説明

ネットワーク装置およびネットワーク装置の制御方法

【課題】リンクアグリゲーションを構成する複数の出力リンクを介してデータを出力するシステムにおいて、1つの出力リンクに障害が発生すると、記憶部に一時的に記憶されていた入力データが破棄されてしまう。
【解決手段】入力したデータを、リンクアグリゲーションを構成する複数の出力リンクを介して出力するネットワーク装置は、入力したデータを一時的に記憶するメモリアレイ0(153−0)およびメモリアレイ1(153−1)と、メモリアレイ0に記憶されているデータを読み出して、第1の出力リンクを介して出力し、メモリアレイ1に記憶されているデータを読み出して、第2の出力リンクを介して出力する出力制御部152とを備える。出力制御部152は、第1の出力リンクで障害が発生した場合に、メモリアレイ1に記憶されているデータだけでなく、メモリアレイ0に記憶されているデータも読み出して、第2の出力リンクを介して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冗長化されたネットワークにおいて、障害が発生した場合のデータ出力技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術の発達により、通信回線を介した様々なサービスが広く社会に浸透した現在において、安定した通信サービスの提供は必要不可欠なものとなっている。ネットワークの信頼性を高めるために、機器や回線を冗長構成とし、障害が発生した場合に、障害部位を切り離し、通信経路を切り替えることによって、通信サービスを継続させる技術が知られている。
【0003】
ネットワーク装置を冗長化する方法として、現用系と予備系の回線または装置を用意して、現用系の回線に障害が発生した場合に、予備系の回線に切替える方法がある。この方法では、未使用の装置や回線を設ける必要があるため、資源活用の観点からは効率が悪い。
【0004】
ネットワーク装置(スイッチ)における回線、伝送路の冗長化技術の一つとして、リンクアグリゲーションが挙げられる。リンクアグリゲーションは、複数の物理回線を1本の論理回線に見せる技術であり、論理回線宛のフレームを特定のルールに基づいて、対応する複数の物理ポートのうちのいずれかに振り分ける機能である。リンクアグリゲーションを構成するいずれかの物理回線に障害が発生した場合、他の正常な回線で通信を続行する。リンクアグリゲーションを用いることにより、回線の冗長化および帯域の増強が可能であり、IEEE802.1adで規定されている。
【0005】
近年、サーバのハードウェアを仮想化し、1台のサーバ上で、複数の仮想サーバや仮想スイッチを設定する技術が確立したことや、ハードウェアの性能の進化によって、仮想化の環境が急速に広まっている。この仮想環境では、見かけは1台のサーバでも、多数の仮想サーバが動作しているので、もし1台のサーバに障害が発生すると、その影響の及ぶ範囲が広がる可能性がある。したがって、仮想環境では、冗長化をはじめとした耐障害性をより高める必要があり、信頼性の高いネットワーク装置が求められている。
【0006】
特許文献1には、リンクアグリゲーションと、現用系および予備系を設定する方法を組み合わせて冗長化を実現し、信頼性を向上させる方法が開示されている。
【0007】
特許文献2には、リンクアグリゲーションされた通信経路を構成するリンクの構成変化に起因する通信路の不通時間を低減する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−349764号公報
【特許文献2】特開2006−135723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、回線が冗長化されたネットワーク装置(例えばスイッチ)において、障害発生時には、障害部位を切り離して経路の切り替えを行うが、その際、障害部位の送信バッファに溜まったデータは破棄されてしまう。特許文献1および特許文献2には、障害発生時に、送信バッファに溜まったデータを救済する方法についての開示はなかった。
【0010】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、リンクアグリゲーションを構成する複数の出力リンクを介してデータを出力するネットワーク装置において、1つの出力リンクに障害が発生した場合でも、データを出力することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、入力したデータを、リンクアグリゲーションを構成する複数の出力リンクを介して出力するネットワーク装置において、前記入力したデータを一時的に記憶する第1の記憶部と、前記入力したデータを一時的に記憶する第2の記憶部と、前記第1の記憶部に記憶されているデータを読み出して、第1の出力リンクを介して出力し、前記第2の記憶部に記憶されているデータを読み出して、第2の出力リンクを介して出力する出力制御部と、を備え、前記出力