説明

ノズル洗浄方法およびノズル洗浄装置

【課題】分注ノズルの洗浄を確実に行うとともに、洗浄時間の短縮を可能とするノズル洗浄方法およびノズル洗浄装置を提供する。
【解決手段】液体の吸引および吐出を行う分注ノズル50を洗浄するノズル洗浄方法において、分注終了後、洗浄液L2をオーバーフローさせた貯留槽62上部において、分注ノズル50の内壁面を予圧用液L1の吐出により洗浄する第一洗浄ステップと、洗浄液L2をオーバーフローさせた貯留槽62に、分注ノズル50を下降浸漬させることにより、少なくとも外壁面を洗浄する第二洗浄ステップと、を含むことを特徴とするノズル洗浄方法を使用することにより、分注ノズル50の単一の貯留槽での洗浄を可能として洗浄時間の延長を防止するとともに、貯留槽への検体の持込みを低減して効率的な洗浄を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の吸引および吐出を行う分注ノズルを洗浄するノズル洗浄方法およびノズル洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿などの検体を分析する自動分析装置では、先に分注した検体が分注ノズルに付着したまま次に分注する検体に持ち越されることで、分析結果に影響を及ぼすキャリーオーバーを回避するため、分注ノズルを洗浄するノズル洗浄装置を備えている。このノズル洗浄装置は、検体を吸引する位置と検体を吐出する位置との間の分注ノズルの移動軌跡の途中に配置され、分注ノズルに対して洗浄液を供給するように構成されている。このノズル洗浄装置を用いたノズル洗浄方法では、検体の吸引および吐出を行って分注が完了した後に、分注ノズルをノズル洗浄装置の位置に移動させ、この分注ノズルに対して洗浄液を供給して分注ノズルを洗浄している。
【0003】
ところで、分注後のノズル内には少量の検体が残留しており、洗浄液を貯留した洗浄装置内で分注ノズルを洗浄すると、洗浄液が分注ノズルに残留する検体により汚れてしまうため、キャリーオーバーの要求レベルが高くなると洗浄処理に多量の洗浄液を必要とすると共に、洗浄時間も長くなる。これを改善するために、洗浄槽に隣接して廃棄槽を設置して、残留検体を廃棄槽に廃棄後、洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−145077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、分注ノズルを廃棄槽と洗浄槽の2ケ所で所定の動作をさせるため、洗浄時間に分注ノズルの昇降動作に要する時間および廃棄槽から洗浄槽への移動時間が加算され、洗浄槽のみで洗浄動作を行なうよりも洗浄時間を多く要することとなり、高速化および処理能力の向上が要求される自動分析装置への2槽式の洗浄装置の適用は効率的ではない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分注ノズルの洗浄を確実に行うとともに、洗浄時間の短縮を可能とするノズル洗浄方法およびノズル洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる液体の吸引および吐出を行なう分注ノズルのノズル洗浄方法は、分注終了後、洗浄液をオーバーフローさせた貯留槽上部において、前記分注ノズルの内壁面を予圧用液の吐出により洗浄する第一洗浄ステップと、洗浄液をオーバーフローさせた前記貯留槽に、前記分注ノズルを下降浸漬させることにより、少なくとも外壁面を洗浄する第二洗浄ステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るノズル洗浄方法は、上記の発明において、前記第一洗浄ステップにおける前記貯留槽のオーバーフローは、前記分注ノズルから内壁面洗浄用に吐出された予圧溶液が前記貯留槽に落下到達前に開始されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るノズル洗浄方法は、上記の発明において、前記第一洗浄ステップにおける前記貯留槽のオーバーフローは、前記分注ノズルから内壁面洗浄用の予圧用液が吐出終了後、吐出された前記予圧用液が前記貯留槽に落下到達後に停止されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るノズル洗浄方法は、上記の発明において、前記第二洗浄ステップにおける前記貯留槽のオーバーフローは、前記分注ノズルが下降し、前記分注ノズルの先端が前記貯留槽に浸漬前に再開されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るノズル洗浄方法は、上記の発明において、前記第二洗浄ステップにおける前記貯留槽のオーバーフローは、前記分注ノズルの前記貯留槽からの引上げ前に停止されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るノズル洗浄方法は、上記の発明において、前記第二洗浄ステップ終了後であって、前記分注ノズル上昇による前記貯留槽からの引上げ後、前記貯留槽に貯留されている洗浄液を排出させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るノズル洗浄方法は、上記の発明において、前記第一洗浄ステップおよび前記第二洗浄ステップにおいて、前記貯留槽からオーバーフローされた洗浄液をオーバーフロー槽にて排出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るノズル洗浄方法は、上記の発明において、前記第二洗浄ステップ前に、洗浄液をオーバーフローさせた前記貯留槽上部にて噴出用洗浄液供給手段により洗浄液を噴出させた流路中に前記分注ノズルを下降進入させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る液体の吸引および吐出を行なう分注ノズルのノズル洗浄装置は、前記分注ノズルが挿入される開口部を上部に有し、洗浄液をオーバーフローさせる貯留槽と、前記貯留槽からオーバーフローされた洗浄液を廃出するオーバーフロー槽と、前記貯留槽に対して洗浄液を供給する貯留用洗浄液供給手段と、前記分注ノズルから内壁面洗浄用に吐出された予圧用液が前記貯留槽に落下到達時および前記分注ノズルの先端が前記貯留槽に浸漬した状態時に少なくとも前記貯留槽をオーバーフロー状態に制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る液体の吸引および吐出を行なう分注ノズルのノズル洗浄装置は、上記の発明において、前記オーバーフロー槽の開口部は、貯留槽の開口部から下方に傾斜する斜面をなすように形成されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る液体の吸引および吐出を行なう分注ノズルのノズル洗浄装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