ネットワーク化された制御システムの相互接続されたデバイスのネットワークを介したメッセージのルーティング
本発明は、特に照明システムの光源などのネットワーク化された制御システムの装置を個別に制御するためのメッセージのルーティングなど、ネットワーク化された制御システムの相互接続された装置のネットワークを介したメッセージのルーティングに関する。本発明の基本的なアイデアは、ネットワーク化された制御システムの相互接続された装置のグリッドを介し送信装置から宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定し、故障装置がルーティングパスに含まれているとき、全く新たなルーティングパスを決定する代わりに故障装置の周囲のメッセージをルーティングするため、ルーティングパスを変更することである。従って、ネットワーク化された照明システムの照明器具などの相互接続された装置のネットワークを介したメッセージの効率的なルーティングが提供される。本発明の実施例は、ネットワーク化された制御システムの相互接続される装置のネットワークを介しメッセージをルーティングする方法であって、前記装置は、ほぼ矩形のグリッドに配置され、各装置は、前記グリッドの直接的に近傍にある装置から受信したメッセージを前記グリッドの直接的に近傍にある装置にルーティングするよう構成され、当該ルーティングは、送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップと、前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップと、前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップとを有する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク化された制御システムの相互接続されたデバイスのネットワークを介したメッセージのルーティングに関し、特に照明システムの光源などのネットワーク化された制御システムのデバイスを個別に制御するためのメッセージのルーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク化された制御システムは、商業的、産業的及び機関的ビジネスマーケットと消費者マーケットとにおける普遍的傾向である。ネットワーク化された制御システムの一例は、多数の光源を有する複合照明システムである。業務用環境の具体例として、温室、工場建物、スポーツホール、オフィスビル及び屋外(マトリクス)ライトディスプレイに適用される照明システムがあげられる。特に、業務用環境では、例えば、大規模照明システムにおけるエネルギーを節約するため、個人及びローカルベースにおいてネットワーク化された制御システムの装置を制御することが、ますます関心が高まっている。
【0003】
照明システムの照明器具などのネットワーク化された制御システムの各装置は、有線又は無線媒体を介しメッセージを送信することによって制御可能である。無線は、設置コストを低減し、設置をよりフレキシブルなものにするため、魅力的である。無線ネットワークの主要な欠点の1つは、通常、多数のメッセージの欠落を導く、装置のネットワークを介したメッセージのルーティングの不安定性である。この不安定性の原因は、リンクが故障する度に新たなパスが検出され、ネットワーク上で報知される必要があるため、ネットワーク上のパスの維持である。
【0004】
WO2007/102114A1は、照明アレイの照明器具の動作を制御するよう構成される無線通信ネットワークにおける無線通信ノードのグループ化に関する。無線通信ノードの導出された空間構成をグループ化するコンピュータアルゴリズムが提供される。通信ネットワークにおける各ノードの位置は、照明アレイの特定の照明器具の位置に対応する。アルゴリズムは、ノードの構成を複数の空間グループに分割する。各空間グループは、グループのメンバーノードを一緒に結び付けるラインにより規定される。グループは、それらの統計的属性に従ってランク付けされ、各制御グループのメンバーノードと照明器具が単一のスイッチ又はセンサにより制御されるように、制御グループとして選択される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ネットワーク化された制御システムの相互接続された装置のネットワークを介しメッセージをルーティングするシステム、方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立形式の請求項の主題により解決される。さらなる実施例が、従属形式の請求項により示される。
【0007】
本発明の基本的なアイデアは、ネットワーク化された制御システムの相互接続された装置のグリッドを介し送信装置から宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定し、故障装置がルーティングパスに含まれているとき、全く新たなルーティングパスを決定する代わりに故障装置の周囲のメッセージをルーティングするため、ルーティングパスを変更することである。従って、ネットワーク化された照明システムの照明器具などの相互接続された装置のネットワークを介し送信装置から宛先装置へのメッセージの効率的なルーティングが、提供される。故障装置は、特に近傍の装置と通信できない、すなわち、グリッドの故障装置の近傍にある装置との間でメッセージを送受信できない装置である。本出願におけるグリッドは、各装置がグリッドの直接的な近傍にある装置との間でメッセージを送受信できるという点で、相互接続されている装置の2次元又は3次元配置であってもよい。ルーティングパスは、順序の始めにある送信装置と順序の終わりにある宛先とを有するグリッドの装置の順序を意味する。すなわち、ルーティングパスは、メッセージがグリッド上のある装置から他の装置にルーティングパスに沿って“ホップ”するように、前の装置からメッセージを受信し、それを順序の次の装置に転送するすべての装置を規定することによって、グリッド上のメッセージのパスを記述する。
【0008】
本発明の実施例は、ネットワーク化された制御システムの相互接続される装置のネットワークを介しメッセージをルーティングする方法であって、前記装置は、ほぼ矩形のグリッドに配置され、各装置は、前記グリッドの直接的に近傍にある装置から受信したメッセージを前記グリッドの直接的に近傍にある装置にルーティングするよう構成され、当該ルーティングは、送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップと、前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップと、前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップとを有する方法を提供する。
【0009】
装置の相互接続は、特に各装置がグリッドの近傍の装置との間でメッセージを送受信することを可能にする、装置間の通信接続を意味する。装置は、何れかのタイプのネットワーク化された制御システムの装置であってもよく、特にそれに接続された他の装置を制御するよう構成されるネットワーク化された制御システムの通信ノードであってもよい。例えば、装置は、中央コントローラによるアドレス指定と、ノードに接続される照明器具などのノードに接続される他の装置の統合された制御機能とを可能にするため、ネットワークアドレスを有するグリッドのノードであってもよい。ネットワーク化された制御システムは、温室、ホール、大規模建物、ホテルのロビー、大きなオフィスに設置される照明システムなどの、グリッドに配置される多数の相互接続された照明器具を有する複合照明システムとすることが可能である。
【0010】
前記送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップは、前記グリッドにおける前記送信装置と前記宛先装置との座標を用いてベクトルを決定するステップと、前記ベクトルの座標から前記グリッドにおける軸を計算するステップと、前記計算された軸から前記ルーティングパスを決定するステップとを有してもよい。
【0011】
これは、グリッドの直線のパスの組み合わせとしてルーティングパスを決定することを可能にする。例えば、2次元のほぼ矩形のグリッドでは、グリッドの各装置は、各装置の位置を特定するため、座標の組を有してもよい。その後、ベクトルが、グリッドの送信装置と宛先装置との座標の組によって決定されてもよい。これらの組の各成分を減算することによって、組から軸が計算されてもよい。
【0012】
前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップは、前記ルーティングパスの各装置に対して、ルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、前記接続リンクが動作中である場合、前記ルーティングパスの次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、前記ルーティングパスの次の近傍の装置を故障としてマーク付けし、前記ルーティングパスを変更するステップとを有してもよい。
【0013】
2つの近傍の装置の間の接続リンクが、故障装置を示すものとして取得されてもよい。当然ながら、接続問題は故障装置を示すだけではない。それはまた、故障装置が近傍の装置と通信可能であるが、受信したメッセージをルーティングできない可能性もある。
【0014】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップは、ある装置から近傍の装置に前記メッセージを送信するため、a)変更されるルーティング方向を決定するステップと、b)前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、c)前記接続リンクが動作中である場合、前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、ステップa)〜c)を繰り返すステップとを実行することを含むものであってもよい。
【0015】
本実施例によると、ルーティング方法は、選択されたルーティング方向の次の装置が当該装置との動作中の接続リンクを構築できるとき、ルーティングされるメッセージを実際に格納する新たなルーティング方向を選択し、メッセージが転送可能な装置を検索する。
【0016】
前記変更されるルーティング方向を決定するステップは、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてライトからのものである場合、アップ、レフト、ダウンの所定のルーティング方向の第1順序又は前記第1順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてアップからのものである場合、レフト、ダウン、ライトの所定のルーティング方向の第2順序又は前記第2順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてレフトからのものである場合、ダウン、ライト、アップの所定のルーティング方向の第3順序又は前記第3順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてダウンからのものである場合、ライト、アップ、レフトの所定のルーティング方向の第4順序又は前記第4順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップとを有してもよい。
【0017】
これらのルーティングルールは、メッセージが受信されるルーティング方向に依存する好ましいルーティング方向の選択を規定する。所定のルーティング方向の順序は、ルーティング方向の第1のものが選択され、この方向が接続エラーなどのため利用可能でない場合、第2のものなどが利用される。
【0018】
前記所定のルーティング方向の順序又は前記順序の逆は、前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序として選択され、前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序は、前記デフォルトの順序の選択されたルーティング方向の次の近傍の装置との通信リンクが故障している場合、又は前記選択されたルーティング方向に装置が存在しない場合、前記逆の順序にスイッチされてもよい。
【0019】
従って、時計回り又は反時計回りのルーティング方向の選択が、デフォルト順序として設定されてもよい。
【0020】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップはさらに、前記ルーティングパスの変更を開始する前記装置の識別情報を前記メッセージに格納するステップと、前記変更されたルーティングパスの各装置により前記メッセージに格納された識別情報を自らの識別情報と比較するステップと、前記比較により、前記格納されている識別情報が前記比較する装置の識別情報に相当する場合、前記メッセージのルーティングを終了するステップと、
を有してもよい。
【0021】
これは、メッセージがグリッドにおいてループし、ルーティング方向の変更を開始した装置を再訪することを回避するのを可能にする。メッセージが当該装置を再訪した場合、これは通常は、宛先装置が故障装置により取り囲まれ、ルーティング方向を変更することにより到達不可であることを示す。
【0022】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップはさらに、前記ルーティングパスの変更を開始した装置が、ホップカウンタを前記メッセージに格納するステップと、前記メッセージを受信し、さらなる装置に送信する各装置が、前記ホップカウンタをインクリメントするステップと、前記変更されるルーティングパスの装置により前記メッセージに格納されたホップカウンタと最大ホップカウンタ値とを比較するステップと、前記比較により、前記格納されているホップカウンタが前記最大ホップカウンタ値以上である場合、前記メッセージのルーティングを終了するステップとを有してもよい。
【0023】
