説明

ネットワーク複合機

【課題】 プリンタをより効率的に活用でき、印刷速度をより高速化することが可能なネットワーク複合機を提供する。
【解決手段】 プリンタ2は、プリンタ・コントローラ11と、MFP本体側コントローラ10と、プリンタ・エンジン12とを備える。プリンタ・コントローラ11は、PDLデータをラスターデータに展開する展開部11Aと、プリンタ・エンジン12が使用可能か否かを判定する判定部11Bと、プリンタ・エンジン12が使用可能な場合にラスターデータをプリンタ・エンジン12に出力する出力部11Cと、使用不能なときにラスターデータを符号化して符号化データを生成する符号化部11Dとを有する。MFP本体側コントローラ10は、符号化データを記憶する記憶部10Aと、プリンタ・エンジン12が使用可能状態になったときに、記憶されている符号化データをラスターデータに復号してプリンタ・エンジン12に出力する復号部10Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ機能を有するネットワーク複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク通信技術の進展及びネットワーク環境の普及に伴い、ネットワーク対応されたプリンタ、コピー、スキャナ、及びファクシミリ等を備えたネットワーク複合機(MFP:Multi Functional Peripheral)が広く用いられるようになっている。付加機能であるプリンタ機能を有するMFPでは、外部からの印刷データを受け取って描画データを生成したり、印刷機構であるプリンタ・エンジンを制御するコントローラが、プリンタ・コントローラと、MFP本体側のコントローラとに分離された構成となっているものがある。
【0003】
このような構成が採用されたマルチ・ファンクション・プリンタが特許文献1に開示されている。このマルチ・ファンクション・プリンタでは、外部のパーソナルコンピュータから出力された、ページ記述言語(PDL)で記述された印刷データ(以下「PDLデータ」ともいう)が、ネットワークを介して入力された場合、まず、マルチ・ファンクション・プリンタ本体側のコントローラで、PDLデータがラスターデータに展開されるとともに、展開されたラスターデータから専用圧縮画像データが生成される。マルチ・ファンクション・プリンタ側のコントローラで生成された専用圧縮画像データは、通信線でシングル・ファンクション・プリンタ側のコントローラに送信され、ラスターデータに展開される。そして、シングル・ファンクション・プリンタ側のコントローラで展開されたラスターデータがプリンタ・エンジンに出力され、用紙に印刷される。
【特許文献1】特開2006−173730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したマルチ・ファンクション・プリンタでは、PDLデータがラスターデータに展開され、該ラスターデータから専用圧縮画像データが生成され、さらに、この専用圧縮画像データがラスターデータに復号されてプリンタ・エンジンに出力される。そのため、ラスターデータに展開するラスタライズ処理、及び専用圧縮画像データを生成する圧縮符号化処理を高速で実行する必要がある。これらのラスタライズ処理及び圧縮符号化処理の実行速度が遅いと、プリンタ・エンジン、すなわちプリンタの性能を十分に発揮できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、プリンタをより効率的に活用でき、印刷速度をより高速化することが可能なネットワーク複合機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るネットワーク複合機は、ページ記述言語で記述された印刷データをラスターデータに展開する展開手段と、プリンタ・エンジンが使用可能か否かを判定する判定手段と、判定手段によりプリンタ・エンジンが使用可能であると判定された場合に、展開手段により展開されたラスターデータをプリンタ・エンジンに出力する出力手段と、判定手段によりプリンタ・エンジンが使用不能であると判定された場合に、展開手段により展開されたラスターデータを符号化して符号化データを生成する符号化手段と、符号化手段により生成された符号化データを記憶する記憶手段と、記憶手段により記憶された符号化データをラスターデータに復号してプリンタ・エンジンに出力する復号手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るネットワーク複合機によれば、プリンタ・エンジンが使用可能であると判定された場合、すなわち、プリンタ・エンジンが他の用途、例えば、コピーやファクシミリ等に使用されていない場合には、印刷データから展開されたラスターデータがプリンタ・エンジンに直接出力される。そのため、処理負荷を軽減し、処理速度を向上させることができる。一方、プリンタ・エンジンが他の用途で使用されている場合には、ラスターデータが符号化されて符号化データが生成されるとともに、該符号化データが一時的に記憶手段に記憶される。そのため、プリンタ・エンジン資源(リソース)に対して複数の描画データが競合することを調停することができる。以上の結果、プリンタをより効率的に活用でき、印刷速度をより高速化することが可能となる。
【0008】
