説明

ノイズ検出装置

【課題】アンテナより受信した不要輻射ノイズ中から測定対象のノイズを選択的に抽出すると共に、抽出したノイズレベルを容易に判定することが可能なノイズ検出装置を提供する。
【解決手段】ノイズ検出装置100は、設置環境に発生又は入来する不要輻射ノイズを受信するアンテナ1と、少なくとも機器が使用する周波数帯域以上の周波数帯域特性を有する広帯域増幅器2と、測定対象となる不要輻射ノイズの周波数を指定する入力装置7と、入力装置7により指定されたノイズ周波数を広帯域増幅器2により増幅された不要輻射ノイズ中から抽出するノイズ抽出手段11と、このノイズ抽出手段11により抽出されたノイズ成分を直流電圧レベルに変換する電圧変換手段12と、この電圧変換手段12により変換された電圧レベルにより不要輻射ノイズのランクを判定する制御部6と、制御部6が判定した不要輻射ノイズのランクを報知する表示装置9と、を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ検出装置に関し、さらに詳しくは、電波を使用する機器の設置環境に発生又は入来する不要輻射ノイズを選択的に検出するノイズ検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非接触ICカードにより入出場を制御する駅の自動改札機等は、電波法により強い電波を発射することが規制されているため、微弱な電波により情報の授受を行わざるを得ない。また、自動改札機の設置環境は必ずしもノイズの少ない環境とは限らず、むしろ、駅構内における従来からの改札口の設置場所にそのまま非接触ICカードによる自動改札機を設置する場合がほとんどであり、設置環境条件が劣悪な場所も多々ある。即ち、非接触ICカードにより入出場を制御する自動改札機は、非接触ICカードと交信する電波が微弱であるため、S/N比が低く(ノイズレベルに対して相対的に信号レベルが低くなる場合が多い)外来ノイズの影響を受けやすいといった問題がある。また、自動改札機に非接触ICカードを近接して通過する短い時間に、1枚目のカード捕捉を行い、そのカードの認証を完了し、2枚目の捕捉用要求により2枚目が無いか否かを判定するために捕捉用待ち時間待機し、2枚目が無いことを確認した上で1枚目のデータを読み込み、運賃判定処理を実行し、1枚目のICカードへの書き込みを行うといった一連の動作を正確に且つ確実に行わなければならないため、可能な限りノイズが少ない設置環境が望まれている。従って、非接触ICカードを使用する自動改札機の設置環境(外来ノイズの周波数と強さ、あるいは発生する時間帯等)を予め調査しておくことは、自動改札機設置に先立って可能な限り設置環境を改善することや自動改札機側にノイズ対策を講じておくことができ、自動改札機の稼働率を高める意味で重要である。
またノイズを測定する従来技術として、測定対象とするノイズを選択的に測定するために、急峻な減衰特性を有するバンドパスフィルタを備え、そのバンドパスフィルタを通過したノイズのみを測定する方法がある。
特許文献1には、放射される電波の強度を制御して、その電波により映像信号発生装置から発生される映像信号に重畳されたノイズ成分を測定するために、上記電波強度を変化させながら、上記映像信号の電波妨害を受けない通常の状態の信号レベルを記憶し、映像信号が電波妨害により影響を受けた状態の信号レベルを記憶して、それらの状態の信号レベル同士を比較することで、ノイズ量を定量的に測定する技術について開示されている。
また特許文献2には、試験対象物に接続されたワイヤ・ハーネスと、ワイヤ・ハーネスに接続された第1のプローブと、プローブに高周波信号を印加するための信号発生手段と、試験対象物から発生するノイズを検知するためのアンテナ手段と、アンテナ手段により検知されたノイズを可視化するための可視化手段とを有するノイズの可視化システム及びノイズ可視化方法について開示されている。
【特許文献1】特開平10−98749号公報