ホップカウンタは、グリッド上のパスを介しメッセージが到来する装置のインジケータである。従って、ホップカウンタは、メッセージがグリッド上を長く移動しすぎるとルーティングを終了させるため、各装置によって、特定の装置のみによって、又は最大ホップカウンタ値を超えたグリッドの装置のみによってチェック可能である。これは、多数の故障装置に取り囲まれ、当該装置に到達するための労力が大きすぎる宛先装置へのメッセージのルーティングを終了させるのに有用であり、例えば、宛先装置に制御メッセージを送信するのに必要な時間が、最大ルーティング時間を超えるべきでない。
【0024】
本発明の実施例は、上述された本発明による方法をプロセッサが実行することを可能にするコンピュータプログラムを提供する。プロセッサは、例えば、相互接続されたランプを有する照明システムの照明器具などのネットワーク化された制御システムの装置に実装されてもよい。従って、照明システムの中央コントローラなどの装置は、相互接続された照明器具のグリッド上の位置にある照明器具を制御するため制御メッセージをルーティングし、グリッドの各照明器具は、プロセッサがメッセージを宛先装置にルーティングするための本発明による方法を実現するコンピュータプログラムを実行することによって実行されてもよい。
【0025】
本発明のさらなる実施例によると、CD−ROM、DVD、メモリカード、ディスケット、インターネット記憶装置、又は光若しくは電子アクセスのためコンピュータプログラムを格納するのに適した同様のデータキャリアなど、本発明によるコンピュータプログラムを格納する記録キャリアが提供されてもよい。
【0026】
本発明のさらなる実施例は、PC(Personal Computer)などの本発明による方法を実行するようプログラムされたコンピュータを提供する。コンピュータは、例えば、建物の照明システムやHVAC(Heating,Ventilation,Air Conditioning)システムなど、ネットワーク化された制御システムの中央コントローラとして実現されてもよい。
【0027】
本発明のさらなる実施例は、ネットワーク化された制御システムの相互接続される装置のネットワークを介しメッセージをルーティングするシステムであって、前記装置は、ほぼ矩形のグリッドに配置され、各装置は、前記グリッドの直接的に近傍にある装置から受信したメッセージを前記グリッドの直接的に近傍にある装置にルーティングするよう構成され、当該システムは、送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップと、前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップと、前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップとを実行するよう構成されるシステムを提供する。
【0028】
当該システムは、上述された本発明の方法を実行するよう構成されてもよい。
【0029】
さらに、本発明の実施例は、上述された本発明のシステムにおいて適用するよう構成される装置であって、他の装置との間でメッセージを送受信する通信手段と、相互接続される装置のグリッドを介し決定されたルーティングパスに従って、メッセージが送信される近傍の装置を選択するルーティング決定手段とを有する装置に関する。
【0030】
当該装置は、例えば、複数の相互接続された照明器具を有する照明システムの照明器具などに実装される集積回路として実現されてもよい。
【0031】
前記ルーティング決定手段はさらに、a)変更されるルーティング方向を決定するステップと、b)前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、c)前記接続リンクが動作中である場合、前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、ステップa)〜c)を繰り返すステップと、を実行することによって、前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするための所定のルーティングルールに従って、前記ルーティングパスを変更するよう構成されてもよい。
【0032】
さらに、ルーティング決定手段は、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてライトからのものである場合、アップ、レフト、ダウンの所定のルーティング方向の第1順序又は前記第1順序の逆により前記ルーティング方向を変更するルールと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてアップからのものである場合、レフト、ダウン、ライトの所定のルーティング方向の第2順序又は前記第2順序の逆により前記ルーティング方向を変更するルールと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてレフトからのものである場合、ダウン、ライト、アップの所定のルーティング方向の第3順序又は前記第3順序の逆により前記ルーティング方向を変更するルールと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてダウンからのものである場合、ライト、アップ、レフトの所定のルーティング方向の第4順序又は前記第4順序の逆により前記ルーティング方向を変更するルールとに従って、変更されるルーティング方向を決定するよう構成されてもよい。
【0033】
ルーティング決定手段はさらに、前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序として前記所定のルーティング方向の順序又は前記順序の逆を選択し、前記デフォルトの順序の選択されたルーティング方向の次の近傍の装置との通信リンクが故障している場合、又は前記選択されたルーティング方向に装置が存在しない場合、前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序を前記逆の順序にスイッチするよう構成されてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明の上記及び他の態様は、後述される実施例を参照して明らかになるであろう。
【0035】
本発明は、実施例を参照して以下においてより詳細に説明される。しかしながら、本発明は、これらの実施例に限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、矩形グリッドに構成される照明器具を有する照明システムの実施例を示す。
【図2】図2は、本発明による図1の照明システムのノードの実施例を示す。
【図3】図3は、本発明による図1の照明システムの相互接続されたノードのネットワークを介しメッセージをルーティングする方法の実施例のフローチャートを示す。
【図4】図4は、本発明によるルーティング方向を変更するため実行されるステップの実施例のフローチャートを示す。
【図5】図5は、本発明によるグリッドに構成される複数の相互接続された照明器具を有する照明システムと、グリッドの1つの装置から他の装置に送信されるメッセージのルーティングベクトルとの他の実施例を示す。
【図6】図6は、図5の実施例と、本発明によるメッセージが故障ノードに到達するまでのグリッドを介したメッセージのパスとを示す。
【図7】図7は、図5の実施例と、本発明によるルーティング方法を実行することによって取得される、故障ノードの周囲をルーティングされるグリッドを介したメッセージのパスとを示す。
【図8】図8は、本発明によるメッセージをルーティングするための四分円と方向とによる図を示す。
【図9】図9は、本発明によるルーティング方法の実施例とブロードキャストルーティング方法とのシミュレーション結果のテーブルを示す。
【図10A】図10Aは、欠落したパケット又はメッセージの個数を示す図を示す。
【図10B】図10Bは、故障ノードの関数としての平均ホップカウントの増加を示す図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下において、機能的に類似又は同一の要素は、同一の参照番号を有するようにしてもよい。以下に開示される本発明の実施例は照明システムに関するものであったとしても、本発明は、一般にグリッドに構成される複数の装置を有するネットワーク化された制御システムに適用可能である。“照明”、“照明部”及び“照明器具”の用語は、以下において同一のものに関する。
【0038】
業務用環境では、個人及びローカルベースで複合照明システムの照明を制御することが、ますます関心が高まっている。このような環境の具体例として、温室、工場建物、スポーツホール、オフィスビル及び屋外(マトリクス)ライトディスプレイがあげられる。すべての照明器具をスイッチオン又はオフする代わりに、例えば、オフィスビルの特定のエリアを点灯し、又は温室の特定の場所の植物のみに対して光を生成するためなど、特定のエリアにおいて照明効果をローカルに生成するため、単一の照明器具又は照明器具のグループを制御することが好まれる。また、照明システムの中央コントローラなどによって、照明システムの照明器具を個別に制御することが、しばしば要求される。複合照明システムは、通常はネットワーク化された制御システムとして構成され、それは、照明器具又は照明器具グループなどのシステムの装置がネットワークの一部であり、制御メッセージなどにより個別にアドレス指定及び制御されることを意味する。制御メッセージは、屋外(マトリックス)ライトディスプレイなどの照明器具を制御するため設けられるコンピュータなどの中央コントローラなどによって一元的に生成可能であるが、また温室やオフィスのための照明システムなどにおけるローカルセンサの検出に基づくものであってもよい。
【0039】
典型的には、このようなネットワーク化された照明システムの照明器具の個別制御は、バラストなどの制御を必要とする各照明器具に通信ノードを付属させることによって実行される。ノードは、照明器具に統合されてもよいし、又は独立した装置として付属されてもよい。アドレス指定可能なノードは、ネットワーク化された制御システムの装置に対応する。ノードは、単一の照明器具又は複数の照明器具を制御するようにしてもよい。ネットワーク化された照明システムでは、各ノードは、中央コントローラからのメッセージが直接的にアドレス指定及びルーティング可能となるように、一意的なネットワークアドレスを有する。メッセージは、例えば、“アドレスxyzを有するノードに接続されるすべての照明器具を暗くする”、“アドレスxyzを有するノードの照明器具をアクティブ状態にする”などの、アドレス指定されたノードに付属する装置を制御するための何れかの制御コマンドを意味する。メッセージ又は制御コマンドは、ビルや環境内の所与の位置におけるノード又はノードグループに、当該位置において照明を調節するために送信される。
【0040】
また、照明システムの照明器具は、しばしば業務用環境では矩形のグリッドに構成される。グリッドの照明器具の間の接続は、例えば、RF(無線周波数)、IR(赤外線)又は可視光などを介し、有線又は無線により実現されてもよい。照明器具の無線通信接続は、通常は照明器具の高価で複雑な配線を必要としないため、大変魅力的なものである。しかしながら、無線通信は、通常、特に他の無線源からの干渉により有線通信より不安定である。従って、無線通信接続を介しある照明器具から他の照明器具に送信されるメッセージは、干渉を受ける無線通信のためそれのルーティングパス上で消失する可能性が発生する。しかしながら、メッセージは、無線通信を用いたネットワーク化された制御システムだけでなく有線通信のシステムにおいても消失する可能性がある。例えば、ネットワーク化された照明システムのグリッド状の照明器具の2つの照明器具の間の通信配線に不具合が生じたとき、又は照明器具が故障したとき、それは、グリッドの他の照明器具ともはや通信できなくなる。従って、無線、有線又はその両方の通信を利用するネットワーク化された制御システムのグリッド状の装置を介したメッセージのルーティングは、グリッド上のルーティングパスを検出する多用途な方法を必要とする。
【0041】
図1は、矩形グリッドに構成される照明器具を有するネットワーク化された照明システム20の一例を示す。照明器具は、上述されたノードに対応し、グリッドにおいて個別にアドレス指定可能である。図1はまた、矩形のボックスにより示される矩形グリッドの照明器具が、どのようにしてダブルの矢印により表される無線通信リンクにより相互接続されるかを示す。グリッドの各照明器具は、それの直接的な近隣にある照明器具に接続され、例えば、照明器具10は、アップ方向の同一カラムの照明器具12に接続され、ダウン方向の同一カラムの照明器具16に接続され、右方向の同一ローの照明器具14に接続され、左方向の同一ローの照明器具18に接続される。接続又はリンクは、照明器具やノードが他の直接的な近隣にある照明器具又はノードにメッセージ又はコマンドを送信可能な通信接続を意味する。第1照明器具から第2照明器具に送信されるメッセージは、メッセージが所定の方向に直接的な近傍のない照明器具によって受信されるまで、特定方向のグリッドの第3照明器具などに転送されてもよい。メッセージ又はコマンドは、メッセージ又はコマンドに含まれる宛先指定子などにより各自の位置を示すことによって、照明器具又はノードに送信される。
【0042】