記分注ノズルから内壁面洗浄用に吐出された予圧用液が前記貯留槽に落下到達前にオーバーフローを開始し、前記分注ノズルから内壁面洗浄用の予圧用液の吐出終了後、吐出された前記予圧用液が前記貯留槽に落下到達後にオーバーフローを停止させる制御を行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る液体の吸引および吐出を行なう分注ノズルのノズル洗浄装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記分注ノズルが下降開始し、前記分注ノズルの先端が前記貯留槽に浸漬前にオーバーフローを再開し、前記分注ノズルの前記貯留槽からの引上げ前にオーバーフローを停止させる制御を行うことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る液体の吸引および吐出を行なう分注ノズルのノズル洗浄装置は、上記の発明において、前記貯留槽上部領域内で洗浄液を噴出させる噴出用洗浄液供給手段を備え、前記制御手段は、前記噴出用洗浄液供給手段により噴出させた洗浄液が前記貯留槽に落下時に少なくとも前記貯留槽をオーバーフロー状態にする制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかるノズル洗浄方法は、分注ノズルから内壁面洗浄用に残留検体と共に吐出された予圧用液が貯留槽に貯留された洗浄液に混入する際、および外壁面に検体が残留する分注ノズルが、洗浄液が貯留された前記貯留槽に下降浸漬する際に、前記貯留槽に貯留されている洗浄液をオーバーフローさせることにより、検体を含む予圧用液等を貯留槽内の洗浄液とともに強制的にオーバーフロー槽に排出することにより、分注ノズルの単一の貯留槽での洗浄を可能として洗浄時間の短縮を可能とすることができるとともに、前記貯留槽への検体の持込みを低減して、効率的な洗浄を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるノズル洗浄方法およびノズル洗浄装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態にかかるノズル洗浄方法を使用する自動分析装置を示す概略構成図である。図1に示すように、自動分析装置1は、検体と試薬との間の反応物を通過する光を測定する測定機構9と、測定機構9を含む分析装置1全体の制御を行なうとともに、測定機構9における測定結果の分析を行なう制御機構10とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の分析を自動的に行なう。
【0023】
まず、測定機構9について説明する。測定機構9は、大別して検体テーブル2と、反応テーブル3と、試薬テーブル4と、検体分注機構(検体分注装置)5と、試薬分注機構(試薬分注装置)7と、ノズル洗浄機構(ノズル洗浄装置)6および8とを備えている。
【0024】
検体テーブル2は、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された収納部21を備えている。各収納部21には、検体を収容した検体容器22が着脱自在に収納される。検体容器22は、上方に向けて開口する開口部22aを有している。また、検体テーブル2は、検体テーブル2の中心を通る鉛直線を回転軸として検体テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。検体テーブル2が回転すると検体容器22は、検体分注機構5によって検体が吸引される検体吸引位置に搬送される。
【0025】
なお、検体容器22には、収容された検体の種類や分析項目に関する検体情報を有する識別ラベル(図示せず)が貼り付けてある。一方、検体テーブル2は、検体容器22の識別ラベルの情報を読み取る読取部23を備えている。
【0026】
反応テーブル3は、円環状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された収納部31を備えている。各収納部31には、検体と試薬を収容する透明な反応容器32が上方に向けて開口した形態で着脱自在に収納される。また、反応テーブル3は、反応テーブル3の中心を通る鉛直線を回転軸として反応テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。反応テーブル3が回転すると反応容器32は、検体分注機構5によって検体が吐出される検体吐出位置や、試薬分注機構7によって試薬が吐出される試薬吐出位置に搬送される。
【0027】
また、反応テーブル3は、測光装置33を備えている。測光装置33は、光源33aおよび受光部33bを有している。光源33aは、所定波長の分析光を出射する。受光部33bは、光源33aから出射されて、反応容器32に収容された検体と試薬が反応した反応液を透過した光束を測定する。測光装置33は、前記光源33aと受光部33bが反応テーブル3の収納部31を挟んで半径方向に対向する位置に配置されている。なお、反応テーブル3は、測定後の反応液を反応容器32から排出し、該反応容器32を洗浄する洗浄機構34を備えている。
【0028】
試薬テーブル4は、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された収納部41を備えている。各収納部41には、試薬を収容した試薬容器42が着脱自在に収納される。試薬容器42は、上方に向いて開口する開口部42aを有している。また、試薬テーブル4は、試薬テーブル4の中心を通る鉛直線を回転軸として試薬テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。試薬テーブル4が回転すると試薬容器42は、試薬分注機構7によって試薬が吸引される試薬吸引位置に搬送される。
【0029】
なお、試薬容器42には、収容された試薬の種類や収容量に関する試薬情報を有する識別ラベル(図示せず)が貼り付けてある。一方、試薬テーブル4は、試薬容器42の識別ラベルの情報を読み取る読取部43を備えている。
【0030】
検体分注機構5は、検体の吸引および吐出を行なう分注ノズルが先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。検体分注機構5は、検体テーブル2と反応テーブル3との間に設けられ、検体テーブル2によって所定位置に搬送された検体容器22内の検体を分注ノズルによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル3によって所定位置に搬送された反応容器32に分注して検体を所定タイミングで反応テーブル3上の反応容器32内に移送する。
【0031】
