説明

ネットワーク管理装置及び方法

【課題】 ネットワーク上で自動検出された構成要素のうちの一部を選択して監視対象とするとともに、ネットワーク管理者が所望する構成要素を適切に監視できるようにする。
【解決手段】 ネットワーク管理サーバが、ネットワークの構成要素の情報を収集し、収集された情報をGUI画面に表示し、情報が表示された構成要素のうち監視対象とする構成要素をユーザに選択させ、ユーザが選択した構成要素を監視対象として登録する。上記の情報収集は、登録しなかった構成要素を含めて行ない、収集された情報のGUI画面への表示は、登録された構成要素の情報との比較結果を含めて行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ(ネットワーク管理者)が、インターネット等のネットワークを管理する作業を、1箇所に設けられたコンピュータ(ネットワーク管理ステーション)のグラフィック画面から行えるようにする技術に関し、特に、ネットワークの構成要素(ノード、リンク、ラベルスイッチパス等)を選択的に監視対象として登録するための機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク管理者にとって、ネットワークが信頼性と品質の高いサービスを提供し続けるように、日夜その維持管理を行うことは、ネットワークの大規模化と複雑化、エンドユーザからの要求の高度化等に伴って、その困難さが増しつつある。また、対症療法的ではなく、先見的に、ネットワーク管理を行う必要性も高まっている。
【0003】
このような状況下で、ネットワークの現在の状態(例えば、どのようなデバイスがネットワークに存在し、その設定状態や動作状態がどうなっているか、また、ネットワークの性能がどの程度であり、現在どこに問題があるか、等)に関して、多くの情報を集めることが、重要になってきている。ネットワークの現在の状態を管理者が詳しく知ることができれば、設定の変更やデバイスの追加、交換等によって、ネットワークを最適化することも可能になるし、ネットワークの障害を早期に検出して対処できるだけでなく、障害を予測して将来の問題を予防することも可能になるからである。
【0004】
ネットワーク管理には、例えば、障害管理、パフォーマンス管理、設定/変更管理、アカウンティング管理、セキュリティ管理等がある(非特許文献1)。障害管理は、ネットワークの障害を発見し、分離して、制御するものであり、ネットワークの現在の状態をモニタして、アラームを動作させるツールが必要である。パフォーマンス管理は、ネットワークに関するデータの収集と解析により、処理速度、使用率、誤り率、応答時間等の、ネットワークのハードウェア、ソフトウェア、メディアの性能を測定するものである。設定/変更管理は、ネットワークの動作を制御するデバイスを発見し、設定するものであり、設定は中央集中制御で行うことができる。アカウンティング管理は、ネットワークの使用(リソース消費)に関する統計情報を取得するものである。セキュリティ管理は、ネットワークとその相互接続、システム、ネットワーク管理情報への、許可のないアクセスや使用を防止するものである。
【0005】
上記のようなネットワーク管理を行うためのツールとして、例えば、日本ヒューレット・パッカード株式会社が提供する「HP_OpenViewネットワークノードマネージャ」が知られている(非特許文献1は、そのマニュアルである)。
【0006】
このツールでは、ネットワークのトポロジーをマップ表示することができ、TCP/IP、IPX、UDP等の通信プロトコル上で動くSNMP(Simple Network Management Protocol)と呼ばれるプロトコルを用いて、ネットワーク上のデバイスからデータを取得し、取得されたデータに基づくアラームを、上記のマップ上でネットワーク管理者に知らせることができる。SNMPは、ネットワーク管理ステーションに搭載されるSNMPマネージャプログラムと、ネットワーク内の必要なノードに常駐するSNMPエージェントプログラムとにより実現される。これにより、ネットワーク管理ステーションが上記のような監視のためのデータを集める方法には2種類あり、一つは、SNMPマネージャがポーリングを行い、これに各SNMPエージェントが応答することにより、データを取得する方法であり、もう一つは、SNMPマネージャから明示的な要求が送られなくても、SNMPエージェントからトラップ(通知)が送られることにより、データが取得される方法である。
【非特許文献1】「HP_OpenViewネットワークノードマネージャ(ネットワーク管理ガイド)」2004年8月、http://h50146.www5.hp.com/doc/manual/openview/pdf/t2490−99024.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、ネットワーク管理を行うためには、ネットワーク上のデバイスから、時々刻々変化する可能性のあるデータを、管理のために適切な頻度で取得する必要がある。取得されたデータに基づいて、ネットワークの構成要素(ノードやリンク等)の現在の状態を把握する(監視する)のであるが、通常、ネットワークには、膨大な数の構成要素が存在するため、その全てを監視対象としてポーリングすると、データ取得のためのトラフィックの量や各デバイスにおける処理負荷が大きくなり過ぎてしまう。また、トラップ(通知)機能のある全てのデバイスからのデータを、そのままネットワーク管理者に提示してしまうと、これも数が膨大であるため、真に重要な通知を見落としてしまう危険性がある。
【0008】
一方で、ネットワークの構成要素を監視対象とした処理を開始するには、これに先立って、ネットワークにどのような構成要素が存在するのかを調べる必要がある。これは、ネットワーク管理ステーションが、デバイスとの通信を介して、ネットワーク上に存在するノードを探索し、存在の確認されたノード間を接続するリンクの情報を収集して回ることにより実現でき、この技術は、ネットワークトポロジーの自動検出と呼ばれることがある。この自動検出によれば、ネットワークにある全ての構成要素が検出可能である。
【0009】
従来のネットワーク管理システムにおいては、自動検出によりネットワークの全構成要素が検出されると、原則的に、検出された全構成要素を監視対象として登録する機構となっているため、ネットワーク管理者が、上述したトラフィック量及び処理負荷の問題や見落としの危険性を考慮して、一部の構成要素のみを監視対象としようとしても、システムに所望の動作をさせることが困難であった。
【0010】
例えば、ネットワーク管理の実際の運用では、自動検出により監視対象となる構成要素の存在を特定すると、しばらく監視を続け、その後、再度自動検出をして、新たな構成要素がネットワークに追加されていないか、以前は存在した構成要素がネットワークから削除されていないか調べ、改めて特定された構成要素を次の監視対象として、しばらく監視を続けるというシーケンスが繰り返される。
【0011】
