説明

ノイズ抑制装置、ノイズ抑制方法、及び携帯端末

【課題】コンティニュアスAF機構が発生するノイズに対して、空中/水中の環境におけるノイズ特性に適合したノイズリダクションを、簡易な構成で行うことを可能にする。
【解決手段】携帯電話のアンテナの受信状態の評価値を用いて、空中、水中の判定を行い、空中と判別した場合には、空中のノイズ特性に適合したノイズリダクションパラメータで、音声データに対してノイズリダクションの処理を行い、水中と判別した場合には、水中のノイズ特性に適合したノイズリダクションパラメータで、音声データに対してノイズリダクションの処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ抑制装置、ノイズ抑制方法、及び携帯端末に関する。特に、本発明は、動画撮像時の音声データに対してノイズリダクションの処理を行うノイズ抑制装置、ノイズ抑制方法、及びノイズ抑制装置を搭載した動画撮影が可能な携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話による動画撮影の高画質化が進み、コンティニュアスAF機構が付いた機種が存在する。しかしながら、コンティニュアスAF機構の駆動時に発生するノイズは携帯電話のマイクを介して、録画される音声に混入し、不快音となる問題が生ずる。特許文献2には、コンティニュアスAF機構のノイズ源にて発生するノイズが、同一筐体のマイクを介して入力される音声信号に及ぼす影響を抑制するために、ノイズの周波数特性に適合した阻止帯域を定めて、その阻止帯域の周波数成分を抑制する方法が開示されている。
【0003】
また、近年、防水機能を備えた機種の携帯電話が発売されており、ユーザから、水中でカメラ機能を使用したいという要求が発生している。特許文献1には、水中で集音された音声信号を補正することによって、出力する音声信号をユーザの意図する音声信号に近づける方法が開示されている。また、特許文献1に開示された音声処理装置は、集音環境判定部を備えており、環境が水中であるか、空気中であるかの判定を行い、その判定結果に応じて、音声信号の周波数特性を補正することが開示されている。その集音環境判定部として、具体的には、例えば、以下の方法が記載されている。1つ目は、空気中と水中の音声信号の周波数特性の差異に基づいて判定するものである。2つ目は、空気中と水中の音声の伝搬特性の差異に基づくものである。音声としてモータの駆動音を使用し、モータを駆動するタイミング信号と集音された音声に基づいて、伝搬時間を算出し、空気中と水中の伝搬速度の違いから、水中判定を行っている。3つ目は、ステレオマイクのLchとRchの位相差に基づいて、判定するものである。また、上記3つの方法の組み合わせによる方法についても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−258423号公報
【特許文献2】特開2010−118975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明により与えられる。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載のノイズ抑制方法では、空気中で効果を発揮していたコンティニュアスAF機構のノイズ抑制を、水中で適用した場合には、水中のノイズ特性に適合していないため、効果的にノイズを抑制することができないという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に開示された集音環境判定部は、空気中と水中とを判別することが可能であるものの、開示されたいずれの方法も、複雑な処理を必要とするという問題がある。特に、携帯端末において、小型化、低コスト化は重要課題であり、水中判定のために、ハードウェアを新たに付加したり、高性能なCPUを使用してコスト高になることは、望ましくない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ノイズ源により水中/空気中の環境で発生されたノイズに対して、各々の環境におけるノイズ特性に適合したノイズリダクションの処理を簡易な構成で実現したノイズ抑制装置を提供することである。
【0009】
また、本発明の別の目的は、ノイズ源により水中/空気中の環境で発生されたノイズに対して、各々の環境におけるノイズ特性に適合したノイズリダクションの処理を簡易に実現するノイズ抑制方法を提供することである。
