説明

ネットワーク・マップの生成

【課題】ネットワークのさまざまな位置でのネットワーク・アクセス技術の可用性を示すネットワーク・マップを生成する方法を提供すること。
【解決手段】方法は、(a)第1の識別子によってその位置が識別される第1のネットワーク・ユニット(105)が、第2の識別子によってその位置が識別される第2のネットワーク・ユニット(105)に、第1のデータを送信するステップであって、それにより、第1のデータが、少なくとも2つの異なるネットワーク・アクセス技術を使用して送信され、第2のネットワーク・ユニットのための少なくとも2つの異なる考え得る位置に送信される、送信するステップと、(b)第1のネットワーク・ユニット(105)が、送信された第1のデータに関連して、以下で第1の測定データと呼ばれる第2のデータを、第2のネットワーク・ユニット(105)から受信するステップと、(c)測定データ、第1の識別子、および第2の識別子に基づいて、ネットワーク・マップを生成するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームネットワーク・マップなどのネットワーク・マップを生成する新方法に関する。本発明はさらに、対応するコンピュータ・プログラム製品、通信ネットワーク要素、および通信システムに関する。
【0002】
ホームエリア・ネットワークとも呼ばれるホームネットワークは、住宅用のローカルエリア・ネットワークである。ホームネットワークは、一般にホーム内に配置されるデジタル・デバイス間の通信のために使用される。関係するデバイスは、通常、少数のパーソナル・コンピュータ、ならびにプリンタ、ルータ、スイッチ、および移動コンピューティング・デバイスなどのアクセサリである。多くのホームネットワークにおいて重要な機能は、インターネット・アクセスの共有であり、これはケーブル・テレビ、ファイバ、またはデジタル・サブスクライバ・ライン(DSL)プロバイダによる、ブロードバンドサービスである場合が多い。さらには、ホーム・サーバも、機能性向上のために加えられることがある。
【0003】
ホームネットワークを作成するよくあるやり方の1つが、無線ローカルエリア・ネットワーク(WLAN)の作成によるものであり、作成は、任意のIEEE802.11仕様、ワイヤレス・ギガビット・アライアンス(WiGig)仕様、高速パケット・アクセス(HSPA)、HSPAエボリューション、Worldwide Interoperability for Microwave Access(WiMax)、3GPPロング・ターム・エボリューション(LTE)、その他に基づくことができる。ホームネットワークはまた、異なるネットワーク・アクセス技術の組合せを含むことができる。無線ホームネットワークの設計には、フェムトセルを有利に使用することができる。無線ホームネットワークを、たとえば、電子デバイス同士を接続し、電子デバイスをインターネットに接続し、電子デバイスを、イーサネット(登録商標)技術を使用する有線ネットワークに接続するために、使用することができる。
【0004】
無線技術の代替として、既存のホーム配線を使用してホームネットワークを作成することができる。インターネット・アクセスは、ホームとアクセス・プロバイダとの間の既存の配線を通じて行われてもよい。インターネット・アクセスの接続性により、たとえば、同軸ケーブル、電話線、ファイバ、または電力線に基づいて、デバイスが情報を転送するのを可能にすることができる。既存のホーム配線を通じて、高速(1Gbit/sまで)のローカルエリア・ネットワーキングを実現するITU−T G.hnおよびIEEE Power Line Standrdは、インターネット・プロトコル・テレビジョン(IPTV)配信専用に設計されたホームネットワーキング技術の例である。ユーザは、電力線標準、ポリマー光ファイバ、またはイーサネット(登録商標)などの異なるアクセス技術をサポートすることができる特別な壁プラグを使用することによって、自分自身で有線ホームネットワークを設置することができる。ホームネットワークの設置により、単にコンピュータを壁ソケットにプラグ接続することによって、ネットワークはアクセスされてもよい。
【0005】
現在のホームネットワークにおいては、電力線通信(PLC)モデムまたはWLANデバイスなどのホームネットワーキング・デバイスのパフォーマンスを予測することは困難である。PLCでは、パフォーマンスは、主に電力線の設置、すなわちケーブル敷設に依存し、WLANでは、距離および壁数がスループットおよびカバレッジを決定する。したがって、あるホームネットワーキング・デバイスをその動作を最適化するために有利に配置することができる、ホームネットワークのパフォーマンス、およびより詳細な位置を、確実に判定することができれば有用であろう。また、与えられた位置のために、どのアクセス技術が最適であるかを知ることができれば有益であろう。現在のところ、高性能のホームネットワークの配置は、不慣れなユーザにとってのみならず、家主からの設置マップなどの追加的な情報にアクセスできない場合には、専門家にとっても、かなり困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の問題点は、ビジネスネットワークおよび地域ネットワークにもまた当てはまり、上で触れた通信技術および標準に限定されない。本発明の目的は、ホームネットワーク、ビジネスネットワーク、および地域ネットワークにおける現在のネットワーク・ソリューションの欠点を克服するソリューションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、請求項1に挙げる通り、ネットワークのさまざまな位置でのネットワーク・アクセス技術の可用性を示すネットワーク・マップを生成するための方法が提供される。