照明器具は、例えば、各照明器具の主要な光源により生成される光などを介して無線通信してもよい。照明器具間の指向性光通信のための光円錐を生成するため、光コリメータが利用されてもよい。あるいは、指向性ライトを生成するため、レンズがまた適用可能である。照明器具の間の光相互接続は、可視光通信を介したデータ伝送技術である符号化された光により実現されてもよい。照明器具のランプは、光源のタイプに依存して数kbpsから数百kbpsまでの範囲のデータストリームを発信する。近傍の照明器具では、光は、10°などの狭い開口角で円錐により受光される。照明器具により伝送される光は、すべての近傍の照明器具により受光可能となるように、非指向性であってもよい。あるいは、発光される光は指向性であってもよい。このとき、異なるデータがグリッドにより4つの異なる方法に伝送されることが必要である。これは、コリメータが主要な光源から光を供給することによって実現可能である。独立したメッセージを照明器具の異なるサイドに送信可能にするため、チューブに1/4時間のみオープンであるシャッターを備えることが可能である。これらのシャッタは、照明器具のメインランプにより伝送されるデータと同期されるべきであり、すなわち、シャッタは、データが当該サイドに発信されるべきであるときオープンにされるべきである。受信機は、指向性受信を実現するため、同じチューブに配置可能である。あるいは、光相互接続は、追加的な光源により実現されてもよく、データ通信のために照明器具に追加されてもよい。例えば、この追加的な光源は、IR LED(Infrared Light Emitting Diode)とすることができる。これは、メイン光源が完全にスイッチオフされるとき当該手段が利用可能であるという効果を有する。さらに、異なる光源が、メイン光源とは独立に変調可能であり、上述した手段と同様のシャッタを必要としない。本発明の適用可能な符号化光技術は、可視光源からの光の変調を適用してもよい。これは、データを光自体に埋め込むことを可能にする。この変調は、それが人間の目には見えないように設計可能である。このような特徴は、外乱光が許容されないため、消費者用途によって特に重要である。しかしながら、コミッショニングなどの業務用用途については、あるレベルの可視的フリッカリングを生成するデータ変調はまた許容される可能性がある。異なるタイプの光源が異なる変調方式を利用してもよい。一例として、異なる変調方式が、ソリッドステート光(SSL)源及び蛍光光源に適用されてもよい。HIDやハロゲンなどの他の光源の変調もまた可能である。上述されるように、追加的な光源がまた照明器具間の相互接続を可能にするよう追加可能である。例えば、IR LEDが利用されてもよい。代わりに又はさらに、通信接続がRF(無線周波数)通信によって確立されてもよく、これはまた、建物の角の周囲やフェイスプレートを介して等、光によりブリッジできない近傍の装置の間の距離をブリッジすることを可能にする。
【0043】
以下において、本発明によるネットワーク化された制御システムの相互接続された装置のネットワークを介しメッセージをルーティングする方法の実施例が、複数の相互接続された照明器具を有する複合照明システムにより説明される。この照明システムでは、各照明器具はノードに接続される。ノードは、照明器具に一体化されてもよいし、又は照明器具に接続される独立した装置として実現されてもよい。ノードは図1に示されるようなグリッドに配置され、上下左右の各方向に自らの直接的な近傍と通信可能であると仮定される。ノードポジションは、[row,column]ペアとして表現可能である。あるノードから他の近傍ノードにルーティングされるメッセージは、ノードによりパケット通信プロトコルを利用することによってグリッドを介しルーティングされる可能性があるため、パケットと呼ばれる。エンド宛先“b”を有するノード“a”におけるパケットの方向は、パケットベクトル(rowb−rowa,columnb−columna)により与えられる。
【0044】
図2は、通信手段100とルーティング決定手段102とを有するノード10の実施例を示す。通信手段100は、無線通信リンク104を介しノード10の近傍にある他の装置との間でパケットを送受信するため設けられる。通信手段100は、WLANユニット及び/又はIR通信ユニットなどのRF通信モジュールを有してもよい。通信手段100は、手段100の通信範囲内のノードである近傍ノードとの通信リンクを確立するよう構成される。典型的には、通信範囲は、グリッドの直接的な近傍にあるノードのみとのリンクが確立できるように提供される。ルーティング決定手段102は、ノード10にアドレス指定されず、グリッドの他のノードにアドレス指定される受信パケットを転送する方法を決定するため設けられる。ルーティング決定手段102は、受信パケットをグリッドを介し宛先ノードにルーティングするため指定されたルーティングパスの次のノードに受信パケットを転送し、特にルーティングパスの次のノードが故障しているときには所定のルーティングルールに従って決定されたルーティングパスによって指定されるルーティング方向を変更するように、通信手段100を制御するよう構成されるアルゴリズムを実装する。図2のノードは、例えば、通信及びルーティング機能を照明器具に備えるため、照明器具に統合される集積回路又はマイクロチップとして実現可能である。
【0045】
図3において、本発明によるノードのグリッドを介したパケットのルーティング方法のフローチャートの実施例が示される。このフローチャートは、ノードのローとカラムの組により決定されるグリッドにおける各自のポジションを有する複数のノードのグリッドを示す図5に関して説明される。この組は、各ノードを示すものとして以下において利用される。パケットは、送信ノード[4,5]から宛先ノード[4,0]に移動するよう指定される、他のパケットは、送信ノード[2,6]から宛先ノード[0,1]に移動するよう指定される。パケットの送信ノードから宛先ノードへのルーティングパスは、パケットが送信ノードから宛先ノードに送出される前に決定されてもよい。ルーティングパスは、サブステップS100〜S104を実行することによってステップS10において決定される。ステップS10は、例えば、ローカルセンサの検出を受信し、これらのセンサ検出に基づきグリッドの他のノードを生成する必要があるノードによって、又は個別に照明器具を制御する照明システムの中央コントローラによって実行されてもよい。
【0046】
ステップS100において、各パケットベクトルが、グリッドの送信ノードと宛先ノードの位置から計算され、(0,−5)と(−2,−5)である。パケットは、図5のノード[4,3],[4,4]及び[4,5]上の破線の矢印により示されるように、あるノードから近傍ノードの1つにパケットを送信することによって、グリッドを介しルーティングされる。
【0047】
ルーティングベクトルを決定した後、ステップS102において、グリッドの各軸が決定されたパケットベクトルのベクトル座標から計算される。図5において、ベクトル(0,−5)から、送信ノード[4,5]からのカラム方向の“0”とロー方向の“−5”の2つの軸が計算される。これは、実際にルーティングパスがロー方向に1つの軸“−5”しか有さず、ノード[4,5],[4,4],[4,3],[4,2,[4,1],[4,0]があることを意味する。ベクトル(−2,−5)から、カラム方向に“−2”とロー方向に“−5”の2つの軸が計算でき、この結果、ルーティングパスは、ノード[2,6],[1,6],[0,6],[0,5],[0,4],[0,3],[0,2],[0,1]を含む。
【0048】
次のステップS104において、ステップS102において決定された軸を組み合わせることによって、ルーティングパスが決定される。ルーティング中、次の各ホップの選択は、最大となるベクトル座標の絶対値を有する軸に沿って移動することによって決定される。すなわち、グリッドを介したパケットのルーティングの始めについて、パケットベクトルから決定される2つの軸のより長いものが選択される。ベクトル(0,−5)のケースでは、ルーティングパスは、ロー方向に“−5”の1つの軸のみにより決定され、ベクトル(−2,−5)のケースでは、ルーティングパスは、ロー方向に第1のより長い軸“−5”により決定され、その後にカラム方向に第2のより短い軸“−2”により決定される。
【0049】
次のステップS12において、決定されたルーティングパスの始めにおける送信ノード[4,5]及び[2,6]から、ルーティングパス上のそれぞれの次の近傍ノード[4,4]及び[2,5]にパケットを送信することによって、決定されたパスを介しパケットがルーティングされる。決定されたルーティングパスのノードが動作中である場合、すなわち、非故障ノードである場合、ルーティング方向はルーティングパスにより決定され、ルーティング方向の変更は不要である。しかしながら、あるノードがルーティングパスの次の近傍のノードと通信リンクを確立できないときなど、ノードが故障しているとき、宛先ノードを実現するため、ステップS14において、所定のルーティングルールに従ってルーティング方向の変更が求められる。
【0050】
ステップS14は、グリッドの各ノードにより実行可能であり、各ノードのルーティング手段102(図2)により実現される。図4は、ステップS14のサブステップを示す。ルーティングパスの次のノードとの通信リンクの故障などのため、ルーティングパスにより決定されたルーティング方向の変更が求められることを判断したノードは、第1サブステップS140において、所定のルーティングルールに従って変更されたルーティング方向を決定する。その後、ノードは、ステップS142において、変更されたルーティング方向の次のノードとの接続リンクをチェックする。ステップS144において、ノードは、接続リンクが動作中であるかチェックし(サブステップS1440)、リンクが動作中である場合、ノードは、変更されたルーティング方向にパケットを送信する(サブステップS1442)。変更されたルーティング方向の接続リンクが動作中でない場合、ノードにより実行される本方法は、ルーティング方向が再変更されるステップS140に戻る。
【0051】
本発明の実施例では、ルーティング方向を変更するためのルーティングルールは、パケットのルーティングがルーティングパスの選択された軸に沿って進捗できないとき、ルーティングパスの他方の軸が、その値がゼロに等しくない限り選択されるという点で予め決定されている。宛先方向に双方の軸に沿って進捗が不可であるとき、故障したノードのセットに遭遇している。そのとき、いわゆる“フェース”ルーティングが、パケットが故障ノードセットのエッジに沿って時計回りに又は反時計回りにルーティングされるように実行される。適切なクロック方向の選択は、複数の故障ノード[2,5],[1,5],[0,5],[4,2],[4,1,],[3,2],[3,1]を含む、図6に示されるグリッドにより説明される。ノード[4,5]から送信されるパケットは、ノード[4,2],[4,1]が故障していて、ルーティングされるパケットの障害となるため、ノード[4,3]においてスタックされる。しかしながら、パケットは、この障害の周囲のノード[3,3],[2,3],[2,2],[2,1],[2,0],[3,0]を介しノード[4,0]に時計回りに移動することによって進行可能である。ノード[2,6]からのパケットは、ノード[0,6]においてスタックされる。それは、障害の周囲のノード[3,6],[3,5],[3,4],[2,4],[1,4],[0,4]を介しノード[0,1]に反時計回りに移動することにより進行可能である。反対の時計方向を選択することは、グリッドのエッジに沿ってパケットを迂回させる。パケットが障害に遭遇したときから、パケットは、フェースルーティングモードに入る(時計回り又は反時計回り)。パケットは、パケットベクトルに沿ってそれの進行が妨害され続けないとき、又はすなわち、障害を回避した後にルーティングパスに戻ると、フリー又はベーシックモードに戻る。図7は、破線の矢印によるフェースルーティングパスを示す。フェースルーティングは、ノード[0,6]におけるパケットについてスタートし、ノード[3,4]において終了し、その後に、ノード[0,1]まで通常のグリッドルーティングが続けられる。第2のパケットについて、フェースルーティングがノード[4,3]においてスタートし、ノード[2,0]において終了し、ノード[4,0]においてルーティングが終了する。
【0052】
以下において、本発明の実施例によるルーティングアルゴリズムが、ルーティングパス上に障害が発生した場合のルーティング方向の変更に着目してより詳細に説明される。このアルゴリズムは、1.グリッドルーティング、2.フェースルーティングのスタート、3.フェースルーティングの3つの部分から構成されてもよい。
1.グリッドルーティング:
所与のノードにおける所与のパケットのグリッド(フリー又はベーシック)ルーティングは、送信ノードからグリッドの宛先ノードへのルーティングパスの決定を有する。グリッドルーティングのアルゴリズムは、以下のように説明されてもよい。
【0053】
カバーする最長の距離の軸を計算
当該軸上の方向d1を決定
リンクd1がオープンである場合、d1に沿って近傍にパケットを送信
リンクd1がクローズである場合、
最短の距離の軸上の方向d2を決定
(リンクd2がオープンであり、かつ距離>0である場合)、d2に沿って近傍にパケットを送信
そうでない場合、フェースルーティングをスタート
従って、グリッドルーティングは、カバーする最長距離の軸(方向d1)上に、当該軸に沿ったルーティング中に障害が発生するまで、パケットをまずルーティングし始める。障害のケースでは、すなわち、次のノードへのリンクが故障しているとき、グリッドルーティングは、パケットがカバーする最短の距離の軸の方向(方向d2)にルーティングされるという点でルーティング方向を変更する。障害がない場合、パケットは方向d2にルーティングされる。
2.フェースルーティングのスタート:
フェースルーティングは、パケットベクトルにより指定される象限への進行がもはや可能でなくなるとスタートされる。図8は、4つの象限Q1〜Q4を示す。象限Q1は、アップを含まない右上からアップまでのすべてのパケットベクトルを含む。象限Q2は、レフトを含まないアップからレフトまでのすべてのパケットベクトルを含む。その他の象限も同様に定義される。
【0054】
時計回りのフェースルーティングについて、Q1のベクトルを有するパケットが、アップ、レフト及びダウンの順序で第1の利用可能なリンクを介し送信される。Q2のパケットは、レフト、ダウン及びライトの順序により第1の利用可能なリンクを介し送信される。反時計回りのフェースルーティングについて、Q1のベクトルを有するパケットが、ダウン、レフト及びアップの順序で第1の利用可能なリンクを介し送信される。Q2のパケットは、ライト、ダウン及びレフトの順序で第1の利用可能なリンクを介し送信される。その他の象限のフェースルーティングのスタートは、同様に行われる。
【0055】
時計回り方向の選択:
時計回り又は反時計回りの選択は、故障ノードと共にグリッドのエッジに遭遇したときに行われる。メッセージ生成時、時計方向は、デフォルトでは時計回りに設定されている。パケットがそれのルーティングパス上でブロックされると、デフォルトの時計方向がフェースルーティングについて引き継がれる。グリッドのエッジの遭遇時、時計方向は変更可能である。時計回りの方向は、パケットがQ2の宛先を有するロー0、Q4の宛先を有するローマックス、Q1の宛先を有するカラム0及びQ3の宛先を有するカラムマックスにあるとき選択される。
【0056】
他のすべてのケースにおいて、エッジにおいて、方向カウンタ時計回りが選択される。この選択の後、デフォルトクロック方向は、新たに選ばれた方向に設定される。