【0010】
また、本発明のさらに別の目的は、ノイズ源により水中/空気中の環境で発生されたノイズに対して、各々の環境におけるノイズ特性に適合したノイズリダクションの処理を簡易な構成で実現し、ノイズリダクションの処理を行った音声信号とカメラ部で撮影した動画像を記録する携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の視点によるノイズ抑制装置は、アンテナと、前記アンテナからの信号を受信する受信回路と、前記受信回路の出力に基づいて水中判定を行う水中判定部と、入力された音声信号のノイズを抑制するノイズリダクション部と、を備え、前記水中判定部は、前記受信回路の出力に基づいて算出される受信状態の評価値が、所定の値より小さい場合に、水中であると判定し、前記水中判定部が、水中であると判定した場合には、前記ノイズリダクション部は、入力された音声信号に対し、第1のノイズリダクションの処理を行い、それ以外の場合には、前記ノイズリダクション部は、入力された音声信号に対し、前記第1のノイズリダクションとは異なる第2のノイズリダクションの処理を行う。
【0012】
本発明の第2の視点によるノイズ抑制方法は、水中判定結果に基づいて、入力された音声信号のノイズを抑制するノイズ抑制方法であって、アンテナの受信状態の評価値が、所定の値より小さい場合に、水中と判定する水中判定ステップと、前記水中判定ステップにおいて、水中と判定された場合に、第1のノイズリダクションの処理を行うステップと、それ以外の場合に、第1のノイズリダクションと異なる第2のノイズリダクションの処理を行うステップと、を含む。
【0013】
本発明の第3の視点による携帯端末は、アンテナと、前記アンテナからの信号を受信する受信回路と、前記受信回路の出力に基づいて水中判定を行う水中判定部と、入力された音声信号のノイズを抑制するノイズリダクション部と、撮像デバイスとAFユニットを含み動画撮影を行うカメラ部と、前記AFユニットを制御するAF制御部と、前記ノイズリダクション部で処理された音声信号と前記カメラ部で撮影された動画像を記録する動画音声記録部と、を備え、前記水中判定部は、前記受信回路の出力に基づいて算出される受信状態の評価値が、所定の値より小さい場合に、水中であると判定し、前記水中判定部が、水中であると判定した場合には、前記ノイズリダクション部は、入力された音声信号に対し、第1のノイズリダクションの処理を行い、それ以外の場合には、前記ノイズリダクション部は、入力された音声信号に対し、前記第1のノイズリダクションとは異なる第2のノイズリダクションの処理を行い、前記カメラ部で撮影された動画像と、前記ノイズリダクション部で処理された音声信号とを、前記動画音声記録部で記録する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のノイズ抑制装置によれば、ノイズ源により水中/空気中の環境で発生されたノイズに対して、各々の環境におけるノイズ特性に適合したノイズリダクションの処理を簡易な構成で実現したノイズ抑制装置を提供することができる。
【0015】
本発明のノイズ抑制方法によれば、ノイズ源により水中/空気中の環境で発生されたノイズに対して、各々の環境におけるノイズ特性に適合したノイズリダクションの処理を簡易に実現したノイズ抑制方法を提供することができる。
【0016】
本発明の携帯端末によれば、ノイズ源により水中/空気中の環境で発生されたノイズに対して、各々の環境におけるノイズ特性に適合したノイズリダクションの処理を簡易な構成で実現し、ノイズリダクションの処理を行った音声信号と、カメラ部で撮影した動画像を記録する携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1に係るノイズ抑制装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る携帯端末のノイズ抑制装置と動画撮影部を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1に係るノイズ抑制方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2に係る携帯端末のノイズ抑制装置と動画撮影部を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例2に係るノイズ抑制方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の実施例1、2に係る携帯端末を示す斜視図である。
