説明

ノズル装置、噴霧装置及び畜舎の温度及び湿度制御システム

【課題】噴霧する液体のコストが安く、噴霧する液体の粒子の微細化が可能で、温度や湿度コントロールの微調整がしにくく、さらに、噴霧後の液切れを良好にして、垢や水苔により目詰まり発生を防止できるノズル装置を提供する。
【解決手段】一端側にポンプから供給される水の流路24を有し、他端側に流路24と連通して他端が開放された弁収納室26を有する筒状の弁収納本体16と、中央に水の噴出口を有し、弁収納本体16の他端側に取り付けられる蓋体18と、蓋体18側に付勢されて弁収納本体16内に収納された霧化弁体20とを有し、蓋体18は、内側面に外方から中央の水の噴出口に向かって窪む円錐溝38を有し、霧化弁体20は、先端に蓋体18の円錐溝38に対応した円錐面44を有し、円錐面44に外周部から中心に向けて複数の出水溝46が形成され、出水溝46は断面V字状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な霧化水を噴霧するノズル装置、噴霧装置及び畜舎の温度及び湿度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無窓畜舎、特に、無窓鶏舎内で発生する揮発性臭気、例えばアンモニア臭、や空中浮遊細菌、微生物等が付着した粉塵は、作業者、畜体、例えば鶏の呼吸器系等の疾病の原因の1つとされている。
【0003】
また、無窓畜舎は閉塞空間であり、しかも生産効率を上げるために大規模化が進んでいるため、伝染病発生時には被害が増大するリスクが高く、無窓畜舎内環境を衛生的に改善する必要があった。
【0004】
そこで、無窓畜舎の内部環境を改善するために、無窓畜舎内の粉塵や臭気を換気装置により舎外に排出したり、超音波噴霧器によって重量比2%の植物油の水溶液を噴霧し、無窓畜舎内の粉塵濃度を低減したり、あるいは、動力噴霧装置、超音波噴霧器によって1〜2%の希酢酸を噴霧し、無窓畜舎内のアンモニア濃度を低減する等の提案がなされている。
【0005】
しかし、粉塵や臭気を直接舎外に排出すると悪臭等の環境問題が発生したり、植物油を用いる場合には濃度の調整や噴霧の停止が容易でなかったり、あるいは噴霧器を用いる場合には畜舎内の粉塵等により目詰まりが発生し易いという問題がある。
【0006】
そこで、特許文献1に示すように、第1液と第2液を容易に混ぜ合わせて噴霧でき、噴霧量や噴霧濃度の調整、が容易で、無窓畜舎内環境を衛生的に改善することのできる無窓畜舎内用噴霧装置等の提案がなされている。
(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−246710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような噴霧装置では、噴霧する液体が2液混合型であるためコスト高になり、しかも、噴霧する液体の粒子の微細化に限界があり、温度や湿度コントロールの微調整がしにくく、さらに、噴霧後の液切れが悪いと垢や水苔により目詰まり発生の原因となりやすいものであった。
【0008】
本発明の目的は、噴霧する液体のコストが安く、噴霧する液体の粒子の微細化が可能で、温度や湿度コントロールの微調整がしにくく、さらに、噴霧後の液切れを良好にして、垢や水苔により目詰まり発生を防止できるノズル装置、噴霧装置及び畜舎の温度及び湿度制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)前記目的を達成するため、本発明のノズル装置は、一端側にポンプから供給される水の流路を有し、他端側に前記流路と連通して他端が開放された弁収納室を有する筒状の弁収納本体と、中央に水の噴出口を有し、前記弁収納本体の他端側に取り付けられる蓋体と、前記蓋体側に付勢されて前記弁収納本体内に収納された霧化弁体とを有し、前記蓋体は、内側面に外方から中央の水の噴出口に向かって窪む円錐溝を有し、前記霧化弁体は、先端に前記蓋体の円錐溝に対応した円錐面を有し、前記円錐面に外周部から中心に向けて複数の出水溝が形成され、前記出水溝は断面V字状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、霧化弁体の円錐面と蓋体の円錐溝とが接触した状態で、霧化弁体の円錐面に形成した出水溝を通って蓋体の水の噴出口から水を噴出するため、断面V字状の限られた通路を通って水が噴出されるため、非常に微細な粒子の霧となって水が噴出されることとなり、しかも、噴霧する液体は水でコストが安く、噴霧する液体の粒子の微細化によって、温度や湿度コントロールの微調整が容易で、さらに、噴霧停止後には限られた水の通路に残る水はもともと微量であり、ポンプ停止後の負圧状態によりノズル部分からの水分が取り除かれることとなり、したがって、液切れを良好にして、垢や水苔により目詰まり発生を防止できる。