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第2の記憶部に記憶されているデータだけでなく、前記第1の記憶部に記憶されているデータも読み出して、前記第2の出力リンクを介して出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の代表的な実施の形態によれば、リンクアグリゲーションを構成する複数の出力リンクを介してデータを出力するネットワーク装置において、1つの出力リンクに障害が発生した場合でも、データを破棄することなく出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるネットワーク装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態におけるネットワーク装置の送信バッファの構成を示す図である。
【図3】送信バッファ内のメモリアレイ内のデータの一例を示す図である。
【図4】経路切替え処理テーブルの一例を示す図である。
【図5】障害が発生した場合のバッファ制御部の動作を示すフローチャートである。
【図6】障害が発生した場合のデータ処理部の動作を示すフローチャートである。
【図7】障害が発生した場合の入力制御部の動作を示すフローチャートである。
【図8】障害が発生した場合の出力制御部の動作を示すフローチャートである。
【図9】障害が発生した場合の状態監視部、バッファ制御部、データ処理部、入力制御部、出力制御部の各動作の関係を示すシーケンス図である。
【図10】第2の実施形態におけるネットワーク装置を備える物理サーバの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。尚、以下に説明する実施の形態は一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態におけるネットワーク装置の構成を示す図である。本実施形態では、回線で障害が発生した場合に、経路の切替えを行うネットワーク装置(スイッチ)100の例について説明する。
【0016】
ネットワーク装置100は、状態監視部110、バッファ制御部120、データ処理部130、受信バッファ140、送信バッファ150、メモリ160、ポート170−a、ポート170−b、ポート170−0、ポート170−1を備える。
【0017】
ネットワーク装置100は、ネットワークB(200−B)から、ポートPa(170−a)、ポートPb(170−b)を介してデータを受信し、ポートP0(170−0)、ポートP1(170−1)から、ネットワークA(200−A)へデータを出力する。ポートP0(170−0)およびポートP1(170−1)は、リンクアグリゲーションで1本の回線に論理的に束ねられており、ポートPa(170−a)、ポートPb(170−b)を介して入力されたデータは、データ処理部130で振分けをされて送信される。
【0018】
なお、ネットワークA(200−A)とネットワークB(200−B)は、同じネットワークであってもよい。
【0019】
詳細は後述するが、状態監視部110は、各ポート170−i(i=a、b、0、1)の状態を監視しており、リンクの切断等の障害を検出すると、バッファ制御部120およびデータ処理部130に、どのポートで障害が発生したかを示す情報とともに、障害の発生を通知する。通知を受けたバッファ制御部120およびデータ処理部130は、メモリ160内にある経路切替え処理テーブル161の情報に従って、経路切替えの処理を行う。経路切替え処理テーブル161の詳細については後述する。
【0020】
ここで、ポートP0(170−0)は、出力リンクである回線0(210−0)に接続されており、ポートP1(170−1)は、出力リンクである回線1(210−1)に接続されている。回線0(210−0)および回線1(210−1)によって、リンクアグリゲーションが構成されている。状態監視部110は、例えば、ポートP0(170−0)を監視することにより、回線0(210−0)の障害を検出し、ポートP1(170−1)を監視することにより、回線1(210−1)の障害を検出する。
【0021】
図2は、第1の実施形態におけるネットワーク装置100の送信バッファ150の構成を示す図である。送信バッファ150は、入力制御部151−0、151−1と、出力制御部152−0、152−1と、メモリアレイ153−0、153−1とを備える。ここでは、入力制御部151−0、151−1をまとめて、入力制御部151とも呼ぶ。出力制御部152−0、152−1、メモリアレイ153−0、153−1、ポート170−0、170−1についても同様である。すなわち、入力制御部151、出力制御部152、および、メモリアレイ153は、それぞれポート170ごとに設けられている。
【0022】
図3は、送信バッファ150内のメモリアレイ153−0、153−1内のデータの一例を示す図である。メモリアレイ153−0、153−1に格納される情報には、アドレス3−1、送信データの内容3−2、および、書込み済フラグ3−3が含まれる。
【0023】