【図7】空中と水中の受信状況の違いを説明するための原理図である。
【図8】携帯端末の受信状態の評価値を示す一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、必要に応じて図面を参照して説明する。なお、実施形態の説明において引用する図面及び図面の符号は実施形態の一例として示すものであり、それにより本発明による実施形態のバリエーションを制限するものではない。
【0019】
本発明の第1の実施形態のノイズ抑制装置は、図1に示すように、アンテナ10と、アンテナ10からの信号を受信する受信回路12と、受信回路12の出力に基づいて水中判定を行う水中判定部14と、入力された音声信号のノイズを抑制するノイズリダクション部22と、を備え、水中判定部14は、受信回路12の出力に基づいて算出される受信状態の評価値が、所定の値より小さい場合に、水中であると判定し、水中判定部14が、水中であると判定した場合には、ノイズリダクション部22は、入力された音声信号に対し、第1のノイズリダクション19の処理を行い、それ以外の場合には、ノイズリダクション部22は、入力された音声信号に対し、第1のノイズリダクション19とは異なる第2のノイズリダクション21の処理を行う。
【0020】
本発明の第2の実施形態のノイズ抑制方法は、図3に示すように、水中判定結果に基づいて、入力された音声信号のノイズを抑制するノイズ抑制方法であって、アンテナ10の受信状態の評価値が、所定の値より小さい場合に、水中と判定する水中判定ステップS100と、水中判定ステップS100において、水中と判定された場合に、第1のノイズリダクションの処理を行うステップS112と、それ以外の場合に、第1のノイズリダクションと異なる第2のノイズリダクションの処理S104を行うステップと、を含む。
【0021】
本発明の第3の実施形態の携帯端末は、図2に示すように、アンテナ10と、アンテナ10からの信号を受信する受信回路12と、受信回路12の出力に基づいて水中判定を行う水中判定部14と、入力された音声信号のノイズを抑制するノイズリダクション部22と、撮像デバイス30とAFユニット26を含み動画撮影を行うカメラ部56と、AFユニット26を制御するAF制御部34と、ノイズリダクション部22で処理された音声信号とカメラ部56で撮影された動画像を記録する動画音声記録部38と、を備え、水中判定部14は、受信回路12の出力に基づいて算出される受信状態の評価値が、所定の値より小さい場合に、水中であると判定し、水中判定部14が、水中であると判定した場合には、ノイズリダクション部22は、入力された音声信号に対し、第1のノイズリダクション19の処理を行い、それ以外の場合には、ノイズリダクション部22は、入力された音声信号に対し、第1のノイズリダクション19とは異なる第2のノイズリダクション21の処理を行い、カメラ部56で撮影された動画像と、ノイズリダクション部で処理された音声信号とを、動画音声記録部38で記録する。
【0022】
以下、実施例について、図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0023】
[実施例1の構成]
図6は、本発明の実施例1に係る携帯端末62を示す斜視図である。携帯端末には、携帯電話、PHS、PDA等が含まれる。図6は、折りたたみ形状の携帯端末を開いた状態であり、(A)は、表示画面の裏側と、操作部の裏側が見える方向からの斜視図であり、(B)は、表示画面と、操作部が見える方向の斜視図である。携帯端末62は、ユーザーインターフェイスとして、LCD表示部58と、キー操作部60を有している。また、画像入力装置としてカメラ部56を有している。通話時と動画撮影の入力装置としてマイク16を有している。また、通信用電波を受信するアンテナ10を有している。
【0024】