【0011】
(2)本発明においては、(1)において、前記出水溝は、外周から中央に向けてS字状に曲折形成されるようにすることができる。
【0012】
このような構成とすることにより、出水溝をS字状に形成することにより、出水溝を水が通過する際の抵抗を大きくして、水の通貨量を抑えることにより、より一層の微細粒子の噴霧を可能にすると共に、噴霧量を制限して水の使用量を減らしてコスト削減を図ると共に、温度や湿度コントロールの微調整を容易にすることができる。
【0013】
(3)本発明においては、(1)または(2)において、前記出水溝は、深さ0.5mm、幅0.1mmに設定することができる。
このような構成とすることにより、例えば70kgf/cm2の圧力で、0.5ミクロン程度の超微細霧を噴霧することが可能となり、より一層の水の使用量を減らしてコスト削減を図ることが可能となる。
【0014】
(4)本発明においては、(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記蓋体の円錐溝及び霧化弁体の円錐面の傾斜角度を120゜に設定することができる。
【0015】
このような構成とすることにより、蓋体の円錐溝と霧化弁体の円錐面との接触圧を大きくして、高水圧かでの霧化水の噴霧を確実に維持することが可能となる。
【0016】
(5)本発明においては、(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記蓋体の少なくとも円錐溝部分は、硬質セラミックス又はブルーダイヤにて形成することができる。
【0017】
このような構成とすることにより、高圧水を用いた霧化水の噴霧を行う場合においても噴出口が摩耗して拡大してしまうのを抑えて、十分な耐久性を持たせることができる。
【0018】
(6)本発明においては、(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記蓋体の噴出口は、0.08mm〜0.1mmとすることができる。
【0019】
このような構成とすることにより、70kgf/cm2の圧力で、0.5ミクロンから0.7ミクロン程度の超微細霧を安定して噴霧することが可能となる。
【0020】
(7)本発明においては、(1)〜(6)のいずれかにおいて、前記弁収納体の一端側にフィルターを内蔵した複数のフィルター容器が直列に螺合されて取り付けられるようにすることができる。
【0021】
このような構成とすることにより、不純物等によるノズルの目詰まりを防止して、安定した霧化水の噴霧を行うことが可能となる。
【0022】
(8)本発明の噴霧装置は、送風機に着脱可能にされたリング状のステンレス製の送水パイプに所定間隔で(1)〜(7)のいずれかに記載のノズル装置を取り付け、高圧水パイプより前記送水パイプに高圧水を供給し、前記送風機からの送風により前記ノズル装置より噴霧される霧化水を散布可能にされたことを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、ノズル装置による霧化水の噴霧と共に、リング状のステンレス製の送水パイプを送風機に設置することにより、霧化水を広範囲及び遠距離まで散布することができ、温度及び湿度のコントロールを容易かつ確実にすることができる。
【0024】
(9)本発明においては、(8)において、前記送水パイプの水導入部にフィルターを内蔵した複数のフィルター容器が直列に螺合されて取り付けられるようにすることができる。
【0025】
このような構成とすることにより、より一層の不純物等によるノズルの目詰まりを防止して、安定した霧化水の噴霧を行うことが可能となる。
【0026】
(10)本発明においては、(9)において、前記送水パイプと前記フィルター容器、前記フィルター容器同士及び前記フィルター容器と前記高圧水パイプは、各々嵌着式のジョイントにて連結されるようにすることができる。
【0027】
このような構成とすることにより、嵌着式のジョイントにより送水パイプ、フィルター容器、高圧水パイプ等の脱着を容易に行うことができる。
【0028】