3.フェースルーティング:
フェースルーティングがスタートすると、パケットが所与のリンクから到来する。パケットが時計回りにルーティングされると、好ましい方向はライトに、その後に真っ直ぐである。パケットが反時計回りにルーティングされると、好ましい方向はレフトに、その後に真っ直ぐである。反時計回りのパケットがレフトから到来すると、第1の利用可能な方向は、アップ、ライト及びダウンの順序で選ばれる。反時計回りのパケットがアップから到来すると、第1の利用可能な方向は、他のリンクからライト、ダウン及びレフトの順序で選ばれる。
【0057】
時計回りのパケットがレフトから到来すると、第1の利用可能な方向は、ダウン、ライト及びアップの順序で選ばれる。時計回りのパケットがアップから到来すると、第1の利用可能な方向は、他のリンクからレフト、ダウン及びライトの順序で選ばれる。
【0058】
終了
故障ノードに取り囲まれてノードが到達不可能になると、パケットはネットワークにおいてループ状態になり、以前に訪れたノードの1つに再訪する。パケットにおける訪問済みのノードの大きなリストを防ぐため、直近のフェースルーティングがスタートしたノードが、それぞれパケット又はメッセージに格納することが可能である。アルゴリズムは、宛先ノードが到達不可になったとき、パケットがフェースルーティングがスタートしたノードに戻るように、又はフェースルーティングがスタートしたノードにパケットが戻ったときにルーティングが中止されるように、実現されてもよい。ときには、複数のフェースがルーティングされ、スタートノードは、パケットにもはや存在しない。グリッドにおけるパケットの循環を回避するため、最大ホップカウントがさらに維持可能である。このとき、ホップカウントが+20などの最小ホップ距離より大きくなると、パケットが停止できるように、アルゴリズムが実現可能である。
【0059】
以下において、本発明によるルーティング方法がブロードキャストルーティング方法と比較される。
【0060】
フェースアルゴリズムは、50×50のノードのグリッド上でシミュレートされる。提案されるグリッドルーティングのパフォーマンスは、可能なすべてのパスが試行されるブロードキャストルーティングと比較された。ノードが到達可能であるとき、ブロードキャストルーティングはそれに到達するであろう。テストは、ルーティングが失敗した回数と、障害がないときに必要とされるホップの最小数と比較して必要とされる追加的なホップの回数とを比較する。グリッドでは、ランダムにソースとデスティネーションとが、5,10,15及び20のホップを有するパス上で選ばれた。パスは、グリッド上にランダムに分散していた。グリッド内において、ランダムに選ばれたノードが故障していると宣言された。故障ノードの個数は、20の刻みで10から210までの範囲であった。以下のシンボルが使用され、FNは故障ノードの個数を意味し、PLはパス長を意味し、bcはブロードキャストを意味し、grはグリッドルーティングを意味する。
【0061】
一般に、少数の故障ノードについて、ブロードキャストパスはもはやグリッドルーティングパスより長くなる傾向があることが観察できる。これは、より長いパスを用いるパケットがより短いパスを用いるパケットより前に到着するように、リンクコンフリクト及び遅延をもたらすブロードキャストによって生成される多数のパケットにより生じる。ブロードキャストルーティングによってはパケットは消失しないが、グリッドルーティングによると、パケットの5%までがときには消失する。消失したすべてのパケットに対して、パケットは完全に巡回し、フェースルーティングがスタートしたノードに戻った。ブロードキャストでなくグリッドルーティングによるパケットの消失は、アップしてきて、ダウンしていくリンクにおいてそれの起点を有する。ブロードキャストルーティングは、グリッドルーティングより頻繁より多くのリンクの組み合わせを試行する。結論として、少数の故障ノード(<3%)(又は連続する故障ノードセット)について、グリッドルーティングとブロードキャストルーティングは常に、1つ存在するときはパスを検出する。グリッドルーティングはまた、最短パスから離れていないパスを検出する。グリッド上にランダムに分散する多数の故障ノード(>3%)について、パスが瞬間的に存在しても、グリッドルーティングはパケットを消失する。
【0062】
図9は、引用された条件のシミュレーションの結果のテーブルを示す。すべての数はトータルのパーセントである。“dead”というエントリは、ソース又はデスティネーションが故障していることを意味する。“lost”というエントリは、消失パケットの個数を示す。0,2,4及び>6の各エントリは、最小のホップ数に関して必要とされるホップ数を示す。テーブルは、故障ノードの個数が増加し、パス長が増加することによって、dead及びlostパケットの個数とパケット毎のホップ数が増加することを示す。
【0063】
平均ホップ増加量は、Σi=1,nδi/n(δiはパケットiのホップカウント増加量であり、nはパケットの合計数である)として計算される。図10Aにおいて、グリッドルーティングに対する消失パケットのパーセントは、故障ノードの個数の関数として示される。図10Bにおいて、ブロードキャストルーティングとグリッドルーティングとの対する平均ホップカウント増加量は、パス長=20の場合の故障ノード数の関数として示される。
【0064】
本発明は、自宅、店舗及びオフィスアプリケーションに設置された照明システムなど、複数の光源を有する複合照明システムなどの何れかのネットワーク化された制御システムにおいて適用可能である。本発明は、グリッドに構成される相互接続された照明器具を有する複合照明システムの照明器具又は照明器具グループを制御するためなど、ほぼ矩形のグリッドに配置されたネットワーク化された制御システムの装置の個別制御に特に適用可能である。このような環境の具体例として、温室、工場建物、スポーツホール、オフィスビル、屋外(マトリクス)ライトディスプレイなどがあげられる。
【0065】
本発明の機能の少なくとも一部は、ハードウェア又はソフトウェアにより実行されてもよい。ソフトウェアによる実現の場合、単一の又は複数の標準的なマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラが、本発明を実現する単一の又は複数のアルゴリズムを処理するのに利用されてもよい。
【0066】
“有する”という用語は、他の要素又はステップをは排除するものでなく、“ある”という単語は複数を排除するものでないことに留意すべきである。さらに、請求項の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク化された制御システムの相互接続されたデバイスのネットワークを介したメッセージのルーティングに関し、特に照明システムの光源などのネットワーク化された制御システムのデバイスを個別に制御するためのメッセージのルーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク化された制御システムは、商業的、産業的及び機関的ビジネスマーケットと消費者マーケットとにおける普遍的傾向である。ネットワーク化された制御システムの一例は、多数の光源を有する複合照明システムである。業務用環境の具体例として、温室、工場建物、スポーツホール、オフィスビル及び屋外(マトリクス)ライトディスプレイに適用される照明システムがあげられる。特に、業務用環境では、例えば、大規模照明システムにおけるエネルギーを節約するため、個人及びローカルベースにおいてネットワーク化された制御システムの装置を制御することが、ますます関心が高まっている。
【0003】
照明システムの照明器具などのネットワーク化された制御システムの各装置は、有線又は無線媒体を介しメッセージを送信することによって制御可能である。無線は、設置コストを低減し、設置をよりフレキシブルなものにするため、魅力的である。無線ネットワークの主要な欠点の1つは、通常、多数のメッセージの欠落を導く、装置のネットワークを介したメッセージのルーティングの不安定性である。この不安定性の原因は、リンクが故障する度に新たなパスが検出され、ネットワーク上で報知される必要があるため、ネットワーク上のパスの維持である。
【0004】
WO2007/102114A1は、照明アレイの照明器具の動作を制御するよう構成される無線通信ネットワークにおける無線通信ノードのグループ化に関する。無線通信ノードの導出された空間構成をグループ化するコンピュータアルゴリズムが提供される。通信ネットワークにおける各ノードの位置は、照明アレイの特定の照明器具の位置に対応する。アルゴリズムは、ノードの構成を複数の空間グループに分割する。各空間グループは、グループのメンバーノードを一緒に結び付けるラインにより規定される。グループは、それらの統計的属性に従ってランク付けされ、各制御グループのメンバーノードと照明器具が単一のスイッチ又はセンサにより制御されるように、制御グループとして選択される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ネットワーク化された制御システムの相互接続された装置のネットワークを介しメッセージをルーティングするシステム、方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立形式の請求項の主題により解決される。さらなる実施例が、従属形式の請求項により示される。
【0007】
本発明の基本的なアイデアは、ネットワーク化された制御システムの相互接続された装置のグリッドを介し送信装置から宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定し、故障装置がルーティングパスに含まれているとき、全く新たなルーティングパスを決定する代わりに故障装置の周囲のメッセージをルーティングするため、ルーティングパスを変更することである。従って、ネットワーク化された照明システムの照明器具などの相互接続された装置のネットワークを介し送信装置から宛先装置へのメッセージの効率的なルーティングが、提供される。故障装置は、特に近傍の装置と通信できない、すなわち、グリッドの故障装置の近傍にある装置との間でメッセージを送受信できない装置である。本出願におけるグリッドは、各装置がグリッドの直接的な近傍にある装置との間でメッセージを送受信できるという点で、相互接続されている装置の2次元又は3次元配置であってもよい。ルーティングパスは、順序の始めにある送信装置と順序の終わりにある宛先とを有するグリッドの装置の順序を意味する。すなわち、ルーティングパスは、メッセージがグリッド上のある装置から他の装置にルーティングパスに沿って“ホップ”するように、前の装置からメッセージを受信し、それを順序の次の装置に転送するすべての装置を規定することによって、グリッド上のメッセージのパスを記述する。
【0008】
本発明の実施例は、ネットワーク化された制御システムの相互接続される装置のネットワークを介しメッセージをルーティングする方法であって、前記装置は、ほぼ矩形のグリッドに配置され、各装置は、前記グリッドの直接的に近傍にある装置から受信したメッセージを前記グリッドの直接的に近傍にある装置にルーティングするよう構成され、当該ルーティングは、送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップと、前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップと、前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップとを有する方法を提供する。
【0009】
装置の相互接続は、特に各装置がグリッドの近傍の装置との間でメッセージを送受信することを可能にする、装置間の通信接続を意味する。装置は、何れかのタイプのネットワーク化された制御システムの装置であってもよく、特にそれに接続された他の装置を制御するよう構成されるネットワーク化された制御システムの通信ノードであってもよい。例えば、装置は、中央コントローラによるアドレス指定と、ノードに接続される照明器具などのノードに接続される他の装置の統合された制御機能とを可能にするため、ネットワークアドレスを有するグリッドのノードであってもよい。ネットワーク化された制御システムは、温室、ホール、大規模建物、ホテルのロビー、大きなオフィスに設置される照明システムなどの、グリッドに配置される多数の相互接続された照明器具を有する複合照明システムとすることが可能である。
【0010】
前記送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップは、前記グリッドにおける前記送信装置と前記宛先装置との座標を用いてベクトルを決定するステップと、前記ベクトルの座標から前記グリッドにおける軸を計算するステップと、前記計算された軸から前記ルーティングパスを決定するステップとを有してもよい。
【0011】
これは、グリッドの直線のパスの組み合わせとしてルーティングパスを決定することを可能にする。例えば、2次元のほぼ矩形のグリッドでは、グリッドの各装置は、各装置の位置を特定するため、座標の組を有してもよい。その後、ベクトルが、グリッドの送信装置と宛先装置との座標の組によって決定されてもよい。これらの組の各成分を減算することによって、組から軸が計算されてもよい。
【0012】
前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップは、前記ルーティングパスの各装置に対して、ルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、前記接続リンクが動作中である場合、前記ルーティングパスの次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、前記ルーティングパスの次の近傍の装置を故障としてマーク付けし、前記ルーティングパスを変更するステップとを有してもよい。
【0013】
2つの近傍の装置の間の接続リンクが、故障装置を示すものとして取得されてもよい。当然ながら、接続問題は故障装置を示すだけではない。それはまた、故障装置が近傍の装置と通信可能であるが、受信したメッセージをルーティングできない可能性もある。
