説明

ネットワーク型録画システム

【課題】ユーザからの要求によって映像番組を録画し、複数の異なる種別の受信再生装置に配信する際に、各受信再生装置に対して映像番組の配信が開始されるまでの時間を短くすることを可能にすること。
【解決手段】録画装置20は、番組データを受信して任意の単位で分割し、分割された番組データを蓄積装置40に格納する。変換装置30は、蓄積装置40に格納された分割データを逐次読み込み、受信再生装置70の種別用に変換し、変換データを蓄積装置40に格納する。配信装置50は、蓄積装置40に格納された変換データを読み込み、受信再生装置70に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク型録画システムに関し、特に、ユーザからの要求によってテレビ番組などの映像番組を録画し、録画された映像番組をネットワーク経由で複数の異なる種別の受信再生装置に配信するネットワーク型録画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバに映像などの種々の情報を蓄積し、ユーザからの要求に従って提供するシステムが知られている。このシステムによれば、ユーザ側に多量の情報を蓄積するための蓄積装置を備えることなしに、種々の情報をユーザに提供することができる。
【0003】
特許文献1には、映像サーバに関し、複数の映像データのそれぞれを一定の長さにセグメント化した複数の映像セグメント列を複数の映像蓄積装置に蓄積し、送出要求に対応して映像蓄積装置から得られる映像セグメントを映像送出装置で連結して映像データのストリームを送出すること、映像セグメント列を複数の蓄積装置の台数に等しいシーケンス長の擬似ランダム系列に従ってそれぞれの蓄積装置に巡回的に配置し、かつ複数の映像データのそれぞれを異なる擬似ランダム系列に基づいて蓄積装置上に配置すること、が開示されている。
【0004】
特許文献2には、映像データを映像セグメントへ分割する手段と、クライアントからの映像データ再生要求によって映像セグメントを収集して再構成し、転送する映像収集再生手段を備えた映像分散キャッシュ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−205634号公報
【特許文献2】特開2000−339279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の映像サーバによれば、各映像蓄積装置に対するアクセスが平準化されるので、アクセスに対する応答性の期待値が短縮される。また、特許文献2の映像分散キャッシュ装置によれば、映像データを映像セグメントに分割することで、キャッシュのような小容量の蓄積装置にも映像データを蓄積することができ、蓄積装置の負荷分散を可能にすることができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1の映像サーバや特許文献2の映像分散キャッシュ装置では、映像データをユーザが所有する様々な種別の受信再生装置に向けて配信することは想定されていない。様々な種別の受信再生装置に向けて映像データを配信する場合でも、それらに対する映像データの配信や再生が開始されるまでの時間が短いことが望まれる。特許文献1,2の手法や構成は、様々な種別の受信再生装置に向けて映像が配信されるまでの時間を短くすることを意図するものでなく、それを実現できるものでもない。
【0008】
また、映像データをユーザの様々な種別の受信再生装置に向けて配信することを想定した場合、録画した番組の視聴権利などの問題から、ユーザごとの蓄積領域は分離されている必要がある。すなわち、あるユーザが録画した番組は、別のユーザが参照できないようにする必要がある。しかし、特許文献1,2に開示されている技術では、この実現には、蓄積容量の増加や運用コストの増加をもたらすという課題がある。
【0009】
本発明は、ユーザからの要求によってテレビ番組などの映像番組を録画し、録画された映像番組をネットワーク経由で複数の異なる種別の受信再生装置に配信するネットワーク型録画システムであって、各受信再生装置に対する映像番組の配信や再生が開始されるまでの時間を短くすることができるネットワーク型録画システムを提供することを目的としている。