試薬分注機構7は、試薬の吸引および吐出を行なう分注ノズルが先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。試薬分注機構7は、試薬テーブル4と反応テーブル3との間に設けられ、試薬テーブル4によって所定位置に搬送された試薬容器42内の試薬を分注ノズルによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル3によって所定位置に搬送された反応容器32に分注して試薬を所定タイミングで反応テーブル3上の反応容器32内に移送する。
【0032】
図2に検体分注機構5(試薬分注機構7も同様である)の概略構成図を示す。検体分注機構5は、図2に示すように分注ノズル50を有している。分注ノズル50は、ステンレスなどによって棒管状に形成されたもので、先端側はテーパー形状をとる。先端を下方に向けて上方の基端がアーム51の先端に取り付けてある。アーム51は、水平配置され、その基端が支軸52の上端に固定してある。支軸52は、鉛直配置されており、ノズル移送部53によって鉛直軸Oを中心として回転する。支軸52が回転すると、アーム51が水平方向に旋回して、分注ノズル50を水平方向に移動させる。また、支軸52は、ノズル移送部53によって鉛直軸Oに沿って昇降する。支軸52が昇降すると、アーム51が鉛直方向に昇降して、分注ノズル50を鉛直(上下)方向であって分注ノズル50の長手方向に昇降させる。
【0033】
分注ノズル50の基端には、チューブ54aの一端が接続される。このチューブ54aの他端は、シリンジ55に接続される。シリンジ55は、チューブ54aの他端が接続された筒状のシリンダー55aと、シリンダー55aの内壁面に摺動しながらシリンダー55a内を進退可能に設けられたプランジャー55bとを有する。プランジャー55bは、プランジャー駆動部56に接続される。プランジャー駆動部56は、例えばリニアモーターを用いて構成され、シリンダー55aに対するプランジャー55bの進退移動を行うものである。シリンジ55のシリンダー55aには、チューブ54bの一端が接続される。このチューブ54bの他端は、予圧用液L1を収容するタンク57に接続される。また、チューブ54bの途中には、電磁弁58およびポンプ59が接続される。なお、予圧用液L1としては、蒸留水や脱気水などの非圧縮性流体が適用される。この予圧用液L1は、分注ノズル50の内部の洗浄を行う洗浄液としても適用される。
【0034】
検体分注機構5は、ポンプ59を駆動し、電磁弁58を開状態にすることでタンク57に収容されている予圧用液L1が、チューブ54bを経てシリンジ55のシリンダー55a内に充填され、さらにシリンダー55aからチューブ54aを経て分注ノズル50の先端まで満たされる。このように予圧用液L1が分注ノズル50の先端まで満たされた状態で、電磁弁58を閉状態にし、ポンプ59を止めておく。そして、検体や試薬の吸引を行う場合、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55bをシリンダー55aに対して後退移動させることにより、予圧用液L1を介して分注ノズル50の先端部に吸引圧が印可され、この吸引圧によって検体や試薬が吸引される。一方、検体や試薬の吐出を行う場合には、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55bをシリンダー55aに対して進出移動させることにより、予圧用液L1を介して分注ノズル50の先端部に吐出圧が印可され、この吐出圧によって検体や試薬が吐出される。
【0035】
なお、図には明示しないが検体分注機構5は、分注ノズル50で分注する検体および試薬の液面を検知する液面検知機能を備えている。液面検知機能には、例えば分注ノズル50が検体や試料に接した際の静電容量の変化によって液面を検知するものがある。
【0036】
ノズル洗浄機構6は、検体テーブル2と反応テーブル3との間であって、検体分注機構5における分注ノズル50の水平移動の軌跡の途中位置に設けられ、ノズル洗浄機構8は、試薬テーブル4と反応テーブル3との間であって、試薬分注機構7における分注ノズル50の水平移動の軌跡の途中位置に設けられる。図3にノズル洗浄機構の概略構成図を示す。図3に示すように、ノズル洗浄機構6(ノズル洗浄機構8も同様)は洗浄槽60を有している。洗浄槽60は、筒状に形成され、下降する分注ノズル50の先端が上方から挿入されるように上部に開口部60aを有している。
【0037】
洗浄槽60の中央域には、角柱または円柱状の貯留槽62が設けられる。貯留槽62は、下降する分注ノズル50の先端が上方から挿入されるように、その上部に開口部62aを有し、その側面下部には貯留用洗浄液供給手段63が設けられる。貯留用洗浄液供給手段63は、ノズル部63aを介して貯留槽62と接続され、ノズル部63aは、その吐出口を貯留槽62の内方に向けて設けられる。ノズル部63aには、チューブ63bの一端が接続され、チューブ63bの他端は、洗浄液L2を収容するタンク61cに接続される。また、チューブ63bの途中には、電磁弁63cとポンプ61eが接続されており、チューブ63bは、ノズル部63aから電磁弁63cおよびポンプ61eを介してタンク61cに接続されている。なお、洗浄液L2としては、蒸留水や脱気水などが適用される。また、貯留槽62の底部には、チューブ62bの一端が接続され、チューブ62bの他端は、電磁弁62dを介して、廃棄タンク62cに接続される。
【0038】
洗浄槽60には、オーバーフロー槽64が設けられる。オーバーフロー槽64は、洗浄槽60の内部で貯留槽62と並んで配置される。オーバーフロー槽64の開口部は、貯留槽62の開口部62aから下方に傾斜する斜面をなすようにすり鉢状に形成され、下部が洗浄槽60の底部に貫通して形成してある。オーバーフロー槽64の下部には、チューブ64aの一端が接続される。チューブ64aの他端は、廃棄タンク62cに接続される。
【0039】
ノズル洗浄機構6は、電磁弁63cを開状態にしてポンプ61eを駆動することでタンク61cに収容されている洗浄液L2が、チューブ63bを経てノズル部63aの吐出口から貯留槽62の内部に供給され、貯留槽62の内部に貯留される。ノズル部63aから貯留槽62の内部に供給されて開口部62aからオーバーフローする洗浄液L2は、貯留槽62とオーバーフロー槽64の間に形成された斜面に沿って、洗浄槽62からオーバーフロー槽64内に導かれ、このオーバーフロー槽64からチューブ64aを経て洗浄槽60の外部にある廃棄タンク62cに排出される。また、電磁弁62dを開状態にすることで貯留槽62に貯留された洗浄液L2は、チューブ62bを経て廃棄タンク62cに排出される。
【0040】
このような構成の自動分析装置1では、反応容器32に対して検体分注機構5が、検体容器22から検体を分注する。また、反応容器32には、試薬分注機構7が試薬容器42から試薬を分注する。そして、検体および試薬が分注された反応容器32は、反応テーブル3によって周方向に沿って搬送される間に検体と試薬とが攪拌されて反応し、光源33aと受光部33bとの間を通過する。このとき、光源33aから出射され、反応容器32内の反応液を通過した分析光は、受光部33bによって測光されて成分濃度などが分析される。そして、分析が終了した反応容器32は、洗浄機構34によって測定後の反応液が排出されて洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0041】