ここで、二度目以降の自動検出で、新たな構成要素が発見されれば、自動的に監視対象として登録されてしまうし、削除された構成要素が発見されれば、自動的に監視対象としての登録も削除されてしまうような機構であると、ネットワーク管理者が真に監視したい構成要素を監視対象とすることは、難しくなる。また、一旦、全構成要素が監視対象として登録された後に、一部の構成要素を監視対象から除外するような機構であると、除外された構成要素は、次の自動検出の対象からも除外されてしまうため、ネットワーク管理者が、後から監視対象として追加したいと考えても、その存在を自動検出で把握することができなくなってしまう。
【0012】
本発明は、以上のような事情を考慮して、ネットワーク上で自動検出された構成要素のうちの一部を選択して監視対象とする(例えば、ポーリングの対象とする、トラップ(通知)を受けたときに表示する対象とする、等)とともに、ネットワーク管理者が所望する構成要素を適切に監視できるようにする機構を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るネットワーク管理装置は、ネットワークの構成要素の情報を収集する収集手段と、前記収集手段により収集された情報を画面に表示させる表示手段と、前記表示手段により情報が表示された構成要素のうち、監視対象とする構成要素を、ユーザに選択させる選択手段と、前記選択手段を介してユーザが選択した構成要素を、監視対象として登録する登録手段と、前記収集手段は、前記登録手段に登録しなかった構成要素を含めて情報を収集するものであり、前記表示手段により、前記登録手段に登録された構成要素の情報と前記収集手段により収集された情報との比較結果を表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成により、情報が収集された(自動検出された)構成要素のうち、ユーザ(ネットワーク管理者)が監視したいものを、監視対象として登録する前に選択することができる。また、一部の構成要素が監視対象として登録された後に行われる自動検出は、登録されていない構成要素を含めて行われるため、最初は監視対象としていなかった構成要素でも、後の自動検出の結果が表示されると、その中から選択することで、簡単に監視対象に加えることができる。そして、二度目以降の自動検出の結果は、既に登録された構成要素の情報との比較結果を含めて表示され、その中から改めて、所望の監視対象を選択して登録することが可能になる。
【0015】
上記構成のネットワーク管理装置が、前記登録手段に登録された構成要素に関し、現在の状態を問合せて、ネットワーク管理のためのデータを取得し、ユーザに提示する監視手段を更に備えてもよい。これにより、監視のためのポーリングをする対象を、一部の構成要素に限定することができ、データ取得のためのトラフィックの量や各デバイスにおける処理負荷を低減することができる。
【0016】
上記構成のネットワーク管理装置が、ネットワークから状態の変化を示すイベントの通知を受信した場合、前記登録手段に登録された構成要素に関する通知を、それ以外の構成要素に関する通知とは区別して、ユーザに提示する監視手段を更に備えてもよい。これにより、ユーザが、トラップ(通知)機能のある多数のデバイスから受信されるデータのうち、ネットワーク管理に重要である可能性の高いものに、先に気がつくようにすることができる。
【0017】
上記構成において、前記制御手段は、前記収集手段により収集された情報が、前記登録手段に登録された構成要素以外の構成要素の情報であれば、新規追加可能な構成要素として表示させ、前記収集手段により収集された情報が、前記登録手段に登録された構成要素についての情報であれば、情報更新可能な構成要素として表示させ、前記収集手段により収集された情報に、前記登録手段に登録された構成要素の情報が含まれていなければ、削除可能な構成要素として表示させるものであってもよい。これにより、二度目以降の自動検出の結果は、新たな構成要素(ネットワークに新たに追加された構成要素又は以前には監視対象として選択されなかった構成要素)が発見されたのか、既登録の構成要素がネットワークから削除されたのか、既登録の構成要素が改めて検出された(情報が変化している可能性がある)のかを、ユーザが認識することができ、改めて所望の監視対象を選択する作業がしやすくなる。
【0018】
上記構成のネットワーク管理装置が、前記収集手段による情報収集の対象となる構成要素を、ユーザに指定させる指定手段を更に備えてもよい。自動検出自体も、監視のためのポーリングと同様に、ネットワークに負荷をかけるものであるため、自動検出が実行されるネットワークのエリアを限定したり、追加・削除・変更等をした構成要素が予め分かっているときにこれを監視対象として登録するために自動検出する場合に、自動検出の対象をその構成要素及びこれに関連するものに限定したりすることは、有用である。
【0019】
このとき、前記登録手段を、各構成要素の情報を登録の日時とともに登録するものとし、前記登録手段に登録された構成要素を登録の日時とともにユーザに提示して、ユーザが前記指定手段を介して情報収集の対象を指定する作業を支援するようにしてもよい。これにより、ユーザは、登録された構成要素の情報がどの時点のものかを認識することができ、無駄な自動検出を実行しないよう、その範囲を限定することができる。
【0020】
上記構成において、ネットワークの構成要素は、ノード、リンク、又はラベルスイッチパスであり、上記構成のネットワーク管理装置が、いずれの種類の構成要素の情報を前記収集手段に収集させるかを、ユーザに指示させる指示手段を更に備えてもよい。自動検出をするときに、ノードもリンクも全て含めて情報収集して回ると、これもネットワークの負荷を高める原因であるため、必要に応じて、ノードだけを検出したり、リンクだけを検出したりすることを可能にすることは、有用である。また、本発明者は、ラベルスイッチパスについて、その監視を行う機構を発明している(特願2004−99696)ため、本発明により自動検出され、監視される構成要素として、ラベルスイッチパスも対象とすることができる。
【0021】
ネットワークが構成要素としてノードとリンクを含み、前記収集手段により情報が収集されるべき構成要素がリンクである場合、前記登録手段に登録されたノードに接続するリンクを前記収集手段による情報収集の対象としてもよい。これにより、例えば、ユーザが、ノード及びリンクの情報収集を指示した場合、まず、ノードについて自動検出を行い、検出されたノードのうちの一部を選択して監視対象として登録し、それから、登録されたノードに接続するリンクを対象として自動検出を行うことができ、リンクの自動検出を必要な範囲に限定できるため、効率的である。
【0022】