また、本発明は、映像番組を蓄積する蓄積装置の容量増加や運用コスト増加をもたらすことのないネットワーク型録画システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、本発明は、映像番組を録画して蓄積し、蓄積した映像番組をネットワーク経由で複数の異なる種別の受信再生装置に配信するネットワーク型録画システムであって、録画装置、変換装置、配信装置、蓄積装置および管理サーバを備え、前記録画装置は、映像番組の番組データを受信する番組データ受信手段と、前記番組データ受信手段により受信された番組データを任意の単位で分割し、分割データに分割された番組データを生成する番組データ分割手段と、前記番組データ分割手段により分割された番組データを前記蓄積装置に格納する分割データ蓄積制御手段を備え、前記受信再生装置から前記管理サーバを介して送出される録画指示に従って動作を開始し、前記変換装置は、前記蓄積装置に分割データが格納された段階で番組データを構成する分割データを逐次読み込む分割データ読込手段と、前記分割データ読込手段により読み込まれた分割データを変換して変換データを生成する分割データ変換手段と、前記分割データ変換手段により生成された変換データを前記蓄積装置に格納する変換データ蓄積制御手段を備え、前記配信装置は、前記蓄積装置に格納された変換データを読み込む変換データ読込手段と、前記変換データ読込手段により読み込まれた変換データを配信する変換データ配信手段を備え、前記受信再生装置から前記管理サーバを介して送出される配信指示に従って動作を開始することを基本的特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、受信再生装置から録画指示された映像番組の番組データを分割し、これにより生成された分割データを受信再生装置の種別向けに逐次変換するので、受信再生装置に対する映像番組の配信や再生が開始されるまでの時間を短くすることできる。また、既に録画が完了した映像番組の途中の任意位置からの配信が受信再生装置から指示された場合には、配信開始位置を簡易に決定することができる。
【0012】
さらに、蓄積装置において、ユーザごとの蓄積領域を論理的に分離しつつ、物理的には共有させることで、録画された同一映像番組をユーザ間で共有することができるので、蓄積装置そのものの容量を低減することができる。また、番組データの配信に際しては、分割された番組データを順次読み込んで配信すればよいので、キャッシュの容量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るネットワーク型録画システムの一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】蓄積装置での番組データの格納形態の説明図である。
【図3】番組データの変換を早期に開始可能にする手法の説明図である。
【図4】番組データの配信を早期に開始可能にする手法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明に係るネットワーク型録画システムの一実施形態を示す機能ブロック図である。
【0015】
本実施形態のネットワーク型録画システム10は、録画装置20、変換装置30、蓄積装置40、配信装置50および管理サーバ60を備える。このネットワーク型録画システム10は、ネットワークのサーバ側に設けられる。また、クライアントとしての受信再生装置70がネットワークに接続される。これにより、受信再生装置70は、ネットワーク型録画システム10が録画したテレビ番組などの映像番組の配信サービスを受けることができる。
【0016】
図1では、1つの受信再生装置70を図示しているが、実際には、複数の異なる種別の受信再生装置がネットワークに接続される。受信再生装置70には、テレビやセットトップボックスなどの映像受信再生装置、スマートフォンなどの携帯端末やPCなどの種別がある。しかし、本発明で使用される受信再生装置70は、上記の種別に限定されない。
【0017】
録画装置20は、番組データ受信部21、番組データ分割部22および分割データ蓄積制御部23を備える。この録画装置20は、外部から入力されるテレビ番組などの映像番組の番組データを受信して任意の単位の分割データに分割し、分割した番組データを蓄積装置40に格納する。番組データの受信、番組データの分割、分割された番組データの蓄積装置40への格納は、受信再生装置70から管理サーバ60を介して発行される録画指示に従って行われる。
【0018】
変換装置30は、分割データ読込部31、分割データ変換部32および変換データ蓄積制御部33を備える。この変換装置30は、蓄積装置40に格納された番組データの分割データを受信再生装置70の種別に応じて最適な形式に変換(符号化方式の変換、ビットレートの変換など)して変換データを生成し、これを蓄積装置40に格納する。
【0019】
蓄積装置40は、録画装置20の分割データ蓄積制御部23から送出される分割された番組データ、および変換装置30の変換データ蓄積制御部33から送出される変換データを格納する。
【0020】
配信装置50は、変換データ読込部51および変換データ配信部52を備える。この配信装置50は、受信再生装置70から管理サーバ60を介して発行される配信指示に従って蓄積装置40から変換データを読み出し、受信再生装置70に配信する。
【0021】
以下、図1のネットワーク型録画システム10における動作を処理の流れに沿って具体的に説明する。
【0022】
