説明

ネットワーク中継装置、ネットワークシステム、ネットワーク中継装置におけるフレームのカプセル化方法

【課題】コアネットワーク内の物理回線を冗長化しつつ、コアネットワーク内で中継されるフレームをカプセル化するネットワーク中継装置において、宛先と送信元が同じである一群のフレームの到達順序を保証する。
【解決手段】コアネットワークの境界に接続されフレームを中継するネットワーク中継装置は、物理回線を接続するための複数のポートと、複数のポートにそれぞれ接続された複数の物理回線を仮想的な仮想回線として扱い、フレームに含まれるヘッダの内容に応じて、所定の規則に従いフレームの出力先となる出力先物理回線を選択する仮想回線制御部と、コアネットワークへ向けて送信するフレームに対して、仮想回線制御部によって選択される出力先物理回線が、宛先と送信元が同じである一群のフレームについて同一となるようにカプセルヘッダを付与するカプセル処理部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアネットワークとユーザネットワークの境界に接続されるネットワーク中継装置における、フレームのカプセル化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
イーサネット(登録商標)は、MACアドレスに基づいてフレームを中継するネットワークであり、複雑なプロトコルやアドレッシングの設定が必要ないことを特徴とする。イーサネットは、その簡便さから、近年では、地域間をまたがるような広域ネットワークの実現手段としても用いられている。イーサネットのフレーム中継は、フレームに付与された宛先MACアドレスやVLAN(Virtual LAN)番号に基づいて行われる。このため、広域イーサネットでは、収容される端末の数や、設定されるVLANの数に比例して、フレーム中継先を決定するために用いられる経路表が膨大な大きさとなることが課題とされていた。この課題を解決するために、コアネットワーク内で中継されるフレームを、コアネットワークとユーザネットワークとの境界に位置するエッジスイッチのMACアドレスを用いてカプセル化する技術、例えば、EoE(Ethernet over Ethernet、非特許文献1参照)や、VPLS(Virtual Private LAN Service、非特許文献2参照)や、PBB(Provider Backbone Bridge、非特許文献3参照)などが知られている。
【0003】
一方、コアネットワークやアクセスネットワーク等において、大容量かつ信頼性の高いネットワークを実現するための技術として、リンクアグリゲーション(LA、Link Aggregation)が知られている。リンクアグリゲーションを用いれば、複数の物理回線を集約して、仮想的な1つの仮想回線として扱うことが可能となり、回線の大容量化を実現することができる。また、仮想回線を構成する物理回線の一部に障害が発生しても、残りの物理回線で通信を継続することができる。すなわち、物理回線の冗長化を図ることができ、信頼性を向上させることができるという利点がある(非特許文献4参照)。
【0004】
リンクアグリゲーションにおいて、フレーム中継時に、仮想回線を構成する物理回線の、どの物理回線にフレームを出力するかを決定する方法(以降「フレーム振り分け規則」とも呼ぶ。)の1つとして、フレームの宛先MACアドレスと送信元MACアドレスに応じて回線を決定する方法がある。宛先MACアドレスと送信元MACアドレスに応じてフレームを振り分ける方法は、仮想回線内でのきめ細かなトラフィック分散が可能であり、広く普及している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】電子情報通信学会, 「広域イーサネット技術概論」, 2005年6月, ISBN:4885522110. pp. 129-153
【非特許文献2】IETF, “Virtual Private LAN Service (VPLS) Using Label Distribution Protocol (LDP) Signaling”, RFC4762.
【非特許文献3】IEEE, “IEEE Standard for Local and Metropolitan Area Networks-Virtual Bridged Local Area Networks Amendment 7: Provider Backbone Bridges”, IEEE802.1ah-2008.
【非特許文献4】IEEE, “IEEE Standard for Local and Metropolitan Area Networks--Link Aggregation”, IEEE802.1AX-2008. p.106
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のリンクアグリゲーションでは、通信データの宛先と送信元が同じである一群のフレーム(以降、「同一フローに属するフレーム」とも呼ぶ。)は、フレームの到達順序を保証するために、同一の物理回線を使用して中継されることが好ましい。しかし、EoEのようなコアネットワーク内のフレームをカプセル化する技術と、リンクアグリゲーションとを組み合わせたネットワークでは、エッジスイッチより、フレームに新たなヘッダが付与されてしまう。このため、宛先MACアドレスと送信元MACアドレスに応じたフレーム振り分け規則を用いた場合、フレームのカプセル化を行うエッジスイッチが宛先エッジスイッチの存在を学習済みか否かによって、カプセル化されたフレームの宛先MACアドレスが変動してしまう。そのため、カプセル化されたフレームは、同一フローに属するフレームであっても異なる物理回線を使用して中継される場合があり、その結果、フレームの到達順序が保証できない場合があるという問題があった。
【0007】
また、このような問題は、リンクアグリゲーション、EoE、VPLS、PBBといった具体的なプロトコルおよびその組み合わせに限定されず、コアネットワーク内の物理回線を冗長化しつつ、コアネットワーク内で中継されるフレームをカプセル化するネットワーク中継装置に共通する問題であった。
【0008】
本発明は、物理回線を冗長化しつつ、コアネットワーク内で中継されるフレームをカプセル化するネットワーク中継装置において、通信データの宛先と送信元が同じである一群のフレームの到達順序を保証することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]
コアネットワークの境界に接続され、フレームを中継するネットワーク中継装置であって、
物理回線を接続するための複数のポートと、
前記複数のポートにそれぞれ接続された複数の物理回線を仮想的な仮想回線として扱う仮想回線制御部であって、前記フレームに含まれるヘッダの内容に応じて、所定の規則に従い前記フレームの出力先となる出力先物理回線を選択する仮想回線制御部と、
前記コアネットワークへ向けて送信する前記フレームに対して、前記仮想回線制御部によって選択される前記出力先物理回線が、宛先と送信元が同じである一群のフレームについて同一となるように、カプセルヘッダを付与するカプセル処理部と、
を備える、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、カプセル処理部は、仮想回線制御部によって選択される出力先物理回線が、宛先と送信元が同じである一群のフレームについて同一となるように、カプセルヘッダを付与するため、物理回線を冗長化しつつ、コアネットワーク内で中継されるフレームをカプセル化するネットワーク中継装置において、宛先と送信元が同じである一群のフレームの到達順序を保証することができる。
【0011】
[適用例2]
適用例1記載のネットワーク中継装置であって、
前記カプセル処理部は、
前記フレームに対する宛先検索を実行し、
前記宛先検索の結果、当該フレームの宛先が学習済であった場合に、当該フレームの宛先が未学習である際に選択される前記出力先物理回線と同じ回線が、前記出力先物理回線として選択されるように前記カプセルヘッダを付与する、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、カプセル処理部は、フレームの宛先が学習済であった場合に、当該フレームの宛先が未学習である際に選択される出力先物理回線と同じ回線が出力先物理回線として選択されるようにカプセルヘッダを付与するため、宛先の学習有無に関わらず、出力先物理回線を同じにすることができる。
【0012】
[適用例3]
適用例2記載のネットワーク中継装置であって、
前記カプセル処理部は、
前記宛先検索の結果、前記フレームの宛先が学習済であった場合に、前記カプセルヘッダに含まれる、宛先アドレスと、送信元アドレスと、VLANの識別子と、のうちの少なくともいずれかについての演算を実行することにより、前記カプセルヘッダを付与する、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、カプセル処理部は、カプセルヘッダに含まれる宛先アドレスと、送信元アドレスと、VLANの識別子と、のうちの少なくともいずれかについて演算を実行するため、カプセルヘッダの内容を簡便に決定することができる。
【0013】
[適用例4]
適用例3記載のネットワーク中継装置であって、
前記カプセル処理部は、
前記コアネットワーク内のコアネットワーク中継装置がカプセルヘッダの内容に従って前記フレームを中継する際、ならびに前記ネットワーク中継装置が前記フレームのカプセルヘッダを削除して中継する際において、中継先の判断に影響しないビット領域に対して演算を実行する、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、カプセル処理部は、カプセルヘッダの内容に従ってフレームを中継するコアネットワーク中継装置と本ネットワーク中継装置において、中継先の判断に影響されないビット領域に対して演算を実行するため、演算結果がネットワーク全体のカプセルフレームの中継に影響を及ぼさない。
【0014】
[適用例5]
適用例3または4記載のネットワーク中継装置であって、さらに、
前記宛先検索と、前記カプセルヘッダの付与と、に用いられる宛先表を格納した記憶部を備え、
前記カプセル処理部は、
