説明

ノイズ解析システム、リーダライタ

【課題】 リーダライタを設置する環境におけるノイズ測定を容易に行うことができるようにすること。
【解決手段】 リーダライタ11と管理センタ41とが通信ネットワーク42を介して接続されている。リーダライタ11には通信ネットワーク42との間で通信を確立するための通信装置43が設けられ、管理センタ41には同じく通信ネットワーク42との間で通信を確立するための通信装置44と、リーダライタ11の外来ノイズを解析するための解析装置45が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型のRFIDタグとの間でデータの書き込み及び読み出しを行うことができるリーダライタと、そのようなリーダライタにおいて受信される外来ノイズの解析を行うノイズ解析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードと呼ばれる新しい情報記録媒体が、市場に広く出回っている。ICカードは、クレジットカード、銀行カード、ポイントカード等のカード状あるいはシート状の形状を備え、カード内にIC(Integrated Circuit)が組み込まれているものを総称した名称である。特に非接触型ICカードは、鉄道の駅改札における乗降時に使用される定期券等として、多くの駅で磁気カード方式と併用して採用されている。また、前記した非接触ICカードはデータのやり取りをリーダライタとの間で電波を介して行うため、リーダライタとICカード間のプロトコル、変調波形、及び符号化の標準化作業が進められている。特に、この標準化の中で、キャリア周波数として産業、科学、及び医療用に広く使用されている13.56MHzを使用することになり、各機器間の電波干渉の問題がクローズアップされてきた。言い換えると、リーダライタへの干渉波の影響がますます増加し、それによってリーダライタの誤動作を助長する結果となり、リーダライタ自らがその干渉波を事前に検出して対策する必要性に迫られている。
前述したように、リーダライタは、データのやり取りを電波で行うため、利便性が高い反面、その信頼性も高く要求される。つまり、同じキャリア周波数を使用する他の機器からの外来ノイズによるデータの誤認識を極力抑える必要性が出てくる。しかし、ICカードからの微弱な電波を受信してデータの授受を行うため、その受信感度は比較的高く、外部から強い電波が放射された場合、相互の電波による干渉やその他のノイズによる誤動作が無視できない問題となる。
そこで、特許文献1には、ループアンテナにより受信した搬送波の磁界強度を測定する磁界強度測定部を設け、事前に外来ノイズの存在を検知して、その結果を当該運用者に連絡することにより、外来ノイズの影響を迅速に排除できるリーダライタに関する技術が開示されている。
また特許文献2には、電子機器からのノイズを、アンテナで受信し、受信した受信信号をスペクトルアナライザに入力して周波数成分と強度の解析を行うことで、定量的なノイズの測定を行うようにしたEMI自動計測装置に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−48288公報
【特許文献2】特開平5−264619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているリーダライタでは、外来ノイズの有無については検知することができるものの、外来ノイズの周波数成分や強度などを検出できないため、外来ノイズが発生する要因などを突き止めることはできなかった。
また、特許文献2に開示されているEMI自動計測装置では、リーダライタを設置する設置環境のノイズを測定するには、設置環境下に、スペクトラムアナライザなどの高価な測定機材を持ち込む必要がある。また熟練した技術者が測定作業を行う必要があった。
そこで、本発明は前記したような点を鑑みてなされたものであり、リーダライタを設置する設置環境下におけるノイズ測定を容易に行うことができるリーダライトとノイズ解析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、ループアンテナを介して所定の変調方式により変調を施した搬送波を送信することによって、RFIDタグとの間で搬送電力の送信とデータ授受を非接触により行うリーダライタに対して外来ノイズの解析を行うノイズ解析システムであって、通信ネットワークを介して通信を可能とする通信手段を有するリーダライタと、前記リーダライタから送信されてくるデータに含まれるノイズ成分を解析する解析装置と、を備えたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、前記リーダライタは、前記ループアンテナを介して受信した受信信号を検波し、該検波信号と、該検波信号に含まれるノイズ成分を蓄積する蓄積手段を備えたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、前記解析装置は、前記通信ネットワークを介して前記リーダライタの蓄積手段に蓄積されていた検波信号を受信し、該検波信号に含まれるノイズ成分を解析することにより、前記リーダライタに対する外来ノイズ対策とすることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、前記リーダライタは、前記ループアンテナを介して受信した受信信号を検波し、該検波信号のアナログ信号レベルに対応したデジタルコード信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタルコード信号を蓄積するデジタル蓄積手段とを更に備えたことを特徴とする。
【0005】
