説明

ネットワーク接続システム

【課題】 ユーザーがISPと契約することなく,ネットワークサービスを試用することができるネットワーク接続システムの提供。
【解決手段】 ネットワーク通信機能を有する通信端末をネットワークに接続するネットワーク接続システムであって,認証情報を記憶する記憶手段と,該記憶手段が記憶する認証情報を回線接続装置に送信する送信手段と,を備える接続装置と,前記送信手段が送信した認証情報を受信する受信手段と,該受信手段が認証情報を受信した場合に,接続装置の通信を許可する許可手段と,認証情報の受信について所定の条件に達した場合に,接続装置の通信を禁止する禁止手段と,を備える回線接続装置と,を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ネットワーク接続機能を有する通信端末をネットワークに接続するため機能を持った接続装置と該接続装置と通信を行うサーバーとを備えたネットワーク接続システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーは,ネットワークにアクセスするために,予めISP(Internet service provider)と契約した後,ルーター等に各種の設定を行う必要がある。具体的には,パーソナルコンピューターによりルーターに記憶されているウェブページにおいて,契約後にISPから郵送等により送付されてきたユーザーID及びパスワードを入力する。入力されたユーザーID及びパスワードがサーバーに送信され,送信されたユーザーID及びパスワードがサーバーに記憶されている情報と一致した場合に,ルーターからの通信が許可される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−130334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように,ユーザーは,ネットワークにアクセスするために,予めISPと契約し,ユーザーID及びパスワードを取得しておく必要がある。しかしながら,ユーザーには,煩わしい契約等をすることなく,一定期間や一定回数,ネットワークサービスを試用した後に,契約するか否かを決定したいという要望がある。
【0005】
そこで本発明は,上記課題に鑑み,ユーザーがISPと契約することなく,ネットワークサービスを試用することができるネットワーク接続システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のネットワーク接続システムは,ネットワーク通信機能を有する通信端末をネットワークに接続するネットワーク接続システムであって,認証情報を記憶する記憶手段と,該記憶手段が記憶する認証情報を回線接続装置に送信する送信手段と,を備える接続装置と,前記送信手段が送信した認証情報を受信する受信手段と,該受信手段が認証情報を受信した場合に,接続装置の通信を許可する許可手段と,認証情報の受信について所定の条件に達した場合に,接続装置の通信を禁止する禁止手段と,を備える回線接続装置と,を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成のネットワーク接続システムによれば,予め接続装置に記憶されている認証情報が回線接続装置に送信され,回線接続装置により,認証情報の受信について所定の条件に達した場合に通信が禁止されるから,ユーザーは,ISPと予め契約することなく,ネットワークサービスを試用することができる。
【0008】
本発明のネットワーク接続システムは,上記の構成において,前記所定の条件は,時間に関する条件であって,前記禁止手段は,前記受信手段が認証情報を受信した最初の時刻から所定期間経過した場合に,接続装置の通信を禁止することを特徴とする。
【0009】
上記構成のネットワーク接続システムによれば,接続装置からの認証情報を受信した最初の時刻から所定期間経過した場合に,回線接続装置により接続装置との通信が禁止される。
【0010】
本発明のネットワーク接続システムは,上記の構成において,前記所定の条件は,認証情報の受信回数に関する条件であって,前記禁止手段は,前記受信手段が認証情報を受信した回数が所定回数を超えた場合に,接続装置の通信を禁止することを特徴とする。
【0011】
上記構成のネットワーク接続システムによれば,接続装置からの認証情報を受信した回数が所定回数を超えた場合に,回線接続装置により接続装置との通信が禁止される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のネットワーク接続システムによれば,予め接続装置に記憶されている認証情報が回線接続装置に送信され,回線接続装置により,認証情報の受信について所定の条件に達した場合に通信が禁止されるから,ユーザーは,ISPと予め契約することなく,ネットワークサービスを試用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るネットワーク接続システムの一例を示すブロック図
