説明

ネットワーク管理システム、ネットワーク管理方法、及びプログラム

【課題】ネットワーク管理において一般的に利用されているSNMPプロトコルを利用することにより、管理対象となるネットワーク接続機器に対する制限を無くし、自動的に物理的なケーブル接続状態を管理可能とする。
【解決手段】SNMPを利用して複数のネットワーク接続機器の各々に関する機器情報を収集し、複数のネットワーク接続機器のうちいずれかの接続状態変化の発生に応じて、接続状態変化が発生したネットワーク接続機器に関連するネットワーク接続機器から受信したSNMP Trapを確認し、SNMP Trapの受信情報を記憶するネットワーク管理サーバと、機器情報から自動的に各ネットワーク接続機器のポート情報を取得し、受信情報から自動的に接続状態変化情報を取得し、ポート情報及び接続状態変化情報に基づいて各ネットワーク機器同士が接続に用いたポートを検出し、ネットワーク構成情報を更新する構成管理サーバとを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク管理システムに関し、特にネットワークの接続情報を自動的に認識するネットワーク管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なネットワーク管理用ツールで自動的に収集可能な情報は、ネットワーク接続機器単体の情報管理及び論理的な接続管理に限定され、物理的なネットワーク接続機器同士の接続状態を自動的に管理することが出来なかった。このため、物理的なケーブル接続の情報を最新の状態に保つためには、ネットワーク構成変更時に手入力による更新が必要となり、更新作業における登録ミスや作業に時間がかかるなどの問題があった。また、物理的なケーブル接続の情報を自動的に収集可能なネットワーク管理ツールにおいても、ネットワーク接続機器を各管理ツールに対応した特定の装置のみで構成しなければならないという制約があった。
【0003】
システム運用を行う際、ネットワーク構成などの情報が必要であり、構成図や設計情報といった資料を作成する。しかしながら、ネットワーク構成、特に物理的な接続構成は運用中に度々変更が行われ、実際の構成と資料との間に差異が生じる。障害などが発生し、ネットワーク構成を確認したい場合に参照している資料が現在の構成と異なっている場合、ネットワーク構成の再確認が必要となってしまう。
【0004】
関連する技術として、特開2002−297461号公報(特許文献1)に遠隔監視システムが開示されている。
この従来技術では、ネットワーク監視ワークステーションはSNMP(Simple Network Management Protocol)によりネットワーク上の装置のステータス情報及び構成情報を収集し、その情報を乗せた電子メールをSMTPによりメールサーバーへ送信する。遠隔監視ワークステーションは、その電子メールをSMTPにより取り込み、その情報をデータベースに格納する。
【0005】
また、特開2005−51579号公報(特許文献2)に接続監視システムが開示されている。
この従来技術では、ネットワーク中の所定の機器からSNMPトラップを用いて新たな機器の接続を検知し、現状のネットワーク構成情報を参照して、新たに接続が検知された機器が予めネットワークへの接続が認められている機器であるか否か判定する。pingコマンドによる不正接続の検出と組み合わせる場合もある。専用ハードウェアやパケット解析を必要とせず、ネットワーク内で不正接続が発生した場合、不正接続機器を瞬時に発見できる。また、接続情報を解析して不正接続位置を特定し、グラフィカルに表示するようにする。
【0006】
また、特開平10−336228号公報(特許文献3)に中継装置及びネットワーク管理装置が開示されている。
この従来技術では、隣接中継装置の情報を相互に獲得する機能、その情報をネットワーク管理装置から参照可能に保持する機能を持つ中継装置及び中継装置毎の隣接中継装置の情報から中継装置の接続関係を知る機能を持つネットワーク管理装置を提供する。中継装置は、自局の全てのポートから隣接装置通知フレームを定期的に送信する。この隣接装置通知フレームには自局に設定されている全てのIPアドレスと、この隣接装置通知フレームを送信するポートの番号とを設定する。また、他の中継装置から隣接装置通知フレームを受信する。この隣接装置通知フレームに設定されているIPアドレスとポート番号とを、この隣接装置通知フレームを受信した自局のポートの番号と対にして保存する。これにより、各中継装置は、隣接中継装置の情報を相互に獲得する。