メモリアレイ153−0、153−1はそれぞれ、データを書込んだ順に読出すファーストインファーストアウト方式のメモリである。図3に示す例では、メモリアレイ153−0、153−1はそれぞれ、アドレス0〜15を備え、アドレス15まで読出し、または書込みが行われると、アドレス0にもどるリング構造となっている。各アドレス3−1には、送信データの内容3−2と、そのアドレスにデータが書込まれているか否かを示す書込み済フラグ3−3の情報が書込まれる。書込み済フラグ3−3は、「1」の場合にデータが書込み済みであることを示し、「0」の場合にデータが書込まれていないことを示す。前述したように、メモリアレイ153は、ポート170ごとに設けられる。
【0024】
図4は、経路切替え処理テーブル161の一例を示す図である。経路切替え処理テーブル161には、回線状態(4−1)に応じた、入力制御部0の処理内容(4−2)、入力制御部1の処理内容(4−3)、出力制御部0の処理内容(4−4)、出力制御部1の処理内容(4−5)、およびデータ処理部出力先(4−6)がそれぞれ定義されている。
【0025】
本例では、回線状態(4−1)は、「正常」「回線0障害」「回線1障害」「回線0,1障害」の4つの状態を有する。「正常」は、障害を検出していない状態、「回線0障害」は、回線0(210−0)の障害発生を検出した状態、「回線1障害」は、回線1(210−1)の障害発生を検出した状態、「回線0,1障害」は、回線0(210−0)と回線1(210−1)の両方の障害発生を検出した状態をそれぞれ表している。
【0026】
入力制御部0の処理内容(4−2)、入力制御部1の処理内容(4−3)としては、「メモリアレイ0書込み」、「メモリアレイ1書込み」、「メモリアレイ0,1書込み」、「停止」の状態がある。「メモリアレイ0書込み」、「メモリアレイ1書込み」は、ポート170ごとに元々あるメモリアレイにデータを書込む処理を示し、「メモリアレイ0,1書込み」は、メモリアレイ0とメモリアレイ1をつなげて、一つのメモリアレイとみなして、データを書込む処理を示す。この処理の詳細については後述する。「停止」は、データの書込み処理を停止することを示す。
【0027】
出力制御部0の処理内容(4−4)、出力制御部1の処理内容(4−5)としては、「メモリアレイ0読出し」、「メモリアレイ1読出し」、「メモリアレイ0,1読出し」、「停止」の状態がある。「メモリアレイ0読出し」、「メモリアレイ1読出し」は、ポート170ごとに元々あるメモリアレイからデータを読出す処理を示し、「メモリアレイ0,1読出し」は、メモリアレイ0と1をつなげて、一つのメモリアレイとしみなして、データを読出す処理を示す。この処理の詳細についても後述する。「停止」は、データの読出し処理を停止することを示す。
【0028】
データ処理部出力先(4−6)には、「入力制御部0」、「入力制御部1」、「入力制御部0,1」、「停止」の状態がある。「入力制御部0,1」は、「入力制御部0」および「入力制御部1」の双方に出力できることを示し、「停止」は出力を停止することを示す。なお、各項目4−2〜4−6の初期値は、回線状態(4−1)が正常時のものとする。
【0029】
ここで、障害が発生していない通常時のデータ処理の流れについて説明する。通常時には、送信バッファ150内の各ブロックは、ポート170ごとに独立して動作する。以下では、ポートP0(170−0)に着目して説明するが、ポートP1(170−1)についても同様である。
【0030】
データ処理部130から、リンク180−0を介して、入力制御部0(151−0)にデータが出力される。入力制御部0(151−0)は、メモリアレイ0(153−0)の現在示されているアドレス(3−1)(初期値0)に対応する送信データの内容部(3−2)に送信データを書込み、書込み済フラグ部(3−3)に1を書込み、アドレスを1進める。次に、出力制御部0(152−0)は、メモリアレイ0(153−0)のデータのうち、現在示されているアドレス(3−1)(初期値0)に対応する書込み済フラグ3−3が1のデータを順に読込む。データを読出した後は、書込み済フラグ3−3に0を書込み、アドレスを1つ進める。出力制御部0が読み出したデータは、ポートP0から出力される。
【0031】
図5〜図8は、出力リンクの障害が発生した場合のスイッチの経路切替え動作を示すフローチャートである。図9は、障害が発生した場合の状態監視部110、バッファ制御部120、データ処理部130、入力制御部151、出力制御部152の各動作の関係を示すシーケンス図である。
【0032】
図9において、出力リンクの障害を検出した状態監視部110は、バッファ制御部120およびデータ処理部130に障害を通知する(S50、S60)。障害通知を受けたバッファ制御部120は、処理A(S5)を実施し、入力制御部151と出力制御部152に動作指示を行う(S70、S80)。処理Aの詳細については、図5に示すフローチャートを用いて後述する。
【0033】
状態監視部110から障害通知を受けたデータ処理部130は、処理B(S6)を実施する。処理Bの詳細については、図6に示すフローチャートを用いて後述する。
