説明

ネブライザキットおよびネブライザ

【課題】ネブライザキットのエアロゾル噴霧効率を上げることを可能とする、ネブライザキットおよびネブライザを提供する。
【解決手段】ケース体110Aに直線部を有する壁面110bを設けている。この壁面110bが障壁となって、外気導入路102からエアロゾル排出口132から遠ざかる方向に流れ出たエアロゾルの流れを、矢印に示すように、エアロゾル排出口132側に積極的に変更させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネブライザキットおよびネブライザに関する。
【背景技術】
【0002】
ネブライザは、水や食塩水、気管支等の疾患を治療する薬液等の液体を霧化してエアロゾルを生成するための装置である。このネブライザによって生成されたエアロゾルは、使用者によって口や鼻から吸引されて体内に取り込まれる。近年、麻疹の予防のためのワクチン等をこのネブライザによってエアロゾル化し、使用者の口および鼻を介して体内に投与する試みがなされている。
【0003】
通常、ネブライザには、圧縮空気を発生させるコンプレッサを備える本体装置と、圧縮空気の導入によりエアロゾルを発生させるネブライザキットとを有している。このようなネブライザを開示する先行技術文献として、特許文献1(特開平06−285168号公報)が挙げられる。ネブライザキットには、使用者によって口や鼻からの吸引を吸入補助具として、マウスピースやマスクが装着される。
【0004】
図14にネブライザキットの水平断面の概略構成を示す。ネブライザキットは、噴霧室Sのほぼ中央に圧縮空気のノズル先端301(霧化部)が配置されており、生成されたエアロゾル(図中の矢印)は噴霧室Sの外筒300の内周側面全周に向かって一様に噴霧される。
【0005】
しかし、エアロゾル排出口302に近い方向に噴霧されるエアロゾルはエアロゾル排出口302へ排出され易いが、エアロゾル排出口302から遠い(エアロゾル排出口302を背にする)向きへ噴霧されるエアロゾルはエアロゾル排出口302へ速やかに導かれ難くいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−285168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、生成されたエアロゾルの一部が効率良くエアロゾル排出口へ排出されない点にある。したがってこの発明の目的は、ネブライザキットのエアロゾル噴霧効率を上げることを可能とする、ネブライザキットおよびネブライザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に基づいたネブライザキットによれば、圧縮空気を霧化部に導入してエアロゾルを生成するネブライザキットであって、外気を導入する外気導入路を規定する外気導入管と、上記外気導入管の中心位置に設けられる上記霧化部と、上記外気導入管を取り囲むように設けられ、エアロゾル排出口に通じるエアロゾル搬送路を規定するケース体とを備えている。
【0009】
上記エアロゾル搬送路の上記霧化部を挟んで上記エアロゾル排出口とは反対側の領域において、上記エアロゾル排出口から遠ざかる方向に流れ出た上記エアロゾルの流れを上記排出口側に積極的に変更させるエアロゾル流れ変更手段が設けられる。
【0010】
上記発明において好ましくは、上記外気導入管を取り囲む上記ケース体の、上記霧化部から見て上記エアロゾル排出口が設けられる側とは反対側の壁面には、上記外気導入管を取り囲む上記ケース体の、上記霧化部から見て上記エアロゾル排出口が設けられる側の壁面から上記霧化部までの距離よりも短い距離となる領域が設けられ、上記領域が、上記エアロゾル流れ変更手段を構成する。
【0011】
上記発明において好ましくは、上記エアロゾル搬送路に、上記霧化部から見て上記エアロゾル排出口が設けられる側とは反対側の壁面よりも内側に位置する垂下壁が設けられ、上記垂下壁が、上記エアロゾル流れ変更手段を構成する。
【0012】
上記発明において好ましくは、上記外気導入管の、上記霧化部から見て上記エアロゾル排出口が設けられる側とは反対側に、上記外気導入管の上記霧化部から見て上記エアロゾル排出口が設けられる側よりも管軸方向に延びる延在部が設けられ、上記延在部が上記エアロゾル流れ変更手段を構成する。
【0013】
上記発明において好ましくは、上記エアロゾル流れ変更手段として、上記霧化部の位置が、上記ケース体の中心位置から見て、上記エアロゾル排出口が設けられる側とは反対側にずれて設けられる。
【0014】
この発明に基づいたネブライザにおいては、圧縮空気を送り出すコンプレッサを有する本体と、上記コンプレッサから送り出される圧縮空気が導出される圧縮空気管部と、上記圧縮空気管部の一端が連結され、エアロゾルを生成する上述したいずれかのネブライザキットとを備える。
【発明の効果】
【0015】
この発明に基づいたネブライザおよびネブライザキットによれば、ネブライザキット内で生成されたエアロゾルの噴霧効率を上げることを可能とする、ネブライザキットおよびネブライザを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1におけるネブライザの外観構成を示す全体斜視図である。
【図2】実施の形態1におけるネブライザキットの外観構成を示す第1全体斜視図である。
【図3】実施の形態1におけるネブライザキットの外観構成を示す第2全体斜視図である。
【図4】実施の形態1におけるネブライザキットの分解斜視図である。
【図5】図3中のV−V線矢視縦断面図である。
【図6】図5中のVI−VI線矢視横断面図である。
【図7】実施の形態2におけるネブライザキットの外観構成を示す分解斜視図である。
【図8】実施の形態2におけるネブライザキットの、図3中のV−V線矢視に相当する縦断面図である。
【図9】図8中のIX−IX線矢視横断面図である。
【図10】実施の形態3におけるネブライザキットの、図3中のV−V線矢視に相当する断面図である。
【図11】実施の形態3におけるネブライザキットの外気導入管の部分拡大斜視図である。
【図12】実施の形態4におけるネブライザキットの、図3中のV−V線矢視に相当する縦断面図である。
【図13】図12中のXIII−XIII線矢視横断面図である。
【図14】背景技術におけるネブライザキット横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明に基づいた各実施の形態におけるネブライザキットおよびネブライザについて図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の構成を適宜組み合わせることは、当初から予定されている。各図中、同一符号は同一または相当部分を指し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0018】
(実施の形態1:ネブライザ1およびネブライザキット100A)
以下、図1から図6を参照して、実施の形態1におけるネブライザ1およびネブライザキット100Aについて説明する。まず、図1から図5を参照して、ネブライザ1およびネブライザキット100Aの概略構成について説明する。
【0019】
なお、図1は、ネブライザ1の外観構成を示す全体斜視図、図2および図3は、ネブライザキット100Aの外観構成を示す第1および第2全体斜視図、図4は、ネブライザキット100Aの分解斜視図であり、図5は、図3中のV−V線矢視断面図である。
【0020】
図1を参照して、ネブライザ1は、圧縮空気を送り出すコンプレッサおよび電子部品等を内蔵するネブライザ本体10と、ネブライザ本体10に設けられた圧縮空気送風口11に一端が連結される可撓性を有する圧縮空気管部としてのチューブ12と、チューブ12の他端が連結されるネブライザキット100Aと、ネブライザキット100Aに結合され、使用者によって口や鼻からの吸引を助ける吸入補助具としてのマウスピース200とを備えている。マウスピース200の形態には、マスク状の形態等様々である。
【0021】
図2から図4を参照して、ネブライザキット100Aは、ケース体110Aと、霧化部形成体120と、流路形成体130Aと、キャップ体140と有する。流路形成体130Aの上面には、円筒形状のエアロゾル排出口132が設けられ、このエアロゾル排出口132にマウスピース200等の吸入補助具が接続される。
【0022】
図3を参照して、エアロゾル排出口132とは対向するケース体110Aの外面にはグリップ111が設けられている。また、グリップ111の下方のケース体110Aの外表面には、ケース体110Aの内部に収容される薬液の量を確認するための目盛110mが設けられている。また、キャップ体140と流路形成体130Aとの間には、圧力調整用隙間101が複数形成されている。
【0023】
図4を参照して、霧化部形成体120は、頂部に開口部124aが形成された円錐形状の吸液管形成部124と、開口部124aの真上に位置するバッフル122とを有している。
【0024】
ケース体110Aは有底筒状の形状を有しており、このケース体110Aの内部に霧化部形成体120が収容・配置される。流路形成体130Aは、ケース体110Aの上面開口部を塞ぐようにケース体110Aの上部に取付けられる。キャップ体140は、流路形成体130Aの上面に設けられた開口部133を覆うように流路形成体130Aに取付けられる。
【0025】
ケース体110A、霧化部形成体120、流路形成体130A、キャップ体140、およびチューブ12は、互いに分解および組立てが可能であり、ネブライザ1の使用後において洗浄および消毒等が容易に実施できるように構成されている。また、マウスピース200等の吸入補助具は、衛生面の観点から使用後において廃棄される、いわゆるディスポーザブルタイプである。
【0026】
図5に示すように、流路形成体130Aの底面には、エアロゾル排出口132の開口部に連結する外気導入管134が設けられている。ケース体110Aの底面には、コンプレッサから送り出される圧縮空気をケース体110Aの内部に導入するための圧縮空気導入管114が上下方向に延びるように設けられている。
【0027】
圧縮空気導入管114の下部先端部に上述のチューブ12が取付けられる。また、圧縮空気導入管114の上部先端部114aは、先端開口部114bに向けて先細り形状に形成されている。
【0028】
ケース体110Aの圧縮空気導入管114が形成された部分の周囲には、貯留部116が設けられている。この貯留部116は、水や食塩水、気管支等の疾患を治癒させるための薬液、ワクチンといった液体Wを一時的に貯留する。
【0029】
圧縮空気導入管114の上部先端部114aには、霧化部形成体120の吸液管形成部124が覆い被さるように載置され、圧縮空気導入管114の先端開口部114bは、吸液管形成部124の開口部124aから露出し、霧化部形成体120のバッフル122に対向する。
【0030】
(エアロゾルの生成および排出)
次に、図5を参照して、エアロゾルの生成および排出について説明する。なお、図5の破線で示す矢印はネブライザ本体10から送り出される圧縮空気(外気)の流れを示し、白抜きで示す矢印は圧力調整用隙間101から導入される外気の流れを示し、黒塗りで示す矢印はエアロゾルの排出流れを示す。
【0031】
吸液管形成部124と圧縮空気導入管114の上部先端部114aとの間の隙間によって吸液管が構成され、後述する圧縮空気の吹き付けによる負圧の作用によって貯留部116に貯留された液体Wが後述する霧化部近傍にまで達することになる。
【0032】
霧化部Mは、圧縮空気導入管114の上部先端部114aとバッフル122との間に形成される。この霧化部Mにおいては、ネブライザ本体10によって圧縮空気導入管114に導入された圧縮空気が圧縮空気導入管114の上部先端部114aからバッフル122に向けて噴き付けられる。その際、霧化部Mにて生じる負圧の作用によって霧化部近傍にまで吸い上げられた液体Wが、上述の負圧の作用によって霧化部Mへと噴き上げられ、圧縮空気とともにバッフル122に向けて噴き付けられる。
【0033】
この作用により、液体Wはバッフル122に衝突して微細な液滴となって霧状粒子となり、この霧状粒子がケース体110Aの内部に導入された外気(上述のネブライザ本体10によって導入された外気と、使用者の呼気動作に基づいて後述する圧力調整用隙間101から導入された外気とを含む)に付与されることによってエアロゾルが生成される。
【0034】
霧化部形成体120の上方には、流路形成体130Aおよびキャップ体140が位置決めして配置されている。この流路形成体130Aにより、ケース体110Aの内部の空間が仕切られ、気流が流動する流路が形成されている。また、キャップ体140は、流路形成体130Aの上面に設けられた開口部133に嵌め込まれ、これら流路形成体130Aとキャップ体140との間に設けた隙間により、ネブライザキット内の空間と外部とを連通する圧力調整用隙間101が形成されている。
【0035】
より具体的には、流路形成体130Aの下部に設けられた外気導入管134によってケース体110の内部の空間が中央部分と周縁部分とに区切られ、外気導入管134の内側によって外気導入路102が規定され、外気導入管134の外側とケース体110Aに取り囲まれた領域によってエアロゾル搬送路103が規定される。
【0036】
外気導入路102は、上述の圧力調整用隙間101から流入した外気を霧化部Mに導くための流路であり、エアロゾル搬送路103は、霧化部Mにて生成されたエアロゾルをエアロゾル排出口132に導くための流路である。
【0037】
(ケース体110A)
ここで、図6を参照して、本実施の形態おけるケース体110Aの特徴的構成について説明する。なお、図6は、図5中のVI−VI線矢視横断面図である。
【0038】
本実施の形態におけるケース体110Aは、外気導入管134を取り囲むケース体110Aの、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側とは反対側には、外気導入管134を取り囲むケース体110Aの、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側の壁面110aから霧化部Mまでの距離(L1)よりも短い距離(L2)となる壁面110bを有している。
【0039】
具体的には、ケース体110Aの霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側の壁面は略半円形形状に設けられ、ケース体110Aの霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側とは反対側の壁面に直線部分(立体的に見た場合には、平坦面)が設けられている。
【0040】
このように、ケース体110Aに直線部を有する壁面110bを設けることで、この壁面110bが障壁となって、外気導入路102からエアロゾル排出口132から遠ざかる方向に流れ出たエアロゾルの流れを、図6中の矢印に示すように、エアロゾル排出口132側に積極的に変更させることが可能となる。なお、本実施の形態では、ケース体110Aの壁面110bが、エアロゾル流れ変更手段を構成する。
【0041】
また、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132側の開口部面積(容量)が、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132側とは反対側の開口部面積(容量)より大きくなる。その結果、エアロゾルの排出抵抗は、エアロゾル排出口132側の方が低く、エアロゾル排出口132側とは反対側の方が高くなる。これにより、エアロゾルは、よりエアロゾル排出口132側に向けて排出されることになる。
【0042】
(作用・効果)
以上、本実施の形態におけるネブライザキット100Aによれば、エアロゾルのエアロゾル排出口132に向かうエアロゾル噴霧効率を上げることが可能となる。その結果、同じコンプレッサを用いた場合には、エアロゾルの単位時間当たりの噴霧量を増加させることが可能となる。また、エアロゾルの単位時間当たりの噴霧量が同じでよい場合には、コンプレッサの容量を小さくすることができ、本体に要するコストを下げることが可能になる。
【0043】
(実施の形態2:ネブライザキット100B)
次に、図7から図9を参照して、実施の形態2におけるネブライザキット100Bについて説明する。ネブライザ1を構成するネブライザ本体10、チューブ12、および吸入補助具については、上記実施の形態1と同様であるため、重複する説明は繰り返さない。また、ネブライザキット100Bにおけるエアロゾルの生成原理についても、上記実施の形態1と同様であるため、重複する説明は繰り返さない。
【0044】
なお、図7は、ネブライザキット100Bの外観構成を示す分解斜視図、図8は、ネブライザキット100Bの、図3中のV−V線矢視面に相当する縦断面図である。
【0045】
図7および図8を参照して、本実施の形態おけるネブライザキット100Bと、上記実施の形態おけるネブライザキット100Bの相違点は、ケース体110Bおよび流路形成体130Bにある。その他の構成は、同じであるため、ここでは、ケース体110Bおよび流路形成体130Bの構成について説明する。
【0046】
ケース体110Bは、横断面が円形形状を有している。その他の構成は上記ケース体110Aと同じである。また、流路形成体130Bは、エアロゾル搬送路103に、外気導入管134を取り囲むケース体110Bの、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側とは反対側の壁面110bよりも内側に位置する垂下壁135を有している。その他の構成は上記流路形成体130Aと同じである。
【0047】
この垂下壁135は、図7および図9に示すように、外気導入管134側が凹むように緩く湾曲形状に成型されている。垂下壁135の下端は、貯留部116の近傍に達する位置にまで設けられている。なお、この垂下壁135が、エアロゾル流れ変更手段を構成する。また、本実施の形態では、横断面が円形形状のケース体110Bを設けているが、実施の形態1におけるケース体110Aを採用することも可能である。
【0048】
このように、エアロゾル搬送路103に垂下壁135を設けることで、垂下壁135が障壁となり、外気導入路102からエアロゾル排出口132から遠ざかる方向に流れ出たエアロゾルの流れを、図9中の矢印に示すように、エアロゾル排出口側に積極的に変更させることが可能となる。
【0049】
また、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132側の開口部面積(容量)が、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132側とは反対側の開口部面積(容量)の方が大きくなる。その結果、エアロゾルの排出抵抗は、エアロゾル排出口132側の方が低く、エアロゾル排出口132側とは反対側の方が高くなる。これにより、エアロゾルは、よりエアロゾル排出口132側に向けて排出されることになる。
【0050】
(作用・効果)
以上、本実施の形態におけるネブライザキット100Bによっても、上記実施の形態1の場合と同様に、エアロゾルのエアロゾル排出口132に向かうエアロゾル噴霧効率を上げることが可能となる。その結果、同じコンプレッサを用いた場合には、エアロゾルの単位時間当たりの噴霧量を増加させることが可能となる。また、エアロゾルの単位時間当たりの噴霧量が同じでよい場合には、コンプレッサの容量を小さくすることができ、本体に要するコストを下げることが可能になる。
【0051】
(実施の形態3:ネブライザキット100C)
次に、図10から図11を参照して、実施の形態3におけるネブライザキット100Cについて説明する。ネブライザ1を構成するネブライザ本体10、チューブ12、および吸入補助具については、上記実施の形態1と同様であるため、重複する説明は繰り返さない。また、ネブライザキット100Cにおけるエアロゾルの生成原理についても、上記実施の形態1と同様であるため、重複する説明は繰り返さない。
【0052】
なお、図10は、ネブライザキット100Cの、図3中のV−V線矢視に相当する縦断面図、図11は、ネブライザキット100Cの外気導入管134cの部分拡大斜視図である。
【0053】
図10および図11を参照して、本実施の形態おけるネブライザキット100Cと、上記実施の形態1おけるネブライザキット100Aの相違点は、ケース体110Bおよび流路形成体130Cにある。その他の構成は、同じであるため、ここでは、ケース体110Bおよび流路形成体130Cの構成について説明する。
【0054】
ケース体110Bは、実施の形態2と同じであり、横断面が円形形状を有している。また、流路形成体130Cにおいては、流路形成体130Cに、外気導入管134cの霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側とは反対側に、外気導入管134cの上記霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側よりも管軸方向に延びる延在部134eが設けられている。なお、この延在部134eがエアロゾル流れ変更手段を構成する。その他の構成は上記流路形成体130Aと同じである。
【0055】
この延在部134eは、図11に示すように、外気導入管134のエアロゾル排出口132に位置する端部よりも管軸方向に長さE程度長く設けられ、半円筒形状を有している。なお、この延在部134eが、エアロゾル流れ変更手段を構成する。また、本実施の形態では、横断面が円形形状のケース体110Bを設けているが、実施の形態1におけるケース体110Aを採用することも可能である。
【0056】
このように、エアロゾル搬送路103に延在部134eを設けることで、この延在部134eが障壁となり、外気導入路102からエアロゾル排出口132から遠ざかる方向に流れ出たエアロゾルの流れを、エアロゾル排出口側に積極的に変更させることが可能となる。
【0057】
また、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132側の開口部面積(容量)が、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132側とは反対側の開口部面積(容量)の方が大きくなる。その結果、エアロゾルの排出抵抗は、エアロゾル排出口132側の方が低く、エアロゾル排出口132側とは反対側の方が高くなる。これにより、エアロゾルは、よりエアロゾル排出口132側に向けて排出されることになる。
【0058】
(作用・効果)
以上、本実施の形態におけるネブライザキット100Cによっても、上記実施の形態1の場合と同様に、エアロゾルのエアロゾル排出口132に向かうエアロゾル噴霧効率を上げることが可能となる。その結果、同じコンプレッサを用いた場合には、エアロゾルの単位時間当たりの噴霧量を増加させることが可能となる。また、エアロゾルの単位時間当たりの噴霧量が同じでよい場合には、コンプレッサの容量を小さくすることができ、本体に要するコストを下げることが可能になる。
【0059】
(実施の形態4:ネブライザキット100D)
次に、図12および図13を参照して、実施の形態4におけるネブライザキット100Dについて説明する。ネブライザ1を構成するネブライザ本体10、チューブ12、および吸入補助具については、上記実施の形態1と同様であるため、重複する説明は繰り返さない。また、ネブライザキット100Dにおけるエアロゾルの生成原理についても、上記実施の形態1と同様であるため、重複する説明は繰り返さない。
【0060】
なお、図12は、ネブライザキット100Dの、図3中のV−V線矢視に相当する縦断面図、図13は、図12中XIII−XIII線矢視断面図である。
【0061】
図12および図13を参照して、本実施の形態おけるネブライザキット100Dと、上記実施の形態1おけるネブライザキット100Aの相違点は、ケース体110Dおよび流路形成体130Dにある。その他の構成は、同じであるため、ここでは、ケース体110Dおよび流路形成体130Dの構成について説明する。
【0062】
ケース体110Dは、実施の形態2と同じであり、横断面が円形形状を有している。また、圧縮空気導入管114の上部先端部114aの位置が、ケース体110Dの中心位置(C1)に設けられず、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側とは反対側にずれて設けられている。また、流路形成体130Dの外気導入管134dの位置も、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側とは反対側にずれて設けられている。なお、霧化部Mは、外気導入管134dの中心位置となるように設けられている。また、ケース体110Dの横断面が矩形形状の場合には、ケース体110Dの中心位置(C1)は、対角線が交わる位置が、略中心位置となる。
【0063】
なお、霧化部Mおよび外気導入管134dが、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側とは反対側にずれて設けられる構成が、エアロゾル流れ変更手段を構成する。
【0064】