図2は、本発明の実施例1に係る携帯端末62を示すブロック図であり、ノイズ抑制装置90と、動画撮影部92を含んでいる。また、図1は、ノイズ抑制装置90の部分のみを示した図である。図1において、アンテナ10で通信用電波を受け、受信回路12でアンテナ10からの信号を受信し、水中判定部14で、受信回路12の出力に基づいて、受信状態の評価値を算出している。上記したアンテナ10、受信回路12、及び受信状態の評価値を算出部分は、通常の携帯端末に、通信用電波の受信機能として、既に、備わっているものである。図7は、携帯端末が、通信用電波を受信しているときの状態を示している。(A)は空気中、(B)は水中で電波を受信している状態を示している。また、図7の(A’)は空気中、図7の(B’)は水中での受信状態が携帯端末62のLCD表示部58に表示された一例を示したものである。空気中では、受信状況がよいため、3本のバーが表示され、水中では、受信状況がよくないため、1本のみのバーが表示されている。受信状態がさらに悪くなると、圏外と表示される。従来では、水中判定に水圧計を使用することがあるが、携帯端末にそのような設備を搭載するスペースはなく、そのようなセンサを新たに設けることはコストがかかるため、望ましくない。本発明の実施例1では、水中判定に、携帯端末に既に備わっている通信用電波の受信状態の評価値を使用することにより、小型、低コストで水中判定を行うことを実現している。
【0025】
次に、図1において、マイク16に入力された音声は、アンプ18で増幅され、A/D変換20でディジタル信号に変換され、ノイズリダクション部22に入力される。ノイズリダクション部22の内部には、水中の環境での音声に適した水中用ノイズリダクション19と、空気中の環境での音声に適した空気中用ノイズリダクション21が設けられ、水中判定部14の判定結果に応じて、水中用ノイズリダクション19と、空気中用ノイズリダクション21を、切り替えて使用することが可能なように構成されている。ノイズリダクション部22で、ノイズリダクションの処理が行われた音声信号は、動画音声記録部38に出力される。ここで、ノイズリダクション部22の処理は、ハードウェアで構成してもよいし、CPUや信号処理プロセッサ等によって処理するソフトウェアで構成してもよい。
【0026】
次に、動画撮影部92の構成について、説明する。まず、カメラ部56において、撮像デバイス30として、CCDまたはCMOSのイメージセンサーが使用される。また、AFユニット26は、撮像レンズと、その撮像レンズを移動させるレンズ駆動部28を含み、オートフォーカス機能を実現するように構成されている。カメラ部56の撮像デバイス30で撮像された信号は、カメラ信号処理部32により、輝度信号と色差信号に変換される。カメラ信号処理部32で変換された画像信号は、AF制御部34にも供給され、AF制御部34は、画像のコントラスト値を算出し、レンズを駆動して、AF枠内の画像のコントラスト値が最大となるように、レンズ位置を制御することにより、オートフォーカスを実現している。また、動画撮影時には、オートフォーカスは、コンティニュアスAF機能として動作し、常にAF枠内の被写体にピントが合っている状態になるように制御がなされ、撮影を続ける。但し、レンズを常に動作させているため、レンズが動作する駆動音がレンズ駆動部28から発生し、音声に混入することが問題となる。特に、携帯端末の場合、レンズ駆動部28と録音時のマイク16の位置が近いため、レンズが動作する駆動音がマイク16に入りやすいことが問題となる。
【0027】
また、カメラ信号処理部32で変換された輝度信号及び色差信号は、画像処理部36に供給され、色補正、エッジ強調などの処理がなされた後、動画音声記録部38に出力される。
【0028】
また、携帯端末62のキー操作部60を、ユーザが操作することにより、種々の機能が動作するように構成されている。カメラ撮影機能としては、静止画撮影、動画撮影が提供される。静止画撮影は「フォト」、動画撮影は「ムービー」と操作画面に表示され、「フォト」を起動するキー操作部60のボタンを押下すると静止画が撮像され、「ムービー」を起動するキー操作部60のボタンを押下すると動画撮影が開始されるように構成されている。
【0029】
また、動画音声記録部38は、画像処理部36が出力したフレーム画像と、音声データとを圧縮符号化し、例えば、MPEG4等のファイルに出力する。
【0030】
[実施例1の動作]
次に、実施例1の動作について、図2、3を参照しながら、説明する。図3は、実施例1による携帯端末のノイズ抑制装置90の動作を示すフローチャートである。図3において、図2の水中判定部14で、アンテナの受信状態の評価値を算出する。そして、受信状態の評価値が所定の値よりも小さい場合に、水中であると判定し、それ以外の場合は、空気中であると判定する(ステップS100)。ここで、受信状態の評価値は、受信回路12において、受信電力とノイズ電力の比で定義されるSN比に基づいて算出される。例えば、受信電力PSとノイズ電力PNとしたとき、SN比は、式(1)により定義される。
【0031】

【0032】
ステップS100において、判定の閾値として設定する所定の値をSN0とする。そして、SNがSN0よりも小さい場合に水中であると判定し、それ以外の場合は空気中であると判定する。次に、水中判定部14での判定結果に基づいて、ノイズリダクション部22で、マイク16から入力された音声信号に対してノイズリダクションの処理が行われる。水中判定部14で水中と判定された場合には、水中用ノイズリダクション19(第1のノイズリダクション)の処理が行われる(ステップS112)。そして、音声の処理と並行して、動画撮影部92で録画が行われる(ステップS114)。次に、録画が終了したかどうかが判定され、録画が終了したと判定された場合(S116で、Yesの場合)には、処理を終了する。一方、録画が終了したと判定されなかった場合(S116で、Noの場合)には、次に、受信状態が改善したかどうかを判定する(ステップS118)。
【0033】
一方、水中判定部14で水中と判定されなかった場合(すなわち、空気中と判定された場合)には、空気中用ノイズリダクション(第2のノイズリダクション)21の処理が行われる(ステップS104)。そして、音声の処理と並行して、動画撮影部92で録画が行われる(ステップS106)。次に、録画が終了したかどうかが判定され、録画が終了したと判定された場合(S108で、Yesの場合)には、処理を終了する。一方、録画が終了したと判定されなかった場合(S108で、Noの場合)には、次に、受信状態が悪化したかどうかを判定する(ステップS110)。
【0034】
ここで、ステップS118及びステップS110について、図8を参照して、より詳細に説明する。図8は、実施例に係る携帯端末62を、空気中から水中に移動させたときの受信状態の評価値を示している。ここで、受信状態の評価値は、式(1)で算出された値である。受信状態の評価値は、サンプリング間隔t秒ごとに算出される。また、図8に示すように、所定の期間Tを設定し、期間Tでの受信状態の評価値の変化ΔSNを求める。そして、受信状態の評価値が、判定の閾値として設定した所定の値ΔSN_thよりも、減少した場合には、図3のステップS110において、受信状態が悪化したと判定する(ステップS110において、Yes)。このように受信状態が悪化した場合には、携帯端末62は、空気中から水中に移動したと判断されて、水中用ノイズリダクション処理(図3のステップS112)にジャンプし、以降の処理を繰り返す。
【0035】
一方、ステップS118において、受信状態の評価値が、所定の値ΔSN_thよりも、増加した場合に、受信状態が改善したと判断する。このように受信状態が改善した場合には、携帯端末62は、水中から空気中に移動したと判断されて、空気用ノイズリダクション処理(図3のステップS104)にジャンプし、以降の処理を繰り返す。ここで、ステップS118及びステップS110における判定は、ステップS100における判定と同様に、通常の携帯端末に、通信用電波の受信機能として、既に、備わっているアンテナ10、受信回路12、及び受信状態の評価値の算出を使用して行っており、新たな装置の追加は必要でないため、小型、低コストで実現することが可能である。また、リアルタイムに受信状態の評価値の変化を監視することが可能であるため、ステップS110、S118のように、録画中においても、水中判定を行うことができ、携帯端末6の環境の変化に対応して、ノイズリダクションの処理を切り替えることができる。
【0036】
次に、水中用ノイズリダクション(第1のノイズリダクション)19の処理(ステップS112)、空気中用ノイズリダクション(第2のノイズリダクション)21の処理(ステップS104)について、ノイズのスペクトル解析に基づいて、より詳細に説明する。まず、コンティニュアスAF機構のようなノイズ源にて発生するノイズを、空気中で録音した場合のノイズの周波数スペクトルと、水中で録音した場合のノイズの周波数スペクトルは、異なっている。その要因は、幾つか存在し、そのうちの1つは、水中での音の伝達スピードであり、もう1つは、マイク部が水分で覆われる現象による特性の変化である。まず、水中では、空気中の約5倍のスピードで音波が伝達するので、2つの環境で発生するノイズのスペクトルは、異なる特性になる。次に、コンティニュアスAF機構のようなノイズ源は携帯端末の筺体を伝わりマイクに入力されるが、マイクの周囲が水分で覆われていると、水中のノイズのスペクトルは、空気中とは、異なる特性になる。