本発明に係るネットワーク複合機では、プリンタ・エンジンが使用不能状態から使用可能状態になったときに、復号手段が、記憶手段に記憶されている符号化データをラスターデータに復号してプリンタ・エンジンに出力することが好ましい。
【0009】
この場合、プリンタ・エンジンが使用不能状態から使用可能状態になったときに、記憶されている符号化データがラスターデータに復号されてプリンタ・エンジンに出力される。そのため、プリンタ・エンジン資源に対して複数の描画データが競合することを調停しつつ、プリンタ・エンジン資源(リソース)、すなわちプリンタをより効率的に活用することが可能となる。なお、上記展開手段、判定手段、出力手段、符号化手段と、上記記憶手段、復号手段とは分離して設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プリンタ・エンジンが使用可能であると判定された場合には、印刷データから展開したラスターデータをプリンタ・エンジンに直接出力する構成としたので、プリンタをより効率的に活用でき、印刷速度をより高速化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0012】
まず、図1、2を用いて、実施形態に係るネットワーク複合機1の全体構成、及び、ネットワーク複合機1を構成するプリンタ2の構成について説明する。図1は、ネットワーク複合機1の全体構成を示すブロック図である。また、図2は、ネットワーク複合機1を構成するプリンタ2の構成を示すブロック図である。
【0013】
ネットワーク複合機1は、ネットワーク対応されたプリンタ機能に加えて、コピー、スキャナ、FAX、及びIFAX機能を有するものである。これらの各機能を実現するためにネットワーク複合機1は、プリンタ2、操作部13、表示部14、読取部15、コーデック16、画像記憶部17、モデム18、NCU19、IFAX制御部20、Webサーバ21、及び、LANインターフェース22等を備えている。なお、各部は通信線23で相互に通信可能に接続されている。
【0014】
プリンタ2は、電子写真方式のプリンタであり、例えば、LAN51を介して接続されているパーソナルコンピュータ30等から入力されるPDLデータを用紙に印刷する。また、プリンタ2は、読取部15により読み取られた画像データ、及び、ファクシミリで受信された画像データ等を用紙に印刷する。そのため、プリンタ2は、プリンタ・コントローラ11、制御部(以下「MFP本体側コントローラ」ともいう)10、及び、プリンタ・エンジン12を備えている。
【0015】
ここで、図2に示されるように、プリンタ・コントローラ11とプリンタ・エンジン12とは、プリンタ・エンジン12の状態、すなわち使用可能/使用不能状態を伝達するとともに、プリンタ・エンジン12資源(リソース)の確保/開放を制御するための制御チャンネル24、及び、ラスターデータ等を伝達するバス25を介して接続されている。また、プリンタ・コントローラ11とMFP本体側コントローラ10とは、符号化データ等を伝達するバス26を介して接続されている。さらに、MFP本体側コントローラ10とプリンタ・エンジン12とは、プリンタ・エンジン12の使用可能/使用不能状態を伝達するとともに、プリンタ・エンジン12資源の確保/開放を制御するための制御チャンネル27、及び、ラスターデータ等を伝達するバス28を介して接続されている。
【0016】
プリンタ・コントローラ11は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM等により構成されている。プリンタ・コントローラ11は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、プリンタ・コントローラ機能、すなわち、外部からPDLデータを受け取ってラスターデータ等を生成したり、プリンタ・エンジン12を制御する機能を実現する。そのため、プリンタ・コントローラ11は、展開部11A、判定部11B、出力部11C、及び符号化部(エンコーダ)11Dを機能的に備えている。
【0017】
展開部11Aは、入力されたPDLデータをラスターデータに展開する。すなわち、展開部11Aは、特許請求の範囲に記載の展開手段として機能する。なお、展開されたラスターデータは、出力部11Cに出力される。判定部11Bは、制御チャンネル24の状態に基づいて、プリンタ・エンジン12が使用可能であるか否かを判定する。すなわち、判定部11Bは、特許請求の範囲に記載の判定手段として機能する。なお、判定結果は、出力部11C、及び符号化部11Dに出力される。
【0018】
出力部11Cは、プリンタ・エンジン12が使用可能であると判定された場合に、制御チャンネル24を通してプリンタ・エンジン12の資源を確保するとともに、展開部11Aで展開されたラスターデータを、バス25を介して、プリンタ・エンジン12に出力する。すなわち、出力部11Cは、特許請求の範囲に記載の出力手段として機能する。符号化部11Dは、プリンタ・エンジン12が使用不能であると判定された場合に、展開部11Aで展開されたラスターデータを符号化圧縮して、符号化データを生成する。なお、符号化圧縮する方法は公知の方法を用いることができる。すなわち、符号化部11Dは、特許請求の範囲に記載の符号化手段として機能する。なお、生成された符号化データは、バス26を介して、MFP本体側コントローラ10に出力される。