【0007】
特開2002−297461号公報(特許文献1)及び特開2005−51579号公報(特許文献2)では、SNMPを利用した個々の装置の状態を監視しており、装置間の接続を意識した管理を提供するシステムになっていない。また、特開平10−336228号公報(特許文献3)では、管理のための情報収集に独自のプロトコルを利用しており、特開平10−336228号公報(特許文献3)にて提案されているプロトコルを実装した装置でなければ管理できないという制約が発生する。
【0008】
【特許文献1】特開2002−297461号公報
【特許文献2】特開2005−51579号公報
【特許文献3】特開平10−336228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
システム運用を行う際、自動的にネットワーク接続構成を管理することができれば、構成の再確認を行う手間が省けることになり、運用の効率化を図ることが可能となる。
本発明の目的は、ネットワーク管理において一般的に利用されているSNMP(Simple Network Management Protocol)プロトコルを利用することにより、管理対象となるネットワーク接続機器に対する制限を無くし、自動的に物理的なケーブル接続状態を管理可能とすることで解決を図るネットワーク管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。但し、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
本発明のネットワーク管理システムは、複数のネットワーク接続機器(10〜60)と、前記複数のネットワーク接続機器(10〜60)の各々に関する機器情報(210)を収集し、且つ、前記複数のネットワーク接続機器(10〜60)間の通信に使用されるポートのうちいずれかの接続状態変化の発生に応じて、前記接続状態変化が発生したポートを有するネットワーク接続機器(10〜60)のうち通信可能なネットワーク接続機器(10〜60)からメッセージを受信し、前記メッセージに関する受信情報(220)を記憶するネットワーク管理サーバ(200)と、前記機器情報(210)から自動的に前記各ネットワーク接続機器(10〜60)のポート情報(310)を取得し、且つ、前記受信情報(220)から自動的に前記接続状態変化が発生したポートの接続状態変化情報(320)を取得し、前記ポート情報(310)及び前記接続状態変化情報(320)に基づいて、ネットワーク構成情報(330)を更新する構成管理サーバ(300)とを具備する。
【0012】
機器情報(210)は、各ネットワーク接続機器(10〜60)を識別するための情報と、各ネットワーク接続機器(10〜60)のポートに関連する詳細な情報とを含む。
【0013】
受信情報(220)は、メッセージを送信したネットワーク接続機器(10〜60)を示す情報と、接続状態変化が発生した時刻を示す情報と、接続状態変化の種別を示す情報とを含む。
【0014】
ポート情報(310)は、各ネットワーク接続機器(10〜60)を識別するための情報と、各ネットワーク接続機器(10〜60)のポートを識別するための情報とを含む。
【0015】
接続状態変化情報(320)は、接続状態変化が発生した時刻を示す情報と、接続状態変化が発生したネットワーク接続機器(10〜60)を示す情報と、接続状態変化が発生したポートを示す情報と、接続状態変化が発生したポートの状態を示す情報とを含む。
【0016】
ネットワーク構成情報(330)は、各ネットワーク接続機器(10〜60)を識別するための情報と、各ネットワーク接続機器(10〜60)のポートを識別するための情報と、各ネットワーク接続機器(10〜60)のポートの状態を示す情報と、各ネットワーク接続機器(10〜60)の接続先のネットワーク接続機器(10〜60)を示す情報と、接続先のネットワーク接続機器(10〜60)側で使用されるポートを示す情報とを含む。
【0017】
ネットワーク管理サーバ(200)は、SNMP(Simple Network Management Protocol)を利用して収集したネットワーク接続機器(10〜60)の識別情報及びポート関連情報を含むネットワーク接続機器(10〜60)情報を保持するための記憶手段と、ネットワーク接続機器(10〜60)間の接続状態変化の発生に応じて、接続状態変化が発生したネットワーク接続機器(10〜60)のうち通信可能なネットワーク接続機器(10〜60)から送信されるSNMP Trapに関するSNMP Trap受信情報(220)を保持するための記憶手段とを具備する。