特定の宛先について、前記宛先検索の結果、前記フレームの宛先が学習済であった場合の初回に付与された前記カプセルヘッダの内容を前記宛先表に記憶させ、当該特定の宛先についての2回目以降の前記カプセルヘッダの付与の際には、前記宛先表に記憶された前記カプセルヘッダの内容を参照して前記カプセルヘッダを付与する、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、カプセル処理部は、特定の宛先について、宛先検索の結果、当該フレームの宛先が学習済であった場合の初回に付与されたカプセルヘッダの内容を宛先表に記憶させ、当該特定の宛先についての2回目以降のカプセルヘッダの付与の際には、宛先表に記憶されたカプセルヘッダの内容を参照してカプセルヘッダを付与するため、カプセル処理部の処理負荷を低減することができる。
【0015】
[適用例6]
ネットワークシステムであって、
コアネットワークを構成するコアネットワーク中継装置と、
適用例1ないし5のいずれか一項記載のネットワーク中継装置と、
を備え、
前記コアネットワーク中継装置は、
物理回線を接続するための複数のポートと、
前記複数のポートにそれぞれ接続された複数の物理回線を仮想的な仮想回線として扱う仮想回線制御部であって、受信フレームに含まれるカプセルヘッダの内容に応じて、所定の規則に従い前記受信フレームの出力先となる出力先物理回線を選択する仮想回線制御部と、
を備え、
前記コアネットワーク中継装置の前記仮想回線制御部と、前記ネットワーク中継装置の前記仮想回線制御部とは、同一の規則に従って前記出力先物理回線を選択する、ネットワークシステム。
このような構成とすれば、コアネットワーク内で中継されるフレームをカプセル化するネットワークシステムにおいて、宛先と送信元が同じである一群のフレームの到達順序を保証することができる。
【0016】
[適用例7]
適用例6記載のネットワークシステムであって、
前記コアネットワーク中継装置は、
前記受信フレームの前記カプセルヘッダに含まれる宛先が、マルチキャストアドレスと、前記出力先物理回線の先に存在する前記ネットワーク中継装置と、のいずれにも該当しない場合、当該受信フレームを廃棄する、ネットワークシステム。
このような構成とすれば、ネットワークシステムにおいて、不要なマルチキャストフレームを廃棄し、マルチキャスト実行に伴う帯域の圧迫を低減することができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、ネットワーク中継装置および方法、ネットワーク中継装置とコアネットワーク中継装置を含んだネットワークシステム、ネットワーク中継装置におけるフレームのカプセル化方法、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、カプセル処理部は、仮想回線制御部によって選択される出力先物理回線が、宛先と送信元が同じである一群のフレームについて同一となるように、カプセルヘッダを付与するため、物理回線を冗長化しつつ、コアネットワーク内で中継されるフレームをカプセル化するネットワーク中継装置において、宛先と送信元が同じである一群のフレームの到達順序を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例としてのネットワーク中継装置が用いられたネットワークの概略構成を示す説明図である。
【図2】フレームFMとカプセル化フレームCFMについて説明するための説明図である。
【図3】比較例においてフレームが中継される様子を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施例としてのエッジスイッチの概略構成を示す説明図である。
【図5】エッジスイッチの中継処理部の機能ブロック図である。
【図6】LAテーブルの一例を示す説明図である。
【図7】FDBの一例を示す説明図である。
【図8】フィルタテーブルの一例を示す説明図である。
【図9】フレーム受信時処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】宛先判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】カプセル化処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】同一フローに属するフレームが本実施例のエッジスイッチによってどのようにカプセル化されるかを示す説明図である。
【図13】コアスイッチの動作について説明するための説明図である。
【図14】本発明の一実施例としてのコアスイッチの概略構成を示す説明図である。
【図15】コアスイッチの中継処理部の機能ブロック図である。
【図16】コアスイッチのフィルタテーブルの一例を示す説明図である。
【図17】第2実施例におけるエッジスイッチの中継処理部の機能ブロック図である。
【図18】第2実施例におけるFDBの一例を示す説明図である。
【図19】第2実施例におけるカプセル化処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】同一フローに属するフレームが第2実施例のエッジスイッチによってどのようにカプセル化されるかを示す説明図である。
【図21】第2実施例においてFDBが更新される様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
【0021】
A.概略説明:
(A−1)本発明の概略説明:
図1は、本発明の一実施例としてのネットワーク中継装置が用いられたネットワークの概略構成を示す説明図である。ネットワークシステム1000は、2台のネットワーク中継装置10と、2台のコアネットワーク中継装置20と、3台のクライアントデバイスを備えている。以降、ネットワーク中継装置を「エッジスイッチ」と、コアネットワーク中継装置を「コアスイッチ」と、クライアントデバイスを「端末」とも呼ぶ。なお、エッジスイッチを相互に識別する必要がある場合に、一方をエッジスイッチ#1、他方をエッジスイッチ#2等と呼び、エッジスイッチそのものの構成や動作の説明では「エッジスイッチ10」と呼ぶ。このことは、コアスイッチ、端末についても同様である。また、図1では便宜上、説明上必要としない、他のネットワーク中継装置、回線、端末、およびネットワーク中継装置内の構成部については図示を省略している。このことは、後述する図においても同様である。
【0022】
エッジスイッチ10は、拠点間や通信事業者間を結ぶコアネットワークBNと、他種のネットワーク(例えば、アクセスネットワークや、ユーザネットワーク)との境界に接続され、コアネットワークBN内で中継されるフレームをカプセル化するスイッチである。コアスイッチ20は、コアネットワークBNにおいて、フレームの中継に用いられるスイッチである。端末30は、エッジスイッチに接続され、他種のネットワークを構成するデバイスであり、例えば、パーソナルコンピュータや、スイッチ等が含まれる。
【0023】
エッジスイッチ#1と端末#1とは、物理回線UN1により接続されている。同様に、エッジスイッチ#1と端末#2とは物理回線UN2により、エッジスイッチ#2と端末#3とは物理回線UN3により、それぞれ接続されている。また、コアスイッチ#1と#2とは、仮想回線LNBにより接続されている。同様に、コアスイッチ#1とエッジスイッチ#1とは仮想回線LNAにより、コアスイッチ#2とエッジスイッチ#2とは仮想回線LNCにより、それぞれ接続されている。
【0024】
仮想回線は、エッジスイッチ10およびコアスイッチ20が備えるリンクアグリゲーション(LA、Link Aggregation)機能により実現される。LAとは、複数の物理回線(物理ポート)を束ねて仮想的な1つの仮想回線(仮想ポート)として取り扱うことを可能とする機能であり、帯域幅の拡大や、冗長性の確保のために用いられる。図1の例では、エッジスイッチ#1とコアスイッチ#2の間の3本の物理回線LNA1〜LNA3が、1本の仮想回線LNAとして取り扱われている。同様に、コアスイッチ#1とコアスイッチ#2の間の3本の物理回線LNB1〜LNB3が1本の仮想回線LNBとして、コアスイッチ#2とエッジスイッチ#2の間の3本の物理回線LNC1〜LNC3が1本の物理回線LNCとして、それぞれ取り扱われている。
【0025】
また、LAでは、フレーム中継時に、仮想回線を構成する物理回線の、どの物理回線にフレームを出力するかを決定する方法(以降「フレーム振り分け規則」とも呼ぶ。)が複数存在する。本実施例のエッジスイッチ10およびコアスイッチ20では、フレーム振り分け規則として、宛先MACアドレスと送信元MACアドレスに応じた方法を用いる。
【0026】
図2は、フレームFMとカプセル化フレームCFMについて説明するための説明図である。入力側エッジスイッチ10は、端末30側から受信したフレームFM(図2(A))に対して、カプセルヘッダCHを付与したカプセル化フレームCFM(図2(B))を生成し、カプセル化フレームCFMをコアネットワークBN側へ送信する。コアネットワークBN内のコアスイッチ20は、カプセルヘッダCHに含まれる情報に基づいた中継処理を行う。コアネットワークBN側からカプセル化フレームCFMを受信した出力側エッジスイッチ10は、カプセルヘッダCHを外して元のフレームFMを取得し、フレームFMを端末30へ送信する。
【0027】
このようにして、エッジスイッチ10においてフレームのカプセル化を行うことにより、コアネットワークBN内のコアスイッチ20は、カプセルヘッダCHのみを参照して中継処理を行うことが可能となる。従って、コアスイッチ20は、ユーザネットワークやアクセスネットワークの構成変更、端末30の台数増加等の影響を受けず、さらに、コアスイッチ20内の経路表の登録数を大幅に削減することが可能となる。この結果、コアスイッチ20における学習処理や、宛先判定処理における処理負荷を少なくすることができる。なお、本実施例では、あるプロトコルのフレーム(フレームFM)全体を、他のプロトコルのフレーム(カプセル化フレームCFM)のデータとして処理することを「カプセル化」と呼ぶ。
【0028】