まず、受信再生装置70から録画指示が管理サーバ60に送出される。管理サーバ60は、この録画指示に従って管理サーバ60に録画指示を発行する。受信再生装置70からの録画指示は、日時、単発・毎週、映像番組などを指定して行うことができ、管理サーバ60は、受信再生装置70からの録画指示に従って録画装置20に録画指示を発行する。また、受信再生装置70からネットワーク経由で映像番組の録画予約が送出されれば、管理サーバ60は、この録画予約に従って録画指示を録画装置20に録画指示を発行する。
【0023】
録画装置20は、管理サーバ60からの録画指示に従って録画を開始する。具体的には、番組データ受信部21が、外部から入力されるテレビ番組などの映像番組の番組データを受信し、番組データ分割部22が、番組データ受信部21により受信された番組データを任意の単位に分割し、分割データに分割された番組データを生成し、分割データ蓄積制御部23が、番組データ分割部22により分割された番組データを蓄積装置40に格納する。ここでは、番組データとしてデジタル化されたフレーム構成のデータが外部から入力されることを想定している。
【0024】
外部から入力されるテレビ番組は、地上波や衛星からのものでもよいし、ケーブルテレビのようにマスターのヘッドエンドから配信されるものでもよい。また、映像番組は、テレビ番組に限定されず、IP(Internet Protocol)ネットワーク経由で提供されるビデオコンテンツでもよい。したがって、本明細書での「番組データ」は、番組データやコンテンツなどの総称である。
【0025】
番組データ分割部22での分割の単位は、例えば、5分間といった固定時間長の単位でもよいし、10Mバイトなどといった固定データ長の単位でもよい。さらに、ショット(単一のカメラ操作で撮影されたフレームの集合)やシーン(同一の意味や状況を表すショットの集合)といった画像上で意味のある単位でもよい。ショットやシーンの分割は、番組データの解析により可能であり、そのための手段は、既に知られている。
【0026】
蓄積装置40は、物理的に単体の蓄積装置でもよいが、物理的に分散された複数の蓄積装置でもよい。蓄積装置40が複数の蓄積装置からなる場合、蓄積装置間にネットワークが介在してもよい。蓄積装置40に必要とされる容量を考慮して、蓄積装置40に格納された番組データを、ある一定の判定基準によって削除することも好ましい。例えば、蓄積装置40に格納しておく期間を番組データごと、あるいは全ての番組データ共通に定め、その期間を超えた番組データを削除する。これは、番組データの中に「サーバ側での蓄積期限」情報を含ませ、該情報に従って蓄積期限が切れた番組データを蓄積装置40から削除することで実現できる。
【0027】
図2は、蓄積装置40での番組データ(分割された番組データ)の格納形態の説明図である。図2(a)は、各ユーザ1,2,3に対する物理的領域を設け、ユーザ1に対する物理的領域に、ユーザ1により録画指示された番組A,B,Cの番組データを格納し、ユーザ2に対する物理的領域に、ユーザ2により録画指示された番組B,D,Eの番組データを格納し、ユーザ3に対する物理的領域に、ユーザ3により録画指示された番組A,C,Dの番組データを格納することを示している。
【0028】
この格納形態では、ユーザ(複数の種別の受信再生装置を所有していてもよい)ごとに分離された物理的領域を設け、そこに当該ユーザにより録画指示された映像番組の番組データを格納し、複数のユーザに要求された番組が同一であっても各ユーザごとのその番組データを格納するので、蓄積装置40が必要とする容量が大きくなる。
【0029】
この格納形態は、蓄積装置40に、受信再生装置70のユーザに固有の物理的領域を設け、管理サーバ60に、録画指示を送出した受信再生装置70のユーザを識別するユーザ識別手段を設け、分割データ蓄積制御部23および変換データ蓄積制御部33からの番組データおよび変換データを、ユーザ識別手段により識別されたユーザに固有の物理的領域に格納することで実現できる。
【0030】
図2(b)は、番組A〜Eの番組データを全ユーザ共有の物理的な蓄積領域に蓄積し、ユーザ1の蓄積領域に番組A,B,Cの番組データへのリンクを格納し、ユーザ2の蓄積領域に番組B,D,Eの番組データへのリンクを格納し、ユーザ3の蓄積領域に番組A,C,Dの番組データへのリンクを格納することを示している。すなわち、ユーザごとの蓄積領域に番組データへのリンクを格納し、そのリンクを辿って実際の番組データを蓄積した蓄積領域が参照されるようにする。
【0031】
この格納形態では、複数のユーザから録画指示された同一番組の番組データを全ユーザ共有の物理的な蓄積領域に蓄積し、該蓄積領域を論理的にユーザごとに分離するので、蓄積装置40が必要とする容量を低減できる。
【0032】
この格納形態は、蓄積装置40に、受信再生装置70の全ユーザに共通の物理的領域と各ユーザに固有の論理的領域を設け、管理サーバ60に、録画指示を送出した受信再生装置70のユーザを識別するユーザ識別手段を設け、分割データ蓄積制御部22および変換データ蓄積制御部33からの番組データおよび変換データを全ユーザに共通の物理的領域に格納するとともに、各ユーザに固有の論理的領域から全ユーザに共通の物理的領域へのリンクを生成して当該ユーザに固有の論理領域に格納することで実現できる。