【0018】
構成管理サーバ(300)は、ネットワーク接続機器(10〜60)情報の更新に応じて、ネットワーク接続機器(10〜60)情報から自動的に取得した情報に基づくネットワーク接続機器(10〜60)ポート情報(310)を保持するための記憶手段と、SNMP Trap受信情報(220)の更新に応じて、SNMP Trap受信情報(220)から自動的に取得した情報に基づく接続状態変化情報(320)を保持するための記憶手段と、ネットワーク接続機器(10〜60)ポート情報(310)及び接続状態変化情報(320)を基に接続状態変化が同時刻に発生したポート同士を示すネットワーク接続機器(10〜60)構成情報(330)を保持するための記憶手段とを具備する。
【0019】
本発明のネットワーク管理方法は、(a)ユーザネットワークに対してネットワーク接続機器(10〜60)が新たに接続されると、ネットワーク接続機器(10〜60)の情報を収集するステップと、(b)ネットワーク接続機器(10〜60)の情報を、データをネットワーク接続機器(10〜60)情報として記憶するステップと、(c)ネットワーク接続機器(10〜60)情報が記憶されると、ネットワーク接続機器(10〜60)情報からネットワーク接続機器(10〜60)を識別するための情報及びポート関連情報を自動的に取得するステップと、(d)ネットワーク接続機器(10〜60)ポート情報(310)に対してネットワーク接続機器(10〜60)のポートの情報を追加するステップと、(e)ネットワーク接続機器(10〜60)の接続状態変化が発生すると、接続状態変化が発生したネットワーク接続機器(10〜60)と通信するためのポートを有するネットワーク接続機器(10〜60)からSNMP(Simple Network Management Protocol)メッセージを受信するステップと、(f)メッセージを確認し、メッセージ受信情報(220)を更新するステップと、(g)メッセージ受信情報(220)が更新されると、接続状態変化を示す情報及びネットワーク接続機器(10〜60)のポート状態の変化を示す情報を自動的に取得するステップと、(h)取得した情報を基に、接続状態変化が発生した時刻、ネットワーク接続機器(10〜60)、及びポートに関する情報を抽出し、リンク状態変化情報(320)を更新するステップと、(i)ネットワーク接続機器(10〜60)ポート情報(310)及びリンク状態変化情報(320)を用いてネットワーク接続機器(10〜60)同士が接続に使用しているポートを検出し、ネットワーク構成情報(330)を更新するステップとを具備する。
【0020】
更に、本発明のネットワーク管理方法は、SNMPを利用して収集したMIB(Management Information Base)情報に基づいて、ネットワーク接続機器(10〜60)の情報を収集するステップを具備する。
【0021】
本発明の他のネットワーク管理方法は、(b1)ユーザネットワーク(100)内にある複数のネットワーク接続機器(10〜60)の識別情報及びポート情報を収集するステップと、(b2)前記複数のネットワーク接続機器(10〜60)のうちいずれかが前記ユーザネットワーク(100)から外れた場合、残りのネットワーク接続機器(10〜60)のうち少なくとも一つからメッセージを受信するステップと、(b3)前記メッセージと前記残りのネットワーク接続機器(10〜60)の各々の識別情報及びポート情報とに基づいて、前記ユーザネットワーク(100)のネットワーク構成情報を更新するステップとを具備する。
【0022】
本発明のプログラムは、上記のネットワーク管理方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0023】
従来のネットワーク構成管理では、ネットワーク接続機器どうしが接続されていることは管理することが出来たが、ネットワーク接続機器上のどのポートを使って接続されているかまでは管理できなかった。また、特定のメーカー製品のみでネットワークを構成した場合には、ポート単位での構成管理が可能であったが、専用の方式を用いるためマルチベンダ環境に適用することができなかった。本発明ではネットワーク管理に一般的に利用されているSNMPを用いることで、マルチベンダ環境におけるポート単位での構成管理を行うことができる。