【特許文献2】特開2001−124808公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら自動改札機を設置する場合、設置後に自動改札機の動作状態をデバッグしながら、周辺のノイズ状態を調べてノイズの発生源を改善してノイズ発生を減少させたり、ノイズ発生源の改善が不可能な場合は、自動改札機側においてノイズに対する防護を強化する対策(ハード的に機器をシールドする対策や、ソフト的にデータを保護する対策)を講じていた。つまり、自動改札機を設置する前に設置環境の事前調査を行うためには、高い技術力と長年の経験を有する機器の設計者や専門家でなければ不可能なため、結局、設置後に機器のデバッグと同時にノイズ対策を同時にやらざるを得ないといった事情があった。また他の理由として、ノイズの発生源や周波数を見極めるためには特殊な測定機器とそれ以外の設備が必要であり、それを使いこなすためにも高い技術力と経験を備えた人材の確保が必要であるといった事情があった。
また特許文献1に開示されている従来技術は、電波妨害を受けない通常の状態の信号レベルと電波妨害により影響を受けた状態の信号レベルを記憶しておき、それらを比較することによりノイズレベルを測定するものであるので、場所が変わった場合に、その都度2種類の信号レベルを記憶し直さなければならず煩わしいといった問題がある。
また特許文献2に開示されている従来技術は、2次元可視化装置により2次元的なノイズの強弱を可視化するものであり、設備が大掛かりになると同時に3次元的なノイズ強度を判定することができないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、アンテナにより受信した不要輻射ノイズ中から指定の周波数のノイズレベルを判定するために、外部から指定された周波数を局部発振器により発振し、その発振信号と不要輻射ノイズを乗算することにより、測定対象のノイズを選択的に抽出すると共に、抽出したノイズレベルを容易に判定することが可能なノイズ検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、電波を送受信して情報の授受を行う機器の設置環境に発生又は入来する不要輻射ノイズを検出するノイズ検出装置であって、前記設置環境に発生又は入来する不要輻射ノイズを受信するアンテナと、少なくとも前記機器が使用する周波数帯域以上の周波数帯域特性を有する増幅器と、測定対象となる不要輻射ノイズの周波数を指定するノイズ周波数指定手段と、該ノイズ周波数指定手段により指定されたノイズ周波数を前記増幅器により増幅された不要輻射ノイズ中から抽出するノイズ抽出手段と、該ノイズ抽出手段により抽出されたノイズ成分を直流電圧レベルに変換する電圧変換手段と、該電圧変換手段により変換された電圧レベルにより前記不要輻射ノイズのランクを判定する制御手段と、該制御手段が判定した不要輻射ノイズのランクを報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする。
不要輻射ノイズ中には不特定周波数のノイズが含まれている。その中から特定の周波数のノイズを抽出できれば、機器の設置環境におけるノイズの状況を把握することができる。また、そのノイズレベルが簡単な方法により検出できれば、専門的な技術や経験がなくてもノイズの測定が可能となる。本発明はこのような要望に応えるために開発されたものであり、特定の周波数を指定するためのノイズ周波数指定手段と、不要輻射ノイズ中に含まれる特定の周波数のノイズを抽出するノイズ抽出手段と、抽出されたノイズの電圧レベルを生成する電圧変換手段と、その電圧レベルからノイズのランクを判定して報知する報知手段と、を備えている。
請求項2は、前記ノイズ抽出手段は、入力電圧に応じた周波数を発振する電圧制御発振器と、該電圧制御発振器により発振した発振信号とノイズ信号を乗算する周波数変換機とを備え、前記制御手段が前記ノイズ周波数指定手段により指定された周波数に対応した電圧を発生して前記電圧制御発振器に入力することにより、当該電圧制御発振器は前記電圧に対応した発振信号を生成し、該発振信号を前記周波数変換機に入力して、当該発振信号と同じ周波数のノイズ信号を抽出することを特徴とする。
