説明

ネットワークシステム

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、同一の伝送媒体上に異なるプロトコルを持つ複数の機器を接続したネットワークシステムに関し、特に、ファイルサーバにおけるデフォルトディレクトリ、デフォルトプリンタなどの指定を、ユーザー毎に用意したファイルを用いて行うようにしたネットワークシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、同一のネットワーク上にホスト、ワークステーションなどのデータ処理装置や、ファイルサーバ、プリンタなどの各種サービス機能を有する装置を接続したネットワークシステムが知られている。このようなネットワークシステムにおいては、接続されている各装置のプロトコルが同じであれば、装置間に共通のインターフェースを付加するだけで各種のデータ交換を行うことができる。一方、各装置のプロトコルが異なるときには、接続されている装置のプロトコルの違いを吸収してプロトコル変換を行うゲートウェイにログインし、ゲートウェイから希望のサービス機能を持つ装置にアクセスすることによってデータ交換等を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のTCP(Transmissin Control Protocol) に対応したゲートウェイでは、ユーザーがアクセスするファイルサービスのデフォルトディレクトリは、ユーザーがログインする毎にChange Working Directoryコマンドであらかじめ指定しておく必要があった。また、デフォルトプリンタについてはゲートウェイサービスのインストール時に指定しておく必要があり、データ交換等を行う際の操作が煩雑になるという問題点があった。さらに、ログインしてきたユーザー毎にデフォルトディレクトリ及びデフォルトプリンタを使い分けることができないという不便さがあった。
【0004】この発明は、ログイン時のデフォルトディレクトリやデフォルトプリンタの指定を不要とすると共に、デフォルトディレクトリやデフォルトプリンタをユーザー単位で指定できるようにしたネットワークシステムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、この発明に係わるネットワークシステムでは、ネットワークに接続された異なる通信プロトコルを有する複数の端末装置と、前記端末装置間の通信プロトコルを変換するゲートウエイとを有するネットワークシステムにおいて、前記ゲートウエイは、前記複数の端末を操作する各ユーザーに係わる情報をユーザープロファイルとして記憶する記憶手段と、前記端末装置を操作するユーザーが当該ゲートウエイを介して各種サーバにアクセスする際に、前記記憶手段に記憶したユーザープロファイルに基づいて該ユーザーに係わるデフォルトの条件を設定する設定手段とを具備することを特徴とする。また、本発明は、前記設定手段は、前記端末装置を操作するユーザーが当該ゲートウエイを介してプリントサーバにアクセスする際に、前記記憶手段に記憶したユーザープロファイルに基づいて該ユーザーに係わるデフォルトの印刷条件を自動的に設定することを特徴とする。また、本発明は、前記設定手段は、前記端末装置を操作するユーザーが当該ゲートウエイを介してファイルサーバにアクセスする際に、前記記憶手段に記憶したユーザープロファイルに基づいてファイルサーバ上の該ユーザーに係わるデフォルトのディレクトリを自動的に設定することを特徴とする。
【0006】
【作用】端末装置を利用するユーザーがゲートウエイにログインすると、ゲートウエイの記憶手段に格納されていた当該ユーザーに対応するユーザープロファイルからこのユーザーに係わるデフォルトの条件が取り出され、設定される。例えば、プリントサーバに印刷要求を行う場合には、このユーザーに対応する印刷条件がプリントサーバに設定され、またファイルサーバのサービスを受ける場合には、ファイルサーバ上の当該ユーザーに対応するディレクトリが指定される。このため、従来はログインするたびに行っていたデフォルトディレクトリ等の指定が不要となり、またユーザーごとにユーザープロファイルを用意することにより、ユーザーは使用したいデフォルトディレクトリの指定や印刷条件の設定を行うことができるので、ユーザー単位でデフォルトディレクトリ等を使い分けることができる。
【0007】
【実施例】以下、この発明に係わるネットワークシステムの一実施例を図面を参照しながら説明する。
【0008】図1は、この発明に係わるネットワークシステムの基本的な構成を示すブロック図である。図において、11はTCP/IPプロトコルに対応するホスト、12はXNS(Xerox Network System) プロトコルに対応し、プリントサービスを実行するプリンタ、13はXNS プロトコルに対応し、ファイルサービスを実行するファイルサーバ、14はXNS プロトコルに対応するワークステーション、15はXNS プロトコルに対応し、ファイルサービスを実行するホームファイルサーバ、16はTCP/IPプロトコルとXNS プロトコルに対応し、ホスト11とファイルサーバ13又はプリンタ12との間でデータ交換等を行うゲートウェイである。
【0009】前記ホームファイルサーバ15では、ユーザーがゲートウェイ16にログインしてきた時のユーザー固有情報を、各ユーザー毎にユーザープロファイル17として格納している。図2は、前記ユーザープロファイルのフォーマットの一例を示す説明図である。ユーザープロファイルには、デフォルトディレクトリ21、デフォルトプリンタ22、及びプリントパラメ−タ(プリント時の指定事項)23の各項目が設けられており、ユーザーはアクセスしたいデフォルトディレクトリやデフォルトプリンタの名前を任意に設定することができる。
【0010】図1のようなネットワークで構成されるシステムにおいて、図2で示したフォーマットのユーザープロファイルを、あらかじめユーザーの数だけホームファイルサーバ15に格納しておく。ユーザーがホスト11又はワークステーション14からゲートウェイ16に接続してログインすると、ゲートウェイ16はホームファイルサーバ15のユーザープロファイルを読み込み、設定されているデフォルトディレクトリやデフォルトプリンタへファイルを転送する。
【0011】例えば、TCP/IPプロトコルに対応するホスト11のファイルを、ファイル転送コマンドによって、XNS プロトコルに対応するファイルサービスへ転送する場合は、ユーザープロファイルに設定されたデフォルトディレクトリが転送先のディレクトリとして使用される。また、TCP/IPプロトコルに対応するホスト11のファイルを、プリント用コマンドによってXNS プロトコルに対応するプリントサービスへ送信する場合は、ユーザープロファイルに設定されたデフォルトプリンタ及びプリントパラメ−タが使用される。