【0033】
変換装置30においては、まず、分割データ読込部31が、蓄積装置40から分割された番組データを読み込む。この際、蓄積装置40に1つの番組データの全てが格納された後でなくても、分割データが蓄積装置40に格納されれば、分割データを単位として逐次読み込むことができるので、早期に変換を開始することができる。なお、分割された番組データの読み込みは、分割データを時間的順序で読み込んでもよいし、ランダムに読み込んでもよい。
【0034】
次に、分割データ変換部32は、分割データ読込部31により読み込まれた番組データの分割データを受信再生装置の種別に応じて最適な形式に変換する。すなわち、分割データを、それぞれの受信再生装置の種別において受信再生可能な形式に変換する。
【0035】
番組データ分割部22で分割された番組データの境界が正常でない場合、例えば、番組データのフレーム構造やVOP(Video Object Plane)、GOP(Group of Pictures)などと分割点が一致しない場合、番組データの分割データの全てが蓄積装置40に格納されてからでないと、分割データ変換部32が分割データの変換を開始できない。これにより、番組データの配信が開始されるまでの遅延が大きくなる。この遅延は、以下に図3を参照して説明する手法で低減できる。
【0036】
図3は、番組データ分割部22で分割された番組データ(a)、分割点とフレーム構成が同期しない番組データ(b)(すなわち、番組データ分割部22での分割の境界が正常でない番組データ)、ヘッダ探索を利用しない場合の分割データの変換(c)、ヘッダ探索を利用する場合の分割データの変換(d)の具体例を示すタイミングチャートである。
【0037】
番組データ分割部22で番組データが分割された結果、分割の境界が正常でない番組データとなる場合、例えば、図3(b)に示すように、N番目の分割データで必要とされるヘッダなどの情報がN-1番目の分割データに含まれ、N+1番目の分割データで必要とされるヘッダなどの情報がN番目の分割データに含まれてしまっている場合、図3(c)に示すように、全ての分割データの格納が終了してからでないと、分割データ変換部32は分割データの変換を開始できない。
【0038】
しかし、分割データ読込部31において連続する2つの分割データを同時に読み込み、番組データとしての境界が正常かどうかを確認した上で、正常でない場合には、N番目の分割データの変換の際に、N-1番目の分割データから変換に必要な部分からのデータを抽出して結合した上で、分割データ変換部32へ入力し、N+1番目の分割データの変換の際に、N番目の分割データから変換に必要な部分からのデータを抽出して結合した上で、分割データ変換部32へ入力するようにする。これにより、分割データ変換部32では、図3(d)に示すように、分割データを逐次変換することができる。
【0039】
また、分割データ変換部32を複数の分割データ変換手段で構成し、各分割データ変換手段を受信再生装置の別々の種別用とすれば、複数の種別の受信再生装置に最適な形式の番組データを並列的に生成することができる。また、分割データ変換部32を複数の分割データ変換手段で構成し、それらの一部を受信再生装置の1つの種別用とすれば、該1つの種別の受信再生装置に最適な形式の番組データを並列的に生成することができる。他の分割データ変換手段は、受信再生装置の他の種別用にすることができる。
【0040】
以上のようにして、分割データ変換部32は、分割データを受信再生装置の種別に応じた最適な形式に変換する。例えば、テレビやセットトップボックス向けにはMPEG-2形式のデータに変換し、スマートフォン向けにはMP4形式のデータなどに変換する。分割データ変換部32では、同一の受信再生装置の種別に対して、複数のデータレートへの変換を行ってもよい。例えば、スマートフォン向けに、家庭内などの無線LANで受信して視聴することを目的として毎秒1Mビットのデータレートへ変換し、同時に、屋外などの携帯電話ネットワークで受信して視聴することを目的として毎秒500Kビットのデータレートへ変換してもよい。
【0041】
次に、変換データ蓄積制御部33は、分割データ変換部32で変換された変換データを蓄積装置40に格納する。このとき、変換前の分割データ、すなわち、録画装置20から送出された番組データは蓄積装置40に残しておいてもよいが、想定される受信再生装置の種別の全てに対する変換が行われた後は、蓄積装置40の容量を確保するために変換前の分割データは削除するのが好ましい。
【0042】
配信装置50は、各受信再生装置70向けに変換された変換データを、各受信再生装置70から管理サーバ60を通して発行される配信指示に従って配信する。受信再生装置70からの配信指示は、映像番組などを指定して行うことができ、管理サーバ60は、受信再生装置70からの配信指示に従って配信装置50に配信指示を発行する。
【0043】
