ノズルクリーナ
【課題】カッタの剥離性能の低下を抑制でき、かつ、円滑に、溶接ノズルのスパッタを除去して所定部位に排出できるノズルクリーナを提供すること。
【解決手段】ノズルクリーナ10は、溶接ノズル2に付着したスパッタSを剥離するカッタ56の周囲に、スパッタ飛散防止用のケース60を配設させる。ケースの下部には、剥離したスパッタを粉砕するミキサー70が配設される。ミキサーは、カッタとともに回転駆動され、底壁部71と複数のフィン76とを備える。底壁部は、上面74をテーパ面とし、フィンは、カッタの排出溝部58より低い帯状突条部77と、外周側端部を底壁部の外周縁71bと等しくするテーパ状突条部78とを備える。ケースには、スパッタ排出用の排出管部61が配設され、排出管部61は、下方に向かって延びて、ケースの内周面に開口する排出口部62の上縁62aを、フィンより高くし、下縁62bを底壁部より低くする。
【解決手段】ノズルクリーナ10は、溶接ノズル2に付着したスパッタSを剥離するカッタ56の周囲に、スパッタ飛散防止用のケース60を配設させる。ケースの下部には、剥離したスパッタを粉砕するミキサー70が配設される。ミキサーは、カッタとともに回転駆動され、底壁部71と複数のフィン76とを備える。底壁部は、上面74をテーパ面とし、フィンは、カッタの排出溝部58より低い帯状突条部77と、外周側端部を底壁部の外周縁71bと等しくするテーパ状突条部78とを備える。ケースには、スパッタ排出用の排出管部61が配設され、排出管部61は、下方に向かって延びて、ケースの内周面に開口する排出口部62の上縁62aを、フィンより高くし、下縁62bを底壁部より低くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスアーク溶接に使用する溶接ノズルに付着したスパッタを除去するノズルクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のノズルクリーナとしては、溶接ノズルの下降時に溶接ノズル内に進入するカッタを回転させて、カッタの刃部により溶接ノズルに付着していたスパッタを剥離させて排出する構成としていた(特許文献1参照)。このノズルクリーナでは、カッタの周囲をケースで囲んで、カッタの回転駆動に使用したエアモータの排気を利用して、スパッタを吹き飛ばして排出していた。
【0003】
また、ノズルクリーナではないものの、切削具の切削により発生する切粉を、切削具を回転させる回転駆動軸に、フィンを直結し、切削具の回転時に、フィンを回転させて、切粉を吸い上げて所定部位に排出するものもあった(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−248152号公報
【特許文献2】特開2003−72294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の特許文献1に記載のノズルクリーナでは、カッタを回転させるエアモータの排気エアを利用しており、排気エアの流速を高めてスパッタを吹き飛ばそうとすれば、その排気エアの噴射ノズルの部位で、エアの流れを絞ることとなって、エアモータの出力を低下させてしまい、スパッタの剥離性能の低下を抑制できない。
【0006】
一方、特許文献2に記載の切削装置では、切削具の回転駆動軸にフィンを直結させており、切削具の回転力の低下を招き難く、切削性能の低下を抑制し易い。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の切削装置では、切削具の上方にフィンを配置させて回転させており、切削時の切粉を上方に吸い上げて側方の排出口部から排出させる構成としいた。そのため、ノズルカッタのように、下降させる溶接ノズル内にカッタを進入させて、溶接ノズルに付着したスパッタを剥離して除去する構造には、簡単に適用できない。すなわち、カッタの上方には、溶接ノズルが進入しており、スパッタを上方へ吸い上げることができない。また、スパッタは、大小の形状があり、フィンが、カッタの周囲を囲うケースの内周面との間でスパッタをかじるように挟み込んで、回転不能を招く虞れも生ずる。さらに、剥離したスパッタが、溶接ノズルの挿入部位から噴き出して飛散する虞れも生ずる。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、カッタの剥離性能の低下を抑制でき、かつ、円滑に、溶接ノズルのスパッタを除去して所定部位に排出できるノズルクリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<請求項1の説明>
本発明に係るノズルクリーナは、溶接ノズルの下降時に前記溶接ノズル内に進入するカッタを回転させて、前記カッタの刃部により前記溶接ノズルに付着していたスパッタを剥離させて排出するノズルクリーナであって、
前記カッタが、上下方向に沿った回転軸として回転可能に、下部側の連結部を回転駆動機構の駆動軸に連結させるとともに、下部側に、剥離した前記スパッタの排出溝部を設けて構成され、
前記カッタの周囲に、前記スパッタの飛散を防止可能に囲う円筒状のケースが配設され、
該ケースの上部に、前記溶接ノズルの下降時に前記溶接ノズル内に前記カッタを進入させるようにガイドするガイド部を設けて開口する上蓋部が、前記ケースの上部を塞ぐように配設され、
前記ケースの下部に、前記ケースの下部の全域を塞ぐように配設されるとともに、前記排出溝部から落下する前記スパッタを粉砕可能なミキサーが配設され、
該ミキサーが、前記回転駆動機構の駆動軸に、前記カッタの連結部とともに連結される構成として、前記ケースの下部の全域を塞ぐ円板状の底壁部と、前記駆動軸を中心として放射状に延びるように、該底壁部から上方に突出する複数のフィンと、を備えて構成され、
前記底壁部が、上面を、中心側から外周縁にかけて下方に下がる円錐台形状のテーパ面として構成され、
前記複数のフィンが、
前記駆動軸の近傍側に配置されて、前記排出溝部より低い高さで、かつ、前記底壁部からの突出高さを略一定とした帯状突条部と、
該帯状突条部の外周側端部からテーパ状に高さを低くして、外周側端部を前記底壁部の外周縁と等しくする高さとするテーパ状突条部と、
を備えて構成され、
前記ケースの下部側に、粉砕した前記スパッタを排出可能な排出管部が、配設され、
該排出管部が、前記ケースの内周面側に開口させた排出口部の上縁を、前記フィンより高くし、前記排出口部の下縁を、前記ミキサーの底壁部より下方に配置させて、前記排出口部から下方に向かって延びるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るノズルクリーナでは、溶接ノズルをガイド部に挿入させつつ下降させ、カッタを溶接ノズル内に進入させつつ回転させれば、カッタが溶接ノズルに付着したスパッタを剥離させて、スパッタが排出溝部に溜まり、さらに、排出溝部から離脱するように落下する。
【0011】
その際、排出溝部の下方には、カッタと共回りするミキサーが回転しており、ミキサーは、フィンの帯状突条部によって、スパッタを粉砕する。と同時に、ミキサーは、フィンのテーパ状突条部の回転により、駆動軸側から外周側に向かう気流を生じさせて、粉砕した細かいスパッタを気流に乗せて排出管部から排出する。また、ミキサーは、気流に乗らなかった粉砕されたスパッタを、テーパ状突条部の回転に伴う遠心力により、外周縁側に飛ばす。そして、ミキサーは、その底壁部の上面を、外周縁側を下向きに傾斜させた円錐台形状のテーパ面とし、さらに、排出管部におけるケースの内周面側に開口させた排出口部の下縁より、上方に配置させており、気流に乗らなかったスパッタは、円滑に、ミキサーの底壁部の上面から排出口部へ滑り落ちるように排出される。
【0012】
さらにその際、テーパ状突条部は、その外周縁を、底壁部の上面と高さを一致させるように構成されており、スパッタをケースの内周面との間でかじってミキサーの回転を停止させる事態を招くこと無く、円滑に、スパッタを排出管部側に押し出すように、排出できる。
【0013】
勿論、排出管部は、ケースの内周面に開口した排出口部から下向きに配設されており、円滑に排出口部から落下させるように、スパッタを排出できる。
【0014】
特に、ミキサーのフィンは、底壁部からの高さを略一定とし、剥離したスパッタを粉砕可能な帯状突条部だけでなく、外周縁側の高さを底壁部に一致させるように、テーパ状に高さを低くするテーパ状突条部を設けて、構成されている。さらに、フィンは、テーパ状突条部を含めて、駆動軸側より外周縁側を下方に下げた底壁部の上面から上方へ突出させており、ミキサーの回転に伴って、フィンは、底壁部の外周縁にかけて下向きに向かう気流を発生させ易くなり、上方のガイド部から粉砕したスパッタを噴き出すことを抑制し、粉砕したスパッタを混在させた状態の気流を、排出口部を経て排出管部から円滑に排気させることが可能となる。
【0015】
そして勿論、ミキサーは、カッタの駆動軸に直結されて、排気エアを利用して回転駆動されていないことから、カッタの剥離性能の低下を抑制することができる。
【0016】
したがって、本発明に係るノズルクリーナでは、カッタの剥離性能の低下を抑制でき、かつ、円滑に、溶接ノズルのスパッタを除去して所定部位に排出できる。換言すれば、本発明に係るノズルクリーナでは、カッタの回転を阻害することなく、カッタにより剥離させたスパッタを細かく砂状に粉砕して、ガイド部から噴き出させることなく、円滑に、排出管部から排出することができる。
【0017】
<請求項2の説明>
本発明に係るノズルクリーナでは、前記排出管部は、前記ケースの内周面側に開口した前記排出口部から下方に曲がる曲管部を設けて構成し、
前記ミキサーの底壁部は、上面の延長線を、前記曲管部の内周面における下面以上の高さ位置に配置させるように、配設することが望ましい。
【0018】
このような構成では、剥離されたスパッタがミキサーの底壁部を滑って排出される際、スパッタは、底壁部の外周縁から排出口部を経た後、極力、曲管部の下面との接触を抑制して、すなわち、曲管部の下面との摩擦抵抗を少なくして、排出管部の曲管部を通過して曲管部の下方へ落下する。したがって、このような構成では、粉砕したスパッタを、排出管部の排出口部付近に滞留させること無く、迅速に、排出管部の曲管部の下方へ排出できる。
【0019】
<請求項3の説明>
本発明に係るノズルクリーナでは、前記ミキサーの底壁部は、上面における前記駆動軸の軸直交方向からのテーパ角度を10〜20°の範囲内として、構成し、
前記ミキサーの各フィンは、前記駆動軸を中心として、放射状の直線状に延びるように配設し、
前記各フィンの前記テーパ状突条部は、前記ミキサーの半径方向の寸法において、前記フィンの略半分とし、上面における前記駆動軸の軸直交方向からのテーパ角度を30〜40°の範囲内として、構成することが望ましい。