つぎに、制御機構10について説明する。図1に示すように、制御機構10は、制御部101、入力部102、分析部103、記憶部104、出力部105および送受信部107を備える。制御機構10が備える各部は、制御部101に電気的に接続されている。分析部103は、制御部101を介して測光装置33に接続され、受光部33bが受光した光量に基づいて検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部101に出力する。入力部102は、制御部101へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。
【0042】
記憶部104は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部104は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0043】
出力部105は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、制御部101の制御のもと、分析に関する諸情報を出力する。出力部105は、ディスプレイ等を用いて構成された表示部106を備える。表示部106は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。入力部102および表示部106はタッチパネルによって実現するようにしてもよい。送受信部107は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する。
【0044】
また、制御部101には、上述した検体分注機構5(試薬分注機構7も同様)のノズル移送部53、プランジャー駆動部56、電磁弁58、およびポンプ59が接続され、さらに、上述したノズル洗浄機構6(ノズル洗浄装置8も同様)のポンプ61e、電磁弁63cおよび62dが接続されている。制御機構10は、自動分析装置1の各処理にかかわる各種プログラムを用いて、検体分注機構5、試薬分注機構7、ノズル洗浄機構6および8の動作処理の制御を行なう。
【0045】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応テーブル3によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器32に、試薬分注機構7が試薬容器42から試薬を分注し、試薬が分注された反応容器32は、反応テーブル3によって周方向に沿って搬送され、検体分注機構5によって検体テーブル2に保持された検体容器22から検体が分注される。試薬および検体分注後の分注ノズルは、キャリーオーバーを防止すべく、次の試薬および検体分注前にノズル洗浄機構6および8により洗浄される。
【0046】
つぎに、図1および3に示したノズル洗浄機構6(ノズル洗浄機構8も同様)について詳細に説明する。図4は分注ノズルの分注・洗浄動作を示すフローチャートであり、図5はノズル洗浄機構の洗浄動作を示す動作図である。
【0047】
図4に示すように、まず制御部101は、分注ノズル50を検体吸引位置にある検体容器22の開口部22aの上方に移動させ、該分注ノズル50で検体を吸引する(ステップS11)。次に、制御部101は、分注ノズル50を検体吐出位置にある反応容器32の上方に移動させ、検体を吐出する(ステップS12)。その後制御部101は、分注ノズル50をノズル洗浄機構6における洗浄槽60内の貯水槽62の開口部62a上方に移動し、貯留用洗浄液供給手段63により供給される洗浄液L2をオーバーフローさせている貯留槽62上で、検体が残存する分注ノズル50内を予圧用液L1の吐出によって内壁面を洗浄する第一洗浄ステップ(ステップS13)を行う。その後分注ノズル50を、洗浄液L2をオーバーフローさせている貯留槽62に下降浸漬させて少なくとも外壁面を洗浄する第二洗浄ステップを行なう(ステップS14)。
【0048】
第一洗浄ステップ(ステップS13)では、先ず、制御部101は、図5(a)に示すように、貯留槽62側面下部に連結された貯留用洗浄液供給手段63により洗浄液L2を供給し、開口部62aから洗浄液L2をオーバーフローさせている貯留槽62上で、プランジャー駆動部56を駆動させてプランジャー55bをシリンダー55aに対して進出移動させることにより、予圧用液L1を分注ノズル50に残存する検体とともに吐出させる。該予圧用液L1の吐出により分注ノズル50内から検体が除去されて、内壁面が洗浄される。分注ノズル50から吐出される検体を含んだ予圧用液L1が貯留槽62に到達するとき、貯留用洗浄液供給手段63により供給される洗浄液L2は、開口部62aから隣接するオーバーフロー槽64にオーバーフローされているため、検体を含んだ予圧用液L1はオーバーフローされる洗浄液L2と共に強制的にオーバーフロー槽64へと排出される。検体を含んだ予圧用液L1が貯留槽62に落下到達する際に貯留槽62の洗浄液L2をオーバーフローさせることで、貯留槽62内の洗浄液L2には検体が混入せず、清浄な洗浄液L2での洗浄が可能となるため、第一洗浄ステップの後に行なわれる分注ノズル50の外壁面の洗浄時間を、検体が混入した洗浄液L2で洗浄する場合よりも短縮することができる。なお、貯留槽62からオーバーフローされた洗浄液L2は、貯留槽62とオーバーフロー槽64の間に形成された斜面に沿ってオーバーフロー槽64に導かれ、オーバーフロー槽に接続されるチューブ64aを経て廃棄タンク62cに廃棄される。
【0049】
第一洗浄ステップ終了後、第二洗浄ステップ(ステップS14)に移行する。制御部101は、図5(b)に示すように、貯留槽62側面下部にノズル部63aを介して接続する貯留用洗浄液供給手段63により供給される洗浄液L2をオーバーフローさせている貯留槽62上に、外壁面に検体が残留する分注ノズル50をノズル移送部53によって下降浸漬させる。外壁面に検体が付着している分注ノズル50の先端が貯留槽62内の洗浄液L2に下降浸漬する際、貯留槽62の開口部62aでは、貯留用洗浄液供給手段63により貯留槽62に供給された洗浄液L2がオーバーフロー槽64へとオーバーフローしているため、分注ノズルの洗浄液L2への下降浸漬により分注ノズル50の外壁面から洗浄された検体は、分注ノズル50から洗浄後直ちに洗浄液L2とともに強制的にオーバーフロー槽にオーバーフローされる。貯留槽62とオーバーフロー槽64の間の壁面は、貯留槽62からオーバーフロー槽64に下方に傾斜する斜面をなすような形状であるため、オーバーフローが容易に行なわれる。また、分注ノズル50の下降速度と洗浄液L2のオーバーフロー量を調整することにより、分注ノズル50に付着する検体を貯留槽62内の洗浄液L2で洗浄後、拡散させることなく洗浄液L2とともにオーバーフローさせることができる。除去された検体を含む洗浄液L2は貯留槽62にとどまることなく排出されるため、貯留槽62には清浄な洗浄液L2が貯留されることとなり、汚れた洗浄液L2が分注ノズル50に再付着することがなく、洗浄時間を短縮することができる。