具体的には、まず、変換データ読込部51が、配信を要求した受信再生装置70の種別に応じ、その種別に対応する変換データを特定して蓄積装置40から読み込む。
【0044】
変換データ配信部52は、変換データ読込部51により読み込まれた変換データを受信再生装置70に配信する。変換データの配信は、RTP(Realtime Transport Protocol)などのストリーミング形式によって配信することができる。また、受信再生装置70がダウンロード形式をサポートしている場合には、ダウンロード形式によって配信することもできる。
【0045】
なお、変換データの配信は、ある番組データの分割データを一度に読み込んだ上でこれらを結合して映像データを構成してから配信する必要はなく、時間的な順序で分割データを順次読み込みつつ、逐次配信すればよい。このとき、配信装置50は、現在配信している分割データの配信位置(例えば番組データ先頭からの経過時間など)を管理し、その分割データの配信が完了する前に次の分割データを読み込んで次の配信の開始に備えるようにする。これにより、受信再生装置70での映像番組の再生の途切れをなくすことができる。
【0046】
また、受信再生装置70から、映像番組における任意位置が再生開始ポイントとして配信が要求された場合、その番組データの分割データのうち、指定された再生開始ポイントを包含する分割データから読み込みを開始し、配信するようにすればよい。
【0047】
図4は、この場合の配信を示す図である。例えば、60分番組の40分経過後からの配信が要求されたとすると、分割データでない場合には、映像データの40分経過の再生開始ポイントからのデータを読み出すには、図4(a)に示すように、映像データの始点から探索(シーク)しなければならないが、分割データの場合には、図4(b)に示すように、再生開始ポイントを含む分割データの分割点から探索すればよい。これによって、受信再生装置70から配信が要求されてから、再生開始ポイントを探索するのに必要な処理を抑制し、要求された映像データを早期に配信することができるようになる。
【0048】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々に変形されたものも含む。例えば、上記実施形態では、受信再生装置70からの録画指示に応じて映像番組の番組データを格納し、その番組データをネットワーク経由で受信再生装置70に配信する。これは、受信再生装置70からの要求に応じて映像番組を提供するVOD(Video on Demand)の視聴形態であるが、本発明では、このような視聴形態に限られない。例えば、契約に基づいてネットワーク型録画システム10側で自動的に特定の映像番組を録画して提供するサービス形態などでもよい。
【0049】
各受信再生装置70からの録画指示の有無に拘わらず、ネットワーク型録画システム10側で自動的に映像番組を録画する場合、例えば、番組データの中に含まれている「サーバ側での録画許可」フラグにより録画許可されている番組の番組データを全て受信して録画するようにすることができる。この場合でも、明示的に録画指示を発行したユーザの蓄積領域にのみ、該当する番組データへのリンクを格納すれば、図2(b)を利用して、蓄積装置40に必要な容量を低減できる。
【符号の説明】
【0050】
10・・・ネットワーク型録画システム、20・・・録画装置、21・・・番組データ受信部、22・・・番組データ分割部、23・・・分割データ蓄積制御部、30・・・変換装置、31・・・分割データ読込部、32・・・分割データ変換部、33・・・変換データ蓄積制御部、40・・・蓄積装置、50・・・配信装置、51・・・変換データ読込部、52・・・変換データ配信部、60・・・管理サーバ、70・・・受信再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像番組を録画して蓄積し、蓄積した映像番組をネットワーク経由で複数の異なる種別の受信再生装置に配信するネットワーク型録画システムであって、
録画装置、変換装置、配信装置、蓄積装置および管理サーバを備え、
前記録画装置は、
映像番組の番組データを受信する番組データ受信手段と、前記番組データ受信手段により受信された番組データを任意の単位で分割し、分割データに分割された番組データを生成する番組データ分割手段と、前記番組データ分割手段により分割された番組データを前記蓄積装置に格納する分割データ蓄積制御手段を備え、前記受信再生装置から前記管理サーバを介して送出される録画指示に従って動作を開始し、
前記変換装置は、
前記蓄積装置に分割データが格納された段階で番組データを構成する分割データを逐次読み込む分割データ読込手段と、前記分割データ読込手段により読み込まれた分割データを変換して変換データを生成する分割データ変換手段と、前記分割データ変換手段により生成された変換データを前記蓄積装置に格納する変換データ蓄積制御手段を備え、
前記配信装置は、