【0034】
バッファ制御部120からの動作指示に基づいて、入力制御部151は処理C(S7)を実施し、出力制御部152は、処理D(S8)を実施する。処理Cの詳細については、図7に示すフローチャートを用いて、また、処理Dの詳細については、図8に示すフローチャートを用いて後述する。
【0035】
以下では、出力リンクである回線0(210−0)と回線1(210−1)のうち、回線0(210−0)で障害が発生した場合の動作について、図5〜図8を参照しながら説明する。
【0036】
図5は、障害が発生した場合のバッファ制御部120の動作を示すフローチャートである。状態監視部110から障害通知を受けたバッファ制御部120は、メモリ160内の経路切替え処理テーブル161を参照する(S51)。
【0037】
続いて、バッファ制御部120は、図4に示す経路切替え処理テーブル161に従って、入力制御部0(151−0)には、メモリアレイ0,1への書込みを指示し、入力制御部1(151−1)には動作停止を指示し、出力制御部0(152−0)には動作停止を指示し、出力制御部1(152−1)には、メモリアレイ0,1の読出しを指示する(S52)。
【0038】
図6は、障害が発生した場合のデータ処理部130の動作を示すフローチャートである。状態監視部110から障害通知を受けたデータ処理部130は、メモリ160内の経路切替え処理テーブル161を参照する(S61)。
【0039】
続いて、データ処理部130は、図4に示す経路切替え処理テーブル161のデータ処理部出力先(4−6)に従って、データの出力先を決定する。回線0(210−0)で障害が発生した場合には、データの出力先が入力制御部0(151−0)であるので、入力制御部0(151−0)にデータを出力する(S62)。
【0040】
図7は、障害が発生した場合の入力制御部151の動作を示すフローチャートである。バッファ制御部120からの動作指示を受けた入力制御部151は、バッファ制御部120からの動作指示が停止指示か否かを判定する(S71)。回線0で障害が発生した場合、経路切替え処理テーブル161を参照すると、バッファ制御部120から入力制御部1(151−1)へは、停止指示が出され、入力制御部0(151−0)へは、メモリアレイ0,1の書込み指示が出される。
【0041】
従って、入力制御部1(151−1)は、停止指示に基づいて、動作を停止する(S72)。また、入力制御部0(151−0)は、バッファ制御部120からの動作指示に基づいて、メモリアレイ0,1への書込みを行う。具体的には、メモリアレイ0,1へのデータ書き込み時に、メモリアレイ0(153−0)のアドレス0からアドレス15まで、また、メモリアレイ0(153−0)のアドレス15の次は、メモリアレイ1(153−1)のアドレス0に移行してアドレス15まで、さらに、メモリアレイ1(153−1)のアドレス15の次は、メモリアレイ0(153−0)のアドレス0に移行するように、ポインタを設定する(S73)。このように設定することによって、メモリアレイ0(153−0)とメモリアレイ1(153−1)とをまとめて一つのメモリアレイとみなすことができるので、メモリアレイの容量を倍にすることができる。
【0042】
障害が発生していない正常時と同様に、入力制御部0(151−0)は、メモリアレイ0(153−0)の現在示されているアドレス(3−1)に対応する送信データの内容部(3−2)に送信データを書込み、書込み済フラグ部(3−3)には、データが書込み済みであることを示す「1」を書込んで、アドレスを1つ進める。
【0043】
図8は、障害が発生した場合の出力制御部152の動作を示すフローチャートである。バッファ制御部120からの動作指示を受けた出力制御部152は、バッファ制御部120からの動作指示が停止指示か否かを判定する(S81)。回線0(210−0)で障害が発生した場合、経路切替え処理テーブル161を参照すると、バッファ制御部120から出力制御部0(152−0)へは、停止指示が出され、出力制御部1(152−1)へは、メモリアレイ0,1の読出し指示が出される。
【0044】
出力制御部0(152−0)は、停止指示を受けると、最後に読出したメモリアレイ0(153−0)のアドレスを他方の出力制御部1(152−1)に通知し(S82)、動作を停止する(S83)。
【0045】
出力制御部1(152−1)は、同一ブロック内のメモリアレイ1(153−1)のデータを全て読出す(S84)。続いて、出力制御部1(152−1)は、他方のメモリアレイ0(153−0)において、出力制御部0(152−0)から通知(S82)を受けたアドレスの次のアドレスから、データの読出しを始める(S85)。読み出されたデータは、ポートP1(170−1)から出力される。
【0046】
