説明

ネットワーク管理システムにおけるネットワーク切替制御方法および装置

【課題】ネットワークの利用状況を反映し利用者への影響が少ないネットワーク切替を実行できるネットワーク切替制御方法および装置を提供する。
【解決手段】複数のネットワークエレメントからなるネットワークを管理するネットワーク管理システム(12)におけるネットワーク切替制御装置(100)は、各ネットワークエレメントから伝送路の状態に関する監視データを取得して格納する監視データデータベース(101)と、監視データの変化から監視データが所定の切替基準閾値を超える時刻を予測する監視データ変化予測部(102)と、予測時刻がネットワーク全体の利用状況が所定閾値より低下すると予測される予測時間帯に入ればネットワーク切替を実行する判定部(103)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク管理システム(NMS)に係り、特に複数の伝送装置からなるネットワークにおけるパスやチャネルあるいは通信機器等のネットワーク切替制御方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コアネットワークにおけるパスは常時監視されており、現在のルートで通信品質が劣化すると、他のルートへ切り替えて通信を維持する切替制御が行われる。しかしながら、この通信品質の劣化判定は閾値との比較により行われるので、ネットワークの利用状況が考慮されておらず、ネットワーク利用者が多い時間帯に切替が発生する場合がある。パス切替時には、たとえば50ms以内の瞬時の主信号切断(瞬断)が発生するので、利用者が多い時間帯にパス切替が発生すると多くの利用者に影響が及ぶ。そこで、利用者への影響を少なくする切替制御が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示されている切替制御は、深夜帯のように利用者への影響が少ない特定の時間帯を予め決めておき、その時間帯でのみパス切替を実行する。より詳しくは、過去のデータから回線品質の変動を予測して切替が発生するおおよその時刻を計算し、その予測時刻が深夜帯であれば切替を実行する(特許文献1の段落0043−0044)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−155533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたパス切替では、一つの伝送装置内の受信系において切替判定が行われており、その伝送装置内での冗長パスの切替に限定される。したがって、利用者への影響が少ない状況でパス切替を行おうとすれば、深夜帯のような特定の時間帯を予め設定することが必要である。
【0006】
しかしながら、深夜帯に利用者が少ないことが多いとしても常にそうであるとも限らないし、逆に深夜帯以外の時間帯でも利用者が少なくなる場合もある。したがって、特許文献1のような切替制御では、必ずしもネットワークの利用状況を反映したものとはならない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ネットワークの利用状況を反映し利用者への影響が少ないネットワーク切替を実行できるネットワーク切替制御方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるネットワーク切替制御装置は、複数のネットワークエレメント(NE:伝送装置、通信装置など)からなるネットワークを管理するネットワーク管理システムにおけるネットワーク切替制御装置であって、前記ネットワークの各NEから伝送路の状態に関する監視データを取得して格納する格納手段と、前記監視データの変化から監視データが所定の切替基準閾値を超える時刻を予測する監視データ変化予測手段と、前記予測時刻が前記ネットワーク全体の利用状況が所定閾値より低下すると予測される予測時間帯に入れば前記ネットワーク切替を実行する判定手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によるネットワーク切替制御方法は、複数のNEからなるネットワークを管理するネットワーク管理システムにおけるネットワーク切替制御方法であって、前記ネットワークの各NEから伝送路の状態に関する監視データを取得して格納手段に格納し、前記監視データの変化から監視データが所定の切替基準閾値を超える時刻を予測し、前記予測時刻が前記ネットワーク全体の利用状況が所定閾値より低下すると予測される予測時間帯に入れば前記ネットワーク切替を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワークの利用状況を反映し利用者への影響が少ないネットワーク切替を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明によるネットワーク切替制御装置を備えたネットワーク管理システムを有するネットワークの全体的構成図である。
【図2】図2(A)は本発明を適用可能なネットワークの一例を示すネットワーク図、図2(B)は本発明を適用可能なネットワークの他の例を示すネットワーク図、図2(C)はネットワーク内の冗長パスを例示したネットワーク図である。