【0014】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップは、ある装置から近傍の装置に前記メッセージを送信するため、a)変更されるルーティング方向を決定するステップと、b)前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、c)前記接続リンクが動作中である場合、前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、ステップa)〜c)を繰り返すステップとを実行することを含むものであってもよい。
【0015】
本実施例によると、ルーティング方法は、選択されたルーティング方向の次の装置が当該装置との動作中の接続リンクを構築できるとき、ルーティングされるメッセージを実際に格納する新たなルーティング方向を選択し、メッセージが転送可能な装置を検索する。
【0016】
前記変更されるルーティング方向を決定するステップは、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてライトからのものである場合、アップ、レフト、ダウンの所定のルーティング方向の第1順序又は前記第1順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてアップからのものである場合、レフト、ダウン、ライトの所定のルーティング方向の第2順序又は前記第2順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてレフトからのものである場合、ダウン、ライト、アップの所定のルーティング方向の第3順序又は前記第3順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてダウンからのものである場合、ライト、アップ、レフトの所定のルーティング方向の第4順序又は前記第4順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップとを有してもよい。
【0017】
これらのルーティングルールは、メッセージが受信されるルーティング方向に依存する好ましいルーティング方向の選択を規定する。所定のルーティング方向の順序は、ルーティング方向の第1のものが選択され、この方向が接続エラーなどのため利用可能でない場合、第2のものなどが利用される。
【0018】
前記所定のルーティング方向の順序又は前記順序の逆は、前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序として選択され、前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序は、前記デフォルトの順序の選択されたルーティング方向の次の近傍の装置との通信リンクが故障している場合、又は前記選択されたルーティング方向に装置が存在しない場合、前記逆の順序にスイッチされてもよい。
【0019】
従って、時計回り又は反時計回りのルーティング方向の選択が、デフォルト順序として設定されてもよい。
【0020】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップはさらに、前記ルーティングパスの変更を開始する前記装置の識別情報を前記メッセージに格納するステップと、前記変更されたルーティングパスの各装置により前記メッセージに格納された識別情報を自らの識別情報と比較するステップと、前記比較により、前記格納されている識別情報が前記比較する装置の識別情報に相当する場合、前記メッセージのルーティングを終了するステップと、
を有してもよい。
【0021】
これは、メッセージがグリッドにおいてループし、ルーティング方向の変更を開始した装置を再訪することを回避するのを可能にする。メッセージが当該装置を再訪した場合、これは通常は、宛先装置が故障装置により取り囲まれ、ルーティング方向を変更することにより到達不可であることを示す。
【0022】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップはさらに、前記ルーティングパスの変更を開始した装置が、ホップカウンタを前記メッセージに格納するステップと、前記メッセージを受信し、さらなる装置に送信する各装置が、前記ホップカウンタをインクリメントするステップと、前記変更されるルーティングパスの装置により前記メッセージに格納されたホップカウンタと最大ホップカウンタ値とを比較するステップと、前記比較により、前記格納されているホップカウンタが前記最大ホップカウンタ値以上である場合、前記メッセージのルーティングを終了するステップとを有してもよい。
【0023】
ホップカウンタは、グリッド上のパスを介しメッセージが到来する装置のインジケータである。従って、ホップカウンタは、メッセージがグリッド上を長く移動しすぎるとルーティングを終了させるため、各装置によって、特定の装置のみによって、又は最大ホップカウンタ値を超えたグリッドの装置のみによってチェック可能である。これは、多数の故障装置に取り囲まれ、当該装置に到達するための労力が大きすぎる宛先装置へのメッセージのルーティングを終了させるのに有用であり、例えば、宛先装置に制御メッセージを送信するのに必要な時間が、最大ルーティング時間を超えるべきでない。
【0024】
本発明の実施例は、上述された本発明による方法をプロセッサが実行することを可能にするコンピュータプログラムを提供する。プロセッサは、例えば、相互接続されたランプを有する照明システムの照明器具などのネットワーク化された制御システムの装置に実装されてもよい。従って、照明システムの中央コントローラなどの装置は、相互接続された照明器具のグリッド上の位置にある照明器具を制御するため制御メッセージをルーティングし、グリッドの各照明器具は、プロセッサがメッセージを宛先装置にルーティングするための本発明による方法を実現するコンピュータプログラムを実行することによって実行されてもよい。
【0025】
本発明のさらなる実施例によると、CD−ROM、DVD、メモリカード、ディスケット、インターネット記憶装置、又は光若しくは電子アクセスのためコンピュータプログラムを格納するのに適した同様のデータキャリアなど、本発明によるコンピュータプログラムを格納する記録キャリアが提供されてもよい。
【0026】
本発明のさらなる実施例は、PC(Personal Computer)などの本発明による方法を実行するようプログラムされたコンピュータを提供する。コンピュータは、例えば、建物の照明システムやHVAC(Heating,Ventilation,Air Conditioning)システムなど、ネットワーク化された制御システムの中央コントローラとして実現されてもよい。
【0027】
本発明のさらなる実施例は、ネットワーク化された制御システムの相互接続される装置のネットワークを介しメッセージをルーティングするシステムであって、前記装置は、ほぼ矩形のグリッドに配置され、各装置は、前記グリッドの直接的に近傍にある装置から受信したメッセージを前記グリッドの直接的に近傍にある装置にルーティングするよう構成され、当該システムは、送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップと、前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップと、前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップとを実行するよう構成されるシステムを提供する。
【0028】
当該システムは、上述された本発明の方法を実行するよう構成されてもよい。
【0029】
さらに、本発明の実施例は、上述された本発明のシステムにおいて適用するよう構成される装置であって、他の装置との間でメッセージを送受信する通信手段と、相互接続される装置のグリッドを介し決定されたルーティングパスに従って、メッセージが送信される近傍の装置を選択するルーティング決定手段とを有する装置に関する。
【0030】
当該装置は、例えば、複数の相互接続された照明器具を有する照明システムの照明器具などに実装される集積回路として実現されてもよい。
【0031】
前記ルーティング決定手段はさらに、a)変更されるルーティング方向を決定するステップと、b)前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、c)前記接続リンクが動作中である場合、前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、ステップa)〜c)を繰り返すステップと、を実行することによって、前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするための所定のルーティングルールに従って、前記ルーティングパスを変更するよう構成されてもよい。
【0032】
さらに、ルーティング決定手段は、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてライトからのものである場合、アップ、レフト、ダウンの所定のルーティング方向の第1順序又は前記第1順序の逆により前記ルーティング方向を変更するルールと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてアップからのものである場合、レフト、ダウン、ライトの所定のルーティング方向の第2順序又は前記第2順序の逆により前記ルーティング方向を変更するルールと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてレフトからのものである場合、ダウン、ライト、アップの所定のルーティング方向の第3順序又は前記第3順序の逆により前記ルーティング方向を変更するルールと、前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてダウンからのものである場合、ライト、アップ、レフトの所定のルーティング方向の第4順序又は前記第4順序の逆により前記ルーティング方向を変更するルールとに従って、変更されるルーティング方向を決定するよう構成されてもよい。
【0033】
ルーティング決定手段はさらに、前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序として前記所定のルーティング方向の順序又は前記順序の逆を選択し、前記デフォルトの順序の選択されたルーティング方向の次の近傍の装置との通信リンクが故障している場合、又は前記選択されたルーティング方向に装置が存在しない場合、前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序を前記逆の順序にスイッチするよう構成されてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明の上記及び他の態様は、後述される実施例を参照して明らかになるであろう。
【0035】
本発明は、実施例を参照して以下においてより詳細に説明される。しかしながら、本発明は、これらの実施例に限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、矩形グリッドに構成される照明器具を有する照明システムの実施例を示す。
【図2】図2は、本発明による図1の照明システムのノードの実施例を示す。
【図3】図3は、本発明による図1の照明システムの相互接続されたノードのネットワークを介しメッセージをルーティングする方法の実施例のフローチャートを示す。
【図4】図4は、本発明によるルーティング方向を変更するため実行されるステップの実施例のフローチャートを示す。
【図5】図5は、本発明によるグリッドに構成される複数の相互接続された照明器具を有する照明システムと、グリッドの1つの装置から他の装置に送信されるメッセージのルーティングベクトルとの他の実施例を示す。
【図6】図6は、図5の実施例と、本発明によるメッセージが故障ノードに到達するまでのグリッドを介したメッセージのパスとを示す。
【図7】図7は、図5の実施例と、本発明によるルーティング方法を実行することによって取得される、故障ノードの周囲をルーティングされるグリッドを介したメッセージのパスとを示す。
【図8】図8は、本発明によるメッセージをルーティングするための四分円と方向とによる図を示す。
【図9】図9は、本発明によるルーティング方法の実施例とブロードキャストルーティング方法とのシミュレーション結果のテーブルを示す。
【図10A】図10Aは、欠落したパケット又はメッセージの個数を示す図を示す。
【図10B】図10Bは、故障ノードの関数としての平均ホップカウントの増加を示す図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下において、機能的に類似又は同一の要素は、同一の参照番号を有するようにしてもよい。以下に開示される本発明の実施例は照明システムに関するものであったとしても、本発明は、一般にグリッドに構成される複数の装置を有するネットワーク化された制御システムに適用可能である。“照明”、“照明部”及び“照明器具”の用語は、以下において同一のものに関する。
【0038】
業務用環境では、個人及びローカルベースで複合照明システムの照明を制御することが、ますます関心が高まっている。このような環境の具体例として、温室、工場建物、スポーツホール、オフィスビル及び屋外(マトリクス)ライトディスプレイがあげられる。すべての照明器具をスイッチオン又はオフする代わりに、例えば、オフィスビルの特定のエリアを点灯し、又は温室の特定の場所の植物のみに対して光を生成するためなど、特定のエリアにおいて照明効果をローカルに生成するため、単一の照明器具又は照明器具のグループを制御することが好まれる。また、照明システムの中央コントローラなどによって、照明システムの照明器具を個別に制御することが、しばしば要求される。複合照明システムは、通常はネットワーク化された制御システムとして構成され、それは、照明器具又は照明器具グループなどのシステムの装置がネットワークの一部であり、制御メッセージなどにより個別にアドレス指定及び制御されることを意味する。制御メッセージは、屋外(マトリックス)ライトディスプレイなどの照明器具を制御するため設けられるコンピュータなどの中央コントローラなどによって一元的に生成可能であるが、また温室やオフィスのための照明システムなどにおけるローカルセンサの検出に基づくものであってもよい。
【0039】