出力制御部1(152−1)は、データを読出す際に、メモリアレイ0(153−0)のアドレス15の次は、メモリアレイ1(153−1)のアドレス0に移行してアドレス15まで、メモリアレイ1(153−1)のアドレス15の次は、メモリアレイ0(153−0)のアドレス0に移行するように、ポインタを設定する(S86)。このように設定することによって、メモリアレイ0(153−0)とメモリアレイ1(153−1)とをまとめて一つのメモリアレイとみなすことができるので、メモリアレイの容量を倍にすることができる。また、単純に経路を切替えたときには破棄されてしまうメモリアレイ内のデータを救済することができる。
【0047】
以上、第1の実施形態におけるネットワーク装置は、リンクアグリゲーションを構成する複数の出力リンクを介して、入力されたデータを出力するネットワーク装置であって、第1の記憶部(メモリアレイ0)に記憶されているデータを読み出して、第1の出力リンク(210−0)を介して出力し、第2の記憶部(メモリアレイ1)に記憶されているデータを読み出して、第2の出力リンク(210−1)を介して出力する。このようなネットワーク装置において、第1の出力リンク(210−0)で障害が発生した場合に、第2の記憶部(メモリアレイ1)に記憶されているデータだけでなく、第1の記憶部(メモリアレイ0)に記憶されているデータも読み出して、第2の出力リンク(210−1)を介して出力する。これにより、リンクアグリゲーションを構成する複数の出力リンクのうちの1つの出力リンクに障害が発生した場合でも、内部で一時的に記憶していたデータを出力することができる。
【0048】
特に、第1の記憶部(メモリアレイ0)および第2の記憶部(メモリアレイ1)は、ファーストインファーストアウト方式の記憶部であって、第1の出力リンクで障害が発生した場合に、第2の記憶部に記憶されているデータを全て読み出すとともに、第1の記憶部に記憶されているデータのうち、最後に読み出されたデータの次のデータから順に読み出しを開始して、第1の記憶部に記憶されているデータを全て読み出し、読み出したデータを第2の出力リンクを介して順に出力する。これにより、第1の記憶部および第2の記憶部がファーストインファーストアウト方式の記憶部であって、1つの出力リンクに障害が発生した場合でも、入力されたデータを全て出力することができる。
【0049】
また、第1の実施形態におけるネットワーク装置によれば、第1の記憶部(メモリアレイ0)に記憶されているデータを読み出して、第1の出力リンクを介して出力する第1の出力制御部(出力制御部0)と、第2の記憶部(メモリアレイ1)に記憶されているデータを読み出して、第2の出力リンクを介して出力する第2の出力制御部(出力制御部1)とを有する。第1の出力制御部は、第1の出力リンクで障害が発生した場合に、第1の出力リンクを介したデータの出力を停止し、第2の出力制御部は、第1の出力リンクで障害が発生した場合に、第2の記憶部に記憶されているデータを全て読み出すとともに、第1の記憶部に記憶されているデータのうち、最後に読み出されたデータの次のデータから順に読み出しを開始して、第1の記憶部に記憶されているデータを全て読み出し、読み出したデータを第2の出力リンクを介して順に出力する。これにより、障害が発生した第1の出力リンクを介したデータの出力を確実に停止するとともに、障害の発生していない第2の出力リンクを介して、入力されたデータを出力することができる。
【0050】
さらに、第1の実施形態におけるネットワーク装置によれば、第1の入力リンクを介して入力されたデータを第1の記憶部(メモリアレイ0)に記憶させる第1の入力制御部(入力制御部0)と、第2の入力リンクを介して入力されたデータを第2の記憶部(メモリアレイ1)に記憶させる第2の入力制御部(入力制御部1)とをさらに備える。第1の入力制御部は、第1の出力リンクで障害が発生した場合に、第1の入力リンクを介して入力されたデータを第1の記憶部および第2の記憶部に記憶させ、第2の入力制御部は、第1の出力リンクで障害が発生した場合に、第2の入力リンクを介して入力されるデータを第2の記憶部に記憶させる処理を停止する。これにより、第1の出力リンクで障害が発生した場合に、第1の入力リンクを介して入力されたデータは、第1の記憶部および第2の記憶部に一時的に記憶された後、第2の出力リンクを介して出力することができる。
【0051】
また、第1の実施形態におけるネットワーク装置によれば、障害発生後に使用されなくなる記憶部を有効活用して、記憶部の容量を増やすことができるので、障害によって帯域の下がったネットワークのデータ廃棄を緩和することができる。その際に、冗長な予備ポートを使用せずに、資源を有効活用して信頼性を向上させることができる。
【0052】
<第2の実施形態>
本発明によるネットワーク装置を仮想ネットワークに適用した第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態におけるネットワーク装置(仮想スイッチ)320を備える物理サーバ300の構成を示す図である。物理サーバ300は、仮想サーバA(310−A)、仮想サーバB(310−B)、仮想スイッチ320、および、NIC(Network Interface Card)330を備える。NIC330は、NIC−0(330−0)およびNIC−1(330−1)を備える冗長構成とし、仮想スイッチ320からのデータをネットワークA(200−A)に出力する。