請求項5記載の本発明は、ループアンテナを介して所定の変調方式により変調を施した搬送波を送信することによって、RFIDタグとの間で搬送電力の送信とデータ授受を非接触により行うリーダライタにおいて、前記ループアンテナを介して受信した受信信号を検波し、該検波信号を、該検波信号に含まれるノイズ成分と共に蓄積する蓄積手段を備えたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5記載のリーダライタにおいて、通信ネットワークを介して通信を可能とする通信手段をさらに備えていることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、ループアンテナを介して所定の変調方式により変調を施した搬送波を送信することによって、RFIDタグとの間で搬送電力の送信とデータ授受を非接触により行うリーダライタにおいて、前記ループアンテナを介して受信した受信信号を検波し、該検波信号を、該検波信号に含まれるノイズ成分と共に蓄積する蓄積手段と、前記受信信号に含まれる所要の周波数帯域成分を除去するフィルタ手段と、通信ネットワークを介して外部装置との通信を可能にする通信手段と、前記通信ネットワークを介して前記外部装置に前記蓄積手段に蓄積した外来ノイズを含む検波信号を送信可能とすると共に、前記通信ネットワークを介して前記外部装置から送信されてくる操作情報に基づいて前記フィルタ手段のフィルタ特性を制御するフィルタ制御手段と、を備えることを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、前記ループアンテナを介して受信した受信信号を検波し、該検波信号のアナログ信号レベルに対応したデジタルコード信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタルコード信号を蓄積するデジタル蓄積手段とを更に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の本発明によれば、リーダライタに通信ネットワークを介して通信を可能とする通信手段を設け、リーダライタから通信ネットワークを介して解析装置に解析データを送信できるように構成したことで、リーダライタを設置する設置環境の外来ノイズを測定する際に、設置環境下にスペクトラムアナライザなどの測定機器を持ち込んだり、或いは測定作業を行うために熟練した技術者を派遣することなく、通信ネットワークを介して接続した解析装置で専門的な外来ノイズの分析を行うことができるようになる。
また請求項2記載の本発明によれば、リーダライタにループアンテナにより受信される受信信号から検波した外来ノイズを含む検波信号を蓄積する蓄積手段を備えたことで、蓄積した検波信号を、通信ネットワークを介して解析装置に伝送することが可能になるため、解析装置における解析処理を短時間で行うことが可能になる。
請求項3記載の本発明によれば、解析装置において通信ネットワークを介してリーダライタから送信されてくる解析データの解析を行うことで検波信号に含まれる外来ノイズをより正確に測定することが可能になる。
請求項4記載の本発明によれば、検波手段で検波した検波信号をA/D変換するA/D変換手段を設け、A/D変換手段で変換した検波信号を蓄積手段に蓄積することで、蓄積手段に蓄積するデータ量を増大することが可能になると共に、デジタル化された信号を扱うことが可能となり、パーソナルコンピュータでの処理が容易となる。
また請求項5記載の本発明によれば、ループアンテナにより受信される受信信号から検波した外来ノイズを含む検波信号を蓄積手段に蓄積するようにしているので、蓄積した検波信号の波形を表示すれば、リーダライタにおいて外来ノイズの発生要因を特定するといったことが可能になる。
請求項6記載の本発明によれば、通信ネットワークを介して外部装置と通信を行う通信手段を設けたことで、蓄積手段に蓄積した検波信号を、通信ネットワークを介して外部装置に送信することが可能になるため、通信ネットワークを介して接続した解析装置で専門的な外来ノイズの分析を行うことができるようになる。
請求項7記載の本発明によれば、リーダライタにおいてループアンテナにより受信される受信信号から検波した外来ノイズを含む検波信号を蓄積手段に蓄積し、蓄積した検波信号を、通信ネットワークを介して外部装置に送信することができるため、上記同様、通信ネットワークを介して接続した外部装置で専門的な外来ノイズの分析を行うことが可能になる。また、通信ネットワークを介して外部装置から送信されてくる操作データに基づいて前記フィルタ手段のフィルタ特性を制御することが可能になるため、外部装置によりリーダライタの調整をリアルタイムに行うといったことが可能になる。
請求項8記載の本発明によれば、リーダライタにおいて、検波手段で検波した検波信号をA/D変換するA/D変換手段を設け、A/D変換手段で変換した検波信号を蓄積手段に蓄積することで、蓄積手段に蓄積するデータ量を増大することが可能になると共に、デジタル化された信号を扱うことが可能となり、パーソナルコンピュータでの処理が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
先ず、本発明の実施の形態としてのリーダライタについて説明する前に、一般的なリーダライタと、非接触型のRFID(Radio Frequency IDentification)タグの構成と、その動作について説明しておく。
図1はリーダライタの構成を示したブロック図である。
この図1に示すリーダライタ100は、外部にありリーダライタ100に対してデータの授受を行ってシステム全体を制御するコンピュータ(上位機器)50と、外部のコンピュータ50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、変調器4からのコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ部9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、この図には示していないRFIDタグ200との電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ部9を備えて構成されている。
【0008】
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、対を成すRFIDタグの構成を説明しておく。
図2は、RFIDタグの構成を示したブロック図である。
この図2に示すRFIDタグ200は、リーダライタ100からの電力搬送波によりデータの授受をするループアンテナ部20と、ループアンテナ部20からの電力搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する整流平滑回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、RFIDタグ200の全体の動作を制御する制御回路26とから構成されている。
なお、変調方式としては、振幅変調方式の一種であるASK(Amplitude Shift Keying)の他、PSK(Phase Shift Keying)方式、FSK(Frequency Shift Keying)方式などでもよい。
【0009】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。
リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。先ず、初期化が行われる。次に制御装置2は、RFIDタグ200に電力を供給するために、コマンド送信時は変調器4で変調を行い、RFIDタグ200からのレスポンス受信時は無変調とした信号を電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ部9から電磁波として外部に放射される。次に、RFIDタグ200がリーダライタ100に近接すると、ループアンテナ部20が電力供給用信号を受信し、整流平滑回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、タグ内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムにしたがって制御を開始する。
次に、制御回路26は、先ず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果、自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してループアンテナ部20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ部9を受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してRFIDタグ200が規格に合致したタグであると認識する。それにより、以後リーダライタ100とRFIDタグ200の間でデータ授受が行われる。
【0010】
以下、上記したリーダライタ100とRFIDタグ200の動作説明を踏まえたうえで、本実施の形態に係るリーダライタについて説明する。
図3は、第1の実施の形態に係るリーダライタの構成を示したブロック図である。
なお、上記図1と同一ブロックには同一番号を付して詳細に説明する。
この図3に示すように、本実施の形態としてのリーダライタ11においては、ループアンテナ9により受信され、検波復調器8において検波した検波信号のアナログ信号レベルをデジタルコード信号(以下、「検波データ」と表記する)に変換するA/D変換器12と、このA/D変換器12においてA/D変換した検波データを蓄積する蓄積装置13とが設けられている。この場合、蓄積装置13は、記録及び読み出しが可能な記憶媒体により構成され、A/D変換器12によりデジタル変換された検波データを蓄積するようにされる。
このような蓄積装置13は、例えば不揮発性メモリカードなどの半導体媒体、DVD、MO、MD、CD−R等の光媒体や光磁気媒体、或いは磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気媒体を利用して構成することが考えられる。
【0011】
図4は、本実施の形態とされるリーダライタ11に設けられている検波復調器8の内部構成を示した図である。
この図4(a)は、RFIDタグ200から送信されてくる送信信号に副搬送波(サブキャリア)が含まれていないときの検波復調器の構成を示した図である。
この図4(a)に示す検波復調器8は、検波器31、波形整形器32、復号回路33によって構成される。
検波器31は、ループアンテナ9により受信された受信信号の検波が行われる。検波器31で検波された検波信号は波形整形器32に供給され、波形整形器32において波形整形された後、復号回路33において復号されて制御装置2に供給される。この場合は検波器31から出力される検波信号が、A/D変換器12にも入力され、A/D変換器12において検波データに変換して蓄積装置13に蓄積されることになる。
また、図4(b)は、RFIDタグ200から送信されてくる送信信号に副搬送波(サブキャリア)が含まれているときの検波復調器の構成を示した図である。
また図4(b)に示す検波復調器8aは、検波器31、二次検波器34、波形整形器32、復号回路33により構成されることになる。
そして、この場合は、検波器31で、ループアンテナ9により受信された受信信号の検波を行った後、二次検波器34で副搬送波の検波を行うようにしている。そして、この二次検波器34で検波した検波信号が波形整形器32に供給され、波形整形器32において波形整形された後、復号回路33において復号されて制御装置2に供給されることになる。そして、この場合は二次検波器34から出力される検波信号が、A/D変換器12に入力され、A/D変換器12において検波データに変換して蓄積装置13に蓄積されることになる。
このように第1の実施の形態とされるリーダライタ11においては、検波復調器8により検波したアナログの検波信号をA/D変換器12でデジタルの検波データに変換した後、蓄積装置13により蓄積するようにしている。
【0012】
このように構成すれば、蓄積装置13に蓄積した検波データの波形を表示装置6に表示することができるので、この表示装置6に表示される波形を利用して、リーダライタ11において外来ノイズの発生要因を容易に特定するといったことが可能になる。
また、A/D変換器12で変換した検波データを蓄積装置13に蓄積することで、蓄積装置13に蓄積するデータ量を増大することが可能になると共に、デジタル化された信号を扱うことが可能となり、パソコンなどのホストコンピュータでの処理が容易となる。
なお、本実施の形態では、検波復調器8により検波したアナログの検波信号をA/D変換器12でデジタルの検波データに変換した後、蓄積装置13により蓄積するようにしているが、これはあくまでも一例であり、検波復調器8により検波したアナログの検波信号をA/D変換することなく、アナログ信号のまま蓄積装置13に蓄積することも可能である。この場合は、A/D変換器12が不要になるので、それだけコストを下げることができるようになる。
ところで、上記した第1の実施の形態に係るリーダライタ11においては、検波復調器8で検波した検波信号を蓄積装置13に蓄積し、蓄積した検波データの波形を表示装置6に表示するようにしているが、例えばリーダライタ11の蓄積装置13に蓄積した検波データを、スペクトラムアナライザなどの高価な測定器や熟練した技術者が待機している管理センタに伝送すれば、検波データに含まれる外来ノイズの詳細な分析を行うことも可能である。
【0013】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るノイズ解析システムの構成を示した図である。
この図5に示すノイズ解析システムは、上記図3に示したようなブロック構成のリーダライタ11と管理センタ41とが通信ネットワーク42を介して接続されている。このため、リーダライタ11には通信ネットワーク42との間で通信を確立するための通信装置43が設けられ、管理センタ41には同じく通信ネットワーク42との間で通信を確立するための通信装置44が設けられている。
この場合の通信ネットワーク42は、有線又は無線の公衆回線網や専用回線が考えられる。また、例えばインターネット、衛星通信網、光ファイバー網、その他各種の通信回線を適用することが考えられる。
また、管理センタ41には、FFT(Fast Fourier Transform)スペクトラムアナライザなどの解析装置45が設けられており、これらの解析装置45により通信ネットワーク42を介してリーダライタ11から伝送されてくる検波データの解析を行うようにしている。
このように第1の実施の形態にかかるノイズ解析システムにおいては、リーダライタ11において検波された検波データを、通信ネットワーク42を介して管理センタ41に伝送し、管理センタ41に備えられている解析装置45によって検波データの解析を行うようにしている。
このように構成しておけば、リーダライタ11を設置する設置環境の外来ノイズを測定する際に、リーダライタ11を設置する設置環境下にスペクトラムアナライザなどの解析装置45を持ち込んだり、或いは測定作業を行うために熟練した技術者を派遣したりすることなく、通信ネットワーク43により接続された管理センタ41で専門的な外来ノイズの分析を行うことができるようになる。
またこのとき、リーダライタ11において検波された検波データを蓄積装置13に蓄積したうえで、通信ネットワーク42を介して管理センタ41に伝送し、管理センタ41に備えられている解析装置45によって検波データの解析を行うようにすると、解析装置45における解析処理を短時間で行うことが可能になる。
【0014】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るノイズ解析システムの構成を示した図である。
この図6に示すノイズ解析システムでは、リーダライタ60と管理センタ41とが通信ネットワーク42を介して接続されることになるが、この場合のリーダライタ60には、例えばループアンテナ9と検波復調器8との間にアクティブフィルタ回路61が設けられている。
アクティブフィルタ回路61は、制御回路2の制御に応じてループアンテナ9により受信される受信信号に含まれる所要の周波数帯域成分の信号を除去するようになされている。この場合、制御部2は、通信ネットワーク42を介して、管理センタ41の入力装置46から伝送されてくる操作情報に基づいてアクティブフィルタ回路61のフィルタ特性を制御するようになされている。
一方、管理センタ41には入力装置46が設けられており、この入力装置46により操作データを入力することによりリーダライタ60に設けられているアクティブフィルタ回路61のフィルタ特性を遠隔操作できるようになされている。
したがって、このようなノイズ解析システムによれば、管理センタ41の解析装置45において、通信ネットワーク42を介してリーダライタ61から送られてくる検波データの解析を行うようにする。そして、その解析結果に基づいて、管理センタ41の技術者が入力装置46を操作することにより、通信ネットワーク42を介してリーダライタ60のアクティブフィルタ回路61のフィルタ特性を制御することができるようになる。すなわち、管理センタ46によりリーダライタ60のフィルタ調整をリアルタイムで行うことが可能になる。
