説明

ネールエナメル落としコットン

【課題】本発明の課題は、不織布層と、リムーバーを含浸しやすいコットン層とを熱融着ネットを介在して一体接合させ、両層間でリムーバーの移動がさえぎられないように構成するとともに、コットンの型崩れを防止し、不織布とコットン両者の風合いを長時間持続できるネールエナメル落としコットンを提供することである。
【解決手段】エンボス加工した凹凸面を有する不織布層と、コットン層とを、熱融着ネットを介して一体接合させたことを特徴とするネールエナメル落としコットンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネールエナメル落としコットンに係り、さらに詳しくは、エナメルリムーバー液(以下単に「リムーバー」という)をコットンに含浸させ、これで爪に塗布されたネールエナメルの皮膜を爪から拭き取り除去する目的に利用されるネールエナメル落としコットンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、爪に塗布されたネールエナメルの皮膜を除去するため、リムーバーが使用されている。このリムーバーでネールエナメルの皮膜を除去する際には、まず化粧用コットンにリムーバーを含浸させ、この状態のコットンで爪の表面を拭き取ることにより爪からネールエナメルの皮膜を除去していた。
【0003】
このリムーバーは、一般にニトロセルロースや樹脂を溶解する溶剤類の混合物が用いられており、この溶剤類でネールエナメルを溶解させるので、ネールエナメルの皮膜を容易に爪から除去できる。
【0004】
ところで、ネールエナメルのなかには、見栄えを良くする目的から光沢用ラメを配合させたものがある。この光沢用ラメは、パール材またはフィルム状の極薄で細かい小片で形成され、このラメ入りのネールエナメルを爪に塗布した場合、ラメがネールエナメルの成分である皮膜剤を介して爪に密着することになる。このため、リムーバーでネールエナメルと同時にラメを除去しようとする場合、リムーバーがラメと爪の隙間にある皮膜を溶解しなくてはならないが、ラメがフィルム状でかつ爪に密着しているため、どうしてもリムーバー液がその隙間に浸透することが難しく、結果的にラメを爪から除去し難いという問題があった。
【0005】
もちろんコットンによる拭き取り回数を増やすことで、ラメを落とすことは可能であるが、拭き取り回数を増やすことで拭き取り時間が長くなり、それに伴いコットン表面の毛羽立ちが多くなる問題もあった。
【0006】
上記の問題に対処するため、ラメを爪から掻き落とす目的で、化粧用コットンを包む表面材に複数の孔を形成したもの(特許文献1)とか、繊維質シートの表面に凹凸模様を施したもの(特許文献2)などが提案されている。なお特許文献1は、本件出願人の先行出願文献である。
【特許文献1】特開2002−262931号公報
【特許文献2】特開2005−245714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1及び2に示すネールエナメル落としコットンは、従来の手触りのコットンがむき出しで表面に現れないか、あるいはまったくコットンが存在しないかであるため、手触りと使い勝手の良いコットン表面を、ラメやエナメル面に直接当接させることができず、その結果リムーバーを十分含浸させたコットンを別途用意しなければならないなどの問題があった。
【0008】
そのため、ラメを落としやすい不織布層と、リムーバーを含浸しやすいコットン層とを組み合わせて、使い勝手の良いネールエナメル落としコットンの出現が待望されていた。
【0009】
本発明は、不織布層と、リムーバーを含浸しやすいコットン層とを熱融着ネットを介在して一体接合させ、両層間でリムーバーの移動がさえぎられないように構成するとともに、コットンの型崩れを防止し、不織布とコットン両者の風合いを長時間持続できるようにして、上記のすべての問題を解決できるようにしたネールエナメル落としコットンを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るネールエナメル落としコットンの請求項1のものは、エンボス加工した凹凸面を有する不織布層と、コットン層とを、熱融着ネットを介して一体接合させたことを特徴とするネールエナメル落としコットンである。
【0011】
また請求項2は、前記熱融着ネットは、高温下で溶融して接着効果を発揮するポリエステル製ネットで形成されることを特徴とする請求項1記載のネールエナメル落としコットンである。
【0012】
また請求項3は、不織布層を形成する不織布の目付は40〜60g/mであり、コットン層を形成するコットンの目付は100〜150g/mであることを特徴とする請求項1または2記載のネールエナメル落としコットンである。
【0013】
さらに請求項4は、全体の厚さ寸法が2〜12mmである請求項1乃至3のいずれかに記載のネールエナメル落としコットンである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るネールエナメル落としコットンは、不織布層の凹凸面でネールエナメルとラメを効率的に掻き落とすことができ、コットン層は不織布層によるラメ掻き落とし後に、柔らかなタッチでネールエナメルの拭き落としに使用されるため毛羽立ちが起こりにくく、一方コットン層に保持されたリムーバー液は、熱融着ネットを円滑に通過して不織布層に到達し、その熱融着ネットは不織布層とコットン層とを、熱融着により確実に一体接合できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明のネールエナメル落としコットンの実施の形態を説明する。
