説明

ネットワーク管理システム及びプログラム

【課題】計画作業により生じた警報と、障害により生じた警報を、直ちに区別できるネットワーク管理システムを提供する。
【解決手段】管理システムは、ネットワーク内の計画作業の、期間と、作業対象の装置又は回線とを特定する工事情報を保持する工事管理装置と、ネットワーク構成を管理する構成管理装置と、監視装置とを備えており、構成管理装置は、工事管理装置から工事情報を取得して工事対象である対象回線及び該対象回線の上位回線と工事情報を関連付けし、監視装置からの警報回線の問い合わせに対して、警報回線に関連付けられた工事情報が存在する場合、警報回線情報と共に、該工事情報を監視装置に通知し、監視装置は、警報回線情報と共に、工事情報を受信した場合、該警報の発生時刻が工事情報内に含まれる期間内であるか否かを判定し、期間内である場合には、該警報に計画作業によるものであることを示す情報を付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークの管理技術に関し、より詳しくは、工事等の計画作業により発生する警報と、実際の障害により発生する警報を直ちに区別できるネットワークの管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ネットワーク内のある装置で障害が発生した場合、この装置を通過している多数の回線が断となる。この多数の回線の断は、各回線の終端装置でも検出されるため、大量の障害情報が発生することになり、障害原因の特定が困難になるという問題がある。このため、ネットワーク内の各回線と装置との関係、及び、各回線間の関係を保持する構成管理装置を設け、多量に発生する障害情報から、その根本的な原因である障害情報を特定するネットワーク管理方法が提案されている(例えば、特許文献1から4、参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−114899号公報
【特許文献2】特開2007−189615号公報
【特許文献3】特開2007−235897号公報
【特許文献4】特開2006−13625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、ネットワーク内においては、例えば、光ファイバの経路変更や、通信装置の部品取替え等の計画的作業が常に行われており、ネットワークの運用者は、障害により生じた警報と計画作業により生じた警報を区別し、適切に障害対応を行うことが求められている。
【0005】
したがって、本発明は、計画作業により生じた警報と、障害により生じた警報を、直ちに区別できるネットワーク管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるネットワーク管理システムは、
ネットワーク内の計画作業の、期間と、作業対象の装置又は回線とを特定する工事情報を保持する工事管理装置と、各回線と装置との関係、各回線間の上下関係についての情報を保持する構成管理装置と、ネットワーク内の装置から警報を収集する監視装置とを備えており、構成管理装置は、工事管理装置から工事情報を取得し、工事情報の作業対象の装置又は回線に基づき、工事対象である対象回線と、該対象回線の上位回線を特定し、特定した対象回線及び上位回線と工事情報を関連付けし、監視装置から、警報に対応する回線を問い合わせるメッセージを受信した際に、警報に対応する回線に関連付けられた工事情報が存在する場合、警報に対応する回線を示す情報と共に、該工事情報を監視装置に通知し、監視装置は、装置から警報を受信した場合、警報に含まれる装置を特定する情報に基づき警報に対応する回線を問い合わせるメッセージを構成管理装置に送信し、構成管理装置から警報に対応する回線を示す情報と共に、工事情報を受信した場合、該警報の発生時刻が工事情報に含まれる期間内であるか否かを判定し、期間内である場合には、該警報に計画作業によるものであることを示す情報を付加することを特徴とする。
【0007】
本発明によるネットワーク管理システムの他の実施形態によると、
工事情報は、作業内容を含み、監視装置は、前記警報の発生時刻が工事情報に含まれる期間内である場合には、該警報と共に工事情報を表示することも好ましい。
【0008】
本発明によるプログラムは、
ネットワーク内の計画作業の、期間と、作業対象の装置又は回線とを特定する工事情報を保持する工事管理装置と、各回線と装置との関係、各回線間の上下関係についての情報を保持する構成管理装置と、監視装置とを含み、構成管理装置は、工事管理装置から工事情報を取得し、工事情報の作業対象の装置又は回線に基づき、工事対象である対象回線と、該対象回線の上位回線を特定し、特定した対象回線及び上位回線と工事情報を関連付けし、監視装置から、警報に対応する回線を問い合わせるメッセージを受信した際に、警報に対応する回線に関連付けられた工事情報が存在する場合、警報に対応する回線を示す情報と共に、該工事情報を監視装置に通知する、ネットワーク管理システムの監視装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、コンピュータを、ネットワーク内の装置から警報を収集する手段と、装置から警報を受信した場合、警報に含まれる装置を特定する情報に基づき警報に対応する回線を問い合わせるメッセージを構成管理装置に送信する手段と、構成管理装置から警報に対応する回線を示す情報と共に、工事情報を受信した場合、該警報の発生時刻が工事情報に含まれる期間内であるか否かを判定し、期間内である場合には、該警報に計画作業によるものであることを示す情報を付加する手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
