説明

ノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム

【課題】高い強度を有するノイズ電波が到来する環境下に車両が存在する場合に、当該ノイズ電波の影響を可能な限り低減できるノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システムを提供すること。
【解決手段】車両に取付けられた4つの指向性受信アンテナ12a,12b,12c,12dと、各指向性受信アンテナで受信した電波を増幅及び復調する受信回路15と、ノイズ電波の強度をノイズ信号強度に変換するRSSI回路16とを備える。ノイズ信号強度Sと所定レベルSLとを比較して両者の大小を判定し、ノイズ信号強度Sが所定レベルSLよりも大きい場合(S>SLの場合)に、当該ノイズ電波を受信した指向性受信アンテナが受信回路15から切離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自家用自動車等の車両に設けられ、同車両に備えられた受信機が本来受信すべき有効な電波の受信の妨げとなるノイズ電波(妨害波)の影響を低減する車両通信システムに関し、詳しくは、当該ノイズ電波の影響を低減することで、車両の運転者によって所持される携帯機(送信機)と、同車両に備えられた受信機との間の通信不良を改善するノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自家用自動車等の車両においては、セキュリティレベルの向上を目的として、自動エントリ機能を有する電子キーシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、「自動エントリ機能」とは、前記システムに対応する電子キー(携帯機)を所持している車両の運転者が車外の所定領域に進入してきた場合に、車載ドアのアンロック(解錠)を許可したり、エンジンを始動可能な状態としたりする機能をいう。
【0003】
この電子キーには、車両ごとに個別に設定されたIDコード(運転者のIDコード)が記憶されており、車両に備えられた受信機には、前記電子キーのIDコードと同一のIDコード(車両の正当使用者のIDコード)が記憶されている。ここで、車両からは、常時、電子キーへリクエスト信号が送信されており、このリクエスト信号を電子キーが受信すると、電子キーから運転者のIDコードを含む電波が前記受信機に送信される。そして、この受信機にて両IDコードが一致したことが確認されると、ドアロック制御装置やエンジン制御装置に制御信号が送信され、自動エントリ機能が有効となって車載ドアのアンロックが許可されたり、エンジンが始動可能な状態とされたりする。
【特許文献1】特開2005−200854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した電子キーシステムにおいては、電子キーからの電波を受信する受信アンテナが備えられ、この受信アンテナには、通常、無指向性のもの(指向性が意図的に管理されていないもの)が用いられている。このような無指向性受信アンテナを車両に設置すると、常時、当該車両を取り囲む全ての方向(360°方向)から到来する電波が受信される状態となる。
【0005】
このため、前記車両の近傍にテレビ塔等のノイズ電波源が存在すると、当該ノイズ電波源から発信されたUHF(Ultra High Frequency:極超短波)帯の指向性の強いノイズ電波が車両の受信機によって受信されるようになる。これにより、ノイズ電波の受信レベルが高い場合に、当該受信機内に備えられた受信回路がそのノイズ電波によって飽和してしまう。この結果、携帯機から送信され、運転者のIDコードを含んだ本来受信すべき有効な電波が、その受信感度を高めても受信できなくなる。この結果、車両の正当使用者が車両内に乗車できなくなる場合がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高い強度を有するノイズ電波が到来する環境下に車両が存在する場合に、当該ノイズ電波の影響を可能な限り低減し、車両側で受信すべき有効な電波の受信状態を改善するノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に取付けられ、前記車両を囲む方向から到来する電波を受信可能とされるとともに、それぞれが互いに異なる特定方向からの電波を選択的に受信するようにされた複数の指向性受信アンテナ手段と、各指向性受信アンテナ手段で受信した電波を増幅及び復調する受信電波復調増幅手段と、各指向性受信アンテナ手段で受信され、さらに前記受信電波復調増幅手段にて増幅及び復調されたノイズ電波の強度をノイズ信号強度に変換するノイズ電波変換手段と、前記ノイズ信号強度と所定レベルとを比較して両者の大小を判定するノイズ信号強度判定手段と、を備えた車両通信システムにおいて、前記ノイズ信号強度が前記所定レベルよりも大きいことが判定された場合に、前記所定レベルよりも大きいノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段を前記複数の指向性受信アンテナ手段が本来受信すべき有効な電波の受信に使用しないように前記受信電波復調増幅手段から切離すアンテナ切離手段をさらに備え、前記複数の指向性受信アンテナ手段によって前記所定レベルよりも大きいノイズ電波を受信した場合には、前記アンテナ切離手段によって前記所定レベルよりも大きいノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段を前記受信電波復調増幅手段から切離すとともに、前記複数の指向性受信アンテナ手段の内、前記所定レベルを超えたノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段以外の指向性受信アンテナ手段を前記有効な電波の受信に使用するように構成したこと、を要旨とする。