本発明のノイズ抽出手段は、基本的には同期検波器の原理を応用したものである。即ち、指定された測定対象のノイズの周波数に基づいて、電圧制御発振器(VCO)に対してその周波数を発振する電圧を入力する。VCOは入力された電圧に応じた周波数の信号を発振して周波数変換機に供給する。周波数変換機はアンテナで受信したノイズとVCOにより発振された信号を乗算し、もし、ノイズに発振信号と同じ周波数のノイズが含まれていると、互いに強調しあってその周波数のノイズを抽出する。
【0005】
請求項3は、前記報知手段は、ランプまたはLEDを点灯する表示手段、若しくは音により当該電圧レベルを報知する発音手段を備えていることを特徴とする。
専門技術を必要としないで指定した周波数のノイズを容易に検出するためには、測定器が自動的に結果のみを報知することが必要である。その一つの手段としてランプやLEDにより、ノイズレベルを「大、中、小、無し」等に表示したり、または音声や音の大小により報知する手段がある。
請求項4は、前記制御手段は、前記報知手段が前記表示手段を備えている場合、前記電圧変換手段により変換された電圧レベルによる表示状態を一旦所定の時間保持し、該所定の時間経過後、前記電圧変換手段により変換された電圧レベルを再度検知するように制御することを特徴とする。
報知手段にランプやLED等により表示する手段を使用した場合、ノイズレベルをそのまま表示すると点滅が激しく視認しづらくなる。そこで本発明では、ノイズレベルを検知するとその表示状態を一旦ラッチして、その状態を所定の時間保持し、変化があれば表示を変更するようにする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、特定の周波数を指定するためのノイズ周波数指定手段と、不要輻射ノイズ中に含まれる特定の周波数のノイズを抽出するノイズ抽出手段と、抽出されたノイズの電圧レベルを生成する電圧変換手段と、その電圧レベルからノイズのランクを判定して報知する報知手段と、を備えているので、測定対象のノイズを選択的に抽出すると共に、抽出したノイズレベルを容易に判定することができる。
また請求項2では、ノイズ抽出手段は、入力電圧に応じた周波数を発振する電圧制御発振器(VCO)と、このVCOにより発振した発振信号とノイズ信号を乗算する周波数変換機とを備え、VCOは入力された電圧に応じた周波数の信号を発振して周波数変換機に供給し、周波数変換機はアンテナで受信したノイズとVCOにより発振された信号を乗算することにより、ノイズの中から特定の周波数のノイズを強調して抽出することができる。
また請求項3では、報知手段は、ランプまたはLEDを点灯する表示手段、若しくは音または音声による発音手段を備えているので、視覚と聴覚の何れかに障害を有する利用者でもノイズレベルを判定することができる。
また請求項4では、報知手段にランプやLED等により表示する手段を使用した場合、ノイズレベルを検知するとその表示状態を一旦ラッチして、その状態を所定の時間保持し、変化があれば表示を変更するようにしたので、表示状態を見やすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の一実施形態に係るノイズ検出装置の構成ブロック図である。このノイズ検出装置100は、設置環境に発生又は入来する不要輻射ノイズを受信するアンテナ1と、少なくとも機器が使用する周波数帯域以上の周波数帯域特性を有する広帯域増幅器(増幅器)2と、測定対象となる不要輻射ノイズの周波数(F0)を指定する入力装置(ノイズ周波数指定手段)7と、入力装置7により指定されたノイズ周波数を広帯域増幅器2により増幅された不要輻射ノイズ中から抽出するノイズ抽出手段11と、このノイズ抽出手段11により抽出されたノイズ成分を直流電圧レベルに変換する電圧変換手段12と、この電圧変換手段12により変換された電圧レベルにより不要輻射ノイズのランクを判定する制御部(制御手段)6と、制御部6が判定した不要輻射ノイズのランクを報知する表示装置(報知手段)9と、を備えて構成される。
