説明

ノズル装置並びにそれを用いた薬液の付与方法及び薬液

【課題】第1及び第2エアー本体が固形物によって詰まるのを抑制し、超高速の抄紙機等においても走行体に対して薬液を確実に付与することができると共に、薬液の飛散も十分に抑制できるノズル装置及びそれを用いた薬液の付与方法を提供する。
【解決手段】ノズル本体2と、ノズル本体2の上面に設けられ、薬液を吐出可能な吐出ノズル1と、ノズル本体2の一方の側面に設けられ、空気が通過する第1内部空間を有する第1エアー本体10と、第1内部空間の上方が開放されることにより、第1エアー本体10の上面に設けられた第1エアー口12と、ノズル本体2の他方の側面に設けられ、空気が通過する第2内部空間を有する第2エアー本体20と、第2内部空間の上方が開放されることにより、第2エアー本体の上面に設けられた第2エアー口22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル装置並びにそれを用いた薬液の付与方法及び薬液に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙業においては、抄紙機のワイヤ、フェルト、ドライヤーロール、カンバス等の部材に対して、紙体からパルプ原料由来の異物が転移するのを防止したり、紙離れを向上させる等の目的で、湿潤紙力剤、洗浄剤、ピッチコントロール剤、汚染防止剤、離型剤等の薬剤を含む薬液が抄紙機に取付けられたノズル装置のノズルから付与される。
【0003】
ところが、上記紙体は、抄紙機内を高速で走行するため、紙体の表面付近には、その動きに沿って空気の流れ(以下「随伴流」という。)が発生し、ノズルから紙体に向けて吐出された薬液は、随伴流により巻き上げられるという現象が生じる。
そうすると、紙体に薬液を十分に付与できないばかりか、巻き上げられた薬液がフレームやフード等に付着して抄紙機を汚染するという事態が生じる。
【0004】
こうした薬液の巻き上がりを防止する装置として、本発明者は既に、薬液(流体)の噴出用ノズルの上流側と下流側にエアカーテンを形成し、その間の空間で薬液を噴霧する流体散布用流体飛散防止装置を提案している(特許文献1参照)。
この装置によれば、抄速が比較的低速であった従来の抄紙機においては、ほとんどの薬液が走行体に到達し、上記問題点を解消することが可能となった。
【0005】
しかしながら、近年、抄紙機は非常に高速化し、今や1500〜2000m/分の抄速を有するものが出現している。
このような超高速の抄紙機においては、走行体周囲の随伴流は、風速・風圧ともに極めて強いものであるため、上記装置では十分に薬液を走行体に付与できず、薬液の飛散も十分に抑制できない。
むしろエアカーテンにより紙体周囲の随伴流が大きく掻き乱されて乱気流が生じる傾向にある。
【0006】
これに対し、本願発明者等は、超高速の抄紙機等においても走行体(紙体)に対して薬液を確実に付与することができ、薬液の飛散も十分に抑制できるノズル装置として、薬液を吐出可能な吐出ノズルと、走行体の走行方向に対して吐出ノズルの上流側に位置する第1の吹付けノズルと、走行体の走行方向に対して吐出ノズルの下流側に位置する第2の吹付けノズルと、を備え、第1及び第2の吹付けノズルがいずれも空気を吹付け可能であるノズル装置を特許出願している(特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平01−152762号公報
【特許文献2】特願2006−168146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2記載のノズル装置は、吹付けノズル(第1及び第2エアー本体)に薬液が固化した固形物等が付着する傾向にある。
すなわち、特許文献2記載のノズル装置を長期間用いると、徐々に吹付けノズル(第1及び第2エアー本体)のノズル口に固形物が付着し、空気を十分に吐出できなくなる傾向にある。