【0008】
上記請求項1の構成によれば、所定レベルを超えたノイズ信号強度を有するノイズ電波が特定の指向性受信アンテナ手段で受信された場合に、当該特定の指向性受信アンテナ手段が、車両側で本来受信すべき有効な電波の受信に使用されないように受信電波復調増幅手段から切離されるとともに、複数の指向性受信アンテナ手段の内、前記特定の指向性受信アンテナ手段以外の指向性受信アンテナ手段が、本来受信すべき有効な電波の受信に使用されるようになる。これにより、ノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム(を搭載した車両)が、高い強度を有するノイズ電波が到来する環境下に存在する場合に、そのノイズ電波によって受信電波復調増幅手段が飽和する現象が効果的に回避されるとともに、複数の指向性受信アンテナ手段によって受信されるノイズ電波の受信レベルが全体として低減し、車両側での有効な電波の受信感度が高められるようになる。その結果、例えば、このノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システムによって電子キーシステムが構成される場合においては、車両の運転者に所持される携帯機から送信され、本来受信すべきIDコードを含んだ有効な電波の受信状態が改善され、当該運転者(車両の正当使用者)が車両内に確実に乗車できるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両通信システムにおいて、前記所定レベルが、前記指向性受信アンテナ手段によって受信されるノイズ電波によって受信電波復調増幅手段が飽和しない当該ノイズ電波の信号レベルの範囲で、最大の信号レベルに設定されていること、を要旨とする。
【0010】
上記請求項2の構成によれば、受信電波復調増幅手段で受信されるノイズ電波の受信レベルが、当該受信電波復調増幅手段を飽和させない最大の信号レベル以下となるので、ノイズ電波によって受信電波復調増幅手段が飽和する現象をより効果的に回避できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両通信システムにおいて、前記アンテナ切離手段が、各指向性受信アンテナ手段と前記受信電波復調増幅手段との接続及び切断を行うアンテナ切換回路であり、且つ当該アンテナ切換回路を用いて指向性受信アンテナ手段を一定時間ごとに切り換えて電波を受信するように構成したこと、を要旨とする。
【0012】
上記請求項3の構成によれば、所定レベルを超えたノイズ信号強度を有するノイズ電波が特定の指向性受信アンテナ手段で受信された場合に、当該特定の指向性受信アンテナ手段が、本来受信すべき有効な電波の受信に使用されないようにアンテナ切換回路によって受信電波復調増幅手段から簡単且つ確実に切離されるようになる。しかも、当該アンテナ切換回路を用いて指向性受信アンテナ手段を一定時間ごとに切り換えて電波を受信するように構成しているので、複数の指向性受信アンテナ手段を所定の時刻で同時に受信に用いる場合に起こる反射波の悪影響を効果的に低減でき、これにより、有効な電波を受信する場合には、複数の指向性受信アンテナ手段の受信感度が全体として高められる。一方、ノイズ電波を受信する場合には、各指向性受信アンテナ手段が、それぞれ個別に受信電波復調増幅手段を介してノイズ電波変換手段に接続される(各指向性受信アンテナ手段から、それぞれ個別に受信電波復調増幅手段を介してノイズ電波変換手段に電波信号が送信される)ので、各指向性受信アンテナ手段ごとのノイズ信号強度と所定レベルとの大小の判定が、より確実に行えるようになる。この結果、ノイズ信号強度が所定レベルよりも大きいノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段をより正確且つ確実に特定することができるようになる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両通信システムにおいて、前記各指向性受信アンテナ手段で受信されるノイズ電波が、UHF帯に属するものであること(前記各指向性受信アンテナ手段が、UHF帯の電波に属するノイズ電波を受信するようにされていること)、を要旨とする。
【0014】
上記請求項4の構成によれば、各指向性受信アンテナ手段で受信されるノイズ電波が、UHF帯に属するようにされているので、指向性が強く、テレビ塔等の身近なノイズ電波源から頻繁に発せられ、しかも、車両側で本来受信すべき有効な電波がUHF帯の電波である場合に、特に強力な妨害電波となるUHF帯のノイズ電波の影響を効果的に排除できるようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両通信システムにおいて、前記車両の運転者を識別する第1のIDコードと、前記車両の正当使用者を識別する第2のIDコードとを照合する運転者IDコード照合手段と、前記運転者に所持され、所定の電波を送信する携帯機と、をさらに備え、前記有効な電波が、前記携帯機から送信される所定の電波であって、且つ前記第1のIDコードを含み、しかも、該第1のIDコードが前記有効な電波を介して前記運転者IDコード照合手段に送信されて当該第1のIDコードが前記第2のIDコードと照合され、両IDコードが一致したことが確認されると前記車両のドアが解錠状態となるように構成したこと、を要旨とする。