尚、本実施形態におけるノイズ抽出手段11は、制御部6から発生される入力電圧(V0)に応じた周波数を発振する電圧制御発振器(以下、VCOと記す)8と、VCO8により発振した発振信号(f0)とノイズ信号(fn)を乗算する周波数変換機3とを備えて構成される。またノイズ抽出手段11は、例えば、DSB、SSBにおいて、変調時に除去された搬送波と同一の周波数、位相をもつ局部発振信号を使ってDSB信号との乗積をとって復調する同期検波の原理によりノイズを抽出する方法がある。また電圧変換手段12は、周波数変換機3から出力される交流のノイズ信号(S1)を全波整流する整流器4と、整流されたノイズ信号(S2)を積分する積分器5とを備えて構成され、積分器5は抵抗とコンデンサにより構成されるローパスフィルタの構成とすることができる。また、ホスト10により測定対象となる不要輻射ノイズの周波数(F0)を指定してもよい。
不要輻射ノイズ中には不特定周波数のノイズが含まれている。その中から特定の周波数のノイズを抽出できれば、機器の設置環境におけるノイズの状況を把握することができる。また、そのノイズレベルが簡単な方法により検出できれば、専門的な技術や経験がなくてもノイズの測定が可能となる。本発明はこのような要望に応えるために開発されたものであり、特定の周波数を指定するための入力装置7と、不要輻射ノイズ中に含まれる特定の周波数のノイズを抽出するノイズ抽出手段11と、抽出されたノイズの電圧レベルを生成する電圧変換手段12と、その電圧レベルからノイズのランクを判定して報知する表示装置9と、を備えている。
【0008】
次にこのノイズ検出装置100の概略動作について説明する。このノイズ検出装置100は、例えば、非接触ICカードを使用する自動改札機を設置する場合、その設置場所の環境を事前に調べる場合に使用される。本実施形態では非接触ICカードで使用する13.56MHzのノイズを検出する場合について説明する。ノイズ検出装置100を設置場所に設置し、入力装置7により測定対象となる13.56MHzを設定する。制御部6はVCO8が13.56MHzを発振するように、その周波数に対応した電圧(V0)を出力する。VCO8は電圧(V0)が入力されると、発振信号(f0)として13.56MHzの周波数の信号を発振する。その発振信号(f0)は周波数変換機3に入力される。一方、周囲環境には例えば、モータノイズ、インバータノイッズ等のノイズ源から高周波のノイズ(電波)が放射されているとすると、そのノイズはアンテナ1により受信され、広帯域増幅器2により所定のレベルに増幅されて周波数変換機3に入力される。ここでノイズは不特定の周波数のノイズが含まれており、そのレベルもさまざまである。周波数変換機3は広帯域増幅器2により増幅されたノイズ(fn)とVCO8から入力された発振信号(f0)を乗算する。ここでノイズ(fn)の中に発振信号(f0)と同じ周波数(13.56MHz)のノイズが存在すると、乗算機能によりそのノイズが強調されて抽出され、信号(S1)として出力される。そして信号(S1)は整流器4により全波整流(S2)されて積分器5により積分され、直流電圧(S3)として制御部6の入力ポートに入力される。制御部6では直流電圧(S3)のレベルを所定の閾値によりランクを判定し(詳細は後述する)、その結果を表示装置9に出力してランプ、LED等を点灯する。
【0009】
図2は本発明のノイズ検出装置100の動作を更に詳しく説明するための各部の波形を示す図である。この図では説明を簡略化するために、ノイズ中に測定対象周波数が含まれない場合と含まれる場合についてのみ説明する。実際には測定対象周波数のノイズはランダムに発生したり、連続的に発生したり、全く発生しない場合もある。