図2(A)は、カプセル化前のフレームFMの構造を概略的に示す。カプセル化前のフレームFMは、イーサネットヘッダEHと、データDTとを含んでいる。イーサネットヘッダEHは、宛先MACアドレスと、送信元MACアドレスと、ユーザVLAN識別子とを含んでいる。ユーザVLAN識別子は、ユーザネットワーク内において用いられるVLANの識別子であり、ユーザネットワーク内のスイッチ等によって付与される。ユーザVLAN識別子は省略可能である。また、データDTは、図示しないIPヘッダと、TCPヘッダ、および、データを含んでいる。
【0029】
図2(B)は、カプセル化後のフレームCFMの構造を概略的に示す。カプセル化フレームCFMは、図2(A)のフレームFMと、カプセルヘッダCHとを含んでいる。カプセルヘッダCHは、宛先エッジスイッチMACアドレスと、送信元エッジスイッチMACアドレスと、コアVLAN識別子とを含んでいる。コアVLAN識別子は、コアネットワーク内において用いられるVLANの識別子である。コアVLAN識別子は省略可能である。このように、カプセルヘッダCHの構成は、イーサネットヘッダEHと同様の構造となっている。
【0030】
図1のネットワークシステム1000において、ある端末から他の端末、例えば、端末#1から端末#3へ向けての、同一フローに属するフレームが中継される様子について説明する。なお、本実施例において「同一フローに属するフレーム」とは、「宛先と送信元が同じである一群のフレーム」を意味する。
【0031】
端末#1から端末#3へ向けて送信された最初のフレームFM(1)は、物理回線UN1を介してエッジスイッチ#1へ送信される。
【0032】
フレームFM(1)を受信したエッジスイッチ#1は、宛先判定処理を実行すると共に、宛先判定処理の結果に基づいて、フレームFM(1)をカプセル化したフレームであるカプセル化フレームCFM(1)を生成する。そして、エッジスイッチ#1は、生成したカプセル化フレームCFM(1)を、仮想回線LNAを用いて、コアスイッチ#1へ送信する。この送信の際、エッジスイッチ#1は、カプセルヘッダCHに含まれる宛先エッジスイッチMACアドレスと、送信元エッジスイッチMACアドレスに応じて、仮想回線LNAを構成する物理回線LNA1〜LNA3の、どの物理回線にフレームを出力するかを決定する。なお、物理回線の決定方法については後述する。図1の例では、カプセル化フレームCFM(1)は、物理回線LNA1から出力されたものとする。
【0033】
カプセル化フレームCFM(1)を受信したコアスイッチ#1は、宛先判定処理を実行し、カプセル化フレームCFM(1)を、仮想回線LNBを用いて、コアスイッチ#2へ送信する。この送信の際、コアスイッチ#1は、カプセルヘッダCHに含まれる宛先エッジスイッチMACアドレスと、送信元エッジスイッチMACアドレスに応じて、仮想回線LNBを構成する物理回線LNB1〜LNB3の、どの物理回線にフレームを出力するかを決定する。
【0034】
カプセル化フレームCFM(1)を受信したコアスイッチ#2は、コアスイッチ#1と同様に、宛先判定処理を実行し、カプセル化フレームCFM(1)をエッジスイッチ#2へ送信する。
【0035】
カプセル化フレームCFM(1)を受信したエッジスイッチ#2は、カプセル化フレームCFM(1)からカプセルヘッダCHを外す。そして、エッジスイッチ#2は、カプセル化解除後のフレームFM(1)に対して宛先検索処理を実行し、フレームFM(1)を、物理回線UN3を用いて端末#3へ送信する。
【0036】
端末#1から端末#3へ向けて送信された2番目のフレームFM(2)は、物理回線UN1を介してエッジスイッチ#1へ送信される。
【0037】
フレームFM(2)を受信したエッジスイッチ#1は、宛先判定処理を実行すると共に、カプセル化フレームCFM(2)を生成する。本実施例のエッジスイッチ10は、このカプセル化フレーム生成の際に、前回フレームが出力された物理回線と同じ物理回線がフレーム振り分け規則によって選択されるように、カプセルヘッダCHの内容に対して演算を実行したうえで、カプセルヘッダCHを付与する。そして、エッジスイッチ#1は、生成したカプセル化フレームCFM(2)を、仮想回線LNAを用いて、コアスイッチ#1へ送信する。この送信の際、カプセルヘッダCHの内容に演算が実行されていることにより、カプセル化フレームCFM(2)は、前回フレームが出力された物理回線と同じ物理回線(すなわち、図1の例では物理回線LNA1)に対して出力される。
【0038】
カプセル化フレームCFM(2)を受信したコアスイッチ#1は、宛先判定処理を実行し、カプセル化フレームCFM(2)を、仮想回線LNBを用いて、コアスイッチ#2へ送信する。カプセル化フレームCFM(2)のカプセルヘッダCHは、エッジスイッチ#1による演算が実行されている。このため、コアスイッチ#1においても、カプセル化フレームCFM(2)は、前回フレームが出力された物理回線と同じ物理回線(すなわち、図1の例では物理回線LNB1)に対して出力される。
【0039】
カプセル化フレームCFM(2)を受信したコアスイッチ#2は、コアスイッチ#1と同様に、宛先判定処理を実行し、カプセル化フレームCFM(2)をエッジスイッチ#2へ送信する。コアスイッチ#2においても、カプセルヘッダCHに対する演算によって、カプセル化フレームCFM(2)は、前回フレームが出力された物理回線と同じ物理回線(すなわち、図1の例では物理回線LNC1)に対して出力される。
【0040】
カプセル化フレームCFM(2)を受信したエッジスイッチ#2は、カプセル化フレームCFM(2)からカプセルヘッダCHを外す。そして、エッジスイッチ#2は、カプセル化解除後のフレームFM(2)に対して宛先検索処理を実行し、フレームFM(2)を、物理回線UN3を用いて端末#3へ送信する。
【0041】
3番目以降のフレームについても、フレームFM(2)と同様の処理が繰り返される。
【0042】
このように、本実施例のエッジスイッチ10(ネットワーク中継装置)を用いたネットワーク1000では、エッジスイッチ10が、カプセル化フレームを生成する際に、前回フレームが出力された物理回線と同じ物理回線がフレーム振り分け規則によって選択されるように、カプセルヘッダCHが付与される。従って、カプセルヘッダCHの内容に応じてフレームの中継が行われる範囲、すなわち、図1のエッジスイッチ#1からエッジスイッチ#2までの範囲において、宛先と送信元が同じである一群のフレーム(同一フローに属するフレーム)は、同じ物理回線を用いて中継されることとなる。一群のフレームが同じ物理回線を用いて中継されることは、すなわち、一群のフレームが中継される物理回線の伝送遅延時間や送信制御ポリシーが同じであることにつながる。このため、本実施例のエッジスイッチ10を用いたネットワーク1000では、入力側エッジスイッチ10(エッジスイッチ#1)にフレームが入力された順序と、出力側エッジスイッチ10(エッジスイッチ#2)からフレームが出力される順序とを同じにすることができる、すなわち、フレームの到達順序を保証することができる。
【0043】
以上の結果、本実施例では、コアネットワーク内の物理回線を冗長化しつつ、コアネットワーク内で中継されるフレームをカプセル化するネットワーク中継装置において、宛先と送信元が同じである一群のフレーム(同一フローに属するフレーム)の到達順序を保証することができる。
【0044】
(A−2)比較例:
図3は、比較例においてフレームが中継される様子を示す説明図である。ネットワーク1000xは、エッジスイッチ10に代えて、比較例(従来例)のエッジスイッチ10xを備えることにより構成されている。各スイッチの接続関係および仮想回線の説明は図1と同様である。
【0045】
比較例のネットワークシステム1000xにおいて、図1と同様の事例、すなわち、端末#1から端末#3へ向けての同一フローに属するフレームが中継される場合について考える。
【0046】
比較例のエッジスイッチ10xでは、カプセル化フレーム生成の際に、カプセルヘッダCHに対する演算が行われない。このため、入力側エッジスイッチ10x(エッジスイッチ#1x)において、出力側エッジスイッチ10x(エッジスイッチ#2x)のアドレス学習が行われていない場合、エッジスイッチ#1xは、カプセル化フレーム生成の際、カプセルヘッダCH内の「宛先エッジスイッチMACアドレス」に、マルチキャストアドレスを設定する。一方で、入力側エッジスイッチ10x(エッジスイッチ#1x)において、出力側エッジスイッチ10x(エッジスイッチ#2x)のアドレス学習が行われた以降では、エッジスイッチ#1xは、カプセル化フレーム生成の際、カプセルヘッダCH内の「宛先エッジスイッチMACアドレス」に、エッジスイッチ#2xのMACアドレスを設定する。
【0047】
このように、比較例のネットワークシステム1000xでは、入力側エッジスイッチにおける、出力側エッジスイッチのアドレス学習の有無によって、カプセルヘッダCHの内容に変動が生じる。従って、比較例のネットワークシステム1000xでは、宛先MACアドレスと送信元MACアドレスに応じたフレーム振り分け規則を用いた場合、カプセルヘッダCHの内容に応じてフレームの中継が行われる範囲、すなわち、図3のエッジスイッチ#1xからエッジスイッチ#2xまでの範囲において、同一フローに属するフレームが、異なる物理回線を用いて中継される場合が生じる。
【0048】
同一フローに属するフレームが異なる物理回線を用いて中継された場合、中継に用いられた物理回線の伝送遅延時間や送信制御ポリシーの違いによって、フレーム中継速度にばらつきが生じることとなる。この結果、比較例のエッジスイッチ10xを用いたネットワーク1000xでは、入力側エッジスイッチ10x(エッジスイッチ#1x)にフレームが入力された順序と、出力側エッジスイッチ10x(エッジスイッチ#2x)からフレームが出力される順序が異なる場合が生じる。すなわち、フレームの到達順序を保証できないという問題が生じる。フレームの到達順序が保証できないと、例えば、VoIP(Voice over Internet Protocol)などの、フレーム順序の変動に敏感なアプリケーションへ悪影響を与えてしまう。
【0049】
なお、上記問題の発生を回避し、フレームの到達順序を保証するために、LAにおいて、VLAN識別子のみに基づいたフレーム振り分け規則を用いることができるが、この場合、仮想回線内でのトラフィック分散が十分に図れないという新たな問題を生じる。また、上記問題の発生を回避し、フレームの到達順序を保証するために、LAにおいて、送信元MACアドレスのみに基づいたフレーム振り分け規則を用いることができるが、この場合、対応機器が乏しく、実用性に欠くという新たな問題を生じる。