図1は本発明のネールエナメル落としコットンの斜視図であり、図2は本発明のネールエナメル落としコットンにおける不織布層の正面図であり、図3は同コットン層の正面図である。
【0016】
図1乃至図3に示す本発明に係るネールエナメル落としコットン1は、不織布層2とコットン層3とを熱融着ネット4を介在して一体接合することにより構成されている。
【0017】
不織布層2としては、表面材にエンボス加工を施した不織布を採用するが、例えばオーストリアのレンチング社製のテンセル(登録商標)100%の生地をエンボス加工したものを使用すると好適である。その他不織布の例としては、天然繊維(綿、羊毛、麻、パルプ、絹など)や化学繊維(レーヨン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維など)が使用可能である。
さらに不織布の製法による区分では、湿式不織布、乾式パルプ不織布、乾式不織布、スパンポンド不織布、フラッシュ紡糸不織布、トウ開繊式不織布等が採用可能である。
またエンボス加工の例としては、不織布層2の表面が凹凸面5に形成されていれば良く、その凹凸のパターンは特に制限されない。
なお不織布層2のエンボス加工した凹凸面5のパターンが大きすぎる場合(1目が5.0mm以上程度)には、ラメの引っ掛かりが悪くなり、ラメの掻き落とし効果は低減する。
【0018】
次にコットン層3としては、保水性、耐久性、弾力性に富む化粧用コットンが使用可能である。この条件に合う化粧用コットンであれば、どのようなコットンであっても使用可能である。
【0019】
次に熱融着ネット4としては、不織布層2とコットン層3との間に接着層の位置づけでセットされ、熱融着によりしっかりと不織布層2とコットン層3とを接着することになる。
この熱融着ネット4は、全体がポリエステル100%のネット状で形成されているので、熱融着ネット4が熱融着して不織布層2とコットン層3との各層に溶けて食い込むことになり、接着効果は一層しっかりしたものとなる。
【0020】
さらに熱融着ネット4は、熱融着して不織布層2とコットン層3とを接着させた際にも、ネット状の網目部分が空洞部として確保された状態となるので、コットン層3に含浸されたリムーバーは熱融着ネット4に邪魔されることなく、その網目部分を通って自由に不織布層2とコットン層3間を行き来でき、リムーバーのコットン含みが遮られることはない。
【0021】
以上説明した本発明にかかる製品と、出願人会社製の旧コットン製品と、他社(B社及びC社)製のコットン製品の使用試験の結果比較表を表1に示す。
使用試験としては、リムーバーを5cc含ませた各コットン製品で、8回の拭き取り操作をした後の外観観察を行う方法による。
【0022】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、落ちにくいラメをするっと落とし、エナメルの除去効果が高まり、コットンの毛羽立ちが少なく、コットンの型崩れも少なく、製品の量産化も可能である二層貼り合わせタイプのネールエナメル落としコットンを取り扱う分野で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のネールエナメル落としコットンの斜視図である。
【図2】本発明のネールエナメル落としコットンにおける不織布層の正面図である。
【図3】同コットン層の正面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ネールエナメル落としコットン
2 不織布層
3 コットン層
4 熱融着ネット
5 凹凸面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボス加工した凹凸面を有する不織布層と、コットン層とを、熱融着ネットを介して一体接合させたことを特徴とするネールエナメル落としコットン。
【請求項2】
前記熱融着ネットは、高温下で溶融して接着効果を発揮するポリエステル製ネットで形成されることを特徴とする請求項1記載のネールエナメル落としコットン。
【請求項3】
不織布層を形成する不織布の目付は40〜60g/mであり、コットン層を形成するコットンの目付は100〜150g/mであることを特徴とする請求項1または2記載のネールエナメル落としコットン。
【請求項4】
全体の厚さ寸法が2〜12mmである請求項1乃至3のいずれかに記載のネールエナメル落としコットン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−273596(P2009−273596A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126450(P2008−126450)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)