また、ネットワーク運用において、ポートの接続状態を管理することは、特に障害対応などの場面において情報収集を迅速に行うことが可能となり、現場でケーブルの接続先を目視にて確認しなければならないなどといった問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のネットワーク管理システムは、日々更新されるネットワークの接続情報を自動的に認識し、最新の状態に保つためのネットワーク接続構成情報の管理方法を実施する。
【0025】
以下に本発明の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明のネットワーク管理システムは、ユーザネットワーク100と、ネットワーク管理サーバ200と、構成管理サーバ300を有する。
【0026】
ユーザネットワーク100は、ユーザ環境に施設されるネットワークであり、図2に示す通り複数のネットワーク接続機器10〜60を含んでおり、各ネットワーク接続機器10〜60はネットワークケーブルを介して接続されている。但し、実際には、ネットワーク接続機器間に中継装置(図示されず)が設けられていても良い。また、ここでは、本発明を分かりやすく説明するために、ネットワーク接続機器の数が6台の場合を例示しているが、実際には、ネットワーク接続機器の数が6台の場合に限定されない。
【0027】
ネットワーク管理サーバ200は、ネットワーク管理用のプロトコルであるSNMP(Simple Network Management Protocol)を利用してユーザネットワーク100内のネットワーク接続機器10〜60の情報を収集するサーバである。ネットワーク管理サーバ200は、図3に示す通り、ネットワーク接続機器情報210及びSNMP Trap受信情報220の2種類の情報を保持している。すなわち、ネットワーク管理サーバ200は、少なくとも、ネットワーク接続機器情報210及びSNMP Trap受信情報220を格納するための記憶装置を備えている。なお、SNMP Trapは、エージェント(監視対象)からマネージャ(監視元)に自発的に状態変更を通知するためのSNMPメッセージである。ネットワーク接続機器情報210にはSNMPを利用して収集したMIB(Management Information Base)情報が格納されており、SNMP Trap受信情報220にはネットワーク接続機器10〜60から送信されたTrap情報が格納されている。なお、MIBとは、SNMPエージェントが保持している機器の情報の集合体である。
【0028】
構成情報管理サーバ300は、ネットワーク管理サーバ200が収集した情報を基にユーザネットワーク100内のネットワーク接続機器同士の接続状態を管理するサーバである。構成情報管理サーバ300は、図4に示す通り、ネットワーク接続機器ポート情報310、リンク状態変化情報320、及びネットワーク接続機器構成情報330を保持している。すなわち、構成情報管理サーバ300は、少なくとも、ネットワーク接続機器ポート情報310、リンク状態変化情報320、及びネットワーク接続機器構成情報330を格納するための記憶装置を備えている。ネットワーク接続機器ポート情報310には、ネットワーク接続機器情報210に格納されているインタフェース情報から論理的なインタフェースを除外して得られた、ユーザネットワーク100内のネットワーク接続機器10〜60に備わっているネットワークケーブル接続ポートの情報が格納されている。なお、ここでいうインタフェースとは通信用のインタフェースをいう。リンク状態変化情報320には、SNMP Trap受信情報220からインタフェースの状態変化に関する情報を抽出した、ユーザネットワーク100内のネットワーク接続機器10〜60に備わっているネットワークケーブル接続ポートのリンク状態の変化の様子が記録されている。
【0029】
ネットワーク接続機器構成情報330は、ユーザネットワーク100内のネットワーク接続機器同士がどの様に接続されいるかを記録した情報であり、ネットワーク接続機器に備わっているどのポートを用いて隣接するネットワーク接続機器と接続されているか記録されている。ネットワーク接続機器構成情報330は、ネットワーク接続機器ポート情報310及びリンク状態変化情報320を基にリンク状態変化が同時刻に発生したポート同士が接続されているものとして作成された情報である。
【0030】