【0016】
上記請求項5の構成によれば、車両の運転者を識別する第1のIDコードが車両側で本来受信すべき有効な電波に含まれ、車両の正当使用者を識別する第2のIDコードと照合することで車両のドアが解錠可能となる。その結果、例えば、このノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システムによって電子キーシステムが構成される場合において、セキュリティー性を高めつつ、車両の正当使用者を確実に車両に乗車可能とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高い強度を有するノイズ電波が到来する環境下に車両が存在する場合に、当該ノイズ電波の影響を可能な限り低減し、車両側で受信すべき有効な電波の受信状態を改善する車両通信システムが提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。図1(a)に示すように、本実施形態のノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム(以下、単に「車両通信システム」という。)は、自家用自動車2(以下、単に「車両2」という。)に取付けられ、それぞれが互いに異なる特定方向からの電波を選択的に受信するようにされた複数の指向性受信アンテナ(A)12a,(B)12b,(C)12c,(D)12d(以下、これらを纏めて「アンテナ要素12」という。)を備えている。そして、該アンテナ要素12によって、この車両2を囲む方向(全方向;360°方向)から到来する電波を受信可能とされている。尚、本実施形態の車両通信システムは、車両2の運転者に所持され、所定の周波数帯(UHF帯)の電波(所定の電波)を送信可能、且つ、所定の周波数帯(LF[Low Frequency:長波]帯)の電波を受信可能な携帯機11を備えている。また、本実施形態の車両通信システムにおいては、前記アンテナ要素12で受信されるノイズ電波は、UHF帯に属するものとされている。
【0019】
図1(a)に示す車両通信システムにおいては、前記アンテナ要素12は、車両2の後方のトランク部2aに設置され、前記携帯機11は、車両2の右側前方に位置した状態とされている。また、アンテナ要素12の内、指向性受信アンテナ(A)12aは、車両2の右側前方を向くように設けられ、車両2に右側前方から向かって接近する携帯機11からの電波を選択的に受信できるようにされている。また、指向性受信アンテナ(B)12bは、車両2の左側前方を向くように設けられ、車両2に右側前方から向かって接近する携帯機11からの電波を選択的に受信できるようにされている。また、指向性受信アンテナ(C)12c及び指向性受信アンテナ(D)12dは、それぞれ車両2の左側及び右側後方を向くように設けられ、各方向から車両2に向かって接近する携帯機11からの電波を選択的に受信できるようにされている。尚、図1(a)では、ノイズ電波源であるテレビ塔300からUHF帯のノイズ電波が車両2に対して発信されている。
【0020】
本実施形態の車両通信システムは、図1(b)に示すように、前記アンテナ要素12で受信された電波を受信可能なように当該アンテナ要素12に電気的に接続された受信機13をさらに備えている。
【0021】
この受信機13は、車両2に備えられており、図1(b)に示すように、アンテナ要素12の指向性受信アンテナ12a〜12dを所定のロジックに従って切り換えるアンテナ切換回路14と、該アンテナ切換回路14を介してアンテナ要素12から電波を受信し、その電波を復調して電波信号とし、この電波信号を増幅する受信回路15とを備えている。該受信機13は、さらに前記受信回路15で増幅及び復調された電波信号の強度を受信信号強度(受信した信号の強度を表示する信号)に変換するRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度表示)回路16を備えている。詳述すると、前記アンテナ切換回路14は、4つのスイッチ(SWa,SWb,SWc,SWd)を備えている。そして、その内のSWaは、前記指向性受信アンテナ(A)12aと受信回路15との電気的接続の切断(開放)に用いられ、その他のスイッチ(SWb,SWc,SWd)は、それぞれ指向性受信アンテナ(B)12b,指向性受信アンテナ(C)12c,又は指向性受信アンテナ(D)12dと、受信回路15との電気的接続の切断に用いられる。また、前記受信回路15は、電波信号からノイズ電波の信号成分を除去するフィルタ回路15a、ノイズ電波成分除去後の電波信号を増幅する増幅回路15b、及び電波を復調して電波信号とする復調回路15cを備えている。また、RSSI回路16は、増幅及び復調後の電波信号についてその受信信号強度を検出可能なように前記受信回路15内の復調回路15cの出力側に直接、電気的に接続されている。前記アンテナ要素12によってノイズ電波が受信される場合には、当該ノイズ電波は、アンテナ切換回路14を経て受信回路15で電波信号に増幅及び復調され、さらに、当該ノイズ電波の強度は、RSSI回路16によってノイズ信号強度S(受信信号強度)に変換される。尚、本実施形態では、アンテナ要素12及び受信回路15は、主としてUHF帯に属する電波を受信するように構成されている。