【0050】
なお、本発明にかかるノズル洗浄方法においては、分注ノズル50の貯留槽62中への下降に要する時間内に外壁面の洗浄が終了するように設定してもよく、また分注ノズル50の下降終了後、分注ノズル50を貯留槽62内に浸漬させ続けて外壁面をさらに洗浄してもよい。なお、貯留槽62からオーバーフローされた洗浄液L2は、オーバーフロー槽64に導かれ、オーバーフロー槽に接続されるチューブ64aを経て廃棄タンク62cに廃棄される。
【0051】
ここで、分注ノズル50の貯留槽62内に挿入する深さは、検体または試薬の吸引時に分注ノズル50を検体等に潜り込ませた深さ以上であればよく、分析情報に基づき選択決定される。分析情報は、検体テーブル2に載置された検体容器22に対応付けて記憶部104に記憶される。血清検体や試薬の吸引時の分注ノズルの潜り込み深さは、ノズル先端から数ミリ程度(例えば3mm)であり、全血検体吸引時は、検体の全深さに応じた深さ(例えば液面から全体深さの70%)であるので、検体の種類に応じて、分注ノズル50を吸引時に潜り込ませた深さ以上に分注ノズル50を貯留槽62に挿入させるよう設定する。潜り込み深さが最大となる全血検体吸引後のノズル洗浄の場合でも、貯留槽62への分注ノズル50挿入時の分注ノズル50の先端位置は、貯留用洗浄液供給手段63からのノズル部63aの連結部より上方に位置させるものとする。分注ノズル50の先端部をノズル部63aの上方とすることで、分注ノズル50の外壁面に検体が残存していた場合であっても、貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2を供給することにより、貯留槽62内を清浄に保つことができる。
【0052】
分注ノズル50の外壁面の洗浄終了後、貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2の供給は停止され、貯留槽62の洗浄液L2のオーバーフローも停止する。上記したように、貯留用洗浄液供給手段63からの洗浄液L2の供給制御を頻繁に行なうことにより、廃棄される洗浄液L2の低減が可能となる。オーバーフロー終了後、図5(c)に示すように、分注ノズル50をノズル移送部53によって上昇させ、貯留槽62から引上げる。分注ノズル50の上昇速度の調整により、分注ノズル50への洗浄液L2の付着量を低減することができる。
【0053】
分注ノズル50の貯留槽62からの引上げ後、図5(d)に示すように、電磁弁62dを開状態にすることで貯留部62に貯留された洗浄液L2を、チューブ62bを経て廃棄タンク62cに排出する。
【0054】
なお、上記では、第二洗浄ステップにおいて、分注ノズル50の外壁面のみを洗浄するケースについて説明したが、図5(b)に示す分注ノズル下降後であって、図5(c)に示す分注ノズル50の上昇前に、分注ノズル50を貯留槽62に浸漬洗浄させて外壁面を洗浄しながら、プランジャー駆動部56を駆動させて、プランジャー55bをシリンダー55aに対して後退移動および進出移動させることにより、分注ノズル50に貯留槽62内の洗浄液L2を吸入・吐出させて分注ノズル50の内壁面をさらに洗浄することも可能である。
【0055】
さらに、上記では、図5(c)に示す分注ノズル50の上昇前に、貯留槽62のオーバーフローを停止させているが、貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2を供給し続けることにより、オーバーフローさせ続けてもよい。
【0056】
つぎに、図6を用いて本発明のノズル洗浄方法の各工程の動作時間について説明する。図6は、本発明を使用するノズル洗浄機構の洗浄動作のタイムチャートである。
【0057】
反応テーブル3の収納部31に収納された反応容器32に検体または試薬を吐出した分注ノズル50は、ノズル移送部53によりノズル洗浄機構6または8の貯留槽62上部に移送される。分注ノズル50の移送後、図6(a)に示すように、プランジャー駆動部56を駆動しプランジャー55bをシリンダー55aに対して進出移動させることにより、予圧用液L1を分注ノズル50に残存する検体とともに分注ノズル50から吐出させる(t1)。このとき、図6(b)に示すように、貯留槽62は、プランジャー駆動部56を駆動するt1時から、プランジャー駆動部56の駆動後予圧用液L1が貯留槽62に落下到達時のt2時までには、少なくとも貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2が供給されて、貯留槽62とオーバーフロー槽64の間に形成された斜面に沿って貯留槽62の開口部62aからオーバーフロー槽62にオーバーフローするよう制御部101により制御される。
【0058】
分注ノズル50の内壁面洗浄後、制御部101はプランジャー駆動部56の駆動を停止することにより予圧用液L1の吐出を停止し(t3)、これに伴い貯留槽62のオーバーフローも、吐出された予圧用液L1の貯留槽62への到達終了後(t4)に停止される。分注ノズル50から検体を含む予圧用液L1が吐出され、貯留槽62に導入されている間は、少なくとも貯留槽62は、貯留用洗浄液供給手段63からの洗浄液L2の供給によりオーバーフローするよう制御される。これにより貯留槽62内の洗浄液L2への検体混入を防止できる。
【0059】
その後、図6(c)に示すように、分注ノズル50をノズル移送部53により貯留槽62内へ下降浸漬させる(t5)。このとき、図6(b)に示すように、貯留槽62は、ノズル移送部53を駆動するt5時から、分注ノズル50の先端が貯留槽62内の洗浄液L2への浸漬時であるt6時までには、少なくとも貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2が供給されて、貯留槽62の開口部62aでオーバーフローするよう制御される。
【0060】
分注ノズル50の下降終了時点(t7)で分注ノズル50の外壁面洗浄が終了し、貯留槽62のオーバーフローも停止される(t8)。分注ノズル50下降終了後、貯留槽62内で分注ノズル50の外壁面(または内外壁面)洗浄を行なう場合には、その貯留槽での浸漬洗浄終了後、オーバーフローを停止する(かかる場合は、t7とt8の間隔が浸漬洗浄時間の分だけ長くなる)。
【0061】
その後、図6(c)に示すように、分注ノズル50はノズル移送部53の駆動により貯留槽62から引上げ開始し(t9)、t11時には分注ノズル50の引き上げが完了する。貯留槽62内の洗浄液L2は、図6(d)に示すように、分注ノズル50がノズル移送部53により鉛直方向に上昇し、貯留槽62の洗浄液L2からの引上げ時であるt10時以降、電磁弁62dを開操作することにより廃棄タンク62cに排出される。
