説明

ネットワーク接続装置およびネットワーク接続通知方法

【課題】専門知識の乏しいユーザでも、ネットワークの接続時に必要な情報を的確に得ることのできるネットワーク接続装置およびネットワーク接続通知方法を提供する。
【解決手段】ネットワーク接続装置100は、LANケーブル104によってネットワークと接続するとき、通信速度、通信モード(全二重、半二重)および自装置のIPアドレスの3点について接続の可否を判別し、その結果をスピーカ部105から音声で、また表示部106を用いて文字等の視覚表示情報でユーザに通知する。IPアドレスを手動で入力するようになっているような場合には、表示部106を使用してユーザの対処方法が指示される。記憶部107に保存されているIPアドレスを使用することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続する機器としてのネットワーク接続装置およびネットワークに接続する際のネットワーク接続通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電気製品や電子装置がそれらの制御や各種の通信のためにネットワークに接続されるようになってきている。これと共に、たとえば家庭電気製品を購入したユーザはこの電気製品を家庭用に設けたLAN(Local Area Network)に接続したり、更にLANを介してインターネットに接続するようになっている。事業所で使用される各種の電気製品あるいは電子化された装置についても同様である。
【0003】
LANに接続されて使用される電気製品あるいは電子装置を本明細書ではネットワーク接続装置と総称することにする。一般に装置の機能が高度化し、またCPU(Central Processing Unit)を使用してソフトウェアにより装置を動作させることが多くなると、より多くの装置がネットワーク接続装置としてネットワークに接続されるようになってきている。このような場合に、ネットワークへの接続の手順を知らないユーザも多い。
【0004】
そこで、たとえばネットワークに接続するためにネットワークアダプタをユーザが選択すると、ネットワーク接続装置側がIP(Internet Protocol)アドレスの手動入力を指示することが本発明に関連する技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、ネットワークに接続するたびにIPアドレスを手動で入力することはユーザに大きな負担を課すことになり、通信に関して専門的な知識を有するユーザを対象とした特殊な機器でない限り、このような処理を要求することは困難である。また、通信技術の発展と共に、ネットワーク接続装置をネットワークに接続する技術が向上している。ユーザの大半は購入したネットワーク接続装置を単にLANに接続された通信ケーブルの一端に接続するだけで、手動で何の操作も行うことなく、ネットワークへの接続を成功させることができる。また、このような背景でネットワークに接続するネットワーク接続装置の割合がますます増加しており、通信技術について特別の知識や経験を持たないユーザの割合も多くなっている。
【特許文献1】特開2002−108731号公報(第0044段落、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この一方で通信について専門知識を有していないユーザには、次のような問題が発生している。
(イ)ネットワーク接続装置に通信ケーブルを接続しても、はたしてその装置が通信ケーブルを介してネットワークに接続されているかどうかの確証を得ることができない。そのネットワーク接続装置が、たとえば保守を自動的に行う冷蔵庫であるような場合で、通常の冷蔵庫としての動作は正常に行っているように見える場合がその例である。冷蔵庫の設置時に、LANへの接続の確証がないので、定期的に保守を行うことができるかを積極的に知ることができないという不安が生じる。
【0007】
(ロ)ネットワーク接続装置をネットワークに接続することに失敗したとき、専門知識を持たないユーザがそのことを容易に知ることができない。ネットワーク接続装置として冷蔵庫を購入したした場合で、ネットワークを介して自動的に保守を行うことを知らないユーザが通信ケーブルの接続を正しく行わなかったケースがその例である。ネットワークへの接続は失敗していても、通常の冷蔵庫としては正常に動作している場合、ユーザは定期的な保守が行われないというトラブルを容易に知ることができない。
【0008】
(ハ)ネットワーク接続装置をネットワークに接続することに失敗したことが分かったときに、専門知識を持たないユーザは適切な対処方法を採ることができない。ネットワーク接続装置として冷蔵庫を購入した場合で、ネットワークを介して自動的に保守が行われていないことをユーザが知ったとしても、ネットワークに接続するためにどうすればよいかが分からないようなケースである。