本説明では、広帯域増幅器2から周波数f0が含まれないノイズ20と含まれるノイズ21が発生した場合について説明する。まずノイズ検出装置100を設置場所に設置し、入力装置7により測定対象となる周波数F0(f0と等しい周波数)を入力装置7により設定する。入力装置7はマウス、キーボード等の入力手段であり、その情報を制御部6は記憶する。そして制御部6はVCO8が周波数f0の信号を発振するように、その周波数に対応した電圧(V0)23を出力する。VCO8は電圧(V0)が入力されると、発振信号24として(f0)の周波数の信号を発振する。その発振信号(f0)は周波数変換機3に入力される。一方、周囲環境には例えば、モータノイズ、インバータノイッズ等のノイズ源から高周波のノイズ(電波)(fn)20が放射されているとすると、そのノイズ20はアンテナ1により受信され、広帯域増幅器2により所定のレベルに増幅されて周波数変換機3に入力される。周波数変換機3は広帯域増幅器2により増幅されたノイズ(fn)とVCO8から入力された発振信号(f0)を乗算する。ここでノイズ(fn)の中に発振信号(f0)と同じ周波数のノイズが存在しない場合は、乗算機能によりそのノイズが強調されないので、信号25のように低いレベルの信号として出力される。そして信号25は整流器4により全波整流されて信号26になり、積分器5により積分され、直流電圧27として制御部6の入力ポートに入力される。制御部6では直流電圧27のレベルを所定の閾値によりランクを判定し、「ノイズ無し」として結果を表示装置9に出力してランプ、LED等を点灯する。表示装置9は例えば、「ノイズ大」「ノイズ中」「ノイズ小」「ノイズ無し」の文字に対応したランプを点灯するようにしてもよいし、液晶により文字そのものを表示しても良い。または音や音声により報知しても良い。
【0010】
次に、広帯域増幅器2から周波数f0が含まれるノイズ21が発生した場合について説明する。まずノイズ検出装置100を設置場所に設置し、入力装置7により測定対象となる周波数F0(f0と等しい周波数)を入力装置7により設定されて、入力装置7はマウス、キーボード等の入力手段であり、その情報が既に制御部6は記憶されているとする。そして制御部6はVCO8が周波数f0の信号を発振するように、その周波数に対応した電圧(V0)23を出力する。VCO8は電圧(V0)が入力されると、発振信号24として(f0)の周波数の信号を発振する。その発振信号(f0)は周波数変換機3に入力される。一方、周囲環境には例えば、モータノイズ、インバータノイッズ等のノイズ源から高周波のノイズ(電波)(f0)21が放射されているとすると、そのノイズ21はアンテナ1により受信され、広帯域増幅器2により所定のレベルに増幅されて周波数変換機3に入力される。周波数変換機3は広帯域増幅器2により増幅されたノイズ(fn)とVCO8から入力された発振信号(f0)を乗算する。ここでノイズ(fn)の中に発振信号(f0)と同じ周波数のノイズが存在する場合は、乗算機能によりそのノイズが強調されて、信号28、29のように高いレベルの信号として出力される。そして信号28、29は整流器4により全波整流されて信号30、31になり、積分器5により積分され、直流電圧32、33として制御部6の入力ポートにシリアルに入力される。制御部6では直流電圧32、33のレベルを所定の閾値によりランクを判定し、「ノイズ大」、次に「ノイズ中」として結果を表示装置9に出力してランプ、LED等を点灯する。
実際には以上の動作は連続的に一連の動作として行われる。即ち、入力装置7により設定された周波数は、次に新規の周波数を設定されるまで、或いは本システムの電源を切るまで制御部6の図示しないメモリ内に記憶されており、設定された周波数のノイズを連続的に検出するようにVCO8に対して電圧(V0)を出力し続ける。従って、表示装置9の表示部はリアルタイムにノイズのランクを表示するようになる。
【0011】