【0053】
ネットワーク装置(仮想スイッチ)320は、第1の実施形態におけるネットワーク装置(スイッチ)100と同一の構成とすることができる。すなわち、ネットワーク装置(仮想スイッチ)320は、第1の実施形態におけるネットワーク装置(スイッチ)100と同様の動作を行うので、ここでは詳しい説明は省略する。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。例えば、上述した実施形態では、データを出力する出力リンクを2本として説明したが、3本以上備える構成であってもよい。
【0055】
メモリアレイに一時的に記憶されているデータの出力を制御する出力制御部は、出力制御部152−0と出力制御部152−1の二つが存在するものとして説明したが、一つとしてもよい。同様に、入力制御部も入力制御部151−0と入力制御部151−1の二つが存在するものとして説明したが、一つとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 ネットワーク装置
110 状態監視部
120 バッファ制御部
130 データ処理部
140 受信バッファ
150 送信バッファ
151−0 入力制御部0
151−1 入力制御部1
152−0 出力制御部0
152−1 出力制御部1
153−0 メモリアレイ0
153−1 メモリアレイ1
300 物理サーバ
310−A 仮想サーバA
310−B 仮想サーバB
320 仮想スイッチ
330−0 NIC0
330−1 NIC1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力したデータを、リンクアグリゲーションを構成する複数の出力リンクを介して出力するネットワーク装置において、
前記入力したデータを一時的に記憶する第1の記憶部と、
前記入力したデータを一時的に記憶する第2の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶されているデータを読み出して、第1の出力リンクを介して出力し、前記第2の記憶部に記憶されているデータを読み出して、第2の出力リンクを介して出力する出力制御部と、
を備え、
前記出力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第2の記憶部に記憶されているデータだけでなく、前記第1の記憶部に記憶されているデータも読み出して、前記第2の出力リンクを介して出力する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
前記第1の記憶部および前記第2の記憶部は、ファーストインファーストアウト方式の記憶部であって、
前記出力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第2の記憶部に記憶されているデータを全て読み出し、前記第1の記憶部に記憶されているデータのうち、最後に読み出されたデータの次のデータから順に読み出し、前記読み出されたデータを前記第2の出力リンクを介して順に出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記第1の記憶部に記憶されているデータを読み出して、前記第1の出力リンクを介して出力する第1の出力制御部と、前記第2の記憶部に記憶されているデータを読み出して、前記第2の出力リンクを介して出力する第2の出力制御部とを有し、
前記第1の出力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第1の出力リンクを介したデータの出力を停止し、
前記第2の出力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第2の記憶部に記憶されているデータを全て読み出し、前記第1の記憶部に記憶されているデータのうち、最後に読み出されたデータの次のデータから順に読み出し、前記読み出されたデータを前記第2の出力リンクを介して順に出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載のネットワーク装置。
【請求項4】
第1の入力リンクを介して入力されたデータを前記第1の記憶部に記憶させる第1の入力制御部と、
第2の入力リンクを介して入力されたデータを前記第2の記憶部に記憶させる第2の入力制御部と、
をさらに備え、
前記第1の入力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第1の入力リンクを介して入力されたデータを前記第1の記憶部および前記第2の記憶部に記憶させ、
前記第2の入力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第2の入力リンクを介して入力されるデータを前記第2の記憶部に記憶させる処理を停止する、