【0008】
したがって、提案される方法の使用により、顧客、現場サービス従業員、または電気技術者も、自動によるネットワークおよびホームの設置マップを得ることができる。これは、上記ユーザが、与えられた場所に適した技術、または、コンピュータおよびプリンタなどの、与えられた、もしくは新たなホームネットワーキング機器に適した場所を決定するのに役に立つことになる。
【0009】
提案されるアプローチを用いて、異なる伝送媒体の物理的な特性を活用することにより、簡単かつ自動的なやり方でネットワーク・マップを生成することが可能である。これらの特性は、たとえば、2つのデバイス間の信号減衰量、データレート、信号移動時間、およびさらなるネットワークの特徴であってもよい。
【0010】
さらに、図式化されていてもよいネットワーク・トポロジ・マップ(論理ネットワーク・マップ)を、すべての利用可能な無線および有線の技術について、短い時間で描くことができる。特に、より古い建物およびそれらの設備については、設置設計図が入手困難であるか、または滅多に存在しない。間取り図が利用可能であれば、この図を使用することができ、ネットワーク・トポロジ・マップを間取り図の上にマッピングすることができる。このように、さらなる増設のためのよりよい計画を作成することができ、顧客には、その人のホームについての推奨を与えることができる。
【0011】
提案される方法は、スタンドアローンの測定ユニットにおいて実装することができるが、限られた数の技術の部分的な測定は、電力線モデム、WLANユニット、またはコンピュータなど、すべて従来の通信デバイスによって行われてもよい。
【0012】
主な利点の1つはまた、このソリューションが即座に適用可能であり、ネットワーク・アーキテクチャの変更を必要としないことである。提案されるソリューションはまた、環境設定を必要とするパラメータがないことから、非常に使い勝手がよい。ユーザは、さらに詳細に以下で説明するように、ネットワーク・マップを取得するプロセスを開始するときに、ボタンを押すだけでよい。取得したネットワーク・マップは、いわゆる論理マップであり、すなわち、取得したマップは、どのようにして異なる測定ポイントが互いに接続されているか、かつ利用可能な技術の特質が何であるかを示す。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、第1のネットワーク・ユニット、第2のネットワーク・ユニット、および第3のネットワーク・ユニットのコンピュータ手段にロードされ、そこで実行されるときに、本発明の第1の態様による方法のステップを実装するための、コンピュータ・プログラム製品が提供される。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、請求項16に挙げる通り、ネットワークのさまざまな位置でのネットワーク・アクセス技術の可用性を示すネットワーク・マップを生成するためのネットワーク・ユニットが提供される。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、請求項18に挙げる通り、ネットワークのさまざまな位置でのネットワーク・アクセス技術の可用性を示すネットワーク・マップを生成するためのシステムが提供される。
【0016】
本発明の他の態様は、ここに添付される従属請求項において列挙される。
【0017】
本発明の他の特徴および効果は、添付の図面を参照して、以下の限定しない例示的な実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に従ってホームネットワーク・マップを決定することができる、アパートの簡略化した例示的なレイアウトを示す図である。
【図2】ホームネットワーク・マップを作成するときに取得される測定の例示的なトポロジを示す図である。
【図3】図2のトポロジ・マップを図1のレイアウトにマッピングした後に取得される例示的なホームネットワーク・マップの図である。
【図4a】本発明の実施形態に従って、ネットワーク・マップを生成する方法を示す流れ図である。