【0050】
B.第1実施例:
(B−1)システム構成:
図4は、本発明の一実施例としてのエッジスイッチ10の概略構成を示す説明図である。エッジスイッチ10は、カプセル化技術としてEoE(Ethernet over Ethernet)を用いたエッジスイッチである。エッジスイッチ10は、中継処理部100と、複数の物理ポート108とを備えている。
【0051】
中継処理部100は、メモリ102と、共有メモリ104と、CPU106とを含んでいる。中継処理部100は、物理ポート108を介して受信したフレームである受信フレームを、共有メモリ104に格納する。中継処理部100は、メモリ102に格納されているコンピュータプログラムをCPU106に展開して実行することにより実現される機能によって、共有メモリ104上に格納されたフレームを処理し、適切な物理ポート108へ出力する。なお、中継処理部100は、図4のようにソフトウェアを用いて実現する構成とするほか、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアを用いて実現する構成としてもよい。
【0052】
図5は、エッジスイッチ10の中継処理部100の機能ブロック図である。中継処理部100は、ノードアドレス110と、ハッシュ処理部120と、LAテーブル130と、フレーム転送部140と、FDB(Forwarding Database)150と、カプセル処理部160と、フィルタテーブル170とを含んでいる。
【0053】
ノードアドレス110は、自装置のMACアドレス情報であり、メモリ102に予め記憶されている。自装置のMACアドレス情報は、後述の宛先判定処理において、カプセル化フレームを受信した際に、その宛先が自分自身であるか否かを判定するために用いられる。また、自装置のMACアドレス情報は、後述のカプセル化処理において、フレームのカプセル化の際にも使用される。EoEの場合、ノードアドレス110は36ビットの値である。ハッシュ処理部120は、フレーム中継時に、フレームの内容に基づいて、仮想回線を構成する物理回線の、どの物理回線にフレームを出力するかを決定する。フレーム転送部140は、エッジスイッチ10が受信したフレームの中継処理全般を司る。具体的には、フレーム転送部140は、受信フレームに対して後述のフレーム受信時処理を実行し、フレームを中継する。なお、ハッシュ処理部120と、フレーム転送部140とが協働することで、仮想回線制御部(図5では「LA制御部」と表記)として動作する。カプセル処理部160は、受信フレームのカプセル化、および、カプセル化の解除を行う処理部である。詳細は後述する。
【0054】
図6は、LAテーブル130の一例を示す説明図である。LAテーブル130は、仮想回線と物理回線の対応付けを記憶するテーブルである。LAテーブル130は、コンフィギュレーション設定等により予め生成され、メモリ102に記憶されている。LAテーブル130は、LA識別子と、物理ポートリストをと含んでいる。LA識別子には、エッジスイッチ10に構成されている仮想回線を相互に識別するための識別子が格納されている。物理ポートリストには、LA識別子により識別される仮想回線に割り当てられた物理ポート(物理回線)の識別子が格納されている。例えば、図6の例では、エッジスイッチ10には、LAG1と、LAG2という2つの仮想回線が構成されており、LAG1で識別される仮想回線には、Port#1、#2、#3で識別される3つの物理ポートが割り当てられていることがわかる。
【0055】
図7は、FDB150の一例を示す説明図である。FDB150は、後述の宛先判定処理において、受信フレームの転送先を決定するために用いられるデータベースである。FDB150は、特許請求の範囲における「宛先表」に相当する。FDB150は、宛先アドレスと、入力側VLAN識別子と、出力先と、カプセル化情報とを含んでいる。宛先アドレスは、宛先判定処理において、受信したフレームFMのイーサネットヘッダEHに格納された宛先MACアドレスと照合する際に用いられる。入力側VLAN識別子は、宛先判定処理において、受信したフレームFMのイーサネットヘッダEHに格納されたユーザVLAN識別子と照合する際に用いられる。出力先は、宛先判定処理において、受信したフレームFMの出力先である仮想回線または物理ポートを決定するために用いられる。カプセル化情報は、宛先判定処理のカプセル化処理において、受信したフレームFMをカプセル化する際に用いられる。
【0056】
例えば、図7のエントリE21の例では、受信したフレームFMのイーサネットヘッダEHに格納された宛先MACアドレスが「MAC_T3」であり、ユーザVLAN識別子が「VL1」であった場合、出力先として仮想回線「LAG1」が選択されることがわかる。さらに、フレームFMを「MAC_E2 @VL1」という情報を用いてカプセル化することがわかる。また、図7のエントリE22の例では、受信したフレームFMのイーサネットヘッダEHに格納された宛先MACアドレスが「MAC_T2」であり、ユーザVLAN識別子が「VL2」であった場合、出力先として物理回線「Port#2」が選択されることがわかる。さらに、出力先として物理回線が選択されることに伴い、フレームFMのカプセル化は「none」、すなわち、カプセル化を実施しないことがわかる。また、図7のエントリE23の例では、受信したフレームFMのイーサネットヘッダEHに格納された宛先MACアドレスが、他のエントリの内容と一致せず、かつ、ユーザVLAN識別子が「VL1」であった場合、出力先として仮想回線「LAG1」が選択されることがわかる。さらに、フレームFMを「Multicast @VL1」という情報を用いて、換言すれば、マルチキャストアドレスを用いてカプセル化することがわかる。
【0057】
初期状態においてFDB150に登録されているエントリはエントリE23のみであり、残りのエントリについては、エッジスイッチ10の学習処理によって内容が随時更新される。具体的には、受信フレームがカプセル化されていないフレームFMであった場合、エッジスイッチ10は、フレームFMの送信元MACアドレスを用いて、FDB150の宛先アドレスフィールドを更新する。同様に、エッジスイッチ10は、フレームFMのユーザVLAN識別子を用いて、FDB150の入力側VLAN識別子フィールドを、フレームFMが入力されたポート情報を用いて、FDB150の出力先フィールドを、それぞれ更新する。また、カプセル化情報のフィールドは「none」とする。
【0058】
一方で、受信フレームがカプセル化フレームCFMであった場合、エッジスイッチ10は、カプセル化解除後のフレームFMの送信元MACアドレスを用いて、FDB150の宛先アドレスフィールドを更新する。同様に、エッジスイッチ10は、カプセル化解除後のフレームFMのユーザVLAN識別子を用いて、FDB150の入力側VLAN識別子フィールドを、フレームFMが入力されたポート情報を用いて、FDB150の出力先フィールドを、それぞれ更新する。また、カプセル化情報のフィールドは、カプセル化フレームCFMのカプセルヘッダCH内の送信元エッジスイッチMACアドレスと、コアVLAN識別子とを用いて更新する。
【0059】
図8は、フィルタテーブル170の一例を示す説明図である。フィルタテーブル170は、フレーム転送部140が、フレームを物理ポート108へ出力する際に、その宛先アドレスと出力先物理ポートとの組み合わせによって、フレームの通過・廃棄を決定する際に用いられるテーブルである。フィルタテーブル170は、コンフィギュレーション設定等により予め生成され、メモリ102に記憶されている。フィルタテーブル170は、宛先アドレスと、出力先物理ポートと、動作とを含んでいる。宛先アドレスは、フレームの通過・廃棄の決定において、出力フレームのイーサネットヘッダEHに格納された宛先MACアドレスと照合する際に用いられる。出力先物理ポートは、フレームの通過・廃棄の決定において、出力フレームの出力先ポートを判定するために用いられる。動作は、宛先アドレスと、出力先物理ポートの組み合わせについての、フレーム転送部140の動作が格納されている。
【0060】
例えば、図8のエントリE31の例では、出力フレームのイーサネットヘッダEHに格納された宛先MACアドレスが「MAC_T3」であり、かつ、出力先物理ポートが「Port#3」である場合、当該フレームの動作は「Permit」、すなわち、通過可と判定されることを示している。同様に、エントリE32、E33の例では、宛先MACアドレスが「MAC_T1」かつ出力先物理ポートが「Port#1」である場合と、宛先MACアドレスが「MAC_T2」かつ出力先物理ポートが「Port#2」である場合は、当該フレームは通過可と判定されることを示している。一方、エントリE34の例では、出力フレームのイーサネットヘッダEHに格納された宛先MACアドレスの如何に関わらず、上位エントリに一致せず、かつ、出力先物理ポートが「Port#1」であるフレームの動作は「Deny」、すなわち、廃棄と判定されることを示している。エントリE35、E36も同様である。
【0061】
(B−2)フレーム受信時処理:
図9は、フレーム受信時処理の手順を示すフローチャートである。フレーム受信時処理は、フレーム転送部140が物理ポート108からフレームを受信した際に実行される。
【0062】
フレーム転送部140は、物理ポート108に到着したフレームを取得する(ステップS102)。そして、フレーム転送部140は、取得したフレームに対して、後述の宛先判定処理を実行し、フレームの出力先を決定する(ステップS104)。フレーム転送部140は、ステップS104によって決定したフレームの出力先が仮想回線であるか否かを判定する(ステップS106)。フレームの出力先が仮想回線でない場合(ステップS106:NO)、フレーム転送部140は処理をステップS112へ遷移させる。
【0063】
一方、フレームの出力先が仮想回線である場合(ステップS106:YES)、フレーム転送部140は、フレーム振り分け規則に基づいて、フレームの振分処理を行う。なお、振分処理とは、フレームの出力先である仮想回線を構成する物理回線のうち、どの物理回線に対して実際にフレームを出力するかを決定する処理を意味する。
【0064】