【0062】
本形態にかかるノズル洗浄方法を使用することにより、分注ノズルの単一の貯留槽での洗浄を可能として洗浄時間の短縮を可能とすることができるとともに、前記貯留槽への検体の持込みを低減して、効率的な洗浄を行なうことができる。さらに、本形態の洗浄槽は、単一の貯留槽と貯留槽からオーバーフローされる洗浄液を排出するオーバーフロー槽からなり、廃棄槽など余分な設備を設ける必要がなく、洗浄機構の簡素化およびこれによるコストダウンが図れるという利点を有する。
【0063】
また、本形態の変形例として、第一洗浄ステップ、第二洗浄ステップを通じて、貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2を供給し続けることにより、貯留槽62を常にオーバーフローさせ続けてもよい。かかる場合は、図5(d)に示す貯留部62に貯留された洗浄液L2の廃棄タンク62cへの排出は省略され、引き続き分注ノズル50の洗浄が行なわれる。
【0064】
さらにまた、本形態の変形例として、第一洗浄ステップ、第二洗浄ステップを通じて、貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2を供給して貯留槽62をオーバーフローさせ、図5(c)に示す分注ノズル50の上昇前に貯留用洗浄液供給手段63からの洗浄液L2の供給を止め、オーバーフロー停止後、分注ノズル50をノズル移送部53により貯留槽62から引上げてもよい。その後は、図5(d)に示す貯留槽62内の洗浄液L2を廃棄タンク62cに排出し、新たに分注ノズルの洗浄を行なう。本方法は、貯留槽62の洗浄剤L2の清浄度をより高く保ちながら、洗浄剤L2の使用量も低減できるので好ましい。
【0065】
(実施の形態2)
つぎに本発明に係るノズル洗浄方法の実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、洗浄槽60内の貯留槽62およびオーバーフロー槽64の上部に、噴出用洗浄液供給手段61を設置する点で実施の形態1と異なる。
【0066】
本形態のノズル洗浄装置の概略構成図を図7に、分注・洗浄動作を示すフローチャートを図8に、洗浄動作を示す動作図を図9に示す。
【0067】
図7に示すように、本形態のノズル洗浄装置の洗浄槽60には、噴出用洗浄液供給手段61が設けられる。噴出用洗浄液供給手段61は、ノズル部61aを有し、該ノズル部61aは、洗浄槽60内の上部に配置され、その吐出口を斜め下方に向け、かつ洗浄槽60の鉛直な中心線Sに向けて複数(本実施の形態においては2つ)設けられる。各ノズル部61aには、チューブ61bの分岐した一端がそれぞれ接続される。また、チューブ61bは、一端から他端に至る途中で1つに合流して形成される。このチューブ61bの他端は、洗浄液L2を収容するタンク61cに接続される。また、1つに合流したチューブ61bの途中には、電磁弁61dおよびポンプ61eが接続される。
【0068】
洗浄槽60の内部であってノズル部61aの下方域に、貯留槽62およびオーバーフロー槽64が設けられ、貯留槽62の底部にチューブ62b、電磁弁62dを設置する点、貯留槽62の側面下方に貯留用洗浄液供給手段63が設けられる点は実施の形態1と同様である。
【0069】
本実施の形態では、電磁弁61dを開状態にしてポンプ61eを駆動することでタンク61cに収容されている洗浄液L2が、チューブ61bを経てノズル部61aの吐出口から洗浄槽60の内部に噴出される。また、電磁弁63cを開状態にしてポンプ61eを駆動することでタンク61cに収容されている洗浄液L2が、チューブ63bを経てノズル部63aの吐出口から貯留槽62の内部に供給され、かつ貯留槽62の内部で貯留される。ノズル部61aから洗浄槽60の内部に吐出された洗浄液L2、およびノズル部63aから貯留槽62の内部に供給されて該貯留槽62の開口部62aから溢れる洗浄液L2は、オーバーフロー槽64にオーバーフローされる。貯留槽62とオーバーフロー槽64の間の壁面は、貯留槽62からオーバーフロー槽64に下方に傾斜する斜面をなすような形状であるため、洗浄液L2は開口部62aから斜面に沿ってオーバーフロー槽64内に導かれる。オーバーフローされた洗浄液L2等は、このオーバーフロー槽64からチューブ64aを経て洗浄槽60の外部にある廃棄タンク62cに排出される。また、電磁弁62dを開状態にすることで貯留部62に貯留された洗浄液L2が、チューブ62bを経て廃棄タンク62cに排出される。
【0070】
本実施の形態では、図8に示すように、ステップS21、S22、S23およびS25は実施の形態1と同様の工程であるが、ステップS23とステップS25の間に、洗浄液L2をオーバーフローさせた貯留槽62上部にて、噴出用洗浄液供給手段61により洗浄液L2を噴出させた流路中に、分注ノズル50を進入降下させ外壁面を洗浄する工程を設けている(ステップS24)点で実施の形態1と異なる。分注ノズル50で検体を吸引(ステップS21)し、反応容器32に検体を吐出(ステップS22)、貯留用洗浄液供給手段63で洗浄液L2を供給させることで洗浄液L2をオーバーフローさせている貯留槽62上で、分注ノズル50の内壁面を予圧用液L1の吐出によって洗浄し(ステップS23)、洗浄液L2をオーバーフローさせている貯留槽62上で、噴出用洗浄液供給手段61のノズル部61aから洗浄液L2を噴出させた流路中に、前記分注ノズル50を下降進入させて外壁面を洗浄する(ステップS24)。ひき続き分注ノズル50を、洗浄液L2をオーバーフローさせている貯留槽62に下降浸漬させて、さらに少なくとも外壁面を洗浄する(ステップS25)。
【0071】
第一洗浄ステップ(ステップS23)では、先ず、制御部101は、図9(a)に示すように、貯留槽62側面下部に連結された貯留用洗浄液供給手段63により洗浄液L2を供給し、開口部62aから洗浄液L2をオーバーフローさせている貯留槽62上で、プランジャー駆動部56を駆動させてプランジャー55bをシリンダー55aに対して進出移動させることにより、予圧用液L1を分注ノズル50に残存する検体とともに吐出させる。該予圧用液L1の吐出により分注ノズル50内から検体が除去されて、内壁面が洗浄される。分注ノズル50から吐出される検体を含んだ予圧用液L1が貯留槽62に到達するとき、貯留用洗浄液供給手段63により供給される洗浄液L2は、開口部62aから隣接するオーバーフロー槽64にオーバーフローされているため、検体を含んだ予圧用液L1はオーバーフローされる洗浄液L2と共に強制的にオーバーフロー槽64へと排出される。検体を含んだ予圧用液L1が貯留槽62に落下到達する際に貯留槽62の洗浄液L2をオーバーフローさせることで、貯留槽62内の洗浄液L2には検体が混入せず、清浄な洗浄液L2でのその後の浸漬洗浄が可能となる。なお、貯留槽62からオーバーフローされた洗浄液L2は、オーバーフロー槽64に導かれ、オーバーフロー槽64に接続されるチューブ64aを経て廃棄タンク62cに廃棄される。