【0019】
制御部(MFP本体側コントローラ)10は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM等により構成されている。MFP本体側コントローラ10は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、MFP本体側のプリンタ・コントローラ機能、すなわち、プリンタ・コントローラ11から符号化データを受信して記憶するとともに、記憶されている符号化データからラスターデータを復号する機能、及びプリンタ・エンジン12を制御する機能を実現する。そのため、MFP本体側コントローラ10は、記憶部(メモリ)10A、及び復号部(デコーダ)10Bを有している。
【0020】
記憶部10Aは、プリンタ・エンジン12が使用不能である場合に、プリンタ・コントローラ11から受信された符号化データを一時的に記憶する。すなわち、記憶部10Aは、特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。復号部10Bは、制御チャンネル27の状態に基づいて、プリンタ・エンジン12が使用不能状態から使用可能状態になったと判定されたときに、制御チャンネル27を通してプリンタ・エンジン12の資源を確保するとともに、記憶部10Aに記憶されている符号化データをラスターデータに復号し、バス28を介して、プリンタ・エンジン12に出力する。すなわち、復号部10Bは、特許請求の範囲に記載の復号手段として機能する。また、制御部(MFP本体側コントローラ)10は、後述するネットワーク複合機1を構成する各部の機能を実現するとともに、ネットワーク複合機1を構成するハードウェアを統合的に制御する。
【0021】
プリンタ・エンジン12は、印刷を行う印刷機構である。プリンタ・エンジン12は、プリンタ・コントローラ11又はMFP本体側コントローラ10によって制御され、プリンタ・コントローラ11又はMFP本体側コントローラ10から入力されるラスターデータを用紙に印刷する。より詳細には、プリンタ・エンジン12は、給紙、ドラムへの帯電、レーザの照射、トナーの塗布、用紙への転写、定着等の印刷工程を実行し、ラスターデータの印刷を行う。
【0022】
図1に戻って説明を続けると、操作部13は、ネットワーク複合機1の各機能を利用するために用いられる複数のキー、例えば、テンキー、短縮キー、スタートキー、ストップキー、及び各種のファンクションキー等を備えている。表示部14は、LCD等を用いた表示装置であり、ネットワーク複合機1の動作状態及び/又は各種設定内容等を表示する。
【0023】
読取部15は、光源及びCCD等によって構成されており、紙文書等の原稿を設定された副走査線密度に応じてライン毎に読み取り、画像データを生成する。コーデック16は、読取部15で読み取られた画像データを符号化圧縮(以下、単に「符号化」という)するとともに符号化されている画像データを復号する。画像記憶部17は、DRAM等で構成されており、コーデック16で符号化された画像データ、及びファクシミリ受信された画像データ等を記憶する。
【0024】
モデム(変復調器)18は、ディジタル信号とアナログ信号との間の変復調を行う。また、モデム18は、ディジタル命令信号(DCS)等の各種機能情報の発生及び検出を行う。NCU(Network Control Unit)19は、モデム18と接続されており、モデム18と公衆交換電話網(PSTN)50との接続を制御する。また、NCU19は、送信先のファクシミリ番号に対応した呼出信号の送出、及びその着信を検出する機能を備えている。
【0025】
IFAX制御部20は、読み取った送信原稿をTIFF形式等の画像データとして電子メールに添付し、メールアドレス(SMTPサーバ)宛てに送信するとともに、設定された時間毎にPOPサーバから電子メールを受信してプリントアウトするインターネットFAX(IFAX)機能を司る。
【0026】
Webサーバ21は、例えばHTMLで記述されたホームページ、ログインページ、及びファクシミリ操作ページ等のデータに対して、クライアント端末からアクセスして所定のHTTPタスクを実行することを可能にする。LANインターフェース22は、例えば、パーソナルコンピュータ30が接続されたLAN51に接続され、パーソナルコンピュータ30からのPDLデータ等をLAN51を介して受信するとともに、LAN51に対して信号やデータを送信する。
【0027】
次に、図3及び図4を併せて参照しつつ、ネットワーク複合機1を構成するプリンタ2の動作について説明する。図3は、プリンタ・コントローラ11による印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図4は、MFP本体側コントローラ10による印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
まず、図3を参照しつつ、プリンタ・コントローラ11による印刷処理について説明する。この印刷処理は、プリンタ・コントローラ11にPDLデータが入力されたタイミングで起動され、実行される。
【0029】
ステップS100では、例えば、外部のパーソナルコンピュータ等から送信されたPDLデータが受信される。続くステップS102では、ステップS100で受信されたPDLデータがラスターデータに展開(ラスタライズ)される。