【図3】図3は本発明の一実施形態によるネットワーク切替制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は本発明の第1実施形態によるネットワーク切替制御方法を示すフローチャートである。
【図5】図5は本実施形態における切替適/不適の時間帯の一例を示すタイムチャートである。
【図6】図6は本発明の第1実施例によるネットワーク切替制御方法を示すフローチャートである。
【図7】図7は本発明の第2実施例によるネットワーク切替制御方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は本発明の第3実施例によるネットワーク切替制御方法を示すフローチャートである。
【図9】図8は本発明の第2実施形態によるネットワーク切替制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によれば、ネットワーク管理システム(NMS: Network Management System)にネットワーク切替制御機能を設けることで、ネットワーク内のすべてのNEの回線品質等の管理情報を監視することができ、ネットワークの利用状況を反映し利用者への影響が少ないネットワーク切替制御が可能となる。以下、本発明の実施形態によるシステム構成および動作について詳細に説明する。
【0013】
1.システム
1.1)ネットワーク
図1に示すように、コアネットワーク10は複数のネットワークエレメンNE1〜NEnからなり、各NEは監視ネットワーク11を通してネットワーク管理システムサーバ12(以下、NMS12と略記する。)により管理される。NEには、対抗するNEとの間の伝送路の回線品質などの性能情報や接続情報などの監視情報を取得する機能が設けられ、取得された監視情報が監視ネットワーク11を通してNMS12へ送信される。
【0014】
NMS12にはネットワーク自動切替制御装置100が設けられている。ネットワーク自動切替制御装置100は、NMS12により収集されたコアネットワーク10の性能情報や回線情報などの監視情報を用いて、後述するようにネットワーク切替を制御する。
【0015】
監視ネットワーク11の具体例を図2(A)および図2(B)に示す。ここでは、簡単のためにコアネットワーク10が3つのNEからなる場合を示す。
【0016】
図2(A)にはDCN(Data Communication Network)の代表的な構成が例示されている。伝送装置NE1とNE2とは光ファイバなどの伝送路f1で、伝送装置NE2とNE3とは伝送路f2で、伝送装置NE1とNE3とは伝送路f3で、それぞれ接続されている。伝送装置NE1〜NE3はルータRとLANケーブルd1〜d3によって、NMS12と接続される。これによりNMS12は伝送装置NE1〜NE3のアラームや回線品質データk1〜k6などを受信することができる。このように、NMS12が、ルータRやLANケーブルd1〜d3を通して各伝送装置NEを直接監視するようなネットワーク構成をアウトバウンド(Outbound)構成という。伝送装置NE1〜NE3でそれぞれ測定された伝送路の回線品質データk1〜k6は、ルータRおよびLANケーブルd1〜d3を通してNMS12へ送信される。
【0017】
ルータRとLANケーブルd1〜d3が用意できない場合には、図2(B)に示すように、NMS12は伝送路f4およびf6を経由して各伝送装置NEを監視することもできる。例えば、伝送装置NE5は、LANケーブルd2、伝送装置NE4および伝送路f4を経由して監視され、同様に伝送装置NE6はLANケーブルd2、伝送装置NE4および伝送路f6を経由して監視される。図2(B)に示すようなネットワーク構成をインバウンド(Inbound)構成という。
【0018】
なお、図2(A)および(B)において、NMS12から直接監視される伝送装置NEをGNE(Gateway NE)と呼び、GNEを経由して監視されるNEをRNE(Remote NE)と呼ぶ。図2(B)において、RNEのアラームや回線品質データなどの情報は、GNEとRNEとの間のDCC(Data Communication Channel)と伝送路d2を通してNMS12へ転送される。
【0019】
本発明が解決すべき課題との関連では、図2(A)に示すような冗長なGNEを有するDCNの場合、予備のGNEに切り替えるまでの間、伝送装置NEを監視出来ない時間帯が発生する。したがって、端末使用するオペレータが多い時間帯にGNEの切替を行うと、多くのオペレータの作業に影響が出てしまう。図2(B)に示すようなDCCの場合においても、伝送路の回線品質の劣化によりDCC帯域を確保できなくなると、アラームや回線品質データが読み込めず、NMS、GNEおよびRNEの間でやりとりが出来なくなることで端末からRNEを監視できなくなる。
【0020】
また、コアネットワーク10がSONET/SDH(Synchronous Optical NETwork/Synchronous Digital Hierarchy)方式であれば、図2(C)に示すように、主信号パスp1に障害が発生すると、予備パスp2へ切り替えることで通信を維持することができる。切替え時には50ms以内の瞬断が発生し主信号に影響が出る。なお、主信号の品質劣化は、伝送路や装置内接続用いられる光ファイバの曲げや引っ張り、あるいは伝送装置の部品の経年劣化による光送受信特性の劣化が原因となることもあるが、これらによる品質劣化はゆっくりと進行するためある程度の予測が可能である。