【図4b】本発明の実施形態に従って、ネットワーク・マップを生成する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、以下でより詳細に説明する。この実施形態は、ホームネットワークのコンテキストにおいて説明されることになるが、本発明の教示は、ホームネットワークに限定されず、ビジネスネットワークおよび地域ネットワークにおいてもまた適用可能であることに留意されたい。本発明は、自動生成の発想に基づく、チャネル特性および/またはチャネル特徴に基づいた、ネットワークのさまざまな位置でのネットワーク・アクセス技術の可用性および/または特性を示すネットワーク・マップである。さらに、本発明は、いくつかの無線および有線の技術を同時に検討することができる。生成したマップに基づいて、考え得る最もよいパフォーマンスを達成するために、特定の技術によるホームネットワーキング機器のための最適な場所についての推奨を与えることができる。さらに、場所がより重要な問題であることが想定されると、最も適した技術を推奨することができる。
【0020】
図1は、本発明に従ってホームネットワーク・マップを生成することができる、アパートの簡略化した例示的なレイアウトを示す。この設定では、ホームネットワークは、4つの部屋、すなわち、部屋1、部屋2、部屋3、および部屋4に散在する。全体で7つの電源ソケットまたは電力線ソケット1011〜7が示されており、そのうちのソケット101、101、101、および101は、相1にあり、一方で、ソケット101、101、および101は、相2にある。全体で3相の電力線相があってよい。部屋1には、住宅用WLAN送信機103もまた示されており、WLAN送信機103は、ラップトップ・コンピュータまたはプリンタ(図には示されず)などの、周辺デバイス用の無線アクセス・ネットワークを作成するために使用される。図1にはまた、第1のホームネットワーキング・ユニット105、および第2のホームネットワーキング・ユニット105が示されている。これらのホームネットワーキング・ユニット105は、以下でより詳細に説明するように、ホームネットワーク・マップを自動的に作成するために使用される。
【0021】
家屋設備の自動的に生成されるマップは、ホームネットワーキング機器を配置するために適した設定を決定するのに役立つ。特に、ホーム設備を有する顧客をサポートする現場サービスからの従業員がこれを使用することができ、または顧客自身も使用することができる。さらに、顧客は、与えられた場所に最も適した技術の大まかな全体像、ならびに顧客の配線回線設備の全体像を得る。ホームネットワーキング機器は、無線、たとえばWLAN、WiGig、HSPA、LTE、または有線、たとえば電力線、光ファイバ、イーサネット(登録商標)、同軸ケーブル、伝送用媒体の任意の組合せを使用することができる。
【0022】
測定ポイント、たとえば、壁接続ポイントに、1つのホームネットワーキング・ユニット105を配置し、対象の残りの場所に、別のユニット105を次々に配置することによって、与えられた場所における最適なネットワーク・アクセス技術を決定することができる。場所のそれぞれは、アイデンティティ(ID)を得ることになる。このIDは、以下でより詳細に説明するように、ホームネットワーキング・ユニット105自体によって与えられる。信号強度および位置特定測定(たとえば、到達時間または到達時間差)などの物理的なパラメータに基づいて、2つのユニット105、105の間の距離、ならびに達成可能なデータレートが判定される。さらに、有線技術の場合には、(たとえば異なる相に接続される)異なるソケットの依存関係を判定することができる。結果は、ホームネットワーキング・ユニット105によってサポートされるすべての異なる媒体について、1つの測定のステップ内で判定されてもよい。結果を、ホーム設備のレイアウトが概略的に示されているマップの中にプロットすることができる。マップ上では、与えられた場所のための最適な技術、ならびに与えられた技術のための最適な場所が、異なる媒体のチャネルの物理的な特性に基づいて推奨される。
【0023】
測定を行うためには、少なくとも2つのホームネットワーキング・ユニット105、105が必要であり、これらは場合によって複数の技術をサポートする。1つのユニット105が、基準(基地)局として使用され、たとえば、インターネット・プロトコルを使用することによって動作可能な外部通信ネットワークへのアクセスポイントであるホーム・ゲートウェイに近いソケット101中などの基準場所に配置される。図1では、基準局としての役割を果たす第1のホームネットワーキング・ユニット105が、ソケット101にプラグ接続されている。本発明に従って測定ユニットとして機能する第2のホームネットワーキング・ユニット105(支局、測定ポイント)が、その後、家屋またはアパートにおける対象のすべての他の場所に配置される。各測定ポイントにおいて、非曖昧なIDが、後の評価のためにこの測定ポイントに与えられる。関係する2つのユニット105は、組合せ目的のために互いのIDを認識させられる。したがって、ユニット105同士は、接続性を有する場合には、IDを交換する。2つのユニット105の間に接続性がない場合、測定は失敗することになり、ユニット105のうちの少なくとも1つの再配置が必要である。各測定は、独自の識別子を有するべきである。これは、両方のユニットの間で識別子を交換することによって行うことができる。代替的なソリューションでは、各測定値が記憶ユニットに記憶されるときに、一意の識別子を得る。測定データの記憶は、以下でより詳細に説明される。