(11)本発明においては、(10)において、前記ジョイントは、筒状のジョイント本体と、接続対象物の端部を挿入して前記ジョイント本体の両端に挿入することで前記接続対象物を前記ジョイント本体に固定する筒状の把持部材と、前記接続対象物外周と前記ジョイント本体内周との間に装着されてシールを行うシール材とを有し、前記ジョイント本体は、前記把持部材の挿入部に形成された内方に膨出する第1の膨出部と、前記第1の膨出部の奥側に形成された前記シール材の挿入部とを有し、前記把持部材は、挿入先端側に軸方向に渡る複数のスリットによって形成された複数の可撓部と、前記可撓部の先端側形成されて前記第1の膨出部と当接することにより前記可撓部を撓ませ可能にされた外方への第2の膨出部と、前記可撓部の先端に形成されて前記接続対象物の外周に形成された環状溝に食い込み可能にされた爪部とを有し、前記シール材は、断面角形の第1のシール材と、断面円形で前記第1のシール材よりも硬質の材料からなる第2のシール材とを有するものとすることができる。
【0029】
このような構成とすることにより、把持部材内に接続対象物の端部を挿入し、接続対象物の環状溝と把持部材に形成した爪部とを一致させた状態で把持部材をジョイント本体内に挿入すれば第1の膨出部と第2の膨出部とが係合し、爪部を内側に押し付けて接続対象物が把持部材を介してジョイント本体にワンタッチで確実に接続されることとなる。
【0030】
また、第1及び第2のシール材の形状、材質により第2のシール材が第1のシール材に食い込み状態となるため、高圧水を用いる場合でも水密性の高いシールを実現することができる。
【0031】
(12)本発明の畜舎の温度及び湿度制御システムは、複数の畜舎に設置されて送水源に接続された(8)〜(11)のいずれかに記載の噴霧装置と、各畜舎にそれぞれ設置されて各畜舎の温度及び湿度を検出する温度センサ及び湿度センサと、各畜舎の検出温度が所定温度以上、所定湿度以下になると、当該畜舎の噴霧装置より所定時間噴霧を開始し、所定温度及び所定湿度に達した時点で噴霧を停止するよう制御し、かつ、検出温度が所定温度以下、所定湿度以下になると、噴霧装置より噴霧を開始し、所定温度及び所定湿度に達した時点で噴霧を停止するよう制御するコントローラとを有することを特徴とする。
【0032】
本発明によれば、各畜舎に設置した温度センサ及び湿度センサの検出状況に応じて噴霧装置よりの噴霧状況をコントローラにより制御することで、夏場及び冬場においても畜舎の状況に応じた精度の高い環境調整を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
図1〜図8は、本発明の一実施の形態にかかる畜舎の温度及び湿度制御システムを示す図である。
【0035】
図1〜図3は、本実施の形態に用いられるノズル装置を示す図である。
【0036】
このノズル装置10は、図1、図2に示すノズル本体12と、図3に示す複数のフィルター容器14とを有している。
【0037】
ノズル本体12は、弁収納本体16と、蓋体18と、霧化弁体20と、弁機構22とを有している。
【0038】
弁収納本体16は、一端側にポンプ(図示せず)から供給される水の流路24を有し、他端側に流路24と連通して他端が開放された流路よりも広い空間の弁収納室26を有している。
【0039】
また、弁収納本体16の弁収納室26側端部外周には蓋体18を取り付けるための雄ねじ28が形成され、反対側の流路24側端部外周にはフィルター容器14と連結するための雄ねじ30が形成されている。
【0040】
蓋体18は、蓋本体32と、出水カバー34とを有している。
蓋本体32は、内周部に弁収納体16の雄ねじ28と螺合する雌ねじ36が形成され、頂部中央に貫通孔38を有している。
出水カバー34は、内端面に外方から中央に向かって窪む円錐溝38を有し、この円錐溝38の中央頂点位置に水の噴出口40を有し、蓋本体32の内側に取り付けられるようになっている。
【0041】
円錐溝38の傾斜角度は120゜に設定され、噴出口40の口径は、0.08〜0.1mmに設定されている。
【0042】
このようなきわめて小口径の噴出口40を有する出水カバー34は、高水圧に十分に耐え得るように、硬質セラミックスまたはブルーダイヤにて形成され、噴出口40部分が短期間に摩耗して拡張しないようにして長期使用に耐えうるようになっている。
【0043】
なお、本実施の形態では、蓋本体32と出水カバー34とを別体で形成し、出水カバー34を硬質セラミックスまたはブルーダイヤにて形成するようにしているが、この例に限らず、蓋体18を一体に形成して、全体を硬質セラミックスまたはブルーダイヤにて形成することも可能である。
【0044】
霧化弁体20は、弁機構22により出水カバー34の内面に向けて付勢されて出水カバー34の円錐溝38に押し付けられるもので、先端に円錐状の突起部42を有し、この突起部42先端の円錐面44に、図2(B)に示すように、外周部から中心に向けて複数、例えば2本の出水溝46が形成されている。
【0045】
この円錐面44は、蓋体18の円錐溝38に対応して120゜の傾斜角度に設定されて円錐溝38に対する接触圧力が十分に得られるようになっている。
また、出水溝46は、断面V字状に形成され、深さ0.5mm、幅1mmに設定されている。