【0009】
そこで本発明の目的は、専門知識の乏しいユーザでも、ネットワークの接続時に必要な情報を的確に得ることのできるネットワーク接続装置およびネットワーク接続通知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、(イ)装置本体内部の動作と関連してネットワークと通信する通信手段と、(ロ)この通信手段の前記した通信を可能とするために前記したネットワークと接続するネットワーク接続手段と、(ハ)このネットワーク接続手段によるネットワークの接続の成否を前記した装置本体外部に通知する接続結果通知手段とをネットワーク接続装置に具備させる。
【0011】
また、本発明では、(イ)LANケーブルが装置本体に接続されたときこれを検出するケーブル接続検出ステップと、(ロ)このケーブル接続検出ステップで前記したLANケーブルの接続が検出されたとき自装置が自動で自己のアドレスを取得してネットワークと接続するか手動でアドレスを指定してネットワークと接続するかについて前記した装置本体の設定内容を確認する設定内容確認ステップと、(ハ)この設定内容確認ステップで自装置が自動で自己のアドレスを取得すると判別されたとき、取得したアドレスでネットワークとの接続が成功したか否かを判別する接続結果判別ステップと、(ニ)この接続結果判別ステップで接続が成功したと判別されたとき接続の成功を前記した装置本体の外部に通知する接続成功時通知出力ステップと、(ホ)前記した接続結果判別ステップで接続が失敗したと判別されたとき接続が失敗したことと対処方法を前記した装置本体の外部に通知する接続失敗時通知出力ステップとをネットワーク接続通知方法に具備させる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、ネットワークとの接続が成功したときと失敗したときの双方について、装置本体外部に通知することにしたので、専門知識の乏しいユーザでも、ネットワークの接続時に必要な情報を的確に得ることができる。また、接続が失敗したときに対処方法が通知されれば、ユーザはこれに従って対処することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態におけるネットワーク接続装置の構成の概要を表わしたものである。このネットワーク接続装置100は、LAN(Local Area Network)を介して所定の相手先との間で通信を行うことができ、この通信によって所望の機能を実現する電子機器である。このようなネットワーク接続装置100の例としては、家庭用のLANを通じてテレビジョン番組を複数のパーソナルコンピュータで共有するテレビジョンキャプチャ装置や、ネットワークを介して保守データの通信等の各種の通信を行う冷蔵庫等の白物家電を挙げることができる。このようなネットワーク接続装置100は、装置全体の制御を行う制御部101を備えている。制御部101は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を備えており、ネットワーク接続装置100内の各部と接続されている。
【0015】
このうちLAN制御部102は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.3標準に準拠したLANインタフェース部103に接続された図示しないプラグを介してLANケーブル104に接続されている。スピーカ部105はその内部に図示しないスピーカと音声増幅回路を配置し、ネットワーク接続装置100の内部の状態を音声の出力によって知らせるようになっている。表示部106は、図示しない液晶あるいは有機EL(organic electroluminescence)等のディスプレイと表示駆動回路を備えており、視覚的な情報として設定画面、通知画面、確認画面、入力画面をこれらのディスプレイに適宜表示するようになっている。記憶部107は、装置の動作に関する各種データおよび制御プログラムを格納した記憶媒体としてのROM(Read Only Memory)および作業用メモリとしてのRAM(Random Access Memory)から構成されている。入力部108は図示しないキースイッチ等の入力デバイスからなり、各種の設定データや指示を入力するようになっている。
【0016】
このようなネットワーク接続装置100は、その図示しない電源を投入して前記したプラグにLANケーブル104を挿入すると、図示しないケーブル検出部がこの挿入を検出する。そして、LAN制御部102がリンクを確立することで、ネットワークとの通信が可能になる。また、LANインタフェース部103は前記したプラグに対するLANケーブル104の挿抜を検出する図示しない挿抜検出回路を備えている。挿抜検出回路は、たとえば装着部分を物理的に検出する光センサ、圧力センサあるいはマイクロスイッチ(共に図示せず)を用いて検出することができる。