【0024】
測定を実施する際は、信号が受信できない、または非常に弱い信号しか受信できなくなるまで、第2のユニット105をある位置から新たな位置に移動させる。次いで、第1のユニット105を、第2のユニット105との接続を確立できる見込みが高い、新たな、まだ使用されていない位置に移動させる。第2のユニット105は、接続性の失敗に備えて移動しない。電力線が使用されている場合は、両方のユニット105が、ここで以前とは異なる相にある可能性がある。以下の説明から明らかになるように、実装の詳細によっては、基準局105もまた測定局として動作することができることに留意されたい。
【0025】
たとえば、第2のホームネットワーキング・ユニット105のボタンを押すことによって、測定が開始される。測定中、第1のホームネットワーキング・ユニット105と第2のホームネットワーキング・ユニット105(測定ポイント)との間で、異なる物理的かつ統計的な特性および特徴が測定され、記憶される。これらの2つのユニット間のチャネルの測定は、減衰量、信号対雑音比、信号対干渉比、スループット、距離、往復時間、データ受信統計値、ビットレート・スイープ統計値、パケットサイズ・スイープ統計値、データロス統計値、および再伝送情報のうちの少なくとも1つである。2つのホームネットワーキング・ユニットの間で任意のデータを送信することによって可能になるこれらの測定を、次でより詳細に説明する。
【0026】
測定は、両方向において行われてもよい。たとえば、最初に第1のホームネットワーキング・ユニット105から第2のホームネットワーキング・ユニット105へのリンクが測定され、これが行われた後で、次に反対方向の同じリンクが測定される。その後、第2のホームネットワーキング・ユニット105で測定された特徴および統計値が、第1のホームネットワーキング・ユニット105に転送され、記憶される。第2のホームネットワーキング・ユニット105によって測定されたデータはまた、後の測定中に転送されてもよい。測定データはまた、ホームネットワーク内、またはさらにはインターネット内のいずれかにあってもよい追加的なデータ記憶域に送信されてもよい。1つの媒体、たとえば電力線通信についての測定が行われた後に、残りの媒体について測定が行われ、すなわち、上で説明した動作が、WLAN、またはファイバなどのすべての所望のネットワーク・アクセス技術が測定されるまで、繰り返される。
【0027】
送信機(ホームネットワーキング・ユニット)において、周波数、伝送電力、その他などの信号生成器の異なるパラメータを変更することができる。これにより、いくつかの周波数帯域を自動的に測定することが可能になり、すなわち、たとえば、周波数帯域が2つ以上ある場合に最もよい周波数帯域を決定するために、周波数依存パラメータを測定することができる。これらのパラメータは次いで、データリンクを介して、受信機に伝送される(または逆も同様である)。受信機にデータを送信するとき、送信機の信号生成器が、異なる周波数および伝送電力(これらは、特徴的送信機ポイントと呼ばれる)をオンにされる。これらの特徴的送信機ポイントのそれぞれについて、異なるパラメータが測定される。これらのパラメータは、たとえば、
−送信機側で、出力電圧が測定される。
−受信機側で、入力電圧が測定される。
−受信機側で、受信データのためのスループット(データレート、時間当たりのデータ)が測定される。
−受信機側で、伝送エラーの数(時間当たりのエラー)が測定される。
−送信機側で、データ往復時間(送信機から受信機および逆の信号のランタイム)が測定される。
−受信機側で、位相差(位相シフト)が測定される。
【0028】
物理層およびデータ層での特徴が測定され、測定された特徴のベクトルである特徴ベクトルを取得するために、それらを組み合わせることができる。送信機ポイントのそれぞれについて、1つまたは複数の測定を行うことができる。変圧器とキャパシタとの結合など、データ伝送デバイスからのいくつかの追加的なパラメータがまた検討されてもよい。測定された値を、データリンクを介して(電気的測定に加えて)送信機と受信機との間で交換することができる。測定は、2つの層で行われる。物理層は、電気的特徴を測定するために使用され、論理層は、データ特徴を測定するために使用される。ユニット105同士のデータの交換は、物理層を使用することによってデータ層において行われる。したがって、測定を実施している間にデータ交換を行うことができる。送信機と受信機とのデータの交換により、異なる測定シナリオを実装することができる。たとえば、送信機は、どのパラメータを使用したかについて受信機に通知することができ、受信機は、何を受信したかについて送信機に通知することができる。次いで送信機は、受信機の答えに反応することができ、たとえば、送信機は、伝送電力を増やしたり、減らしたり、または周波数を変更したりすることなどができる。
【0029】