【0046】
したがって、出水溝46を通過する水野通貨量が少なく抑えて水の使用量に対するコスト削減をなすことができ、かつ、通過した水を噴出口40で十分に微細霧にして噴出できるようになっている。
【0047】
さらに、出水溝46は、図2(B)に示すように、外周から中央に向けてS字状に曲折形成されており、これによって、通過する水の抵抗を高めて、より一層のコスト削減及び微細霧の噴霧を可能にしている。
【0048】
弁機構22は、流路24を開閉する流路弁体48と、霧化弁体20を蓋体18側に付勢して突起部42の円錐面44を蓋体18の円錐溝38に当接させると共に、流路弁体48を流路24の端部に押付け付勢するスプリング50とを、弁収納室26内に有している。
【0049】
そして、このようなノズル装置10の構成においては、例えばポンプ圧70kgf/cm2にて流路24まで高水圧の水を供給すると、流路弁体48がスプリング50の付勢力に抗して開き、高圧水が弁収納室16内に流入し、弁収納室16内の高圧水が弁収納室16内の隙間である流道52を通って、霧化弁体29に至り、そこから出水溝46を通って噴出口40より5ミクロンから7ミクロンの超微細霧を噴出することとなる。
【0050】
また、このノズル本体12には、図3に示すような、複数、例えば2個のフィルター容器14が直列に螺合されて取り付けられてノズルの目詰まりを防止し得るようになっている。
【0051】
このフィルター容器14は、内部にフィルター54を収容するフィルター収容部56と、このフィルター収容部56に螺合されてフィルター収容部56を覆う開口部58付きのキャップ60と、キャップ60とフィルター収容部との間に設け得られるワッシャ62と、フィルター収容部の抗体部に設けられるワッシャ64とを有している。
【0052】
キャップ60の開口部58内周には雌ねじ66が形成され、この雌ねじ66と弁収納本体16の雄ねじ30と螺合して連結されるようになっている。
【0053】
また、フィルター収容部56の後端には、雄ねじ68が形成され、この雄ねじ68が次に接続されるフィルター容器14のキャ覆う660に形成された雌ねじ66と螺合されて次のフィルター容器14と直列に接続されるようになっている。
【0054】
最後端のフィルター容器14は、ポンプ側に接続されるようになっている。
次に、このようなノズル装置10を用いた噴霧装置について図4〜図6を参照して説明する。
【0055】
この噴霧装置70は、図4に示すように、リング状の送水パイプ72に所定間隔で前述のノズル装置10を複数取り付け、高圧水パイプ80より送水パイプ72に高圧水を供給し、畜舎用大型扇風機74からの送風によりノズル装置10より噴霧される霧化水を散布しうる状態となっている。
【0056】
このリング状の送水パイプ72は、ステンレス製のものとされ、70kgf/cm2程度の高圧水の送水に十分に耐えられるものとされている。
【0057】
また、このリング状の送水パイプ72は、一般に畜舎に備えられている送風機である畜舎用大型扇風機74に、図示せぬが、メーカー、サイズを問わず簡単に取り付けることができるようになっており、ノズル装置10より散布される超微細霧を畜舎用大型扇風機74風力により広範囲に遠くにいき渡らせることができるようになっている。
【0058】
さらに、送水パイプ72の水導入部76にフィルター54を内蔵した複数のフィルター容器78が直列に嵌合されて取り付けられるようにすることで、より一層の不純物等によるノズルの目詰まりを防止して、安定した霧化水の噴霧を行うことができるようになっている。
【0059】
この送水パイプ72の導入部76とフィルター容器78、フィルター容器78同士及びフィルター容器78と高圧水パイプ80は、各々嵌着式のジョイント82にて連結され、送水パイプ72、フィルター容器78、高圧水パイプ80等の脱着を容易に行うことができるようにしている。
【0060】
ジョイント82は、図5及び図6に示すように、筒状のジョイント本体84と、接続対象物(水導入部76、フィルター容器78、高圧水パイプ80、以下同様)の端部86を挿入してジョイント本体84の両端に挿入することで接続対象物をジョイント本体84に固定する筒状の把持部材88と、接続対象物外周とジョイント本体84内周との間に装着されてシールを行うシール材90とを有する。
【0061】
ジョイント本体84は、把持部材88の挿入部92に形成された内方に膨出する第1の膨出部94と、第1の膨出部94の奥側に形成されたシール材90の挿入部96とを有している。
【0062】