具体的には、まず、フレーム転送部140は、ハッシュ処理部120に、出力予定のフレームから一意な数字を算出させる(ステップS108)。なお、ハッシュ処理部120が算出する「一意な数字」を、以降「ハッシュ値」とも呼ぶ。本実施例のハッシュ処理部120は、カプセル化フレームCFMのカプセルヘッダCHに含まれる宛先エッジスイッチMACアドレスと、送信元エッジスイッチMACアドレスとを用いて、以下の手順でハッシュ値を算出する。
手順a1)固定長の整数とみなした宛先エッジスイッチMACアドレスと、送信元エッジスイッチMACアドレスを加算する。
手順a2)加算結果を、LAテーブル130の物理ポートリストフィールドに入りうる物理ポートの最大数で除算して、その余りを求める。求めた余りをハッシュ値として用いる。
【0065】
次に、フレーム転送部140は、ステップS108で算出されたハッシュ値から、実際にフレームを出力する物理ポート(物理回線)を選択する(ステップS110)。選択は、以下の手順で行う。
手順b1)宛先判定処理(ステップS104)で決定されたフレームの出力先仮想回線の識別子をキーとしてLAテーブル130を検索する。
手順b2)一致したエントリの物理ポートリストに格納された物理ポート(物理回線)の識別子群について、先頭から数えてステップS108で求めた「ハッシュ値」番目に格納された識別子を求める。
このようにすれば、宛先のアドレスと送信元のアドレスとが同じフレームについては、仮想回線内の同じ物理回線に振りわけられる。なお、例えば、物理ポートの識別子群の数よりも、ステップS108で求めたハッシュ値の方が大きい場合、フレーム転送部140は、物理ポートの識別子群の先頭に戻り、引き続き計算を継続することができる。
【0066】
フレーム転送部140は、フレームを出力することが可能か否かを判定する(ステップS112)。具体的には、フレーム転送部140は、出力予定のフレームのイーサネットヘッダEH内の宛先MACアドレスと、宛先判定処理(ステップS104)またはステップS110の処理において求められた物理ポートの識別子と、をキーとして、フィルタテーブル170を検索する。フレーム転送部140は、一致したエントリの動作フィールドの値が、Permitであるか否かを判定する(ステップS114)。一致したエントリの動作フィールドの値がPermitである場合(ステップS114:YES)、フレーム転送部140は、宛先判定処理(ステップS104)またはステップS110の処理において求められた識別子を有する物理ポートに対して、フレームを出力する(ステップS116)。一方、一致したエントリの動作フィールドの値がPermitでない場合(ステップS114:NO)、フレーム転送部140は、フレームを廃棄する(ステップS118)。
【0067】
(B−3)宛先判定処理:
図10は、宛先判定処理の手順を示すフローチャートである。宛先判定処理は、図9のフレーム受信時処理のステップS104において呼び出されるサブルーチンである。
【0068】
フレーム転送部140は、図9のステップS102において取得したフレームのヘッダを参照し、当該フレームはカプセル化フレームであるか否かを判定する(ステップS202)。なお、例えばEoEの場合、イーサネットのフレーム種別を示すEthernet Typeフィールドの値が「0xE0E0」である場合、カプセル化フレームであると判定することができる。
【0069】
ステップS202において、取得したフレームがカプセル化フレームである(ステップS202:YES)と判定された場合、フレーム転送部140は、取得したフレームのカプセルヘッダCHを用いて、当該フレームが自装置宛てであるか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、フレーム転送部140は、カプセルヘッダCH内の宛先エッジスイッチMACアドレスの先頭36ビットが、ノードアドレス110と一致する場合、当該フレームが自装置宛てであると判定する。フレーム転送部140は、カプセルヘッダCH内の宛先エッジスイッチMACアドレスがマルチキャストアドレスである場合にも、当該フレームが自装置宛てであると判定する。取得したフレームが自装置宛てではないと判定された場合(ステップS204:NO)、フレーム転送部140は、当該フレームを廃棄し、宛先判定処理およびフレーム受信時処理を終了する(ステップS206)。
【0070】
取得したフレームが自装置宛てであると判定された場合(ステップS204:YES)、フレーム転送部140は、カプセル処理部160に対して、当該フレームからカプセルヘッダCHを削除するよう指示する(ステップS208)。指示を受けたカプセル処理部160は、取得したフレームからカプセルヘッダCHを削除する。フレーム転送部140は、カプセルヘッダCH削除後のフレームFMに含まれるイーサネットヘッダEHを用いて、宛先検索を行う(ステップS210)。具体的には、フレーム転送部140は、イーサネットヘッダEHの宛先MACアドレスと、ユーザVLAN識別子をキーとしてFDB150を検索し、一致したエントリの出力先フィールドの値を、フレームの出力先として決定する(ステップS212)。その後、フレーム転送部140は宛先判定処理を終了し、フレーム受信時処理(図9)へ戻る。
【0071】
一方、ステップS202において、取得したフレームがカプセル化フレームでない(ステップS202:NO)と判定された場合、フレーム転送部140は、取得したフレームのイーサネットヘッダEHを用いて、宛先検索を行う(ステップS214)。具体的には、フレーム転送部140は、イーサネットヘッダEHの宛先MACアドレスと、ユーザVLAN識別子をキーとしてFDB150を検索する。フレーム転送部140は、検索の結果、一致したエントリのカプセル化情報フィールドの値が「none」であるか否かを判定する(ステップS216)。カプセル化情報フィールドの値が「none」である場合(ステップS216:YES)、フレーム転送部140は、処理をステップS220へ遷移させる。
【0072】
カプセル化情報フィールドの値が「none」でない場合(ステップS216:NO)、フレーム転送部140は、カプセル処理部160に後述のカプセル化処理を実行させ、カプセル化フレームCFMを生成させる(ステップS218)。フレーム転送部140は、ステップS214の宛先検索の結果、一致したエントリの出力先フィールドの値を、フレームの出力先として決定する(ステップS220)。その後、フレーム転送部140は宛先判定処理を終了し、フレーム受信時処理(図9)へ戻る。
【0073】
このように、宛先判定処理では、エッジスイッチ10が取得したフレームがカプセル化フレームであるか否かによって、実行される処理が、処理CPと処理NCPとに大別される。具体的には、エッジスイッチ10が取得したフレームがカプセル化フレームCFMである場合、当該フレームはコアネットワークBN側から受信したフレームであるとして、カプセルヘッダCHを外して元のフレームFMを取得後、フレームFMを端末30へ送信する。一方で、エッジスイッチ10が取得したフレームがカプセル化フレームでない場合、当該フレームは端末30側から受信したフレームであるとして、カプセルヘッダCHを付与してカプセル化フレームCFMを生成し、カプセル化フレームCFMをコアネットワークBN側へ送信する。
【0074】
(B−4)カプセル化処理:
図11は、カプセル化処理の手順を示すフローチャートである。カプセル化処理は、図10の宛先判定処理のステップS218において呼び出されるサブルーチンであり、カプセル処理部160によって実行される。
【0075】
カプセル処理部160は、カプセル化対象フレーム、すなわち、図9のステップS102において取得されたフレームについて、以降の処理を行う。まず、カプセル処理部160は、カプセル化対象フレームを、FDB150の宛先アドレスが(any)であるエントリ(図7:エントリE23)のカプセル化情報を用いてカプセル化する(ステップS302)。そして、カプセル処理部160は、カプセル化対象フレームのイーサネットヘッダEHの宛先MACアドレスと、ユーザVLAN識別子をキーとしてFDB150を検索し、カプセル化対象フレームが実際に、FDB150の宛先アドレスが(any)であるエントリに一致するか否かを判定する(ステップS304)。宛先アドレスが(any)であるエントリに一致する場合(ステップS304:YES)、カプセル処理部160は、カプセル化処理を終了し、処理を宛先判定処理(図10)へ戻す。その後、宛先判定処理においては、ステップS302で生成されたカプセル化フレームCFMがそのまま使用される。
【0076】
一方、宛先アドレスが(any)であるエントリに一致しない場合(ステップS304:NO)、カプセル処理部160は、正しい宛先アドレスを用いて、カプセル化をやり直す必要がある。なお、宛先アドレスが(any)であるエントリに一致しない場合とは、当該フレームの宛先である端末から過去にフレームを受信したことにより、宛先端末のアドレスが既にFDB150に学習済みの場合である。
【0077】
まず、カプセル処理部160は、ハッシュ処理部120に、ステップS302で生成されたカプセル化フレームCFMからハッシュ値を算出させる(ステップS306)。次に、カプセル処理部160は、カプセル化対象フレームを、ステップS304のFDB150検索において、実際に一致したエントリのカプセル化情報を用いてカプセル化する(ステップS308)。カプセル処理部160は、ハッシュ処理部120に、ステップS308で生成された(もしくは、ステップS314で宛先アドレスが演算された)カプセル化フレームCFMから、ハッシュ値を算出させる(ステップS310)。カプセル処理部160は、ステップS306の計算結果と、ステップS310の計算結果が一致するか判定する(ステップS312)。計算結果が一致する場合(ステップS312:YES)、カプセル処理部160は、カプセル化処理を終了し、処理を宛先判定処理(図10)へ戻す。その後、宛先判定処理においては、ステップS308で生成されたカプセル化フレームCFMがそのまま使用される。
【0078】
計算結果が一致しない場合、カプセル処理部160は、カプセル化フレームCFMのうちの、固定長の整数とみなした宛先エッジスイッチMACアドレスを+1(演算)する(ステップS314)。その後、カプセル処理部160は、処理をステップS310へ遷移させ、アドレス演算後のカプセル化フレームCFMを用いて、ハッシュ処理部120に再計算させる。カプセル処理部160は、ステップS312の計算結果が一致するまで、ステップS310〜S314の処理を繰り返す。