【0022】
前記受信機13には、さらに、受信回路15で増幅及び復調された電波信号と、当該電波信号がRSSI回路16によって変換(検出)された受信信号強度とが入力されるとともに、該入力された電波信号及び受信信号強度について所定の処理を行うマイコン17が備えられている。該マイコン17には、図1(b)に示すように、受信回路15内の復調回路15cの出力側及びRSSI回路16の出力側がそれぞれ個別に電気的に接続されている。さらに、このマイコン17の一の出力部は、前記アンテナ切換回路14に電気的に接続されている。そして、当該マイコン17により行われる制御によって、アンテナ切換回路14に備えられた4つのスイッチ(SWa,SWb,SWc,SWd)が所定のロジックに従って切り換えられ、各指向性受信アンテナ12a〜12dと受信回路15との接続(電気的接続)と切断(開放)とが自在に行われるようになっている。
【0023】
前記マイコン17には、図1(b)を参照して、前記した所定の処理を行うためのプログラムが記憶されたメモリ17aが備えられている。詳述すると、このメモリ17aには、前述したノイズ信号強度Sを、所定レベルSLと比較して両者の大小を判定する第1のプログラムが記憶されている。ここで、この所定レベルSLは、本実施形態では、前記アンテナ要素12によって受信され、アンテナ切換回路14を経て受信回路15に入力されるノイズ電波によって当該受信回路15が飽和しない当該ノイズ電波の信号レベルの範囲で、最大となる信号レベルに設定されている。即ち、ノイズ信号強度Sが前記所定レベルSLを超えれば、当該ノイズ信号強度Sを有するノイズ電波の強度が受信回路15の許容入力範囲を超えるようになり、受信回路15が飽和する。尚、この第1のプログラムは、このような電波の信号レベルの大小の判定だけでなく、当該判定結果に基づき、アンテナ切換回路14を所定のロジックに従って切り換え、指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dを受信回路15と接続及び切断する処理も行われるように構成されている。
【0024】
本実施形態の車両通信システムは、アンテナ要素12によって受信されたノイズ電波のノイズ信号強度Sが所定レベルSLよりも大きいことが判定された場合に、当該所定レベルSLよりも大きいノイズ信号強度Sを有するノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dを、車両2に備えられたアンテナ要素12及び受信機13が本来受信すべき有効な電波の受信に使用しないように、受信回路15から切離すように構成されている。詳述すると、前記マイコン17(及びメモリ17aに記憶された第1のプログラム)によって、前記ノイズ信号強度Sと所定レベルSLとの大小関係が判定され、ノイズ信号強度Sが所定レベルSLより大きいと判定された場合(S>SLの場合)には、さらに当該マイコン17によって、アンテナ切換回路14が制御される。そして、アンテナ切換回路14によって、所定レベルSLよりも大きいノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dが、前記した有効な電波の受信に使用しないように受信回路15から切離される。そして、複数の指向性受信アンテナ12a〜12dの内、前記所定レベルSLを超えたノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12d以外の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dが前記有効な電波の受信に使用されるようになる。
【0025】
本実施形態の車両通信システムは、以上のように構成され、以下に、該車両通信システムの基本動作をフローチャート図に従って説明する。尚、このフローチャートは、マイコン17内のメモリ17aに記憶された前記第1のプログラムの動作フローを示したものである。
【0026】
図2に示すように、まず、ステップS1において、複数の指向性受信アンテナ(A〜D)12a〜12d(以下、図2の説明においては、複数の指向性受信アンテナ(A〜D)を「ANT(A〜D)」と略記する。)が動作する。次のステップS2において、各ANTのいずれかがノイズ電波源から発せられるノイズ電波を受信したことが認識されると、ステップS3に進み、時間変数T=0[sec]、時刻変数t=0[sec](初期値)にリセットされる。それとともに、続くステップS4でT=T+α(ここで、α[sec]は「所定の時間サイクル」であり、第1のプログラムに対して任意に設定可能である。)にインクリメントされる。
【0027】
次に、ステップS5で、ANT(A〜D)によって受信されたノイズ電波のノイズ信号強度Sが、各ANTごとにRSSI回路16によって検出され、メモリ17aに記憶される(各ANTで受信されたノイズ電波の強度がノイズ信号強度Sに変換される)。また、本ステップS5において、アンテナ切換回路14によって、ノイズ電波の受信に使用するANT(A〜D)を一定時間Δt[sec]ごとに切り換えて電波を受信するようにする。詳しくは、A,B,C,Dの順番で電波(ノイズ電波)を受信するANTをサイクリックに切り換えて行く。
【0028】
続いて、ステップS6で、各ANTにおいて受信されたノイズ電波のノイズ信号強度Sが、各ANTごとに所定レベルSL(この所定レベルSLは、前記アンテナ要素12によって受信され、アンテナ切換回路14を経て受信回路15に入力されるノイズ電波によって当該受信回路15が飽和しない当該ノイズ電波の信号レベルの範囲で、最大となる信号レベルに設定されている。)と比較され、当該所定レベルSLを超えた(S>SLとなる)ノイズ電波を受信したANTの存在の有無が判定される。本ステップS6では、このようなS>SLとなるANTが存在しない場合は、ステップS10へ進み、同ステップS10にて時刻変数t[sec](現在の時刻)が現在の時間変数T[sec]以上となる(t≧T)まで待機し、タイムアップ後に前記ステップS4に進む。一方、S>SLとなるANTが存在した場合は、次のステップS7に進む。
【0029】
次いで、ステップS7で、全てのANT(A〜D)でノイズ信号強度Sが所定レベルSLを超えている(S>SL)か否かが判定される。本ステップS7では、このようなS>SLとなるANTが存在しない場合は、ステップS10へ進み、同ステップS10にて時刻変数t[sec](現在の時刻)が現在の時間変数T[sec]以上となる(t≧T)まで待機し、タイムアップ後に前記ステップS4に進む。一方、全てのANTでS>SLとならない場合(少なくとも1つのアンテナでS≦SLとなり、且つ、少なくとも1つのアンテナでS>SLとなる場合)は、次のステップS8に進む。
【0030】
続いて、ステップS8で、複数のANT(A〜D)の内、S>SLとなるANTが特定され、さらに、当該特定されたANTを前記受信機13内の受信回路15から切り離すべく、マイコン17からアンテナ切換回路14に制御信号が送信され、この特定されたANTと受信回路15との電気的接続が切断される(該特定されたANTと接続されたスイッチ(SWa,SWb,SWc,又はSWd)が開放される。)。尚、この電気的接続の切断に伴い、S>SLとなるANT以外のANT(S≦SLとなるANT)が、携帯機11から送信される本来受信すべき電波の受信に使用されることになる。
【0031】
最後に、ステップS9において、携帯機11を所持した運転者(車両2の正当使用者)が車両2に乗車したか否かが車両2に備えられた別の検出装置によって検出され、当該運転者がまだ車両2に乗車していない場合は、当該検出装置から制御信号がマイコン17に送信され、前記ステップS10へ進む。同ステップS10にて時刻変数t[sec](現在の時刻)が現在の時間変数T[sec]以上(t≧T)となるまで待機し、タイムアップ後に前記ステップS4に進む。一方、前記運転者が既に車両2に乗車している場合は、前記別の検出装置からマイコン17に制御信号が送信され、本実施形態の車両通信システムの動作が終了する。
【0032】
尚、本実施形態の車両通信システムは、背景技術で説明したいわゆる電子キーシステムを構成している。即ち、図1(b)に示すように、前記車両2に備えられた受信機13内のマイコン17には、車両2に備えられたドアロック制御装置2b及びエンジン制御装置2cとが当該マイコン17によって制御可能なように電気的に接続されている。また、前記携帯機11から送信される所定の電波(有効な電波)には、車両2の運転者(携帯機11の所持者)を識別する第1のIDコードが含まれている。そして、当該第1のIDコードは、前記所定の電波を介して、前記携帯機11からマイコン17に送信されることで、前記第1のIDコードが、当該マイコン17のメモリ17aに登録され、車両2の正当使用者を識別する第2のIDコードと照合される。そして、両IDコードが一致したことが確認されると、マイコン17から前記ドアロック制御装置2b及びエンジン制御装置2cに制御信号が送信され、車両2のドアが解錠可能な状態となるとともに車両2のエンジンが始動可能な状態となるように構成されている。即ち、本実施形態では、前記マイコン17内のメモリ17aには、前記した第1のプログラムに加え、さらに、前記第1のIDコードと第2のIDコードの一致・不一致を判定するとともに、当該判定結果に基づきドアロック制御装置2b及びエンジン制御装置2cに制御信号を送信する第2のプログラムが記憶されている。
【0033】
本実施形態の車両通信システムによれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、前記所定レベルSLを超えたノイズ信号強度Sを有するノイズ電波が特定の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dで受信された場合に、当該特定の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dが、本来受信すべき有効な電波の受信に使用されないように受信機13内の受信回路15から切離される。それとともに、複数の指向性受信アンテナ12a〜12dの内、前記した特定の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12d以外の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dが、前記有効な電波の受信に使用されるようになる。これにより、本実施形態の車両通信システム(を搭載した車両2)が、高い強度を有するノイズ電波が到来する環境下に存在する場合に、そのノイズ電波によって受信機13内の受信回路15が飽和する現象が効果的に回避される。それとともに、アンテナ要素12によって受信されるノイズ電波の受信レベルが全体として低減し、前記有効な電波の受信感度が高められるようになる。その結果、本実施形態の車両通信システムで構成される電子キーシステムにおいては、車両2の運転者(車両2の正当使用者)に所持される携帯機11から送信され、車両2側で本来受信すべきIDコードを含んだ有効な電波の受信状態が改善され、当該運転者が車両2内に確実に乗車できるようになる。さらに、本実施形態によれば、所定レベルSLを超えたノイズ信号強度を有するノイズ電波を受信した特定の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dを受信回路15から切離すという簡便且つ確実な手段で当該指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dを前記有効な電波の受信に使用しないようにすることができる。
【0034】
(2)本実施形態では、前記所定レベルSLが、複数の指向性受信アンテナ12a〜12dによって受信されるノイズ電波によって受信回路15が飽和しない当該ノイズ電波の信号レベルの範囲で、最大の信号レベルに設定されている。このため、受信回路15を飽和させるノイズ信号強度Sを有するノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dが、アンテナ切換回路14によって、受信回路15から切り離され、受信回路15で受信されるノイズ電波の受信レベルが、当該受信回路15を飽和させない最大の信号レベル以下となる。この結果、ノイズ電波によって受信回路15が飽和する現象を確実に回避することができる。
【0035】
(3)本実施形態では、アンテナ切換回路14によって、各指向性受信アンテナ12a,12b,12c,及び12dを一定時間Δt[sec]ごとに切り換えてノイズ電波の受信に使用するように構成されている。このため、複数の指向性受信アンテナ12a〜12dにて所定の時刻で同時に電波を受信する場合に起こる反射波の影響、即ち、受信すべき直接波が地表面で反射されてアンテナ要素12への入射角度が変更される。これにより、直接波を受信する指向性受信アンテナとは異なる指向性受信アンテナで受信される反射波による影響を効果的に低減でき、前記有効な電波を受信する場合には、アンテナ要素12の受信感度が全体として高められる。一方、ノイズ電波を受信する場合には、各指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dが、それぞれ個別に受信回路15を介してRSSI回路16に接続される(各指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dから、それぞれ個別に受信回路15を介してRSSI回路16に電波信号が送信される)。これにより、各指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dごとのノイズ信号強度Sと所定レベルSLとの大小の判定が、より確実に行えるようになる。この結果、ノイズ信号強度Sが所定レベルSLよりも大きいノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dを正確且つ確実に特定することができるようになる。
【0036】
(4)本実施形態では、複数の指向性受信アンテナ12a〜12dが、UHF帯の電波に属するノイズ電波を受信するようにされている。このため、指向性が強く、しかも、テレビ塔等の身近なノイズ電波源から頻繁に発せられ、しかも、運転者が所持した携帯機11から送信され、車両2側で本来受信すべき有効な電波がUHF帯の電波である場合に、特に強力な妨害電波となるUHF帯のノイズ電波の影響を効果的に排除できるようになる。
【0037】
(5)本実施形態では、車両2の運転者を識別する第1のIDコードが車両2側で本来受信すべき有効な電波に含まれ、車両2の正当使用者を識別する第2のIDコードと照合することで車両2のドアが解錠可能及び車両2のエンジンが始動可能となる。その結果、本実施形態の車両通信システムで構成される電子キーシステムにおいては、セキュリティー性を高めつつ、車両の正当使用者を確実に車両に乗車可能且つエンジン始動可能とすることができる。
【0038】
尚、上記実施形態は以下のように変形してもよい。
・上記実施形態では、所定レベルSLを超えたノイズ信号強度Sを有するノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12d以外の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dを、本来受信すべき有効な電波の受信に使用するために、当該ノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dを受信回路15から切離す手段を用いた。しかし、この手段に代えて、当該ノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dが本来受信すべき有効な電波の受信に実質的に使用されないようにその受信感度を前記ノイズ電波を受信していない指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dに比して相対的に低下させる手段(アンテナ受信感度低下手段)を用いてもよい。これによっても、上記実施形態と同等の効果が得られる。
【0039】