この場合、随伴流を確実に抑制できないので、走行体に薬液を確実に付与できないことになる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、第1及び第2エアー本体が固形物によって詰まるのを抑制し、超高速の抄紙機等においても走行体に対して薬液を確実に付与することができると共に、薬液の飛散も十分に抑制できるノズル装置及びそれを用いた薬液の付与方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、第1及び第2エアー本体に固形物が付着するのは、第1及び第2エアー本体から空気が吹き付けられる際に、吹付けの中心部から離れた領域では、第1及び第2エアー本体内部(第1及び第2内部空間)が負圧になり、吐出ノズルから吐出された薬剤の一部を吸引するからであることがわかった。
そして、第1及び第2内部空間が負圧になるのを抑制するために、第1及び第2内部空間が外気に開放されるように貫通孔を設けたところ、上記課題を解決するばかりか、意外にも空気の吹付け力も向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、(1)走行体に対して薬液を付与するためのノズル装置であって、ノズル本体と、ノズル本体の上面に設けられ、薬液を吐出可能な吐出ノズルと、ノズル本体の一方の側面に設けられ、空気が通過する第1内部空間を有する第1エアー本体と、第1内部空間の上方が開放されることにより、第1エアー本体の上面に設けられた第1エアー口と、ノズル本体の他方の側面に設けられ、空気が通過する第2内部空間を有する第2エアー本体と、第2内部空間の上方が開放されることにより、第2エアー本体の上面に設けられた第2エアー口と、を備え、第1エアー口及び第2エアー口が空気を吹付け可能となっており、第1エアー本体には、第1内部空間が外気に開放された貫通孔が設けられ、第2エアー本体には、第2内部空間が外気に開放された貫通孔が設けられているノズル装置に存する。
【0011】
本発明は、(2)第1エアー本体及び第2エアー本体それぞれの側面及び/又は底面に貫通孔が設けられている上記(1)記載のノズル装置に存する。
【0012】
本発明は、(3)吐出ノズル、第1エアー口及び第2エアー口が走行体の走行方向に沿って配列されており、吐出ノズルから吐出された薬液の走行方向とは垂直方向の幅よりも、第1エアー口及び第2エアー口から吹付けられた空気の走行方向とは垂直方向の幅のほうが大きくなっている上記(1)記載のノズル装置に存する。
【0013】
本発明は、(4)第1エアー本体と第2エアー本体とが一体となっている上記(1)記載のノズル装置に存する。
【0014】
本発明は、(5)走行体の走行方向と吐出ノズルから吐出される薬液の吐出方向とのなす角度が30〜135度である上記(1)記載のノズル装置に存する。
【0015】
本発明は、(6)吐出ノズルのノズル口がスリット状となっている上記(1)記載のノズル装置に存する。
【0016】
本発明は、(7)薬液が湿潤紙力剤、洗浄剤、ピッチコントロール剤、汚染防止剤又は離型剤を含む上記(1)記載のノズル装置に存する。
【0017】
本発明は、(8)走行体が紙体、カンバス、ドライヤーロール、カレンダーロール又はカンバスロールである上記(1)記載のノズル装置に存する。
【0018】
本発明は、(9)抄紙機に上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載のノズル装置が取り付けられており、該ノズル装置を用いて薬液を付与する付与方法であって、抄紙機に備えられた、紙体、カンバス、ドライヤーロール、カレンダーロール又はカンバスロールに対して、吐出ノズルにより薬液が付与されると同時に第1エアー口及び第2エアー口から空気が吹付けられる薬液の付与方法に存する。
【0019】
本発明は、(10)抄紙機には走査手段が取り付けられており、ノズル装置が走査手段により往復走査される上記(9)記載の薬液の付与方法に存する。
【0020】
本発明は、(11)上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載のノズル装置を用いて付与され、湿潤紙力剤、洗浄剤、ピッチコントロール剤、汚染防止剤又は離型剤である薬液に存する。