【0079】
なお、ステップS314の演算の際、カプセル処理部160は、宛先エッジスイッチMACアドレスの下位12ビットの範囲で演算を行う。EoEでは、48ビットの宛先アドレスのうち、上位36ビットをアドレス照合の際に用いるためである。すなわち、下位12ビットの範囲内であれば、宛先エッジスイッチMACアドレスが変動しても、EoEを用いたエッジスイッチのアドレス照合には影響を及ぼさない。なお、演算の結果、下位12ビットの範囲内で桁あふれが発生する場合は、0から再度演算しなおすことができる。ハッシュ処理部120は、ランダムなハッシュ値を生成するという性質を持つため、0から再び演算しても、ステップS310〜S314の処理は無限に繰り返さない。
【0080】
図12は、同一フローに属するフレームが、本実施例のエッジスイッチ10によってどのようにカプセル化されるかを示す説明図である。
【0081】
図12(A)は、本実施例のエッジスイッチ10によってカプセル化された同一フローに属する4つのフレームの例を示す。図12(A)では、図1に示した本実施例のネットワークシステム1000において、端末#1から端末#3へ向けての同一フローに属するフレームが中継される場合について示す。ここで、フレームの入力側エッジスイッチ10(エッジスイッチ#1)のFDB150には、宛先である端末#3のアドレス学習が行われていない場合について例示する。
【0082】
最初のフレームFM(1)は、エッジスイッチ#1のカプセル化処理(図11)のステップS302において、FDB150の宛先アドレス(any)であるエントリE23(図7)のカプセル化情報を用いたカプセル化が行われる。この結果、カプセル化フレームCFM(1)が生成される。カプセル化フレームCFM(1)は、宛先エッジスイッチMACアドレスにマルチキャストアドレスが、送信元エッジスイッチMACアドレスにエッジスイッチ#1のMACアドレスが、それぞれ格納されている。
【0083】
次に、カプセル化処理(図11)のステップS304において、カプセル処理部160は、カプセル化対象フレームであるフレームFM(1)が実際に、FDB150の(any)のエントリに一致するかを判定する。端末#3のMACアドレスは未学習であることから、フレームFM(1)はFDB150の(any)のエントリに一致し(ステップS304:YES)、カプセル化処理は終了される。その後、カプセル化フレームCFM(1)は、宛先判定処理(図10)を経て、フレーム受信時処理(図9)のステップS108において、対応するハッシュ値が求められる。求められたハッシュ値は「1」であるものとする。カプセル化フレームCFM(1)は、フレーム受信時処理(図9)のステップS110において、求められたハッシュ値「1」から、実際にフレームを出力する物理ポート(物理回線)が選択される。
【0084】
2番目のフレームFM(2)は、最初のフレームFM(1)と同様に、エッジスイッチ#1のカプセル化処理(図11)のステップS302において、FDB150の(any)のエントリE23(図7)のカプセル化情報を用いたカプセル化が行われる。この結果、カプセル化フレームCFM(2)が生成される。しかし、最初のカプセル化フレームCFM(1)のマルチキャスト送信に対する応答フレームの受信によって、FDB150には既に端末#3のMACアドレスが学習されている。従って、カプセル化処理(図11)のステップS304において、カプセル処理部160は、フレームFM(2)はFDB150の(any)のエントリには一致しないと判定する(ステップS304:NO)。そこで、ステップS306においてカプセル処理部160は、ステップS302で生成したカプセル化フレームCFM(2)に対応するハッシュ値を一旦求めさせる。ステップS302で生成したカプセル化フレームCFM(2)は、カプセル化フレームCFM(1)と同様のカプセルヘッダCHを有するため、ここで求められたハッシュ値は「1」となる。
【0085】
その後、エッジスイッチ#1のカプセル化処理(図11)のステップS308において、フレームFM(2)は、ステップS304のFDB150検索で実際に一致したエントリE21(図7)のカプセル化情報を用いたカプセル化が行われる。この結果、新たなカプセル化フレームCFM(2)が生成される。そして、ステップS310においてカプセル処理部160は、生成された新たなカプセル化フレームCFM(2)に対応するハッシュ値を求めさせる。ステップS301において求められたハッシュ値が、例えば「3」であった場合、カプセル処理部160は計算結果が一致しないと判定し(ステップS312:NO)、カプセル化フレームCFM(2)の宛先エッジスイッチMACアドレスを演算する(ステップS314)。カプセル処理部160は、ステップS312の計算結果が一致するまで、ステップS310〜S314の処理を繰り返す。その結果、カプセル化フレームCFM(2)の宛先エッジスイッチMACアドレスには、ハッシュ処理部120による処理の結果として、最初のカプセル化フレームCFM(1)と同じハッシュ値が得られるアドレス「MAC_E2+a」が格納されることとなる。なお、aは任意の整数である。
【0086】
3番目以降のフレームFM(3)、FM(4)においても、2番目のフレームFM(2)と同様の処理が行われる。その結果、3番目以降のフレームFM(3)、FM(4)についても、宛先エッジスイッチMACアドレスには、ハッシュ処理部120による処理の結果として、最初のカプセル化フレームCFM(1)と同じハッシュ値が得られるアドレス「MAC_E2+a」が格納される。
【0087】
上記の結果、同一フローに属するフレームFM(1)〜(4)をカプセル化したカプセル化フレームCFM(1)〜(4)は、フレーム受信時処理(図9)のステップS108、S109において、同じハッシュ値に基づいて、仮想回線内の同じ物理回線に振りわけられる。
【0088】
図12(B)は、本実施例のカプセル化処理(図11)を行わず、一般的なカプセル化を行った場合の例である。一般的なカプセル化の場合、最初のカプセル化フレームCFM(1)は、FDB150に宛先である端末#3のアドレス学習が行われていないことから、宛先エッジスイッチMACアドレスにマルチキャストアドレスが設定される。一方、2番目のカプセル化フレームCFM(2)は、FDB150に宛先である端末#3のアドレスが登録されていることから、宛先エッジスイッチMACアドレスに出力側エッジスイッチ10(エッジスイッチ#2)のMACアドレスが設定される。カプセル化フレームCFM(1)とカプセル化フレームCFM(2)は、宛先エッジスイッチMACアドレスが異なり、また、本実施例のカプセル化処理(図11)も実行されない。このため、カプセル化フレームCFM(1)とカプセル化フレームCFM(2)をハッシュ処理部120によって処理させた場合、異なるハッシュ値が得られる可能性が高い。
【0089】
上記の結果、同一フローに属するフレームFM(1)、(2)をカプセル化したカプセル化フレームCFM(1)、(2)は、フレーム受信時処理において、異なるハッシュ値に基づいて、仮想回線内の異なる物理回線に振りわけられる可能性が高い。
【0090】
以上のように、第1実施例のエッジスイッチ10では、カプセル処理部160は、仮想回線制御部のハッシュ処理部120によって選択される出力先物理回線が、宛先と送信元が同じである一群のフレーム(同一フローに属するフレーム)について同一となるように、カプセルヘッダCHが付与される。具体的には、カプセル処理部160は、カプセル化処理(図11)において、フレームの宛先が学習済であった場合(ステップS304:NO)に、フレームの宛先が未学習である際のハッシュ値と同じハッシュ値が得られるように、換言すれば、フレームの宛先が未学習である際に選択される出力先物理回線と同じ回線が出力先物理回線として選択されるように、カプセルヘッダCHを付与する。従って、宛先の学習有無に関わらず、出力先物理回線を同じにすることができる。以上の結果、本実施例のエッジスイッチ10では、物理回線を冗長化しつつ、コアネットワークBN内で中継されるフレームをカプセル化するネットワーク中継装置において、宛先と送信元が同じである一群のフレームの到達順序を保証することができる。
【0091】
さらに、上記第1実施例によれば、カプセル処理部160は、カプセルヘッダCHに含まれる宛先アドレス(宛先エッジスイッチMACアドレス)を演算するため、カプセルヘッダCHの内容を簡便に決定することができる。また、カプセル処理部160は、宛先エッジスイッチMACアドレスのうち、出力側エッジスイッチ10(エッジスイッチ#2)において参照されないビット領域である、下位12ビットに対して演算を実行する。更に、本実施例におけるコアスイッチ20におけるフレーム中継では、後述の通り、宛先アドレスによらずマルチキャストで中継が行われる。従って、カプセル化フレームの中継に際して、本演算による宛先アドレス変更は、何ら影響を及ぼさない。
【0092】
(B−5)コアスイッチによる処理:
図13は、コアスイッチ20の動作について説明するための説明図である。図13(A)は図1に対応する図であり、図示の便宜上、端末30を省略している。図13(A)のエッジスイッチ#1からエッジスイッチ#2へ送信される最初のカプセル化フレームCFM(1)により、コアスイッチ#2のFDBには、送信元エッジスイッチであるエッジスイッチ#1のMACアドレスが学習される。しかし、コアスイッチ#2のFDB学習後、エッジスイッチ#2からエッジスイッチ#1へ送信されるカプセル化フレームCFM(2)は、図13(B)に示すように、コアスイッチ#2のカプセル化処理(図11)により、宛先エッジスイッチMACアドレスが変更されている。このため、コアスイッチ#2は、カプセル化フレームCFM(2)の宛先エッジスイッチMACアドレスを、FDB内から見つけることができない。従って、コアスイッチ#2は、マルチキャストを実行することとなり、網全体の帯域を圧迫する。従って、本実施例のコアスイッチ20では、帯域圧迫を回避するために、不要なマルチキャストフレームを廃棄するためのフィルタリングを実施する。以下詳細を説明する。
【0093】