【0020】
このような構成では、ミキサーの底壁部の上面のテーパ角度が、10〜20°の範囲内として、10°未満と小さくないことから、底壁部の上面を滑るスパッタを斜め下向きに排出して、円滑に排出管部に流入させ易く、また、20°を越えるように大きくないことから、底壁部の上面から突出する帯状突条部の回転時による気流を、ガイド部から噴出させるような上向きに向け難い。
【0021】
また、各フィンが、駆動軸を中心として、放射状の直線状に延びるように配設されて、湾曲する曲線状としていないことから、上向きの気流の発生を抑制して、斜め下向きの気流を発生させ易い。
【0022】
さらに、各フィンのテーパ状突条部が、ミキサーの半径方向の寸法において、フィンの略半分とし、上面のテーパ角度を30°未満や40°を越えるように大きくしていないことから、剥離したスパッタをガイド部側に吹き上げることを抑制して、斜め下向きに排出可能となる。すなわち、各フィンのテーパ状突条部が、ミキサーの半径方向の寸法において、フィンの略半分とし、上面のテーパ角度を30°未満とする場合には、帯状突条部の底壁部からの突出高さが、相対的に低くなり、剥離したスパッタを粉砕し難い。また、各フィンのテーパ状突条部が、ミキサーの半径方向の寸法において、フィンの略半分とし、上面のテーパ角度を40°を越える大きさとする場合には、帯状突条部やテーパ状突条部の底壁部からの突出高さが、相対的に高くなり過ぎて、上向きの気流を発生させ易くなり、ガイド部から粉砕したスパッタを噴出させる虞れが生ずる。
【0023】
なお、各フィンのテーパ状突条部が、ミキサーの半径方向の寸法において、フィンの略半分としていれば、ミキサーは、上向きの気流の発生を抑制した状態での帯状突条部による剥離したスパッタの粉砕と、テーパ状突条部による下向きの気流の発生と、をバランスよく確保できる。
【0024】
<請求項4の説明>
そして、本発明に係るノズルクリーナでは、前記ミキサーは、前記フィンを三枚配設させて構成することが望ましい。
【0025】
すなわち、フィンが二枚以下であれば、ケース内の底壁部上における排出口部から離れたエリアに、粉砕したスパッタの滞留量が多くなって、粉砕したスパッタを上方へ巻き上げる虞れが生じ、フィンが4枚以上であれば、ケース内の底壁部上における排出口部から離れたエリアでの粉砕したスパッタの滞留を抑制できるものの、フィン自体の数が多くなって、上方へ向かう気流を発生させ易くなってしまい、好ましくないからである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態のノズルクリーナの斜視図である。
【図2】実施形態のノズルクリーナの右側面図である。
【図3】実施形態のノズルクリーナの平面図である。
【図4】実施形態のノズルクリーナの断面図であり、図3のIV−IV部位に対応する。
【図5】実施形態のノズルクリーナにおけるカッタ、ナット、駆動軸、ミキサーの分解斜視図である。
【図6】実施形態のミキサーの平面図である。
【図7】実施形態のミキサーの正面図である。
【図8】実施形態のミキサーの断面図であり、図6のVIII−VIII部位に対応する。
【図9】実施形態のノズルクリーナに溶接ノズルを挿入する状態を説明する図である。
【図10】実施形態のノズルクリーナの作動時を示す概略横断面図である。
【図11】実施形態のノズルクリーナの作動時を示す概略縦断面図であり、排出口部の中央付近からフィンが外れて配置された状態を示す。
【図12】実施形態のノズルクリーナの作動時を示す概略縦断面図であり、排出口部の中央付近にフィンが配置された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のノズルクリーナ10は、図1〜4に示すように、クリーナ本体20と、クリーナ本体20を支持する支持台11と、を備えて構成され、クリーナ本体20は、支持台11の天板部12上に、複数(実施形態では4個)のダンパ25を介在させて、取付固定されている。
【0028】
クリーナ本体20は、溶接ノズル2の下降時に溶接ノズル2内に進入するカッタ56を回転させて、カッタ56の刃部57により溶接ノズル2に付着していたスパッタS(図10,11参照)を剥離する。そして、クリーナ本体20は、カッタ56、カッタ56を回転駆動させる回転駆動機構30、回転駆動機構30を支持する支持フレーム21、スパッタSの飛散を防止するケース60、剥離したスパッタSを粉砕するミキサー70、ケース60の上方を塞ぎ、かつ、下降時の溶接ノズル2を芯合わせしてカッタ56に挿入させる上蓋部80、を備えて構成されている。
【0029】
なお、溶接ノズル2は、溶接ロボットの所定のアームに保持された溶接トーチ1の先端に配設されて、図4,9に示すように、内周側にガスノズル3とワイヤノズル(コンタクトチップ)4とを配設させている。
【0030】
支持フレーム21は、四隅の下面側にダンパ25を配置させて、支持台11の天板部12の上面側に取付固定される略四角板状の下板部22と、下板部22の後部で上方に延びる湾曲した板状の支持壁部23と、を備えて構成されている。下板部22には、中央に、回転駆動機構30の駆動軸32を突出させる貫通孔22aが形成されるとともに、上面に、ケース60の円形の下端60bを嵌合させる嵌合凹部22cが形成されている。貫通孔22aの周縁には、軸受39を配設する段差部22bが形成されている。
【0031】
支持壁部23の上端には、上蓋部80の支持枠部82がねじ止めされて固定されている。なお、支持枠部82は、前部側の左右においても、下板部22に固定された支持ロッド24をねじ止めさせており、その結果、支持ロッド24,24と支持壁部23とを利用して、支持フレーム21に支持されている。
【0032】
回転駆動機構30は、回転駆動源としてのエアモータ31を備えて構成され、エアモータ31は、下板部22にボルト29止めされている取付スリーブ26に保持されて、支持フレーム21に保持されている。
【0033】
エアモータ31は、回転する駆動軸32として、エアモータ31自体から突出する本体部33と、本体部33の上部に連結される連結軸部34と、を備えて構成されている。連結軸部34は、下部側の筒状の下部連結部35(図5参照)が、ねじ37止めされて本体部33と連結され、上部側の筒状の上部連結部36(図5参照)が、カッタ56とミキサー70とを連結する部位としている。
【0034】
詳しく述べれば、図5,12に示すように、上部連結部36は、外周側にミキサー70を取り付けるための雄ねじ部36aを配設させるとともに、内周側にカッタ56を連結する雌ねじ部36bを配設させている。雄ねじ部36aは、ミキサー70を取り付けるための取付ナット55を螺着させるものであり、雄ねじ部36aの下端側には、ミキサー70の取付座部72の取付孔72aの周縁を受け止める段差部36cが形成されている。また、雄ねじ部36aの形成部位は、ミキサー70の連結軸部34に対する回り止めを図れるように、ミキサー70の取付孔72aの小判形状の開口に対応して、円柱形状から面取りした面取り筒部36dとして、形成されている。
【0035】
エアモータ31にエアを供給するエア供給機構40は、図2,4に示すように、支持フレーム21の下板部22に固定された取付ブラケット27に保持されるエアオペレータバルブ41と、エアオペレータバルブ41に連なってエア源からのエアを流入させるエア流入管部42と、を備えて構成されている。さらに、エア供給機構40は、溶接ノズル2の下降時に、エアモータ31を作動させるためのスイッチメカバルブ45と、カッタ56の取替え時等において、上蓋部80を開いた際に、エアモータ31を回転させずに確実に停止させるセーフティメカバルブ44と、を備えて構成されている。
【0036】
これらの構成を簡単に説明すると、エアオペレータバルブ41は、スイッチメカバルブ45からの始動管部46を経たエアの流入により、開弁して、エア流入管部42に流入していたエアをエア供給管部47に流し、エアモータ31を回転駆動させて、逆に、スイッチメカバルブ45からのエアの流入が無ければ、エア流入管部42に流入していたエアをエア供給管部47へ流さず、エアモータ31を回転させない構成としている。セーフティメカバルブ44は、上蓋部80内の所定位置に取り付けられ、エア流入管部42からの分岐管部43と連結される。そして、セーフティメカバルブ44は、上蓋部80が支持壁部23の上端に取り付けられていれば、分岐管部43からのエアをスイッチメカバルブ45へ流すが、上蓋部80が支持壁部23から離れれば、支持壁部23に接触して押し込まれていた図示しない作動片を突出させることとなって、スイッチメカバルブ45へのエアの流入を停止させる。スイッチメカバルブ45は、上蓋部80内の溶接ノズル2の挿入口86の直下付近に、揺動アーム45bを介在させて、作動片45aを配置させており、この作動片45aが、溶接ノズル2の先端2aの先端面2cや外周面2dに押し下げられて下方へ揺動する揺動アーム45bに押されて移動すれば(図9のA,B参照)、ONされて、セーフティメカバルブ44からのエアをエアオペレータバルブ41に流すことができる。
【0037】
すなわち、このエア供給機構40では、上蓋部80が支持壁部23に取り付けられていれば、セーフティメカバルブ44がONされ、そして、エア流入管部42から分岐管部43を経て流れるエアが、セーフティメカバルブ44を経て、スイッチメカバルブ45まで到達している状態としており、その状態で、溶接ノズル2が挿入口86内に挿入されて、作動片45aが押されれば、スイッチメカバルブ45がONされて、エアをエアオペレータバルブ41に流し、エアオペレータバルブ41がONされ、エアモータ31にエアが供給されて、エアモータ31が回転駆動する。そして、上蓋部80が支持壁部23から外れれば、セーフティメカバルブ44がOFFされ、スイッチメカバルブ45側にエアを流さないことから、スイッチメカバルブ45がONされても、エアオペレータバルブ41がONされず、エアモータ31は回転しない。
【0038】
カッタ56は、図5,10〜12に示すように、下部側の元部59側で連なって、駆動軸32により回転する回転軸Cを間にして対向する二枚の刃部57,57を備えて構成されている。各刃部57は、上部側の半割り円柱状の半割り円柱部57aと、半割り円柱部57aの下部に配置される半割り円錐台形状の半割り円錐台部57cと、を備えて構成されている。半割り円柱部57aは、刃部57の回転方向側の縁を、溶接ノズル2の内周面2bに付着したスパッタSを剥離する内周側切刃57bとして、構成されている。半割り円錐台部57cは、半割り円柱部57aから回転軸Cの直交方向に延びる上縁を、溶接ノズル2の先端面2cに付着したスパッタSを剥離する先端側切刃57dとして、構成されている。
【0039】