システムはまた、同期をとることができる。これは、両方のユニット105の時間ベースが同期して、測定品質のみならず、ユニット105のそれぞれにおける状態もまた保証することを意味する。これは、測定が失敗した場合に重要である。その場合、ユニットは再び互いを見つけ出し、それらが復旧して測定を続行すべき状態にある(図4aおよび4bの流れ図を参照されたい)ことを知る必要がある。信号(接続性)が利用可能でない場合、受信機は送信機にデータを送信しない。あらかじめ定義されたタイムアウトにより、無接続が検出されてもよい。測定中の送信機と受信機とのデータの交換のおかげで、伝送特性に即座に反応することが可能であり、2つのデバイスの同期を取得することができる。
【0030】
測定された値は、後の処理のために、ユニット105、105のうちの1つに記憶されるか、または別の記憶デバイスに、もしくはインターネットにおけるサーバに転送される。ホームネットワークのより正確な状況を得るために、すべての考え得る場所の組合せが測定できるように、第1のホームネットワーキング・ユニット105はまた、異なる場所に配置されてもよい。第2のホームネットワーキング・ユニット105はまた、第1のホームネットワーキング・ユニット105との考え得る最もよいリンクを、出力デバイス、たとえば小さなディスプレイ上に示すことができる。これは、測定を実施するユーザが、いくつかの特定の測定について即座のフィードバックを望む場合に、有利である。当然ながら、第1のホームネットワーキングユニット105がまた、結果をディスプレイに示すように整えられてもよい。第1および第2のホームネットワーキング・ユニットは、実際には物理的に同一であってもよい。
【0031】
すべての測定を実施した後で、測定データを、結果の計算および/または提示のために、コンピュータまたは別のデバイスに転送することができる。図2は、測定のトポロジを示す。このトポロジは、まだアパートのレイアウトにマッピングされていない。より情報の多いネットワーク・マップを得るために、アパートのレイアウトを測定のトポロジにマッピングすることができる。こうすることにより、測定ポイントを、簡略化した部屋マップの上に配置することができる。測定されたデータに基づいて、ネットワーク・マップが生成され、リンク・データが詳細なやり方で示され、与えられた場所のための最も適した技術の推奨が、自動的に提供される。これは、図3に概略的に示されている。図3のネットワーク・マップはまた、測定を実施する際に、関連する部屋番号をユーザが手作業で示すことによって取得されてもよい。
【0032】
図4の流れ図は、上で説明したようなホームネットワーク・マップを生成する方法の一例を示す。最初に、ステップ401で、ユーザは、第1のホームネットワーキング・ユニット105を新たな位置に配置し、次いでステップ403で、第2のホームネットワーキング・ユニット105もまた新たな位置に配置される。ステップ405で、これらのユニット105の位置を非曖昧に識別する位置IDが与えられる。各ユニットが、一意の位置IDをそれ自体に割り当てる。したがって、IDは、各ユニットによってローカルに与えられてよい。またこのステップでは、測定を同期させ、組み合わせることができるように、ユニット105がIDを交換する。ステップ407で、第1のユニット105は、利用可能なネットワーク・アクセス技術を使用することによって、第2のユニット105にデータを送信する。ステップ409で、第2のユニットがデータを受信し、データを処理し、測定を実施する。ステップ407および409は、全体的に同時に、すなわち並行して実施される。このようにして、第1の測定データが取得される。ステップ411で、前の2つのステップがすべての利用可能なアクセス技術について行われたかどうかが判定される。その応答が否定である場合、プロセスはステップ407に続く。
【0033】
一方、応答が肯定である場合、ステップ413で、第2のユニット105は、利用可能なアクセス技術を使用することによって、第1のユニット105にデータを送信する。次いでステップ415で、第1のユニット105は、受信したデータを処理し、受信したデータで測定を実施する。このようにして、第2の測定データが取得される。ステップ413および415は、全体的に平行して実施される。ステップ417で、前の2つのステップがすべての利用可能なアクセス技術について行われたかどうかが判定される。その応答が否定である場合、プロセスはステップ413に続く。
【0034】
一方、応答が肯定である場合、ステップ419で、第1の測定データが、第2のユニット105から第1のユニット105に転送される。接続性が存在すれば、データを、ネットワークの別のデバイスに記憶することもまたできる。測定値は、任意の利用可能な無線または有線の技術を使用して、転送されてもよい。パフォーマンスに関して最適なアクセス技術を、データの転送のために選択することができる。ステップ421で、第2のユニット105がすべての所望の位置に配置されたかどうかが判定される。その応答が否定である場合、ステップ423で、ユーザは第2のユニット105を別の位置に配置する。このステップの後、プロセスはステップ405に続く。
【0035】
ステップ421で、応答が肯定である場合、ステップ425で、第1のユニット105がすべての所望の位置に配置されたかどうかが判定される。その応答が否定である場合、ステップ427で、第1のユニット105が別の位置に配置され、この後、プロセスはステップ403に続く。
