ノズル洗浄装置および電子部品実装機
【課題】移動の際に洗浄液が飛散しにくく設置スペースが狭いノズル洗浄装置、および当該ノズル洗浄装置を備える電子部品実装機を提供することを課題とする。
【解決手段】ノズル洗浄装置5は、洗浄液Lが貯留される洗浄槽600を有しノズル8の被洗浄部82を洗浄する洗浄部60と、洗浄部60の上方に配置され洗浄後の被洗浄部82に気体Gを吹き付けることにより、被洗浄部82を乾燥させる乾燥部61と、洗浄部60と乾燥部61との間に配置され、洗浄部60と乾燥部61とを連通、遮断可能に仕切るシャッター620を有するシャッター部62と、を有する装置本体6を備える。洗浄モードにおいてはシャッター620を開け被洗浄部82を洗浄し、乾燥モードにおいてはシャッター620を閉じ被洗浄部82を乾燥させる。
【解決手段】ノズル洗浄装置5は、洗浄液Lが貯留される洗浄槽600を有しノズル8の被洗浄部82を洗浄する洗浄部60と、洗浄部60の上方に配置され洗浄後の被洗浄部82に気体Gを吹き付けることにより、被洗浄部82を乾燥させる乾燥部61と、洗浄部60と乾燥部61との間に配置され、洗浄部60と乾燥部61とを連通、遮断可能に仕切るシャッター620を有するシャッター部62と、を有する装置本体6を備える。洗浄モードにおいてはシャッター620を開け被洗浄部82を洗浄し、乾燥モードにおいてはシャッター620を閉じ被洗浄部82を乾燥させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだなどを基板に転写するピン転写ノズルや、電子部品を基板に装着する吸着ノズルなどのノズルを洗浄するノズル洗浄装置、および当該ノズル洗浄装置を備える電子部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ピン転写ノズルは、多数のピンを備えている。ディップ装置には、はんだ膜が形成されている。はんだを基板に転写する場合は、まず、ピン転写ノズルをはんだ膜に浸し、多数のピンに、はんだを付着させる。次に、ピン転写ノズルを基板まで移動させる。それから、多数のピンを基板に当接させる。このようにして、はんだを基板に転写している。多数のピンは、密集して配置されている。このため、隣り合うピン同士の間に、はんだが付着しやすい。この状態で、はんだを基板に転写すると、基板に、はんだのブリッジが形成されてしまう。そこで、定期的に、ピン転写ノズルを機外に取り出し、超音波洗浄を行っている。
【0003】
また、吸着ノズルは、吸引力により電子部品を吸着している。このため、吸着ノズルの開口部には、負圧が供給されている。したがって、吸着ノズルの開口部は、目詰まりを起こしやすい。そこで、ピン転写ノズルと同様に、定期的に、吸着ノズルを機外に取り出し、超音波洗浄を行っている。
【0004】
しかしながら、ピン転写ノズルや吸着ノズルの洗浄作業は煩雑である。この点、特許文献1、2には、吸着ノズルを自動的に洗浄、乾燥可能な電子部品実装機が開示されている。特許文献1、2の電子部品実装機は、いずれも、超音波洗浄装置と、乾燥装置と、を備えている。目詰まりを起こした吸着ノズルは、超音波洗浄装置により洗浄される。洗浄された吸着ノズルは、乾燥装置により乾燥される。特許文献1、2の電子部品実装機によると、自動的に、吸着ノズルを洗浄し、乾燥させることができる。このため、基板の生産性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−75292号公報
【特許文献2】特開平10−305263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2の電子部品実装機によると、超音波洗浄装置と乾燥装置とが水平方向に異なる位置に配置されている。このため、超音波洗浄装置から乾燥装置まで、洗浄後の吸着ノズルを水平方向に移動させる必要がある。したがって、移動の際、洗浄液が電子部品実装機に飛散するおそれがある。また、超音波洗浄装置と乾燥装置とが水平方向に異なる位置に配置されているため、その分、電子部品実装機に占める両装置の設置スペースが広くなってしまう。
【0007】
本発明のノズル洗浄装置および電子部品実装機は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、移動の際に洗浄液が電子部品実装機に飛散しにくく、設置スペースが狭いノズル洗浄装置、および当該ノズル洗浄装置を備える電子部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明のノズル洗浄装置は、洗浄液が貯留される洗浄槽を有し、少なくとも該洗浄液によりノズルの被洗浄部を洗浄する洗浄部と、該洗浄部の上方に配置され、洗浄後の該被洗浄部に気体を吹き付けることにより、該被洗浄部を乾燥させる乾燥部と、該洗浄部と該乾燥部との間に配置され、該洗浄部と該乾燥部とを連通、遮断可能に仕切るシャッターを有するシャッター部と、を有する装置本体を備え、該被洗浄部を洗浄する洗浄モードにおいては、該シャッターを開け、該洗浄部と該乾燥部とを連通させ、該乾燥部を介して該被洗浄部を該洗浄槽まで下降させ、該被洗浄部を洗浄し、該被洗浄部を乾燥させる乾燥モードにおいては、洗浄後の該被洗浄部を該洗浄槽から該乾燥部まで上昇させ、該シャッターを閉じ該洗浄部と該乾燥部とを遮断し、該被洗浄部を乾燥させることを特徴とする。
【0009】
本発明のノズル洗浄装置によると、洗浄部、シャッター部、乾燥部は、上下方向に配置されている。このため、電子部品実装機に占める設置スペースを狭くすることができる。また、洗浄後の被洗浄部を乾燥させる際は、水平方向ではなく、上方向に、被洗浄部を移動させればよい。このため、洗浄液が電子部品実装機に飛散しにくい。
【0010】
また、洗浄部と乾燥部との間には、シャッター部が介在している。乾燥モードにおいて、シャッター部のシャッターは閉じている。このため、乾燥用の気体により、洗浄液の液面が乱れるおそれがない。したがって、乾燥中の被洗浄部に、洗浄槽の洗浄液(液面から跳ね上がった洗浄液)が付着するおそれがない。
【0011】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、複数の前記装置本体が交換可能に取り付けられる共用の基部を備える構成とする方がよい。本構成によると、共用の基部に対して、複数の装置本体を、交換して脱着することができる。例えば、ノズルの種類に応じて、複数種類の装置本体を、交換して使用することができる。この場合、ノズルの種類に応じて、ノズル洗浄装置全体を交換する場合と比較して、交換作業が簡単である。また、同種類の装置本体を複数用意することにより、任意の装置本体をメンテナンスしている間、他の装置本体を用いて、ノズルの洗浄、乾燥を実行することができる。このため、メンテナンスに伴うダウンタイムを削減することができる。
【0012】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記洗浄部は、前記洗浄槽に収容されるブラシを有し、前記洗浄モードにおいて、該ブラシに前記被洗浄部を摺接させることにより、該被洗浄部を洗浄する構成とする方がよい。本構成によると、洗浄液とブラシとを併用して、被洗浄部を洗浄することができる。
【0013】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記乾燥部は、前記洗浄槽の上方に配置され、前記ノズルが挿通される乾燥部側挿通孔と、該乾燥部側挿通孔の内周面に開口する吹出口を下流端に有する上流側通路と、該内周面に開口する流入口を上流端に有する下流側通路と、を有する気体通路と、を有する乾燥部材を有し、前記乾燥モードにおいて、前記気体は、該吹出口から前記被洗浄部に吹き付けられ、該流入口から該下流側通路を介して外部に排気される構成とする方がよい。
【0014】
乾燥部は、乾燥部材を備えている。乾燥部材は、乾燥部側挿通孔と気体通路とを備えている。本構成によると、被洗浄部に気体を吹き付けやすくなる。また、乾燥部側挿通孔の径方向内側から外部に気体を排気しやすくなる。
【0015】
(4−1)好ましくは、上記(4)の構成において、前記乾燥部は、前記下流側通路と前記外部との間に配置され、前記気体をろ過するフィルターを有する構成とする方がよい。本構成によると、気体から、洗浄液や塵埃を濾し取ることができる。このため、外部に排気される気体を、清浄化することができる。
【0016】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記シャッターは、前記乾燥部側挿通孔の下方に配置され、前記ノズルが挿通されるシャッター側挿通孔を有し、前記シャッター部は、該シャッターがスライド可能に収容されるシャッター室と、該シャッター室の上下方向両側に配置され該ノズルが挿通される一対の挿入部材側挿通孔と、を有するシャッター挿入部材と、該挿入部材側挿通孔の該シャッター室側の孔縁に配置され、該シャッターに弾性的に摺接するフッ素樹脂またはフッ素ゴム製の摺接部を有し、該シャッター室と該挿入部材側挿通孔の径方向内側の空間とを遮断する一対のシール部材と、を有する構成とする方がよい。
【0017】
シャッター部は、シャッターと、シャッター挿入部材と、一対のシール部材と、を備えている。シャッター挿入部材は、シャッター室と、一対の挿入部材側挿通孔と、を備えている。シャッターは、シャッター室に収容されている。
【0018】
シール部材は、シャッターと、挿入部材側挿通孔のシャッター室側の孔縁と、の間に配置されている。シール部材により、シャッター室は、挿入部材側挿通孔の径方向内側の空間から、隔離されている。このため、洗浄モードにおいては、シャッター室に洗浄液が進入するのを抑制することができる。また、乾燥モードにおいては、シャッター室に洗浄液や気体が進入するのを抑制することができる。また、シール部材の摺接部は、フッ素樹脂またはフッ素ゴム製である。このため、シャッターに対する摩擦抵抗が小さい。したがって、シャッターがスライドしやすい。
【0019】
(6)好ましくは、上記(4)または(5)の構成において、前記ノズルは、前記被洗浄部の上方に配置されるフランジ部を有し、前記装置本体は、前記乾燥部側挿通孔の上方に配置され、該乾燥部側挿通孔よりも小径かつ該フランジ部よりも大径であって、前記乾燥モードにおいて径方向内側に該フランジ部が配置される弾性部材側挿通孔を有するエラストマー製の弾性部材を有する構成とする方がよい。
【0020】
本構成によると、乾燥モードにおいて、弾性部材側挿通孔の径方向内側にフランジ部が配置されている。このため、弾性部材側挿通孔を介して、乾燥部から外部に気体が漏れにくい。また、弾性部材は、エラストマー製である。このため、フランジ部が弾性部材側挿通孔の内周面に接触した場合、内周面からフランジ部が受ける衝撃を緩和することができる。
【0021】
(7)上記課題を解決するため、本発明の電子部品実装機は、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成のノズル洗浄装置を備えることを特徴とする。本発明の電子部品実装機によると、洗浄部、シャッター部、乾燥部は、上下方向に配置されている。このため、ノズル洗浄装置の電子部品実装機に占める設置スペースを狭くすることができる。また、洗浄後の被洗浄部を乾燥させる際は、水平方向ではなく、上方向に、被洗浄部を移動させればよい。このため、洗浄液が電子部品実装機に飛散しにくい。
【0022】
また、洗浄部と乾燥部との間には、シャッター部が介在している。乾燥モードにおいて、シャッター部のシャッターは閉じている。このため、乾燥用の気体により、洗浄液の液面が乱れるおそれがない。したがって、乾燥中の被洗浄部に、洗浄槽の洗浄液(液面から跳ね上がった洗浄液)が付着するおそれがない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、移動の際に洗浄液が電子部品実装機に飛散しにくく、設置スペースが狭いノズル洗浄装置、および当該ノズル洗浄装置を備える電子部品実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態の電子部品実装機の斜視図である。
【図2】同電子部品実装機の装着ヘッドの透過斜視図である。
【図3】同装着ヘッドに装着されるピン転写ノズルの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態のノズル洗浄装置の斜視図である。
【図5】同ノズル洗浄装置の前後方向断面図である。
【図6】図5のVI−VI方向断面図である。
【図7】同ノズル洗浄装置の分解斜視図である。
【図8】同ノズル洗浄装置の装置本体の分解斜視図である。
【図9】同装置本体のシャッター部、洗浄部付近の分解斜視図である。
【図10】同シャッター部のシャッター挿入部材の斜視図である。
【図11】図6の枠XI内の拡大図である。
【図12】図5の枠XII内の拡大図である。
【図13】同装置本体の乾燥部の斜視図である。
【図14】同ノズル洗浄装置の洗浄モードにおける前後方向断面図である。
【図15】図14の枠XV内の拡大図である。
【図16】同ノズル洗浄装置の乾燥モードにおける前後方向断面図である。
【図17】図16の枠XVII内の拡大図である。
【図18】図18(a)は、同ノズル洗浄装置の基部から装置本体を取り外す際の動きの第一段階の模式図である。図18(b)は、同装置本体を取り外す際の動きの第二段階の模式図である。図18(c)は、同装置本体を取り外す際の動きの第三段階の模式図である。
【図19】同ノズル洗浄装置の基部に別の装置本体を取り付ける際の斜視図である。
【図20】その他の実施形態のノズル洗浄装置の装置本体の乾燥部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のノズル洗浄装置および電子部品実装機の実施の形態について説明する。
【0026】
<電子部品実装機の構成>
まず、本実施形態の電子部品実装機の構成について説明する。以降の図において、左側は、基板の搬送方向上流側に相当する。右側は、基板の搬送方向下流側に相当する。図1に、本実施形態の電子部品実装機の斜視図を示す。図1に示すように、電子部品実装機1は、ベース2と、モジュール3と、ディップ装置4と、ノズル洗浄装置5と、を備えている。
【0027】
[ベース2]