そして、刃部57,57の下部側の相互の間が、剥離したスパッタSを排出する排出溝部58としている。
【0040】
元部59には、下面に下方へ突出する円柱状の連結部59aが、形成され、連結部59aには、駆動軸32の連結軸部34における雌ねじ部36bに噛合される雄ねじ部59bと、連結軸部34の上端側に嵌合されるテーパ部59cと、が形成されている。
【0041】
上蓋部80は、図1,3,4,9に示すように、下降時の溶接ノズル2を芯合わせして、溶接ノズル2内にカッタ56を進入させるガイド部81を備えて構成される。ガイド部81は、支持枠部82に、一対の案内ローラ83a,84aを備えてなる二つのローラ部(上側ローラ部83と下側ローラ部84)を設けて構成される。一対の案内ローラ83a,84aは、それぞれ、鼓形状として、支持枠部82に回動自在に支持されて配設されている。そして、上側ローラ部83は、案内ローラ83a,83aを、それぞれ、前後方向の回転軸として、左右方向で対向させ、下側ローラ部84は、上側ローラ部83の下方で、案内ローラ84a,84aを、それぞれ、左右方向の回転軸として、前後方向で対向させるように配設させている。
【0042】
これらの各案内ローラ83a,84aの配置は、図3に示すように、上方から見て、先端2aを下方に配置させた状態で溶接ノズル2を挿入口86から挿入させる際に、溶接ノズル2に各案内ローラ83a,84aが摺動して回転できるように設定されている。そして、その挿入時には、まず、図9のAに示すように、溶接ノズル2の外周面2dの摺動による案内ローラ83a,83aの回動により、溶接ノズル2が前後の配置位置をカッタ56の刃部57,57の半割り円柱部57a,57aに対して一致させ、ついで、図9のBに示すように、外周面2dの摺動による案内ローラ84a,84aの回動により、溶接ノズル2が左右の配置位置をカッタ56の刃部57,57の半割り円柱部57a,57aに対して一致させて、その結果、溶接ノズル2が芯合わせされてカッタ56を進入させることができることとなる。
【0043】
なお、対向する案内ローラ84a,84aの中心軸相互の高さ位置には、カッタ56の刃部57,57の上端面が一致するように配設されている。
【0044】
上蓋部80の表面側には、支持枠部82を囲むように合成樹脂製のカバー85が配設され、カバー85における対向する案内ローラ83a,84a間の上方には、溶接ノズル2より僅かに大きな円形で開口する挿入口86が、配設されている。
【0045】
なお、上蓋部80には、既述のエア供給機構40のセーフティメカバルブ44とスイッチメカバルブ45とが配設されている。
【0046】
ケース60は、図1,4,10,12に示すように、アクリルやポリカーボネイト等の透明な合成樹脂製の円筒状として、スパッタSの飛散を防止可能にカッタ56の周囲に配置されている。ケース60は、下端60bが下板部22の嵌合凹部22cに嵌合され、上端60aが上蓋部80に塞がれるように、下板部22と上蓋部80の支持枠部82との間で挟持されて配設されている。
【0047】
ケース60の内周面60cには、下部側に、略円形に開口させて、剥離したスパッタSをケース60外へ排出可能な排出管部61が形成されている。実施形態の場合、ケース60と排出管部61とは、一体成形されている。排出管部61は、ケース60の内周面60c側に開口した排出口部62から略90度に円弧状に曲がって下向きとなる曲管部63から構成され、曲管部63の下端で円形に開口した流下口部64の下方には、実施形態の場合、排出したスパッタSを溜める貯留バケツ90が載置されている。
【0048】
排出管部61は、ケース60の内周面60c側に開口させた排出口部62の上縁62aを、後述するミキサー70のフィン76より高い位置に配置させ、排出口部62の下縁62bを、ミキサー70の底壁部71の外周縁71bより下方に配置させるように、構成されている。
【0049】
ケース60の下端60bの内周側には、図4,11に示すように、ケース60の下端60b側のシール性を良好にするように、円板状の下蓋部50が配設されている。下蓋部50は、所定数(実施形態では3個)の取付ボルト48を利用して、下板部22に取付固定されている。また、下蓋部50は、連結軸部34を貫通させる貫通孔51を備えて、貫通孔51の上端側の内周縁における段差部52に配置される軸受38と、下板部22に配置される軸受39とにより、連結軸部34を回動可能に貫通孔51内に配設させている。
【0050】
さらに、下蓋部50の上部外周には、凹溝53aを設けた鍔部53が配設され、凹溝53aには、ケース60の下端60b付近の内周面60cに圧接されるOリング54が嵌め込まれている。
【0051】
ミキサー70は、図4〜8,10に示すように、アルミニウム等の金属製の円板状として、ケース60の下部における下蓋部50の上方で、ケース60の下部の全域を塞ぐように配設されている。ミキサー70は、駆動軸32における連結軸部34に対して、カッタ56とともに連結されて、ケース60の下部の全域を塞ぐ円板状の底壁部71と、駆動軸32を中心として放射状に延びるように、底壁部71から上方に突出する複数のフィン76と、を備えて構成されている。実施形態の場合、フィン76は、三枚形成されている。
【0052】
ミキサー70は、取付ナット55を利用して、連結軸部34に連結される構成としており、底壁部71の中央には、連結軸部34の面取り筒部36dを貫通させる小判形状に開口した取付孔72aを設けた取付座部72が形成されている。ミキサー70は、取付孔72aに面取り筒部36dを貫通させ、取付孔72aの周縁を段差部36cに当接させた状態で、雄ねじ部36aに螺合される取付ナット55に締め付けられて、連結軸部34に連結される。
【0053】
そして、底壁部71は、取付座部72の外周側をテーパ部73として、その上面74を、中心71a側から外周縁71bにかけて下方に下がる円錐台形状のテーパ面としている。
【0054】
なお、実施形態の場合、底壁部71のテーパ部73は、その上面74における駆動軸32の軸直交方向からのテーパ角度θ1を10〜20°の範囲内の15°として構成されている(図8参照)。また、実施形態の場合、ミキサー70の外径寸法D1は、ケース60の内周面60cの内径寸法(約80mm)より僅かに小さな79mm、取付座部72の外径寸法D2は36mmとしている(図6参照)。
【0055】
フィン76は、それぞれ、駆動軸32の近傍側に配置される帯状突条部77と、底壁部71の外周縁71b側のテーパ状突条部78と、を備えて構成される。また、フィン76は、剛性を確保できるように底壁部71の下方側にかける幅寸法を広くさせているが、上面77a,78aの幅寸法B1(図6参照、実施形態では約1.,5mm)を一定の細幅とした薄板状として、形成されている。
【0056】
そして、帯状突条部77は、図8に示すように、底壁部71からの突出高さH1(実施形態では約5mm)を一定として形成されている。また、帯状突条部77は、上面77aの高さを、ミキサー70の駆動軸32への取付時、カッタ56の排出溝部58より低い高さとなるように、設定されている。
【0057】
テーパ状突条部78は、帯状突条部77の外周側端部77bからテーパ状に高さを低くして、外周側端部78bを底壁部71の外周縁71bと等しくする高さとしている。テーパ状突条部78は、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分として配設されている。
【0058】
また、実施形態の場合、テーパ状突条部78の上面78aは、駆動軸32の軸直交方向からのテーパ角度θ2を30〜40°の範囲内の35°として構成されている。
【0059】
そして、ミキサー70と排出管部61との関係では、図7に示すように、底壁部71の外周縁71bと排出管部61の排出口部62の下縁62bとの高さに関し、外周縁71bが下縁62bより高い高さに設定され、さらに、底壁部71の上面74の延長線ELが、曲管部63の内周面63aにおける下面63b以上の高さ位置に配置させるように、構成されている。
【0060】
実施形態のノズルクリーナ10では、使用時、挿入口86を経て、溶接ノズル2をガイド部81に挿入させつつ下降させれば、図9のA,Bに示すように、ガイド部81の上側ローラ部83や下側ローラ部84のガイドにより、溶接ノズル2が、カッタ56に芯合わせされて、カッタ56を進入させ、また、エア供給機構40のスイッチメカバルブ45が溶接ノズル2による作動片45aや揺動アーム45bの押圧によって、エアモータ31を回転駆動させることから、カッタ56が回転する。そのため、溶接ノズル2は、図10〜12に示すように、先端面2cをカッタ56の刃部57における半割り円錐台部57cと当接するまで押し込まれれば、カッタ56の各刃部57の内周側切刃57bや先端側切刃57dの回転により、内周面2bや先端面2cに付着したスパッタSが剥離されて、剥離されたスパッタSが排出溝部58に溜まり、さらに、排出溝部58から離脱するように落下する。
【0061】
その際、排出溝部58の下方には、カッタ56と共回りするミキサー70が回転しており、ミキサー70は、フィン76の帯状突条部77によって、スパッタSを粉砕する。と同時に、ミキサー70は、フィン76のテーパ状突条部78の回転により、駆動軸32側から外周側に向かう気流Aを生じさせて、粉砕した細かいスパッタ(微細スパッタ)SSを気流Aに乗せて排出管部61から排出する。また、ミキサー70は、気流Aに乗らなかった粉砕されたスパッタ(粉砕スパッタ)SCを、テーパ状突条部78の回転に伴う遠心力により、外周縁78b側に飛ばす。そして、ミキサー70は、その底壁部71の上面74を、外周縁71b側を下向きに傾斜させた円錐台形状のテーパ面とし、さらに、排出管部61におけるケース60の内周面60c側に開口させた排出口部62の下縁62bより、上方に配置させており、気流Aに乗らなかった粉砕スパッタSCは、円滑に、底壁部71の上面74から排出口部62へ滑り落ちるように排出される。
【0062】
さらにその際、テーパ状突条部78は、その外周縁(外周側端部)78bを、底壁部71の外周縁71bの上面74と高さを一致させるように構成されており、十分に粉砕されていない塊スパッタSBをケース60の内周面60cとの間でかじってミキサー70の回転を停止させる事態を招くこと無く、円滑に、粉砕した粉砕スパッタSCとともに塊スパッタSBを排出管部61側に押し出すように、排出できる。
【0063】
勿論、排出管部61は、ケース60の内周面60cに開口した排出口部62から下向きに配設されており、円滑に排出口部62から落下させるように、粉砕スパッタSC,SBを排出できる。
【0064】