警報が実際の障害によるものか、計画作業によるものかを直ちに判定することができる。さらに、工事情報を表示することで、工事によるものか、工事対象と同一回線に偶然生じた障害によるものかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるネットワーク管理システムの構成図である。
【図2】回線間の関係を説明する図である。
【図3】工事管理装置と構成管理装置間でのシーケンス図である。
【図4】監視装置と構成管理装置間での第1のシーケンス図である。
【図5】監視装置と構成管理装置間での第2のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明において、回線とは2つの装置間に設定される情報の伝送路を示すものであり、パス等、他の用語により表現されるものも含むものである。なお、回線は、直接、何らかのサービスに使用することも、1つ以上の他の回線を収容することもできる。例えば、図2において、回線Aは、回線A1〜A3の3つの回線を収容しており、回線A3はサービス提供のために使用している。一方、回線A1は3つの回線A11〜A13を収容しており、回線A2は、4つの回線A21〜A24を収容している。なお、他の回線を収容している回線を、収容されている回線に対する下位回線と、逆に、他の回線に収容されている回線を、収容している回線の上位回線と呼ぶ。例えば、図2において、回線A1は、回線Aの上位回線であり、回線A11〜A13の下位回線である。
【0012】
図1は、本発明によるネットワーク管理システムの構成図である。図1に示す様に、ネットワーク管理システム1は、工事管理装置11と、構成管理装置12と、監視装置13とを備えている。工事管理装置11は、各計画作業について、作業内容、作業対象回線又は装置、作業期間を示す情報である工事情報を保持している。なお、作業対象が装置である場合において、作業対象装置が複数の回線を収容するものである場合、装置を示す情報は、工事により影響を受ける装置内位置についての情報も含んでいる。
【0013】
構成管理装置12は、各回線と各回線が通過する装置との関係、装置が多数の回線を収容する場合には、さらに、各回線と各回線が通過する装置内の位置との関係を保持しており、さらに、各回線間の関係も保持している。また、監視装置13は、ネットワーク内の各装置から警報を収集する機能を備えている。まず、図3を用いて、構成管理装置12が行う工事情報の取得処理について説明する。
【0014】
(S31)構成管理装置12は、定期的に期間を指定して、工事情報を要求する工事情報問い合わせメッセージを工事管理装置11に送信する。工事管理装置11は、指定された期間内の工事情報を含む工事情報通知メッセージを構成管理装置12に送信する。
【0015】
(S32)構成管理装置12は、各工事情報について、対象回線又は装置を示す情報から、作業の対象回線を特定する。具体的には、対象回線が工事情報に含まれていた場合には、その回線を対象回線とし、対象装置を示す情報が工事情報に含まれていた場合には、その装置、さらに必要に応じて装置内位置に基づき対象回線を特定する。また、対象回線の上位回線も特定する。最後に、特定した対象回線及び当該対象回線の上位回線の回線情報に、対応する工事情報を関連付けして保存する。
【0016】
続いて、監視装置13が警報を検出した場合の処理を、図4及び5を用いて説明する。
【0017】
(S41)監視装置13は、装置情報を含む警報を検出した場合、構成管理装置12に、装置情報、つまり、装置を示す情報と、付加的な装置内位置を示す情報を含む回線問い合わせメッセージを構成管理装置12に送信し、構成管理装置12は、装置情報に基づき警報となっている回線を特定し、この回線の回線識別子を含む回線識別子通知メッセージを監視装置13に送信する。ここで、構成管理装置12は、特定した回線に工事情報が関連付けされている場合、関連付けされている工事情報を回線識別子通知メッセージに含めて監視装置13に送信する。
【0018】
(S42)監視装置13は、受信した回線識別子通知メッセージに工事情報が含まれている場合、警報を受信した時刻が、工事情報の作業期間内であるか否かを判定する。
【0019】
(S43)警報を受信した時刻が、工事情報の工事期間内である場合、監視装置13は、この回線の警報は、作業により生じたものであることを示す工事フラグをONとして発出、つまり、例えば、表示画面に表示して警告音を鳴らす。また、このとき工事情報を併せて表示しても良い。