ネットワークが構成要素としてノードとリンクを含み、前記収集手段により情報が収集された構成要素がリンクであって、前記登録手段に登録されたノードに接続するリンクでなかった場合、前記制御手段によりエラーを表示させるようにしてもよい。これにより、例えば、ユーザが、リンクのみの情報収集を指示した場合に、登録されたノードに接続するリンクでないものが検出されれば、エラーが表示されるため、ユーザは、そのリンクが接続するノードを登録するか、又は、ノードが登録されていないのでそのリンクの登録はしないか、いずれかの処置をすることができ、監視対象としての登録に齟齬が生じないようにすることができる。
【0023】
ネットワークが構成要素としてノードとリンクとラベルスイッチパスを含み、前記収集手段により情報が収集されるべき構成要素がラベルスイッチパスである場合、前記登録手段に登録されたノードに設定されたラベルスイッチパスを前記収集手段による情報収集の対象としてもよい。これにより、例えば、ユーザが、ノード及びラベルスイッチパスの情報収集を指示した場合、まず、ノードについて自動検出を行い、検出されたノードのうちの一部を選択して監視対象として登録し、それから、登録されたノードに設定されたラベルスイッチパスを対象として自動検出を行うことができ、ラベルスイッチパスの自動検出を必要な範囲に限定できるため、効率的である。
【0024】
ネットワークが構成要素としてノードとリンクとラベルスイッチパスを含み、前記収集手段により情報が収集された構成要素がラベルスイッチパスであって、前記登録手段に登録されたノードに設定され前記登録手段に登録されたリンクを利用するラベルスイッチパスでなかった場合、前記制御手段によりエラーを表示させるようにしてもよい。これにより、例えば、ユーザが、ラベルスイッチパスのみの情報収集を指示した場合に、登録されたノードに設定され登録されたリンクを利用するものでないラベルスイッチパスが検出されれば、エラーが表示されるため、ユーザは、そのラベルスイッチパスに関連するノード及びリンクを登録するか、又は、関連する構成要素が登録されていないのでそのラベルスイッチパスの登録はしないか、いずれかの処置をすることができ、監視対象としての登録に齟齬が生じないようにすることができる。
【0025】
本発明に係るネットワーク管理方法は、ネットワークの構成要素の情報を収集し、収集された前記情報を画面に表示し、前記画面に情報が表示された構成要素のうち、監視対象とする構成要素を、ユーザに選択させ、ユーザが選択した構成要素を、監視対象としてサーバ(例えば、ネットワーク管理サーバ、監視サーバ、又はデータベースサーバ等)に登録し、前記サーバに登録しなかった構成要素を含めてネットワークの構成要素の情報を収集し、収集された前記情報を、前記サーバに登録された構成要素の情報との比較結果を含めて、画面に表示し、前記画面に比較結果を含めて情報が表示された構成要素のうち、監視対象とする構成要素を、ユーザに選択させ、ユーザが選択した構成要素を、監視対象としてサーバに登録することを特徴とする。
【0026】
なお、上述した本発明は、コンピュータを上記のネットワーク管理装置として機能させるためのプログラムの発明や、コンピュータに上記のネットワーク管理方法を実行させるためのプログラムの発明としても、また、このようなプログラムを記録した記録媒体の発明としても、勿論成立するものである。
【発明の効果】
【0027】
以上のとおり、本発明によれば、自動検出によりネットワークに存在する構成要素を把握することと、そのうちの一部の構成要素のみを監視対象として現在の状態を把握することとを、ネットワーク管理者にとって使い勝手がよいインターフェースで、関係づけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係るネットワーク管理サーバ10及びGUI(Graphical User Interface)20の内部構成例を示す図である。ネットワーク管理サーバ20は、管理すべきネットワーク30に接続されている。本図では、ネットワーク管理サーバ10とGUI20を別の装置として記載しており、一つのネットワーク管理サーバ10を、複数のGUI20(リモートコンソール、又は、ネットワーク30経由でネットワーク管理サーバ10にアクセスできるコンピュータ)から利用できるよう、構成可能である。勿論、GUI20をネットワーク管理サーバ10に組み込んで実装してもかまわない。ネットワーク30は、多数のノード、隣接するノード間を接続するリンク、複数のリンクをスイッチングで接続することにより1つ以上のノードを経由して隣接しないノード間の高速転送を実現するラベルスイッチパス(以下、「LSP」という)等の構成要素を含んでいる。LSPは、MPLS(Multi Protocol Label Switching)と呼ばれる標準化された技術により、実現されるものである。
【0030】
ネットワーク管理サーバ10は、ネットワーク30に接続され、ネットワークから情報を取得する情報収集部12と、情報を蓄積できるデータベース等の情報蓄積部18と、情報収集部12で収集された情報と情報蓄積部18に蓄積された情報とを比較する差分判断部14と、GUI20からの信号を受けて、情報収集部12で収集された情報のうちの一部を情報蓄積部18に登録する情報登録部16とを備える。ネットワーク管理サーバ10は、一般的には、上記各部の機能を実現するためのソフトウェアプログラムを、十分なストレージ容量とプログラム実行性能を有するコンピュータにインストールすることにより実装されるが、上記の機能の一部を専用ハードウェア化して実装してもかまわない。
【0031】
GUI20は、情報登録部16に登録すべき情報を示す信号を送信したり、情報収集部12に情報を収集すべき範囲について特定するための信号を送信したりするユーザ入力部22と、ネットワーク管理サーバ10から提示される情報を表示する情報表示部24とを備える。GUI20は、一般的には、ディスプレイと、キーボードやマウスと、ネットワーク管理サーバ10との接続機能により実装される。
【0032】
ネットワーク管理サーバ10は、それ自身が監視サーバとして動作するようにも構成でき、その場合は、監視部40を備える。監視部40は、情報蓄積部18に登録されているノード、リンク、LSP等のネットワーク構成要素について、選択的に、現在の状態(例えば、障害の有無又は程度、通信品質、トラフィック量、等)を監視する。すなわち、監視部40は、例えば、情報蓄積部18に登録されている構成要素を対象として、現在の状態を調べるポーリングを行ったり、構成要素で発生した状態変化を通知されたとき、情報蓄積部18に登録されている構成要素についての通知であれば表示したりする。
【0033】
ポーリングは、監視部40が、登録されている構成要素に対して、情報収集部12からSNMP要求を送り、その応答を情報収集部12経由で受けることにより実装でき、監視部40は、ポーリングの結果判明したネットワーク30の現在の状態を、情報表示部24に表示する。監視部40は、また、各構成要素において重要なイベントが発生したときに情報収集部12へ送信されるSNMPトラップ(通知)を受けると、登録されていない構成要素のイベントであれば、記録だけを行い、登録されている構成要素のイベントであれば、情報表示部24に表示する。情報表示部24における表示は、ネットワークトポロジーのマップ表示を利用してもよい。また、情報収集部12によるポーリングは、SNMPのほかに、CLI(Command Line Interface)、XML(eXtensible Markup Language)等によっても実装でき、イベントドリブンの情報受信は、SNMPトラップ以外に、syslogやOSPFやBGPなどのプロトコル監視等によっても実装できる。