・上記実施形態では、所定レベルSLを超えたノイズ信号強度Sを有するノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12d以外の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dを、本来受信すべき有効な電波の受信に使用するために、当該ノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dを受信回路15から切離すように構成した。しかし、これに代えて、ノイズ信号強度Sが所定レベルSL以下であって、且つアンテナ要素12内でノイズ信号強度Sが最小となる一の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dのみを、本来受信すべき有効な電波の受信に使用するように構成することも可能である。これにより、一の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dによって反射波の影響を排除しつつ、しかも、ノイズ電波の影響を低減しながら、前記有効な電波を可能な限り感度を高めて受信することができる。さらに、この場合は、全ての指向性受信アンテナ12a〜12dにおいて、ノイズ信号強度Sが所定レベルSLを超えないときでも、前記一の指向性受信アンテナ12a,12b,12c,又は12dによって、前記有効な電波を感度良く受信することが可能となる。
【0040】
・上記実施形態では、所定レベルSLを、各指向性受信アンテナ12a〜12dによって受信されるノイズ電波によって受信回路15が飽和しない当該ノイズ電波の信号レベルの範囲で、最大の信号レベルに設定した。しかし、これに限られず、例えば、当該最大の信号レベルの0.8倍や0.9倍等、0を超えて1.0以下の所定の定数倍に設定することもできる。さらに、前記した実施形態および変形例より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0041】
・請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両通信システムにおいて、前記ノイズ信号強度を前記複数の指向性受信アンテナ手段間で比較し、当該ノイズ信号強度が最小となるノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段を特定するアンテナ特定手段をさらに備え、当該特定された一の指向性受信アンテナ手段を前記有効な電波の受信に使用するように構成したノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム。この構成によれば、一の指向性受信アンテナ手段によって反射波の影響を排除しつつ、しかも、ノイズ電波の影響を低減しながら、本来受信すべき有効な電波を可能な限り感度を高めて受信することができる。さらに、この場合は、全ての指向性受信アンテナ手段において、ノイズ信号強度が所定レベルを超えないときでも、前記有効な電波を感度良く受信することが可能となる。
【0042】
・請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両通信システムにおいて、前記ノイズ信号強度が前記所定レベルよりも大きいことが判定された場合に、前記所定レベルよりも大きいノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段を前記複数の指向性受信アンテナ手段が本来受信すべき有効な電波の受信に使用しないように前記受信電波復調増幅手段から切離すアンテナ切離手段に代えて、前記ノイズ信号強度判定手段によって前記ノイズ信号強度が前記所定レベルよりも大きいことが判定された場合に、当該ノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段を前記複数の指向性受信アンテナ手段を本来受信すべき有効な電波の受信に使用しないように当該ノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段の受信感度を前記ノイズ電波を受信していない指向性受信アンテナ手段に比して相対的に低下させるアンテナ受信感度低下手段を備え、前記複数の指向性受信アンテナ手段によって前記所定レベルよりも大きいノイズ電波を受信した場合には、前記アンテナ受信感度低下手段によって前記所定レベルよりも大きいノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段の受信感度を前記ノイズ電波を受信していない指向性受信アンテナ手段に比して相対的に低下させるとともに、前記複数の指向性受信アンテナ手段の内、前記所定レベルを超えたノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段以外の指向性受信アンテナ手段を前記有効な電波の受信に実質的に使用するように構成したことを特徴とするノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム。このアンテナ受信感度低下手段を備える構成によれば、前記ノイズ信号強度判定手段を備えた構成(請求項1の構成)と同等の作用効果が得られる。尚、この場合、アンテナ受信感度低下手段は、車両に備えられた受信機(指向性受信アンテナ手段から送信される電波の強度を低減させるアッテネータ手段(請求項1のアンテナ切離手段に代えて配置される。)