【0020】
(S44)一方、受信した回線識別子通知メッセージに工事情報が含まれていない場合、又は、含まれているが、警報受信時刻が、工事情報の作業期間内ではない場合、監視装置13は、図5に示す様に、この回線の回線識別子を用いて、この回線の上位回線の回線識別子を構成管理装置12から取得し、上位回線については下位回線の障害によるものであることを示す情報を付加、つまり、マスク処理を行う。
【0021】
(S45)さらに、監視装置13は、この回線の回線識別子を用いて、この回線の下位回線の回線識別子を構成管理装置12から取得し、下位回線において警報が発出されていない場合には、当該回線が原因であることを示す情報を付加し、下位回線において警報が発出されている場合には、当該回線は、下位回線の障害によるものであることを示す情報を付加、つまり、マスク処理を行う。
【0022】
(S46)最後に、監視装置13は、工事フラグをOFFとしてこの回線の警報を発出する。
【0023】
以上の処理により、警報の工事フラグを確認することで、警報が実際の障害によるものか、計画作業によるものかを直ちに判定することができる。さらに、工事情報を表示することで、作業によるものか、作業対象と同一回線に偶然生じた障害によるものかを判定することができる。
【0024】
なお、ネットワーク管理システムを構成する工事管理装置11、構成管理装置12及び構成管理装置13は、異なる装置としても、1つの装置としても良い。
【0025】
工事管理装置11、構成装置12、監視装置13は、それぞれ、コンピュータを、工事管理装置11、構成装置12、監視装置13として機能させるプログラムにより実現することができる。また、1つのコンピュータを工事管理装置11、構成装置12及び監視装置13として機能させるプログラムにより実現することもできる。
【符号の説明】
【0026】
11 工事管理装置
12 構成管理装置
13 監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク内の計画作業の、期間と、作業対象の装置又は回線とを特定する工事情報を保持する工事管理装置と、
各回線と装置との関係、各回線間の上下関係についての情報を保持する構成管理装置と、
ネットワーク内の装置から警報を収集する監視装置と、
を備えており、
構成管理装置は、工事管理装置から工事情報を取得し、工事情報の作業対象の装置又は回線に基づき、工事対象である対象回線と、該対象回線の上位回線を特定し、特定した対象回線及び上位回線と工事情報を関連付けし、監視装置から、警報に対応する回線を問い合わせるメッセージを受信した際に、警報に対応する回線に関連付けられた工事情報が存在する場合、警報に対応する回線を示す情報と共に、該工事情報を監視装置に通知し、
監視装置は、装置から警報を受信した場合、警報に含まれる装置を特定する情報に基づき警報に対応する回線を問い合わせるメッセージを構成管理装置に送信し、構成管理装置から警報に対応する回線を示す情報と共に、工事情報を受信した場合、該警報の発生時刻が工事情報に含まれる期間内であるか否かを判定し、期間内である場合には、該警報に計画作業によるものであることを示す情報を付加する、
ネットワーク管理システム。
【請求項2】
工事情報は、作業内容を含み、
監視装置は、前記警報の発生時刻が工事情報に含まれる期間内である場合には、該警報と共に工事情報を表示する、
請求項1に記載のネットワーク管理システム。
【請求項3】
ネットワーク内の計画作業の、期間と、作業対象の装置又は回線とを特定する工事情報を保持する工事管理装置と、
各回線と装置との関係、各回線間の上下関係についての情報を保持する構成管理装置と、
監視装置と、
を含み、
構成管理装置は、工事管理装置から工事情報を取得し、工事情報の作業対象の装置又は回線に基づき、工事対象である対象回線と、該対象回線の上位回線を特定し、特定した対象回線及び上位回線と工事情報を関連付けし、監視装置から、警報に対応する回線を問い合わせるメッセージを受信した際に、警報に対応する回線に関連付けられた工事情報が存在する場合、警報に対応する回線を示す情報と共に、該工事情報を監視装置に通知する、ネットワーク管理システムの監視装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
コンピュータを、
ネットワーク内の装置から警報を収集する手段と、
装置から警報を受信した場合、警報に含まれる装置を特定する情報に基づき警報に対応する回線を問い合わせるメッセージを構成管理装置に送信する手段と、
構成管理装置から警報に対応する回線を示す情報と共に、工事情報を受信した場合、該警報の発生時刻が工事情報に含まれる期間内であるか否かを判定し、期間内である場合には、該警報に計画作業によるものであることを示す情報を付加する手段と、
して機能させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate