説明

ネーム及び紐類の印刷方法

【課題】 本発明は環境に優しく色落ちがせず、乾燥にも問題のないネーム及び紐類の印刷方法を提供せんとするものである。
【解決手段】 生地の表面に紫外線硬化型大豆インキを使用した印刷層を形成し、紫外線を当てて印刷層を乾燥硬化させた後、さらに保護インキを重ね刷りしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣類等に取り付けるネームや紐類に商標や各種情報を印刷する印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衣類に付設するネームや、ストラップ等の紐類には何らかの情報を印刷により施すのが通常である。
ネームには衣服の裏面や目立たない部位に縫着され、メーカー名、商標、品質や洗濯情報等が印刷されたもの、また、逆に情報を意識的に明示するため衣服の表面にメーカー名や商標を印刷して縫着したものもある。
また、近似は携帯電話のストラップや、セキュリティ等の各種目的の名札に用いられるネックスストラップ等の紐類にも装飾目的等で印刷を施されるものもある。
【0003】
そして、斯かるネームやストラップ等の紐類は肌や服などと頻繁に摩擦接触して色落ちしたり、色が着いたりすることがあり、衣類は洗濯・クリーニングをして美麗・清潔を維持して継続使用するものであり、特に下着等は使用耐用期間における洗濯回数の多い衣類に該当するため、洗濯等に耐えるネームの印刷表示に工夫が必要となる。
【0004】
ところが、従来の課題の対象は情報を織り組織で形成するものや、製品自体の商標等の真偽を確認できる印刷の方法に関するものが多く見られる。
【特許文献1】特開2004−334144
【特許文献2】特開平10−207370
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ネームやストラップ等の紐類は肌や服などと頻繁に摩擦接触して色落ちしたり、色が着いたりすることがあり、それに耐えられる印刷方法及びインキを選択するのである。
また、衣服等は洗濯・クリーニングされ清潔にして被着するのが常であり、衣服等の耐用年数は短期的なものであっても、洗濯は頻繁に必要なものもあって相当の回数に及ぶのでる。
そのため付設したネームも当然に水や洗剤に何度も触れるため、摩擦により印刷の色落ちがしないようなインキを選択して用いているのである。
【0006】
このように、摩擦接触に対応でき、洗濯に耐えるために石油系インキや動物性のインキが多くは選択されるのであるが、これらのインキは使用後の廃棄処分において環境に優しいとは言えないのである。
一方、環境に良いといわれる植物性のインクは石油系インキや動物性のインキと比べて、乾燥が悪く、色落ちし易い問題が指摘されているのである。
【0007】
そこで、本発明は環境に優しく色落ちがせず、乾燥にも問題のないネーム及び紐類の印刷方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のネーム及び紐類の印刷方法は、生地の表面に紫外線硬化型大豆インキを使用した印刷層を形成し、紫外線を当てて印刷層を乾燥硬化させた後、さらに保護インキを重ね刷りしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
大豆インキは、健康を害することがなく環境にも優しいインキとして開発されたものである。
しかも、通常の大豆インキではなく、紫外線硬化型大豆インキを使用して印刷したため、印刷後に紫外線を照射すれば短時間で定着させることができる効果を有するのである。
【0010】
さらに、その上から保護インキを重ね刷りしたため、保護インキで保護膜を形成したものとなり、インキの定着度を一層高めて印刷の色落ちを防止すると共に、選択した保護インキの特有の他の機能を付与する効果をも発揮するのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、織物地や編物地の表面に、紫外線硬化型大豆インキを使用した印刷層を形成し紫外線を当て、印刷層を乾燥硬化させた後、さらに保護インキを重ね刷りしたことを特徴とするネーム及び紐類の印刷方法である。
【0012】
図1は、本発明方法で印刷したネームの断面図である。
ネーム地1に商標や各種情報を印刷した紫外線硬化型大豆インキ印刷層2が形成され、紫外線硬化型大豆インキ印刷層2の上に、保護インキ印刷層3が重ね印刷されている。
【0013】
大豆インキは、1970年度に発生した二度の所謂オイルショックを機に、印刷用のインキにおいても石油の依存度が少ないものが要望され、加えて健康を害することがなく環境にも優しいインキとして開発されたものである。
また、大豆インキは、従来使用されていた亜麻仁油、桐油、石油系溶剤の代わりに大豆油を使用して成り、石油ベースの油とは異なり、食品加工のドレッシングや植物油の原料として使用されているように安全性も充分に確保されている。
そして、乾燥する際に揮発性有機化合物の大量発生もせず、印刷作業員の健康を害することが無く、顔料や樹脂等を除いてほぼ生分解され環境にやさしい。
【0014】
一方、紫外線硬化型(UV)のインキは、紫外線を照射するとインキが乾燥して硬化時間を短縮させ、硬化性を促進させると共に、強固な皮膜を形成するものである。
また、紫外線硬化型(UV)のインキは無溶剤のため、有機化合物(VOC)成分が大気中に排出されて環境を汚すことは無く、大気環境保全に優れた環境調和型インキである。
【0015】
保護インキには、例えばニスインキやメジュームインキが考えられる。
ニスインキの場合は紙や印刷上に光沢を与える機能をも有し、保護膜を形成する透明のインキである。
選択される保護インキは、布への印刷に適合すると共に透明色であるものを適宜に選択することが可能である。
【0016】
本発明の一実施の形態例をネーム地に用いた図面で説明したが、印刷対象がストラップ等の紐体の生地であっても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明方法で印刷したネームの断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 ネーム地
2 紫外線硬化型大豆インキ印刷層
3 保護インキ印刷層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地の表面に紫外線硬化型大豆インキを使用した印刷層を形成し、紫外線を当てて印刷層を乾燥硬化させた後、さらに保護インキを重ね刷りしたことを特徴とするネーム及び紐類の印刷方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−254422(P2008−254422A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339627(P2007−339627)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(591142079)マルト印刷工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】