【0017】
図2は、このLANケーブル挿入時から通信が可能になるまでの処理の流れを表わしたものである。このような一連の処理は、前記したCPUが前記した制御プログラムを実行することによって行うようになっている。図1と共に説明を行う。
【0018】
制御部101は前記した挿抜検出回路によって、LANケーブル104がLANインタフェース部103に接続されたプラグに挿入されたことを検出すると(ステップS201:Y)、記憶部107に格納されているIPアドレス等の値取得方法の設定値が「自動取得」となっているかをチェックする(ステップS202)。自動取得となっている場合には(Y)、図示しないDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバを用いて、クライアント用に用意された幾つかのIP(Internet Protocol)アドレスの中から1つを自動取得する処理を開始させる(ステップS203)。
【0019】
DHCPサーバによってIPアドレスの自動取得が成功したら(ステップS204:Y)、制御部101はスピーカ部105を指示して、リンクが確認されたときに出力する音として予め設定しておいたリンク確認音を所定の時間だけスピーカから鳴音させる(ステップS205)。リンク確認音はメロディであってもよいし、「リンクが確立しました。」というような音声出力であってもよい。リンク確認音により、ネットワーク接続装置100のユーザは、ネットワークへの接続が成功したことを知ることができる。
【0020】
一方、ステップS204でIPアドレスの自動取得が成功しなかった場合(N)、制御部101はスピーカ部105を指示して、その旨を表わした警告音を鳴音させる(ステップS206)。警告音もアラーム音であってもよいし、「リンクが確立できません。」というような音声出力であってもよい。警告音の出力により、ユーザはネットワークとの通信が現在不可能な状態であることを了解する。
【0021】
図3は、警告音の出力後にネットワーク接続装置の表示部に表示される内容の一例を表わしたものである。図1に示した表示部106には、「IPアドレス自動取得失敗しました」というような現在のネットワーク接続装置100の状態を示す文章が表示される。このような現状を表わす表示のみでなく、対処すべき方法を表示するものであってもよい。
【0022】
図4は、ユーザの対処すべき方法の一例が表示部に表示された状態を表わしたものである。この例では、表示部106に「手動で設定してください」という表示が行われる。ユーザは、この表示を見て、IPアドレスを手動で設定しなければネットワークに接続できないことを知ることになる。
【0023】
なお、図4に示した表示内容は、ネットワークに接続されるまで継続して表示されるものであってもよく、この場合に図3に示した表示内容と表示領域を分割して表示部106に表示が行われるものであってもよい。また、図3に示した表示内容と図4に示した表示内容が同一の表示部106に一定時間間隔で交互に表示されるものであってもよい。更に、ステップS206で示した警告音の鳴音は、ネットワークの接続が完了するまで継続して行われてもよく、図3または図4による表示が行われない区間で鳴音状態となるようなものであってもよい。
【0024】
図2に戻って説明を続ける。本実施の形態では、ステップS206で警告音が所定時間だけ鳴音した後に、図3および図4に示した表示内容が表示部106に1回ずつ順に表示される(ステップS207)。そして、この後にIPアドレスの取得が成功したかどうかを判別して(ステップS208)、IPアドレスの取得がまだ成功していなければ(N)、IPアドレスの手動設定処理に進む(ステップS209)。これについては後に具体的に説明する。
【0025】
ステップS209の手動設定処理によってIPアドレスの設定に成功した場合には(ステップS210:Y)、設定完了画面が表示され(ステップS211)、ステップS205に進んでリンク確認音が鳴音する。これにより、ユーザはネットワーク接続装置100がネットワークに接続されたことを知ることができる。
【0026】
図5は、設定完了時の表示部の表示例を示したものである。表示部106には「設定しました」という文字が表示されることになる。
【0027】
再び図2に戻って説明を続ける。手動によるIPアドレスの設定が成功しなかったときには(ステップS210:N)、設定不可警告画面が表示される(ステップS212)。
【0028】
図6は、この設定不可警告画面の表示例を示したものである。表示部106には「設定できません」という文字が表示されることになる。
【0029】
図2に戻って説明を続ける。設定不可警告画面が表示されたときには、処理がステップS206に戻り、警告音が表示される。そして、その後に、図3および図4に示した表示内容が表示部106に1回ずつ順に表示される(ステップS207)。この場合、IPアドレスの設定が成功しなかったので(ステップS208:N)、処理が再度、ステップS209に戻る。そして、たとえば他のIPアドレスを設定する等の手動設定処理が行われることになる(ステップS209)。
【0030】
図7は、ステップS209の手動設定処理を具体的に表わしたものである。手動設定処理に進むと、まず図1に示した表示部106にDHCP設定画面が表示される(ステップS221)。
【0031】
図8は、このDHCP設定画面の表示例を示したものである。表示部106にはユーザがDHCPサーバを使用するか否かを選択させる文字が表示されることになる。
【0032】
図7に戻って説明を続ける。ユーザがDHCPサーバを使用する方を選択した場合(ステップS222:Y)、手動設定ではなくなるので、この場合には図2には示していないが、図2のステップS203に処理が移行することになる。これに対してDHCPサーバを使用しない方をユーザが選択した場合には(ステップS222:N、ステップS223:Y)、IPアドレスを自分で設定することになるので、IPアドレス設定画面が表示される(ステップS224)。
【0033】
図9は、このIPアドレス設定画面の表示例を示したものである。表示部106にはIPアドレスを部分的に入力した状態の画面が表示され、ユーザが所望の数値を入力することになる。このとき、記憶部107に以前入力に使用したIPアドレスが手動設定値として保存されている場合には、入力部108を使用してこれを入力することもできる。ネットワーク接続装置100によっては、入力部108を用いて所定の操作を行うことで、記憶部107に記憶されているIPアドレスを、そのまま表示部106に表示させて入力を完了させることも可能である。
【0034】
図7に戻って説明を続ける。ユーザが図1に示す入力部108の図示しないテンキーからIPアドレスを入力して、更に図示しない設定ボタンを押すと(ステップS225:Y)、IPアドレスの手動による設定処理が開始される(ステップS226)。以上で手動設定処理が終了し、この後は図2に示したステップS210の処理に進むことになる。
【0035】
なお、図2のステップS202でIPアドレス等の値取得方法の設定値が「自動取得」となっていなかった場合で(N)、手動による設定が終了している場合がある(ステップS213:Y)。この場合には、ステップS205に進んでリンク確認音が鳴音する。手動による設定が終了していなかった場合には(ステップS213:N)、前記したステップS209による手動設定処理に進むことになる。
【0036】
図10は設定が終了して待機画面となっている状態を表わしたものである。表示部106には、現在の時計表示と、図1に示したネットワーク接続装置100の受信した用件の数が表示されている。
【0037】
図11は、この待機状態でLANケーブルが前記したプラグから抜かれた場合の処理の様子を表わしたものである。図1と共に説明する。制御部101は前記した挿抜検出回路によって、LANケーブル104がLANインタフェース部103に接続されたプラグから抜かれたことを検出すると(ステップS241:Y)、スピーカ部105を指示して、リンクが切断されたときに出力する音として予め設定しておいた警報音を所定の時間だけスピーカから鳴音させる(ステップS242)。なお、この警報音は他の警報音と同一であってもよい。また、「リンクが切断されました。」というような音声出力であってもよい。この後、表示部106にLANケーブル104の確認を行わせるための表示が行われる(ステップS243)。
【0038】
図12は、ステップS243で行われる表示部の表示内容の一例を表わしたものである。表示部106には、LANが切断されたことと、図1に示すLANケーブル104の接続を確認させるための文章が表示されている。
【0039】
以上説明したように本実施の形態では、ネットワーク接続装置100がLANに接続されているか否かをLANに特別の知識を有していないユーザでも簡単に知ることができる。しかも、LANケーブル104が抜けたような場合にもこれをネットワーク接続装置100がユーザに通知して、適切な措置を採らせることができる。更にネットワーク接続装置100は各状況に応じた通知を音と表示部の文字情報の双方で行う。このため、通知の迅速さと通内容の正確さの双方を満足させることができる。
【0040】
<発明の変形例>
【0041】
次に本発明の変形例について説明する。この変形例ではオートネゴシエーション機能を備えたネットワーク接続装置(この装置をネットワーク接続装置100Aという。)について説明する。イーサネット(登録商標)では、幾つかの通信速度と通信モードが存在している。オートネゴシエーション機能を備えたネットワーク接続装置100Aは、各種のイーサネット(登録商標)規格が混在している通信環境で、最適な通信を行うための通信速度と通信モードを相手側の装置との関係で設定するようになっている。変形例のネットワーク接続装置100Aは、オートネゴシエーション機能のオン・オフを設定することができるようになっている。
【0042】
ネットワーク接続装置100Aはそのハードウェアが先のネットワーク接続装置100と基本的に同一となっている。このため、図1をそのまま使用して、装置の動作を説明する。また、図示しない接続相手のネットワーク接続装置もオートネゴシエーション機能を備えている場合には、10Mbps(メガビット/秒)の10BASE−Tや、100Mbpsの100BASE−TXのような速度の違う規格と、全二重方式と半二重方式という通信モードの組み合わせによって優先順位を定めて適合性をチェックするようにしている。この結果、予想しないような不具合が発生しない限り、必ず通信速度と通信モードのいずれかの組み合わせでネゴシエーションが成立するようになっている。また、接続相手のネットワーク接続装置がオートネゴシエーション機能を備えていない場合には、双方共に最低限の接続条件としての10Mbpsの10BASE−Tと半二重方式で接続が試みられるようになっている。
【0043】
図13は、図12のステップS202に先行するオートネゴシエーション等のリンク設定処理の流れを表わしたものである。図1と共に説明する。
【0044】
制御部101は前記した挿抜検出回路によって、LANケーブル104がLANインタフェース部103に接続されたプラグに挿入されたことを検出すると(ステップS301:Y)、記憶部107に格納されているデータを読み出して、オートネゴシエーションの設定が行われているかどうかを確認する(ステップS302)。この結果、オートネゴシエーションの設定が行われている場合には(Y)、その処理を開始する(ステップS303)。
【0045】
この変形例の前提として説明したように、オートネゴシエーションを行った場合にはほぼ確実に相手側の装置との接続が成功する。そこで、オートネゴシエーションが成功したかをチェックすると(ステップS304)、通常は接続が成功し(Y)、図2のステップS202以降の処理に進むことになる。
【0046】
予期しない不具合が発生して制御部101がオートネゴシエーションの失敗を判別した場合には(ステップS304:N)、装置のスピーカ部105から警告音を鳴音させる(ステップS305)。これにより、ユーザに現在通信が不可能なことを通知する。これと共に装置の表示部106リンクが失敗したことを表示する(ステップS306)。
【0047】
図14は、ステップS306で行われる表示部の表示内容の一例を表わしたものである。表示部106には、LANのリンクが失敗したことによるリンクの設定を確認させるための表示が行われる。
【0048】
ところで、このオートネゴシエーションによるリンクの設定の予期しない失敗は、オートネゴシエーションが設定されていなかった場合と状況が同じである。そこで、オートネゴシエーションが設定されていなかった場合(ステップS302:N)も、ステップS305に進んで警告音を鳴音させ、ステップS306でリンク失敗画面の表示が行われる。
【0049】
リンク失敗画面の表示を了解してユーザが入力部108の図示しない「了解」を示すキースイッチを押すと(ステップS307:Y)、表示部106には、リンクを設定させるためのリンク設定画面が表示される(ステップS308)。
【0050】
図15は、ステップS308で行われる表示部の表示内容の一例を表わしたものである。表示部106には、リンクの設定を自動で行うか否かをユーザに指示させる画面が表示される。ここでリンクの設定を自動で行うとは、オートネゴシエーションを実行することを意味する。ステップS302でオートネゴシエーションを選択し(Y)、これが成功しなかった場合には(ステップS304:N)、結果的に再度のオートネゴシエーションを実行する方向に処理が進むことになる。
【0051】
そこで制御部101はユーザがリンクの設定を自動で行うことを選択した場合(ステップS309:Y)、オートネゴシエーション設定のための画面の表示を行う(ステップS310)。
【0052】
図16は、ステップS310で行われる表示部の表示内容の一例を表わしたものである。表示部106には、オートネゴシエーション設定画面として、オートネゴシエーションの設定の可否をユーザに選択させるための画面が表示される。
【0053】
ユーザがオートネゴシエーションの設定を行うことを入力部108を用いて選択した場合には(ステップS311:Y)、処理がステップS303に進んで、前記したようにオートネゴシエーションが開始する。これに対して、ユーザがオートネゴシエーションの設定を行わない方を入力部108を用いて選択した場合には(ステップS312:Y)、デュプレックスの設定をユーザ自身で選択させるための画面表示が行われる(ステップS313)。
【0054】
図17は、ステップS313で行われる表示部の表示内容の一例を表わしたものである。表示部106には、デュプレックス設定選択画面として通信モードを手動で設定する場合に、ユーザに全二重と半二重のいずれかを選択させるための画面が表示される。なお、ステップS308のリンク設定画面が図15に示すように表示されて、この段階でユーザがリンクの設定を手動で行うことを指示した場合にも(ステップS314:Y)、処理はステップS313に進んで図17のデュプレックス設定選択画面の表示が行われる。
【0055】
ユーザが図17のデュプレックス設定選択画面が表示されている状態で「全二重」を選択した場合(ステップS315:Y)、全二重通信でリンクが開始される(ステップS316)。そして、ステップS304に進み、リンクが成功したときには(Y)、図2のステップS202に処理が進む。そしてIPアドレスの取得についての処理が開始されることになる。リンクが失敗したときにはステップS305に処理が戻ることになる。これに対してユーザが図17のデュプレックス設定選択画面が表示されている状態で「半二重」を選択した場合には(ステップS317:Y)、半二重通信でリンクが開始される(ステップS318)。
【0056】
図18は、一例としてユーザがデュプレックス設定選択画面が表示されている状態で「半二重」を選択した場合の表示部の表示内容を表わしたものである。ここでは、最もリンクが成功する度合いの高い設定として、通信モードが半二重で、通信速度が10Mbpsの設定が行われることが確認として表示されている。
【0057】
このようにして半二重通信でリンクが開始されて(ステップS318)、リンクが成功したときには(ステップS304:Y)、図2のステップS202に処理が進む。リンクが失敗したときにはステップS305に処理が戻ることになる。
【0058】
以上説明した本発明の変形例によれば、リンク失敗時の動作についても、ユーザへの警告と設定の促進を行っている。このため、ユーザが更に容易にネットワークへ接続することができるという効果が得られる。
【0059】
なお実施の形態および変形例ではネットワーク接続装置100に備えられた表示部106で装置の状態やユーザに対する指示内容を表示し、入力部108から入力を行ったが、これに限るものではない。たとえは無線コントローラ等の他の付属装置の表示部に各種の表示を行ったり、これら付属装置から各種の設定データや指示を入力するようにしてもよい。
【0060】
また、変形例ではオートネゴシエーションに失敗したとき、表示画面に各種の表示を行った後に再度、オートネゴシエーションを開始させることにしたが、「オートネゴシエーションを再度行いますか」という表示をいきなり行って、オートネゴシエーション開始までの手順を早めるようにしてもよい。更に、ステップS304でオートネゴシエーションに失敗したとき直ちに警告音を鳴音させず、制御部101側が更に所定回数、オートネゴシエーションを試みて、これにもかかわらず失敗が連続したときに警告音を鳴音させるようにしてもよい。この場合、表示部には「オートネゴシエーションを再度行っています」等の説明が表示されてもよい。
【0061】
また、実施の形態では表示部を液晶あるいは有機EL等のディスプレイと表示駆動回路で構成したが、LED(Light Emitting Diode)とその駆動回路のような簡易な表示部で構成してもよいことは当然である。
【0062】
更に実施の形態ではネットワークへの接続の成否を表示部に表示することにしたが、これ以外にネットワーク接続装置の通信状態の変化を表示部に表示するようにしてもよい。この際に、必要な場合にはLEDを点滅させて、あるいは赤色等の注意を喚起する色で点灯を行うようにすればよい。
【0063】
また、発明の変形例ではデュプレックス状態の不一致の判別について詳しく説明しなかったが、これについては各種の判別方法を用いることができる。たとえば変形例のネットワーク接続装置100Aでは、その図示しない通信ポートのデュプレックス状態をチェックすることができる。すなわち、図示しないMAC層モジュールを用いて、送受信されるフレームのエラー発生状態を監視し、エラー発生時に、自ポートの属性が全二重であれば、デュプレックス状態の不一致と判断し、自ポートの属性が半二重であれば、トラフィック量を計測して、トラフィックが少ない場合だけにデュプレックス状態の不一致と判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態におけるネットワーク接続装置の構成の概要を表わしたブロック図である。
【図2】本実施の形態でLANケーブル挿入時から通信が可能になるまでの処理の流れの概要を示す流れ図である。
【図3】本実施の形態で警告音の出力後に表示部に表示される内容の一例を示す平面図である。
【図4】本実施の形態でユーザの対処すべき方法の一例が表示された表示部の平面図である。
【図5】本実施の形態で設定完了時の表示部の表示例を示した平面図である。