【0072】
第一洗浄ステップ終了後、図9(b)に示すように、制御部101は、洗浄液L2をオーバーフローさせた貯留槽62上部にて、噴出用洗浄液供給手段61のノズル部61aから洗浄液L2を噴出させた流路中に、分注ノズル50を下降進入させ、分注ノズル50の外壁面を洗浄する。図9(b)では、貯留用洗浄液供給手段63のノズル部63aから貯留部62に洗浄液L2が供給され、貯留槽62の開口部62aからオーバーフロー槽64に洗浄液L2がオーバーフローしている状態で、分注ノズル50を下降進入させて洗浄槽60の開口部60aに挿入する。これにより、ノズル部61aから噴射された洗浄液L2が分注ノズル50の長手方向(進入方向)に沿って分注ノズル50の外壁面に衝突して、分注ノズル50の外壁面に付着している検体が除去されて分注ノズル50の外壁面が洗浄される。除去された検体は洗浄液L2とともに貯留槽62に落下するが、貯留槽62は開口部62aから洗浄液L2をオーバーフローさせているので、除去された検体は、オーバーフローされる洗浄液L2とともにオーバーフロー槽64に排出される。
【0073】
続いて、図9(c)に示すように、貯留用洗浄液供給手段63により供給される洗浄液L2をオーバーフローさせている貯留槽62に、引き続きノズル部61aから洗浄液L2を噴射させながら、分注ノズル50を貯留槽62の洗浄液L2に下降浸漬させる。分注ノズル50が貯留槽62内の洗浄液L2に浸漬する際、貯留槽62下部にノズル部63aを介して接続する貯留用洗浄液供給手段63により引き続いて洗浄液L2が供給されているため、貯留槽62の開口部62aでは、洗浄液L2がオーバーフロー槽64へとオーバーフローし、ノズル部61aからの洗浄液L2噴射により除去された検体および貯留槽61中の洗浄液L2への浸漬により外壁面から洗浄された検体は、洗浄液L2とともに強制的にオーバーフロー槽64にオーバーフローされる。
【0074】
分注ノズル50の外壁面の洗浄終了後、貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2の供給は停止され、貯留槽62の洗浄液L2のオーバーフローも停止される。オーバーフロー終了後、図9(d)に示すように、分注ノズル50をノズル移送部53によって上昇させ、貯留槽62から引上げる。
【0075】
分注ノズル50の貯留槽62からの引上げ後、図9(e)に示すように、電磁弁62dを開状態にすることで貯留部62に貯留された洗浄液L2が、チューブ62bを経て廃棄タンク62cに排出される。
【0076】
つぎに、図10を用いて本形態にかかるノズル洗浄方法の各工程の動作時間について説明する。図10は、本形態のノズル洗浄機構の洗浄動作のタイムチャートである。
【0077】
反応テーブル3の収納部31に収納された反応容器32に検体または試薬を吐出した分注ノズル50は、ノズル移送部53によりノズル洗浄機構6または8の貯留槽62上部に移送される。分注ノズル50の移送後、図10(a)に示すように、プランジャー駆動部56を駆動しプランジャー55bをシリンダー55aに対して進出移動させることにより、予圧用液L1を分注ノズル50に残存する検体とともに分注ノズル50から吐出させる(t1)。このとき、図10(b)に示すように、貯留槽62は、プランジャー駆動部56を駆動するt1時から、プランジャー駆動部56の駆動後予圧用液L1の貯留槽62への落下到達時のt2時までには、少なくとも貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2が供給されて、貯留槽62とオーバーフロー槽64の間に形成された斜面に沿って貯留槽62の開口部62aからオーバーフロー槽64にオーバーフローするよう制御部101により制御される。
【0078】
分注ノズル50の内壁面洗浄後、制御部101はプランジャー駆動部56を停止し(t3)、これに伴い貯留槽62のオーバーフローも、吐出された予圧用液L1の貯留槽62への到達終了後(t4)に停止される。分注ノズル50から検体を含む予圧用液L1が吐出され、貯留槽62に導入されている間は、少なくとも貯留槽62は、貯留用洗浄液供給手段63からの洗浄液L2の供給によりオーバーフローするよう制御される。これにより貯留槽62内の洗浄液L2への検体混入を防止できる。
【0079】
その後、図10(c)および(d)に示すように、洗浄槽60上部で噴出用洗浄液供給手段61により洗浄液L2を噴出させている流路中に、分注ノズル50をノズル移送部53により下降進入させる(t5)。このとき、図10(b)〜(d)に示すように、貯留槽62は、噴出用洗浄液供給手段61により洗浄液L2を噴出し(t5)、該洗浄液が分注ノズル50の外壁面に衝突して分注ノズル50に付着している検体を除去し、検体を含む洗浄液L2が貯留槽62に落下到達する時点であるt6時までには、少なくとも貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2が供給されて、貯留槽62の開口部62aでオーバーフローさせるよう制御される。分注ノズル50は、ノズル部61aで洗浄液L2を噴射させている流路中を下降進入しながら、その後貯留槽62に下降浸漬される。分注ノズル50がノズル移送部53により下降されている間は、少なくとも貯留槽62は、貯留用洗浄液供給手段63からの洗浄液L2の供給によりオーバーフローするよう制御される。分注ノズル50の外壁面に残存する検体の最上部がノズル部61aから吐出する洗浄液L2により洗浄された後に、噴出用洗浄液供給手段61による洗浄液L2の噴出は停止される(t7)。
【0080】
分注ノズル50の下降終了時点(t8)で分注ノズル50の外壁面洗浄が終了し、貯留槽62のオーバーフローも停止される(t9)。分注ノズル50下降終了後、貯留槽62内で分注ノズル50の外壁面(または内外壁面)洗浄をさらに行なう場合には、貯留槽62での分注ノズル50の浸漬洗浄終了後、オーバーフローを停止する(かかる場合は、t8とt9の間隔が浸漬洗浄時間の分だけ長くなる)。
【0081】
その後、分注ノズル50はノズル移送部53の駆動により貯留槽62から引上げ開始し(t10)、t12時には分注ノズルの引き上げが完了する。貯留槽62内の洗浄液L2は、図10(e)に示すように、分注ノズル50がノズル移送部53により鉛直方向に上昇し、貯留槽62の洗浄液L2からの引上げ時であるt11時以降、電磁弁62dを開操作することにより廃棄タンク62cに排出される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態にかかるノズル洗浄方法を使用する自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】分注装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかるノズル洗浄方法を使用するノズル洗浄装置を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかるノズル洗浄動作のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1にかかるノズル洗浄方法の洗浄動作を示す動作図である。