【0034】
ネットワーク管理サーバ10を、監視サーバとは別に設ける場合は、例えば、監視サーバが、情報蓄積部18と、監視部40とを備えるようにし、ネットワーク管理サーバ10は、差分判断部14が、監視サーバの情報蓄積部18を参照し、情報登録部16が、監視サーバの情報蓄積部18に書き込むようにする。また、上記の例では、監視サーバが、ネットワーク管理サーバ10と、情報収集部12を共有できるようにしているが、ネットワーク管理サーバ10の情報収集部12は、自動検出に必要な情報収集機能(後述する)を有するようにし、監視サーバには、別途、ネットワーク30に接続する通信部を設けて、この通信部が、監視に必要な情報収集機能(上述したポーリングやトラップ(通知)機能等)を有するようにして、機能分担してもよい。
【0035】
ネットワーク管理サーバ10の情報収集部12は、監視部40による監視に先立って、自動検出(「Auto Discovery」ともいう)を行うが、このために、ネットワーク上のノードが管理し、記憶している情報を取得するための機能を備えている。ノードに相当し得るものとしては、例えば、ルータ、ゲートウェイ、ホスト、ターミナルサーバ、イーサネットスイッチ等のネットワーク機器がある。このような情報取得は、例えば、情報収集部12がSNMPマネージャとなり、各ノードがSNMPエージェントを搭載し、マネージャが送信するSNMP要求に応答して、エージェントが、自身が搭載されているノードに保持されている管理情報(後述するノード情報、リンク情報、LSP情報等)を返送することにより、実現できる。SNMP以外にも、telnet等で実装することも可能である。
【0036】
監視の場合は、監視を開始する前に、対象となる構成要素が特定されているため、SNMP要求を送信すべき宛先が予め全て定まっているが、自動検出においては、検出を開始する前には、どのような構成要素が存在するか分かっているとは限らない。このため、例えば、存在の分かっている一つのノードに対してSNMP要求を送り、返送されてきた応答から、隣接するノードの情報を得て、これにより特定されるノードへ次のSNMP要求を送るというように、波及的に、情報を収集して回る方法がある。あるいは、OSPF(Open Shortest Path First)やIS−IS(Intermediate System-to-Intermediate System)のように、トポロジー情報がまとめて管理されるルーティングプロトコルが動作しているネットワークであれば、まず、このルーティング情報を取得して、そこに記載されているノード群に対してSNMP要求を送るという方法もある。
【0037】
リンクやLSPについても、まず、自動検出すべき範囲内のノードの全てから、リンク情報やLSP情報を、波及的に、収集して回る方法がある。他の方法として、OSPFやIS−ISのルーティング情報に示されているリンクについて、該当するノードにリンク情報を要求することもできる。なお、OSPFやIS−ISは、AS(Autonomous System)と呼ばれる、共通のポリシーや同じ管理下で運用されているネットワークの内部でしか動作せず、AS間のルーティングは、例えばBGP(Border Gateway Protocol)により実現されることになるが、このBGPセッションの情報やBGPの経路情報を取得して、ノードやリンクの自動検出に利用することも可能である。また、LSPは、LSPの始点ノードと終点ノードとの間で、あるいは、始点から終点までの経路上の隣接ルータ間で、RSVP(Resource reSerVation Protocol)あるいはLDP(Label Distribution Protocol)等のメッセージが交換されることにより、設定されるため、これらのメッセージの情報を取得して、LSPの自動検出に利用することも可能である。また、自動検出によるノードの検出が完了していれば、検出されたノード群に対し、SNMPやtelnet等を用いて、これらのノードが有するリンクやLSPの情報を取得することができる。
【0038】
情報収集部12は、GUI20のユーザ入力部22により指定された(図1中、(1)の矢印)範囲のノードに問い合わせて、ノード情報、リンク情報、LSP情報等を取得するが、ここで取得された情報のうち、GUI20のユーザ入力部22により選択された(図1中、(3)の矢印)ノード、リンク、LSP等の情報だけが、情報登録部16により、情報蓄積部18に登録される。そして、登録されたノード、リンク、LSP等だけが、監視部40による監視対象となり、監視により得られた情報も、情報蓄積部18に蓄積される。情報蓄積部18に蓄積された情報の内容を情報表示部24に表示すると、例えば図2〜4に示すようになる。
【0039】
図2の例では、ノード情報は、ノード名、ノードの機器情報(ソフトウェアバージョン等)、ノードが有するポートの情報(イーサネット等の種類やIPアドレス等)、ベンダー名、SNMP要求が正当なマネージャからのものであることを示すためのコミュニティ名、その他コメント等を含む。これらは、自動検出のときに登録される情報であり、監視により得られた情報によって書き換えられることもある。また、監視により得られる障害状態の情報も記録されており、障害の程度を緑、黄、赤で表すとともに、詳細表示のためのボタンがクリックされると、イベントリストや、最終状態確認時刻、最終障害発生時刻等が表示されるようにしてもよい。最終状態確認時刻は、例えば、自動検出した情報を登録した時刻となる。その後に監視により情報が得られれば、その情報を記録した時刻としてもよい。これにより、情報蓄積部18の情報がいつの時点のものかをユーザが知ることができるから、無駄な自動検出を実行してしまうことを避けることが可能になる。
【0040】
図3の例では、リンク情報は、リンク名、接続する隣接ノードのそれぞれのポート情報(IPアドレス、インターフェイス名、インターフェイス種別等を含む)、その他コメント等を含む。これらは、自動検出のときに登録される情報であり、監視により得られた情報によって書き換えられることもある。また、監視により得られる障害状態の情報も記録されており、ノード情報の場合と同様に表示されるようにしてもよい。リンクの場合、監視により、そのリンクを流れるトラフィックの量を得ることも可能なため、時々刻々変化するトラフィック量を、履歴付きで表示することもできる。
【0041】