ベース2は、直方体箱状を呈している。ベース2は、工場のフロアFに配置されている。ベース2の前部開口には、デバイスパレット20が装着されている。
【0028】
[モジュール3]
図1に示すように、モジュール3は、基板搬送装置30と、XYロボット31と、装着ヘッド32と、マークカメラ33と、パーツカメラ34と、制御装置(図略)と、画像処理装置(図略)と、を備えている。
【0029】
(基板搬送装置30)
基板搬送装置30は、手前側搬送部303fと、奥側搬送部303rと、手前側クランプ部302fと、奥側クランプ部302rと、を備えている。手前側搬送部303f、奥側搬送部303rは、各々、前後一対のコンベアベルトを備えている。合計四つのコンベアベルトは、左右方向に延在している。手前側搬送部303fには、基板Bfが架設されている。奥側搬送部303rには、基板Brが架設されている。
【0030】
手前側クランプ部302f、奥側クランプ部302rは、各々、前後一対のクランプ片を備えている。合計四つのクランプ片は、左右方向に延在している。手前側クランプ部302fは、手前側搬送部303fの上方に配置されている。奥側クランプ部302rは、奥側搬送部303rの上方に配置されている。
【0031】
(基板昇降装置35)
基板昇降装置35は、手前側昇降部350fと、奥側昇降部350rと、を備えている。手前側昇降部350fは、手前側搬送部303fの下方に配置されている。奥側昇降部350rは、奥側搬送部303rの下方に配置されている。手前側昇降部350f、奥側昇降部350rは、各々、上下方向に移動可能である。はんだが転写される際、基板Bfは、手前側クランプ部302fと手前側昇降部350fとにより、上下方向から挟持、固定される。基板Brは、奥側クランプ部302rと奥側昇降部350rとにより、上下方向から挟持、固定される。
【0032】
(XYロボット31)
X方向は左右方向に、Y方向は前後方向に、Z方向は上下方向に、各々、対応している。XYロボット31は、Y方向スライダ310と、X方向スライダ311と、左右一対のY方向ガイドレール312と、上下一対のX方向ガイドレール313と、を備えている。
【0033】
左右一対のY方向ガイドレール312は、モジュール3のハウジング内部空間の上面に配置されている。Y方向スライダ310は、左右方向に長いブロック状を呈している。Y方向スライダ310は、左右一対のY方向ガイドレール312に、前後方向に摺動可能に取り付けられている。上下一対のX方向ガイドレール313は、Y方向スライダ310の前面に配置されている。X方向スライダ311は、長方形板状を呈している。X方向スライダ311は、上下一対のX方向ガイドレール313に、左右方向に摺動可能に取り付けられている。
【0034】
(装着ヘッド32、マークカメラ33、パーツカメラ34)
装着ヘッド32は、X方向スライダ311に取り付けられている。このため、装着ヘッド32は、XYロボット31により、前後左右方向に移動可能である。図2に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドの透過斜視図を示す。図2に細線で示すように、装着ヘッド32は、ボールねじ部320と、ホルダ321と、を備えている。
【0035】
ボールねじ部320は、装着ヘッド32に内蔵されている。ボールねじ部320は、ナット部320aと、シャフト部320bと、を備えている。ナット部320aは、モータ(図略)により、回転可能である。シャフト部320bは、上下方向に延在している。シャフト部320bは、ナット部320aに挿通されている。ナット部320aとシャフト部320bとは、多数のボール(図略)を介して、螺合している。このため、図2に一点鎖線で示すように、ナット部320aが回転すると、シャフト部320bは上下方向に移動する。
【0036】
ホルダ321は、円柱状を呈している。ホルダ321は、シャフト部320bの下端に装着されている。ホルダ321は、モータ(図略)により、軸回りに回転可能である。ホルダ321の下面には、吸入口(図略)が開設されている。吸入口から供給される負圧により、ホルダ321の下面には、ピン転写ノズル8が取り付けられている。ピン転写ノズル8は、本発明の「ノズル」の概念に含まれる。
【0037】
図3に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドに装着されるピン転写ノズルの斜視図を示す。ピン転写ノズル8は、ホルダ吸着部80と、フランジ部81と、被洗浄部82と、連結部83と、を備えている。ホルダ吸着部80は、円板状を呈している。ホルダ吸着部80は、ホルダ321の下面に吸着している。フランジ部81は、ホルダ吸着部80より小径の円板状を呈している。フランジ部81は、ホルダ吸着部80の下方に配置されている。連結部83は、上下方向に長い円柱状を呈している。連結部83は、ホルダ吸着部80とフランジ部81とを連結している。被洗浄部82は、多数の転写ピン820と、被洗浄板821と、を備えている。被洗浄板821は、正方形板状を呈している。被洗浄板821は、フランジ部81の下面に固定されている。多数の転写ピン820は、被洗浄板821の下面に配置されている。多数の転写ピン820は、基板Bf、Brのランドパターンと鏡対称に配置されている。後述するディップ装置4により、多数の転写ピン820には、転写用のはんだが付着される。
【0038】
図2に戻って、マークカメラ33は、装着ヘッド32の後方に配置されている。マークカメラ33の撮像エリアは下方である。マークカメラ33は、基板Bf、Brの位置決めのために用いられる。
【0039】
図1に戻って、パーツカメラ34は、手前側搬送部303fの前方に配置されている。パーツカメラ34の撮像エリアは上方である。多数の転写ピン820に対するはんだの付着状態は、装着ヘッド32がパーツカメラ34の上方を通過する際に、撮像される。
【0040】
[ディップ装置4]
ディップ装置4は、デバイスパレット20の上面に配置されている。ディップ装置4は、回転テーブル40と、スキージ41とを備えている。回転テーブル40は、円板状を呈している。回転テーブル40は、軸回りに回転可能である。回転テーブル40の上面には、はんだ(図略)が供給される。スキージ41は、回転テーブル40の上方に配置されている。はんだが供給された回転テーブル40を回転させると、スキージ41により、はんだが回転テーブル40上面略全面に押し広げられる。このため、回転テーブル40の上面に、膜厚が略一定のはんだ膜(図略)が形成される。
【0041】
[ノズル洗浄装置5]
デバイスパレット20の上面には、洗浄装置用ベース90が配置されている。ノズル洗浄装置5は、洗浄装置用ベース90の上面の後方に配置されている。図4に、本実施形態のノズル洗浄装置の斜視図を示す。図5に、同ノズル洗浄装置の前後方向断面図を示す。図6に、図5のVI−VI方向断面図を示す。図7に、同ノズル洗浄装置の分解斜視図を示す。図8に、同ノズル洗浄装置の装置本体の分解斜視図を示す。図9に、同装置本体のシャッター部、洗浄部付近の分解斜視図を示す。
【0042】
なお、図4においては、シャッター挿入部材621内部のシャッター620を、細線で示す。図5においては、断面よりも紙面手前側のレバー75を、一点鎖線で示す。図7においては、シャッター挿入部材621内部のシャッター620、一対の本体側係合部625L、625R、一対のプランジャ72L、72Rを細線で示す。図9においては、一対の本体側係合部625L、625R、洗浄槽用シール枠621eを、細線で示す。図4〜図9に示すように、ノズル洗浄装置5は、装置本体6と基部7とを備えている。
【0043】
(基部7)
基部7は、一対の基部側係合部70L、70Rと、前壁部71と、一対のプランジャ72L、72Rと、一対の揺動爪73L、73Rと、シャフト74と、レバー75と、一対の側壁部76L、76Rと、底壁部77と、を備えている。これらの部材は、いずれも金属製である。基部7は、洗浄装置用ベース90の上面に固定されている。
【0044】
底壁部77は、長方形板状を呈している。一対の側壁部76L、76Rは、各々、細板状を呈している。側壁部76Lは、底壁部77の左縁から立設されている。側壁部76Rは、底壁部77の右縁から立設されている。前壁部71は、細板状を呈している。前壁部71は、底壁部77の前縁から立設されている。
【0045】
一対の基部側係合部70L、70Rは、各々、前方(一対の本体側係合部625L、625Rの方向)に湾曲するJ字状を呈している。一対の基部側係合部70L、70Rは、底壁部77の上面に、左右方向に所定間隔だけ離間して、配置されている。
【0046】
一対のプランジャ72L、72Rは、各々、前後方向に長い丸棒状を呈している。一対のプランジャ72L、72Rは、前壁部71の後面から、左右方向に所定間隔だけ離間して、後方(後述する前壁部624の方向)に向かって、突設されている。
【0047】
シャフト74は、左右方向に長い丸棒状を呈している。シャフト74は、側壁部76Lの前上端と、側壁部76Rの前上端と、の間に、軸回りに回転可能に架設されている。レバー75は、前方に湾曲するL字状を呈している。レバー75は、側壁部76Rの右側において、シャフト74の右端に固定されている。
【0048】
一対の揺動爪73L、73Rは、各々、下方(後述する一対の被係合部624aL、624aRに係合する方向)に湾曲するJ字状を呈している。一対の揺動爪73L、73Rは、シャフト74に、左右方向に所定間隔だけ離間して、固定されている。
【0049】
このように、シャフト74を介して、レバー75と一対の揺動爪73L、73Rとは連結されている。したがって、作業者がレバー75を回動させると、シャフト74が回動し、一対の揺動爪73L、73Rが揺動する。
【0050】
(装置本体6)
装置本体6は、洗浄部60と、乾燥部61と、シャッター部62と、弾性部材63と、外板64と、リテーナー65と、一対の洗浄液センサ66L、66Rと、を備えている。
【0051】
(シャッター部62)
図10に、シャッター部のシャッター挿入部材の斜視図を示す。図10においては、シャッター挿入部材621に収容されている部材を細線で示す。また、シャッター挿入部材621の下壁の下面に配置されている部材を一点鎖線で示す。
【0052】
図4〜図10に示すように、シャッター部62は、シャッター620と、シャッター挿入部材621と、一対のシール部材622、623と、前壁部624と、一対の本体側係合部625L、625Rと、四つのガイド部材621LU、621LD、621RU、621RDと、洗浄槽用シール枠621eと、を備えている。
【0053】
シャッター620は、金属製であって、長方形板状を呈している。シャッター620の略中央には、シャッター側挿通孔620aが配置されている。シャッター側挿通孔620aは、円形であって、シャッター620を上下方向に貫通している。
【0054】
シャッター挿入部材621は、金属製であって、前方(基板Bf、Brと反対の方向)に開口する薄型の有底角筒状を呈している。シャッター挿入部材621は、シャッター室621aと、一対の挿入部材側挿通孔621b、621cと、スリット621dと、を備えている。シャッター室621aは、シャッター挿入部材621の内部空間である。挿入部材側挿通孔621bは、シャッター挿入部材621の上壁の略中央に配置されている。挿入部材側挿通孔621bは、円形であって、シャッター挿入部材621の上壁を上下方向に貫通している。挿入部材側挿通孔621cは、シャッター挿入部材621の下壁の略中央に配置されている。挿入部材側挿通孔621cは、円形であって、シャッター挿入部材621の下壁を上下方向に貫通している。一対の挿入部材側挿通孔621b、621cは、シャッター側挿通孔620aと同径である。スリット621dは、左右方向に延在している。スリット621dは、シャッター挿入部材621の前面に開口している。シャッター620は、スリット621dを介して、前方(ピン転写ノズル8の挿入方向に対して交差する方向)から、シャッター挿入部材621のシャッター室621aに挿入される。
【0055】
四つのガイド部材621LU、621LD、621RU、621RDは、各々、金属製であって、前後方向に長い角柱状を呈している。ガイド部材621LUはシャッター室621aの左上隅に、ガイド部材621LDはシャッター室621aの左下隅に、ガイド部材621RUはシャッター室621aの右上隅に、ガイド部材621RDはシャッター室621aの右下隅に、各々、配置されている。左側の一対のガイド部材621LU、621LDは、シャッター620の左縁を案内している。右側の一対のガイド部材621RU、621RDは、シャッター620の右縁を案内している。
【0056】
一対の本体側係合部625L、625Rは、各々、金属製であって、後方(一対の基部側係合部70L、70Rの方向)に湾曲するJ字状を呈している。一対の本体側係合部625L、625Rは、シャッター挿入部材621の下壁の下面に、左右方向に所定間隔だけ離間して、配置されている。本体側係合部625L、625Rと基部側係合部70L、70Rとは脱着可能に係合している。装置本体6を基部7に取り付ける際、基部側係合部70L、70Rは、本体側係合部625L、625R、つまり装置本体6の取付位置の基準になる。
【0057】
洗浄槽用シール枠621eは、ゴム製であって、正方形枠状を呈している。洗浄槽用シール枠621eは、シャッター挿入部材621の下壁の下面に配置されている。洗浄槽用シール枠621eは、挿入部材側挿通孔621cを囲んでいる。
【0058】
図11に、図6の枠XI内の拡大図を示す。図10、図11に示すように、シール部材622、623は、各々、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製であって、リング状を呈している。PTFEは、本発明の「フッ素樹脂」の概念に含まれる。シール部材622、623の内周面には、各々、肉抜部622b、623bが凹設されている。シール部材622、623の先端には、各々、摺接部622a、623aが突設されている。図11に一点鎖線で示す自然状態に対して、摺接部622aは上方(弾性復元力が蓄積される方向)に変位した状態で、摺接部623aは下方(弾性復元力が蓄積される方向)に変位した状態で、各々、シャッター620に弾接している。シール部材622、623は、シャッター側挿通孔620a、一対の挿入部材側挿通孔621b、621cの径方向内側の空間から、シャッター室621aを、封止している。