次に、図5を参照して、本発明の動作を詳細に説明する。
(1)ステップS101
ユーザネットワーク100に対してネットワーク接続機器10が新たに接続される。
(2)ステップS102
ネットワーク接続機器10が新たに接続されると、ネットワーク管理サーバ200はその装置の情報を、SNMPを利用して収集する。収集される情報はMIB情報と呼ばれ、ネットワーク管理おいて一般的に利用される情報である。
(3)ステップS103
ネットワーク管理サーバ200は、図6に示すデータをネットワーク接続機器情報210として格納する。
なお、図6に示すデータには、項目として、「MIBツリー」と、MIBツリーの「値」が示されている。ここでは、MIBツリーの要素として、「system」、「interfaces」、「ip」が示されている。「system」には、「sysName」、「sysLocation」、「ysUpTime」が含まれ、それぞれの値は、「ネットワーク接続機器10」、「○×△ビル」、「5時間」である。「interfaces」には、「interface−n(nはインタフェース数)」が含まれている。「interface−n」には、「ifDescr」、「ifSpeed」、「ifOperStatus」、「ifInOctets」、「ifInError」、「ifOutOctets」、「ifOutError」が含まれ、例えば、「interface−1」の場合、それぞれの値は、「ポート1」、「100Mbps」「UP」、「123456789」、「102」、「987654321」、「201」である。「ip」には、「ipForwarding」、「ipInHdrError」、「ipInAddrError」が含まれ、それぞれの値は、「notForwarding」、「0」、「0」である。
(4)ステップS104
構成管理サーバ300は、ネットワーク接続機器情報210が更新されると自動的に必要な情報を取得する。ここで必要となる情報は、ネットワーク接続機器を識別するための情報(sysName)及びポート関連情報(interfaces)である。
(5)ステップS105
次に、構成管理サーバ300は、図7に示すデータが格納されているネットワーク接続機器ポート情報310に対してネットワーク接続機器10の情報を追加する。
なお、図7に示すデータには、「装置名」、「インタフェース」、「ポート名」が示されている。「装置名」は、接続されたネットワーク接続機器を示す。「インタフェース」は、接続されたネットワーク接続機器のインタフェースを示す。「ポート名」は、インタフェースが使用するポートを示す。ここでは、「装置名」にネットワーク接続機器10が格納され、「インタフェース」に「interface−1」〜「interface−8」が格納され、「ポート名」に「ポート1」〜「ポート8」が格納される。「インタフェース」と「ポート名」は1対1に対応している。
(6)ステップS106
ネットワーク接続機器間のネットワークケーブルの抜き差し等によりネットワーク接続機器状態変更が発生する。例えば、接続されていなかったネットワーク接続機器同士をネットワークケーブルで接続したり、既に接続されていたネットワーク接続機器のネットワークケーブルを外して別のネットワーク接続機器と接続したりすることで、ネットワーク接続機器状態変更が発生する。また、上記以外にも、ネットワーク接続機器のインタフェースの起動(有効化)又は停止(無効化)、ネットワーク接続機器間に設けられた中継装置の障害発生又は障害からの回復等によりネットワーク接続機器状態変更が発生すると考えられる。
(7)ステップS107
ネットワーク接続機器状態変更が発生すると、接続状態変化が発生したネットワーク接続機器のうちネットワーク管理サーバ200と通信可能なネットワーク接続機器からSNMP Trapが送信される。関連するネットワーク接続機器とは、状態変更が発生したネットワークケーブルの両端に接続されているネットワーク接続機器を指す。ネットワーク接続機器10を追加した場合、ネットワーク接続機器10、ネットワーク接続機器20及びネットワーク接続機器30の計3台から各機器の状態変化を通知するSNMP Trapがネットワーク管理サーバ200へ送信される。
(8)ステップS108
ネットワーク管理サーバ200は受信したSNMP Trapを確認し、SNMP Trap受信情報220を更新する。SNMP Trap受信情報は図8に示す情報が格納されており、状態変化が発生した時刻が記載されている。