把持部材88は、挿入先端側に軸方向に渡る複数のスリット98によって形成された複数の可撓部100と、可撓部100の先端側に形成されて第1の膨出部04と当接することにより可撓部100を撓ませ可能にされた外方への第2の膨出部102と、可撓部100の先端に形成されて接続対象物の外周に形成された環状溝104に食い込み可能にされた爪部106とを有する。
【0063】
シール材90は、断面角形の第1のシール材108と、断面円形で第1のシール材108よりも硬質の材料からなる第2のシール材110とを有する。
【0064】
このようにすることで、把持部材88内に接続対象物の端部を挿入し、接続対象物の環状溝104と把持部材88に形成した爪部106とを一致させた状態で把持部材88をジョイント本体84内に挿入すれば第1の膨出部94と第2の膨出部102とが係合し、爪部106を内側に押し付けて接続対象物が把持部材88を介してジョイント本体84にワンタッチで確実に接続されることとなる。
【0065】
また、第1及び第2のシール材108、110の形状、材質により第2のシール材110が第1のシール材108に食い込み状態となるため、高圧水を用いる場合でも水密性の高いシールを実現することができることとなる。
【0066】
なお、この場合におけるフィルター部材78は、ジョイント本体84内への挿入部86と、環状溝104を有する点でフィルター部材14と相違するフィルター54の保持構造は変わらない。
【0067】
また、図5及び図6の例において、符号112は、パイプ等の端部を閉塞するためのエンド部材で、ジョイント構造は他と何ら変わらないものである。
【0068】
次に、前述のような噴霧装置70を用いた畜舎の温度及び湿度制御システムについて、図7〜図9を用いて説明する。
【0069】
この畜舎の温度及び湿度制御システム114は、図7に示すように、複数、例えば8棟の畜舎114a〜114hにそれぞれ設置されて送水源115(水タンク、ポンプ、コンプレッサ等)に接続された前述の噴霧装置70と、各畜舎にそれぞれ設置されて各畜舎の温度及び湿度を検出する温度センサ116a〜116h及び湿度センサ118a〜118hと、各畜舎114a〜114hの検出温度が所定温度以上、所定湿度以下になると、当該畜舎114a〜114hの噴霧装置70より所定時間噴霧を開始し、所定温度及び所定湿度に達した時点で噴霧を停止するよう制御し、かつ、検出温度が所定温度以下、所定湿度以下になると、噴霧装置70より噴霧を開始し、所定温度及び所定湿度に達した時点で噴霧を停止するよう電磁弁122a〜122hを制御するコントローラ120とを有する。
【0070】
このように、各畜舎114a〜114hに設置した温度センサ116a〜116h及び湿度センサ118a〜118hの検出状況に応じて噴霧装置70よりの噴霧状況をコントローラ120により制御することで、夏場及び冬場においても畜舎の状況に応じた精度の高い環境調整を行うことが可能となる。
【0071】
図8には、このような畜舎の温度及び湿度制御システム114の機能ブロック図の一例を示している。
【0072】
この畜舎の温度及び湿度制御システム114は、手動設定部124と、自動設定部126と、無水断電システム部128と、警報保護装置部130と、時刻設定部132とを有している。
【0073】
手動設定部124は、循環噴霧設定部134における24時間タイマー部136、噴霧稼働時間タイマー部138、噴霧停止時間タイマー部140を手動設定により設定した条件に基づいてポンプ150及びコンプレッサ152を作動または停止させて、噴霧装置70より噴霧の開始及び停止を行わせるようになっている。
【0074】
自動設定部126では、温度センサ142、湿度センサ144が温度設定部146及び湿度設定部148で予め設定された温度または湿度を検出すると、ポンプ150及びコンプレッサ152を作動または停止させて、噴霧装置70より噴霧の開始及び停止を行わせるようになっている。
【0075】
無水断電システム部128は、水槽154内の水位を変位センサ156にて検出し、水槽154内の水位が安全水位以下になると、電磁弁を作動させたり、ポンプ150、コンプレッサ152を停止させたりして安全を確保するようになっている。
【0076】
警報保護装置部130は、各種異常センサ158が各種機器の異常を検出すると、保護装置を作動させて電源を切るようになっている。
【0077】
時刻設定部132は、現時刻を設定することで、特定の時間に噴霧開始及び停止を可能にしている。
【0078】
図9には、このような畜舎の温度及び湿度制御システム114の動作フローチャートを示している。
【0079】
まず、電源を供給すると(S1)、畜舎の温度及び湿度制御システム114の作動が開始され(S2)、初期化処理がおこなわれる(S3)。
【0080】
初期化処理では、時間設定、24時間タイマー設定、噴霧時間設定、噴霧停止時間設定がなされる。
【0081】