特に、ミキサー70のフィン76は、底壁部71からの高さを略一定とし、剥離したスパッタSを粉砕可能な帯状突条部77だけでなく、外周縁71b側の高さを底壁部71に一致させるように、テーパ状に高さを低くするテーパ状突条部78を設けて、構成されている。さらに、フィン76は、このテーパ状突条部78を含めて、駆動軸32側より外周縁71b側を下方に下げた底壁部71の上面74から上方へ突出させており、ミキサー70の回転に伴って、フィン76は、底壁部71の外周縁71bにかけて下向きに向かう気流Aを発生させ易くなり、上方のガイド部81の挿入口86から粉砕したスパッタSを噴き出すことを抑制し、粉砕したスパッタSを混在させた気流Aを、排出口部62を経て排出管部61から円滑に排気させることが可能となる。
【0065】
そして勿論、ミキサー70は、カッタ56の駆動軸32の連結軸部34に直結されて、排気エアを利用して回転駆動されていないことから、カッタ56の剥離性能の低下を抑制することができる。なお、実施形態の場合、エアモータ31は、作動時、約2000rpm程度の高回転で駆動軸32を回転でき、ミキサー70を連結させていても、その出力を殆ど低下させない。
【0066】
したがって、実施形態のノズルクリーナ10では、カッタ56の剥離性能の低下を抑制でき、かつ、円滑に、溶接ノズル2のスパッタSを除去して所定部位の貯留バケツ90に排出できる。換言すれば、実施形態のノズルクリーナ10では、カッタ56の回転を阻害することなく、カッタ56により剥離させたスパッタSを細かく砂状に粉砕して、ガイド部81から噴き出させることなく、円滑に、排出管部61から排出することができる。
【0067】
また、実施形態のノズルクリーナ10では、排出管部61が、ケース60の内周面60c側に開口した排出口部62から下方に曲がる曲管部63を設けて構成されて、ミキサー70の底壁部71が、上面74の延長線ELを、曲管部63の内周面63aにおける下面63b以上の高さ位置に配置させるように、構成されている。
【0068】
そのため、実施形態では、粉砕された粉砕スパッタSC,SBがミキサー70の底壁部71を滑って排出される際、粉砕スパッタSC,SBは、底壁部71の外周縁71bから排出口部62を経た後、極力、曲管部63の下面63aとの接触を抑制して、すなわち、曲管部63の下面63aとの摩擦抵抗を少なくして、排出管部61の曲管部63を通過して曲管部63の下方へ落下する。したがって、このような構成では、粉砕スパッタSC,SBを、排出管部61の排出口部62付近に滞留させること無く、迅速に、排出管部61の曲管部63の下方の貯留バケツ90へ排出できる。
【0069】
なお、実施形態の場合には、底壁部71が、上面74の延長線ELを、曲管部63の内周面63aにおける下面63bより、高くした。しかし、粉砕スパッタSC,SBが摩擦抵抗を少なくして排出管部61の曲管部63を通過して曲管部63の下方へ落下できれは、底壁部71は、その上面74の延長線ELを、曲管部63の内周面63aにおける下面63bと略一致、すなわち、下面63bの接線とするように、構成してもよい。
【0070】
さらに、実施形態のノズルクリーナ10では、ミキサー70の底壁部71が、上面74における駆動軸32の軸直交方向からのテーパ角度θ1を10〜20°の範囲内の15°として、構成され、ミキサー70の各フィン76が、駆動軸32を中心として、放射状として直線状に延びるように配設され、各フィン76のテーパ状突条部78が、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分とし、上面78aにおける駆動軸32の軸直交方向からのテーパ角度θ2を30〜40°の範囲内の35°として、構成されている。
【0071】
そのため、このような構成では、ミキサー70の底壁部71の上面74のテーパ角度θ1が、10〜20°の範囲内の15°として、10°未満と小さくないことから、底壁部71の上面74を滑る粉砕スパッタSC,SBを斜め下向きに排出して、円滑に排出管部61に流入させ易く、また、20°を越えるように大きくないことから、底壁部71の上面74から突出する帯状突条部77の回転時による気流Aを、ガイド部81の挿入口86から噴出させるような上向きに向け難い。
【0072】
また、各フィン76が、駆動軸32を中心として、放射状の直線状に延びるように配設されて、湾曲する曲線状としていないことから、上向きの気流の発生を抑制して、斜め下向きの気流Aを発生させ易い。
【0073】
さらに、各フィン76のテーパ状突条部78が、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分とし、上面78aのテーパ角度θ2を30°未満や40°を越えるように大きくしていないことから、粉砕スパッタSC,SBをガイド部81側に吹き上げることを抑制して、斜め下向きに排出可能となる。すなわち、各フィン76のテーパ状突条部78が、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分とし、上面78aのテーパ角度を30°未満とする場合には、帯状突条部77の底壁部71からの突出高さ寸法H1が、相対的に低くなり、剥離したスパッタSを粉砕し難い。また、各フィン76のテーパ状突条部78が、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分とし、上面78aのテーパ角度を40°を越える大きさとする場合には、帯状突条部77やテーパ状突条部78の底壁部からの突出高さが、相対的に高くなり過ぎて、上向きの気流を発生させ易くなり、ガイド部81の挿入口86から粉砕したスパッタSを噴出させる虞れが生ずる。
【0074】
そのため、実施形態のミキサー70では、一層、下向きの気流Aを発生させ易く、ガイド部81側からの粉砕したスパッタSや気流の吹き出しを抑制し、作業環境良く、剥離したスパッタSをノズルクリーナ10から排出させて貯留バケツ90に貯留させることができる。
【0075】
なお、各フィン76のテーパ状突条部78が、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分としていれば、ミキサーは、上向きの気流の発生を抑制した状態での帯状突条部77による剥離したスパッタSの粉砕と、テーパ状突条部78による下向きの気流Aの発生と、をバランスよく確保できる。
【0076】
そして、実施形態のノズルクリーナ10では、ミキサー70のフィン76が三枚として構成されている。すなわち、フィン76が二枚以下であれば、ケース60内の底壁部71上における排出口部62から離れた後部側エリア75(図10参照)に、粉砕したスパッタSの滞留量が多くなって、粉砕した粉砕スパッタSCを上方へ巻き上げる虞れが生じてしまい、フィン76が4枚以上であれば、後部側エリア75での粉砕スパッタSCの滞留を抑制できるものの、フィン76自体の数が多く、上方へ向かう気流を発生させて、ガイド部81の挿入口86から微細スパッタSSを噴き出す事態を招き易くなり、好ましくないからである。勿論、このような点に関して、支障無く剥離したスパッタSを排出できれば、フィン76は、3枚に限定されること無く、1枚や2枚、或いは、4枚、5枚、6枚等の枚数を配設させて、ミキサー70を構成しても良い。
【符号の説明】
【0077】
2…溶接ノズル、10…ノズルクリーナ、30…回転駆動機構、31…(回転駆動源)エアモータ、32…駆動軸、56…カッタ、58…排出溝部、60…ケース、60c…内周面、61…排出管部、62…排出口部、62a…(排出口部の)上縁、62b…(排出口部の)下縁、63…曲管部、63a…(曲管部の)内周面、63b…(曲管部内周面の)下面、70…ミキサー、71…底壁部、71b…外周縁、74…(底壁部の)上面、76…フィン、77…帯状突条部、77b…(帯状突条部の)外周側端部、78…テーパ状突条部、78a…(テーパ状突条部の)上面、78b…(テーパ状突条部の)外周側端部、80…上蓋部、81…ガイド部、86…挿入口、θ1…(底壁部の上面の)テーパ角度、θ2…(テーパ状突条部の上面の)テーパ角度、EL…(ミキサー底壁部上面の)延長線、C…回転軸、S…スパッタ、SC…(粉砕された)粉砕スパッタ、SS…(粉砕された)微小スパッタ、SB…(大きな)塊スパッタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスアーク溶接に使用する溶接ノズルに付着したスパッタを除去するノズルクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のノズルクリーナとしては、溶接ノズルの下降時に溶接ノズル内に進入するカッタを回転させて、カッタの刃部により溶接ノズルに付着していたスパッタを剥離させて排出する構成としていた(特許文献1参照)。このノズルクリーナでは、カッタの周囲をケースで囲んで、カッタの回転駆動に使用したエアモータの排気を利用して、スパッタを吹き飛ばして排出していた。
【0003】
また、ノズルクリーナではないものの、切削具の切削により発生する切粉を、切削具を回転させる回転駆動軸に、フィンを直結し、切削具の回転時に、フィンを回転させて、切粉を吸い上げて所定部位に排出するものもあった(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−248152号公報
【特許文献2】特開2003−72294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の特許文献1に記載のノズルクリーナでは、カッタを回転させるエアモータの排気エアを利用しており、排気エアの流速を高めてスパッタを吹き飛ばそうとすれば、その排気エアの噴射ノズルの部位で、エアの流れを絞ることとなって、エアモータの出力を低下させてしまい、スパッタの剥離性能の低下を抑制できない。
【0006】
一方、特許文献2に記載の切削装置では、切削具の回転駆動軸にフィンを直結させており、切削具の回転力の低下を招き難く、切削性能の低下を抑制し易い。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の切削装置では、切削具の上方にフィンを配置させて回転させており、切削時の切粉を上方に吸い上げて側方の排出口部から排出させる構成としいた。そのため、ノズルカッタのように、下降させる溶接ノズル内にカッタを進入させて、溶接ノズルに付着したスパッタを剥離して除去する構造には、簡単に適用できない。すなわち、カッタの上方には、溶接ノズルが進入しており、スパッタを上方へ吸い上げることができない。また、スパッタは、大小の形状があり、フィンが、カッタの周囲を囲うケースの内周面との間でスパッタをかじるように挟み込んで、回転不能を招く虞れも生ずる。さらに、剥離したスパッタが、溶接ノズルの挿入部位から噴き出して飛散する虞れも生ずる。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、カッタの剥離性能の低下を抑制でき、かつ、円滑に、溶接ノズルのスパッタを除去して所定部位に排出できるノズルクリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<請求項1の説明>