なお、図8に示す情報には、「送信元」、「時刻」、「種別」に関する情報が含まれている。「送信元」は、SNMP Trapの送信元であるネットワーク接続機器を示す。「時刻」は、状態変化が発生した時刻を示す。「種別」は、装置の起動やユーザのログインなどの状態変化の種別を示す。ここでは、ネットワーク接続機器10とネットワーク接続機器20の接続が11:00:00、ネットワーク接続機器10とネットワーク接続機器30の接続が11:05:00にそれぞれ行われた場合、図8に示すようなデータが作成される。
(9)ステップS109
構成管理サーバ300は、SNMP Trap受信情報220が更新されると自動的に必要な情報を取得する。必要な情報とは、リンク状態変化を示す情報であり、ネットワーク接続機器のポート状態の変化(UPからDOWNへの変化、又はDOWNからUPへの変化)を示す情報である。
(10)ステップS110
構成管理サーバ300は取得した情報を基に、何時何分にどのネットワーク接続機器のどのポートでリンク状態が変化したかを抽出し、リンク状態変化情報320を更新する。リンク状態変化情報320には図9に示すデータが格納されている。
なお、図9に示すデータには、項目として、「時刻」、「装置名」、「ポート名」、「状態」が示されている。「時刻」は、ネットワーク接続機器のリンク状態が変化した時刻を示す。例えば、「11:00:00」を格納する。「装置名」は、リンク状態が変化したネットワーク接続機器を示す。例えば、「ネットワーク機器10」を格納する。「ポート名」は、リンク状態が変化したポートを示す。例えば、「ポート1」を格納する。「状態」は、リンク状態を示す。例えば、「UP」を格納する。この例では、「11:00:00」に、「ネットワーク機器10」の「ポート1」でリンク状態が「UP」になった事を示す。
(11)ステップS111
構成管理サーバ300は、ネットワーク接続機器ポート情報310及びリンク状態変化情報320を用いて、ネットワーク接続機器同士がどのポートにより接続しているかを検出し、ネットワーク構成情報330を更新する。ネットワーク接続機器同士はネットワークケーブルにより直接接続されているため、リンク状態に変化が発生した場合、両端のネットワーク接続機器のリンク状態が同時に変化する。構成管理サーバはリンク状態の変化を時系列に沿って確認し、同時刻にリンク状態の変化が発生しているポート同士が接続されていると判断する。ネットワーク構成情報330には図10に示すデータが格納されており、それぞれのネットワーク接続機器のポートがどこに接続されているかが記録されている。
なお、図10に示すデータには、項目として、「装置名」、「ポート名」、「状態」、「接続先装置名」、「接続先ポート名」が示されている。「装置名」は、ネットワーク接続機器の識別情報を示す。例えば、「ネットワーク機器10」を格納する。「ポート名」は、該ネットワーク接続機器のポートを示す。例えば、「ポート1」を格納する。「状態」は、リンク状態を示す。例えば、「UP」を格納する。「接続先装置名」は、「装置名」に示されたネットワーク接続機器の接続先であるネットワーク接続機器を示す。例えば、「ネットワーク機器20」を格納する。「接続先ポート名」は、接続先であるネットワーク接続機器側で使用されるポートを示す。すなわち、接続先のポートを示す。例えば、「ポート2」を格納する。この例では、「ネットワーク機器10」の「ポート1」のリンク状態は「UP」であり、接続先は、「ネットワーク機器20」の「ポート2」である事を示す。
【0031】
なお、ユーザネットワーク100からネットワーク接続機器10が外される場合も同様である。例えば、ネットワーク接続機器10又はその通信回線に異常が発生し通信が切断された場合、ネットワーク接続機器10と接続されていたネットワーク接続機器から受信したSNMP Trapと、ネットワーク接続機器10と接続されていたネットワーク接続機器の識別情報及びポート情報に基づいて、ネットワーク接続機器10が不通になったことを検出し、ネットワーク構成情報を更新する。
【0032】
以上のように、本発明は、ネットワーク管理において一般的に利用されているSNMPプロトコルを利用することにより、管理対象となるネットワーク接続機器に対する制限を無くし、自動的に物理的なケーブル接続状態を管理可能とすることで解決を図る。
【0033】
