイッチングハブ10は、オートネゴシエーション機能による障害通知の信号をメディアコンバータ6へ送信する。
【0057】
メディアコンバータ6は、スイッチングハブ10からオートネゴシエーション機能による障害通知の信号を受信することにより障害の発生を検出する。障害の発生を検出したメディアコンバータ6は、CCM(AIS)12bを生成して、長距離ポート6bメディアコンバータ1へ向けて送信する。
【0058】
これにより、メディアコンバータ1からスイッチングハブ8へ向かう通信経路で障害が発生したとき、この障害の発生をスイッチングハブ8に対向して配置されたスイッチングハブ10へ通知することができる。
【0059】
このように、本実施形態のネットワークシステムは、メディアコンバータ1,6に接続されるスイッチングハブ8,10が10Gbpsのイーサネット(登録商標)に対応している場合、もしくは、1Gbpsのイーサネット(登録商標)に対応している場合のいずれの場合であっても、メディアコンバータ1,6によるCCMフレーム12を利用した障害通知の動作によって、スイッチングハブ8,10に対して障害の発生を通知することができる。
【符号の説明】
【0060】
1,2,4,6 メディアコンバータ(ネットワーク接続装置)
8,10 スイッチングハブ(ネットワーク中継器)
12 CCMフレーム
1a,2a,4a,6a,50a ユーザポート
1b,2b,4b,6b,50b 長距離ポート
50 メディアコンバータ(ネットワーク中継器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワーク中継器と、前記第1のネットワーク中継器と接続された第1のネットワーク接続装置と、前記第1のネットワーク接続装置と接続された第2のネットワーク接続装置と、前記第2のネットワーク接続装置と接続された第2のネットワーク中継器とから構成されるネットワークシステムであって、
前記第1のネットワーク接続装置と前記第2のネットワーク接続装置とは、OAMのCCMフレームを相互に相手方に送信することにより、互いの間の通信の接続性を監視し、
前記CCMフレームには、障害情報を格納するための障害情報格納領域が設定してあり、
前記第1のネットワーク接続装置は、前記第1のネットワーク中継器との間で障害の発生を検出した場合、前記CCMフレームの前記障害情報格納領域に障害情報を格納し、
前記第2のネットワーク接続装置は、前記障害情報格納領域に障害情報が格納された前記CCMフレームを受信した場合、前記第2のネットワーク中継器へ障害の発生を通知する、
ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記CCMフレームには、前記障害情報格納領域としてRF領域が設定してあり、
前記第1のネットワーク接続装置は、前記第1のネットワーク中継器からRFを受信することにより障害の発生を検出した場合、前記CCMフレームの前記RF領域に障害情報を格納し、
前記第2のネットワーク接続装置は、前記RF領域に障害情報が格納された前記CCMフレームを受信した場合、前記第2のネットワーク中継器へRFを送信することにより障害の発生を通知する、
ネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のネットワークシステムにおいて、
前記CCMフレームには、前記障害情報格納領域としてAIS領域が設定してあり、
前記第1のネットワーク接続装置は、前記第1のネットワーク中継器からの信号が途絶えたことにより障害の発生を検出した場合、又は前記第1のネットワーク中継器からオートネゴシエーション機能による障害通知の信号を受信することにより障害の発生を検出した場合、前記CCMフレームの前記AIS領域に障害情報を格納し、
前記第2のネットワーク接続装置は、前記AIS領域に障害情報が格納された前記CCMフレームを受信した場合、前記第2のネットワーク中継器への信号の送信を停止することにより前記第2のネットワーク中継器へ障害の発生を通知する、
ネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記CCMフレームには、前記障害情報格納領域としてLF領域が設定してあり、
前記第1のネットワーク接続装置は、前記第1のネットワーク中継器からLFを受信することにより障害の発生を検出した場合、前記CCMフレームのLF領域に障害情報を格納し、
前記第2のネットワーク接続装置は、前記LF領域に障害情報が格納された前記CCMフレームを受信した場合、前記第2のネットワーク中継器へLFを送信することにより障害を通知する、
ネットワークシステム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記第2のネットワーク接続装置は、前記第1のネットワーク接続装置からの前記CCMフレームが途絶えた場合、前記第2のネットワーク中継器への信号の送信を停止することにより前記第2のネットワーク中継器へ障害の発生を通知する、
ネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記第1のネットワーク接続装置と前記第2のネットワーク接続装置は、一つ以上の他のネットワーク接続装置を介して接続される、
ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−120073(P2012−120073A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270011(P2010−270011)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】