【0036】
しかし、ステップ425で、第1のユニット105がすべての所望の位置に配置されたと判定された場合、ステップ429で、第1および第2の測定データが処理される。このステップはまた、第1および第2の測定データを、第1のユニット105から、測定情報を処理することができる外部サーバに転送することを含む。次いで、処理された測定値に基づいて、ステップ431で、測定値を処理したプロセッサによってネットワーク・マップが作成される。この例では、最初に(図2に示すような)ネットワーク・トポロジ・マップが取得され、次いでトポロジ・マップを、与えられた間取り図にマッピングすることによって、実際のネットワーク・マップが取得される。
【0037】
電力線の異なる相もまた判定することができる。ここで、統計的尤度が、異なる相を判定するために使用されてもよい。1つの相から別の相を通じてデータを転送することが、干渉により起こり得る。しかし、このケースでは、データレートが劇的に落ちることになる。ここで、第1のユニット105の場所を変更し、同時に第2のユニット105を固定し続けた場合、かつ電力線上で高いデータレートが測定された場合、高い確率で、当のネットワーク測定における相が変化したことが想定されてもよい。
【0038】
ステップ433で、与えられた場所のための最もよい利用可能なネットワーク・アクセス技術についての推奨が同じプロセッサによって与えられ、ステップ435で、与えられた技術のための最もよい場所についての推奨が、やはり同じプロセッサによって与えられる。取得したネットワーク・マップおよび結果は、たとえば、ユーザ名およびパスワードを使用することによって、それらに簡単にアクセスできるように、たとえば、ウェブサイト上で利用可能にされてもよい。これでプロセスは終了する。図4の流れ図において、ステップの順序は、若干変更されてもよいことに留意されたい。たとえば、第1の測定データは、1つの特定の技術を使用した測定が終了される度に、第2のユニット105から第1のユニット105に転送されてもよい。
【0039】
以上では、本発明の実施形態を、ホームネットワークのコンテキストにおいて説明した。しかしながら、本発明の教示は、このネットワークに限定されない。本発明の教示は、ネットワーク・マップを作成することが有益であるすべてのネットワークに適用可能である。これらのネットワークの例が、ビジネスネットワークおよび地域ネットワークである。これらのネットワークは、ローカルエリア・ネットワークであってもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。
【0040】
本発明はさらに、上で説明した方法を実装することが可能なホームネットワーキング・ユニット105に関する。上で説明した方法のステップのいくつかは、第1のホームネットワーキング・ユニット105によって実施され、いくつかは、第2のホームネットワーキング・ユニット105によって実施される。言及したように、ホームネットワーキング・ユニット105は、特定の測定ユニットであってもよいし、測定能力を備えた通常のエンド・ユーザ・ネットワーク・デバイスであってもよい。本発明はまた、第1および第2のネットワーク・ユニット、ならびに場合によっては実際のネットワーク・マップを作成するように整えられた外部プロセッサも含むシステムに関する。
【0041】
本発明は同様に、方法を実装することが可能なネットワーク・ユニットのコンピュータ手段にロードされ、そこで実行されるときに、上で説明した方法のステップを実装するための命令を含むコンピュータ・プログラム製品に関する。
【0042】
本発明を、図面および前述の説明において図示し、詳細に説明してきたが、そのような図示および説明は、説明的または例示的とみなされ、制限的とはみなされるべきではなく、本発明は、開示された実施形態に限定されない。図面、開示、および添付の特許請求の範囲の検討に基づいて、特許請求される本発明を実行するとき、他の実施形態および変形形態が、当業者によって理解され、実現されてもよい。特に、ネットワーク・マップを作成するとき、学習プロセスが、その目的のために使用されてもよい。言い換えれば、より詳細なネットワーク・マップを得るために、既に実施された測定を、さらなる測定において有利に使用することができる。特に、2つの別個の測定値が同様に見える場合、現在測定されたリンクが、以前に測定されたリンクと同じ特徴を有するかが判定されてもよい。さらに、3つ以上の測定ユニットを使用することによって、測定を実施することもまた可能である。たとえば、測定されるべき場所ごとに1つの測定ユニット(たとえば、5〜10の測定ユニット)を有することが可能であろう。1つのボタンを押すことによって、すべての要求された測定ユニット間でのすべての測定が自動的に行われる。各測定は、2つのユニットについて説明されたように行われるが、測定は、次から次へと自動的に行われることになる。あるいは代替的には、各測定ユニットが、測定を同時に実施することができる。
【0043】