ことを特徴とする請求項3に記載のネットワーク装置。
【請求項5】
前記第1の出力リンクまたは前記第2の出力リンクで障害が発生した場合における前記第1の出力制御部、前記第2の出力制御部、前記第1の入力制御部、および前記第2の入力制御部の動作内容を記憶する処理記憶部をさらに備え、
前記第1の出力制御部、前記第2の出力制御部、前記第1の入力制御部、および前記第2の入力制御部はそれぞれ、前記第1の出力リンクまたは前記第2の出力リンクで障害が発生した場合に、前記処理記憶部に記憶されている動作内容に基づいて動作する、
ことを特徴とする請求項4に記載のネットワーク装置。
【請求項6】
前記ネットワーク装置は、物理サーバ上の仮想スイッチである、
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項7】
入力したデータを、第1の記憶部および第2の記憶部のうちの少なくとも一方に一時的に記憶してから、リンクアグリゲーションを構成する複数の出力リンクを介して出力するネットワーク装置のデータ出力方法において、
前記ネットワーク装置は、
前記複数の出力リンクのうちの第1の出力リンクおよび第2の出力リンクのいずれにも障害が発生していない場合には、前記第1の記憶部に記憶されているデータを読み出して、前記第1の出力リンクを介して出力し、前記第2の記憶部に記憶されているデータを読み出して、第2の出力リンクを介して出力し、
前記第1の出力リンクで障害が発生した場合には、前記第2の記憶部に記憶されているデータだけでなく、前記第1の記憶部に記憶されているデータも読み出して、前記第2の出力リンクを介して出力する、
ことを特徴とするネットワーク装置の制御方法。
【請求項8】
前記第1の記憶部および前記第2の記憶部は、ファーストインファーストアウト方式の記憶部であって、
前記ネットワーク装置は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第2の記憶部に記憶されているデータを全て読み出し、前記第1の記憶部に記憶されているデータのうち、最後に読み出されたデータの次のデータから順に読み出し、前記読み出されたデータを前記第2の出力リンクを介して順に出力する、
ことを特徴とする請求項7に記載のネットワーク装置の制御方法。
【請求項9】
前記ネットワーク装置は、前記第1の記憶部に記憶されているデータを読み出して、前記第1の出力リンクを介して出力する第1の出力制御部と、前記第2の記憶部に記憶されているデータを読み出して、前記第2の出力リンクを介して出力する第2の出力制御部とを有し、
前記第1の出力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第1の出力リンクを介したデータの出力を停止し、
前記第2の出力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第2の記憶部に記憶されているデータを全て読み出し、前記第1の記憶部に記憶されているデータのうち、最後に読み出されたデータの次のデータから順に読み出し、前記読み出されたデータを前記第2の出力リンクを介して順に出力する、
ことを特徴とする請求項8に記載のネットワーク装置の制御方法。
【請求項10】
前記ネットワーク装置は、第1の入力リンクを介して入力されたデータを前記第1の記憶部に記憶させる第1の入力制御部と、第2の入力リンクを介して入力されたデータを前記第2の記憶部に記憶させる第2の入力制御部とをさらに有し、
前記第1の入力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第1の入力リンクを介して入力されたデータを前記第1の記憶部および前記第2の記憶部に記憶させ、
前記第2の入力制御部は、前記第1の出力リンクで障害が発生した場合に、前記第2の入力リンクを介して入力されるデータを前記第2の記憶部に記憶させる処理を停止する、
ことを特徴とする請求項9に記載のネットワーク装置の制御方法。
【請求項11】
前記ネットワーク装置は、前記第1の出力リンクまたは前記第2の出力リンクで障害が発生した場合における前記第1の出力制御部、前記第2の出力制御部、前記第1の入力制御部、および前記第2の入力制御部の動作内容を記憶する処理記憶部をさらに有し、
前記第1の出力制御部、前記第2の出力制御部、前記第1の入力制御部、および前記第2の入力制御部はそれぞれ、前記第1の出力リンクまたは前記第2の出力リンクで障害が発生した場合に、前記処理記憶部に記憶されている動作内容に基づいて動作する、
ことを特徴とする請求項10に記載のネットワーク装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−257067(P2012−257067A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128877(P2011−128877)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】