典型的には、このようなネットワーク化された照明システムの照明器具の個別制御は、バラストなどの制御を必要とする各照明器具に通信ノードを付属させることによって実行される。ノードは、照明器具に統合されてもよいし、又は独立した装置として付属されてもよい。アドレス指定可能なノードは、ネットワーク化された制御システムの装置に対応する。ノードは、単一の照明器具又は複数の照明器具を制御するようにしてもよい。ネットワーク化された照明システムでは、各ノードは、中央コントローラからのメッセージが直接的にアドレス指定及びルーティング可能となるように、一意的なネットワークアドレスを有する。メッセージは、例えば、“アドレスxyzを有するノードに接続されるすべての照明器具を暗くする”、“アドレスxyzを有するノードの照明器具をアクティブ状態にする”などの、アドレス指定されたノードに付属する装置を制御するための何れかの制御コマンドを意味する。メッセージ又は制御コマンドは、ビルや環境内の所与の位置におけるノード又はノードグループに、当該位置において照明を調節するために送信される。
【0040】
また、照明システムの照明器具は、しばしば業務用環境では矩形のグリッドに構成される。グリッドの照明器具の間の接続は、例えば、RF(無線周波数)、IR(赤外線)又は可視光などを介し、有線又は無線により実現されてもよい。照明器具の無線通信接続は、通常は照明器具の高価で複雑な配線を必要としないため、大変魅力的なものである。しかしながら、無線通信は、通常、特に他の無線源からの干渉により有線通信より不安定である。従って、無線通信接続を介しある照明器具から他の照明器具に送信されるメッセージは、干渉を受ける無線通信のためそれのルーティングパス上で消失する可能性が発生する。しかしながら、メッセージは、無線通信を用いたネットワーク化された制御システムだけでなく有線通信のシステムにおいても消失する可能性がある。例えば、ネットワーク化された照明システムのグリッド状の照明器具の2つの照明器具の間の通信配線に不具合が生じたとき、又は照明器具が故障したとき、それは、グリッドの他の照明器具ともはや通信できなくなる。従って、無線、有線又はその両方の通信を利用するネットワーク化された制御システムのグリッド状の装置を介したメッセージのルーティングは、グリッド上のルーティングパスを検出する多用途な方法を必要とする。
【0041】
図1は、矩形グリッドに構成される照明器具を有するネットワーク化された照明システム20の一例を示す。照明器具は、上述されたノードに対応し、グリッドにおいて個別にアドレス指定可能である。図1はまた、矩形のボックスにより示される矩形グリッドの照明器具が、どのようにしてダブルの矢印により表される無線通信リンクにより相互接続されるかを示す。グリッドの各照明器具は、それの直接的な近隣にある照明器具に接続され、例えば、照明器具10は、アップ方向の同一カラムの照明器具12に接続され、ダウン方向の同一カラムの照明器具16に接続され、右方向の同一ローの照明器具14に接続され、左方向の同一ローの照明器具18に接続される。接続又はリンクは、照明器具やノードが他の直接的な近隣にある照明器具又はノードにメッセージ又はコマンドを送信可能な通信接続を意味する。第1照明器具から第2照明器具に送信されるメッセージは、メッセージが所定の方向に直接的な近傍のない照明器具によって受信されるまで、特定方向のグリッドの第3照明器具などに転送されてもよい。メッセージ又はコマンドは、メッセージ又はコマンドに含まれる宛先指定子などにより各自の位置を示すことによって、照明器具又はノードに送信される。
【0042】
照明器具は、例えば、各照明器具の主要な光源により生成される光などを介して無線通信してもよい。照明器具間の指向性光通信のための光円錐を生成するため、光コリメータが利用されてもよい。あるいは、指向性ライトを生成するため、レンズがまた適用可能である。照明器具の間の光相互接続は、可視光通信を介したデータ伝送技術である符号化された光により実現されてもよい。照明器具のランプは、光源のタイプに依存して数kbpsから数百kbpsまでの範囲のデータストリームを発信する。近傍の照明器具では、光は、10°などの狭い開口角で円錐により受光される。照明器具により伝送される光は、すべての近傍の照明器具により受光可能となるように、非指向性であってもよい。あるいは、発光される光は指向性であってもよい。このとき、異なるデータがグリッドにより4つの異なる方法に伝送されることが必要である。これは、コリメータが主要な光源から光を供給することによって実現可能である。独立したメッセージを照明器具の異なるサイドに送信可能にするため、チューブに1/4時間のみオープンであるシャッターを備えることが可能である。これらのシャッタは、照明器具のメインランプにより伝送されるデータと同期されるべきであり、すなわち、シャッタは、データが当該サイドに発信されるべきであるときオープンにされるべきである。受信機は、指向性受信を実現するため、同じチューブに配置可能である。あるいは、光相互接続は、追加的な光源により実現されてもよく、データ通信のために照明器具に追加されてもよい。例えば、この追加的な光源は、IR LED(Infrared Light Emitting Diode)とすることができる。これは、メイン光源が完全にスイッチオフされるとき当該手段が利用可能であるという効果を有する。さらに、異なる光源が、メイン光源とは独立に変調可能であり、上述した手段と同様のシャッタを必要としない。本発明の適用可能な符号化光技術は、可視光源からの光の変調を適用してもよい。これは、データを光自体に埋め込むことを可能にする。この変調は、それが人間の目には見えないように設計可能である。このような特徴は、外乱光が許容されないため、消費者用途によって特に重要である。しかしながら、コミッショニングなどの業務用用途については、あるレベルの可視的フリッカリングを生成するデータ変調はまた許容される可能性がある。異なるタイプの光源が異なる変調方式を利用してもよい。一例として、異なる変調方式が、ソリッドステート光(SSL)源及び蛍光光源に適用されてもよい。HIDやハロゲンなどの他の光源の変調もまた可能である。上述されるように、追加的な光源がまた照明器具間の相互接続を可能にするよう追加可能である。例えば、IR LEDが利用されてもよい。代わりに又はさらに、通信接続がRF(無線周波数)通信によって確立されてもよく、これはまた、建物の角の周囲やフェイスプレートを介して等、光によりブリッジできない近傍の装置の間の距離をブリッジすることを可能にする。
【0043】
以下において、本発明によるネットワーク化された制御システムの相互接続された装置のネットワークを介しメッセージをルーティングする方法の実施例が、複数の相互接続された照明器具を有する複合照明システムにより説明される。この照明システムでは、各照明器具はノードに接続される。ノードは、照明器具に一体化されてもよいし、又は照明器具に接続される独立した装置として実現されてもよい。ノードは図1に示されるようなグリッドに配置され、上下左右の各方向に自らの直接的な近傍と通信可能であると仮定される。ノードポジションは、[row,column]ペアとして表現可能である。あるノードから他の近傍ノードにルーティングされるメッセージは、ノードによりパケット通信プロトコルを利用することによってグリッドを介しルーティングされる可能性があるため、パケットと呼ばれる。エンド宛先“b”を有するノード“a”におけるパケットの方向は、パケットベクトル(rowb−rowa,columnb−columna)により与えられる。
【0044】
図2は、通信手段100とルーティング決定手段102とを有するノード10の実施例を示す。通信手段100は、無線通信リンク104を介しノード10の近傍にある他の装置との間でパケットを送受信するため設けられる。通信手段100は、WLANユニット及び/又はIR通信ユニットなどのRF通信モジュールを有してもよい。通信手段100は、手段100の通信範囲内のノードである近傍ノードとの通信リンクを確立するよう構成される。典型的には、通信範囲は、グリッドの直接的な近傍にあるノードのみとのリンクが確立できるように提供される。ルーティング決定手段102は、ノード10にアドレス指定されず、グリッドの他のノードにアドレス指定される受信パケットを転送する方法を決定するため設けられる。ルーティング決定手段102は、受信パケットをグリッドを介し宛先ノードにルーティングするため指定されたルーティングパスの次のノードに受信パケットを転送し、特にルーティングパスの次のノードが故障しているときには所定のルーティングルールに従って決定されたルーティングパスによって指定されるルーティング方向を変更するように、通信手段100を制御するよう構成されるアルゴリズムを実装する。図2のノードは、例えば、通信及びルーティング機能を照明器具に備えるため、照明器具に統合される集積回路又はマイクロチップとして実現可能である。
【0045】
図3において、本発明によるノードのグリッドを介したパケットのルーティング方法のフローチャートの実施例が示される。このフローチャートは、ノードのローとカラムの組により決定されるグリッドにおける各自のポジションを有する複数のノードのグリッドを示す図5に関して説明される。この組は、各ノードを示すものとして以下において利用される。パケットは、送信ノード[4,5]から宛先ノード[4,0]に移動するよう指定される、他のパケットは、送信ノード[2,6]から宛先ノード[0,1]に移動するよう指定される。パケットの送信ノードから宛先ノードへのルーティングパスは、パケットが送信ノードから宛先ノードに送出される前に決定されてもよい。ルーティングパスは、サブステップS100〜S104を実行することによってステップS10において決定される。ステップS10は、例えば、ローカルセンサの検出を受信し、これらのセンサ検出に基づきグリッドの他のノードを生成する必要があるノードによって、又は個別に照明器具を制御する照明システムの中央コントローラによって実行されてもよい。
【0046】
ステップS100において、各パケットベクトルが、グリッドの送信ノードと宛先ノードの位置から計算され、(0,−5)と(−2,−5)である。パケットは、図5のノード[4,3],[4,4]及び[4,5]上の破線の矢印により示されるように、あるノードから近傍ノードの1つにパケットを送信することによって、グリッドを介しルーティングされる。
【0047】
ルーティングベクトルを決定した後、ステップS102において、グリッドの各軸が決定されたパケットベクトルのベクトル座標から計算される。図5において、ベクトル(0,−5)から、送信ノード[4,5]からのカラム方向の“0”とロー方向の“−5”の2つの軸が計算される。これは、実際にルーティングパスがロー方向に1つの軸“−5”しか有さず、ノード[4,5],[4,4],[4,3],[4,2,[4,1],[4,0]があることを意味する。ベクトル(−2,−5)から、カラム方向に“−2”とロー方向に“−5”の2つの軸が計算でき、この結果、ルーティングパスは、ノード[2,6],[1,6],[0,6],[0,5],[0,4],[0,3],[0,2],[0,1]を含む。
【0048】
次のステップS104において、ステップS102において決定された軸を組み合わせることによって、ルーティングパスが決定される。ルーティング中、次の各ホップの選択は、最大となるベクトル座標の絶対値を有する軸に沿って移動することによって決定される。すなわち、グリッドを介したパケットのルーティングの始めについて、パケットベクトルから決定される2つの軸のより長いものが選択される。ベクトル(0,−5)のケースでは、ルーティングパスは、ロー方向に“−5”の1つの軸のみにより決定され、ベクトル(−2,−5)のケースでは、ルーティングパスは、ロー方向に第1のより長い軸“−5”により決定され、その後にカラム方向に第2のより短い軸“−2”により決定される。
【0049】
次のステップS12において、決定されたルーティングパスの始めにおける送信ノード[4,5]及び[2,6]から、ルーティングパス上のそれぞれの次の近傍ノード[4,4]及び[2,5]にパケットを送信することによって、決定されたパスを介しパケットがルーティングされる。決定されたルーティングパスのノードが動作中である場合、すなわち、非故障ノードである場合、ルーティング方向はルーティングパスにより決定され、ルーティング方向の変更は不要である。しかしながら、あるノードがルーティングパスの次の近傍のノードと通信リンクを確立できないときなど、ノードが故障しているとき、宛先ノードを実現するため、ステップS14において、所定のルーティングルールに従ってルーティング方向の変更が求められる。
【0050】
ステップS14は、グリッドの各ノードにより実行可能であり、各ノードのルーティング手段102(図2)により実現される。図4は、ステップS14のサブステップを示す。ルーティングパスの次のノードとの通信リンクの故障などのため、ルーティングパスにより決定されたルーティング方向の変更が求められることを判断したノードは、第1サブステップS140において、所定のルーティングルールに従って変更されたルーティング方向を決定する。その後、ノードは、ステップS142において、変更されたルーティング方向の次のノードとの接続リンクをチェックする。ステップS144において、ノードは、接続リンクが動作中であるかチェックし(サブステップS1440)、リンクが動作中である場合、ノードは、変更されたルーティング方向にパケットを送信する(サブステップS1442)。変更されたルーティング方向の接続リンクが動作中でない場合、ノードにより実行される本方法は、ルーティング方向が再変更されるステップS140に戻る。
【0051】