【0021】
1.2)ネットワーク自動切替制御装置
図3に示すように、NMS12にはネットワーク自動切替制御装置100あるいはそれと同等の機能が設けられている。ネットワーク自動切替制御装置100は、ネットワーク10から収集した回線品質等の監視データを格納する監視データデータベース101、監視データから変化を予測する監視データ変化予測部102、監視データ変化の予測値から切替判定を行う判定部103、NEへ切替を指示するタイミングをスケジューリングするスケジューラ104、および、制御部105を機能的に有しており、監視ネットワーク11と接続するネットワークインタフェース106を通してネットワーク10から監視データを取得する。
【0022】
なお、監視データ変化予測部102、判定部103、スケジューラ104および制御部105と同等の機能は、図示しないメモリに格納されたプログラムをコンピュータ上で実行することにより実現することもできる。
【0023】
2.第1実施形態
図4において、ネットワーク自動切替制御装置100の制御部105は、コアネットワーク10の各NEから所定の監視項目の監視データを監視ネットワーク11を通して収集し、監視データデータベース101に格納する(ステップ201)。監視項目は、ここではネットワーク切替判定に寄与する項目を含み、具体的には監視ネットワークや各NEの各伝送路についての回線品質、使用帯域、トラフィック量などである。
【0024】
続いて、制御部105は、監視データデータベース101に蓄積された所定監視項目の蓄積データ量が予測計算できる程度に蓄積されたか否かを判断する(ステップ202)。予測計算可能なデータが蓄積されれば(ステップ202;Yes)、監視データ変化予測部102は、制御部105の指示に従って、回線品質や使用帯域などの性能モニタ値を示す監視データから変化予測計算を実行し、性能モニタ値が切替判定基準値(閾値)を超えて劣化する時刻tを予測する(ステップ203)。
【0025】
変化予測計算には外挿法により求まる近似式を利用する。すなわち、蓄積した監視データの変化を検出し、それを外挿することで監視データがどの時刻で閾値を超えるか否かを予測することができる。
【0026】
予測時刻tが算出されると、判定部103は、制御部105の制御の下で、予測時刻tが直近の利用者が少ない時間帯(t1からt2の間:[t1,t2])にあるかどうかを判定し、その結果を制御部105へ返す(ステップ204)。予測時刻tが時間帯[t1,t2]内であれば(ステップ204;Yes)、制御部105の指示により、スケジューラ104は直近の時間帯[t1,t2]内でネットワーク切替を実行するようにスケジューリングする(ステップ205)。予測時刻tが時間帯[t1,t2]内でなければ(ステップ204;No)、スケジューラ104は次の利用者が少ない時間帯[t1,t2]でネットワーク切替を実行するようにスケジューリングする(ステップ206)。
【0027】
こうしてスケジューリングされた時刻に到達すれば(ステップ207;Yes)、制御部105はGNEに対して切替を指示する(ステップ208)。
【0028】
なお、直近の利用者が少ない時間帯[t1,t2]は、ネットワーク10からの監視データから動的に決定されうるものであり、たとえば図5に示すように、午前0時から早朝6時までの時間帯内である可能性が高い。
【0029】
2.1)第1実施例
本発明の第1実施例によるネットワーク自動切替制御方法について、図2(A)に示すネットワークを一例として説明する。本発明の第1実施例によれば、ネットワークの回線品質の劣化をモニタすることで切替判定基準の閾値より低下する時刻を予測する。
【0030】
図2(A)において、伝送装置NE1〜NE3には、各伝送路の回線品質データを測定する測定部がそれぞれ設けられている。伝送装置NE1では、回線品質データk1およびk2が測定され、伝送装置NE2では回線品質データk3およびk4が、伝送装置NE3では回線品質データk5およびk6がそれぞれ測定される。こうして測定された回線品質データk1−k6がDCNを通してNMS12へ送信される。
【0031】
図6において、ネットワーク自動切替制御装置100の制御部105は、回線品質データk1−k6を監視ネットワーク11を通して収集し、監視データデータベース101に格納する(ステップ301)。監視データデータベース101に蓄積された回線品質データk1−k6がそれぞれ予測計算可能な量だけ蓄積されると(ステップ302;Yes)、監視データ変化予測部102は、蓄積された回線品質データから回線品質の傾向を検出し、外挿法によりこれからの変化を予測して回線品質が閾値を超えて劣化する時刻tを予測する(ステップ303)。以下、ステップ304−308は、上述した図4のステップ204−208と同様であるから説明は省略する。
【0032】
2.2)第2実施例
本発明の第2実施例によるネットワーク自動切替制御方法について、図2(A)に示すネットワークを一例として説明する。本発明の第2実施例によれば、回線品質データの代わりに各伝送装置NEからNMS12へ送信されるアラームなどのデータ量を用いてネットワークの帯域測定を行い、ネットワークの状態を判断する。すなわち、図2(A)において、DCNのネットワーク状態の監視するには、例えばNMS12とNE1との間の帯域測定をする。すなわち、各NEからNMS12へ送信されるアラームが1kビットのファイルであるとすれば、NE1のアラーム送信開始時刻とNMS12の受信完了時刻との差分から帯域を測定できる。たとえば、アラーム送信開始から受信完了までの時間差分が1秒であれば帯域は1kbpsとなる。