図4の例では、LSP情報は、LSPの始点ノード及び終点ノードのノード名とIPアドレス、LSP名、LSPに付与されるトンネルID、LSPが経由するノード群からなる経路情報、LSPに割り当てられた帯域、設定/保持すべきLSPが複数あるが十分なリソースがないような場合にこのLSPを設定/保持するプライオリティ、LSPの種類(通常はプライマリLSPが使用されるが、故障時にはバックアップLSPに切り換えられるという運用がされる場合の、プライマリかバックアップか等)、LSPの使用状況(アクティブかスタンバイか等)、同一グループ(始点及び終点が同一のLSPを複数設定した場合)の他のLSPの情報、その他コメント等を含む。これらは、自動検出のときに登録される情報であり、監視により得られた情報によって書き換えられることもある。また、監視により得られる障害状態の情報も記録されており、ノード情報の場合と同様に表示されるようにしてもよい。LSPの場合、監視により、そのLSPを流れるトラフィックの量を得ることも可能なため、時々刻々変化するトラフィック量を、履歴付きで表示することもできる。
【0042】
情報蓄積部18に蓄積されている情報は、例えば図5に示されるようなデータベース形式になっている。図5では、項目種別と項目識別子ごとに情報が記録されている。項目種別は、この例では、ノード、リンク、LSPであるが、他の種別の情報を記録してもよい。図5では、一つの種別に一つの構成要素しか挙げていないが、実際の情報蓄積部18には、一つの種別に多数の構成要素の情報が蓄積される。項目識別子は、後述する差分判断部14での処理において、構成要素の同一性を判断するために用いられる。項目識別子に対応して記録される情報は、図2〜4に示したようなものである。なお、ここでは、情報蓄積部18を、ネットワーク管理サーバ10が備える例を説明したが、上述したように、別に設けられた監視サーバが備えるのでもよいし、さらに別のデータベースサーバが情報蓄積部18を備え、ネットワーク管理サーバ10(や監視サーバ)がそのデータベースサーバと通信することにより情報蓄積部18を利用するのでもよい。
【0043】
差分判断部14は、情報蓄積部18に登録されている情報と情報収集部12から受け取った情報を比較する。同一の構成要素であるかは、ノードの場合は、例えばノードID(例えばIPアドレス)を比較して、判断する。リンクの場合は、例えば両端のIPアドレスの組、あるいは、ノードID及びポート番号を比較して、判断する。LSPの場合は、例えば、ノードIDとLSP名の組、又は、ノードIDとトンネルIDの組等を比較して、判断する。
【0044】
差分判断部14は、情報収集部12から情報を受け取った構成要素と同一の構成要素が情報蓄積部18にない場合は、新規登録対象としてGUI20の情報表示部24に通知し、情報蓄積部18にある構成要素の情報を情報収集部12から受け取っていない場合は、削除対象としてGUI20の情報表示部24に通知し、情報蓄積部18にある構成要素と同一の構成要素の情報を情報収集部から受け取っている場合は、更新対象としてGUI20の情報表示部24に通知する(図1中、(2)の矢印)。
【0045】
ユーザ(ネットワーク管理者)は、上記のように情報表示部24に表示された情報の内容を見て、新規登録対象として通知された構成要素を情報蓄積部18に登録するか否か、削除対象として通知された構成要素を情報蓄積部18から削除するか否か、更新対象として通知された構成要素の情報を情報蓄積部18に上書きするか否かを決め、この選択結果を情報登録部16へ伝えることになる。
【0046】
図6〜15には、自動検出を開始してからユーザの選択を経て情報蓄積部18への情報の登録(新規登録、削除、更新)が完了するまでのGUI画面の遷移の一例が示され、図16には、この間のネットワーク管理サーバ10の動作の流れが説明してある。
【0047】
図16のフローチャートに従い、ネットワーク管理サーバ10は、まず、ユーザに、図6のGUI画面から、自動検出の対象とする種別(ノード、リンク、LSPのうち一つ以上)を指示させる(ダイアログ(1))。ここでは、3つの種別を示したが、この他に、例えば、上述したOSPF、IS−IS、BGP、LDP等のセッションの情報や経路情報等、様々な情報を検出対象種別として選べるようにしてもよい。また、自動検出をする際には全ての種別の構成要素を検出対象とするという運用をする場合、ダイアログ(1)の画面は表示しなくてもよい。
【0048】
ノードのみ、リンクのみ、あるいはLSPのみを指示した場合は、それぞれ、ダイアログ(3−1)〜(3−3)、ダイアログ(4−1)〜(4−3)、あるいはダイアログ(5−1)〜(5−3)のみが実行される。ノードとリンクを指示した場合は、ダイアログ(3−1)〜(3−3)の次にダイアログ(4−1)〜(4−3)が実行され、リンクとLSPを指示した場合は、ダイアログ(4−1)〜(4−3)の次にダイアログ(5−1)〜(5−3)が実行され、ノードとLSPを指示した場合は、ダイアログ(3−1)〜(3−3)の次にダイアログ(5−1)〜(5−3)が実行され、ノードとリンクとLSPを全て指示した場合は、ダイアログ(3−1)〜(3−3)、ダイアログ(4−1)〜(4−3)、ダイアログ(5−1)〜(5−3)の順番で実行される。
【0049】
ネットワーク管理サーバ10は、OSPF(又はIS−IS)が動作している環境であれば、次に、ユーザに、GUI画面から、自動検出を実行するOSPFエリアを指定させてもよい(ダイアログ(2))。そうすると、OSPFのルーティング情報から、自動検出の対象となるノード群が特定できる。
【0050】
ネットワーク管理サーバ10は、次に、自動検出の対象種別としてノードが選択されていれば、ユーザに、図7のGUI画面から、自動検出の対象となるノードを指定させる(ダイアログ(3−1);図1中の矢印(1)に対応)。ここで、「全てのノードを検出する」を選択すると、ダイアログ(2)で指定したOSPFエリア内の全てのノードが、指定される(ダイアログ(2)でOSPFエリアの指定をしていなければ、ネットワーク全域のノードが指定される)。「指定したノードのみを検出する」を選択すると、個々のノードを指定するためのリスト設定画面が有効になり、例えば、ノードIDを入力又は選択することにより、所望のノードを自動検出の対象として指定できる。また、自動検出の対象から除外するノードを設定するという指定の方法も可能になっている。
【0051】
上記のように指定を完了し、ユーザが「次へ」ボタンをクリックすると、ネットワーク管理サーバ10は、指定されたノードを対象に、自動検出を実行し、これが完了すると、図8のGUI画面を表示する(ダイアログ(3−2);図1中の矢印(2)に対応)。この表示をするため、ネットワーク管理サーバ10では、情報収集部12がノードから収集したノード情報を、差分判断部に14に渡し、差分判断部14が、情報蓄積部18の情報と情報収集部12からの情報とを比較して、新規追加が可能なノード、情報の更新が可能なノード、削除が可能なノードに分類する。ユーザは、このように分類されて表示されたノードの情報を見て、情報蓄積部18に登録するものと登録しないものを区別する。
【0052】