図3は本発明のノイズ検出装置100の動作を説明するためのフローチャートである。まずノイズ検出装置100を設置場所に設置する(S1)。このときアンテナ1だけを設置場所に設置しても良い。次に、入力装置7により測定対象となる周波数F0(f0と等しい周波数)を入力装置7により設定する(S2)。入力装置7はマウス、キーボード等の入力手段であり、その情報を制御部6は記憶する。そして制御部6はVCO8が周波数f0の信号を発振するように、その周波数に対応した電圧V0を出力する(S3)。VCO8は電圧V0が入力されると、発振信号としてf0の周波数の信号を発振する(S4)。その発振信号f0は周波数変換機3に入力される(S5)。一方、周囲環境には例えば、モータノイズ、インバータノイッズ等のノイズ源から高周波のノイズ(電波)fnが放射されているとすると、そのノイズはアンテナ1により受信され、広帯域増幅器2により所定のレベルに増幅されて周波数変換機3に入力される。周波数変換機3は広帯域増幅器2により増幅されたノイズfnとVCO8から入力された発振信号f0を乗算する。ここでノイズfnの中に発振信号f0と同じ周波数のノイズが存在しない場合は(S6でNOのルート)、乗算機能によりそのノイズが強調されないので、低いレベルの信号として出力される。そして信号S1は整流器4により全波整流されて信号S2になり、積分器5により積分され、直流電圧S3として制御部6の入力ポートに入力される。制御部6では直流電圧S3のレベルを所定の閾値によりランクを判定し、「ノイズ無し」として結果を表示装置9に出力してランプ、LED等を点灯する(S11)。ステップS6でノイズfnの中に発振信号f0と同じ周波数のノイズが存在する場合は(S6でYESのルート)、乗算機能によりそのノイズが強調されて、高いレベルの信号として出力される(S7)。そして信号S1は整流器4により全波整流されて信号S2になり(S8)、積分器5により積分され、直流電圧S3として制御部6の入力ポートにシリアルに入力される(S9)。制御部6では直流電圧S3のレベルを所定の閾値によりランクを判定し、「ノイズ小」(S12)、「ノイズ中」(S13)、「ノイズ大」(S14)として結果を表示装置9に出力してランプ、LED等を点灯する。
【0012】
図4(a)は積分器5の直流電圧S3の所定時間の波形と閾値の関係を示す図である。縦軸は閾値の電圧値(V)を表し、横軸は時間(t)を表す。図4(b)は図4(a)の閾値と直流電圧S3の交点により検出される各ランク電圧を表す図である。図4(c)は図4(b)の各ランク電圧に基づいてランクを判定する論理式である。例えば直流電圧S3の所定時間の波形に注目した場合、各閾値V1〜V4との交点がA〜Hが存在したとすると、検出される各ランク電圧は図4(b)のように閾値V1ではランク電圧(a)、閾値V2ではランク電圧(b)、閾値V3ではランク電圧(c)、閾値V4ではランク電圧(d)が検出される。そしてこれらのランク電圧を入力条件として論理式を構成すると図4(c)のようになる。ここで、符号に「’」がついていない場合は論理値「1」高レベル、「’」がついている場合は論理値「0」低レベルとする。即ち、「ノイズ大」=a・b・c・dとなり、全てのランク電圧が高レベルの論理積となる。「ノイズ中」=a・b・c・d’となり、ランク電圧dのみ低レベルで他は高レベルの論理積となる。「ノイズ小」=a・b・c’・d’となり、ランク電圧d、cが低レベルで他は高レベルの論理積となる。「ノイズ無し」=(a・b’・c’・d’)+(a’・b’・c’・d’)となり、ランク電圧aのみの高レベルで他は低レベルか、全てのランク電圧が低レベルの何れかの論理積となる。この論理式により判定したランプの状態を図4(b)の横軸に表示する。これによると、図4(a)の交点OからBまでと、交点HからOまでが「ノイズ無し」のランプが点灯し、図4(a)の交点BからCまでと、交点FからGまでが「ノイズ小」のランプが点灯し、図4(a)の交点CからDまでと、交点EからFまでが「ノイズ中」のランプが点灯し、図4(a)の交点DからEまでが「ノイズ大」のランプが点灯する。
【0013】
図5は本発明の表示装置9を点灯する制御フローチャートである。まず積分器5の直流電圧S3のレベルを検知して、図4(c)の論理式に基づいてランクを判定する。その結果、ランク大の場合(S21でYESのルート)「ノイズ大」を点灯し(S22)、その表示を保持する(S23)。そして直流電圧S3のレベルに変化があるか否かを判定し(S24)、変化がなければ(S24でNOのルート)ステップS23に戻ってそのまま表示を保持し、変化があれば(S24でYESのルート)、所定時間経過したかを判断して(S25)、所定時間経過するとステップS21に戻って繰り返す。また他のランクの場合も全てステップS23に進んで同様の動作が行われる。