図14は、本発明の一実施例としてのコアスイッチ20の概略構成を示す説明図である。コアスイッチ20は、エッジスイッチ10と同様、カプセル化技術としてEoEを用いている。コアスイッチ20は、中継処理部500と、複数の物理ポート508とを備えている。中継処理部500は、メモリ502と、共有メモリ504と、CPU506とを含んでいる。詳細は、エッジスイッチ10の対応する各部と同じである。
【0094】
図15は、コアスイッチ20の中継処理部500の機能ブロック図である。中継処理部500は、ハッシュ処理部510と、LAテーブル520と、フレーム転送部530と、FDB540と、フィルタテーブル550とを含んでいる。ハッシュ処理部510の詳細は、エッジスイッチ10のハッシュ処理部120と同じである。同様に、LAテーブル520の詳細は、エッジスイッチ10のLAテーブル130と同じである。フレーム転送部530は、原則として、エッジスイッチ10のフレーム転送部140と同様のフレーム受信時処理(図9)を行う。ただし、フレーム転送部530が実行するフレーム受信時処理(図9)では、ステップS104の宛先判定処理(図10)のステップS202〜S212、S216、S218を省略し、ステップS214、S220のみを実行する。FBD540は、図7に示したエッジスイッチ10のFDB150と、カプセル化情報フィールドを含まない点と、格納されているエントリの内容のみが異なる。
【0095】
図16は、コアスイッチ20のフィルタテーブル550の一例を示す説明図である。図8に示したフィルタテーブル170との違いは、格納されているエントリの内容のみであり、他の構成はフィルタテーブル170と同様である。フィルタテーブル550は、ネットワーク1000のトポロジを元にしてコンフィギュレーション設定等により予め生成され、メモリ502に記憶されている。
【0096】
図16のエントリE31の例では、出力フレームのカプセルヘッダCHに格納された宛先エッジスイッチMACアドレスが「MAC_E1」であり、かつ、出力先物理ポートが「Port#1」である場合、当該フレームは通過可と判定されることを示している。エントリE33の例では、出力フレームのカプセルヘッダCHに格納された宛先エッジスイッチMACアドレスがマルチキャストアドレスである場合は、出力先物理ポートの如何に関わらず、当該フレームは通過可と判定されることを示している。エントリE34の例では、出力フレームのカプセルヘッダCHに格納された宛先エッジスイッチMACアドレス、および、出力先物理ポートの如何に関わらず、上位エントリに一致しないフレームは、廃棄と判定されることを示している。
【0097】
上述のようにしてコアネットワーク中継装置(コアスイッチ20)を構成すれば、コアスイッチ20は、受信カプセル化フレームCFMのカプセルヘッダCHに含まれる宛先(宛先エッジスイッチMACアドレス)が、マルチキャストアドレスと、当該出力先物理ポートの先に存在するエッジスイッチ10と、のいずれにも該当しない場合、当該受信フレームを廃棄する。このため、カプセル化フレームCFMの宛先エッジスイッチMACアドレスをFBD540内から見つけることができず、マルチキャストを実行した場合であっても、関係のない物理ポートへのフレームは、フィルタテーブル550の設定に基づいて廃棄される。このため、本実施例のコアスイッチ20によれば、関係のない物理ポートへフレームが出力されることを抑制することができ、マルチキャスト実行に伴う帯域の圧迫を低減することができる。
【0098】
さらに、本実施例のコアスイッチ20は、エッジスイッチ10のハッシュ処理部120と同様の処理を行うハッシュ処理部510を有する。このため、コアスイッチ20により構成されるコアネットワークBN内においても、カプセル化フレームCFMは、同じハッシュ値に基づいて、仮想回線内の同じ物理回線に振りわけられる。この結果、ネットワークシステム1000の全体においても、宛先と送信元が同じである一群のフレームの到達順序を保証することができる。
【0099】
C.第2実施例:
本発明の第2実施例では、カプセル化処理の処理負荷を低減させた構成について説明する。なお、図中において第1実施例と同様の構成部分については先に説明した第1実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0100】
(C−1)システム構成:
図17は、第2実施例におけるエッジスイッチ10aの中継処理部100aの機能ブロック図である。図5に示した第1実施例との違いは、中継処理部100aが、FDB150に代えてFDB150aを、カプセル処理部160に代えてカプセル処理部160aを、それぞれ備える点のみであり、他の構成や動作は第1実施例と同じである。
【0101】
図18は、第2実施例におけるFDB150aの一例を示す説明図である。図7に示した第1実施例との違いは、さらに、同期フラグのフィールドを備える点のみであり、他の構成は第1実施例と同じである。同期フラグとは、後述のカプセル化処理において使用されるフラグである。同期フラグフィールドの値には、デフォルト値として「OFF」が格納される。
【0102】
(C−2)フレーム受信時処理:
フレーム受信時処理は、図9に示した第1実施例と同様である。
【0103】
(C−3)宛先判定処理:
宛先判定処理は、図9に示した第1実施例と同様である。
【0104】
(C−4)カプセル化処理:
図19は、第2実施例におけるカプセル化処理の手順を示すフローチャートである。図11に示した第1実施例との違いは、ステップS402と、ステップS404を備える点のみである。
【0105】
ステップS402においてカプセル処理部160aは、カプセル化対象フレームのイーサネットヘッダEHの宛先MACアドレスと、ユーザVLAN識別子をキーとしてFDB150aを検索し、同期フラグフィールドの値を参照する。同期フラグフィールドの値が「ON」である場合(ステップS402:ON)、カプセル処理部160aは、カプセル化対象フレームを、ステップS402のFDB150a検索において一致したエントリのカプセル化情報を用いてカプセル化する(ステップS404)。その後、カプセル処理部160aは、カプセル化処理を終了し、処理を宛先判定処理(図10)へ戻す。その後、宛先判定処理においては、ステップS404で生成されたカプセル化フレームCFMが使用される。
【0106】
ステップS312において計算結果が一致する場合(ステップS312:YES)、カプセル処理部160aは、ステップS304のFDB150a検索において一致したエントリの内容を更新する(ステップS406)。具体的には、カプセル処理部160aは、計算結果が一致したカプセル化フレームCFMの宛先エッジスイッチMACアドレスの値を用いて、カプセル化情報フィールドに含まれる該当部分のデータを更新する。さらに、カプセル処理部160aは、同期フラグフィールドの値を「ON」へと更新する。その後、カプセル処理部160aは、カプセル化処理を終了し、処理を宛先判定処理(図10)へ戻す。その後、宛先判定処理においては、ステップS308で生成されたカプセル化フレームCFMがそのまま使用される。
【0107】
図20は、同一フローに属するフレームが、第2実施例のエッジスイッチ10aによってどのようにカプセル化されるかを示す説明図である。図20における前提条件(フレームの宛先、送信元、アドレス学習有無)は、図12(A)と同様である。図21は、第2実施例においてFDB150aが更新される様子を示す説明図である。
【0108】
FDB150aの同期フラグフィールドのデフォルト値は「OFF」である。このため、最初のフレームFM(1)は、図12(A)のフレームFM(1)と同様に、カプセル化処理(図11)のステップS302、S304を経て、カプセル化処理を終了する。
【0109】
2番目のフレームFM(2)について考える。カプセル処理部160aはフレームFM(2)のイーサネットヘッダEHを用いて、FDB150aを検索する。検索の結果得られるエントリE21の同期フラグフィールドの値は「OFF」である(ステップS402:OFF)。このため、2番目のフレームFM(2)に対しては、図12(A)のフレームFM(2)と同様に、カプセル化処理のステップS302〜S312が実行される。そして、ステップS312において計算結果が一致した場合(ステップS312:YES)、カプセル処理部160aは、ステップS304のFDB150a検索において一致したエントリE21のカプセル化情報フィールドに含まれる宛先エッジスイッチMACアドレスを、演算後の宛先アドレスに更新する(図21)。さらに、カプセル処理部160aは、同じエントリE21の同期フラグを「ON」に更新する(図21)。
【0110】
3番目のフレームFM(3)について考える。カプセル処理部160aはフレームFM(3)のイーサネットヘッダEHを用いて、FDB150aを検索する。検索の結果得られるエントリE21の同期フラグフィールドの値は「ON」である(ステップS402:ON)。このため、3番目のフレームFM(3)は、ステップS402のFDB150a検索において一致したエントリE21のカプセル化情報を用いたカプセル化が行われる(ステップS404)。エントリE21のカプセル化情報は、フレームFM(2)処理時のステップS404において、ステップS312の計算結果が一致する(換言すれば、演算後の)宛先エッジスイッチMACアドレスを用いて更新されている。従って、3番目以降のカプセル化対象フレームでは、同期フラグを参照することにより、ステップS302〜S314の処理を省略することができる。
【0111】
以上のように、第2実施例においても、第1実施例と同様の効果を得ることができる。また、第2実施例のエッジスイッチ10aでは、カプセル処理部160aが、特定の宛先について、宛先検索の結果、当該フレームの宛先が学習済であった場合の初回に付与されたカプセルヘッダCHの内容(宛先エッジスイッチMACアドレス)を宛先表(FDB150a)のカプセル化情報フィールドに記憶させる。そして、カプセル処理部160aは、当該特定の宛先についての2回目以降のカプセルヘッダのCH付与の際には、FDB150aのカプセル化情報フィールドに記憶されたカプセルヘッダの内容(宛先エッジスイッチMACアドレス)を参照することで演算を省略する。この結果、カプセル処理部160aの処理負荷を低減することができる。
【0112】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0113】