【0030】
次に、ステップS104では、制御チャンネル24の状態に基づいて、プリンタ・エンジン12が使用中であるか否か、すなわち使用可能であるか否かの判断が行われる。ここで、プリンタ・エンジン12が使用されていない場合、すなわちプリンタ・エンジン12が使用可能な場合には、ステップS106に処理が移行する。一方、プリンタ・エンジン12が、例えばコピーやファクシミリ等で使用されているとき、すなわちプリンタ・エンジン12が使用不能なときにはステップS112に処理が移行する。
【0031】
プリンタ・エンジン12が使用可能な場合、ステップS106では、制御チャンネル24を通して、プリンタ・エンジン12の資源(リソース)が確保される。続いて、ステップS108では、ステップS102で展開されたラスターデータが、バス25を介して、プリンタ・エンジン12に送信され、印刷される。そして、ラスターデータの出力が終了した後、ステップS110において、プリンタ・エンジン12の資源(リソース)が開放される。その後、本処理から一旦抜ける。
【0032】
一方、ステップS104において、プリンタ・エンジン12が使用不能であると判断された場合、ステップS112では、ステップS102で展開されたラスターデータが符号化圧縮され、符号化データが生成される。そして、続くステップS114において、ステップS112で生成された符号化データが、バス26を介して、MFP本体側コントローラ10に送信される。その後、本処理から一旦抜ける。
【0033】
次に、図4を参照しつつ、MFP本体側コントローラ10による印刷処理について説明する。この印刷処理は、MFP本体側コントローラ10により所定のタイミングで起動されて実行される。
【0034】
ステップS200では、制御チャンネル27の状態に基づいて、プリンタ・エンジン12資源(リソース)の開放要求があるか否かについての判断が行われる。ここで、プリンタ・エンジン12資源の開放要求がある場合には、ステップS202において、制御チャンネル27が、プリンタ・エンジン12が使用中ではない状態、すなわち使用可能状態に設定(クリア)される。その後、ステップS204に処理が移行する。一方、プリンタ・エンジン12資源の開放要求がないときには、そのままステップS204に処理が移行する。
【0035】
ステップS204では、制御チャンネル27の状態に基づいて、プリンタ・エンジン12が使用中であるか否か、すなわち使用可能であるか否かの判断が行われる。ここで、プリンタ・エンジン12が使用されていない場合、すなわちプリンタ・エンジン12が使用可能な場合には、ステップS206に処理が移行する。一方、プリンタ・エンジン12が使用されているとき、すなわちプリンタ・エンジン12が使用不能なときにはステップS210に処理が移行する。
【0036】
プリンタ・エンジン12が使用可能な場合、ステップS206では、制御チャンネル27の状態に基づいて、プリンタ・エンジン12資源(リソース)の確保要求があるか否かについての判断が行われる。ここで、プリンタ・エンジン12資源の確保要求がある場合には、ステップS208において、制御チャンネル27が、プリンタ・エンジン12が使用中である状態、すなわち使用不能状態に設定(セット)される。その後、ステップS210に処理が移行する。一方、プリンタ・エンジン12資源の確保要求がないときには、そのままステップS210に処理が移行する。
【0037】
ステップS210では、符号化データが受信されたか否かについての判断が行われる。ここで、符号化データが受信された場合には、ステップS212において、受信された符号化データが記憶部10Aに記憶される。その後、ステップS214に処理が移行する。一方、符号化データが受信されていないときには、そのままステップS214に処理が移行する。
【0038】
ステップS214では、記憶部10Aに符号化データが記憶されているか否かについての判断が行われる。ここで、記憶部10Aに符号化データが記憶されている場合には、ステップS216に処理が移行する。一方、記憶部10Aに符号化データが記憶されていないときには、ステップS222に処理が移行する。
【0039】
記憶部10Aに符号化データが記憶されている場合、ステップS216において、プリンタ・エンジン12が使用中であるか否かについての判断が行われる。ここで、プリンタ・エンジン12が使用中である場合には、ステップS222に処理が移行する。一方、プリンタ・エンジン12が使用されていないときには、ステップS218に処理が移行する。
【0040】
ステップS218では、制御チャンネル27が、プリンタ・エンジン12が使用中である状態、すなわち使用不能状態に設定(セット)される。そして、続くステップS220において、記憶部10Aに記憶されている符号化データが、ラスターデータに復号された後プリンタ・エンジン12に出力され、印刷が実行される。その後、ステップS222に処理が移行する。
【0041】
ステップS222では、印刷が終了したか否かについての判断が行われる。ここで、印刷が既に終了している場合には、ステップS224において、制御チャンネル27が、プリンタ・エンジン12が使用中ではない状態、すなわち使用可能状態に設定(クリア)される。その後、本処理から抜ける。一方、印刷がまだ終了していないときには、そのまま、一旦本処理から抜ける。
【0042】