【0021】
本発明は、(12)粘度が500cps以下である上記(11)記載の薬液に存する。
【0022】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)〜(12)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のノズル装置によれば、吐出ノズルから薬液が吐出されると同時に、第1エアー口及び第2エアー口から空気が吹付けられるので、走行により生じる随伴流による薬液の飛散が抑制される。
すなわち、第1エアー口及び第2エアー口から吹付けられる空気が、随伴流と薬液の間に吹付けられるので、薬液が随伴流により巻き上げられるという事態が抑制される。
このため、上記ノズル装置によれば、確実に薬液が走行体に吹き付けられる。
【0024】
また、上記ノズル装置は、第1エアー本体には、第1内部空間が外気に開放された貫通孔が設けられており、第2エアー本体には、第2内部空間が外気に開放された貫通孔が設けられているので、第1エアー口及び第2エアー口から空気が吹き付けられる際に、第1内部空間及び第2内部空間が負圧になり、吐出ノズルから吐出された薬剤の一部を吸引するという事態が生じるのを抑制できる。
よって、上記ノズル装置は、長期間用いた場合であっても、エアー孔のノズル口に固形物が付着するのが抑制される。
【0025】
さらに、第1エアー本体及び第2エアー本体は、それぞれ対応する第1内部空間及び第2内部空間に貫通孔から外気を取り込んだ状態で空気を吹付けるので、空気の吹付け力が向上する。
【0026】
これらのことから、上記ノズル装置によれば、エアー孔が固形物によって詰まるのを抑制し、超高速の抄紙機等においても走行体に対して薬液を確実に付与することができると共に、薬液の飛散も十分に抑制できる。
【0027】
本発明のノズル装置は、第1エアー本体及び第2エアー本体それぞれの側面及び/又は底面に貫通孔が設けられていると、空気の吹付け力が確実に向上する。
【0028】
本発明のノズル装置は、吐出ノズル、第1エアー口及び第2エアー口が走行体の走行方向に沿って配列されており、吐出ノズルから吐出された薬液の走行方向とは垂直方向の幅よりも、第1エアー口及び第2エアー口から吹付けられた空気の走行方向とは垂直方向の幅のほうが大きくなっていると、随伴流による薬液の飛散がより確実に抑制される。
【0029】
本発明のノズル装置は、第1エアー本体と第2エアー本体とが一体となっていることで、一箇所から空気を供給することにより、第1エアー口及び第2エアー口から同程度の強さの空気を吹付けることが可能となる。
また、第1エアー本体及び第2エアー本体が着脱式であれば、容易に着脱可能となる。
【0030】
本発明のノズル装置は、走行体の走行方向と吐出ノズルから吐出される薬液の吐出方向とのなす角度が30〜135度であると、吐出された薬液が随伴流の影響を受けにくくなるので、走行体に対して薬液をより確実に付与することができる。
【0031】
本発明のノズル装置は、吐出ノズルのノズル口がスリット状となっていると、一度に薬液を付与できる面積が増大するため、ノズル装置の数を減らすことができる。
また、ノズル装置を走行体に対して垂直方向に移動させながら薬液を吐出する場合であっても、本発明のノズル装置は一度に薬液を付与できる面積が広いため、比較的低速度で移動させることができる。
【0032】
本発明のノズル装置は、薬液が湿潤紙力剤、洗浄剤、ピッチコントロール剤、汚染防止剤又は離型剤を含むと、洗浄、ピッチの除去、紙のほつれ防止等が効果的に行われる。
【0033】
本発明のノズル装置は、走行体が紙体、カンバス、ドライヤーロール、カレンダーロール又はカンバスロールであると、汚れ、ピッチ、紙のほつれ等が生じやすいことから、これらを効果的に防止できる。
【0034】
本発明の薬液の付与方法は、上述したノズル装置を用いるので、エアー孔が固形物によって詰まるのを抑制できる。
また、上記薬液の付与方法は、吐出ノズルにより薬液が付与されると同時に第1エアー口及び第2エアー口により空気が吹付けられるので、超高速の抄紙機等においても走行体に対して薬液を確実に付与することができると共に、薬液の飛散も十分に抑制できる。
【0035】
本発明の薬液の付与方法は、抄紙機には走査手段が取り付けられており、上述したノズル装置が走査手段により往復走査されると、ノズル装置の数が1つであっても確実に薬液を紙体、カンバス、ドライヤーロール、カレンダーロール又はカンバスロールに付与できる。
なお、ノズル装置の数が1つであると、メンテナンスが容易であり、コスト面でも有利である。
【0036】
本発明の薬液は、上述したノズル装置を用いて付与され、湿潤紙力剤、洗浄剤、ピッチコントロール剤、汚染防止剤又は離型剤であるので、薬液が付与された走行体は、付与される薬液に基づく機能を確実に発揮することができる。
【0037】
また、上記薬液の粘度が500cps以下であると、薬液を確実に走行体に付与することができると共に、薬液の飛散も十分に抑制できる。
なお、たとえ、薬液が飛散した場合であっても、薬液が再付着しノズル口に固形物が付着するのが抑制され、ノズル口が詰まるという自体も確実に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0039】
図1は、本実施形態に係るノズル装置を示す上面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るノズル装置100は、ノズル本体2と、ノズル本体2の上面に設けられ、薬液を吐出可能な吐出ノズル1と、ノズル本体2の一方の側面に設けられ、空気が通過する第1内部空間を有する第1エアー本体10と、第1内部空間の上方が開放されることにより、第1エアー本体10の上面に設けられた第1エアー口12と、ノズル本体2の他方の側面に設けられ、空気が通過する第2内部空間を有する第2エアー本体20と、第2内部空間の上方が開放されることにより、第2エアー本体の上面に設けられた第2エアー口22と、を備える。
【0040】
そして、上記ノズル装置100は、第1エアー口12及び第2エアー口22が空気を吹付け可能となっており、吐出ノズル1、第1エアー口12及び第2エアー口22が図示しない走行体の走行方向Aに沿って配列されている。
すなわち、上記ノズル装置100において、第1エアー口12は、走行体の走行方向Aに対して吐出ノズル1の上流側に位置し、第2エアー口22は、走行体の走行方向Aに対して吐出ノズル1の下流側に位置している。
【0041】
本実施形態に係るノズル装置100は、吐出ノズル1から走行体に対して薬液を付与するために用いられる。
例えば、走行体が走行方向Aに走行する場合、走行体の所定位置には、最初に第1エアー口12から空気が吹付けられ、次に吐出ノズル1から薬液が付与され、最後に第2エアー口22から空気が吹付けられる。
【0042】
上記ノズル装置100においては、吐出ノズル1から薬液が吐出されると同時に、第1エアー口12及び第2エアー口22から空気が吹付けられるので、走行により生じる随伴流による薬液の飛散が抑制される。
すなわち、第1エアー口12及び第2エアー口22から吹付けられる空気が、随伴流と薬液の間に吹付けられるので、薬液が随伴流により巻き上げられるという事態が抑制される。
このため、上記ノズル装置100によれば、確実に薬液が走行体に吹き付けられる。
【0043】
上記吐出ノズル1は、半球状の形態を有しており、上部にはスリット3が設けられている。
かかるスリット3は、走行方向Aに対して垂直な方向に延びるライン状の形態を有している。
【0044】
このため、上記吐出ノズル1から吐出される薬液は、走行体に対して扇状(末広がりに)に吐出されることになる。
したがって、この場合、一度に薬液を付与できる面積が増大するため、ノズル装置100の数を減らすことができる。
また、ノズル装置100を走行体に対して垂直方向に移動させながら薬液を吐出する場合であっても、一度に薬液を付与できる面積が広いため、ノズル装置100を比較的低速度で移動させることができる。
【0045】
このとき、吐出ノズル1のスリット3から吐出された薬液の幅よりも、第1エアー口12及び第2エアー口22から吹付けられた空気の幅のほうが大きくなっている。
このため、上記ノズル装置100においては、随伴流による薬液の飛散がより確実に抑制される。
【0046】
上記吐出ノズル1は直方体状のノズル本体2の上面の略中央に設けられている。
ノズル本体2は、両端にノズル本体2を固定するためのアーム部5a,5bが接続されている。
上記ノズル本体2及びアーム部5a,5bの内部には吐出ノズル1に薬液を送流するための供給管が設けられている。
なお、かかる供給管については後述する。
【0047】
本実施形態に係るノズル装置100においては、上記第1エアー本体10と上記第2エアー本体20とが一体となっている。
すなわち、第1エアー本体10と第2エアー本体20とを形成する壁面部15は、断面コの字状の形態を有しており、ノズル本体2の側面に沿って下方から取り付けられる。
上記壁面部15は、ノズル本体2と別体となっているので、ノズル本体2から容易に着脱することが可能である。
【0048】
上記ノズル装置100において、上記壁面部15をノズル本体2に取り付けることにより、第1エアー本体10の上面に第1エアー口12が形成され、第2エアー本体20の上面に第2エアー口22が形成される。
したがって、上記ノズル装置100は、所定の箇所から空気を供給することにより、第1エアー口12及び第2エアー口22から同程度の強さの空気が吹付けられる。
なお、かかる空気の供給については後述する。
【0049】
図2は、図1に示すノズル装置を、走行体の走行方向に対して上流側からみた正面図である。
図2に示すように、本実施形態に係るノズル装置100において、第1エアー本体10は、内部に空気が通過する第1内部空間11が形成されている。
この第1内部空間11は直方体状となっており、吹付け側が絞られた形状となっていないので、下部から供給された空気がそのまま上方に吹付けられるようになっている。
このため、より多くの空気が広範囲に吹付けられる。
【0050】
なお、上記第1エアー口12は、第1内部空間11の上方が開放されることにより第1エアー本体10の上面に設けられている。
【0051】
また、上記第1エアー本体10には、第1内部空間11が外気に開放された貫通孔18がその側面に設けられている。
この場合、第1内部空間11に貫通孔から外気を取り込んだ状態で第1エアー口12から空気が吹付けられるので、空気の吹付け力が向上する。
【0052】
なお、図示しないが第2エアー本体20も同様な構造となっている。
すなわち、第2エアー本体20は、内部に空気が通過する直方体状の第2内部空間が形成されている。
また、第2エアー口22は、第2内部空間の上方が開放されることにより第2エアー本体20の上面に設けられている。
さらに、第2エアー本体20には、第2内部空間が外気に開放された貫通孔が第1エアー本体20の側面に設けられている。
【0053】
上記ノズル装置100において、第1エアー本体10には、第1内部空間11が外気に開放された貫通孔18が設けられており、第2エアー本体20には、第2内部空間が外気に開放された貫通孔が設けられているので、第1エアー口12及び第2エアー口22から空気が吹き付けられる際に、第1内部空間11及び第2内部空間が負圧になり、吐出ノズルから吐出された薬剤の一部を吸引するという事態が生じるのを抑制できる。
【0054】
ここで、第1内部空間11及び第2内部空間が負圧になり、吐出ノズルから吐出された薬剤の一部を吸引するメカニズムについて説明する。
図3は、第1内部空間が負圧になり、吐出ノズルから吐出された薬剤の一部を吸引するメカニズムについて説明するための説明図である。
図3に示すように、本実施形態に係るノズル装置100においては、空気供給口16から供給された空気は、第1内部空間11を通過して第1エアー口12から吹付けられる。
このとき、第1エアー口12が第1内部空間11の上方が開放されることにより設けられているので、空気はより広範囲に吹付けられるという利点を有するが、空気供給口16から直進する空気以外の領域、例えば、第1エアー口12の両端においては空気圧が弱くなるという欠点を有する。
【0055】
また、第1エアー口12において、略中心部分から吹付けられる空気は、第1内部空間11の空気と共に放出される。
そうすると、第1内部空間11の空気が不足するので、結果として第1内部空間11が負圧となる。
【0056】
そして、上述したように第1エアー口12の両端は空気圧が弱いため、吹付けられる空気の空気圧よりも、第1内部空間11の負圧のほうが大きくなった場合、外部の空気(散乱した薬液等)が第1エアー口12の両端から吸引されることになる。
【0057】
本実施形態に係るノズル装置100は、上述したように貫通孔18が設けられているので、長期間用いた場合であっても、第1エアー口12及び第2エアー口22のノズル口に固形物が付着するのが抑制され、第1エアー本体10及び/又は第2エアー本体20は貫通孔18から外気を取り込んだ状態で空気を吹付けるので、空気の吹付け力が向上する。
【0058】
また、上記ノズル装置100においては、貫通孔18は、内部空間11に空気が供給される空気供給口16を挟むように第1エアー本体10に2つ設けられている。
ここで、第1エアー本体に貫通孔を設けた場合の効果について説明する。
【0059】
図4の(a)及び(b)は、第1エアー本体に貫通孔を設けた場合の効果を説明するための説明図である。
図4の(a)に示すように、貫通孔18が1つである場合、貫通孔18が内部空間11aの負圧を抑制するので、飛散した薬液Yを吸引して第1エアー本体10aのエアー孔12aに付着することが抑制される。ところが、この場合、薬液Yの吸引の影響で空気の吹付けがX方向に曲がってしまう。
【0060】
一方、図4の(b)に示すように、貫通孔18が2つである場合、上述したことと同様に、貫通孔18が内部空間11の負圧を抑制するので、飛散した薬液Yを吸引して第1エアー本体10のエアー孔12に付着することが抑制される。
さらに、この場合、薬液Yの吸引がエアー孔12の両側から均等に行われるので、空気の吹付け方向は略真直ぐに維持される。
【0061】
したがって、第1エアー本体に設けられる貫通孔の数は、少なくとも、空気供給口16を挟む位置に対称的に2つ以上あることが好ましい。
【0062】
図5は、図1に示すノズル装置のI−I線断面図である。
図5に示すように、上記ノズル装置100のノズル本体2において、アーム部5aにはノズル本体2に薬液を供給するための薬液供給管8aが接続されており、アーム部5bには上記薬液を吐出させる空気を供給するための吐出空気供給管8bが接続されている。
一方、上記壁面部15の下端には、第1ノズル孔12及び第2ノズル孔22から吹付けられる空気を供給するための吹付空気供給管7が接続されている。
【0063】
本実施形態に係るノズル装置100において、アーム部5aの内部には、薬液流路S1が形成されており、アーム部5bの内部には、吐出空気流路S2が形成されている。
【0064】
薬液供給管8aから供給された薬液は薬液供給管8aの内部を流通し、薬液供給管8aに連通した薬液流路S1に送流される。
そして、薬液は薬液流路S1からノズル本体2に送流される。
一方、吐出空気供給管8bから供給された空気は吐出空気供給管8bの内部を流通し、吐出空気供給管8bに連通した吐出空気流路S2に送流される。
そして、空気は吐出空気流路S2からノズル本体2に送流される。
【0065】
ノズル本体2に送流された薬液と空気とは、吐出ノズル1内において混合されると共に、スリット3から吐出される。
換言すると、上記ノズル装置100においては、吐出ノズル1に薬液が供給されると同時に空気が供給されることにより、薬液が吐出される。
このとき、吐出される薬液は吐出される空気の勢いによって加速される。
【0066】
図6は、図2に示すノズル装置のII−II線断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係るノズル装置100において、吹付空気供給管7から供給された空気は、吹付空気供給管7に連通した壁面部15の内部の吹付空気流路S3に空気供給口16から送流される。
【0067】
そして、送流された空気は、壁面部15の内部において、二股に別れ、第1内部空間11及び第2内部空間21それぞれに送流される。
送流された空気は、上面に形成された第1エアー口12及び第2エアー口22から走行体に吹付けられる。
なお、このとき上記第1エアー口12及び第2エアー口22には、貫通孔18からも空気が供給される。
【0068】
本実施形態に係るノズル装置100は、走行体に対して、所定の角度を有するように配置される。
換言すると、上記ノズル装置100から吐出される薬液は、上記走行体に対して所定の角度を有した状態で付与される。
【0069】
図7は、本実施形態に係るノズル装置から吐出される薬液と走行体との角度を説明するための説明図である。
図7に示すように、本実施形態に係るノズル装置100において、走行体の走行方向Aと吐出ノズル1における薬液の吐出方向Dとのなす角度θは30〜135度であり、30〜90度であることが好ましく、30〜60度であることがより好ましい。
【0070】
走行体の走行方向Aと吐出ノズル1における薬液の吐出方向Dとのなす角度θが30度未満であると、吐出された薬液を走行体に十分に付与できない傾向にあり、角度θが90度を超えると、角度θが上記範囲にある場合と比較して、随伴流により吐出された薬液が巻上げられ、飛散しやすくなる傾向にある。
【0071】
上記ノズル装置100においては、第1エアー口12から吹付けられる空気が走行体の走行により生じる随伴流と吐出ノズル1から吐出される薬液との間に吹付けられることになる。
このため、随伴流による薬液の巻き上げが抑制される。
【0072】
一方、第1エアー口12から吹付けられる空気と、吐出ノズル1から吐出される薬液との間に発生する僅かな随伴流は、第1エアー口12によっては抑制されない。
そのため、その随伴流が吐出ノズル1から吐出される薬液を巻き上げることになる。
ところが、上記ノズル装置100においては、第2エアー口22から吹付けられる空気がその巻上げを抑制する。
【0073】
上記ノズル装置100において、吐出ノズル1の先端から、薬液の吐出方向Dと走行体との交点までの距離Lが30〜120mmであることが好ましい。
この場合、超高速の抄紙機等においても走行体に対して薬液をより確実に付与することができ、薬液の飛散もより十分に抑制できる。
【0074】
本実施形態に係るノズル装置100において、薬液が湿潤紙力剤、洗浄剤、ピッチコントロール剤、汚染防止剤又は離型剤を含むことが好ましい。
この場合、薬液を走行体に確実に付与することができ、薬液が付与された走行体は、付与される薬液に基づく機能を確実に発揮することができる。
【0075】
また、上記薬液の粘度が500cps以下であることが好ましく、1〜200cpsであることがより好ましい。
この場合、薬液を確実に走行体に付与することができると共に、薬液の飛散も十分に抑制できる。
なお、たとえ、薬液が飛散した場合であっても、薬液が再付着しノズル口に固形物が付着するのが抑制され、ノズル口が詰まるという自体も確実に抑制できる。
【0076】
以上より、本実施形態に係るノズル装置100によれば、エアー孔が固形物によって詰まるのを抑制し、超高速の抄紙機等においても走行体に対して薬液を確実に付与することができると共に、薬液の飛散も十分に抑制できる。
【0077】
次に本実施形態に係るノズル装置100を用いる薬液の付与方法について説明する。
図8は、本実施形態に係るノズル装置を抄紙機に用いた例を模式的に示す斜視図である。
図8に示すように、抄紙機50は、回動可能なドラム45を有し、当該ドラム45には走行体40が配置されている。
そして、上記ドラム45の回動に基づいて、走行体40が矢印Aの方向に走行するようになっている。
【0078】
上記ドラム45の上方には走査手段30が取り付けられている。