本発明に係るノズルクリーナは、溶接ノズルの下降時に前記溶接ノズル内に進入するカッタを回転させて、前記カッタの刃部により前記溶接ノズルに付着していたスパッタを剥離させて排出するノズルクリーナであって、
前記カッタが、上下方向に沿った回転軸として回転可能に、下部側の連結部を回転駆動機構の駆動軸に連結させるとともに、下部側に、剥離した前記スパッタの排出溝部を設けて構成され、
前記カッタの周囲に、前記スパッタの飛散を防止可能に囲う円筒状のケースが配設され、
該ケースの上部に、前記溶接ノズルの下降時に前記溶接ノズル内に前記カッタを進入させるようにガイドするガイド部を設けて開口する上蓋部が、前記ケースの上部を塞ぐように配設され、
前記ケースの下部に、前記ケースの下部の全域を塞ぐように配設されるとともに、前記排出溝部から落下する前記スパッタを粉砕可能なミキサーが配設され、
該ミキサーが、前記回転駆動機構の駆動軸に、前記カッタの連結部とともに連結される構成として、前記ケースの下部の全域を塞ぐ円板状の底壁部と、前記駆動軸を中心として放射状に延びるように、該底壁部から上方に突出する複数のフィンと、を備えて構成され、
前記底壁部が、上面を、中心側から外周縁にかけて下方に下がる円錐台形状のテーパ面として構成され、
前記複数のフィンが、
前記駆動軸の近傍側に配置されて、前記排出溝部より低い高さで、かつ、前記底壁部からの突出高さを略一定とした帯状突条部と、
該帯状突条部の外周側端部からテーパ状に高さを低くして、外周側端部を前記底壁部の外周縁と等しくする高さとするテーパ状突条部と、
を備えて構成され、
前記ケースの下部側に、粉砕した前記スパッタを排出可能な排出管部が、配設され、
該排出管部が、前記ケースの内周面側に開口させた排出口部の上縁を、前記フィンより高くし、前記排出口部の下縁を、前記ミキサーの底壁部より下方に配置させて、前記排出口部から下方に向かって延びるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るノズルクリーナでは、溶接ノズルをガイド部に挿入させつつ下降させ、カッタを溶接ノズル内に進入させつつ回転させれば、カッタが溶接ノズルに付着したスパッタを剥離させて、スパッタが排出溝部に溜まり、さらに、排出溝部から離脱するように落下する。
【0011】
その際、排出溝部の下方には、カッタと共回りするミキサーが回転しており、ミキサーは、フィンの帯状突条部によって、スパッタを粉砕する。と同時に、ミキサーは、フィンのテーパ状突条部の回転により、駆動軸側から外周側に向かう気流を生じさせて、粉砕した細かいスパッタを気流に乗せて排出管部から排出する。また、ミキサーは、気流に乗らなかった粉砕されたスパッタを、テーパ状突条部の回転に伴う遠心力により、外周縁側に飛ばす。そして、ミキサーは、その底壁部の上面を、外周縁側を下向きに傾斜させた円錐台形状のテーパ面とし、さらに、排出管部におけるケースの内周面側に開口させた排出口部の下縁より、上方に配置させており、気流に乗らなかったスパッタは、円滑に、ミキサーの底壁部の上面から排出口部へ滑り落ちるように排出される。
【0012】
さらにその際、テーパ状突条部は、その外周縁を、底壁部の上面と高さを一致させるように構成されており、スパッタをケースの内周面との間でかじってミキサーの回転を停止させる事態を招くこと無く、円滑に、スパッタを排出管部側に押し出すように、排出できる。
【0013】
勿論、排出管部は、ケースの内周面に開口した排出口部から下向きに配設されており、円滑に排出口部から落下させるように、スパッタを排出できる。
【0014】
特に、ミキサーのフィンは、底壁部からの高さを略一定とし、剥離したスパッタを粉砕可能な帯状突条部だけでなく、外周縁側の高さを底壁部に一致させるように、テーパ状に高さを低くするテーパ状突条部を設けて、構成されている。さらに、フィンは、テーパ状突条部を含めて、駆動軸側より外周縁側を下方に下げた底壁部の上面から上方へ突出させており、ミキサーの回転に伴って、フィンは、底壁部の外周縁にかけて下向きに向かう気流を発生させ易くなり、上方のガイド部から粉砕したスパッタを噴き出すことを抑制し、粉砕したスパッタを混在させた状態の気流を、排出口部を経て排出管部から円滑に排気させることが可能となる。
【0015】
そして勿論、ミキサーは、カッタの駆動軸に直結されて、排気エアを利用して回転駆動されていないことから、カッタの剥離性能の低下を抑制することができる。
【0016】
したがって、本発明に係るノズルクリーナでは、カッタの剥離性能の低下を抑制でき、かつ、円滑に、溶接ノズルのスパッタを除去して所定部位に排出できる。換言すれば、本発明に係るノズルクリーナでは、カッタの回転を阻害することなく、カッタにより剥離させたスパッタを細かく砂状に粉砕して、ガイド部から噴き出させることなく、円滑に、排出管部から排出することができる。
【0017】
<請求項2の説明>
本発明に係るノズルクリーナでは、前記排出管部は、前記ケースの内周面側に開口した前記排出口部から下方に曲がる曲管部を設けて構成し、
前記ミキサーの底壁部は、上面の延長線を、前記曲管部の内周面における下面以上の高さ位置に配置させるように、配設することが望ましい。
【0018】
このような構成では、剥離されたスパッタがミキサーの底壁部を滑って排出される際、スパッタは、底壁部の外周縁から排出口部を経た後、極力、曲管部の下面との接触を抑制して、すなわち、曲管部の下面との摩擦抵抗を少なくして、排出管部の曲管部を通過して曲管部の下方へ落下する。したがって、このような構成では、粉砕したスパッタを、排出管部の排出口部付近に滞留させること無く、迅速に、排出管部の曲管部の下方へ排出できる。
【0019】
<請求項3の説明>
本発明に係るノズルクリーナでは、前記ミキサーの底壁部は、上面における前記駆動軸の軸直交方向からのテーパ角度を10〜20°の範囲内として、構成し、
前記ミキサーの各フィンは、前記駆動軸を中心として、放射状の直線状に延びるように配設し、
前記各フィンの前記テーパ状突条部は、前記ミキサーの半径方向の寸法において、前記フィンの略半分とし、上面における前記駆動軸の軸直交方向からのテーパ角度を30〜40°の範囲内として、構成することが望ましい。
【0020】
このような構成では、ミキサーの底壁部の上面のテーパ角度が、10〜20°の範囲内として、10°未満と小さくないことから、底壁部の上面を滑るスパッタを斜め下向きに排出して、円滑に排出管部に流入させ易く、また、20°を越えるように大きくないことから、底壁部の上面から突出する帯状突条部の回転時による気流を、ガイド部から噴出させるような上向きに向け難い。
【0021】
また、各フィンが、駆動軸を中心として、放射状の直線状に延びるように配設されて、湾曲する曲線状としていないことから、上向きの気流の発生を抑制して、斜め下向きの気流を発生させ易い。
【0022】
さらに、各フィンのテーパ状突条部が、ミキサーの半径方向の寸法において、フィンの略半分とし、上面のテーパ角度を30°未満や40°を越えるように大きくしていないことから、剥離したスパッタをガイド部側に吹き上げることを抑制して、斜め下向きに排出可能となる。すなわち、各フィンのテーパ状突条部が、ミキサーの半径方向の寸法において、フィンの略半分とし、上面のテーパ角度を30°未満とする場合には、帯状突条部の底壁部からの突出高さが、相対的に低くなり、剥離したスパッタを粉砕し難い。また、各フィンのテーパ状突条部が、ミキサーの半径方向の寸法において、フィンの略半分とし、上面のテーパ角度を40°を越える大きさとする場合には、帯状突条部やテーパ状突条部の底壁部からの突出高さが、相対的に高くなり過ぎて、上向きの気流を発生させ易くなり、ガイド部から粉砕したスパッタを噴出させる虞れが生ずる。
【0023】
なお、各フィンのテーパ状突条部が、ミキサーの半径方向の寸法において、フィンの略半分としていれば、ミキサーは、上向きの気流の発生を抑制した状態での帯状突条部による剥離したスパッタの粉砕と、テーパ状突条部による下向きの気流の発生と、をバランスよく確保できる。
【0024】
<請求項4の説明>
そして、本発明に係るノズルクリーナでは、前記ミキサーは、前記フィンを三枚配設させて構成することが望ましい。
【0025】
すなわち、フィンが二枚以下であれば、ケース内の底壁部上における排出口部から離れたエリアに、粉砕したスパッタの滞留量が多くなって、粉砕したスパッタを上方へ巻き上げる虞れが生じ、フィンが4枚以上であれば、ケース内の底壁部上における排出口部から離れたエリアでの粉砕したスパッタの滞留を抑制できるものの、フィン自体の数が多くなって、上方へ向かう気流を発生させ易くなってしまい、好ましくないからである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態のノズルクリーナの斜視図である。
【図2】実施形態のノズルクリーナの右側面図である。
【図3】実施形態のノズルクリーナの平面図である。
【図4】実施形態のノズルクリーナの断面図であり、図3のIV−IV部位に対応する。
【図5】実施形態のノズルクリーナにおけるカッタ、ナット、駆動軸、ミキサーの分解斜視図である。
【図6】実施形態のミキサーの平面図である。
【図7】実施形態のミキサーの正面図である。
【図8】実施形態のミキサーの断面図であり、図6のVIII−VIII部位に対応する。
【図9】実施形態のノズルクリーナに溶接ノズルを挿入する状態を説明する図である。
【図10】実施形態のノズルクリーナの作動時を示す概略横断面図である。
【図11】実施形態のノズルクリーナの作動時を示す概略縦断面図であり、排出口部の中央付近からフィンが外れて配置された状態を示す。
【図12】実施形態のノズルクリーナの作動時を示す概略縦断面図であり、排出口部の中央付近にフィンが配置された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のノズルクリーナ10は、図1〜4に示すように、クリーナ本体20と、クリーナ本体20を支持する支持台11と、を備えて構成され、クリーナ本体20は、支持台11の天板部12上に、複数(実施形態では4個)のダンパ25を介在させて、取付固定されている。
【0028】