【0037】
次に、コンティニュアスAF機構のようなノイズ源で発生するノイズの除去方法については、特許文献2に記載されている方法を用いることが可能である。特許文献2には、空気中の環境で、コンティニュアスAFを作動させたときにノイズの周波数スペクトルを測定しておき、そのノイズの周波数スペクトルから、ノイズリダクションの処理が有効な複数の阻止帯域を決めている。本発明の実施例1では、特許文献2に開示された方法により、空気中だけでなく、水中においても、コンティニュアスAFを作動させたときにノイズの周波数スペクトルを測定し、各々の環境でのノイズの周波数スペクトルに対して、最適な複数の阻止帯域を決定すればよい。ここで、上述のように、水中と空気中のノイズのスペクトルは異なるので、水中において得られた複数の阻止帯域と、空気中において得られた複数の阻止帯域は異なる。従って、各々の環境でノイズリダクションを効果的に行うためには、水中/空気中の環境に適合した異なる特性のノイズリダクションをかけることが必要になる。次に、各々の環境における複数の阻止帯域が決まれば、所定の周波数帯域を阻止するディジタルフィルターを設計すればよい。ディジタルフィルターは、FIRフィルター又はIIRフィルターで構成され、阻止帯域に基づいて、最適なフィルター係数が算出される。
【0038】
以上のような方法により、水中用ノイズリダクション(第1のノイズリダクション)19、及び、空気中用ノイズリダクション(第2のノイズリダクション)21が、構成される。ここで、水中用ノイズリダクション(第1のノイズリダクション)19と空気中用ノイズリダクション(第2のノイズリダクション)21は、別々のディジタルフィルターとして構成してもよいし、あるいは、フィルター係数が可変で、フィルター係数が設定可能な1つのディジタルフィルターを構成して、水中と判定された場合と、それ以外の場合とで、別々のフィルター係数を設定するように構成してもよい。
【0039】
以上、説明したように、実施例1において、既に携帯端末に備えられているアンテナ、受信回路、及び受信状態の評価値の算出を使用することで、小型、低コストで水中判定を行うことを実現し、その判定結果に基づいて、各々の環境においてコンティニュアスAF機構が発生するノイズのノイズ特性に適合したノイズリダクションの処理を行った音声信号と、カメラ部で撮影した動画像を記録する携帯端末を提供することが可能である。
【実施例2】
【0040】
次に、実施例2の構成について、図4を参照しながら、説明する。図4は、実施例2に係る携帯端末のノイズ抑制装置110と動画撮影部112を示すブロック図である。実施例2の実施例1に対する違いは、シーン判別部52、画像制御部104が新たに追加されていること、及び、水中判定部98が、実施例1の水中判定部14に比べて、判定項目が追加されている点である。また、図5は、実施例2に係る携帯端末のノイズ抑制装置110の動作を示すフローチャートである。実施例2の実施例1に対する違いは、水中シーンでない場合に、空気中用ノイズリダクション処理を選択している点と、水中判定部14に、アンテナ解析結果による判定を追加している点である。実施例2において、実施例1との共通の部分に関しては、説明を省略し、上記した相違している点に関してのみ、以下に説明する。
【0041】
まず、図4を参照しながら、シーン判別部52と、その判別結果を使用した制御について説明する。シーン判別部52は、カメラ部56が向けている画像から、シーンを自動で判別するものである。一般に、デジタルカメラや携帯端末のカメラでは、シーン判別として、夕焼け、花、人物などを自動で判別することが行われているが、実施例2のシーン判別部52は、水中シーンを自動判別する機能を有している。シーン判別部52は、カメラ信号処理部32が出力する輝度信号と色差信号を用いて、シーン判別を行い、そのシーン判別結果は、ノイズリダクション部22と画像制御部104に供給される。
【0042】