本発明の実施例では、ルーティング方向を変更するためのルーティングルールは、パケットのルーティングがルーティングパスの選択された軸に沿って進捗できないとき、ルーティングパスの他方の軸が、その値がゼロに等しくない限り選択されるという点で予め決定されている。宛先方向に双方の軸に沿って進捗が不可であるとき、故障したノードのセットに遭遇している。そのとき、いわゆる“フェース”ルーティングが、パケットが故障ノードセットのエッジに沿って時計回りに又は反時計回りにルーティングされるように実行される。適切なクロック方向の選択は、複数の故障ノード[2,5],[1,5],[0,5],[4,2],[4,1,],[3,2],[3,1]を含む、図6に示されるグリッドにより説明される。ノード[4,5]から送信されるパケットは、ノード[4,2],[4,1]が故障していて、ルーティングされるパケットの障害となるため、ノード[4,3]においてスタックされる。しかしながら、パケットは、この障害の周囲のノード[3,3],[2,3],[2,2],[2,1],[2,0],[3,0]を介しノード[4,0]に時計回りに移動することによって進行可能である。ノード[2,6]からのパケットは、ノード[0,6]においてスタックされる。それは、障害の周囲のノード[3,6],[3,5],[3,4],[2,4],[1,4],[0,4]を介しノード[0,1]に反時計回りに移動することにより進行可能である。反対の時計方向を選択することは、グリッドのエッジに沿ってパケットを迂回させる。パケットが障害に遭遇したときから、パケットは、フェースルーティングモードに入る(時計回り又は反時計回り)。パケットは、パケットベクトルに沿ってそれの進行が妨害され続けないとき、又はすなわち、障害を回避した後にルーティングパスに戻ると、フリー又はベーシックモードに戻る。図7は、破線の矢印によるフェースルーティングパスを示す。フェースルーティングは、ノード[0,6]におけるパケットについてスタートし、ノード[3,4]において終了し、その後に、ノード[0,1]まで通常のグリッドルーティングが続けられる。第2のパケットについて、フェースルーティングがノード[4,3]においてスタートし、ノード[2,0]において終了し、ノード[4,0]においてルーティングが終了する。
【0052】
以下において、本発明の実施例によるルーティングアルゴリズムが、ルーティングパス上に障害が発生した場合のルーティング方向の変更に着目してより詳細に説明される。このアルゴリズムは、1.グリッドルーティング、2.フェースルーティングのスタート、3.フェースルーティングの3つの部分から構成されてもよい。
1.グリッドルーティング:
所与のノードにおける所与のパケットのグリッド(フリー又はベーシック)ルーティングは、送信ノードからグリッドの宛先ノードへのルーティングパスの決定を有する。グリッドルーティングのアルゴリズムは、以下のように説明されてもよい。
【0053】
カバーする最長の距離の軸を計算
当該軸上の方向d1を決定
リンクd1がオープンである場合、d1に沿って近傍にパケットを送信
リンクd1がクローズである場合、
最短の距離の軸上の方向d2を決定
(リンクd2がオープンであり、かつ距離>0である場合)、d2に沿って近傍にパケットを送信
そうでない場合、フェースルーティングをスタート
従って、グリッドルーティングは、カバーする最長距離の軸(方向d1)上に、当該軸に沿ったルーティング中に障害が発生するまで、パケットをまずルーティングし始める。障害のケースでは、すなわち、次のノードへのリンクが故障しているとき、グリッドルーティングは、パケットがカバーする最短の距離の軸の方向(方向d2)にルーティングされるという点でルーティング方向を変更する。障害がない場合、パケットは方向d2にルーティングされる。
2.フェースルーティングのスタート:
フェースルーティングは、パケットベクトルにより指定される象限への進行がもはや可能でなくなるとスタートされる。図8は、4つの象限Q1〜Q4を示す。象限Q1は、アップを含まない右上からアップまでのすべてのパケットベクトルを含む。象限Q2は、レフトを含まないアップからレフトまでのすべてのパケットベクトルを含む。その他の象限も同様に定義される。
【0054】
時計回りのフェースルーティングについて、Q1のベクトルを有するパケットが、アップ、レフト及びダウンの順序で第1の利用可能なリンクを介し送信される。Q2のパケットは、レフト、ダウン及びライトの順序により第1の利用可能なリンクを介し送信される。反時計回りのフェースルーティングについて、Q1のベクトルを有するパケットが、ダウン、レフト及びアップの順序で第1の利用可能なリンクを介し送信される。Q2のパケットは、ライト、ダウン及びレフトの順序で第1の利用可能なリンクを介し送信される。その他の象限のフェースルーティングのスタートは、同様に行われる。
【0055】
時計回り方向の選択:
時計回り又は反時計回りの選択は、故障ノードと共にグリッドのエッジに遭遇したときに行われる。メッセージ生成時、時計方向は、デフォルトでは時計回りに設定されている。パケットがそれのルーティングパス上でブロックされると、デフォルトの時計方向がフェースルーティングについて引き継がれる。グリッドのエッジの遭遇時、時計方向は変更可能である。時計回りの方向は、パケットがQ2の宛先を有するロー0、Q4の宛先を有するローマックス、Q1の宛先を有するカラム0及びQ3の宛先を有するカラムマックスにあるとき選択される。
【0056】
他のすべてのケースにおいて、エッジにおいて、方向カウンタ時計回りが選択される。この選択の後、デフォルトクロック方向は、新たに選ばれた方向に設定される。
3.フェースルーティング:
フェースルーティングがスタートすると、パケットが所与のリンクから到来する。パケットが時計回りにルーティングされると、好ましい方向はライトに、その後に真っ直ぐである。パケットが反時計回りにルーティングされると、好ましい方向はレフトに、その後に真っ直ぐである。反時計回りのパケットがレフトから到来すると、第1の利用可能な方向は、アップ、ライト及びダウンの順序で選ばれる。反時計回りのパケットがアップから到来すると、第1の利用可能な方向は、他のリンクからライト、ダウン及びレフトの順序で選ばれる。
【0057】
時計回りのパケットがレフトから到来すると、第1の利用可能な方向は、ダウン、ライト及びアップの順序で選ばれる。時計回りのパケットがアップから到来すると、第1の利用可能な方向は、他のリンクからレフト、ダウン及びライトの順序で選ばれる。
【0058】
終了
故障ノードに取り囲まれてノードが到達不可能になると、パケットはネットワークにおいてループ状態になり、以前に訪れたノードの1つに再訪する。パケットにおける訪問済みのノードの大きなリストを防ぐため、直近のフェースルーティングがスタートしたノードが、それぞれパケット又はメッセージに格納することが可能である。アルゴリズムは、宛先ノードが到達不可になったとき、パケットがフェースルーティングがスタートしたノードに戻るように、又はフェースルーティングがスタートしたノードにパケットが戻ったときにルーティングが中止されるように、実現されてもよい。ときには、複数のフェースがルーティングされ、スタートノードは、パケットにもはや存在しない。グリッドにおけるパケットの循環を回避するため、最大ホップカウントがさらに維持可能である。このとき、ホップカウントが+20などの最小ホップ距離より大きくなると、パケットが停止できるように、アルゴリズムが実現可能である。
【0059】
以下において、本発明によるルーティング方法がブロードキャストルーティング方法と比較される。
【0060】
フェースアルゴリズムは、50×50のノードのグリッド上でシミュレートされる。提案されるグリッドルーティングのパフォーマンスは、可能なすべてのパスが試行されるブロードキャストルーティングと比較された。ノードが到達可能であるとき、ブロードキャストルーティングはそれに到達するであろう。テストは、ルーティングが失敗した回数と、障害がないときに必要とされるホップの最小数と比較して必要とされる追加的なホップの回数とを比較する。グリッドでは、ランダムにソースとデスティネーションとが、5,10,15及び20のホップを有するパス上で選ばれた。パスは、グリッド上にランダムに分散していた。グリッド内において、ランダムに選ばれたノードが故障していると宣言された。故障ノードの個数は、20の刻みで10から210までの範囲であった。以下のシンボルが使用され、FNは故障ノードの個数を意味し、PLはパス長を意味し、bcはブロードキャストを意味し、grはグリッドルーティングを意味する。
【0061】
一般に、少数の故障ノードについて、ブロードキャストパスはもはやグリッドルーティングパスより長くなる傾向があることが観察できる。これは、より長いパスを用いるパケットがより短いパスを用いるパケットより前に到着するように、リンクコンフリクト及び遅延をもたらすブロードキャストによって生成される多数のパケットにより生じる。ブロードキャストルーティングによってはパケットは消失しないが、グリッドルーティングによると、パケットの5%までがときには消失する。消失したすべてのパケットに対して、パケットは完全に巡回し、フェースルーティングがスタートしたノードに戻った。ブロードキャストでなくグリッドルーティングによるパケットの消失は、アップしてきて、ダウンしていくリンクにおいてそれの起点を有する。ブロードキャストルーティングは、グリッドルーティングより頻繁より多くのリンクの組み合わせを試行する。結論として、少数の故障ノード(<3%)(又は連続する故障ノードセット)について、グリッドルーティングとブロードキャストルーティングは常に、1つ存在するときはパスを検出する。グリッドルーティングはまた、最短パスから離れていないパスを検出する。グリッド上にランダムに分散する多数の故障ノード(>3%)について、パスが瞬間的に存在しても、グリッドルーティングはパケットを消失する。
【0062】
図9は、引用された条件のシミュレーションの結果のテーブルを示す。すべての数はトータルのパーセントである。“dead”というエントリは、ソース又はデスティネーションが故障していることを意味する。“lost”というエントリは、消失パケットの個数を示す。0,2,4及び>6の各エントリは、最小のホップ数に関して必要とされるホップ数を示す。テーブルは、故障ノードの個数が増加し、パス長が増加することによって、dead及びlostパケットの個数とパケット毎のホップ数が増加することを示す。
【0063】
平均ホップ増加量は、Σi=1,nδi/n(δiはパケットiのホップカウント増加量であり、nはパケットの合計数である)として計算される。図10Aにおいて、グリッドルーティングに対する消失パケットのパーセントは、故障ノードの個数の関数として示される。図10Bにおいて、ブロードキャストルーティングとグリッドルーティングとの対する平均ホップカウント増加量は、パス長=20の場合の故障ノード数の関数として示される。
【0064】
本発明は、自宅、店舗及びオフィスアプリケーションに設置された照明システムなど、複数の光源を有する複合照明システムなどの何れかのネットワーク化された制御システムにおいて適用可能である。本発明は、グリッドに構成される相互接続された照明器具を有する複合照明システムの照明器具又は照明器具グループを制御するためなど、ほぼ矩形のグリッドに配置されたネットワーク化された制御システムの装置の個別制御に特に適用可能である。このような環境の具体例として、温室、工場建物、スポーツホール、オフィスビル、屋外(マトリクス)ライトディスプレイなどがあげられる。
【0065】
本発明の機能の少なくとも一部は、ハードウェア又はソフトウェアにより実行されてもよい。ソフトウェアによる実現の場合、単一の又は複数の標準的なマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラが、本発明を実現する単一の又は複数のアルゴリズムを処理するのに利用されてもよい。
【0066】
“有する”という用語は、他の要素又はステップをは排除するものでなく、“ある”という単語は複数を排除するものでないことに留意すべきである。さらに、請求項の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク化された制御システムの相互接続される装置のネットワークを介しメッセージをルーティングする方法であって、
前記装置は、ほぼ矩形のグリッドに配置され、各装置は、前記グリッドの直接的に近傍にある装置から受信したメッセージを前記グリッドの直接的に近傍にある装置にルーティングするよう構成され、
当該ルーティングは、
送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップと、
前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップと、
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップは、
前記グリッドにおける前記送信装置と前記宛先装置との座標を用いてベクトルを決定するステップと、
前記ベクトルの座標から前記グリッドにおける軸を計算するステップと、
前記計算された軸から前記ルーティングパスを決定するステップと、
を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップは、
前記ルーティングパスの各装置に対して、ルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、
前記接続リンクが動作中である場合、前記ルーティングパスの次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、前記ルーティングパスの次の近傍の装置を故障としてマーク付けし、前記ルーティングパスを変更するステップと、
を有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップは、
ある装置から近傍の装置に前記メッセージを送信するため、
a)変更されるルーティング方向を決定するステップと、
b)前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、
c)前記接続リンクが動作中である場合、前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、ステップa)〜c)を繰り返すステップと、
を実行することを含む、請求項1乃至3何れか一項記載の方法。
【請求項5】
前記変更されるルーティング方向を決定するステップは、
前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてライトからのものである場合、アップ、レフト、ダウンの所定のルーティング方向の第1順序又は前記第1順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、
前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてアップからのものである場合、レフト、ダウン、ライトの所定のルーティング方向の第2順序又は前記第2順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、