図8の画面では、分類したノードのリストが、例えばノード名で表示され、ノード名をダブルクリックすると、情報収集部12で得られたそのノードの情報の詳細が表示されるようになっているため、ユーザは、各ノードの詳細な情報を知った上で、情報蓄積部18に監視対象として登録すべきか否かを判断できる。新規追加が可能なノードのリスト中、ユーザが登録すべきと判断したノードについては、「追加」のチェックボックスをクリックし、情報の更新が可能なノードのリスト中、ユーザが登録すべきと判断したノードについては、「更新」のチェックボックスをクリックし(チェックされなかったノードは、古い情報のまま情報蓄積部18に登録されつづけることにしてもよいし、情報蓄積部18から削除されることにしてもよい)、削除が可能なノードのリスト中、ユーザが登録を止めるべきと判断したノードについては、「削除」のチェックボックスをクリックする(チェックされなかったノードは、情報蓄積部18に登録されつづけることになる)。
【0053】
ここで、同じドメインに属するノード群には、ノード名に同じ下位suffixが付くが、多数のノードに同じ下位suffixが付いた状態で表示されると、ユーザが区別しにくいため、これを削除することができるような設定欄を用意してもよい。また、図8の画面とともに、現在情報蓄積部18に登録されているノードをネットワークトポロジーマップとして表現した画面も合わせて表示し、図8の画面で更新又は削除可能なノードとしてリストアップされたノード名がクリックされると、マップ上でそのノードを強調表示するようにして、登録すべきか否かのユーザの判断をさらに助けるようにしてもよい。
【0054】
また、自動検出の際にエラーが発生した場合は、エラーメッセージや、どのノードについてのエラーかが表示されるため、ユーザは、これらを見てエラーの原因を取り除いた後、「再検出を実行」ボタンを押すことにより、再自動検出が行なえる。
【0055】
上記のように追加、更新、削除の選択を完了し、ユーザが「次へ」ボタンをクリックすると(ダイアログ(3−3);図1中の矢印(3)に対応)、ネットワーク管理サーバ10では、追加又は更新として選択されたノードの情報が、差分判断部14(又は情報収集部12)から情報登録部16に渡され、情報蓄積部18に登録されるとともに、削除として選択されたノードの情報を、情報登録部16が情報蓄積部18から消去する。そして、図9に示すGUI画面が、登録が完了(又はエラー発生)したことを示す画面として表示される。
【0056】
図6で選んだ種別がノードだけであれば、図9の画面の下部には「終了」ボタンが表示され、自動検出の処理は終了する。図6でノードに加えてリンク又はLSPを選んでいれば、図9の画面の下部には「次へ」ボタンが表示される(リンク又はLSPを選んだが途中で中止したくなった場合のために「キャンセル」ボタンも表示される)。図6で選んだ種別にリンクが含まれていれば、「次へ」ボタンをクリックすると、図10のGUI画面が表示される。
【0057】
ネットワーク管理サーバ10は、ユーザに、図10のGUI画面から、自動検出の対象となるリンクを指定させる(ダイアログ(4−1);図1中の矢印(1)に対応)。ここで、「全てのリンクを検出する」を選択すると、情報蓄積部18に登録されたノードに接続するリンクが、全て指定される。これにより、監視が必要な可能性のあるリンクに限定して自動検出を行なうことができるようになる。「OSPFエリアに含まれるリンクのみを検出する」を選択すると、ダイアログ(2)で指定したOSPFエリア内の全てのリンクが、指定される。「指定したノード間のリンクのみを検出する」を選択すると、個々のノードを指定するためのリスト設定画面が有効になり、例えば、ノードIDを入力又は選択することにより、所望のノード間のリンクを自動検出の対象として指定できる。さらに、同じノード間に複数のリンクがある場合に、その一部を指定できるように、個々のリンクを指定するためのリスト設定画面を用意してもよい。
【0058】
また、自動検出の対象から除外するリンクを設定するという指定の方法も可能になっている。リンクの除外は、除外するノードをユーザに指定させ、そのノードに接続するリンクを除外することによっても、除外するリンクのprefixやネットマスクをユーザに指定させることによっても、実現できる。後者の指定方法は、同じノード群の間に管理用のネットワークとエンドユーザ用のネットワークが形成されており、その一方(通常はエンドユーザ用)のネットワークのリンクだけを自動検出や監視の対象とする場合等に、有用である。
【0059】
上記のように指定を完了し、ユーザが「次へ」ボタンをクリックすると、ネットワーク管理サーバ10は、指定されたリンクを対象に、自動検出を実行し、これが完了すると、図11のGUI画面を表示する(ダイアログ(4−2);図1中の矢印(2)に対応)。この表示をするため、ネットワーク管理サーバ10では、情報収集部12がノードから収集したリンク情報を、差分判断部に14に渡し、差分判断部14が、情報蓄積部18の情報と情報収集部12からの情報とを比較して、新規追加が可能なリンク、情報の更新が可能なリンク、削除が可能なリンクに分類する。ユーザは、このように分類されて表示されたリンクの情報を見て、情報蓄積部18に登録するものと登録しないものを区別する。
【0060】
図11の画面では、分類したリンクのリストが、例えばリンク識別子で表示され、リンク識別子をダブルクリックすると、情報収集部12で得られたそのリンクの情報の詳細が表示されるようになっているため、ユーザは、各リンクの詳細な情報を知った上で、情報蓄積部18に監視対象として登録すべきか否かを判断して、「追加」、「更新」、又は「削除」のチェックボックスをクリックすることができる。また、図11の画面とともに、現在情報蓄積部18に登録されているリンクをネットワークトポロジーマップとして表現した画面も合わせて表示し、図11の画面で更新又は削除可能なリンクとしてリストアップされたリンク識別子がクリックされると、マップ上でそのリンクを強調表示するようにして、登録すべきか否かのユーザの判断をさらに助けるようにしてもよい。
【0061】
また、自動検出の際にエラーが発生した場合は、エラーメッセージや、どのノードについてのエラーかが表示されるため、ユーザは、これらを見て、エラーの原因を取り除いた後、あるいはエラーの原因を取り除くために、「再検出を実行」ボタンを押すことにより、再自動検出が行なえる。例えば、図10の画面で「OSPFエリアに含まれるリンクを検出する」を選択した結果、自動検出されたリンクが、情報蓄積部18に登録されていないノードに接続するリンクであった場合は、図11で、エラーが表示され、ユーザは、「再検出を実行」することにより、必要なノードの自動検出と情報蓄積部18への情報登録をした上で、そのリンクを登録することできる。
【0062】
上記のように追加、更新、削除の選択を完了し、ユーザが「次へ」ボタンをクリックすると(ダイアログ(4−3);図1中の矢印(3)に対応)、ネットワーク管理サーバ10では、追加又は更新として選択されたリンクの情報が、差分判断部14(又は情報収集部12)から情報登録部16に渡され、情報蓄積部18に登録されるとともに、削除として選択されたリンクの情報を、情報登録部16が情報蓄積部18から消去する。そして、図12に示すGUI画面が、登録が完了(又はエラー発生)したことを示す画面として表示される。
【0063】
図6で選んだ種別がリンクだけ、又は、リンクとノードだけであれば、図12の画面の下部には「終了」ボタンが表示され、自動検出の処理は終了する。図6でさらにLSPを選んでいれば、図12の画面の下部には「次へ」ボタンが表示される(LSPを選んだが途中で中止したくなった場合のために「キャンセル」ボタンも表示される)。「次へ」ボタンをクリックすると、図13のGUI画面が表示される。
【0064】
ネットワーク管理サーバ10は、ユーザに、図13のGUI画面から、自動検出の対象となるLSPを指定させる(ダイアログ(5−1);図1中の矢印(1)に対応)。ここで、「全てのRSVP−LSPを検出する」を選択すると、情報蓄積部18に登録されたノードに設定された(例えば、登録されたノードを始点とする)RSVP−LSPが、全て指定される。これにより、監視が必要な可能性のあるLSPに限定して自動検出を行なうことができるようになる。「指定したノードを始点とするRSVP−LSPのみを検出する」を選択すると、個々のノードを指定するためのリスト設定画面が有効になり、例えば、ノードIDを入力又は選択することにより、所望のノードを始点とするRSVP−LSPを自動検出の対象として指定できる。なお、この例では、RSVP−LSPを対象としているが、LDP−LSPを対象とすることも勿論可能である。
【0065】
また、自動検出の対象から除外するLSPを設定するという指定の方法も可能になっている。LSPの除外は、除外するノードをユーザに指定させ、そのノードを始点とするLSPを除外することによっても、除外するリンクのprefixやネットマスクをユーザに指定させ、そのリンクを経由するLSPを除外することによっても、実現できる。
【0066】
上記のように指定を完了し、ユーザが「次へ」ボタンをクリックすると、ネットワーク管理サーバ10は、指定されたLSPを対象に、自動検出を実行し、これが完了すると、図14のGUI画面を表示する(ダイアログ(5−2);図1中の矢印(2)に対応)。指定されたLSPの自動検出は、図13の画面でのユーザの指定により特定されるノードに対してSNMP要求等を送信し、そのノードが管理するLSP情報を取得することにより行われる。そして、図14の画面の表示をするため、ネットワーク管理サーバ10では、情報収集部12がノードから収集したLSP情報を、差分判断部に14に渡し、差分判断部14が、情報蓄積部18の情報と情報収集部12からの情報とを比較して、新規追加が可能なLSP、情報の更新が可能なLSP、削除が可能なLSPに分類する。ユーザは、このように分類されて表示されたLSPの情報を見て、情報蓄積部18に登録するものと登録しないものを区別する。
【0067】
図14の画面では、分類したLSPのリストが、例えばLSP名で表示され、LSP名をダブルクリックすると、情報収集部12で得られたそのLSPの情報の詳細が表示されるようになっているため、ユーザは、各LSPの詳細な情報を知った上で、情報蓄積部18に監視対象として登録すべきか否かを判断して、「追加」、「更新」、又は「削除」のチェックボックスをクリックすることができる。また、図14の画面とともに、現在情報蓄積部18に登録されているLSPをネットワークトポロジーマップ上に描いた画面も合わせて表示し、図14の画面で更新又は削除可能なLSPとしてリストアップされたLSP名がクリックされると、マップ上でそのLSPを強調表示するようにして、登録すべきか否かのユーザの判断をさらに助けるようにしてもよい。
【0068】
また、自動検出の際にエラーが発生した場合は、エラーメッセージや、どのノードについてのエラーかが表示されるため、ユーザは、これらを見て、エラーの原因を取り除いた後、あるいはエラーの原因を取り除くために、「再検出を実行」ボタンを押すことにより、再自動検出が行なえる。例えば、図13の画面で「指定されたノードを始点とするRSVP−LSPを検出する」を選択した結果、自動検出されたLSPが、情報蓄積部18に登録されていないノードやリンクを経由するLSPであった場合は、図14で、エラーが表示され、ユーザは、「再検出を実行」することにより、必要なノードやリンクの自動検出と情報蓄積部18への情報登録をした上で、そのLSPを登録することできる。
【0069】
上記のように追加、更新、削除の選択を完了し、ユーザが「次へ」ボタンをクリックすると(ダイアログ(5−3);図1中の矢印(3)に対応)、ネットワーク管理サーバ10では、追加又は更新として選択されたLSPの情報が、差分判断部14(又は情報収集部12)から情報登録部16に渡され、情報蓄積部18に登録されるとともに、削除として選択されたLSPの情報を、情報登録部16が情報蓄積部18から消去する。そして、図15に示すGUI画面が、登録が完了(又はエラー発生)したことを示す画面として表示され、ここに表示される「終了」ボタンをクリックして、自動検出の処理が終了する。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の実施形態を本発明の範囲内で当業者が種々に変形、応用して実施できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明を利用することにより、例えば、ネットワーク管理者は、ネットワークトポロジーの自動検出と、ネットワークの状態監視とを、ネットワークにかける負荷を低減しつつ、きめ細かに対象を指定、選択しながら、十分な情報を得た上で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係るネットワーク管理サーバ10及びGUI20の内部構成例を示す図。
【図2】情報蓄積部18に登録されたノード情報を情報表示部24に表示した画面例を示す図。
【図3】情報蓄積部18に登録されたリンク情報を情報表示部24に表示した画面例を示す図。
【図4】情報蓄積部18に登録されたLSP情報を情報表示部24に表示した画面例を示す図。
【図5】ノード情報、リンク情報、及びLSP情報が情報蓄積部18に記憶される形式の例を示す図。
【図6】ユーザに検出対象の種別を指示させるための画面例を示す図。
【図7】ユーザに検出対象のノードを指定させるための画面例を示す図。
【図8】ノードの検出結果を表示し、ユーザに登録対象を選択させるための画面例を示す図。
【図9】ノードの登録結果を表示する画面例を示す図。
【図10】ユーザに検出対象のリンクを指定させるための画面例を示す図。
【図11】リンクの検出結果を表示し、ユーザに登録対象を選択させるための画面例を示す図。
【図12】リンクの登録結果を表示する画面例を示す図。
【図13】ユーザに検出対象のLSPを指定させるための画面例を示す図。
【図14】LSPの検出結果を表示し、ユーザに登録対象を選択させるための画面例を示す図。
【図15】LSPの登録結果を表示する画面例を示す図。
【図16】ネットワーク管理サーバ10における処理の流れの例を示す図。