ここで、シーン判別結果が、水中シーンであった場合には、撮影される画像は、光量が不足し暗い画像になる傾向があると判断される。そこで、水中シーンであった場合に、以下に示す補正のうち、いずれかを行うことが好ましい。1つ目は、撮像部の露光時間を長くすることである。例えば、動画が30フレーム/秒であった場合、可能な露光時間は、最大1/30秒である。もし、現状の露光時間が1/30秒よりも短く設定されている場合には、露光時間を現状よりも長く設定することによって、画像の明るさを改善することが可能である。上記の補正は、図4に示すように、露光時間設定の制御信号103を、画像制御部104から撮像デバイス30に供給することにより制御される。2つ目は、カメラ信号処理部32のカメラゲインを高く設定することである。例えば、輝度信号に乗算するゲイン係数を高くすると、画像を明るくすることが可能である。但し、ゲインを高くすると画像のノイズが強調されるので、明るさと画像のノイズがバランスする程度にゲイン係数を設定する必要がある。上記の補正は、図4に示すように、カメラゲイン設定の制御信号102を、画像制御部104からカメラ信号処理部32に供給することにより制御される。3つ目は、画像処理部36において、青色相の色を好ましい青に補正する処理を行うことである。例えば、青色相の彩度を強調するだけでもよいし、さらに青色相の色の色相を好ましい方向に補正するようにしてもよい。上記の補正は、図4に示すように、シーン判別結果101を画像制御部104から画像処理部36に供給することにより制御される。
【0043】
次に、実施例2における水中判定部98の動作について、詳細に説明する。実施例1では、水中判定は、通信電波の受信状態の評価値に基づいて行っていたが、実施例2では、これに追加して、アンテナ解析による水中判定も行っている。アンテナ解析は、携帯端末に搭載されるアンテナ10より微弱な信号を発生させ、周波数ごとのインピーダンスを測定した結果に基づき、水中判定を行うものである。これは、水中と空気中では、インピーダンスの周波数特性に差があることに着目したものである。図5において、ステップS102が追加され、通信電波の受信状態の評価値が低く、且つ、アンテナ解析結果が水中の場合のみ、水中用ノイズリダクションの処理が行われるように制御される。また、シーン判別部52におけるシーン判別結果が、水中シーンでない場合(ステップS200で、Noの場合)には、その情報を用いて、ノイズリダクション部22は、空気中用ノイズリダクション処理を行うようにしている(ステップS202)。以上、説明したように、実施例2では、水中判定機能がアンテナ解析により強化され、さらにシーン判別結果を使用することにより、水中判定の誤判定(水中でないのに、水中と判定してしまうこと)のケースを実施例1よりも抑えることができるという効果が得られる。
【0044】
以上、説明したように、実施例2において、既に携帯端末に備えられているアンテナ、送信回路、受信回路、及び受信状態の評価値の算出を使用することで、小型、低コストで水中判定を行うことを実現し、その判定結果に基づいて、各々の環境においてコンティニュアスAF機構が発生するノイズのノイズ特性に適合したノイズリダクションの処理を行った音声信号と、カメラ部で撮影した動画像を記録する携帯端末を提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のノイズ抑制装置、ノイズ抑制方法および携帯端末は、水中での音声記録及び動画撮影が可能な携帯電話に適用可能である。
【0046】
なお、本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
10:アンテナ
12:受信回路
14、98:水中判定部
16:マイク
18:アンプ
19:水中用ノイズリダクション(第1のノイズリダクション)
21:空気中用ノイズリダクション(第2のノイズリダクション)
20:A/D変換
22:ノイズリダクション部
26:AFユニット
28:レンズ駆動部
30:撮像デバイス
32:カメラ信号処理部
34:AF制御部
36:画像処理部
38:動画音声記録部
52:シーン判別部
56:カメラ部
58:LCD表示部
60:キー操作部
62:携帯端末
64:水
90、110:ノイズ抑制装置
92、112:動画撮影部
101:シーン判別結果
102:カメラゲイン設定の制御信号
103:露光時間設定の制御信号
104:画像制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、前記アンテナからの信号を受信する受信回路と、前記受信回路の出力に基づいて水中判定を行う水中判定部と、入力された音声信号のノイズを抑制するノイズリダクション部と、を備え、
前記水中判定部は、前記受信回路の出力に基づいて算出される受信状態の評価値が、所定の値より小さい場合に、水中であると判定し、