【0059】
図12に、図5の枠XII内の拡大図を示す。図10、図12に示すように、前壁部624は、金属製であって、左右方向に長い長方形板状を呈している。前壁部624は、シャッター挿入部材621の下壁の下面前縁から、下方に向かって突設されている。前壁部624は、一対の被係合部624aL、624aRを備えている。一対の被係合部624aL、624aRは、各々、金属製であって、左右方向に長い丸棒状を呈している。一対の被係合部624aL、624aRは、前壁部624の前面に、左右方向に所定間隔だけ離間して、配置されている。被係合部624aL、624aRには、一対の揺動爪73L、73Rが係脱可能に係合している。前壁部624の前面には、プランジャ72L、72Rの先端(後端)が当接している。
【0060】
(リテーナー65)
図4〜図9に戻って、リテーナー65は、金属製であって、上方に開口する有底角筒状を呈している。リテーナー65は、シャッター挿入部材621の下壁の下面に伏設されている。挿入部材側挿通孔621cは、リテーナー65の内部に収容されている。
【0061】
(洗浄液センサ66L、66R)
洗浄液センサ66Lは、リテーナー65の左壁の右面に配置されている。洗浄液センサ66Rは、リテーナー65の右壁の左面に配置されている。洗浄液センサ66Lと洗浄液センサ66Rは、左右方向に対向している。
【0062】
(洗浄部60)
洗浄部60は、洗浄槽600と、ブラシ601と、を備えている。洗浄部60は、リテーナー65の内部に収容されている。洗浄槽600は、金属製であって、上方に開口する角筒状を呈している。洗浄槽600の内部には、洗浄液Lが貯留されている。洗浄液Lの量(液面の高さ)は、洗浄液センサ66L、66Rにより、検出される。
【0063】
すなわち、洗浄槽600に洗浄液Lが所定量入っている場合は光軸が洗浄液L内を通過するように、洗浄液Lが所定量入っていない場合は光軸が洗浄液L内を通過しないように、洗浄液センサ66L、66Rはリテーナー65に取り付けられている。当該受光量の変化から、洗浄液センサ66L、66Rは洗浄液Lの残量を検出する。
【0064】
ブラシ601は、基部601aと起毛部601bとを備えている。ブラシ601は、洗浄液Lに浸漬した状態で、洗浄槽600の内部に収容されている。基部601aは、樹脂製であって、正方形板状を呈している。起毛部601bは、樹脂製であって、基部601aの上面に植設されている。
【0065】
(乾燥部61)
乾燥部61は、乾燥部材610とフィルター611とを備えている。乾燥部61は、シャッター挿入部材621の上壁の上面に積層されている。図13に、本実施形態のノズル洗浄装置の装置本体の乾燥部の斜視図を示す。図13においては、乾燥部材610内部の気体通路610b、フィルター611を細線で示す。
【0066】
図13に示すように、乾燥部材610は、乾燥部側挿通孔610aと、気体通路610bと、機種マーク610g(文字「A」)と、を備えている。乾燥部側挿通孔610aは、乾燥部材610の略中央に配置されている。乾燥部側挿通孔610aは、円形であって、乾燥部材610を上下方向に貫通している。乾燥部側挿通孔610aは、一対の挿入部材側挿通孔621b、621cと同径である。乾燥部側挿通孔610aは、一対の挿入部材側挿通孔621b、621cの上方に配置されている。機種マーク610gは、乾燥部材610の上面右後隅に配置されている。機種マーク610gは、図2に示すマークカメラ33により、撮像される。
【0067】
図13に戻って、気体通路610bは、乾燥部材610の内部に配置されている。気体通路610bは、上流側通路610cと下流側通路610eとを備えている。上流側通路610cは、乾燥部材610の後端面左隅からJ字状に延在している。上流側通路610cの上流端には、給気管95が接続されている。上流側通路610cの下流端は、左右方向(乾燥部側挿通孔610aの内周面の周方向)に三方に分岐している。三方の分岐端には、四角形状の吹出口610dL、610dM、610dRが配置されている。吹出口610dL、610dM、610dRは、各々、乾燥部側挿通孔610aの内周面の前側に開口している。下流側通路610eは、乾燥部側挿通孔610aと後述するフィルター611との間に配置されている。下流側通路610eの上流端には、左右方向(乾燥部側挿通孔610aの内周面の周方向)に長いスリット状の流入口610fが配置されている。流入口610fは、乾燥部側挿通孔610aの内周面の後側に開口している。吹出口610dL、610dM、610dRと流入口610fとは、前後方向に対向している。
【0068】
フィルター611は、不織布製であって、長方形板状を呈している。フィルター611は、乾燥部材610の内部に配置されている。フィルター611は、乾燥部材610の孔縁付近に配置されている。フィルター611の上流端には、下流側通路610eの下流端が接続されている。フィルター611の下流端には、排気管96が接続されている。
【0069】
(弾性部材63)
図4〜図9に戻って、弾性部材63は、ゴム製であって、長方形板状を呈している。ゴムは、本発明の「エラストマー」の概念に含まれる。弾性部材63は、乾燥部材610の上面に積層されている。弾性部材63は、弾性部材側挿通孔630と、八本のスリット631と、を備えている。弾性部材側挿通孔630は、弾性部材63の略中央に配置されている。弾性部材側挿通孔630は、円形であって、弾性部材63を上下方向に貫通している。弾性部材側挿通孔630は、乾燥部側挿通孔610aよりも小径である。弾性部材側挿通孔630は、乾燥部側挿通孔610aの上方に配置されている。八本のスリット631は、弾性部材側挿通孔630の孔縁から、径方向外側に向かって、放射状に延在している。
【0070】
(外板64)
外板64は、金属製であって、長方形板状を呈している。外板64の略中央には、外板側挿通孔640が配置されている。外板側挿通孔640は、円形であって、外板64を上下方向に貫通している。外板側挿通孔640は、乾燥部側挿通孔610aと同径である。外板側挿通孔640は、弾性部材側挿通孔630の上方に配置されている。
【0071】
<電子部品実装機のノズル洗浄時の動き>
次に、本実施形態の電子部品実装機のノズル洗浄時の動きについて説明する。図1に示すように、基板Bf、Br生産中においては、装着ヘッド32に取り付けられたピン転写ノズル8により、回転テーブル40から、基板Bf、Brに、はんだが転写される。転写する際、装着ヘッド32は、パーツカメラ34を経由する。この際、図3に示すように、被洗浄部82の多数の転写ピン820に対するはんだの付着状態が撮像される。撮像データは、画像処理装置により処理される。処理の結果、はんだの付着状態が悪い場合(例えば、隣り合う転写ピン820同士がはんだで繋がっている場合)、制御装置は、ピン転写ノズル8の洗浄を決定する。
【0072】
[洗浄モード]
図14に、本実施形態のノズル洗浄装置の洗浄モードにおける前後方向断面図を示す。図15に、図14の枠XV内の拡大図を示す。洗浄モードにおいては、まず、図1、図4に示すように、装着ヘッド32により、ピン転写ノズル8をノズル洗浄装置5の外板側挿通孔640の上方まで移動させる。また、図5に示すように、シャッター620を開状態にする。すなわち、外板側挿通孔640、弾性部材側挿通孔630、乾燥部側挿通孔610a、挿入部材側挿通孔621b、シャッター側挿通孔620a、挿入部材側挿通孔621cを、上下方向(ピン転写ノズル8の挿入方向)に連通させる。
【0073】
次に、図2に示すように、ボールねじ部320を駆動し、ピン転写ノズル8を下降させる。そして、図14、図15に示すように、外板側挿通孔640、弾性部材側挿通孔630、乾燥部側挿通孔610a、挿入部材側挿通孔621b、シャッター側挿通孔620a、挿入部材側挿通孔621cを介して、ピン転写ノズル8の被洗浄部82を、ブラシ601の起毛部601bに当接させる。また、被洗浄部82を、洗浄液Lに浸漬する。この状態で、被洗浄部82を、前後左右方向、回転方向に移動させる。すなわち、被洗浄部82を、起毛部601bに擦りつける。このようにして、被洗浄部82を掃除する。
【0074】
[乾燥モード]
図16に、本実施形態のノズル洗浄装置の乾燥モードにおける前後方向断面図を示す。図17に、図16の枠XVII内の拡大図を示す。乾燥モードにおいては、まず、図2に示すように、ボールねじ部320を駆動し、ピン転写ノズル8を上昇させる。そして、図16、図17に示すように、ピン転写ノズル8を弾性部材側挿通孔630の径方向内側に配置する。また、フランジ部81の下端と弾性部材側挿通孔630の下端とを、略面一に揃える。次に、シャッター620を前方にスライドさせることにより、外板側挿通孔640、弾性部材側挿通孔630、乾燥部側挿通孔610a、挿入部材側挿通孔621b、挿入部材側挿通孔621cに対して、シャッター側挿通孔620aを、前方にずらす。
【0075】
フランジ部81の外周面と弾性部材側挿通孔630の内周面との間には、微小な隙間Cが形成される。図17に太線で示すように、隙間C、吹出口610dL、610dM、610dR、流入口610fを除いて、シャッター620上方の乾燥室Sは、外部から封止されている。
【0076】
それから、ピン転写ノズル8を軸回りに回転させながら、上流側通路610c、吹出口610dL、610dM、610dRを介して、乾燥室Sに空気Gを吹き込む。空気Gは、本発明の「気体」の概念に含まれる。被洗浄部82に付着した洗浄液L、塵埃は、空気Gにより吹き飛ばされる。洗浄液L、塵埃を含む空気Gは、流入口610fを介して、下流側通路610eに流入する。図13に示すように、空気G中の洗浄液L、塵埃は、フィルター611により取り除かれる。このため、排気管96からは、清浄な空気Gが排気される。
【0077】
<電子部品実装機のノズル洗浄装置交換時の動き>
次に、本実施形態の電子部品実装機のノズル洗浄装置交換時の動きについて説明する。図18(a)に、本実施形態のノズル洗浄装置の基部から装置本体を取り外す際の動きの第一段階の模式図を示す。図18(b)に、同装置本体を取り外す際の動きの第二段階の模式図を示す。図18(c)に、同装置本体を取り外す際の動きの第三段階の模式図を示す。図19に、本実施形態のノズル洗浄装置の基部に別の装置本体を取り付ける際の斜視図を示す。
【0078】
基部7から装置本体6を取り外す際は、図18(a)に示すように、まず、給気管95、排気管96を装置本体6から取り外す。次に、レバー75を前方に揺動させる。すなわち、揺動爪73L、73Rを、被係合部624aL、624aRから外す。続いて、図18(b)に示すように、本体側係合部625L、625Rと基部側係合部70L、70Rとの係合部を略中心として、装置本体6を上方に揺動させる。それから、図18(c)に示すように、基部7に対して、装置本体6を斜め前上方に引き出す。このようにして、基部7から装置本体6を取り外す。それから、図19に示すように、四つのピン転写ノズル8に対応する、別の装置本体6を基部7に取り付ける。
【0079】
取り付ける際は、図18(c)→図18(b)→図18(a)の順に、作業を行う。装置本体6とピン転写ノズル8との対応は、図1に示すマークカメラ33で機種マーク610g(文字「B」)を撮像することにより、確認される。
【0080】
<作用効果>
次に、本実施形態のノズル洗浄装置および電子部品実装機の作用効果について説明する。本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図5に示すように、洗浄部60、シャッター部62、乾燥部61が、上下方向に積層されている。このため、電子部品実装機1に占める設置スペースを狭くすることができる。また、洗浄後の被洗浄部82を乾燥させる際は、水平方向ではなく、上方向に、被洗浄部82を移動させればよい。このため、洗浄液Lが、電子部品実装機1におけるノズル洗浄装置5以外の部位に、飛散しにくい。
【0081】
また、洗浄部60と乾燥部61との間には、シャッター部62が介在している。図16、図17に示すように、乾燥モードにおいて、シャッター部62のシャッター620は閉じている。このため、空気Gにより、洗浄液Lの液面が乱れるおそれがない。したがって、乾燥中の被洗浄部82に、洗浄槽600の洗浄液L(液面から跳ね上がった洗浄液L)が付着するおそれがない。
【0082】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図7、図19に示すように、共用の基部7に対して、複数種類の装置本体6を交換することができる。このため、ピン転写ノズル8の種類に応じて、複数種類の装置本体6を、交換して使用することができる。したがって、ピン転写ノズル8の種類に応じて、ノズル洗浄装置5全体を交換する場合と比較して、交換作業が簡単である。また、マークカメラ33で機種マーク610gを撮像することにより、装置本体6とピン転写ノズル8との対応を、簡単に確認することができる。特に、装置本体6、ピン転写ノズル8の種類が多い場合、この機能は有効である。また、基部7に対する装置本体6の脱着作業は、工具なしで行うことができる。このため、脱着作業が簡単である。また、装置本体6を基部7に取り付ける際、基部側係合部70L、70Rは、本体側係合部625L、625R、つまり装置本体6の取付位置の基準になる。このため、装置本体6の位置決めが簡単である。
【0083】
また、同種類の装置本体6を複数用意することにより、任意の装置本体6をメンテナンスしている間、他の装置本体6を用いて、ピン転写ノズル8の洗浄、乾燥を実行することができる。このため、メンテナンスに伴うダウンタイムを削減することができる。
【0084】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図15に示すように、洗浄部60が洗浄液Lとブラシ601とを備えている。このため、洗浄液Lとブラシ601とを併用して、被洗浄部82を洗浄することができる。
【0085】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図13に示すように、乾燥部材610が乾燥部側挿通孔610aと気体通路610bとを備えている。このため、被洗浄部82に空気Gを吹き付けやすくなる。また、乾燥部側挿通孔610aの径方向内側から外部に空気Gを排気しやすくなる。また、乾燥部側挿通孔610aの内周面には、フランジ部81の周方向に沿って、三つの吹出口610dL、610dM、610dRが開設されている。このため、図17に示すように、被洗浄部82の全面に亘って、空気Gを供給することができる。