クリーナ本体20は、溶接ノズル2の下降時に溶接ノズル2内に進入するカッタ56を回転させて、カッタ56の刃部57により溶接ノズル2に付着していたスパッタS(図10,11参照)を剥離する。そして、クリーナ本体20は、カッタ56、カッタ56を回転駆動させる回転駆動機構30、回転駆動機構30を支持する支持フレーム21、スパッタSの飛散を防止するケース60、剥離したスパッタSを粉砕するミキサー70、ケース60の上方を塞ぎ、かつ、下降時の溶接ノズル2を芯合わせしてカッタ56に挿入させる上蓋部80、を備えて構成されている。
【0029】
なお、溶接ノズル2は、溶接ロボットの所定のアームに保持された溶接トーチ1の先端に配設されて、図4,9に示すように、内周側にガスノズル3とワイヤノズル(コンタクトチップ)4とを配設させている。
【0030】
支持フレーム21は、四隅の下面側にダンパ25を配置させて、支持台11の天板部12の上面側に取付固定される略四角板状の下板部22と、下板部22の後部で上方に延びる湾曲した板状の支持壁部23と、を備えて構成されている。下板部22には、中央に、回転駆動機構30の駆動軸32を突出させる貫通孔22aが形成されるとともに、上面に、ケース60の円形の下端60bを嵌合させる嵌合凹部22cが形成されている。貫通孔22aの周縁には、軸受39を配設する段差部22bが形成されている。
【0031】
支持壁部23の上端には、上蓋部80の支持枠部82がねじ止めされて固定されている。なお、支持枠部82は、前部側の左右においても、下板部22に固定された支持ロッド24をねじ止めさせており、その結果、支持ロッド24,24と支持壁部23とを利用して、支持フレーム21に支持されている。
【0032】
回転駆動機構30は、回転駆動源としてのエアモータ31を備えて構成され、エアモータ31は、下板部22にボルト29止めされている取付スリーブ26に保持されて、支持フレーム21に保持されている。
【0033】
エアモータ31は、回転する駆動軸32として、エアモータ31自体から突出する本体部33と、本体部33の上部に連結される連結軸部34と、を備えて構成されている。連結軸部34は、下部側の筒状の下部連結部35(図5参照)が、ねじ37止めされて本体部33と連結され、上部側の筒状の上部連結部36(図5参照)が、カッタ56とミキサー70とを連結する部位としている。
【0034】
詳しく述べれば、図5,12に示すように、上部連結部36は、外周側にミキサー70を取り付けるための雄ねじ部36aを配設させるとともに、内周側にカッタ56を連結する雌ねじ部36bを配設させている。雄ねじ部36aは、ミキサー70を取り付けるための取付ナット55を螺着させるものであり、雄ねじ部36aの下端側には、ミキサー70の取付座部72の取付孔72aの周縁を受け止める段差部36cが形成されている。また、雄ねじ部36aの形成部位は、ミキサー70の連結軸部34に対する回り止めを図れるように、ミキサー70の取付孔72aの小判形状の開口に対応して、円柱形状から面取りした面取り筒部36dとして、形成されている。
【0035】
エアモータ31にエアを供給するエア供給機構40は、図2,4に示すように、支持フレーム21の下板部22に固定された取付ブラケット27に保持されるエアオペレータバルブ41と、エアオペレータバルブ41に連なってエア源からのエアを流入させるエア流入管部42と、を備えて構成されている。さらに、エア供給機構40は、溶接ノズル2の下降時に、エアモータ31を作動させるためのスイッチメカバルブ45と、カッタ56の取替え時等において、上蓋部80を開いた際に、エアモータ31を回転させずに確実に停止させるセーフティメカバルブ44と、を備えて構成されている。
【0036】
これらの構成を簡単に説明すると、エアオペレータバルブ41は、スイッチメカバルブ45からの始動管部46を経たエアの流入により、開弁して、エア流入管部42に流入していたエアをエア供給管部47に流し、エアモータ31を回転駆動させて、逆に、スイッチメカバルブ45からのエアの流入が無ければ、エア流入管部42に流入していたエアをエア供給管部47へ流さず、エアモータ31を回転させない構成としている。セーフティメカバルブ44は、上蓋部80内の所定位置に取り付けられ、エア流入管部42からの分岐管部43と連結される。そして、セーフティメカバルブ44は、上蓋部80が支持壁部23の上端に取り付けられていれば、分岐管部43からのエアをスイッチメカバルブ45へ流すが、上蓋部80が支持壁部23から離れれば、支持壁部23に接触して押し込まれていた図示しない作動片を突出させることとなって、スイッチメカバルブ45へのエアの流入を停止させる。スイッチメカバルブ45は、上蓋部80内の溶接ノズル2の挿入口86の直下付近に、揺動アーム45bを介在させて、作動片45aを配置させており、この作動片45aが、溶接ノズル2の先端2aの先端面2cや外周面2dに押し下げられて下方へ揺動する揺動アーム45bに押されて移動すれば(図9のA,B参照)、ONされて、セーフティメカバルブ44からのエアをエアオペレータバルブ41に流すことができる。
【0037】
すなわち、このエア供給機構40では、上蓋部80が支持壁部23に取り付けられていれば、セーフティメカバルブ44がONされ、そして、エア流入管部42から分岐管部43を経て流れるエアが、セーフティメカバルブ44を経て、スイッチメカバルブ45まで到達している状態としており、その状態で、溶接ノズル2が挿入口86内に挿入されて、作動片45aが押されれば、スイッチメカバルブ45がONされて、エアをエアオペレータバルブ41に流し、エアオペレータバルブ41がONされ、エアモータ31にエアが供給されて、エアモータ31が回転駆動する。そして、上蓋部80が支持壁部23から外れれば、セーフティメカバルブ44がOFFされ、スイッチメカバルブ45側にエアを流さないことから、スイッチメカバルブ45がONされても、エアオペレータバルブ41がONされず、エアモータ31は回転しない。
【0038】
カッタ56は、図5,10〜12に示すように、下部側の元部59側で連なって、駆動軸32により回転する回転軸Cを間にして対向する二枚の刃部57,57を備えて構成されている。各刃部57は、上部側の半割り円柱状の半割り円柱部57aと、半割り円柱部57aの下部に配置される半割り円錐台形状の半割り円錐台部57cと、を備えて構成されている。半割り円柱部57aは、刃部57の回転方向側の縁を、溶接ノズル2の内周面2bに付着したスパッタSを剥離する内周側切刃57bとして、構成されている。半割り円錐台部57cは、半割り円柱部57aから回転軸Cの直交方向に延びる上縁を、溶接ノズル2の先端面2cに付着したスパッタSを剥離する先端側切刃57dとして、構成されている。
【0039】
そして、刃部57,57の下部側の相互の間が、剥離したスパッタSを排出する排出溝部58としている。
【0040】
元部59には、下面に下方へ突出する円柱状の連結部59aが、形成され、連結部59aには、駆動軸32の連結軸部34における雌ねじ部36bに噛合される雄ねじ部59bと、連結軸部34の上端側に嵌合されるテーパ部59cと、が形成されている。
【0041】
上蓋部80は、図1,3,4,9に示すように、下降時の溶接ノズル2を芯合わせして、溶接ノズル2内にカッタ56を進入させるガイド部81を備えて構成される。ガイド部81は、支持枠部82に、一対の案内ローラ83a,84aを備えてなる二つのローラ部(上側ローラ部83と下側ローラ部84)を設けて構成される。一対の案内ローラ83a,84aは、それぞれ、鼓形状として、支持枠部82に回動自在に支持されて配設されている。そして、上側ローラ部83は、案内ローラ83a,83aを、それぞれ、前後方向の回転軸として、左右方向で対向させ、下側ローラ部84は、上側ローラ部83の下方で、案内ローラ84a,84aを、それぞれ、左右方向の回転軸として、前後方向で対向させるように配設させている。
【0042】
これらの各案内ローラ83a,84aの配置は、図3に示すように、上方から見て、先端2aを下方に配置させた状態で溶接ノズル2を挿入口86から挿入させる際に、溶接ノズル2に各案内ローラ83a,84aが摺動して回転できるように設定されている。そして、その挿入時には、まず、図9のAに示すように、溶接ノズル2の外周面2dの摺動による案内ローラ83a,83aの回動により、溶接ノズル2が前後の配置位置をカッタ56の刃部57,57の半割り円柱部57a,57aに対して一致させ、ついで、図9のBに示すように、外周面2dの摺動による案内ローラ84a,84aの回動により、溶接ノズル2が左右の配置位置をカッタ56の刃部57,57の半割り円柱部57a,57aに対して一致させて、その結果、溶接ノズル2が芯合わせされてカッタ56を進入させることができることとなる。
【0043】
なお、対向する案内ローラ84a,84aの中心軸相互の高さ位置には、カッタ56の刃部57,57の上端面が一致するように配設されている。
【0044】
上蓋部80の表面側には、支持枠部82を囲むように合成樹脂製のカバー85が配設され、カバー85における対向する案内ローラ83a,84a間の上方には、溶接ノズル2より僅かに大きな円形で開口する挿入口86が、配設されている。
【0045】
なお、上蓋部80には、既述のエア供給機構40のセーフティメカバルブ44とスイッチメカバルブ45とが配設されている。
【0046】
ケース60は、図1,4,10,12に示すように、アクリルやポリカーボネイト等の透明な合成樹脂製の円筒状として、スパッタSの飛散を防止可能にカッタ56の周囲に配置されている。ケース60は、下端60bが下板部22の嵌合凹部22cに嵌合され、上端60aが上蓋部80に塞がれるように、下板部22と上蓋部80の支持枠部82との間で挟持されて配設されている。
【0047】
ケース60の内周面60cには、下部側に、略円形に開口させて、剥離したスパッタSをケース60外へ排出可能な排出管部61が形成されている。実施形態の場合、ケース60と排出管部61とは、一体成形されている。排出管部61は、ケース60の内周面60c側に開口した排出口部62から略90度に円弧状に曲がって下向きとなる曲管部63から構成され、曲管部63の下端で円形に開口した流下口部64の下方には、実施形態の場合、排出したスパッタSを溜める貯留バケツ90が載置されている。
【0048】
排出管部61は、ケース60の内周面60c側に開口させた排出口部62の上縁62aを、後述するミキサー70のフィン76より高い位置に配置させ、排出口部62の下縁62bを、ミキサー70の底壁部71の外周縁71bより下方に配置させるように、構成されている。
【0049】
ケース60の下端60bの内周側には、図4,11に示すように、ケース60の下端60b側のシール性を良好にするように、円板状の下蓋部50が配設されている。下蓋部50は、所定数(実施形態では3個)の取付ボルト48を利用して、下板部22に取付固定されている。また、下蓋部50は、連結軸部34を貫通させる貫通孔51を備えて、貫通孔51の上端側の内周縁における段差部52に配置される軸受38と、下板部22に配置される軸受39とにより、連結軸部34を回動可能に貫通孔51内に配設させている。