このように、霧化部Mおよび外気導入管134dが、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側とは反対側にずれて設けられることにより、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側とは反対側の壁面110bから霧化部Mまでの距離が、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132が設けられる側の壁面110aから霧化部Mまでの距離よりも短くなる。
【0065】
これにより、外気導入路102からエアロゾル排出口132から遠ざかる方向に流れ出たエアロゾルの流れを、図13中の矢印に示すように、エアロゾル排出口側に積極的に変更させることが可能となる。
【0066】
また、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132側の開口部面積(容量)が、霧化部Mから見てエアロゾル排出口132側とは反対側の開口部面積(容量)より大きくなる。その結果、エアロゾルの排出抵抗は、エアロゾル排出口132側の方が低く、エアロゾル排出口132側とは反対側の方が高くなる。これにより、エアロゾルは、よりエアロゾル排出口132側に向けて排出されることになる。
【0067】
(作用・効果)
以上、本実施の形態におけるネブライザキット100Dによれば、エアロゾルのエアロゾル排出口132に向かうエアロゾル噴霧効率を上げることが可能となる。その結果、同じコンプレッサを用いた場合には、エアロゾルの単位時間当たりの噴霧量を増加させることが可能となる。また、エアロゾルの単位時間当たりの噴霧量が同じでよい場合には、コンプレッサの容量を小さくすることができ、本体に要するコストを下げることが可能になる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1 ネブライザ、10 ネブライザ本体、11 圧縮空気送風口、12 チューブ、100A,100B,100C,100D ネブライザキット、101 圧力調整用隙間、110m 目盛、110A,110B,110D ケース体、110a,110b 壁面、111 グリップ、114 圧縮空気導入管、114a 上部先端部、114b 先端開口部、116 貯留部、120 霧化部形成体、122 バッフル、124 吸液管形成部、124a 開口部、130A,130B,130C,130D 流路形成体、132 エアロゾル排出口、133 開口部、134 外気導入管、134c 外気導入管、134e 延在部、135 垂下壁、140 キャップ体、200 マウスピース、M 霧化部、W 液体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を霧化部に導入してエアロゾルを生成するネブライザキットであって、
外気を導入する外気導入路を規定する外気導入管と、
前記外気導入管の中心位置に設けられる前記霧化部と、
前記外気導入管を取り囲むように設けられ、エアロゾル排出口に通じるエアロゾル搬送路を規定するケース体と、
を備え、
前記エアロゾル搬送路の前記霧化部を挟んで前記エアロゾル排出口とは反対側の領域において、前記エアロゾル排出口から遠ざかる方向に流れ出た前記エアロゾルの流れを前記排出口側に積極的に変更させるエアロゾル流れ変更手段が設けられる、ネブライザキット。
【請求項2】
前記外気導入管を取り囲む前記ケース体の、前記霧化部から見て前記エアロゾル排出口が設けられる側とは反対側の壁面には、前記外気導入管を取り囲む前記ケース体の、前記霧化部から見て前記エアロゾル排出口が設けられる側の壁面から前記霧化部までの距離よりも短い距離となる領域が設けられ、
前記領域が、前記エアロゾル流れ変更手段を構成する、請求項1に記載のネブライザキット。
【請求項3】
前記エアロゾル搬送路に、前記霧化部から見て前記エアロゾル排出口が設けられる側とは反対側の壁面よりも内側に位置する垂下壁が設けられ、
前記垂下壁が、前記エアロゾル流れ変更手段を構成する、請求項1に記載のネブライザキット。
【請求項4】
前記外気導入管の、前記霧化部から見て前記エアロゾル排出口が設けられる側とは反対側に、前記外気導入管の前記霧化部から見て前記エアロゾル排出口が設けられる側よりも管軸方向に延びる延在部が設けられ、
前記延在部が前記エアロゾル流れ変更手段を構成する、請求項1に記載のネブライザキット。
【請求項5】
前記エアロゾル流れ変更手段として、
前記霧化部の位置が、前記ケース体の中心位置から見て、前記エアロゾル排出口が設けられる側とは反対側にずれて設けられる、請求項1に記載のネブライザキット。
【請求項6】
圧縮空気を送り出すコンプレッサを有する本体と、
前記コンプレッサから送り出される圧縮空気が導出される圧縮空気管部と、
前記圧縮空気管部の一端が連結され、エアロゾルを生成する請求項1から5のいずれかに記載のネブライザキットと、を備えるネブライザ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−189059(P2011−189059A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59381(P2010−59381)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)