【図2】同システムの認証情報管理テーブルを示す図
【図3】同システムのルーターの接続処理動作を示すフローチャート
【図4】同システムのサーバーの接続処理動作を示すフローチャート
【図5】本発明の第2の実施形態に係るネットワーク接続システムの認証情報管理テーブルを示す図
【図6】同システムのサーバーの接続処理動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,本発明の第1の実施形態に係るネットワーク接続システムを,図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係るネットワーク接続システムを示すブロック図,図2は同システムの認証情報管理テーブルを示す図,図3は同システムのルーターの接続処理動作を示すフローチャート,図4は同システムのサーバーの接続処理動作を示すフローチャートである。
【0015】
ネットワーク接続システム1は,ユーザーが使用するネットワーク接続機能を有するTV30(通信端末)をインターネットなどのネットワークNWに接続するものであり,ユーザー側で使用されるルーター(接続装置)10とISP側で使用されるサーバー20(回線接続装置)とから構成されている。ルーター10は,TV30とISP側のサーバー20との通信を仲介する。TV30とルーター10は,LANケーブルなどのケーブルにより接続されており,ルーター10とサーバー20とは,例えば,光通信回線で接続されている。その他,一般公衆回線,ケーブルテレビのケーブル,ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)のメタル回線等で接続することも可能である。サーバー20は,ネットワークNWと専用回線により接続されている。なお,通信端末は,TV30に限られず,ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピューター,ゲーム機等でもよい。
【0016】
まず,ルーター10の概略構成について説明する。ルーター10は,図1に示すように,CPU11,EEPROM12,RAM13,第1NT I/F14,第2NT I/F15を備えたものである。CPU11は,EEPROM12に格納された制御プログラムに従って,ルーター10を構成する各部を制御するものである。EEPROM12は,制御プログラムの他,ISPから提供される認証情報であるユーザーIDおよびパスワードやサーバー20と通信するための設定情報を記憶している。このEEPROM12が認証情報を記憶する記憶手段として機能する。認証情報および設定情報は,ISPから製造業者等に提供され,工場出荷時に記憶される。なお,ここでは,認証情報として,ユーザーIDとパスワードを例示しているが,いずれか一方の情報であってもよいし,また,その他の情報を認証情報として用いることも可能である。また,ここでは,1のISPの認証情報および設定情報を記憶しているが,複数のISPの認証情報および設定情報を記憶しておき,必要に応じて,ユーザーが所望のISPの認証情報および設定情報を選択できるようにすることも可能である。
【0017】
RAM13は,CPU11の主メモリ,ワークエリア等として機能するものである。第1NT I/F14は,LANケーブルを介してTV30との間でデータの送受信を行うものである。第2NT I/F15は,光通信回線を介してサーバー20との間でデータの送受信等を行うものである。
【0018】
次に,サーバー20の概略構成について説明する。サーバー20は,CPU21,ROM22,RAM23,第1NT I/F24,第2NT I/F25を備えたものであって,いわゆるPPPoEサーバーである。CPU21は,ROM22に格納された制御プログラムに従って,サーバー20を構成する各部を制御するものである。RAM23は,CPU21の主メモリ,ワークエリア等として機能するものであって,後述する認証情報管理テーブル27を記憶する。第1NT I/F24は,光通信回線を介してルーター との間でデータの送受信等を行うものである。第2NT I/F25は,ネットワークNWとの接続を仲介するものである。
【0019】
認証情報管理テーブル27は,図2に示すように,「番号」フィールドと,「ユーザーID」フィールドと,「パスワード」フィールドと,「認証情報受信時刻」フィールドと,を備え,同一レコードの情報が対応付けて格納されている。「番号」フィールドには,ユーザーID及びパスワードが格納された時間順に付けられる番号が格納されている。「ユーザーID」フィールドには,ユーザーを識別するための情報であるユーザーIDが格納されている。「パスワード」フィールドには,ユーザーIDに対応したパスワードが格納されている「認証情報受信時刻」フィールドには,ルーター10から送信された認証情報(ユーザーID及びパスワード)と一致するレコードに,認証情報を受信した最初の時刻が格納される。