なお、本実施の形態では、スイッチドキャパシタフィルタ回路のように特性を可変できるアクティブフィルタを例に挙げて説明したが、これはあくまでも一例であり、特性を変更できるフィルタ回路であれば適用可能である。
また、これまで説明した本実施の形態としてのリーダライタの構成はあくまでも一例であり、本実施の形態により本発明のリーダライタの構成が限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】リーダライタの動作を説明するためのブロック図である。
【図2】RFIDタグの動作を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るリーダライタの概略構造を示した図である。
【図4】検波復調器の内部構成を示したブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るノイズ解析システムの概略構成を示した図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るノイズ解析システムの概略構成を示した図である。
【符号の説明】
【0016】
1 送受信装置、2 制御回路、3 メモリ装置、4 変調器、5 入力装置、6 表示装置、7 電力増幅器、8、8a 検波復調器、9 ループアンテナ、11 リーダライタ、12 A/D変換器、13 蓄積装置、31 検波器、32 波形整形器、33 復号回路、34 二次検波器、41 管理センタ、42 通信ネットワーク、43、44 通信装置 45 解析装置、46 入力装置、50 上位機器、60 リーダライタ、61 アクティブフィルタ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループアンテナを介して所定の変調方式により変調を施した搬送波を送信することによって、RFIDタグとの間で搬送電力の送信とデータ授受を非接触により行うリーダライタに対して外来ノイズの解析を行うノイズ解析システムであって、
通信ネットワークを介して通信を可能とする通信手段を有するリーダライタと、前記リーダライタから送信されてくるデータに含まれるノイズ成分を解析する解析装置と、を備えたことを特徴とするノイズ解析システム。
【請求項2】
前記リーダライタは、前記ループアンテナを介して受信した受信信号を検波し、該検波信号と、該検波信号に含まれるノイズ成分を蓄積する蓄積手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のノイズ解析システム。
【請求項3】
前記解析装置は、前記通信ネットワークを介して前記リーダライタの蓄積手段に蓄積されていた検波信号を受信し、該検波信号に含まれるノイズ成分を解析することにより、前記リーダライタに対する外来ノイズ対策とすることを特徴とする請求項1に記載のノイズ解析システム。
【請求項4】
前記リーダライタは、前記ループアンテナを介して受信した受信信号を検波し、該検波信号のアナログ信号レベルに対応したデジタルコード信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタルコード信号を蓄積するデジタル蓄積手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のノイズ解析システム。
【請求項5】
ループアンテナを介して所定の変調方式により変調を施した搬送波を送信することによって、RFIDタグとの間で搬送電力の送信とデータ授受を非接触により行うリーダライタにおいて、
前記ループアンテナを介して受信した受信信号を検波し、該検波信号を、該検波信号に含まれるノイズ成分と共に蓄積する蓄積手段を備えたことを特徴とするリーダライタ。
【請求項6】
通信ネットワークを介して通信を可能とする通信手段をさらに備えていることを特徴とする請求項5記載のリーダライタ。
【請求項7】
ループアンテナを介して所定の変調方式により変調を施した搬送波を送信することによって、RFIDタグとの間で搬送電力の送信とデータ授受を非接触により行うリーダライタにおいて、
前記ループアンテナを介して受信した受信信号を検波し、該検波信号を、該検波信号に含まれるノイズ成分と共に蓄積する蓄積手段と、
前記受信信号に含まれる所要の周波数帯域成分を除去するフィルタ手段と、
通信ネットワークを介して外部装置との通信を可能にする通信手段と、
前記通信ネットワークを介して前記外部装置に前記蓄積手段に蓄積した外来ノイズを含む検波信号を送信可能とすると共に、
前記通信ネットワークを介して前記外部装置から送信されてくる操作情報に基づいて前記フィルタ手段のフィルタ特性を制御するフィルタ制御手段と、
を備えることを特徴とするリーダライタ。
【請求項8】
前記ループアンテナを介して受信した受信信号を検波し、該検波信号のアナログ信号レベルに対応したデジタルコード信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタルコード信号を蓄積するデジタル蓄積手段とを更に備えたことを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載のリーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−33735(P2006−33735A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213261(P2004−213261)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】