【0033】
図7において、ネットワーク自動切替制御装置100の制御部105は、各NEから送信されるアラームを監視ネットワーク11を通して受信し、そのアラーム送信開始から受信完了までの時間差分DからDCNの使用帯域を測定して監視データデータベース101に格納する(ステップ401)。帯域計算式は次の通りである:
帯域[bps]=アラームデータ量[bit]/D
ここで、D=NMS12の受信完了時刻[s]−NEの送信開始時刻[s]である。
【0034】
監視データデータベース101に蓄積された帯域測定値がそれぞれ予測計算可能な量だけ蓄積されると(ステップ402;Yes)、監視データ変化予測部102は、蓄積された帯域測定値から回線品質の傾向を検出し、外挿法によりこれからの変化を予測して帯域測定値が閾値を超えて上昇するする時刻tを予測する(ステップ403)。以下、ステップ304−308は、上述した図4のステップ204−208と同様であるから説明は省略する。
【0035】
2.3)第3実施例
図2(A)に示すOutbound構成の場合、伝送路fでDCC用帯域が確保され、対向するNE同士でデータを送受信したときにかかる時間から帯域測定が可能である。例えば、NE1からNE2へ送信されるファイルが1kビット、NE1からの送信開始時刻とNE2での受信完了時刻との差分が1秒だとすると、帯域は1kbpsと算定できる。
【0036】
図2(B)のようなInbound構成の場合、上記のOutbound構成のDCC帯域測定方法以外に、RNEからGNEへ転送されるアラームのデータ量によって帯域測定することも出来る。
【0037】
図8において、ネットワーク自動切替制御装置100の制御部105は、各NEから対応NEへ送信されるファイルのデータ量とファイルの送信開始から受信完了までの時間差分DfとからDCNの使用帯域を測定して監視データデータベース101に格納する(ステップ401a)。帯域計算式は次の通りである:
帯域[bps]=送信データ量[bit]/Df
ここで、Df=NEの受信完了時刻[s]−対抗NEの送信開始時刻[s]である。
【0038】
監視データデータベース101に蓄積された帯域測定値がそれぞれ予測計算可能な量だけ蓄積されると(ステップ402;Yes)、監視データ変化予測部102は、蓄積された帯域測定値から回線品質の傾向を検出し、外挿法によりこれからの変化を予測して帯域測定値が閾値を超えて上昇するする時刻tを予測する(ステップ403)。以下、ステップ304−308は、上述した図4のステップ204−208と同様であるから説明は省略する。
【0039】
2.4)効果
本実施形態によれば、NMS12にネットワーク自動切替制御機能を設けることで、伝送路やDCNの回線状態が悪化する時期が予測できるので、コアネットワークの利用状況に応じて瞬断の影響を受けるユーザが減る時間帯にネットワーク切替(回線切替、GNE切替、DCC切替)を行うことが可能になる。
【0040】
3.第2実施形態
本発明の第2実施形態によれば、コアネットワーク10から性能監視データとトラフィックデータとを収集し、これらのデータから性能が劣化する時刻とトラフィックが低下する時間帯とを予測し、性能劣化予測時刻がトラフィックの低下予測時間帯内にあれば、その時間帯で切替をスケジューリングする。すなわち、コアネットワーク10の利用状況が実際に低下すると予想される時間帯で性能劣化に起因するネットワーク切替を実行する。
【0041】
図9において、ネットワーク自動切替制御装置100の制御部105は、コアネットワーク10の各NEから性能監視データとトラフィックデータを含む監視データを監視ネットワーク11を通して収集し、監視データデータベース101に格納する(ステップ501)。
【0042】
続いて、制御部105は、監視データデータベース101に蓄積された性能監視データおよびトラフィックデータの蓄積データ量が予測計算できる程度に蓄積されたか否かを判断する(ステップ502)。予測計算可能なデータが蓄積されれば(ステップ502;Yes)、監視データ変化予測部102は、制御部105の指示に従って、蓄積された性能監視データから変化予測計算を実行し、性能監視データが切替判定基準値(閾値)を超えて劣化する時刻tを予測する(ステップ503)。変化予測計算には外挿法により求まる近似式を利用する。すなわち、蓄積した性能監視データの変化を検出し、それを外挿することで性能監視データがどの時刻で閾値を超えて劣化するを予測することができる。
【0043】
同様に、監視データ変化予測部102は、制御部105の指示に従って、蓄積されたトラフィックデータから変化予測計算を実行し、トラフィックデータが所定の閾値を超えて高くなる時間帯[t1,t2]を予測する(ステップ504)。この予測時間帯[t1,t2]は、深夜帯のように数時間に及ぶこともあれば、それより短いこともあり得る。また、複数の予測時間帯[t1,t2]、[t3,t4]・・・が算出されることもあり得る。
【0044】