【0020】
上記構成を備えたネットワーク接続システム1の接続処理動作について図3および図4に基づいて説明する。
【0021】
ルーター10は,電源がオンされると(S1:Yes),EEPROM12に記憶された設定情報に基づいて,EEPROM12が記憶する認証情報をサーバー20に送信する(S2,送信手段に相当)。一方,サーバー20は,ルーター10が送信した認証情報を受信すると(S11:Yes,受信手段に相当),受信した認証情報と一致する認証情報が認証情報管理テーブル27に記憶されているか否かを判断する(S12)。受信した認証情報と認証情報管理テーブル27に記憶されている認証情報とが一致しないと判断すると(S12:No),ルーター10の通信を禁止するとともに,認証が失敗した旨の情報をルーター10に送信する(S13)。受信した認証情報と認証情報管理テーブル27に記憶されている認証情報とが一致すると判断すると(S12:Yes),受信した認証情報と対応するレコードに,認証情報受信時刻が記憶されているかを判断する(S14)。認証情報受信時刻が記憶されていないと判断すると(S14:No),ルーター10の通信を許可するとともに(S15,許可手段に相当),受信した認証情報と対応するレコードに,認証情報を受信した時刻(認証情報受信時刻)を記憶する(S16)。S15においては,ルーター10の通信の許可とともに,認証が成功した旨の情報がルーター10に送信される。通信が許可されると,TV30は,ネットワークNWに接続されることとなり,ユーザーは,所望のウェブサイト等を閲覧したり,所望のコンテンツ等を視聴したりすることができる。
【0022】
認証情報管理テーブル27の受信した認証情報と対応するレコードに,認証情報受信時刻が記憶されていると判断すると(S14:Yes),現在の時刻が認証情報管理テーブル27に記憶されている認証情報受信時刻から所定期間(たとえば7日間)経過しているかどうかを判断する(S17)。現在の時刻が認証情報管理テーブル27に記憶されている認証情報受信時刻から所定期間経過していないと判断すると(S17:No),ルーター10の接続を許可するととともに,認証が成功した旨の情報をルーター10に送信する(S18)。現在の時刻が認証情報管理テーブル27に記憶されている認証情報受信時刻(認証情報を受信した最初の時刻)から所定期間経過したと判断すると(S17:Yes),ルーター10の通信を禁止する(S13,禁止手段に相当)。このとき,サーバー20は,認証が失敗した旨の情報をルーター10に送信する。
【0023】
一方,ルーター10は,認証情報を送信した後,サーバー20による認証が成功したかどうかをサーバー20から送信される情報に基づいて判断する(S3)。認証が成功したと判断すると接続処理を終了する(S3:Yes)。認証が失敗したと判断すると(S3:No),認証情報を最初に送信した時刻から所定期間(たとえば24時間)経過しているかどうかを判断する(S4)。認証情報を最初に送信した時刻から所定期間経過していないと判断すると(S4:No),サーバー20に認証情報を送信する(S2)。認証情報を最初に送信した時刻から所定期間経過していると判断すると(S4:Yes),接続処理を終了する。ここで,ルーター10は,認証が失敗した場合であっても,認証情報を所定の期間しか送信しないから,網内の輻輳が軽減されることとなる。なお,ここでは,認証情報を最初に送信した時刻から所定期間経過しているかを基準に認証情報を送信するか否かを判断したが,認証情報の送信回数によって制限をかけることも可能である。
【0024】
このように,予めルーター10に記憶されている認証情報がサーバー20に送信され,サーバー20により,認証情報の受信について所定の条件に達した場合に,第1の実施形態においては,認証情報を受信した最初の時刻から所定期間経過した場合に,通信が禁止されるから,ユーザーは,ISPと予め契約することなく,ネットワークサービスを試用することができる。
【0025】
次に,本発明の第2の実施形態に係るネットワーク接続システムを説明する。本発明の第1の実施形態においては,サーバー20は,認証情報を受信した最初の時刻から所定期間経過した場合に,ルーター10の通信を禁止する構成となっていたが,本発明の第2の実施形態においては,サーバー20は,認証情報を受信した回数が所定回数を超えた場合に,ルーター10の通信を許可する構成となっており,この点が異なるので,異なる構成のみを説明する。
【0026】