このように本実施形態は、報知手段にランプやLED等により表示する表示装置9を使用した場合、ノイズレベルをそのまま表示すると点滅が激しく視認しづらくなる。そこで、ノイズレベルを検知するとその表示状態を一旦ラッチして、その状態を所定の時間保持し、変化があれば表示を変更するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るノイズ検出装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明のノイズ検出装置の動作を更に詳しく説明するための各部の波形を示す図である。
【図3】本発明のノイズ検出装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】(a)は積分器5の直流電圧S3の所定時間の波形と閾値の関係を示す図、(b)は(a)の閾値と直流電圧S3の交点により検出される各ランク電圧を表す図、(c)は(b)の各ランク電圧に基づいてランクを判定する論理式を示す図である。
【図5】本発明の表示装置を点灯する制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0015】
1 アンテナ、2 広帯域増幅器、3 周波数変換機、4 整流器、5 積分器、6 制御部、7 入力装置、8 VCO、9 表示装置、10 ホスト、11 ノイズ抽出手段、12 電圧変換手段、100 ノイズ検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を送受信して情報の授受を行う機器の設置環境に発生又は入来する不要輻射ノイズを検出するノイズ検出装置であって、
前記設置環境に発生又は入来する不要輻射ノイズを受信するアンテナと、少なくとも前記機器が使用する周波数帯域以上の周波数帯域特性を有する増幅器と、測定対象となる不要輻射ノイズの周波数を指定するノイズ周波数指定手段と、該ノイズ周波数指定手段により指定されたノイズ周波数を前記増幅器により増幅された不要輻射ノイズ中から抽出するノイズ抽出手段と、該ノイズ抽出手段により抽出されたノイズ成分を直流電圧レベルに変換する電圧変換手段と、該電圧変換手段により変換された電圧レベルにより前記不要輻射ノイズのランクを判定する制御手段と、該制御手段が判定した不要輻射ノイズのランクを報知する報知手段と、を備えたことを特徴とするノイズ検出装置。
【請求項2】
前記ノイズ抽出手段は、入力電圧に応じた周波数を発振する電圧制御発振器と、該電圧制御発振器により発振した発振信号とノイズ信号を乗算する周波数変換機とを備え、
前記制御手段が前記ノイズ周波数指定手段により指定された周波数に対応した電圧を発生して前記電圧制御発振器に入力することにより、当該電圧制御発振器は前記電圧に対応した発振信号を生成し、該発振信号を前記周波数変換機に入力して、当該発振信号と同じ周波数のノイズ信号を抽出することを特徴とする請求項1に記載のノイズ検出装置。
【請求項3】
前記報知手段は、ランプまたはLEDを点灯する表示手段、若しくは音により当該電圧レベルを報知する発音手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のノイズ検出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記報知手段が前記表示手段を備えている場合、前記電圧変換手段により変換された電圧レベルによる表示状態を一旦所定の時間保持し、該所定の時間経過後、前記電圧変換手段により変換された電圧レベルを再度検知するように制御することを特徴とする請求項1または3に記載のノイズ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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