【0086】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、乾燥部61がフィルター611を備えている。このため、空気Gから、洗浄液Lや塵埃を濾し取ることができる。したがって、外部に排気される空気Gを、清浄化することができる。
【0087】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図11に示すように、シール部材622、623が、シャッター側挿通孔620a、一対の挿入部材側挿通孔621b、621cの径方向内側の空間から、シャッター室621aを、封止している。このため、洗浄モードにおいては、シャッター室621aに洗浄液Lや塵埃などが進入するのを抑制することができる。また、乾燥モードにおいては、シャッター室621aに洗浄液Lや空気Gや塵埃などが進入するのを抑制することができる。また、シール部材622、623は、PTFE製である。このため、シャッター620に対する摩擦抵抗が小さい。したがって、シャッター620がスライドしやすい。
【0088】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図15に示すように、弾性部材側挿通孔630は、外板側挿通孔640、乾燥部側挿通孔610a、挿入部材側挿通孔621b、シャッター側挿通孔620a、挿入部材側挿通孔621cよりも、小径である。このため、これらの孔の径方向内側をピン転写ノズル8が上下方向に移動する際、ピン転写ノズル8が硬質(金属製)の外板側挿通孔640、乾燥部側挿通孔610a、挿入部材側挿通孔621b、シャッター側挿通孔620a、挿入部材側挿通孔621cに当接しにくい。
【0089】
また、弾性部材63は、金属や樹脂よりも柔軟なゴム製である。このため、フランジ部81が弾性部材側挿通孔630の内周面に接触した場合、内周面からフランジ部81が受ける衝撃を緩和することができる。並びに、弾性部材側挿通孔630の孔縁には、八本のスリット631が配置されている。フランジ部81が弾性部材側挿通孔630の内周面に接触した場合、スリット631が開口することにより、弾性部材側挿通孔630の内周面は簡単に変形する。この点においても、内周面からフランジ部81が受ける衝撃を緩和することができる。
【0090】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図17に示すように、乾燥モードにおいて、弾性部材側挿通孔630の径方向内側にフランジ部81が配置されている。このため、弾性部材側挿通孔630を介して、乾燥部61から外部に空気Gが漏れにくい。
【0091】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、水平方向に洗浄部60と乾燥部61とが配置されている場合と比較して、ピン転写ノズル8の移動距離が短くなる。このため、ピン転写ノズル8の洗浄、乾燥に要する消費電力が小さくなる。また、ダウンタイムが短くなる。
【0092】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、乾燥モードにおいて、空気Gにより、ピン転写ノズル8に付着した洗浄液Lを吹き飛ばしている。すなわち、非接触状態でピン転写ノズル8を乾燥させている。このため、ピン転写ノズル8に塵埃が付着しにくい。
【0093】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図6に示すように、洗浄液センサ66L、66Rにより、洗浄液Lの量を随時確認することができる。また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図6に示すように、洗浄液センサ66L、66Rが洗浄液Lの不足を検出した場合は、図18に示すように、装置本体6を交換してから、使用後の装置本体6の洗浄槽600に、洗浄液Lを補充することができる。あるいは、使用後の装置本体6の洗浄槽600を丸ごと交換することができる。このため、洗浄液Lの補充によるダウンタイムを削減することができる。
【0094】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図5、図12に示すように、基部側係合部70L、70Rとプランジャ72L、72Rとの間に、装置本体6が押し込まれることにより、基部7に対する装置本体6の前後方向のがたつきが規制されている。また、本体側係合部625L、625Rと基部側係合部70L、70Rとが係合すること、並びに一対の揺動爪73L、73Rが被係合部624aL、624aRに上方から係合することにより、基部7に対する装置本体6の上下方向のがたつきが規制されている。このため、装置本体6が基部7から外れにくい。
【0095】
<その他>
以上、本発明のノズル洗浄装置および電子部品実装機の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0096】
吹出口610d、流入口610fの位置関係、形状、配置数は特に限定しない。図20に、その他の実施形態のノズル洗浄装置の装置本体の乾燥部の斜視図を示す。なお、図13と対応する部位については、同じ符号で示す。図20に示すように、乾燥部側挿通孔610aの内周面の全周に亘って開口するように、リング状の吹出口610dを配置してもよい。また、吹出口610dに対して、流入口610fを上下方向にずらして配置してもよい。また、フィルター611は配置しなくてもよい。すなわち、下流側通路610eの下流端を外部に開放してもよい。また、下流側から負圧を加えることにより、流入口610fを介して、乾燥部側挿通孔610aの径方向内側の空気Gを吸引してもよい。
【0097】
上記実施形態においては、本発明の気体として空気Gを用いたが、不活性ガスなど他の気体を用いてもよい。上記実施形態においては、シャッター側挿通孔620a付きのシャッター620を用いたが、シャッター側挿通孔620a無しのシャッター620を用いてもよい。この場合、シャッター620をシャッター室621aに挿入した状態が閉状態、シャッター620をシャッター室621aから抜き出した状態が開状態になる。上記実施形態においては、本発明のノズルとしてピン転写ノズル8を用いたが、電子部品を吸着する吸着ノズルを用いてもよい。上記実施形態においては、洗浄部60に洗浄槽600とブラシ601とを配置したが、洗浄槽600と超音波発振器とを配置してもよい。すなわち、ピン転写ノズル8を超音波洗浄してもよい。この場合、超音波発振器と洗浄槽600の底面とが接触するように、超音波発振器を基部7側に、洗浄槽600を装置本体6に、それぞれ配置してもよい。上記実施形態においては、空気Gだけを用いて被洗浄部82を乾燥させたが、赤外線などを併用してもよい。
【0098】
上記実施形態においては、装置本体6に洗浄部60を配置したが、基部7に洗浄部60の少なくとも一部を配置してもよい。また、基部7を配置しなくてもよい。すなわち、洗浄装置用ベース90に、洗浄部60、乾燥部61、シャッター部62、弾性部材63、外板64、リテーナー65、一対の洗浄液センサ66L、66Rなどの部材を、配置してもよい。
【0099】
上記実施形態においては、シール部材622、623の全体をPTFE製としたが、摺接部622a、623aだけをPTFE製としてもよい。また、摺接部以外の部分をゴムなどのエラストマー製としてもよい。こうすると、シール部材622、623が弾性変形しやすくなる。また、PTFEの代わりに、他のフッ素樹脂またはフッ素ゴムを用いてもよい。フッ素樹脂としては、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化))、ECTFE(クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体)などを用いてもよい。フッ素ゴムとしては、FKM(フッ化ビニリデン系ゴム)、FEPM(テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム)、FFKM(テトラフルオロエチレン−パープルオロビニルエーテル系ゴム)などを用いてもよい。
【0100】
上記実施形態においては、弾性部材63をゴム製としたが、他のエラストマー製としてもよい。上記実施形態においては、フィルター611を不織布製としたが、織布製、多孔質体製などとしてもよい。また、洗浄液センサ66L、66Rの洗浄液Lの検出方式は特に限定しない。例えば、光学式、磁気式、電極式、超音波式であってもよい。
【0101】
基部7に対して、装置本体6は、転写ピンや吸着ノズルを収容するノズルストッカ、フラックス転写ユニット、部品廃棄ボックスなど、別用途のユニットと交換可能であってもよい。この場合であっても、機種マーク610gをマークカメラ33で撮像することにより、ユニットの種類を確認することができる。
【符号の説明】
【0102】
1:電子部品実装機、2:ベース、3:モジュール、4:ディップ装置、5:ノズル洗浄装置、6:装置本体、7:基部、8:ピン転写ノズル(ノズル)。
20:デバイスパレット、30:基板搬送装置、31:XYロボット、32:装着ヘッド、33:マークカメラ、34:パーツカメラ、35:基板昇降装置、40:回転テーブル、41:スキージ、60:洗浄部、61:乾燥部、62:シャッター部、63:弾性部材、64:外板、65:リテーナー、66L:洗浄液センサ、66R:洗浄液センサ、70L:基部側係合部、70R:基部側係合部、71:前壁部、72L:プランジャ、72R:プランジャ、73L:揺動爪、73R:揺動爪、74:シャフト、75:レバー、76L:側壁部、76R:側壁部、77:底壁部、80:ホルダ吸着部、81:フランジ部、82:被洗浄部、83:連結部、90:洗浄装置用ベース、95:給気管、96:排気管。
302f:手前側クランプ部、302r:奥側クランプ部、303f:手前側搬送部、303r:奥側搬送部、310:Y方向スライダ、311:X方向スライダ、312:Y方向ガイドレール、313:X方向ガイドレール、320:ボールねじ部、320a:ナット部、320b:シャフト部、321:ホルダ、350f:手前側昇降部、350r:奥側昇降部、600:洗浄槽、601:ブラシ、601a:基部、601b:起毛部、610:乾燥部材、610a:乾燥部側挿通孔、610b:気体通路、610c:上流側通路、610d:吹出口、610dL:吹出口、610dM:吹出口、610dR:吹出口、610e:下流側通路、610f:流入口、610g:機種マーク、611:フィルター、620:シャッター、620a:シャッター側挿通孔、621:シャッター挿入部材、621LD:ガイド部材、621LU:ガイド部材、621RD:ガイド部材、621RU:ガイド部材、621a:シャッター室、621b:挿入部材側挿通孔、621c:挿入部材側挿通孔、621d:スリット、621e:洗浄槽用シール枠、622:シール部材、622a:摺接部、622b:肉抜部、623:シール部材、623a:摺接部、623b:肉抜部、624:前壁部、624aL:被係合部、624aR:被係合部、625L:本体側係合部、625R:本体側係合部、630:弾性部材側挿通孔、631:スリット、640:外板側挿通孔、820:転写ピン、821:被洗浄板。
Bf:基板、Br:基板、C:隙間、F:フロア、G:空気(気体)、L:洗浄液、S:乾燥室。
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだなどを基板に転写するピン転写ノズルや、電子部品を基板に装着する吸着ノズルなどのノズルを洗浄するノズル洗浄装置、および当該ノズル洗浄装置を備える電子部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ピン転写ノズルは、多数のピンを備えている。ディップ装置には、はんだ膜が形成されている。はんだを基板に転写する場合は、まず、ピン転写ノズルをはんだ膜に浸し、多数のピンに、はんだを付着させる。次に、ピン転写ノズルを基板まで移動させる。それから、多数のピンを基板に当接させる。このようにして、はんだを基板に転写している。多数のピンは、密集して配置されている。このため、隣り合うピン同士の間に、はんだが付着しやすい。この状態で、はんだを基板に転写すると、基板に、はんだのブリッジが形成されてしまう。そこで、定期的に、ピン転写ノズルを機外に取り出し、超音波洗浄を行っている。
【0003】
また、吸着ノズルは、吸引力により電子部品を吸着している。このため、吸着ノズルの開口部には、負圧が供給されている。したがって、吸着ノズルの開口部は、目詰まりを起こしやすい。そこで、ピン転写ノズルと同様に、定期的に、吸着ノズルを機外に取り出し、超音波洗浄を行っている。
【0004】
しかしながら、ピン転写ノズルや吸着ノズルの洗浄作業は煩雑である。この点、特許文献1、2には、吸着ノズルを自動的に洗浄、乾燥可能な電子部品実装機が開示されている。特許文献1、2の電子部品実装機は、いずれも、超音波洗浄装置と、乾燥装置と、を備えている。目詰まりを起こした吸着ノズルは、超音波洗浄装置により洗浄される。洗浄された吸着ノズルは、乾燥装置により乾燥される。特許文献1、2の電子部品実装機によると、自動的に、吸着ノズルを洗浄し、乾燥させることができる。このため、基板の生産性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−75292号公報
【特許文献2】特開平10−305263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2の電子部品実装機によると、超音波洗浄装置と乾燥装置とが水平方向に異なる位置に配置されている。このため、超音波洗浄装置から乾燥装置まで、洗浄後の吸着ノズルを水平方向に移動させる必要がある。したがって、移動の際、洗浄液が電子部品実装機に飛散するおそれがある。また、超音波洗浄装置と乾燥装置とが水平方向に異なる位置に配置されているため、その分、電子部品実装機に占める両装置の設置スペースが広くなってしまう。
【0007】
本発明のノズル洗浄装置および電子部品実装機は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、移動の際に洗浄液が電子部品実装機に飛散しにくく、設置スペースが狭いノズル洗浄装置、および当該ノズル洗浄装置を備える電子部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明のノズル洗浄装置は、洗浄液が貯留される洗浄槽を有し、少なくとも該洗浄液によりノズルの被洗浄部を洗浄する洗浄部と、該洗浄部の上方に配置され、洗浄後の該被洗浄部に気体を吹き付けることにより、該被洗浄部を乾燥させる乾燥部と、該洗浄部と該乾燥部との間に配置され、該洗浄部と該乾燥部とを連通、遮断可能に仕切るシャッターを有するシャッター部と、を有する装置本体を備え、該被洗浄部を洗浄する洗浄モードにおいては、該シャッターを開け、該洗浄部と該乾燥部とを連通させ、該乾燥部を介して該被洗浄部を該洗浄槽まで下降させ、該被洗浄部を洗浄し、該被洗浄部を乾燥させる乾燥モードにおいては、洗浄後の該被洗浄部を該洗浄槽から該乾燥部まで上昇させ、該シャッターを閉じ該洗浄部と該乾燥部とを遮断し、該被洗浄部を乾燥させることを特徴とする。
【0009】
本発明のノズル洗浄装置によると、洗浄部、シャッター部、乾燥部は、上下方向に配置されている。このため、電子部品実装機に占める設置スペースを狭くすることができる。また、洗浄後の被洗浄部を乾燥させる際は、水平方向ではなく、上方向に、被洗浄部を移動させればよい。このため、洗浄液が電子部品実装機に飛散しにくい。
【0010】
また、洗浄部と乾燥部との間には、シャッター部が介在している。乾燥モードにおいて、シャッター部のシャッターは閉じている。このため、乾燥用の気体により、洗浄液の液面が乱れるおそれがない。したがって、乾燥中の被洗浄部に、洗浄槽の洗浄液(液面から跳ね上がった洗浄液)が付着するおそれがない。
【0011】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、複数の前記装置本体が交換可能に取り付けられる共用の基部を備える構成とする方がよい。本構成によると、共用の基部に対して、複数の装置本体を、交換して脱着することができる。例えば、ノズルの種類に応じて、複数種類の装置本体を、交換して使用することができる。この場合、ノズルの種類に応じて、ノズル洗浄装置全体を交換する場合と比較して、交換作業が簡単である。また、同種類の装置本体を複数用意することにより、任意の装置本体をメンテナンスしている間、他の装置本体を用いて、ノズルの洗浄、乾燥を実行することができる。このため、メンテナンスに伴うダウンタイムを削減することができる。
【0012】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記洗浄部は、前記洗浄槽に収容されるブラシを有し、前記洗浄モードにおいて、該ブラシに前記被洗浄部を摺接させることにより、該被洗浄部を洗浄する構成とする方がよい。本構成によると、洗浄液とブラシとを併用して、被洗浄部を洗浄することができる。
【0013】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記乾燥部は、前記洗浄槽の上方に配置され、前記ノズルが挿通される乾燥部側挿通孔と、該乾燥部側挿通孔の内周面に開口する吹出口を下流端に有する上流側通路と、該内周面に開口する流入口を上流端に有する下流側通路と、を有する気体通路と、を有する乾燥部材を有し、前記乾燥モードにおいて、前記気体は、該吹出口から前記被洗浄部に吹き付けられ、該流入口から該下流側通路を介して外部に排気される構成とする方がよい。
【0014】
乾燥部は、乾燥部材を備えている。乾燥部材は、乾燥部側挿通孔と気体通路とを備えている。本構成によると、被洗浄部に気体を吹き付けやすくなる。また、乾燥部側挿通孔の径方向内側から外部に気体を排気しやすくなる。
【0015】
(4−1)好ましくは、上記(4)の構成において、前記乾燥部は、前記下流側通路と前記外部との間に配置され、前記気体をろ過するフィルターを有する構成とする方がよい。本構成によると、気体から、洗浄液や塵埃を濾し取ることができる。このため、外部に排気される気体を、清浄化することができる。
【0016】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記シャッターは、前記乾燥部側挿通孔の下方に配置され、前記ノズルが挿通されるシャッター側挿通孔を有し、前記シャッター部は、該シャッターがスライド可能に収容されるシャッター室と、該シャッター室の上下方向両側に配置され該ノズルが挿通される一対の挿入部材側挿通孔と、を有するシャッター挿入部材と、該挿入部材側挿通孔の該シャッター室側の孔縁に配置され、該シャッターに弾性的に摺接するフッ素樹脂またはフッ素ゴム製の摺接部を有し、該シャッター室と該挿入部材側挿通孔の径方向内側の空間とを遮断する一対のシール部材と、を有する構成とする方がよい。
【0017】
シャッター部は、シャッターと、シャッター挿入部材と、一対のシール部材と、を備えている。シャッター挿入部材は、シャッター室と、一対の挿入部材側挿通孔と、を備えている。シャッターは、シャッター室に収容されている。
【0018】
シール部材は、シャッターと、挿入部材側挿通孔のシャッター室側の孔縁と、の間に配置されている。シール部材により、シャッター室は、挿入部材側挿通孔の径方向内側の空間から、隔離されている。このため、洗浄モードにおいては、シャッター室に洗浄液が進入するのを抑制することができる。また、乾燥モードにおいては、シャッター室に洗浄液や気体が進入するのを抑制することができる。また、シール部材の摺接部は、フッ素樹脂またはフッ素ゴム製である。このため、シャッターに対する摩擦抵抗が小さい。したがって、シャッターがスライドしやすい。
【0019】
(6)好ましくは、上記(4)または(5)の構成において、前記ノズルは、前記被洗浄部の上方に配置されるフランジ部を有し、前記装置本体は、前記乾燥部側挿通孔の上方に配置され、該乾燥部側挿通孔よりも小径かつ該フランジ部よりも大径であって、前記乾燥モードにおいて径方向内側に該フランジ部が配置される弾性部材側挿通孔を有するエラストマー製の弾性部材を有する構成とする方がよい。
【0020】
本構成によると、乾燥モードにおいて、弾性部材側挿通孔の径方向内側にフランジ部が配置されている。このため、弾性部材側挿通孔を介して、乾燥部から外部に気体が漏れにくい。また、弾性部材は、エラストマー製である。このため、フランジ部が弾性部材側挿通孔の内周面に接触した場合、内周面からフランジ部が受ける衝撃を緩和することができる。
【0021】
(7)上記課題を解決するため、本発明の電子部品実装機は、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成のノズル洗浄装置を備えることを特徴とする。本発明の電子部品実装機によると、洗浄部、シャッター部、乾燥部は、上下方向に配置されている。このため、ノズル洗浄装置の電子部品実装機に占める設置スペースを狭くすることができる。また、洗浄後の被洗浄部を乾燥させる際は、水平方向ではなく、上方向に、被洗浄部を移動させればよい。このため、洗浄液が電子部品実装機に飛散しにくい。
【0022】
また、洗浄部と乾燥部との間には、シャッター部が介在している。乾燥モードにおいて、シャッター部のシャッターは閉じている。このため、乾燥用の気体により、洗浄液の液面が乱れるおそれがない。したがって、乾燥中の被洗浄部に、洗浄槽の洗浄液(液面から跳ね上がった洗浄液)が付着するおそれがない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、移動の際に洗浄液が電子部品実装機に飛散しにくく、設置スペースが狭いノズル洗浄装置、および当該ノズル洗浄装置を備える電子部品実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態の電子部品実装機の斜視図である。
【図2】同電子部品実装機の装着ヘッドの透過斜視図である。
【図3】同装着ヘッドに装着されるピン転写ノズルの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態のノズル洗浄装置の斜視図である。
【図5】同ノズル洗浄装置の前後方向断面図である。
【図6】図5のVI−VI方向断面図である。
【図7】同ノズル洗浄装置の分解斜視図である。
【図8】同ノズル洗浄装置の装置本体の分解斜視図である。
【図9】同装置本体のシャッター部、洗浄部付近の分解斜視図である。
【図10】同シャッター部のシャッター挿入部材の斜視図である。
【図11】図6の枠XI内の拡大図である。
【図12】図5の枠XII内の拡大図である。
【図13】同装置本体の乾燥部の斜視図である。
【図14】同ノズル洗浄装置の洗浄モードにおける前後方向断面図である。
【図15】図14の枠XV内の拡大図である。
【図16】同ノズル洗浄装置の乾燥モードにおける前後方向断面図である。
【図17】図16の枠XVII内の拡大図である。
【図18】図18(a)は、同ノズル洗浄装置の基部から装置本体を取り外す際の動きの第一段階の模式図である。図18(b)は、同装置本体を取り外す際の動きの第二段階の模式図である。図18(c)は、同装置本体を取り外す際の動きの第三段階の模式図である。
【図19】同ノズル洗浄装置の基部に別の装置本体を取り付ける際の斜視図である。
【図20】その他の実施形態のノズル洗浄装置の装置本体の乾燥部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のノズル洗浄装置および電子部品実装機の実施の形態について説明する。
【0026】
<電子部品実装機の構成>
まず、本実施形態の電子部品実装機の構成について説明する。以降の図において、左側は、基板の搬送方向上流側に相当する。右側は、基板の搬送方向下流側に相当する。図1に、本実施形態の電子部品実装機の斜視図を示す。図1に示すように、電子部品実装機1は、ベース2と、モジュール3と、ディップ装置4と、ノズル洗浄装置5と、を備えている。
【0027】
[ベース2]
ベース2は、直方体箱状を呈している。ベース2は、工場のフロアFに配置されている。ベース2の前部開口には、デバイスパレット20が装着されている。
【0028】
[モジュール3]
図1に示すように、モジュール3は、基板搬送装置30と、XYロボット31と、装着ヘッド32と、マークカメラ33と、パーツカメラ34と、制御装置(図略)と、画像処理装置(図略)と、を備えている。
【0029】
(基板搬送装置30)
基板搬送装置30は、手前側搬送部303fと、奥側搬送部303rと、手前側クランプ部302fと、奥側クランプ部302rと、を備えている。手前側搬送部303f、奥側搬送部303rは、各々、前後一対のコンベアベルトを備えている。合計四つのコンベアベルトは、左右方向に延在している。手前側搬送部303fには、基板Bfが架設されている。奥側搬送部303rには、基板Brが架設されている。
【0030】
手前側クランプ部302f、奥側クランプ部302rは、各々、前後一対のクランプ片を備えている。合計四つのクランプ片は、左右方向に延在している。手前側クランプ部302fは、手前側搬送部303fの上方に配置されている。奥側クランプ部302rは、奥側搬送部303rの上方に配置されている。
【0031】
(基板昇降装置35)
基板昇降装置35は、手前側昇降部350fと、奥側昇降部350rと、を備えている。手前側昇降部350fは、手前側搬送部303fの下方に配置されている。奥側昇降部350rは、奥側搬送部303rの下方に配置されている。手前側昇降部350f、奥側昇降部350rは、各々、上下方向に移動可能である。はんだが転写される際、基板Bfは、手前側クランプ部302fと手前側昇降部350fとにより、上下方向から挟持、固定される。基板Brは、奥側クランプ部302rと奥側昇降部350rとにより、上下方向から挟持、固定される。
【0032】
(XYロボット31)
X方向は左右方向に、Y方向は前後方向に、Z方向は上下方向に、各々、対応している。XYロボット31は、Y方向スライダ310と、X方向スライダ311と、左右一対のY方向ガイドレール312と、上下一対のX方向ガイドレール313と、を備えている。
【0033】
左右一対のY方向ガイドレール312は、モジュール3のハウジング内部空間の上面に配置されている。Y方向スライダ310は、左右方向に長いブロック状を呈している。Y方向スライダ310は、左右一対のY方向ガイドレール312に、前後方向に摺動可能に取り付けられている。上下一対のX方向ガイドレール313は、Y方向スライダ310の前面に配置されている。X方向スライダ311は、長方形板状を呈している。X方向スライダ311は、上下一対のX方向ガイドレール313に、左右方向に摺動可能に取り付けられている。
【0034】
(装着ヘッド32、マークカメラ33、パーツカメラ34)
装着ヘッド32は、X方向スライダ311に取り付けられている。このため、装着ヘッド32は、XYロボット31により、前後左右方向に移動可能である。図2に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドの透過斜視図を示す。図2に細線で示すように、装着ヘッド32は、ボールねじ部320と、ホルダ321と、を備えている。
【0035】
ボールねじ部320は、装着ヘッド32に内蔵されている。ボールねじ部320は、ナット部320aと、シャフト部320bと、を備えている。ナット部320aは、モータ(図略)により、回転可能である。シャフト部320bは、上下方向に延在している。シャフト部320bは、ナット部320aに挿通されている。ナット部320aとシャフト部320bとは、多数のボール(図略)を介して、螺合している。このため、図2に一点鎖線で示すように、ナット部320aが回転すると、シャフト部320bは上下方向に移動する。
【0036】
ホルダ321は、円柱状を呈している。ホルダ321は、シャフト部320bの下端に装着されている。ホルダ321は、モータ(図略)により、軸回りに回転可能である。ホルダ321の下面には、吸入口(図略)が開設されている。吸入口から供給される負圧により、ホルダ321の下面には、ピン転写ノズル8が取り付けられている。ピン転写ノズル8は、本発明の「ノズル」の概念に含まれる。