D1.変形例1:
上記実施例では、ネットワーク中継装置とコアネットワーク中継装置を用いたネットワークシステムの構成の一例を示した。しかし、ネットワークシステムの構成は、上述した態様に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に定めることができる。例えば、図1に示さない端末、管理装置、他のネットワーク中継装置等を含む構成としてもよいし、図1に示した装置の一部を省略してもよい。
【0114】
例えば、本発明のネットワーク中継装置とコアネットワーク中継装置において用いられるカプセル化技術は、EoEに限られない。例えば、カプセル化技術として、VPLS(Virtual Private LAN Service)や、PBB(Provider Backbone Bridge)を用いることができる。
【0115】
例えば、本発明のネットワーク中継装置とコアネットワーク中継装置において用いられる物理回線の冗長化技術は、LAに限られない。さらに、本発明のネットワークシステムは、ネットワークを構成する全ての回線が仮想回線である必要はなく、一部の回線は通常の物理回線であってもよい。
【0116】
D2.変形例2:
上記実施例では、ネットワーク中継装置の構成の一例を示した。しかし、ネットワーク中継装置の構成は、上述した態様に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に定めることができる。例えば、図4、図5に示さない他の処理部やテーブルを含む構成としてもよいし、図示した処理部やテーブルの一部を省略してもよい。
【0117】
また、ネットワーク中継装置のLAテーブル、FDB、フィルタテーブルが備えるフィールドは、その発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更することができる。例えば、上記に例示したフィールド以外のフィールドを備えるものとしても良い。また、各テーブルには、ダイレクトマップ方式を用いることも可能である。
【0118】
D3.変形例3:
上記実施例では、コアネットワーク中継装置の構成の一例を示した。しかし、コアネットワーク中継装置の構成は、上述した態様に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に定めることができる。例えば、図14、図15に示さない他の処理部やテーブルを含む構成としてもよいし、図示した処理部やテーブルの一部を省略してもよい。
【0119】
例えば、コアネットワーク中継装置は、ネットワーク中継装置のハッシュ処理部と同様の処理を行うハッシュ処理部を有するものとした。このようにすれば、コアネットワーク内においても、カプセル化フレームが同じハッシュ値に基づいて、仮想回線内の同じ物理回線に振り分けられる。その結果、ネットワークシステム全体として、同一フローに属するフレームFMの到達順序を保証できる。しかし、コアネットワーク中継装置の仮想回線において、フレームにシーケンス番号を付与するなど、本発明とは異なる形で仮想回線内での到達順序性を保証できれば、コアネットワーク中継装置におけるネットワーク中継装置と同様の処理を行うハッシュ処理部を有する点は、必須の構成ではない。
【0120】
また、コアネットワーク中継装置のLAテーブル、FDB、フィルタテーブルが備えるフィールドは、その発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更することができる。例えば、上記に例示したフィールド以外のフィールドを備えるものとしても良い。また、各テーブルには、ダイレクトマップ方式を用いることも可能である。
【0121】
D4.変形例4:
上記実施例のカプセル化処理(図11)では、カプセルヘッダCH内の宛先アドレス(宛先エッジスイッチMACアドレス)を演算(演算)することとした。しかし、カプセル処理部は、宛先アドレスに代えて、送信元アドレス(送信元エッジスイッチMACアドレス)、もしくは、VLANの識別子(コアVLAN識別子)に対して演算を行ってもよい。また、宛先アドレス、送信元アドレス、VLANの識別子のうちの複数を選択して、演算を行ってもよい。このようにしても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0122】
10、10a…ネットワーク中継装置(エッジスイッチ)
10x…エッジスイッチ
20…コアネットワーク中継装置(コアスイッチ)
30…端末
100、100a…中継処理部
102…メモリ
104…共有メモリ
106…CPU
108…物理ポート
110…ノードアドレス
120…ハッシュ処理部
130…LAテーブル
140…フレーム転送部
150…FDB
160、160a…カプセル処理部
170…フィルタテーブル
500…中継処理部
502…メモリ
504…共有メモリ
506…CPU
508…物理ポート
510…ハッシュ処理部
520…LAテーブル
530…フレーム転送部
540…FDB
550…フィルタテーブル
1000…ネットワークシステム
1000x…ネットワークシステム
LNA1〜3…物理回線
LNB1〜3…物理回線
LNC1〜3…物理回線
CH…カプセルヘッダ
EH…イーサネットヘッダ
FM…フレーム
BN…コアネットワーク
UN1〜UN3…物理回線
LNA…仮想回線
LNB…仮想回線
LNC…仮想回線
CFM…カプセル化フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアネットワークの境界に接続され、フレームを中継するネットワーク中継装置であって、
物理回線を接続するための複数のポートと、
前記複数のポートにそれぞれ接続された複数の物理回線を仮想的な仮想回線として扱う仮想回線制御部であって、前記フレームに含まれるヘッダの内容に応じて、所定の規則に従い前記フレームの出力先となる出力先物理回線を選択する仮想回線制御部と、
前記コアネットワークへ向けて送信する前記フレームに対して、前記仮想回線制御部によって選択される前記出力先物理回線が、宛先と送信元が同じである一群のフレームについて同一となるように、カプセルヘッダを付与するカプセル処理部と、
を備える、ネットワーク中継装置。
【請求項2】
請求項1記載のネットワーク中継装置であって、
前記カプセル処理部は、
前記フレームに対する宛先検索を実行し、
前記宛先検索の結果、当該フレームの宛先が学習済であった場合に、当該フレームの宛先が未学習である際に選択される前記出力先物理回線と同じ回線が、前記出力先物理回線として選択されるように前記カプセルヘッダを付与する、ネットワーク中継装置。
【請求項3】
請求項2記載のネットワーク中継装置であって、
前記カプセル処理部は、
前記宛先検索の結果、前記フレームの宛先が学習済であった場合に、前記カプセルヘッダに含まれる、宛先アドレスと、送信元アドレスと、VLANの識別子と、のうちの少なくともいずれかについての演算を実行することにより、前記カプセルヘッダを付与する、ネットワーク中継装置。
【請求項4】
請求項3記載のネットワーク中継装置であって、
前記カプセル処理部は、
前記コアネットワーク内のコアネットワーク中継装置がカプセルヘッダの内容に従って前記フレームを中継する際、ならびに前記ネットワーク中継装置が前記フレームのカプセルヘッダを削除して中継する際において、中継先の判断に影響しないビット領域に対して演算を実行する、ネットワーク中継装置。
【請求項5】
請求項3または4記載のネットワーク中継装置であって、さらに、
前記宛先検索と、前記カプセルヘッダの付与と、に用いられる宛先表を格納した記憶部を備え、
前記カプセル処理部は、
特定の宛先について、前記宛先検索の結果、前記フレームの宛先が学習済であった場合の初回に付与された前記カプセルヘッダの内容を前記宛先表に記憶させ、当該特定の宛先についての2回目以降の前記カプセルヘッダの付与の際には、前記宛先表に記憶された前記カプセルヘッダの内容を参照して前記カプセルヘッダを付与する、ネットワーク中継装置。
【請求項6】
ネットワークシステムであって、
コアネットワークを構成するコアネットワーク中継装置と、
請求項1ないし5のいずれか一項記載のネットワーク中継装置と、
を備え、
前記コアネットワーク中継装置は、
物理回線を接続するための複数のポートと、
前記複数のポートにそれぞれ接続された複数の物理回線を仮想的な仮想回線として扱う仮想回線制御部であって、受信フレームに含まれるカプセルヘッダの内容に応じて、所定の規則に従い前記受信フレームの出力先となる出力先物理回線を選択する仮想回線制御部と、
を備え、
前記コアネットワーク中継装置の前記仮想回線制御部と、前記ネットワーク中継装置の前記仮想回線制御部とは、同一の規則に従って前記出力先物理回線を選択する、ネットワークシステム。
【請求項7】
請求項6記載のネットワークシステムであって、
前記コアネットワーク中継装置は、
前記受信フレームの前記カプセルヘッダに含まれる宛先が、マルチキャストアドレスと、前記出力先物理回線の先に存在する前記ネットワーク中継装置と、のいずれにも該当しない場合、当該受信フレームを廃棄する、ネットワークシステム。
【請求項8】
コアネットワークの境界に位置し、複数のポートにそれぞれ接続された複数の物理回線を仮想的な仮想回線として扱うことが可能なネットワーク中継装置におけるフレームのカプセル化方法であって、
(a)前記フレームに含まれるヘッダの内容に応じて、所定の規則に従い前記フレームの出力先となる出力先物理回線を選択する工程と、
(b)前記コアネットワークへ向けて送信する前記フレームに対して、前記工程(a)によって選択される前記出力先物理回線が、宛先と送信元が同じである一群のフレームについて同一となるように、カプセルヘッダを付与する工程と、
を備える、フレームのカプセル化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−70182(P2013−70182A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206396(P2011−206396)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(504411166)アラクサラネットワークス株式会社 (315)
【Fターム(参考)】