【0050】
さらに、下蓋部50の上部外周には、凹溝53aを設けた鍔部53が配設され、凹溝53aには、ケース60の下端60b付近の内周面60cに圧接されるOリング54が嵌め込まれている。
【0051】
ミキサー70は、図4〜8,10に示すように、アルミニウム等の金属製の円板状として、ケース60の下部における下蓋部50の上方で、ケース60の下部の全域を塞ぐように配設されている。ミキサー70は、駆動軸32における連結軸部34に対して、カッタ56とともに連結されて、ケース60の下部の全域を塞ぐ円板状の底壁部71と、駆動軸32を中心として放射状に延びるように、底壁部71から上方に突出する複数のフィン76と、を備えて構成されている。実施形態の場合、フィン76は、三枚形成されている。
【0052】
ミキサー70は、取付ナット55を利用して、連結軸部34に連結される構成としており、底壁部71の中央には、連結軸部34の面取り筒部36dを貫通させる小判形状に開口した取付孔72aを設けた取付座部72が形成されている。ミキサー70は、取付孔72aに面取り筒部36dを貫通させ、取付孔72aの周縁を段差部36cに当接させた状態で、雄ねじ部36aに螺合される取付ナット55に締め付けられて、連結軸部34に連結される。
【0053】
そして、底壁部71は、取付座部72の外周側をテーパ部73として、その上面74を、中心71a側から外周縁71bにかけて下方に下がる円錐台形状のテーパ面としている。
【0054】
なお、実施形態の場合、底壁部71のテーパ部73は、その上面74における駆動軸32の軸直交方向からのテーパ角度θ1を10〜20°の範囲内の15°として構成されている(図8参照)。また、実施形態の場合、ミキサー70の外径寸法D1は、ケース60の内周面60cの内径寸法(約80mm)より僅かに小さな79mm、取付座部72の外径寸法D2は36mmとしている(図6参照)。
【0055】
フィン76は、それぞれ、駆動軸32の近傍側に配置される帯状突条部77と、底壁部71の外周縁71b側のテーパ状突条部78と、を備えて構成される。また、フィン76は、剛性を確保できるように底壁部71の下方側にかける幅寸法を広くさせているが、上面77a,78aの幅寸法B1(図6参照、実施形態では約1.,5mm)を一定の細幅とした薄板状として、形成されている。
【0056】
そして、帯状突条部77は、図8に示すように、底壁部71からの突出高さH1(実施形態では約5mm)を一定として形成されている。また、帯状突条部77は、上面77aの高さを、ミキサー70の駆動軸32への取付時、カッタ56の排出溝部58より低い高さとなるように、設定されている。
【0057】
テーパ状突条部78は、帯状突条部77の外周側端部77bからテーパ状に高さを低くして、外周側端部78bを底壁部71の外周縁71bと等しくする高さとしている。テーパ状突条部78は、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分として配設されている。
【0058】
また、実施形態の場合、テーパ状突条部78の上面78aは、駆動軸32の軸直交方向からのテーパ角度θ2を30〜40°の範囲内の35°として構成されている。
【0059】
そして、ミキサー70と排出管部61との関係では、図7に示すように、底壁部71の外周縁71bと排出管部61の排出口部62の下縁62bとの高さに関し、外周縁71bが下縁62bより高い高さに設定され、さらに、底壁部71の上面74の延長線ELが、曲管部63の内周面63aにおける下面63b以上の高さ位置に配置させるように、構成されている。
【0060】
実施形態のノズルクリーナ10では、使用時、挿入口86を経て、溶接ノズル2をガイド部81に挿入させつつ下降させれば、図9のA,Bに示すように、ガイド部81の上側ローラ部83や下側ローラ部84のガイドにより、溶接ノズル2が、カッタ56に芯合わせされて、カッタ56を進入させ、また、エア供給機構40のスイッチメカバルブ45が溶接ノズル2による作動片45aや揺動アーム45bの押圧によって、エアモータ31を回転駆動させることから、カッタ56が回転する。そのため、溶接ノズル2は、図10〜12に示すように、先端面2cをカッタ56の刃部57における半割り円錐台部57cと当接するまで押し込まれれば、カッタ56の各刃部57の内周側切刃57bや先端側切刃57dの回転により、内周面2bや先端面2cに付着したスパッタSが剥離されて、剥離されたスパッタSが排出溝部58に溜まり、さらに、排出溝部58から離脱するように落下する。
【0061】
その際、排出溝部58の下方には、カッタ56と共回りするミキサー70が回転しており、ミキサー70は、フィン76の帯状突条部77によって、スパッタSを粉砕する。と同時に、ミキサー70は、フィン76のテーパ状突条部78の回転により、駆動軸32側から外周側に向かう気流Aを生じさせて、粉砕した細かいスパッタ(微細スパッタ)SSを気流Aに乗せて排出管部61から排出する。また、ミキサー70は、気流Aに乗らなかった粉砕されたスパッタ(粉砕スパッタ)SCを、テーパ状突条部78の回転に伴う遠心力により、外周縁78b側に飛ばす。そして、ミキサー70は、その底壁部71の上面74を、外周縁71b側を下向きに傾斜させた円錐台形状のテーパ面とし、さらに、排出管部61におけるケース60の内周面60c側に開口させた排出口部62の下縁62bより、上方に配置させており、気流Aに乗らなかった粉砕スパッタSCは、円滑に、底壁部71の上面74から排出口部62へ滑り落ちるように排出される。
【0062】
さらにその際、テーパ状突条部78は、その外周縁(外周側端部)78bを、底壁部71の外周縁71bの上面74と高さを一致させるように構成されており、十分に粉砕されていない塊スパッタSBをケース60の内周面60cとの間でかじってミキサー70の回転を停止させる事態を招くこと無く、円滑に、粉砕した粉砕スパッタSCとともに塊スパッタSBを排出管部61側に押し出すように、排出できる。
【0063】
勿論、排出管部61は、ケース60の内周面60cに開口した排出口部62から下向きに配設されており、円滑に排出口部62から落下させるように、粉砕スパッタSC,SBを排出できる。
【0064】
特に、ミキサー70のフィン76は、底壁部71からの高さを略一定とし、剥離したスパッタSを粉砕可能な帯状突条部77だけでなく、外周縁71b側の高さを底壁部71に一致させるように、テーパ状に高さを低くするテーパ状突条部78を設けて、構成されている。さらに、フィン76は、このテーパ状突条部78を含めて、駆動軸32側より外周縁71b側を下方に下げた底壁部71の上面74から上方へ突出させており、ミキサー70の回転に伴って、フィン76は、底壁部71の外周縁71bにかけて下向きに向かう気流Aを発生させ易くなり、上方のガイド部81の挿入口86から粉砕したスパッタSを噴き出すことを抑制し、粉砕したスパッタSを混在させた気流Aを、排出口部62を経て排出管部61から円滑に排気させることが可能となる。
【0065】
そして勿論、ミキサー70は、カッタ56の駆動軸32の連結軸部34に直結されて、排気エアを利用して回転駆動されていないことから、カッタ56の剥離性能の低下を抑制することができる。なお、実施形態の場合、エアモータ31は、作動時、約2000rpm程度の高回転で駆動軸32を回転でき、ミキサー70を連結させていても、その出力を殆ど低下させない。
【0066】
したがって、実施形態のノズルクリーナ10では、カッタ56の剥離性能の低下を抑制でき、かつ、円滑に、溶接ノズル2のスパッタSを除去して所定部位の貯留バケツ90に排出できる。換言すれば、実施形態のノズルクリーナ10では、カッタ56の回転を阻害することなく、カッタ56により剥離させたスパッタSを細かく砂状に粉砕して、ガイド部81から噴き出させることなく、円滑に、排出管部61から排出することができる。
【0067】
また、実施形態のノズルクリーナ10では、排出管部61が、ケース60の内周面60c側に開口した排出口部62から下方に曲がる曲管部63を設けて構成されて、ミキサー70の底壁部71が、上面74の延長線ELを、曲管部63の内周面63aにおける下面63b以上の高さ位置に配置させるように、構成されている。
【0068】
そのため、実施形態では、粉砕された粉砕スパッタSC,SBがミキサー70の底壁部71を滑って排出される際、粉砕スパッタSC,SBは、底壁部71の外周縁71bから排出口部62を経た後、極力、曲管部63の下面63aとの接触を抑制して、すなわち、曲管部63の下面63aとの摩擦抵抗を少なくして、排出管部61の曲管部63を通過して曲管部63の下方へ落下する。したがって、このような構成では、粉砕スパッタSC,SBを、排出管部61の排出口部62付近に滞留させること無く、迅速に、排出管部61の曲管部63の下方の貯留バケツ90へ排出できる。
【0069】
なお、実施形態の場合には、底壁部71が、上面74の延長線ELを、曲管部63の内周面63aにおける下面63bより、高くした。しかし、粉砕スパッタSC,SBが摩擦抵抗を少なくして排出管部61の曲管部63を通過して曲管部63の下方へ落下できれは、底壁部71は、その上面74の延長線ELを、曲管部63の内周面63aにおける下面63bと略一致、すなわち、下面63bの接線とするように、構成してもよい。
【0070】
さらに、実施形態のノズルクリーナ10では、ミキサー70の底壁部71が、上面74における駆動軸32の軸直交方向からのテーパ角度θ1を10〜20°の範囲内の15°として、構成され、ミキサー70の各フィン76が、駆動軸32を中心として、放射状として直線状に延びるように配設され、各フィン76のテーパ状突条部78が、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分とし、上面78aにおける駆動軸32の軸直交方向からのテーパ角度θ2を30〜40°の範囲内の35°として、構成されている。
【0071】
そのため、このような構成では、ミキサー70の底壁部71の上面74のテーパ角度θ1が、10〜20°の範囲内の15°として、10°未満と小さくないことから、底壁部71の上面74を滑る粉砕スパッタSC,SBを斜め下向きに排出して、円滑に排出管部61に流入させ易く、また、20°を越えるように大きくないことから、底壁部71の上面74から突出する帯状突条部77の回転時による気流Aを、ガイド部81の挿入口86から噴出させるような上向きに向け難い。
【0072】
また、各フィン76が、駆動軸32を中心として、放射状の直線状に延びるように配設されて、湾曲する曲線状としていないことから、上向きの気流の発生を抑制して、斜め下向きの気流Aを発生させ易い。
【0073】