及び該アッテネータ手段を制御するマイコンを含む)で構成することができる。また、この場合、所定レベルは、ノイズ電波によって受信電波復調増幅手段が飽和しない当該ノイズ電波の信号レベルの範囲での最大の信号レベルよりも低いレベルに設定することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る車両通信システムを示す図であり、(a)は、同システムが自家用自動車(車両)に設けられ、同車両に向かう異なる4つの方向から到来する電波を受信している状態を示す模式図、(b)は、同システムの回路ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両通信システムの基本動作を示すフローチャート図。
【符号の説明】
【0044】
1…車両通信システム(ノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム)、2…自家用自動車(車両)、11…携帯機、12…アンテナ要素、12a,12b,12c,12d…指向性受信アンテナ(指向性受信アンテナ手段)、13…受信機(アンテナ受信感度低下手段)、14…アンテナ切換回路(アンテナ切離手段)、15…受信回路(受信電波復調増幅手段)、15a…フィルタ回路、15b…増幅回路、15c…復調回路、16…RSSI回路(ノイズ電波変換手段)、17…マイコン(ノイズ信号強度判定手段,運転者IDコード照合手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取付けられ、前記車両を囲む方向から到来する電波を受信可能とされるとともに、それぞれが互いに異なる特定方向からの電波を選択的に受信するようにされた複数の指向性受信アンテナ手段と、
各指向性受信アンテナ手段で受信した電波を増幅及び復調する受信電波復調増幅手段と、
各指向性受信アンテナ手段で受信され、さらに前記受信電波復調増幅手段にて増幅及び復調されたノイズ電波の強度をノイズ信号強度に変換するノイズ電波変換手段と、
前記ノイズ信号強度と所定レベルとを比較して両者の大小を判定するノイズ信号強度判定手段と、を備えた車両通信システムにおいて、
前記ノイズ信号強度が前記所定レベルよりも大きいことが判定された場合に、前記所定レベルよりも大きいノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段を前記複数の指向性受信アンテナ手段が本来受信すべき有効な電波の受信に使用しないように前記受信電波復調増幅手段から切離すアンテナ切離手段をさらに備え、
前記複数の指向性受信アンテナ手段によって前記所定レベルよりも大きいノイズ電波を受信した場合には、前記アンテナ切離手段によって前記所定レベルよりも大きいノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段を前記受信電波復調増幅手段から切離すとともに、前記複数の指向性受信アンテナ手段の内、前記所定レベルを超えたノイズ電波を受信した指向性受信アンテナ手段以外の指向性受信アンテナ手段を前記有効な電波の受信に使用するように構成したことを特徴とするノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両通信システムにおいて、
前記所定レベルが、前記指向性受信アンテナ手段によって受信されるノイズ電波によって受信電波復調増幅手段が飽和しない当該ノイズ電波の信号レベルの範囲で、最大の信号レベルに設定されているノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両通信システムにおいて、
前記アンテナ切離手段が、各指向性受信アンテナ手段と前記受信電波復調増幅手段との接続及び切断を行うアンテナ切換回路であり、且つ当該アンテナ切換回路を用いて指向性受信アンテナ手段を一定時間ごとに切り換えて電波を受信するように構成したノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両通信システムにおいて、
前記各指向性受信アンテナ手段で受信されるノイズ電波が、UHF帯に属するものであるノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両通信システムにおいて、
前記車両の運転者を識別する第1のIDコードと、前記車両の正当使用者を識別する第2のIDコードとを照合する運転者IDコード照合手段と、
前記運転者に所持され、所定の電波を送信する携帯機と、をさらに備え、
前記有効な電波が、前記携帯機から送信される所定の電波であって、且つ前記第1のIDコードを含み、しかも、該第1のIDコードが前記有効な電波を介して前記運転者IDコード照合手段に送信されて当該第1のIDコードが前記第2のIDコードと照合され、両IDコードが一致したことが確認されると前記車両のドアが解錠状態となるように構成したノイズ電波方向検知及び低減機能付き車両通信システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−5120(P2008−5120A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171412(P2006−171412)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】