SNMPプロトコルはネットワーク接続機器で標準的に利用されるプロトコルであり、管理対象となる機器に対する制約が取り払われるが、ネットワーク接続機器単体の情報を扱うためのプロトコルである。このため、ネットワーク接続機器間の接続などの付加的な情報は機器独自の情報を必要とする。本発明では、SNMPプロトコルが標準で取り扱う、ネットワーク接続機器のインタフェース情報、及びインタフェースの状態変化情報、時刻情報を利用し、ネットワーク接続機器間の接続構成を管理する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の構成図である。
【図2】図2は、ユーザネットワークの構成図である。
【図3】図3は、ネットワーク管理サーバの構成図である。
【図4】図4は、構成管理サーバの構成図である。
【図5】図5は、本発明の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、ネットワーク接続機器情報の例を示す図である。
【図7】図7は、ネットワーク接続機器ポート情報の例を示す図である。
【図8】図8は、SNMP Trap受信情報の例を示す図である。
【図9】図9は、リンク状態変化情報の例を示す図である。
【図10】図10は、ネットワーク構成情報の例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
10〜60… ネットワーク接続機器
100… ユーザネットワーク
200… ネットワーク管理サーバ
210… ネットワーク接続機器情報
220… SNMP Trap受信情報
300… 構成管理サーバ
310… ネットワーク接続機器ポート情報
320… リンク状態変化情報
330… ネットワーク接続機器構成情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワーク接続機器と、
前記複数のネットワーク接続機器の各々に関する機器情報を収集し、且つ、前記複数のネットワーク接続機器間の通信に使用されるポートのうちいずれかの接続状態変化の発生に応じて、前記接続状態変化が発生したポートを有するネットワーク接続機器のうち通信可能なネットワーク接続機器からメッセージを受信し、前記メッセージに関する受信情報を記憶するネットワーク管理サーバと、
前記機器情報から自動的に前記各ネットワーク接続機器のポート情報を取得し、且つ、前記受信情報から自動的に前記接続状態変化が発生したポートの接続状態変化情報を取得し、前記ポート情報及び前記接続状態変化情報に基づいて、ネットワーク構成情報を更新する構成管理サーバと
を具備する
ネットワーク管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記機器情報は、
前記各ネットワーク接続機器を識別するための情報と、
前記各ネットワーク接続機器のポートに関連する詳細な情報と
を含む
ネットワーク管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記受信情報は、
前記メッセージを送信したネットワーク接続機器を示す情報と、
前記接続状態変化が発生した時刻を示す情報と、
前記接続状態変化の種別を示す情報と
を含む
ネットワーク管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記ポート情報は、
前記各ネットワーク接続機器を識別するための情報と、
前記各ネットワーク接続機器のポートを識別するための情報と
を含む
ネットワーク管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記接続状態変化情報は、
前記接続状態変化が発生した時刻を示す情報と、
前記接続状態変化が発生したネットワーク接続機器を示す情報と、
前記接続状態変化が発生したポートを示す情報と、
前記接続状態変化が発生したポートの状態を示す情報と
を含む
ネットワーク管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記ネットワーク構成情報は、
前記各ネットワーク接続機器を識別するための情報と、
前記各ネットワーク接続機器のポートを識別するための情報と、
前記各ネットワーク接続機器のポートの状態を示す情報と、
前記各ネットワーク接続機器の接続先のネットワーク接続機器を示す情報と、
接続先のネットワーク接続機器側で使用されるポートを示す情報と
を含む
ネットワーク管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記ネットワーク管理サーバは、