次に、自動設定による噴霧か手動設定による噴霧かを選択する(S4)。
【0082】
自動設定による噴霧を選択した場合(S5)は、温度、湿度センサを調整し、設定温度より上回った場合には自動噴霧開始し、設定温度まで下がると自動停止する。
【0083】
例えば、夏場に、各畜舎の検出温度が所定温度以上、所定湿度以下になると噴霧を開始し、所定温度、湿度に達した時点で噴霧を停止する。
【0084】
但し、夏場には、温度を優先する。
また、検出湿度が設定湿度より下回った場合は、自動的に噴霧し、設定湿度を回復したら自動停止する。
【0085】
例えば、冬場に、各畜舎の検出温度が所定温度以下、所定湿度以下になると噴霧を開始し、所定温度、湿度に達した時点で噴霧を停止する。
但し、冬場には、湿度を優先する。
【0086】
手動設定による噴霧を選択した場合(S6)は、設定噴霧時間、設定停止時間を指定し、24時間タイマーを設定する。
【0087】
この状態で、噴霧装置が、24時間タイマーがONとなり、設定期間内では、噴霧時間、停止時間通り、噴霧、停止する。
【0088】
24時間タイマーをOFFにした場合には停止することとなる。
【0089】
自動、手動のいずれの場合においても、故障(S7)、例えば、システム中の圧力、配管システム、濾過器、水槽、徐ずる装置等の異常をセンサが検出した場合、コントローラに信号を与えて電源供給を中止し、噴霧を停止する。
【0090】
故障がなくなった場合には、再度電源を供給すれば(S1)、再噴霧が可能となる。
このような、畜舎の温度及び湿度制御システムによる場合、畜舎内の温度、湿度の調整効果、消臭効果、空気先浄効果等を低コストで達成できることとなる。
【0091】
特に、夏場の畜舎内温度を、36℃〜38℃から30℃から32℃まで下げることができた。
【0092】
また、冬場の乾燥した畜舎内湿度を25%〜30%から50%〜80%に加湿することができた。
【0093】
これにより、畜舎内の乾燥による空気中に漂うばい菌と粉塵は大幅に減少し、地躯体の呼吸器感染率を大幅に下げることができる。
【0094】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【0095】
例えば、本発明のノズル装置及び噴霧装置は、畜舎内での噴霧に用いるだけでなく、道路上や公園その他多種多様の場所に用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるノズル装置の分解斜視図である。
【図2】(A)は図1のノズル装置の断面図、(B)は目花弁体の取水溝を示す部分平面図である。
【図3】図1及び図2のノズル本体の取り付けられるフィルター容器の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態にかかる噴霧装置の斜視図である。
【図5】図4の噴霧装置に用いられるジョイントの分解斜視図である。
【図6】図4のジョイントの断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態にかかる畜舎の温度及び湿度制御システムを示す概略図である。
【図8】本実施の形態にかかる畜舎の温度及び湿度制御システムの機能ブロック図である。
【図9】本実施の形態にかかる畜舎の温度及び湿度制御システムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
10 ノズル装置
12 ノズル本体
14、78 フィルター容器
16 弁収納本体
18 蓋体
20 霧化弁体
22 弁機構
24 流路
26 弁収納室
38 円錐溝
40 噴出口
42 突起部
44 円錐面
54 フィルター
56 フィルター収容部
70 噴霧装置
72 送水パイプ
76 水導入部
80 高圧水パイプ
82 ジョイント
84 ジョイント本体
88 把持部材
90 シール材
92、96 挿入部
94 第1の膨出部
98 スリット
100 可撓部
102 第2の膨出部
104 環状溝
106 爪部
108 第1のシール材
110 第2のシール材
114a〜114h 畜舎
116a〜116h 温度センサ
118a〜118h 湿度センサ
120 コントローラ
122a〜122h 電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側にポンプから供給される水の流路を有し、他端側に前記流路と連通して他端が開放された弁収納室を有する筒状の弁収納本体と、
中央に水の噴出口を有し、前記弁収納本体の他端側に取り付けられる蓋体と、
前記蓋体側に付勢されて前記弁収納本体内に収納された霧化弁体とを有し、
前記蓋体は、内側面に外方から中央の水の噴出口に向かって窪む円錐溝を有し、