特許請求の範囲において、単語「含む」(「comprising」)は、他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数であることを排除しない。単一のプロセッサまたは他のユニットは、特許請求の範囲において列挙された、いくつかのアイテムの機能を実現することができる。相互に異なる従属請求項において異なる特徴が列挙されるという単なる事実は、これらの特徴の組合せを有利に使用することができないということを示すものではない。特許請求項におけるあらゆる参照符号は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークのさまざまな位置でのネットワーク・アクセス技術の可用性を示すネットワーク・マップを生成する方法であって、
第1の識別子によってその位置が識別される第1のネットワーク・ユニット(105)が、第2の識別子によってその位置が識別される第2のネットワーク・ユニット(105)に、第1のデータを送信するステップ(407)であって、それにより、前記第1のデータが、前記第2のネットワーク・ユニット(105)のための少なくとも2つの異なる考え得る位置に送信される、送信するステップ(407)と、
前記第2のネットワーク・ユニット(105)が、送信された第1のデータに関連して、以下で第1の測定データと呼ばれる第2のデータを、前記ネットワーク・マップを生成するように整えられた第3のネットワーク・ユニットに転送するステップ(419)と、
前記第3のネットワーク・ユニットが、前記第1の測定データ、前記第1の識別子、および前記第2の識別子に基づいて、前記ネットワーク・マップを生成するステップ(431)と
を含む方法。
【請求項2】
前記第3のネットワーク・ユニットが、前記第1のネットワーク・ユニット(105)または外部プロセッサである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のデータが、少なくとも2つの異なるネットワーク・アクセス技術を使用して前記第1のネットワーク・ユニット(105)によって送信される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の測定データが、前記第1のデータを処理すること(409)によって取得される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
与えられた位置におけるホームネットワーキング・ユニット(105)のための最適なネットワーク・アクセス技術についての推奨を生成すること(433)、および/または、
特定のネットワーク・アクセス技術を使用するように構成されたホームネットワーキング・ユニット(105)のための最適な場所についての推奨を生成すること(435)
をさらに含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のネットワーク・ユニット(105)を少なくとも1つの他の位置に配置すること(427)と、次いで、この新たな位置から前記第2のネットワーク・ユニット(105)に前記第1のデータを送信することとをさらに含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくともある位置において、前記第1のネットワーク・ユニット(105)および/または前記第2のネットワーク・ユニット(105)が、有線通信ネットワークの接続ポイントにプラグ接続される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ネットワーク・マップを生成することの前に、前記方法が、
前記第1のネットワーク・ユニット(105)が、前記第2のネットワーク・ユニット(105)から第3のデータを受信すること(413)であって、それにより、前記第3のデータが、少なくとも2つの異なるネットワーク・アクセス技術を通じて、前記第2のネットワーク・ユニット(105)のための少なくとも2つの異なる考え得る位置から受信される、受信すること(413)と、
前記第1のネットワーク・ユニットが、前記ネットワーク・マップを生成するときに使用されることになる第2の測定データを取得するために、前記第3のデータを処理すること(415)と
をさらに含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の測定データおよび/または前記第2の測定データが、以下の値、前記第1のネットワーク・ユニットと前記第2のネットワーク・ユニットとの間の減衰量、スループット、前記第1のネットワーク・ユニットと前記第2のネットワーク・ユニットとの間の距離、データ往復時間、データ受信統計値、ビットレート・スイープ統計値、パケットサイズ・スイープ統計値、データロス統計値、および再伝送情報のうちの、少なくとも1つを含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の測定データおよび/または前記第2の測定データを取得する際に、以前に処理されたデータが現在のデータを処理するときに考慮に入れられる学習プロセスが使用される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のネットワーク・ユニット105および前記第2のネットワーク・ユニット105が、前記第1の識別子および前記第2の識別子を交換する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ネットワーク・マップが、与えられた間取り図にネットワーク・トポロジ・マップをマッピングすることによって取得される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第3のユニットに前記第1の測定データを転送する前記第1のネットワーク・ユニット105に前記第1の測定データを転送する前記第2のネットワーク・ユニット105によって、前記第1の測定データが、前記第3のユニットに転送される、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
特定の第2のネットワーク・ユニット(105)が、前記第2のネットワーク・ユニット(105)のためのそれぞれの位置に整えられ、前記第1の測定データが、前記第1のデータを次々と処理する前記第2のネットワーク・ユニット(105)によって、または前記第1のデータを同時に処理する前記第2のネットワーク・ユニット(105)によって取得される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第1のネットワーク・ユニット(105)、第2のネットワーク・ユニット(105)、および第3のネットワーク・ユニットのコンピュータ手段にロードされ、そこで実行されるときに、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法のステップを実装するための命令を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項16】
第1の識別子によってその位置が識別されるネットワーク・ユニット(105)であって、
第2の識別子によってその位置が識別される他のネットワーク・ユニット(105)に、第1のデータを送信するための手段であって、それにより、前記第1のデータが、前記他のネットワーク・ユニット(105)のための少なくとも2つの異なる考え得る位置に送信される、送信するための手段と、
送信された第1のデータに関連して、以下で第1の測定データと呼ばれる第2のデータを、前記他のネットワーク・ユニット(105)から受信するための手段と、
前記第1の測定データ、前記第1の識別子、および前記第2の識別子に基づいて、ネットワーク・マップを取得するために、前記第1の測定データを処理するための手段と
を含む、ネットワークのさまざまな位置でのネットワーク・アクセス技術の可用性を示す前記ネットワーク・マップを生成するためのネットワーク・ユニット(105)。
【請求項17】
前記測定データの処理が、前記ネットワーク・マップを生成するための外部プロセッサに前記測定データを転送することを含む、請求項16に記載のネットワーク・ユニット。
【請求項18】
ネットワークのさまざまな位置でのネットワーク・アクセス技術の可用性を示すネットワーク・マップを生成するためのシステムであって、前記システムが、第1の識別子によってその位置が識別される第1のネットワーク・ユニット(105)と、第2の識別子によってその位置が識別される第2のネットワーク・ユニット(105)と、第3のネットワーク・ユニットとを含み、
前記第1のネットワーク・ユニット(105)が、前記第2のネットワーク・ユニット(105)に第1のデータを送信するように構成されており、それにより、前記第1のデータが、前記第2のネットワーク・ユニット(105)のための少なくとも2つの異なる考え得る位置に送信されるように整えられ、
前記第2のネットワーク・ユニット(105)が、前記第1のデータを受信するように、かつ、送信された第1のデータに関連して、以下で第1の測定データと呼ばれる第2のデータを取得するために前記第1のデータを処理するように構成されており、
前記第2のネットワーク・ユニット(105)が、前記第1の測定データを前記第3のネットワーク・ユニットに転送するようにさらに構成されており、
前記第3のネットワーク・ユニットが、前記第1の測定データを受信するように、かつ、前記測定データ、前記第1の識別子、および第2の識別子に基づいて、前記ネットワーク・マップを取得するために前記第1の測定データを処理するようにさらに構成されている、
システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【公開番号】特開2012−151845(P2012−151845A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−6857(P2012−6857)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【出願人】(501084684)スイスコム アーゲー (3)
【Fターム(参考)】