本実施形態によれば、プリンタ・エンジン12が使用可能であると判定された場合、すなわち、プリンタ・エンジン12が他の用途、例えば、コピーやファクシミリ等に使用されていない場合に、PDLデータから展開されたラスターデータが、符号化及び復号されることなく、直接プリンタ・エンジン12に出力される。そのため、プリンタ・コントローラ11及びMFP本体側コントローラ10の処理負荷を軽減し、処理速度を向上させることができる。その結果、プリンタ2をより効率的に活用でき、印刷速度をより高速化することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態によれば、プリンタ・エンジン12が他の用途で使用されている場合には、ラスターデータが符号化されて符号化データが生成されるとともに、該符号化データが一時的に記憶部10Aに記憶される。そのため、プリンタ・エンジン12資源(リソース)に対して複数の描画データが競合することを調停することが可能となる。
【0044】
さらに、本実施形態によれば、プリンタ・エンジン12が使用可能状態になったときに、記憶部10Aに記憶されている符号化データがラスターデータに復号されてプリンタ・エンジン12に出力される。その結果、プリンタ・エンジン12資源に対して複数の描画データが競合することを調停しつつ、プリンタ・エンジン12資源、すなわちプリンタ2をより効率的に活用することが可能となる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、プリンタ2の構成及び機能分担等は、上記実施形態に限られない。すなわち、上記実施形態では、プリンタ・コントローラ11とMFP本体側コントローラ10が物理的に2つの部分に別れていたが、例えば1つのボード上に構築されていてもよい。また、その場合には、プリンタ・エンジン12と接続されるバス及び/又は制御チャンネルを共通化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施形態に係るネットワーク複合機の全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係るネットワーク複合機を構成するプリンタの構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタを構成するプリンタ・コントローラによる印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】プリンタを構成するMFP側コントローラによる印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 ネットワーク複合機
2 プリンタ
10 制御部(MFP本体側コントローラ)
10A 記憶部
10B 復号部
11 プリンタ・コントローラ
11A 展開部
11B 判定部
11C 出力部
11D 符号化部
12 プリンタ・エンジン
13 操作部
14 表示部
15 読取部
16 コーデック
17 画像記憶部
18 モデム
19 NCU
20 IFAX制御部
21 Webサーバ
22 LANインターフェース
30 パーソナルコンピュータ
50 PSTN
51 LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ記述言語で記述された印刷データをラスターデータに展開する展開手段と、
プリンタ・エンジンが使用可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記プリンタ・エンジンが使用可能であると判定された場合に、前記展開手段により展開された前記ラスターデータを前記プリンタ・エンジンに出力する出力手段と、
前記判定手段により前記プリンタ・エンジンが使用不能であると判定された場合に、前記展開手段により展開された前記ラスターデータを符号化して符号化データを生成する符号化手段と、
前記符号化手段により生成された前記符号化データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された前記符号化データをラスターデータに復号して前記プリンタ・エンジンに出力する復号手段と、を備えることを特徴とするネットワーク複合機。
【請求項2】
前記復号手段は、前記プリンタ・エンジンが使用不能状態から使用可能状態になったときに、前記記憶手段に記憶されている前記符号化データをラスターデータに復号して前記プリンタ・エンジンに出力する、ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク複合機。
【請求項3】
前記展開手段、前記判定手段、前記出力手段、前記符号化手段と、
前記記憶手段、前記復号手段と、は分離して設けられる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク複合機。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−278493(P2009−278493A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129260(P2008−129260)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】