さらに、各フィン76のテーパ状突条部78が、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分とし、上面78aのテーパ角度θ2を30°未満や40°を越えるように大きくしていないことから、粉砕スパッタSC,SBをガイド部81側に吹き上げることを抑制して、斜め下向きに排出可能となる。すなわち、各フィン76のテーパ状突条部78が、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分とし、上面78aのテーパ角度を30°未満とする場合には、帯状突条部77の底壁部71からの突出高さ寸法H1が、相対的に低くなり、剥離したスパッタSを粉砕し難い。また、各フィン76のテーパ状突条部78が、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分とし、上面78aのテーパ角度を40°を越える大きさとする場合には、帯状突条部77やテーパ状突条部78の底壁部からの突出高さが、相対的に高くなり過ぎて、上向きの気流を発生させ易くなり、ガイド部81の挿入口86から粉砕したスパッタSを噴出させる虞れが生ずる。
【0074】
そのため、実施形態のミキサー70では、一層、下向きの気流Aを発生させ易く、ガイド部81側からの粉砕したスパッタSや気流の吹き出しを抑制し、作業環境良く、剥離したスパッタSをノズルクリーナ10から排出させて貯留バケツ90に貯留させることができる。
【0075】
なお、各フィン76のテーパ状突条部78が、ミキサー70の半径方向の寸法において、フィン76の略半分としていれば、ミキサーは、上向きの気流の発生を抑制した状態での帯状突条部77による剥離したスパッタSの粉砕と、テーパ状突条部78による下向きの気流Aの発生と、をバランスよく確保できる。
【0076】
そして、実施形態のノズルクリーナ10では、ミキサー70のフィン76が三枚として構成されている。すなわち、フィン76が二枚以下であれば、ケース60内の底壁部71上における排出口部62から離れた後部側エリア75(図10参照)に、粉砕したスパッタSの滞留量が多くなって、粉砕した粉砕スパッタSCを上方へ巻き上げる虞れが生じてしまい、フィン76が4枚以上であれば、後部側エリア75での粉砕スパッタSCの滞留を抑制できるものの、フィン76自体の数が多く、上方へ向かう気流を発生させて、ガイド部81の挿入口86から微細スパッタSSを噴き出す事態を招き易くなり、好ましくないからである。勿論、このような点に関して、支障無く剥離したスパッタSを排出できれば、フィン76は、3枚に限定されること無く、1枚や2枚、或いは、4枚、5枚、6枚等の枚数を配設させて、ミキサー70を構成しても良い。
【符号の説明】
【0077】
2…溶接ノズル、10…ノズルクリーナ、30…回転駆動機構、31…(回転駆動源)エアモータ、32…駆動軸、56…カッタ、58…排出溝部、60…ケース、60c…内周面、61…排出管部、62…排出口部、62a…(排出口部の)上縁、62b…(排出口部の)下縁、63…曲管部、63a…(曲管部の)内周面、63b…(曲管部内周面の)下面、70…ミキサー、71…底壁部、71b…外周縁、74…(底壁部の)上面、76…フィン、77…帯状突条部、77b…(帯状突条部の)外周側端部、78…テーパ状突条部、78a…(テーパ状突条部の)上面、78b…(テーパ状突条部の)外周側端部、80…上蓋部、81…ガイド部、86…挿入口、θ1…(底壁部の上面の)テーパ角度、θ2…(テーパ状突条部の上面の)テーパ角度、EL…(ミキサー底壁部上面の)延長線、C…回転軸、S…スパッタ、SC…(粉砕された)粉砕スパッタ、SS…(粉砕された)微小スパッタ、SB…(大きな)塊スパッタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ノズルの下降時に前記溶接ノズル内に進入するカッタを回転させて、前記カッタの刃部により前記溶接ノズルに付着していたスパッタを剥離させて排出するノズルクリーナであって、
前記カッタが、上下方向に沿った回転軸として回転可能に、下部側の連結部を回転駆動機構の駆動軸に連結させるとともに、下部側に、剥離した前記スパッタの排出溝部を設けて構成され、
前記カッタの周囲に、前記スパッタの飛散を防止可能に囲う円筒状のケースが配設され、
該ケースの上部に、前記溶接ノズルの下降時に前記溶接ノズル内に前記カッタを進入させるようにガイドするガイド部を設けて開口する上蓋部が、前記ケースの上部を塞ぐように配設され、
前記ケースの下部に、前記ケースの下部の全域を塞ぐように配設されるとともに、前記排出溝部から落下する前記スパッタを粉砕可能なミキサーが配設され、
該ミキサーが、前記回転駆動機構の駆動軸に、前記カッタの連結部とともに連結される構成として、前記ケースの下部の全域を塞ぐ円板状の底壁部と、前記駆動軸を中心として放射状に延びるように、該底壁部から上方に突出する複数のフィンと、を備えて構成され、
前記底壁部が、上面を、中心側から外周縁にかけて下方に下がる円錐台形状のテーパ面として構成され、
前記複数のフィンが、
前記駆動軸の近傍側に配置されて、前記排出溝部より低い高さで、かつ、前記底壁部からの突出高さを略一定とした帯状突条部と、
該帯状突条部の外周側端部からテーパ状に高さを低くして、外周側端部を前記底壁部の外周縁と等しくする高さとするテーパ状突条部と、
を備えて構成され、
前記ケースの下部側に、粉砕した前記スパッタを排出可能な排出管部が、配設され、
該排出管部が、前記ケースの内周面側に開口させた排出口部の上縁を、前記フィンより高くし、前記排出口部の下縁を、前記ミキサーの底壁部より下方に配置させて、前記排出口部から下方に向かって延びるように形成されていることを特徴とするノズルクリーナ。
【請求項2】
前記排出管部が、前記ケースの内周面側に開口した前記排出口部から下方に曲がる曲管部を設けて構成され、
前記ミキサーの底壁部が、上面の延長線を、前記曲管部の内周面における下面以上の高さ位置に配置させるように、配設されていることを特徴とする請求項1に記載のノズルクリーナ。
【請求項3】
前記ミキサーの底壁部が、上面における前記駆動軸の軸直交方向からのテーパ角度を10〜20°の範囲内として、構成され、
前記ミキサーの各フィンが、前記駆動軸を中心として、放射状の直線状に延びるように配設され、
前記各フィンの前記テーパ状突条部が、前記ミキサーの半径方向の寸法において、前記フィンの略半分とし、上面における前記駆動軸の軸直交方向からのテーパ角度を30〜40°の範囲内として、構成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のノズルクリーナ。
【請求項4】
前記ミキサーが、前記フィンを三枚配設させて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のノズルクリーナ。
【請求項1】
溶接ノズルの下降時に前記溶接ノズル内に進入するカッタを回転させて、前記カッタの刃部により前記溶接ノズルに付着していたスパッタを剥離させて排出するノズルクリーナであって、
前記カッタが、上下方向に沿った回転軸として回転可能に、下部側の連結部を回転駆動機構の駆動軸に連結させるとともに、下部側に、剥離した前記スパッタの排出溝部を設けて構成され、
前記カッタの周囲に、前記スパッタの飛散を防止可能に囲う円筒状のケースが配設され、
該ケースの上部に、前記溶接ノズルの下降時に前記溶接ノズル内に前記カッタを進入させるようにガイドするガイド部を設けて開口する上蓋部が、前記ケースの上部を塞ぐように配設され、
前記ケースの下部に、前記ケースの下部の全域を塞ぐように配設されるとともに、前記排出溝部から落下する前記スパッタを粉砕可能なミキサーが配設され、
該ミキサーが、前記回転駆動機構の駆動軸に、前記カッタの連結部とともに連結される構成として、前記ケースの下部の全域を塞ぐ円板状の底壁部と、前記駆動軸を中心として放射状に延びるように、該底壁部から上方に突出する複数のフィンと、を備えて構成され、
前記底壁部が、上面を、中心側から外周縁にかけて下方に下がる円錐台形状のテーパ面として構成され、
前記複数のフィンが、
前記駆動軸の近傍側に配置されて、前記排出溝部より低い高さで、かつ、前記底壁部からの突出高さを略一定とした帯状突条部と、
該帯状突条部の外周側端部からテーパ状に高さを低くして、外周側端部を前記底壁部の外周縁と等しくする高さとするテーパ状突条部と、
を備えて構成され、
前記ケースの下部側に、粉砕した前記スパッタを排出可能な排出管部が、配設され、
該排出管部が、前記ケースの内周面側に開口させた排出口部の上縁を、前記フィンより高くし、前記排出口部の下縁を、前記ミキサーの底壁部より下方に配置させて、前記排出口部から下方に向かって延びるように形成されていることを特徴とするノズルクリーナ。
【請求項2】
前記排出管部が、前記ケースの内周面側に開口した前記排出口部から下方に曲がる曲管部を設けて構成され、
前記ミキサーの底壁部が、上面の延長線を、前記曲管部の内周面における下面以上の高さ位置に配置させるように、配設されていることを特徴とする請求項1に記載のノズルクリーナ。
【請求項3】
前記ミキサーの底壁部が、上面における前記駆動軸の軸直交方向からのテーパ角度を10〜20°の範囲内として、構成され、
前記ミキサーの各フィンが、前記駆動軸を中心として、放射状の直線状に延びるように配設され、
前記各フィンの前記テーパ状突条部が、前記ミキサーの半径方向の寸法において、前記フィンの略半分とし、上面における前記駆動軸の軸直交方向からのテーパ角度を30〜40°の範囲内として、構成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のノズルクリーナ。
【請求項4】
前記ミキサーが、前記フィンを三枚配設させて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のノズルクリーナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−94818(P2013−94818A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240357(P2011−240357)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(508107618)株式会社チップマン (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(508107618)株式会社チップマン (3)
【Fターム(参考)】
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