前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてレフトからのものである場合、ダウン、ライト、アップの所定のルーティング方向の第3順序又は前記第3順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、
前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてダウンからのものである場合、ライト、アップ、レフトの所定のルーティング方向の第4順序又は前記第4順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、
を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記所定のルーティング方向の順序又は前記順序の逆は、前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序として選択され、
前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序は、前記デフォルトの順序の選択されたルーティング方向の次の近傍の装置との通信リンクが故障している場合、又は前記選択されたルーティング方向に装置が存在しない場合、前記逆の順序にスイッチされる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップはさらに、
前記ルーティングパスの変更を開始する前記装置の識別情報を前記メッセージに格納するステップと、
前記変更されたルーティングパスの各装置により前記メッセージに格納された識別情報を自らの識別情報と比較するステップと、
前記比較により、前記格納されている識別情報が前記比較する装置の識別情報に相当する場合、前記メッセージのルーティングを終了するステップと、
を有する、請求項1乃至6何れか一項記載の方法。
【請求項8】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップはさらに、
前記ルーティングパスの変更を開始した装置が、ホップカウンタを前記メッセージに格納するステップと、
前記メッセージを受信し、さらなる装置に送信する各装置が、前記ホップカウンタをインクリメントするステップと、
前記変更されるルーティングパスの装置により前記メッセージに格納されたホップカウンタと最大ホップカウンタ値とを比較するステップと、
前記比較により、前記格納されているホップカウンタが前記最大ホップカウンタ値以上である場合、前記メッセージのルーティングを終了するステップと、
を有する、請求項1乃至7何れか一項記載の方法。
【請求項9】
請求項1乃至8何れか一項記載の方法をプロセッサが実行することを可能にするコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9記載のコンピュータプログラムを格納する記録キャリア。
【請求項11】
請求項1乃至8何れか一項記載の方法を実行するようプログラムされたコンピュータ。
【請求項12】
ネットワーク化された制御システムの相互接続される装置のネットワークを介しメッセージをルーティングするシステムであって、
前記装置は、ほぼ矩形のグリッドに配置され、各装置は、前記グリッドの直接的に近傍にある装置から受信したメッセージを前記グリッドの直接的に近傍にある装置にルーティングするよう構成され、
当該システムは、
送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップと、
前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップと、
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップと、
を実行するよう構成されるシステム。
【請求項13】
請求項2乃至8何れか一項記載の方法を実行するよう構成される、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
請求項12又は13記載のシステムにおいて適用するよう構成される装置であって、
他の装置との間でメッセージを送受信する通信手段と、
相互接続される装置のグリッドを介し決定されたルーティングパスに従って、メッセージが送信される近傍の装置を選択するルーティング決定手段と、
を有する装置。
【請求項15】
前記ルーティング決定手段はさらに、
a)変更されるルーティング方向を決定するステップと、
b)前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、
c)前記接続リンクが動作中である場合、前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、ステップa)〜c)を繰り返すステップと、
を実行することによって、前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするための所定のルーティングルールに従って、前記ルーティングパスを変更するよう構成される、請求項14記載の装置。
【請求項1】
ネットワーク化された制御システムの相互接続される装置のネットワークを介しメッセージをルーティングする方法であって、
前記装置は、ほぼ矩形のグリッドに配置され、各装置は、前記グリッドの直接的に近傍にある装置から受信したメッセージを前記グリッドの直接的に近傍にある装置にルーティングするよう構成され、
当該ルーティングは、
送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップと、
前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップと、
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップは、
前記グリッドにおける前記送信装置と前記宛先装置との座標を用いてベクトルを決定するステップと、
前記ベクトルの座標から前記グリッドにおける軸を計算するステップと、
前記計算された軸から前記ルーティングパスを決定するステップと、
を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップは、
前記ルーティングパスの各装置に対して、ルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、
前記接続リンクが動作中である場合、前記ルーティングパスの次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、前記ルーティングパスの次の近傍の装置を故障としてマーク付けし、前記ルーティングパスを変更するステップと、
を有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップは、
ある装置から近傍の装置に前記メッセージを送信するため、
a)変更されるルーティング方向を決定するステップと、
b)前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、
c)前記接続リンクが動作中である場合、前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、ステップa)〜c)を繰り返すステップと、
を実行することを含む、請求項1乃至3何れか一項記載の方法。
【請求項5】
前記変更されるルーティング方向を決定するステップは、
前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてライトからのものである場合、アップ、レフト、ダウンの所定のルーティング方向の第1順序又は前記第1順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、
前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてアップからのものである場合、レフト、ダウン、ライトの所定のルーティング方向の第2順序又は前記第2順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、
前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてレフトからのものである場合、ダウン、ライト、アップの所定のルーティング方向の第3順序又は前記第3順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、
前記決定されたルーティングパスのルーティング方向が前記グリッドにおいてダウンからのものである場合、ライト、アップ、レフトの所定のルーティング方向の第4順序又は前記第4順序の逆により前記ルーティング方向を変更するステップと、
を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記所定のルーティング方向の順序又は前記順序の逆は、前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序として選択され、
前記ルーティング方向のデフォルトの変更順序は、前記デフォルトの順序の選択されたルーティング方向の次の近傍の装置との通信リンクが故障している場合、又は前記選択されたルーティング方向に装置が存在しない場合、前記逆の順序にスイッチされる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップはさらに、
前記ルーティングパスの変更を開始する前記装置の識別情報を前記メッセージに格納するステップと、
前記変更されたルーティングパスの各装置により前記メッセージに格納された識別情報を自らの識別情報と比較するステップと、
前記比較により、前記格納されている識別情報が前記比較する装置の識別情報に相当する場合、前記メッセージのルーティングを終了するステップと、
を有する、請求項1乃至6何れか一項記載の方法。
【請求項8】
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップはさらに、
前記ルーティングパスの変更を開始した装置が、ホップカウンタを前記メッセージに格納するステップと、
前記メッセージを受信し、さらなる装置に送信する各装置が、前記ホップカウンタをインクリメントするステップと、
前記変更されるルーティングパスの装置により前記メッセージに格納されたホップカウンタと最大ホップカウンタ値とを比較するステップと、
前記比較により、前記格納されているホップカウンタが前記最大ホップカウンタ値以上である場合、前記メッセージのルーティングを終了するステップと、
を有する、請求項1乃至7何れか一項記載の方法。
【請求項9】
請求項1乃至8何れか一項記載の方法をプロセッサが実行することを可能にするコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9記載のコンピュータプログラムを格納する記録キャリア。
【請求項11】
請求項1乃至8何れか一項記載の方法を実行するようプログラムされたコンピュータ。
【請求項12】
ネットワーク化された制御システムの相互接続される装置のネットワークを介しメッセージをルーティングするシステムであって、
前記装置は、ほぼ矩形のグリッドに配置され、各装置は、前記グリッドの直接的に近傍にある装置から受信したメッセージを前記グリッドの直接的に近傍にある装置にルーティングするよう構成され、
当該システムは、
送信装置から前記グリッドを介し宛先装置へのメッセージのルーティングパスを決定するステップと、
前記グリッドを介し前記決定されたルーティングパスに沿って前記送信装置から前記宛先装置に前記メッセージをルーティングするステップと、
前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするため、所定のルーティングルールに従って前記ルーティングパスを変更するステップと、
を実行するよう構成されるシステム。
【請求項13】
請求項2乃至8何れか一項記載の方法を実行するよう構成される、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
請求項12又は13記載のシステムにおいて適用するよう構成される装置であって、
他の装置との間でメッセージを送受信する通信手段と、
相互接続される装置のグリッドを介し決定されたルーティングパスに従って、メッセージが送信される近傍の装置を選択するルーティング決定手段と、
を有する装置。
【請求項15】
前記ルーティング決定手段はさらに、
a)変更されるルーティング方向を決定するステップと、
b)前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置との接続リンクをチェックするステップと、
c)前記接続リンクが動作中である場合、前記変更されるルーティング方向の次の近傍の装置に前記メッセージを送信し、そうでない場合、ステップa)〜c)を繰り返すステップと、
を実行することによって、前記決定されたルーティングパスに含まれる故障装置の周囲で前記メッセージをルーティングするための所定のルーティングルールに従って、前記ルーティングパスを変更するよう構成される、請求項14記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公表番号】特表2012−518964(P2012−518964A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551553(P2011−551553)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050737
【国際公開番号】WO2010/097738
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050737
【国際公開番号】WO2010/097738
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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