【図6】本実施の形態で設定不可警告画面の表示例を示した平面図である。
【図7】ステップS209の手動設定処理を具体的に表わした流れ図である。
【図8】本実施の形態でDHCP設定画面の表示例を示した平面図である。
【図9】本実施の形態でIPアドレス設定画面の表示例を示した平面図である。
【図10】本実施の形態で設定が終了して待機画面となっている状態を表わした平面図である。
【図11】本実施の形態の待機状態でLANケーブルがプラグから抜かれた場合の処理の様子を表わした流れ図である。
【図12】ステップS243で行われる表示部の表示内容の一例を表わした平面図である。
【図13】ステップS202に先行するオートネゴシエーション等のリンク設定処理の様子を表わした流れ図である。
【図14】ステップS306で行われる表示部の表示内容の一例を表わした平面図である。
【図15】ステップS308で行われる表示部の表示内容の一例を表わした平面図である。
【図16】ステップS310で行われる表示部の表示内容の一例を表わした平面図である。
【図17】ステップS313で行われる表示部の表示内容の一例を表わした平面図である。
【図18】デュプレックス設定選択画面が表示されている状態で「半二重」を選択した場合の表示部の表示内容を表わした平面図である。
【符号の説明】
【0065】
100 ネットワーク接続装置
102 LAN制御部
104 LANケーブル
105 スピーカ部
106 表示部
107 記憶部
108 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内部の動作と関連してネットワークと通信する通信手段と、
この通信手段の前記通信を可能とするために前記ネットワークと接続するネットワーク接続手段と、
このネットワーク接続手段によるネットワークの接続の成否を前記装置本体外部に通知する接続結果通知手段
とを具備することを特徴とするネットワーク接続装置。
【請求項2】
前記ネットワーク接続手段は、アドレスの割り振りを行う所定のサーバを用いて自己のアドレスを自動取得する処理と、手動で自己のアドレスを指定する処理のいずれか1つを選択することで自己のアドレスを確定し前記ネットワークと接続する手段であることを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続装置。
【請求項3】
前記接続結果通知手段は、自己のアドレスの自動取得が選択されている状態で、自動取得の成否を音で通知する音出力手段を具備することを特徴とする請求項2記載のネットワーク接続装置。
【請求項4】
前記接続結果通知手段は、ネットワークの接続に関して各種通知すべき事項および接続を成功させるためにユーザの入力すべき事項を視覚的に表示する表示手段を具備することを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続装置。
【請求項5】
前記ネットワーク接続手段は、相手装置との通信速度と全二重か半二重かという通信モードの組み合わせを用いてネットワークの接続のネゴシエーションを行う手段であることを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続装置。
【請求項6】
前記ネットワーク接続手段は、LANケーブルの挿抜を検出する挿抜検出手段を具備することを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続装置。
【請求項7】
LANケーブルが装置本体に接続されたときこれを検出するケーブル接続検出ステップと、
このケーブル接続検出ステップで前記LANケーブルの接続が検出されたとき自装置が自動制御で自己のアドレスを取得してネットワークと接続するか手動でアドレスを指定してネットワークと接続するかについて前記装置本体の設定内容を確認する設定内容確認ステップと、
この設定内容確認ステップで自装置が自動制御で自己のアドレスを取得すると判別されたとき、取得したアドレスでネットワークとの接続が成功したか否かを判別する接続結果判別ステップと、
この接続結果判別ステップで接続が成功したと判別されたとき接続の成功を前記装置本体の外部に通知する接続成功時通知出力ステップと、
前記接続結果判別ステップで接続が失敗したと判別されたとき接続が失敗したことと対処方法を前記装置本体の外部に通知する接続失敗時通知出力ステップ
とを具備することを特徴とするネットワーク接続通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−111800(P2009−111800A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282676(P2007−282676)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】