【符号の説明】
【0073】
10 ネットワーク管理サーバ
12 情報収集部
14 差分判断部
16 情報登録部
18 情報蓄積部
20 GUI
22 ユーザ入力部
24 情報表示部
30 ネットワーク
40 監視部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークの構成要素の情報を収集する収集手段と、
前記収集手段により収集された情報を画面に表示させる表示手段と、
前記表示手段により情報が表示された構成要素のうち、監視対象とする構成要素を、ユーザに選択させる選択手段と、
前記選択手段を介してユーザが選択した構成要素を、監視対象として登録する登録手段と、
前記収集手段は、前記登録手段に登録しなかった構成要素を含めて情報を収集するものであり、前記表示手段により、前記登録手段に登録された構成要素の情報と前記収集手段により収集された情報との比較結果を表示させる制御手段とを備えたことを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項2】
前記登録手段に登録された構成要素に関し、現在の状態を問合せて、ネットワーク管理のためのデータを取得し、ユーザに提示する監視手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理装置。
【請求項3】
ネットワークから状態の変化を示すイベントの通知を受信した場合、前記登録手段に登録された構成要素に関する通知を、それ以外の構成要素に関する通知とは区別して、ユーザに提示する監視手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記収集手段により収集された情報が、前記登録手段に登録された構成要素以外の構成要素の情報であれば、新規追加可能な構成要素として表示させ、前記収集手段により収集された情報が、前記登録手段に登録された構成要素についての情報であれば、情報更新可能な構成要素として表示させ、前記収集手段により収集された情報に、前記登録手段に登録された構成要素の情報が含まれていなければ、削除可能な構成要素として表示させるものであることを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理装置。
【請求項5】
前記収集手段による情報収集の対象となる構成要素を、ユーザに指定させる指定手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理装置。
【請求項6】
前記登録手段は、各構成要素の情報を登録の日時とともに登録するものであり、
前記指定手段は、前記登録手段に登録された構成要素を登録の日時とともにユーザに提示し、ユーザの前記指定を支援する手段を含むことを特徴とする請求項5記載のネットワーク管理装置。
【請求項7】
ネットワークの構成要素は、ノード、リンク、又はラベルスイッチパスであり、いずれの種類の構成要素の情報を前記収集手段に収集させるかを、ユーザに指示させる指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理装置。
【請求項8】
ネットワークは構成要素としてノードとリンクを含み、前記収集手段により情報が収集されるべき構成要素がリンクである場合、前記登録手段に登録されたノードに接続するリンクを前記収集手段による情報収集の対象とすることを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理装置。
【請求項9】
ネットワークは構成要素としてノードとリンクを含み、前記制御手段は、前記収集手段により情報が収集された構成要素がリンクであって、前記登録手段に登録されたノードに接続するリンクでなかった場合、エラーを表示させることを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理装置。
【請求項10】
ネットワークは構成要素としてノードとリンクとラベルスイッチパスを含み、前記収集手段により情報が収集されるべき構成要素がラベルスイッチパスである場合、前記登録手段に登録されたノードに設定されたラベルスイッチパスを前記収集手段による情報収集の対象とすることを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理装置。
【請求項11】
ネットワークは構成要素としてノードとリンクとラベルスイッチパスを含み、前記制御手段は、前記収集手段により情報が収集された構成要素がラベルスイッチパスであって、前記登録手段に登録されたノードに設定され前記登録手段に登録されたリンクを利用するラベルスイッチパスでなかった場合、エラーを表示させることを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理装置。
【請求項12】
ネットワークの構成要素の情報を収集し、
収集された前記情報を画面に表示し、
前記画面に情報が表示された構成要素のうち、監視対象とする構成要素を、ユーザに選択させ、
ユーザが選択した構成要素を、監視対象としてサーバに登録し、
前記サーバに登録しなかった構成要素を含めてネットワークの構成要素の情報を収集し、
収集された前記情報を、前記サーバに登録された構成要素の情報との比較結果を含めて、画面に表示し、
前記画面に比較結果を含めて情報が表示された構成要素のうち、監視対象とする構成要素を、ユーザに選択させ、
ユーザが選択した構成要素を、監視対象としてサーバに登録することを特徴とするネットワーク管理方法。
【請求項13】
ネットワークの構成要素の情報を収集するための第1のプログラムコードと、
収集された前記情報を画面に表示させるための第2のプログラムコードと、
前記画面に情報が表示された構成要素のうち、監視対象とする構成要素を、ユーザに選択させるための第3のプログラムコードと、
ユーザが選択した構成要素を、監視対象としてサーバに登録するための第4のプログラムコードと、
前記第1のプログラムコードは、前記サーバに登録しなかった構成要素を含めて情報を収集するものであり、前記第2のプログラムコードに、収集された前記情報を、前記サーバに登録された構成要素の情報との比較結果を含めて、表示させるための第5のプログラムコードとを含むことを特徴とするネットワーク管理プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のネットワーク管理プログラムを記録した記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−209440(P2006−209440A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20234(P2005−20234)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(502456574)株式会社 インテック・ネットコア (15)
【Fターム(参考)】