前記水中判定部が、水中であると判定した場合には、前記ノイズリダクション部は、入力された音声信号に対し、第1のノイズリダクションの処理を行い、
それ以外の場合には、前記ノイズリダクション部は、入力された音声信号に対し、前記第1のノイズリダクションとは異なる第2のノイズリダクションの処理を行うことを特徴とするノイズ抑制装置。
【請求項2】
前記受信状態の評価値が、所定の期間内で、所定の値以上、増加した場合、前記ノイズリダクション部は、ノイズリダクションの処理を第2のノイズリダクションに変更し、
前記受信状態の評価値が、所定の期間内で、所定の値以上、減少した場合、前記ノイズリダクション部は、ノイズリダクションの処理を第1のノイズリダクションに変更することを特徴とする請求項1に記載のノイズ抑制装置。
【請求項3】
前記受信状態の評価値は、受信電力とノイズ電力の比によって算出されることを特徴とする請求項1または2に記載のノイズ抑制装置。
【請求項4】
水中判定結果に基づいて、入力された音声信号のノイズを抑制するノイズ抑制方法であって、
アンテナの受信状態の評価値が、所定の値より小さい場合に、水中と判定する水中判定ステップと、
前記水中判定ステップにおいて、水中と判定された場合に、第1のノイズリダクションの処理を行うステップと、
それ以外の場合に、第1のノイズリダクションと異なる第2のノイズリダクションの処理を行うステップと、を含むことを特徴とするノイズ抑制方法。
【請求項5】
前記受信状態の評価値は、受信電力とノイズ電力の比によって算出されることを特徴とする請求項4に記載のノイズ抑制方法。
【請求項6】
アンテナと、前記アンテナからの信号を受信する受信回路と、前記受信回路の出力に基づいて水中判定を行う水中判定部と、入力された音声信号のノイズを抑制するノイズリダクション部と、
撮像デバイスとAFユニットを含み動画撮影を行うカメラ部と、前記AFユニットを制御するAF制御部と、前記ノイズリダクション部で処理された音声信号と前記カメラ部で撮影された動画像を記録する動画音声記録部と、を備え、
前記水中判定部は、前記受信回路の出力に基づいて算出される受信状態の評価値が、所定の値より小さい場合に、水中であると判定し、
前記水中判定部が、水中であると判定した場合には、前記ノイズリダクション部は、入力された音声信号に対し、第1のノイズリダクションの処理を行い、
それ以外の場合には、前記ノイズリダクション部は、入力された音声信号に対し、前記第1のノイズリダクションとは異なる第2のノイズリダクションの処理を行い、
前記カメラ部で撮影された動画像と、前記ノイズリダクション部で処理された音声信号とを、前記動画音声記録部で記録することを特徴とする携帯端末。
【請求項7】
前記受信状態の評価値が、所定の期間内で、所定の値以上、増加した場合、前記ノイズリダクション部は、ノイズリダクションの処理を第2のノイズリダクションに変更し、
前記受信状態の評価値が、所定の期間内で、所定の値以上、減少した場合、前記ノイズリダクション部は、ノイズリダクションの処理を第1のノイズリダクションに変更することを特徴とする請求項6に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記受信状態の評価値は、受信電力とノイズ電力の比によって算出されることを特徴とする請求項6または7に記載の携帯端末。
【請求項9】
前記AFユニットは、コンティニュアスAFで駆動することを可能に構成され、
前記ノイズリダクション部で、抑制するノイズは、前記AFユニットがコンティニュアスAFで駆動する際に発生するノイズであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項10】
シーン判別部をさらに備え、前記シーン判別部で自動判別されたシーン内容が、水中画像の場合、撮影画像に対して明るさを向上させる画像処理、撮影画像に対して青色相の色の彩度を高める画像処理、前記カメラ部の撮像デバイスの露光時間を長くする設定、カメラゲインを高くする設定のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−119975(P2012−119975A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268400(P2010−268400)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】