前記霧化弁体は、先端に前記蓋体の円錐溝に対応した円錐面を有し、前記円錐面に外周部から中心に向けて複数の出水溝が形成され、前記出水溝は断面V字状に形成されていることを特徴とするノズル装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記出水溝は、外周から中央に向けてS字状に曲折形成されていることを特徴とするノズル装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記出水溝は、深さ0.5mm、幅0.1mmに設定されていることを特徴とするノズル装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記蓋体の円錐溝及び霧化弁体の円錐面の傾斜角度が120゜に設定されていることを特徴とするノズル装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記蓋体の少なくとも円錐溝部分は、硬質セラミックス又はブルーダイヤにて形成されていることを特徴とするノズル装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記蓋体の噴出口は、0.08mm〜0.1mmとされていることを特徴とするノズル装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記弁収納体の一端側にフィルターを内蔵した複数のフィルター容器が直列に螺合されて取り付けられることを特徴とするノズル装置。
【請求項8】
送風機に着脱可能にされたリング状のステンレス製の送水パイプに所定間隔で前記請求項1〜7のいずれかに記載のノズル装置を取り付け、高圧水パイプより前記送水パイプに高圧水を供給し、前記送風機からの送風により前記ノズル装置より噴霧される霧化水を散布可能にされたことを特徴とする噴霧装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記送水パイプの水導入部にフィルターを内蔵した複数のフィルター容器が直列に嵌着されて取り付けられることを特徴とする噴霧装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記送水パイプと前記フィルター容器、前記フィルター容器同士及び前記フィルター容器と前記高圧水パイプは、各々嵌着式のジョイントにて連結されることを特徴とする噴霧装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記ジョイントは、筒状のジョイント本体と、接続対象物の端部を挿入して前記ジョイント本体の両端に挿入することで前記接続対象物を前記ジョイント本体に固定する筒状の把持部材と、前記接続対象物外周と前記ジョイント本体内周との間に装着されてシールを行うシール材とを有し、
前記ジョイント本体は、前記把持部材の挿入部に形成された内方に膨出する第1の膨出部と、前記第1の膨出部の奥側に形成された前記シール材の挿入部とを有し、
前記把持部材は、挿入先端側に軸方向に渡る複数のスリットによって形成された複数の可撓部と、前記可撓部の先端側形成されて前記第1の膨出部と当接することにより前記可撓部を撓ませ可能にされた外方への第2の膨出部と、前記可撓部の先端に形成されて前記接続対象物の外周に形成された環状溝に食い込み可能にされた爪部とを有し、
前記シール材は、断面角形の第1のシール材と、断面円形で前記第1のシール材よりも硬質の材料からなる第2のシール材とを有することを特徴とする噴霧装置。
【請求項12】
複数の畜舎に設置されて送水源に接続された請求項8〜11のいずれかに記載の噴霧装置と、
各畜舎にそれぞれ設置されて各畜舎の温度及び湿度を検出する温度センサ及び湿度センサと、
各畜舎の検出温度が所定温度以上、所定湿度以下になると、当該畜舎の噴霧装置より所定時間噴霧を開始し、所定温度及び所定湿度に達した時点で噴霧を停止するよう制御し、かつ、検出温度が所定温度以下、所定湿度以下になると、噴霧装置より噴霧を開始し、所定温度及び所定湿度に達した時点で噴霧を停止するよう制御するコントローラと、
を有することを特徴とする畜舎の温度及び湿度制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−284768(P2009−284768A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137688(P2008−137688)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(507321864)株式会社可成利亜 (3)
【Fターム(参考)】