図5は,第2の実施の形態に係る認証情報管理テーブル27の一例である。図示するように,「番号」フィールドと,「ユーザーID」フィールドと,「パスワード」フィールドと,「認証情報受信回数」フィールドと,を備え,同一レコードの情報が対応付けて格納されている。「番号」フィールドには,ユーザーID及びパスワードが格納された時間順に付けられる番号が格納されている。「ユーザーID」フィールドには,ユーザーを識別するための情報であるユーザーIDが格納されている。「パスワード」フィールドには,ユーザーIDに対応したパスワードが格納されている「認証情報受信回数」フィールドには,ルーター10から送信された認証情報の受信回数が格納される。受信回数は,認証情報を受信するごとに書き換えられるようになっている。
【0027】
第2の実施形態における接続処理動作について説明する。ルーター10側の処理は,第1の実施形態と同様であるため,省略する。
【0028】
サーバー20は,ルーター10が送信した認証情報を受信すると(S11:Yes,受信手段に相当),受信した認証情報と一致する認証情報が認証情報管理テーブル27に記憶されているか否かを判断する(S22)。受信した認証情報と認証情報管理テーブル27に記憶されている認証情報とが一致しないと判断すると(S22:No),ルーター10の通信を禁止するとともに,認証が失敗した旨の情報をルーター10に送信する(S23)。受信した認証情報と認証情報管理テーブル27に記憶されている認証情報とが一致すると判断すると(S22:Yes),受信した認証情報と対応するレコードの回数が,所定の回数(たとえば10回)を超えているかを判断する(S24)。受信した認証情報と対応するレコードの回数が,所定の回数を超えていないと判断すると(S24:No),ルーター10の通信を許可するとともに(S25,許可手段に相当),受信した認証情報と対応するレコードの回数情報を書き換える(S26)。具体的には,回数を1増やす処理を行う。
【0029】
認証情報管理テーブル27の受信した認証情報と対応するレコードの回数が所定回数を超えていると判断すると(S24:Yes),ルーター10の通信を禁止する(S23,禁止手段に相当)。このとき,サーバー20は,認証が失敗した旨の情報をルーター10に送信する。
【0030】
このように,予めルーター10に記憶されている認証情報がサーバー20に送信され,サーバー20により,認証情報の受信について所定の条件に達した場合に,第2の実施形態においては,認証情報を受信した回数が所定回数を超えた場合に,通信が禁止されるから,ユーザーは,ISPと予め契約することなく,ネットワークサービスを試用することができる。
【0031】
本発明の実施形態では,認証情報を受信した最初の時刻から所定期間経過しているか,または,からの所定期間を経過しているか,または,認証情報を受信した回数が所定回数を超えているか,を設定条件としたが,両方の条件を設定条件とすることも可能である。また,ユーザーは,最初の使用から所定期間経過後,または,所定回数の使用後,ネットワークサービスを利用することができないようになっているが,使用料を支払うことによって,ISP側で通信禁止状態が解かれるようにし,その後の使用を可能にすることもできる。
【符号の説明】
【0032】
1…ネットワーク接続システム,10…ルーター,11…CPU,12…EEPROM,13…RAM,20…サーバー,21…CPU,22…ROM,23…RAM,27…認証情報管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク通信機能を有する通信端末をネットワークに接続するネットワーク接続システムであって,
認証情報を記憶する記憶手段と,
該記憶手段が記憶する認証情報を回線接続装置に送信する送信手段と,
を備える接続装置と,
前記送信手段が送信した認証情報を受信する受信手段と,
該受信手段が認証情報を受信した場合に,接続装置の通信を許可する許可手段と,
認証情報の受信について所定の条件に達した場合に,接続装置の通信を禁止する禁止手段と,
を備える回線接続装置と,
を備えることを特徴とするネットワーク接続システム。
【請求項2】
前記所定の条件は,時間に関する条件であって,前記禁止手段は,前記受信手段が認証情報を受信した最初の時刻から所定期間経過した場合に,接続装置の通信を禁止することを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続システム。
【請求項3】
前記所定の条件は,認証情報の受信回数に関する条件であって,前記禁止手段は,前記受信手段が認証情報を受信した回数が所定回数を超えた場合に,接続装置の通信を禁止することを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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