予測時刻tと予測時間帯[t1,t2]が算出されると、判定部103は、制御部105の制御の下で、予測時刻tが予測時間帯[t1,t2]にあるかどうかを判定し、その結果を制御部105へ返す(ステップ505)。予測時刻tが予測時間帯[t1,t2]内であれば(ステップ505;Yes)、制御部105の指示により、スケジューラ104は直近の時間帯[t1,t2]内でネットワーク切替を実行するようにスケジューリングする(ステップ506)。予測時刻tが直近の時間帯[t1,t2]内でなければ(ステップ505;No)、スケジューラ104は次の時間帯[t3,t4]でネットワーク切替を実行するようにスケジューリングする(ステップ507)。
【0045】
こうしてスケジューリングされた時刻に到達すれば(ステップ508;Yes)、制御部105はGNEに対して切替を指示する(ステップ509)。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、NMSによるパス、DCNおよびDCCのネットワーク自動切替指示システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 コアネットワーク
11 監視ネットワーク
12 ネットワーク管理システム(NMS)
100 ネットワーク自動切替制御装置
101 監視データデータベース
102 監視データ変化予測部
103 判定部
104 スケジューラ
106 ネットワークインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワークエレメントからなるネットワークを管理するネットワーク管理システムにおけるネットワーク切替制御装置であって、
前記ネットワークの各ネットワークエレメントから伝送路の状態に関する監視データを取得して格納する格納手段と、
前記監視データの変化から監視データが所定の切替基準閾値を超える時刻を予測する監視データ変化予測手段と、
前記予測時刻が前記ネットワーク全体の利用状況が所定閾値より低下すると予測される予測時間帯に入れば前記ネットワーク切替を実行する判定手段と、
を有することを特徴とするネットワーク切替制御装置。
【請求項2】
前記監視データは、性能監視データおよび/またはトラフィックデータを含むことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク切替制御装置。
【請求項3】
前記監視データ変化予測手段は、前記性能監視データの変化から前記予測時間を計算し、前記トラフィックデータの変化から前記予測時間帯を計算することを特徴とする請求項2に記載のネットワーク切替制御装置。
【請求項4】
複数のネットワークエレメントからなるネットワークを管理するネットワーク管理システムにおけるネットワーク切替制御方法であって、
前記ネットワークの各ネットワークエレメントから伝送路の状態に関する監視データを取得して格納手段に格納し、
前記監視データの変化から監視データが所定の切替基準閾値を超える時刻を予測し、
前記予測時刻が前記ネットワーク全体の利用状況が所定閾値より低下すると予測される予測時間帯に入れば前記ネットワーク切替を実行する、
ことを特徴とするネットワーク切替制御方法。
【請求項5】
前記監視データは、性能監視データおよび/またはトラフィックデータを含むことを特徴とする請求項4に記載のネットワーク切替制御方法。
【請求項6】
前記性能監視データの変化から前記予測時間を計算し、前記トラフィックデータの変化から前記予測時間帯を計算することを特徴とする請求項5に記載のネットワーク切替制御方法。
【請求項7】
複数のネットワークエレメントからなるネットワークを管理するネットワーク管理システムにおけるネットワーク切替制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記ネットワークの各ネットワークエレメントから伝送路の状態に関する監視データを取得して格納手段に格納する格納機能と、
前記監視データの変化から監視データが所定の切替基準閾値を超える時刻を予測する監視データ変化予測機能と、
前記予測時刻が前記ネットワーク全体の利用状況が所定閾値より低下すると予測される予測時間帯に入れば前記ネットワーク切替を実行する判定機能と、
を前記コンピュータに実現することを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記監視データは、性能監視データおよび/またはトラフィックデータを含むことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記監視データ変化予測機能は、前記性能監視データの変化から前記予測時間を計算し、前記トラフィックデータの変化から前記予測時間帯を計算することを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
請求項1−3のいずれか1項に記載のネットワーク切替制御装置を含むネットワーク管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−98706(P2013−98706A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238902(P2011−238902)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】