前記蓄積装置に格納された変換データを読み込む変換データ読込手段と、前記変換データ読込手段により読み込まれた変換データを配信する変換データ配信手段を備え、前記受信再生装置から前記管理サーバを介して送出される配信指示に従って動作を開始することを特徴とするネットワーク型録画システム。
【請求項2】
前記分割データ変換装置は、複数の分割データ変換手段を有し、各分割データ変換手段は、受信再生装置の別々の種別用とされ、複数の種別の受信再生装置に最適な形式の番組データを並列的に生成することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク型録画システム。
【請求項3】
前記分割データ変換装置は、複数の分割データ変換手段を有し、該複数の分割データ変換手段のうちの一部は、受信再生装置の1つの種別用とされ、該1つの種別の受信再生装置に最適な形式の番組データを並列的に生成することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク型録画システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記受信再生装置からネットワーク経由で映像番組の録画予約を受信し、該録画予約に従って録画指示を前記録画装置に送出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のネットワーク型録画システム。
【請求項5】
前記蓄積装置は、受信再生装置のユーザに固有の物理的領域を有し、
前記管理サーバは、録画指示を送出した受信再生装置のユーザを識別するユーザ識別手段を備え、
前記分割データ蓄積制御部および前記変換データ蓄積制御部は、該録画指示に従って前記録画装置から送出される番組データおよび前記変換装置から送出される変換データを、前記ユーザ識別手段により識別されたユーザに固有の物理的領域に格納し、
前記配信装置は、配信指示を送出した受信再生装置に対して該受信再生装置のユーザに固有の物理的領域に格納されている変換データを読み込み、配信することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のネットワーク型録画システム。
【請求項6】
前記蓄積装置は、受信再生装置の全ユーザに共通の物理的領域と各ユーザに固有の論理的領域を有し、
前記管理サーバは、録画指示を送出した受信再生装置のユーザを識別するユーザ識別手段を備え、
前記分割データ蓄積制御部および前記変換データ蓄積制御部は、該録画指示に従って前記録画装置から送出される番組データおよび前記変換装置から送出される変換データを全ユーザに共通の物理的領域に格納するとともに、各ユーザに固有の論理的領域から全ユーザに共通の物理的領域へのリンクを生成して当該ユーザに固有の論理的領域に格納し、
前記配信装置は、配信指示を送出した受信再生装置に対して該受信再生装置のユーザに固有の論理的領域からリンクを辿って全ユーザに共通の物理的領域に格納されている変換データを読み込み、配信することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のネットワーク型録画システム。
【請求項7】
前記蓄積装置は、物理的に分散された蓄積装置からなり、分割データおよび変換データの各々が分散されて格納されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のネットワーク型録画システム。
【請求項8】
前記分割データ変換手段は、当該分割データが変換可能でない場合、それ以前の分割データから当該分割データの変換に必要な部分からのデータを抽出して結合した上で変換することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のネットワーク型録画システム。
【請求項9】
前記録画装置は、さらに、受信した番組データに含まれる番組録画許可情報を読み取る番組データ録画可否判定手段を備え、番組録画許可情報で録画が許可されている番組データのみ受信し、その分割データを前記蓄積装置に格納することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載のネットワーク型録画システム。
【請求項10】
前記録画装置は、さらに、受信した番組データに含まれる番組格納期限情報を読み取る番組データ格納期限判定手段と、番組蓄積期限情報で番組蓄積期限が過ぎた番組データおよび分割データを前記蓄積装置から削除する番組データ削除手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載のネットワーク型録画システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−253615(P2012−253615A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125516(P2011−125516)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】