【図6】本発明の実施の形態1にかかるノズル洗浄方法の洗浄動作を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2にかかるノズル洗浄方法を使用するノズル洗浄装置を示す概略構成図である。
【図8】本発明の実施の形態2にかかるノズル洗浄動作のフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2にかかるノズル洗浄方法の洗浄動作を示す動作図である。
【図10】本発明の実施の形態2にかかるノズル洗浄方法の洗浄動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1 自動分析装置
2 検体テーブル
21、31、41 収納部
22 検体容器
22a、42a 開口部
23、43 読取部
3 反応テーブル
32 反応容器
33 測光装置
33a 光源
33b 受光部
34 反応容器洗浄機構
4 試薬テーブル
42 試薬容器
5 検体分注機構
7 試薬分注機構
50 分注ノズル
51 アーム
52 支軸
53 ノズル移送部
54a、54b チューブ
55 シリンジ
55a シリンダー
55b プランジャー
56 プランジャー駆動部
57 タンク
58 電磁弁
59 ポンプ
6、8 ノズル洗浄機構
60 洗浄槽
60a 開口部
61 噴出用洗浄液供給手段
61a ノズル部
61b、62b、63b、64a チューブ
61c タンク
61d、62d、63c 電磁弁
61e ポンプ
62 貯留槽
62a 開口部
62c 廃棄タンク
63 貯留用洗浄液供給手段
63a ノズル部
64 オーバーフロー槽
9 測定機構
10 制御機構
101 制御部
102 入力部
103 分析部
104 記憶部
105 入力部
106 表示部
107 送受信部
L1 予圧用液
L2 洗浄液
O 鉛直軸
S 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の吸引および吐出を行う分注ノズルを洗浄するノズル洗浄方法において、
分注終了後、洗浄液をオーバーフローさせた貯留槽上部において、前記分注ノズルの内壁面を予圧用液の吐出により洗浄する第一洗浄ステップと、
洗浄液をオーバーフローさせた前記貯留槽に、前記分注ノズルを下降浸漬させることにより、少なくとも外壁面を洗浄する第二洗浄ステップと、
を含むことを特徴とするノズル洗浄方法。
【請求項2】
前記第一洗浄ステップにおける前記貯留槽のオーバーフローは、前記分注ノズルから内壁面洗浄用に吐出された予圧用液が前記貯留槽に落下到達前に開始されることを特徴とする請求項1に記載のノズル洗浄方法。
【請求項3】
前記第一洗浄ステップにおける前記貯留槽のオーバーフローは、前記分注ノズルから内壁面洗浄用の予圧用液が吐出終了後、吐出された前記予圧用液が前記貯留槽に落下到達後に停止されることを特徴とする請求項1または2に記載のノズル洗浄方法。
【請求項4】
前記第二洗浄ステップにおける前記貯留槽のオーバーフローは、前記分注ノズルが下降開始し、前記分注ノズルの先端が前記貯留槽に浸漬前に再開されることを特徴とする請求項3に記載のノズル洗浄方法。
【請求項5】
前記第二洗浄ステップにおける前記貯留槽のオーバーフローは、前記分注ノズルの前記貯留槽からの引上げ前に停止されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のノズル洗浄方法。
【請求項6】
前記第二洗浄ステップ終了後であって、前記分注ノズル上昇による前記貯留槽からの引上げ後、前記貯留槽に貯留されている洗浄液を排出させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のノズル洗浄方法。
【請求項7】
前記第一洗浄ステップおよび前記第二洗浄ステップにおいて、前記貯留槽からオーバーフローされた洗浄液をオーバーフロー槽にて排出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のノズル洗浄方法。
【請求項8】
前記第二洗浄ステップ前に、洗浄液をオーバーフローさせた前記貯留槽上部にて、噴出用洗浄液供給手段により洗浄液を噴出させた流路中に、前記分注ノズルを下降進入させることを特徴とする請求項1に記載のノズル洗浄方法。
【請求項9】
液体の吸引および吐出を行う分注ノズルを洗浄するノズル洗浄装置において、
前記分注ノズルが挿入される開口部を上部に有し、洗浄液をオーバーフローさせる貯留槽と、
前記貯留槽からオーバーフローされた洗浄液を排出するオーバーフロー槽と、
前記貯留槽に対して洗浄液を供給する貯留用洗浄液供給手段と、
前記分注ノズルから内壁面洗浄用に吐出された予圧用液が前記貯留槽に落下到達時および前記分注ノズルの先端が前記貯留槽に浸漬した状態時に少なくとも前記貯留槽をオーバーフロー状態に制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするノズル洗浄装置。
【請求項10】
前記オーバーフロー槽の開口部は、貯留槽の開口部から下方に傾斜する斜面をなすように形成されることを特徴とする請求項9に記載のノズル洗浄装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記分注ノズルから内壁面洗浄用に吐出された予圧用液が前記貯留槽に落下到達前にオーバーフローを開始し、前記分注ノズルから内壁面洗浄用の予圧用液の吐出終了後、吐出された前記予圧用液が前記貯留槽に落下到達後にオーバーフローを停止させる制御を行うことを特徴とする請求項9に記載のノズル洗浄装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記分注ノズルが下降開始し、前記分注ノズルの先端が前記貯留槽に浸漬前にオーバーフローを再開し、前記分注ノズルの前記貯留槽からの引上げ前にオーバーフローを停止させる制御を行うことを特徴とする請求項10に記載のノズル洗浄装置。
【請求項13】
前記貯留槽上部領域内で洗浄液を噴出させる噴出用洗浄液供給手段を備え、
前記制御手段は、前記噴出用洗浄液供給手段により噴出させた洗浄液が前記貯留槽に落下時に少なくとも前記貯留槽をオーバーフロー状態にする制御を行うことを特徴とする請求項9〜12のいずれか一つに記載のノズル洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−222593(P2009−222593A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68305(P2008−68305)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】