【0037】
図3に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドに装着されるピン転写ノズルの斜視図を示す。ピン転写ノズル8は、ホルダ吸着部80と、フランジ部81と、被洗浄部82と、連結部83と、を備えている。ホルダ吸着部80は、円板状を呈している。ホルダ吸着部80は、ホルダ321の下面に吸着している。フランジ部81は、ホルダ吸着部80より小径の円板状を呈している。フランジ部81は、ホルダ吸着部80の下方に配置されている。連結部83は、上下方向に長い円柱状を呈している。連結部83は、ホルダ吸着部80とフランジ部81とを連結している。被洗浄部82は、多数の転写ピン820と、被洗浄板821と、を備えている。被洗浄板821は、正方形板状を呈している。被洗浄板821は、フランジ部81の下面に固定されている。多数の転写ピン820は、被洗浄板821の下面に配置されている。多数の転写ピン820は、基板Bf、Brのランドパターンと鏡対称に配置されている。後述するディップ装置4により、多数の転写ピン820には、転写用のはんだが付着される。
【0038】
図2に戻って、マークカメラ33は、装着ヘッド32の後方に配置されている。マークカメラ33の撮像エリアは下方である。マークカメラ33は、基板Bf、Brの位置決めのために用いられる。
【0039】
図1に戻って、パーツカメラ34は、手前側搬送部303fの前方に配置されている。パーツカメラ34の撮像エリアは上方である。多数の転写ピン820に対するはんだの付着状態は、装着ヘッド32がパーツカメラ34の上方を通過する際に、撮像される。
【0040】
[ディップ装置4]
ディップ装置4は、デバイスパレット20の上面に配置されている。ディップ装置4は、回転テーブル40と、スキージ41とを備えている。回転テーブル40は、円板状を呈している。回転テーブル40は、軸回りに回転可能である。回転テーブル40の上面には、はんだ(図略)が供給される。スキージ41は、回転テーブル40の上方に配置されている。はんだが供給された回転テーブル40を回転させると、スキージ41により、はんだが回転テーブル40上面略全面に押し広げられる。このため、回転テーブル40の上面に、膜厚が略一定のはんだ膜(図略)が形成される。
【0041】
[ノズル洗浄装置5]
デバイスパレット20の上面には、洗浄装置用ベース90が配置されている。ノズル洗浄装置5は、洗浄装置用ベース90の上面の後方に配置されている。図4に、本実施形態のノズル洗浄装置の斜視図を示す。図5に、同ノズル洗浄装置の前後方向断面図を示す。図6に、図5のVI−VI方向断面図を示す。図7に、同ノズル洗浄装置の分解斜視図を示す。図8に、同ノズル洗浄装置の装置本体の分解斜視図を示す。図9に、同装置本体のシャッター部、洗浄部付近の分解斜視図を示す。
【0042】
なお、図4においては、シャッター挿入部材621内部のシャッター620を、細線で示す。図5においては、断面よりも紙面手前側のレバー75を、一点鎖線で示す。図7においては、シャッター挿入部材621内部のシャッター620、一対の本体側係合部625L、625R、一対のプランジャ72L、72Rを細線で示す。図9においては、一対の本体側係合部625L、625R、洗浄槽用シール枠621eを、細線で示す。図4〜図9に示すように、ノズル洗浄装置5は、装置本体6と基部7とを備えている。
【0043】
(基部7)
基部7は、一対の基部側係合部70L、70Rと、前壁部71と、一対のプランジャ72L、72Rと、一対の揺動爪73L、73Rと、シャフト74と、レバー75と、一対の側壁部76L、76Rと、底壁部77と、を備えている。これらの部材は、いずれも金属製である。基部7は、洗浄装置用ベース90の上面に固定されている。
【0044】
底壁部77は、長方形板状を呈している。一対の側壁部76L、76Rは、各々、細板状を呈している。側壁部76Lは、底壁部77の左縁から立設されている。側壁部76Rは、底壁部77の右縁から立設されている。前壁部71は、細板状を呈している。前壁部71は、底壁部77の前縁から立設されている。
【0045】
一対の基部側係合部70L、70Rは、各々、前方(一対の本体側係合部625L、625Rの方向)に湾曲するJ字状を呈している。一対の基部側係合部70L、70Rは、底壁部77の上面に、左右方向に所定間隔だけ離間して、配置されている。
【0046】
一対のプランジャ72L、72Rは、各々、前後方向に長い丸棒状を呈している。一対のプランジャ72L、72Rは、前壁部71の後面から、左右方向に所定間隔だけ離間して、後方(後述する前壁部624の方向)に向かって、突設されている。
【0047】
シャフト74は、左右方向に長い丸棒状を呈している。シャフト74は、側壁部76Lの前上端と、側壁部76Rの前上端と、の間に、軸回りに回転可能に架設されている。レバー75は、前方に湾曲するL字状を呈している。レバー75は、側壁部76Rの右側において、シャフト74の右端に固定されている。
【0048】
一対の揺動爪73L、73Rは、各々、下方(後述する一対の被係合部624aL、624aRに係合する方向)に湾曲するJ字状を呈している。一対の揺動爪73L、73Rは、シャフト74に、左右方向に所定間隔だけ離間して、固定されている。
【0049】
このように、シャフト74を介して、レバー75と一対の揺動爪73L、73Rとは連結されている。したがって、作業者がレバー75を回動させると、シャフト74が回動し、一対の揺動爪73L、73Rが揺動する。
【0050】
(装置本体6)
装置本体6は、洗浄部60と、乾燥部61と、シャッター部62と、弾性部材63と、外板64と、リテーナー65と、一対の洗浄液センサ66L、66Rと、を備えている。
【0051】
(シャッター部62)
図10に、シャッター部のシャッター挿入部材の斜視図を示す。図10においては、シャッター挿入部材621に収容されている部材を細線で示す。また、シャッター挿入部材621の下壁の下面に配置されている部材を一点鎖線で示す。
【0052】
図4〜図10に示すように、シャッター部62は、シャッター620と、シャッター挿入部材621と、一対のシール部材622、623と、前壁部624と、一対の本体側係合部625L、625Rと、四つのガイド部材621LU、621LD、621RU、621RDと、洗浄槽用シール枠621eと、を備えている。
【0053】
シャッター620は、金属製であって、長方形板状を呈している。シャッター620の略中央には、シャッター側挿通孔620aが配置されている。シャッター側挿通孔620aは、円形であって、シャッター620を上下方向に貫通している。
【0054】
シャッター挿入部材621は、金属製であって、前方(基板Bf、Brと反対の方向)に開口する薄型の有底角筒状を呈している。シャッター挿入部材621は、シャッター室621aと、一対の挿入部材側挿通孔621b、621cと、スリット621dと、を備えている。シャッター室621aは、シャッター挿入部材621の内部空間である。挿入部材側挿通孔621bは、シャッター挿入部材621の上壁の略中央に配置されている。挿入部材側挿通孔621bは、円形であって、シャッター挿入部材621の上壁を上下方向に貫通している。挿入部材側挿通孔621cは、シャッター挿入部材621の下壁の略中央に配置されている。挿入部材側挿通孔621cは、円形であって、シャッター挿入部材621の下壁を上下方向に貫通している。一対の挿入部材側挿通孔621b、621cは、シャッター側挿通孔620aと同径である。スリット621dは、左右方向に延在している。スリット621dは、シャッター挿入部材621の前面に開口している。シャッター620は、スリット621dを介して、前方(ピン転写ノズル8の挿入方向に対して交差する方向)から、シャッター挿入部材621のシャッター室621aに挿入される。
【0055】
四つのガイド部材621LU、621LD、621RU、621RDは、各々、金属製であって、前後方向に長い角柱状を呈している。ガイド部材621LUはシャッター室621aの左上隅に、ガイド部材621LDはシャッター室621aの左下隅に、ガイド部材621RUはシャッター室621aの右上隅に、ガイド部材621RDはシャッター室621aの右下隅に、各々、配置されている。左側の一対のガイド部材621LU、621LDは、シャッター620の左縁を案内している。右側の一対のガイド部材621RU、621RDは、シャッター620の右縁を案内している。
【0056】
一対の本体側係合部625L、625Rは、各々、金属製であって、後方(一対の基部側係合部70L、70Rの方向)に湾曲するJ字状を呈している。一対の本体側係合部625L、625Rは、シャッター挿入部材621の下壁の下面に、左右方向に所定間隔だけ離間して、配置されている。本体側係合部625L、625Rと基部側係合部70L、70Rとは脱着可能に係合している。装置本体6を基部7に取り付ける際、基部側係合部70L、70Rは、本体側係合部625L、625R、つまり装置本体6の取付位置の基準になる。
【0057】
洗浄槽用シール枠621eは、ゴム製であって、正方形枠状を呈している。洗浄槽用シール枠621eは、シャッター挿入部材621の下壁の下面に配置されている。洗浄槽用シール枠621eは、挿入部材側挿通孔621cを囲んでいる。
【0058】
図11に、図6の枠XI内の拡大図を示す。図10、図11に示すように、シール部材622、623は、各々、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製であって、リング状を呈している。PTFEは、本発明の「フッ素樹脂」の概念に含まれる。シール部材622、623の内周面には、各々、肉抜部622b、623bが凹設されている。シール部材622、623の先端には、各々、摺接部622a、623aが突設されている。図11に一点鎖線で示す自然状態に対して、摺接部622aは上方(弾性復元力が蓄積される方向)に変位した状態で、摺接部623aは下方(弾性復元力が蓄積される方向)に変位した状態で、各々、シャッター620に弾接している。シール部材622、623は、シャッター側挿通孔620a、一対の挿入部材側挿通孔621b、621cの径方向内側の空間から、シャッター室621aを、封止している。
【0059】
図12に、図5の枠XII内の拡大図を示す。図10、図12に示すように、前壁部624は、金属製であって、左右方向に長い長方形板状を呈している。前壁部624は、シャッター挿入部材621の下壁の下面前縁から、下方に向かって突設されている。前壁部624は、一対の被係合部624aL、624aRを備えている。一対の被係合部624aL、624aRは、各々、金属製であって、左右方向に長い丸棒状を呈している。一対の被係合部624aL、624aRは、前壁部624の前面に、左右方向に所定間隔だけ離間して、配置されている。被係合部624aL、624aRには、一対の揺動爪73L、73Rが係脱可能に係合している。前壁部624の前面には、プランジャ72L、72Rの先端(後端)が当接している。
【0060】
(リテーナー65)
図4〜図9に戻って、リテーナー65は、金属製であって、上方に開口する有底角筒状を呈している。リテーナー65は、シャッター挿入部材621の下壁の下面に伏設されている。挿入部材側挿通孔621cは、リテーナー65の内部に収容されている。
【0061】
(洗浄液センサ66L、66R)
洗浄液センサ66Lは、リテーナー65の左壁の右面に配置されている。洗浄液センサ66Rは、リテーナー65の右壁の左面に配置されている。洗浄液センサ66Lと洗浄液センサ66Rは、左右方向に対向している。
【0062】
(洗浄部60)
洗浄部60は、洗浄槽600と、ブラシ601と、を備えている。洗浄部60は、リテーナー65の内部に収容されている。洗浄槽600は、金属製であって、上方に開口する角筒状を呈している。洗浄槽600の内部には、洗浄液Lが貯留されている。洗浄液Lの量(液面の高さ)は、洗浄液センサ66L、66Rにより、検出される。
【0063】
すなわち、洗浄槽600に洗浄液Lが所定量入っている場合は光軸が洗浄液L内を通過するように、洗浄液Lが所定量入っていない場合は光軸が洗浄液L内を通過しないように、洗浄液センサ66L、66Rはリテーナー65に取り付けられている。当該受光量の変化から、洗浄液センサ66L、66Rは洗浄液Lの残量を検出する。
【0064】
ブラシ601は、基部601aと起毛部601bとを備えている。ブラシ601は、洗浄液Lに浸漬した状態で、洗浄槽600の内部に収容されている。基部601aは、樹脂製であって、正方形板状を呈している。起毛部601bは、樹脂製であって、基部601aの上面に植設されている。
【0065】
(乾燥部61)
乾燥部61は、乾燥部材610とフィルター611とを備えている。乾燥部61は、シャッター挿入部材621の上壁の上面に積層されている。図13に、本実施形態のノズル洗浄装置の装置本体の乾燥部の斜視図を示す。図13においては、乾燥部材610内部の気体通路610b、フィルター611を細線で示す。
【0066】
図13に示すように、乾燥部材610は、乾燥部側挿通孔610aと、気体通路610bと、機種マーク610g(文字「A」)と、を備えている。乾燥部側挿通孔610aは、乾燥部材610の略中央に配置されている。乾燥部側挿通孔610aは、円形であって、乾燥部材610を上下方向に貫通している。乾燥部側挿通孔610aは、一対の挿入部材側挿通孔621b、621cと同径である。乾燥部側挿通孔610aは、一対の挿入部材側挿通孔621b、621cの上方に配置されている。機種マーク610gは、乾燥部材610の上面右後隅に配置されている。機種マーク610gは、図2に示すマークカメラ33により、撮像される。
【0067】
図13に戻って、気体通路610bは、乾燥部材610の内部に配置されている。気体通路610bは、上流側通路610cと下流側通路610eとを備えている。上流側通路610cは、乾燥部材610の後端面左隅からJ字状に延在している。上流側通路610cの上流端には、給気管95が接続されている。上流側通路610cの下流端は、左右方向(乾燥部側挿通孔610aの内周面の周方向)に三方に分岐している。三方の分岐端には、四角形状の吹出口610dL、610dM、610dRが配置されている。吹出口610dL、610dM、610dRは、各々、乾燥部側挿通孔610aの内周面の前側に開口している。下流側通路610eは、乾燥部側挿通孔610aと後述するフィルター611との間に配置されている。下流側通路610eの上流端には、左右方向(乾燥部側挿通孔610aの内周面の周方向)に長いスリット状の流入口610fが配置されている。流入口610fは、乾燥部側挿通孔610aの内周面の後側に開口している。吹出口610dL、610dM、610dRと流入口610fとは、前後方向に対向している。
【0068】
フィルター611は、不織布製であって、長方形板状を呈している。フィルター611は、乾燥部材610の内部に配置されている。フィルター611は、乾燥部材610の孔縁付近に配置されている。フィルター611の上流端には、下流側通路610eの下流端が接続されている。フィルター611の下流端には、排気管96が接続されている。
【0069】
(弾性部材63)
図4〜図9に戻って、弾性部材63は、ゴム製であって、長方形板状を呈している。ゴムは、本発明の「エラストマー」の概念に含まれる。弾性部材63は、乾燥部材610の上面に積層されている。弾性部材63は、弾性部材側挿通孔630と、八本のスリット631と、を備えている。弾性部材側挿通孔630は、弾性部材63の略中央に配置されている。弾性部材側挿通孔630は、円形であって、弾性部材63を上下方向に貫通している。弾性部材側挿通孔630は、乾燥部側挿通孔610aよりも小径である。弾性部材側挿通孔630は、乾燥部側挿通孔610aの上方に配置されている。八本のスリット631は、弾性部材側挿通孔630の孔縁から、径方向外側に向かって、放射状に延在している。
【0070】
(外板64)
外板64は、金属製であって、長方形板状を呈している。外板64の略中央には、外板側挿通孔640が配置されている。外板側挿通孔640は、円形であって、外板64を上下方向に貫通している。外板側挿通孔640は、乾燥部側挿通孔610aと同径である。外板側挿通孔640は、弾性部材側挿通孔630の上方に配置されている。
【0071】
<電子部品実装機のノズル洗浄時の動き>
次に、本実施形態の電子部品実装機のノズル洗浄時の動きについて説明する。図1に示すように、基板Bf、Br生産中においては、装着ヘッド32に取り付けられたピン転写ノズル8により、回転テーブル40から、基板Bf、Brに、はんだが転写される。転写する際、装着ヘッド32は、パーツカメラ34を経由する。この際、図3に示すように、被洗浄部82の多数の転写ピン820に対するはんだの付着状態が撮像される。撮像データは、画像処理装置により処理される。処理の結果、はんだの付着状態が悪い場合(例えば、隣り合う転写ピン820同士がはんだで繋がっている場合)、制御装置は、ピン転写ノズル8の洗浄を決定する。
【0072】
[洗浄モード]
図14に、本実施形態のノズル洗浄装置の洗浄モードにおける前後方向断面図を示す。図15に、図14の枠XV内の拡大図を示す。洗浄モードにおいては、まず、図1、図4に示すように、装着ヘッド32により、ピン転写ノズル8をノズル洗浄装置5の外板側挿通孔640の上方まで移動させる。また、図5に示すように、シャッター620を開状態にする。すなわち、外板側挿通孔640、弾性部材側挿通孔630、乾燥部側挿通孔610a、挿入部材側挿通孔621b、シャッター側挿通孔620a、挿入部材側挿通孔621cを、上下方向(ピン転写ノズル8の挿入方向)に連通させる。
【0073】
次に、図2に示すように、ボールねじ部320を駆動し、ピン転写ノズル8を下降させる。そして、図14、図15に示すように、外板側挿通孔640、弾性部材側挿通孔630、乾燥部側挿通孔610a、挿入部材側挿通孔621b、シャッター側挿通孔620a、挿入部材側挿通孔621cを介して、ピン転写ノズル8の被洗浄部82を、ブラシ601の起毛部601bに当接させる。また、被洗浄部82を、洗浄液Lに浸漬する。この状態で、被洗浄部82を、前後左右方向、回転方向に移動させる。すなわち、被洗浄部82を、起毛部601bに擦りつける。このようにして、被洗浄部82を掃除する。
【0074】
[乾燥モード]
図16に、本実施形態のノズル洗浄装置の乾燥モードにおける前後方向断面図を示す。図17に、図16の枠XVII内の拡大図を示す。乾燥モードにおいては、まず、図2に示すように、ボールねじ部320を駆動し、ピン転写ノズル8を上昇させる。そして、図16、図17に示すように、ピン転写ノズル8を弾性部材側挿通孔630の径方向内側に配置する。また、フランジ部81の下端と弾性部材側挿通孔630の下端とを、略面一に揃える。次に、シャッター620を前方にスライドさせることにより、外板側挿通孔640、弾性部材側挿通孔630、乾燥部側挿通孔610a、挿入部材側挿通孔621b、挿入部材側挿通孔621cに対して、シャッター側挿通孔620aを、前方にずらす。
【0075】
フランジ部81の外周面と弾性部材側挿通孔630の内周面との間には、微小な隙間Cが形成される。図17に太線で示すように、隙間C、吹出口610dL、610dM、610dR、流入口610fを除いて、シャッター620上方の乾燥室Sは、外部から封止されている。
【0076】
それから、ピン転写ノズル8を軸回りに回転させながら、上流側通路610c、吹出口610dL、610dM、610dRを介して、乾燥室Sに空気Gを吹き込む。空気Gは、本発明の「気体」の概念に含まれる。被洗浄部82に付着した洗浄液L、塵埃は、空気Gにより吹き飛ばされる。洗浄液L、塵埃を含む空気Gは、流入口610fを介して、下流側通路610eに流入する。図13に示すように、空気G中の洗浄液L、塵埃は、フィルター611により取り除かれる。このため、排気管96からは、清浄な空気Gが排気される。
【0077】
<電子部品実装機のノズル洗浄装置交換時の動き>
次に、本実施形態の電子部品実装機のノズル洗浄装置交換時の動きについて説明する。図18(a)に、本実施形態のノズル洗浄装置の基部から装置本体を取り外す際の動きの第一段階の模式図を示す。図18(b)に、同装置本体を取り外す際の動きの第二段階の模式図を示す。図18(c)に、同装置本体を取り外す際の動きの第三段階の模式図を示す。図19に、本実施形態のノズル洗浄装置の基部に別の装置本体を取り付ける際の斜視図を示す。
【0078】
基部7から装置本体6を取り外す際は、図18(a)に示すように、まず、給気管95、排気管96を装置本体6から取り外す。次に、レバー75を前方に揺動させる。すなわち、揺動爪73L、73Rを、被係合部624aL、624aRから外す。続いて、図18(b)に示すように、本体側係合部625L、625Rと基部側係合部70L、70Rとの係合部を略中心として、装置本体6を上方に揺動させる。それから、図18(c)に示すように、基部7に対して、装置本体6を斜め前上方に引き出す。このようにして、基部7から装置本体6を取り外す。それから、図19に示すように、四つのピン転写ノズル8に対応する、別の装置本体6を基部7に取り付ける。
【0079】
取り付ける際は、図18(c)→図18(b)→図18(a)の順に、作業を行う。装置本体6とピン転写ノズル8との対応は、図1に示すマークカメラ33で機種マーク610g(文字「B」)を撮像することにより、確認される。
【0080】
<作用効果>
次に、本実施形態のノズル洗浄装置および電子部品実装機の作用効果について説明する。本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図5に示すように、洗浄部60、シャッター部62、乾燥部61が、上下方向に積層されている。このため、電子部品実装機1に占める設置スペースを狭くすることができる。また、洗浄後の被洗浄部82を乾燥させる際は、水平方向ではなく、上方向に、被洗浄部82を移動させればよい。このため、洗浄液Lが、電子部品実装機1におけるノズル洗浄装置5以外の部位に、飛散しにくい。
【0081】
また、洗浄部60と乾燥部61との間には、シャッター部62が介在している。図16、図17に示すように、乾燥モードにおいて、シャッター部62のシャッター620は閉じている。このため、空気Gにより、洗浄液Lの液面が乱れるおそれがない。したがって、乾燥中の被洗浄部82に、洗浄槽600の洗浄液L(液面から跳ね上がった洗浄液L)が付着するおそれがない。
【0082】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図7、図19に示すように、共用の基部7に対して、複数種類の装置本体6を交換することができる。このため、ピン転写ノズル8の種類に応じて、複数種類の装置本体6を、交換して使用することができる。したがって、ピン転写ノズル8の種類に応じて、ノズル洗浄装置5全体を交換する場合と比較して、交換作業が簡単である。また、マークカメラ33で機種マーク610gを撮像することにより、装置本体6とピン転写ノズル8との対応を、簡単に確認することができる。特に、装置本体6、ピン転写ノズル8の種類が多い場合、この機能は有効である。また、基部7に対する装置本体6の脱着作業は、工具なしで行うことができる。このため、脱着作業が簡単である。また、装置本体6を基部7に取り付ける際、基部側係合部70L、70Rは、本体側係合部625L、625R、つまり装置本体6の取付位置の基準になる。このため、装置本体6の位置決めが簡単である。
【0083】
また、同種類の装置本体6を複数用意することにより、任意の装置本体6をメンテナンスしている間、他の装置本体6を用いて、ピン転写ノズル8の洗浄、乾燥を実行することができる。このため、メンテナンスに伴うダウンタイムを削減することができる。
【0084】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図15に示すように、洗浄部60が洗浄液Lとブラシ601とを備えている。このため、洗浄液Lとブラシ601とを併用して、被洗浄部82を洗浄することができる。
【0085】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図13に示すように、乾燥部材610が乾燥部側挿通孔610aと気体通路610bとを備えている。このため、被洗浄部82に空気Gを吹き付けやすくなる。また、乾燥部側挿通孔610aの径方向内側から外部に空気Gを排気しやすくなる。また、乾燥部側挿通孔610aの内周面には、フランジ部81の周方向に沿って、三つの吹出口610dL、610dM、610dRが開設されている。このため、図17に示すように、被洗浄部82の全面に亘って、空気Gを供給することができる。
【0086】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、乾燥部61がフィルター611を備えている。このため、空気Gから、洗浄液Lや塵埃を濾し取ることができる。したがって、外部に排気される空気Gを、清浄化することができる。
【0087】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図11に示すように、シール部材622、623が、シャッター側挿通孔620a、一対の挿入部材側挿通孔621b、621cの径方向内側の空間から、シャッター室621aを、封止している。このため、洗浄モードにおいては、シャッター室621aに洗浄液Lや塵埃などが進入するのを抑制することができる。また、乾燥モードにおいては、シャッター室621aに洗浄液Lや空気Gや塵埃などが進入するのを抑制することができる。また、シール部材622、623は、PTFE製である。このため、シャッター620に対する摩擦抵抗が小さい。したがって、シャッター620がスライドしやすい。
【0088】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図15に示すように、弾性部材側挿通孔630は、外板側挿通孔640、乾燥部側挿通孔610a、挿入部材側挿通孔621b、シャッター側挿通孔620a、挿入部材側挿通孔621cよりも、小径である。このため、これらの孔の径方向内側をピン転写ノズル8が上下方向に移動する際、ピン転写ノズル8が硬質(金属製)の外板側挿通孔640、乾燥部側挿通孔610a、挿入部材側挿通孔621b、シャッター側挿通孔620a、挿入部材側挿通孔621cに当接しにくい。
【0089】
また、弾性部材63は、金属や樹脂よりも柔軟なゴム製である。このため、フランジ部81が弾性部材側挿通孔630の内周面に接触した場合、内周面からフランジ部81が受ける衝撃を緩和することができる。並びに、弾性部材側挿通孔630の孔縁には、八本のスリット631が配置されている。フランジ部81が弾性部材側挿通孔630の内周面に接触した場合、スリット631が開口することにより、弾性部材側挿通孔630の内周面は簡単に変形する。この点においても、内周面からフランジ部81が受ける衝撃を緩和することができる。
【0090】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図17に示すように、乾燥モードにおいて、弾性部材側挿通孔630の径方向内側にフランジ部81が配置されている。このため、弾性部材側挿通孔630を介して、乾燥部61から外部に空気Gが漏れにくい。
【0091】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、水平方向に洗浄部60と乾燥部61とが配置されている場合と比較して、ピン転写ノズル8の移動距離が短くなる。このため、ピン転写ノズル8の洗浄、乾燥に要する消費電力が小さくなる。また、ダウンタイムが短くなる。
【0092】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、乾燥モードにおいて、空気Gにより、ピン転写ノズル8に付着した洗浄液Lを吹き飛ばしている。すなわち、非接触状態でピン転写ノズル8を乾燥させている。このため、ピン転写ノズル8に塵埃が付着しにくい。
【0093】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図6に示すように、洗浄液センサ66L、66Rにより、洗浄液Lの量を随時確認することができる。また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図6に示すように、洗浄液センサ66L、66Rが洗浄液Lの不足を検出した場合は、図18に示すように、装置本体6を交換してから、使用後の装置本体6の洗浄槽600に、洗浄液Lを補充することができる。あるいは、使用後の装置本体6の洗浄槽600を丸ごと交換することができる。このため、洗浄液Lの補充によるダウンタイムを削減することができる。