【0012】また、前記ユーザープロファイルは、ユーザーコマンド(例:Change Local Print Parameters,Change Working Directory) 等で書き換えることができ、ユーザーによりログオフの手続きが実行された時には、その直前の状態を保持し記憶する。そして、ユーザーが再びログオンした時は、前回ログオフした時の状態で設定されていたデータが使用される。
【0013】次に、前記ユーザープロファイルによりデフォルトディレクトリ等の各種サービスを指定する場合のゲートウェイ16の処理手順を図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0014】ゲートウェイ16は、ユーザーからのログインを受け付けると(ステップ101)、ホームファイルサーバ15に格納されているユーザープロファイルを読み込み(ステップ102)、ログインしたユーザーについてデフォルトディレクトリ又はデフォルトプリンタが設定されているかどうかを判定する(ステップ103)。ユーザープロファイルにデフォルトディレクトリ等が設定されているときは、ユーザープロファイルに設定されているデフォルトディレクトリ又はデフォルトプリンタへファイルを転送する(ステップ104)。一方、ユーザープロファイルにデフォルトディレクトリ等が設定されていないときは、ユーザーにエラーメッセージを出力する(ステップ105)。そして、ユーザーからのデフォルトディレクトリ又はデフォルトプリンタの指定を受け付け(ステップ106)た後、指定されたデフォルトディレクトリ又はデフォルトプリンタへファイルを転送する(ステップ107)。ゲートウェイ16はログオフの手続きが実行されると、ログオフ時に設定されたデフォルトディレクトリ又はデフォルトプリンタをユーザープロファイルに記憶して(ステップ108)、処理を終了する。
【0015】このように、ユーザーがゲートウェイへログインした時にアクセスするファイルサービスのデフォルトディレクトリやデフォルトプリンタ等の情報を、ユーザー毎に用意したユーザープロファイルで一括して管理することにより、ログイン時のデフォルトディレクトリ等の指定が不要となり、データ交換等を行う際の操作を簡略化することができる。また、ユーザー毎にユーザープロファイルを用意することで、ユーザー単位でデフォルトディレクトリやデフォルトプリンタの指定ができるようになる。
【0016】なお、上述した実施例では、ネットワークのプロトコルとして、TCP/IP及びXNS を使用した例について説明したが、同等の機能を有するものであれば、他のプロトコル方式を適用してもよい。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、複数の端末を操作する各ユーザーに係わる情報をユーザープロファイルとして記憶しておき、端末装置を操作するユーザーがゲートウエイを介して各種サーバにアクセスする際に、該ユーザーに係わるデフォルトの条件を設定するよう構成したので、ユーザーごとに該ユーザーに対応する条件設定を行うことができる。また、本発明は、端末装置を操作するユーザーがゲートウエイを介してプリントサーバにアクセスする際に、該ユーザーに係わるデフォルトの印刷条件を設定するよう構成したので、ユーザーに対応する印刷条件を自動的に設定することができる。また、本発明は、端末装置を操作するユーザーがゲートウエイを介してファイルサーバにアクセスする際に、ファイルサーバ上の該ユーザーに係わるデフォルトのディレクトリを設定するよう構成したので、ユーザーに対応するデフォルトディレクトリの指定を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わるネットワークシステムの基本的な構成を示すブロック図。
【図2】ユーザープロファイルのフォーマットの一例を示す説明図。
【図3】ユーザープロファイルにより各種サービスを指定する場合のゲートウェイの処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…ホスト、12…プリンタ、13…ファイルサーバ、14…ワークステーション、15…ホームファイルサーバ、16…ゲートウェイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ネットワークに接続された異なる通信プロトコルを有する複数の端末装置と、前記端末装置間の通信プロトコルを変換するゲートウエイとを有するネットワークシステムにおいて、前記ゲートウエイは、前記複数の端末を操作する各ユーザーに係わる情報をユーザープロファイルとして記憶する記憶手段と、前記端末装置を操作するユーザーが当該ゲートウエイを介して各種サーバにアクセスする際に、前記記憶手段に記憶したユーザープロファイルに基づいて該ユーザーに係わるデフォルトの条件を自動的に設定する設定手段とを具備することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】 前記設定手段は、前記端末装置を操作するユーザーが当該ゲートウエイを介してプリントサーバにアクセスする際に、前記記憶手段に記憶したユーザープロファイルに基づいて該ユーザーに係わるデフォルトの印刷条件を自動的に設定することを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
【請求項3】 前記設定手段は、前記端末装置を操作するユーザーが当該ゲートウエイを介してファイルサーバにアクセスする際に、前記記憶手段に記憶したユーザープロファイルに基づいてファイルサーバ上の該ユーザーに係わるデフォルトのディレクトリを自動的に設定することを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】第2985345号
【登録日】平成11年(1999)10月1日
【発行日】平成11年(1999)11月29日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−76553
【出願日】平成3年(1991)4月9日
【公開番号】特開平4−311243
【公開日】平成4年(1992)11月4日
【審査請求日】平成8年(1996)10月18日
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【参考文献】
【文献】特開 平3−40055(JP,A)
【文献】特開 平2−72470(JP,A)