SNMP(Simple Network Management Protocol)を利用して収集したネットワーク接続機器の識別情報及びポート関連情報を含むネットワーク接続機器情報を保持するための記憶手段と、
ネットワーク接続機器間の接続状態変化の発生に応じて、前記接続状態変化が発生したネットワーク接続機器のうち通信可能なネットワーク接続機器から送信されるSNMP Trapに関するSNMP Trap受信情報を保持するための記憶手段と
を具備する
ネットワーク管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載のネットワーク管理システムにおいて、
前記構成管理サーバは、
前記ネットワーク接続機器情報の更新に応じて、前記ネットワーク接続機器情報から自動的に取得した情報に基づくネットワーク接続機器ポート情報を保持するための記憶手段と、
前記SNMP Trap受信情報の更新に応じて、前記SNMP Trap受信情報から自動的に取得した情報に基づく接続状態変化情報を保持するための記憶手段と、
前記ネットワーク接続機器ポート情報及び前記接続状態変化情報を基に接続状態変化が同時刻に発生したポート同士を示すネットワーク接続機器構成情報を保持するための記憶手段と
を具備する
ネットワーク管理システム。
【請求項9】
(a)ユーザネットワークに対してネットワーク接続機器が新たに接続されると、前記ネットワーク接続機器の情報を収集するステップと、
(b)前記ネットワーク接続機器の情報を、データをネットワーク接続機器情報として記憶するステップと、
(c)前記ネットワーク接続機器情報が記憶されると、前記ネットワーク接続機器情報からネットワーク接続機器を識別するための情報及びポート関連情報を自動的に取得するステップと、
(d)ネットワーク接続機器ポート情報に対して前記ネットワーク接続機器のポートの情報を追加するステップと、
(e)ネットワーク接続機器の接続状態変化が発生すると、前記接続状態変化が発生したネットワーク接続機器と通信するためのポートを有するネットワーク接続機器からSNMP(Simple Network Management Protocol)メッセージを受信するステップと、
(f)前記メッセージを確認し、メッセージ受信情報を更新するステップと、
(g)前記メッセージ受信情報が更新されると、接続状態変化を示す情報及びネットワーク接続機器のポート状態の変化を示す情報を自動的に取得するステップと、
(h)取得した情報を基に、接続状態変化が発生した時刻、ネットワーク接続機器、及びポートに関する情報を抽出し、リンク状態変化情報を更新するステップと、
(i)前記ネットワーク接続機器ポート情報及び前記リンク状態変化情報を用いてネットワーク接続機器同士が接続に使用しているポートを検出し、ネットワーク構成情報を更新するステップと
を具備する
ネットワーク管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載のネットワーク管理方法において、
前記(a)ステップは、
(a1)SNMPを利用して収集したMIB(Management Information Base)情報に基づいて、前記ネットワーク接続機器の情報を収集するステップ
を具備する
ネットワーク管理方法。
【請求項11】
(b1)ユーザネットワーク内にある複数のネットワーク接続機器の識別情報及びポート情報を収集するステップと、
(b2)前記複数のネットワーク接続機器のうちいずれかが前記ユーザネットワークから外れた場合、残りのネットワーク接続機器のうち少なくとも一つからメッセージを受信するステップと、
(b3)前記メッセージと前記残りのネットワーク接続機器の各々の識別情報及びポート情報とに基づいて、前記ユーザネットワークのネットワーク構成情報を更新するステップと
を具備する
ネットワーク管理方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか一項に記載のネットワーク管理方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−136067(P2008−136067A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321642(P2006−321642)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】