【0094】
また、本実施形態のノズル洗浄装置5によると、図5、図12に示すように、基部側係合部70L、70Rとプランジャ72L、72Rとの間に、装置本体6が押し込まれることにより、基部7に対する装置本体6の前後方向のがたつきが規制されている。また、本体側係合部625L、625Rと基部側係合部70L、70Rとが係合すること、並びに一対の揺動爪73L、73Rが被係合部624aL、624aRに上方から係合することにより、基部7に対する装置本体6の上下方向のがたつきが規制されている。このため、装置本体6が基部7から外れにくい。
【0095】
<その他>
以上、本発明のノズル洗浄装置および電子部品実装機の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0096】
吹出口610d、流入口610fの位置関係、形状、配置数は特に限定しない。図20に、その他の実施形態のノズル洗浄装置の装置本体の乾燥部の斜視図を示す。なお、図13と対応する部位については、同じ符号で示す。図20に示すように、乾燥部側挿通孔610aの内周面の全周に亘って開口するように、リング状の吹出口610dを配置してもよい。また、吹出口610dに対して、流入口610fを上下方向にずらして配置してもよい。また、フィルター611は配置しなくてもよい。すなわち、下流側通路610eの下流端を外部に開放してもよい。また、下流側から負圧を加えることにより、流入口610fを介して、乾燥部側挿通孔610aの径方向内側の空気Gを吸引してもよい。
【0097】
上記実施形態においては、本発明の気体として空気Gを用いたが、不活性ガスなど他の気体を用いてもよい。上記実施形態においては、シャッター側挿通孔620a付きのシャッター620を用いたが、シャッター側挿通孔620a無しのシャッター620を用いてもよい。この場合、シャッター620をシャッター室621aに挿入した状態が閉状態、シャッター620をシャッター室621aから抜き出した状態が開状態になる。上記実施形態においては、本発明のノズルとしてピン転写ノズル8を用いたが、電子部品を吸着する吸着ノズルを用いてもよい。上記実施形態においては、洗浄部60に洗浄槽600とブラシ601とを配置したが、洗浄槽600と超音波発振器とを配置してもよい。すなわち、ピン転写ノズル8を超音波洗浄してもよい。この場合、超音波発振器と洗浄槽600の底面とが接触するように、超音波発振器を基部7側に、洗浄槽600を装置本体6に、それぞれ配置してもよい。上記実施形態においては、空気Gだけを用いて被洗浄部82を乾燥させたが、赤外線などを併用してもよい。
【0098】
上記実施形態においては、装置本体6に洗浄部60を配置したが、基部7に洗浄部60の少なくとも一部を配置してもよい。また、基部7を配置しなくてもよい。すなわち、洗浄装置用ベース90に、洗浄部60、乾燥部61、シャッター部62、弾性部材63、外板64、リテーナー65、一対の洗浄液センサ66L、66Rなどの部材を、配置してもよい。
【0099】
上記実施形態においては、シール部材622、623の全体をPTFE製としたが、摺接部622a、623aだけをPTFE製としてもよい。また、摺接部以外の部分をゴムなどのエラストマー製としてもよい。こうすると、シール部材622、623が弾性変形しやすくなる。また、PTFEの代わりに、他のフッ素樹脂またはフッ素ゴムを用いてもよい。フッ素樹脂としては、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化))、ECTFE(クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体)などを用いてもよい。フッ素ゴムとしては、FKM(フッ化ビニリデン系ゴム)、FEPM(テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム)、FFKM(テトラフルオロエチレン−パープルオロビニルエーテル系ゴム)などを用いてもよい。
【0100】
上記実施形態においては、弾性部材63をゴム製としたが、他のエラストマー製としてもよい。上記実施形態においては、フィルター611を不織布製としたが、織布製、多孔質体製などとしてもよい。また、洗浄液センサ66L、66Rの洗浄液Lの検出方式は特に限定しない。例えば、光学式、磁気式、電極式、超音波式であってもよい。
【0101】
基部7に対して、装置本体6は、転写ピンや吸着ノズルを収容するノズルストッカ、フラックス転写ユニット、部品廃棄ボックスなど、別用途のユニットと交換可能であってもよい。この場合であっても、機種マーク610gをマークカメラ33で撮像することにより、ユニットの種類を確認することができる。
【符号の説明】
【0102】
1:電子部品実装機、2:ベース、3:モジュール、4:ディップ装置、5:ノズル洗浄装置、6:装置本体、7:基部、8:ピン転写ノズル(ノズル)。
20:デバイスパレット、30:基板搬送装置、31:XYロボット、32:装着ヘッド、33:マークカメラ、34:パーツカメラ、35:基板昇降装置、40:回転テーブル、41:スキージ、60:洗浄部、61:乾燥部、62:シャッター部、63:弾性部材、64:外板、65:リテーナー、66L:洗浄液センサ、66R:洗浄液センサ、70L:基部側係合部、70R:基部側係合部、71:前壁部、72L:プランジャ、72R:プランジャ、73L:揺動爪、73R:揺動爪、74:シャフト、75:レバー、76L:側壁部、76R:側壁部、77:底壁部、80:ホルダ吸着部、81:フランジ部、82:被洗浄部、83:連結部、90:洗浄装置用ベース、95:給気管、96:排気管。
302f:手前側クランプ部、302r:奥側クランプ部、303f:手前側搬送部、303r:奥側搬送部、310:Y方向スライダ、311:X方向スライダ、312:Y方向ガイドレール、313:X方向ガイドレール、320:ボールねじ部、320a:ナット部、320b:シャフト部、321:ホルダ、350f:手前側昇降部、350r:奥側昇降部、600:洗浄槽、601:ブラシ、601a:基部、601b:起毛部、610:乾燥部材、610a:乾燥部側挿通孔、610b:気体通路、610c:上流側通路、610d:吹出口、610dL:吹出口、610dM:吹出口、610dR:吹出口、610e:下流側通路、610f:流入口、610g:機種マーク、611:フィルター、620:シャッター、620a:シャッター側挿通孔、621:シャッター挿入部材、621LD:ガイド部材、621LU:ガイド部材、621RD:ガイド部材、621RU:ガイド部材、621a:シャッター室、621b:挿入部材側挿通孔、621c:挿入部材側挿通孔、621d:スリット、621e:洗浄槽用シール枠、622:シール部材、622a:摺接部、622b:肉抜部、623:シール部材、623a:摺接部、623b:肉抜部、624:前壁部、624aL:被係合部、624aR:被係合部、625L:本体側係合部、625R:本体側係合部、630:弾性部材側挿通孔、631:スリット、640:外板側挿通孔、820:転写ピン、821:被洗浄板。
Bf:基板、Br:基板、C:隙間、F:フロア、G:空気(気体)、L:洗浄液、S:乾燥室。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液が貯留される洗浄槽を有し、少なくとも該洗浄液によりノズルの被洗浄部を洗浄する洗浄部と、
該洗浄部の上方に配置され、洗浄後の該被洗浄部に気体を吹き付けることにより、該被洗浄部を乾燥させる乾燥部と、
該洗浄部と該乾燥部との間に配置され、該洗浄部と該乾燥部とを連通、遮断可能に仕切るシャッターを有するシャッター部と、
を有する装置本体を備え、
該被洗浄部を洗浄する洗浄モードにおいては、該シャッターを開け、該洗浄部と該乾燥部とを連通させ、該乾燥部を介して該被洗浄部を該洗浄槽まで下降させ、該被洗浄部を洗浄し、
該被洗浄部を乾燥させる乾燥モードにおいては、洗浄後の該被洗浄部を該洗浄槽から該乾燥部まで上昇させ、該シャッターを閉じ該洗浄部と該乾燥部とを遮断し、該被洗浄部を乾燥させるノズル洗浄装置。
【請求項2】
複数の前記装置本体が交換可能に取り付けられる共用の基部を備える請求項1に記載のノズル洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄部は、前記洗浄槽に収容されるブラシを有し、
前記洗浄モードにおいて、該ブラシに前記被洗浄部を摺接させることにより、該被洗浄部を洗浄する請求項1または請求項2に記載のノズル洗浄装置。
【請求項4】
前記乾燥部は、
前記洗浄槽の上方に配置され、前記ノズルが挿通される乾燥部側挿通孔と、
該乾燥部側挿通孔の内周面に開口する吹出口を下流端に有する上流側通路と、該内周面に開口する流入口を上流端に有する下流側通路と、を有する気体通路と、
を有する乾燥部材を有し、
前記乾燥モードにおいて、前記気体は、該吹出口から前記被洗浄部に吹き付けられ、該流入口から該下流側通路を介して外部に排気される請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のノズル洗浄装置。
【請求項5】
前記シャッターは、前記乾燥部側挿通孔の下方に配置され、前記ノズルが挿通されるシャッター側挿通孔を有し、
前記シャッター部は、
該シャッターがスライド可能に収容されるシャッター室と、該シャッター室の上下方向両側に配置され該ノズルが挿通される一対の挿入部材側挿通孔と、を有するシャッター挿入部材と、
該挿入部材側挿通孔の該シャッター室側の孔縁に配置され、該シャッターに弾性的に摺接するフッ素樹脂またはフッ素ゴム製の摺接部を有し、該シャッター室と該挿入部材側挿通孔の径方向内側の空間とを遮断する一対のシール部材と、
を有する請求項4に記載のノズル洗浄装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記被洗浄部の上方に配置されるフランジ部を有し、
前記装置本体は、前記乾燥部側挿通孔の上方に配置され、該乾燥部側挿通孔よりも小径かつ該フランジ部よりも大径であって、前記乾燥モードにおいて径方向内側に該フランジ部が配置される弾性部材側挿通孔を有するエラストマー製の弾性部材を有する請求項4または請求項5に記載のノズル洗浄装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のノズル洗浄装置を備える電子部品実装機。
【請求項1】
洗浄液が貯留される洗浄槽を有し、少なくとも該洗浄液によりノズルの被洗浄部を洗浄する洗浄部と、
該洗浄部の上方に配置され、洗浄後の該被洗浄部に気体を吹き付けることにより、該被洗浄部を乾燥させる乾燥部と、
該洗浄部と該乾燥部との間に配置され、該洗浄部と該乾燥部とを連通、遮断可能に仕切るシャッターを有するシャッター部と、
を有する装置本体を備え、
該被洗浄部を洗浄する洗浄モードにおいては、該シャッターを開け、該洗浄部と該乾燥部とを連通させ、該乾燥部を介して該被洗浄部を該洗浄槽まで下降させ、該被洗浄部を洗浄し、
該被洗浄部を乾燥させる乾燥モードにおいては、洗浄後の該被洗浄部を該洗浄槽から該乾燥部まで上昇させ、該シャッターを閉じ該洗浄部と該乾燥部とを遮断し、該被洗浄部を乾燥させるノズル洗浄装置。
【請求項2】
複数の前記装置本体が交換可能に取り付けられる共用の基部を備える請求項1に記載のノズル洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄部は、前記洗浄槽に収容されるブラシを有し、
前記洗浄モードにおいて、該ブラシに前記被洗浄部を摺接させることにより、該被洗浄部を洗浄する請求項1または請求項2に記載のノズル洗浄装置。
【請求項4】
前記乾燥部は、
前記洗浄槽の上方に配置され、前記ノズルが挿通される乾燥部側挿通孔と、
該乾燥部側挿通孔の内周面に開口する吹出口を下流端に有する上流側通路と、該内周面に開口する流入口を上流端に有する下流側通路と、を有する気体通路と、
を有する乾燥部材を有し、
前記乾燥モードにおいて、前記気体は、該吹出口から前記被洗浄部に吹き付けられ、該流入口から該下流側通路を介して外部に排気される請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のノズル洗浄装置。
【請求項5】
前記シャッターは、前記乾燥部側挿通孔の下方に配置され、前記ノズルが挿通されるシャッター側挿通孔を有し、
前記シャッター部は、
該シャッターがスライド可能に収容されるシャッター室と、該シャッター室の上下方向両側に配置され該ノズルが挿通される一対の挿入部材側挿通孔と、を有するシャッター挿入部材と、
該挿入部材側挿通孔の該シャッター室側の孔縁に配置され、該シャッターに弾性的に摺接するフッ素樹脂またはフッ素ゴム製の摺接部を有し、該シャッター室と該挿入部材側挿通孔の径方向内側の空間とを遮断する一対のシール部材と、
を有する請求項4に記載のノズル洗浄装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記被洗浄部の上方に配置されるフランジ部を有し、
前記装置本体は、前記乾燥部側挿通孔の上方に配置され、該乾燥部側挿通孔よりも小径かつ該フランジ部よりも大径であって、前記乾燥モードにおいて径方向内側に該フランジ部が配置される弾性部材側挿通孔を有するエラストマー製の弾性部材を有する請求項4または請求項5に記載のノズル洗浄装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のノズル洗浄装置を備える電子部品実装機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−114237(P2012−114237A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261845(P2010−261845)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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