この走査手段30には、当該走査手段30の長さ方向に向かって往復走査する駆動装置43が取付けられており、かかる駆動装置43には上述したノズル装置100が走行体40に向かって薬液が吐出できるように取付けられている。
なお、このときノズル装置100は、吐出される薬液が上記走行体40に十分に付与されるように走行体40の走行方向Aと薬液の吐出方向との角度を調整して取付けられている。
【0079】
そして、走行体40を走行方向Aに向かって走行させながら、駆動装置43と共にノズル装置100を往復走査させ、ノズル装置100から薬液を走行体40に向かって吐出させることにより、走行体30に薬液が付与される。
このとき、ノズル装置100の吐出ノズルから薬液が付与されると共に第1及び第2エアー口により空気が吹付けられる。
【0080】
本実施形態に係る薬液の付与方法は、上述したノズル装置100を用いるので、エアー孔が固形物によって詰まるのを抑制できる。
また、上記薬液の付与方法は、吐出ノズルにより薬液が付与されると同時に第1エアー口及び第2エアー口により空気が吹付けられるので、超高速の抄紙機等においても走行体に対して薬液を確実に付与することができると共に、薬液の飛散も十分に抑制できる。
【0081】
また、上記薬液の付与方法は、抄紙機50に走査手段30が取り付けられており、上述したノズル装置100が走査手段30により往復走査されるので、ノズル装置100の数が1つであっても確実に薬液を走行体40に付与できる。
なお、ノズル装置100の数が1つであると、メンテナンスが容易であり、コスト面でも有利である。
【0082】
上記走行体40としては、紙体、ワイヤ、フェルト、ドライヤーロール、カレンダーロール、紙体を乾燥するためのカンバス、カンバスロール等が挙げられる。
これらの中でも、紙体、カンバス、ドライヤーロール、カレンダーロール又はカンバスロールに用いることが好ましい。
一般に、抄紙機における紙体、カンバス、ドライヤーロール、カレンダーロール又はカンバスロールは高速で走行し、汚れ、ピッチ、紙のほつれ等が生じやすいことから、これらを効果的に防止できる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0084】
例えば、上記実施形態に係るノズル装置100においては、貫通孔18の位置が壁面部15の側面に2つ設けられているが、これに限定されるものではない。
【0085】
図9の(a)(b)及び(c)は、第1エアー本体の側面に設けられる貫通孔の例を示す図である。
本実施形態に係るノズル装置100においては、第1エアー本体10の側面に2つの貫通孔18が設けられているが、図9の(a)に示すように、第1エアー本体10の側面に4つの貫通孔18が設けられていてもよく、図9の(b)に示すように、第1エアー本体10の側面に6つの貫通孔18が設けられていてもよく、図9の(c)に示すように、第1エアー本体10の側面に8つの貫通孔18が設けられていてもよい。
なお、第2エアー本体20についても同様である。
ただし、図9の(a)〜(c)に示すように、貫通孔18は左右対称となる位置に設けることが好ましい。
【0086】
図10の(a)及び(b)は、壁面部の底面に設けられる貫通孔の例を示す図である。
なお、図10に示す壁面部15の左側の貫通孔18が第1内部空間に連通しており、右側の貫通孔18が第2内部空間に連通している。
図10の(a)に示すように、壁面部15の底面に4つの貫通孔18が設けられていてもよく、図10の(b)に示すように、壁面部15の底面に8つの貫通孔18が設けられていてもよい。
ただし、図10の(a)及び(b)に示すように、貫通孔18は左右対称となり、かつ前後対称となる位置に設けることが好ましい。
【0087】
上記実施形態におけるノズル装置100においては、吐出ノズル1のノズル口がスリット状となっているが、ラウンド状であってもよい。
【0088】
上記実施形態におけるノズル装置100においては、吐出ノズル1と、第1エアー口12及び第2エアー口22とが走行方向Aに対して一列に配置されているが、必ずしも一列である必要はない。
【0089】
上記実施形態におけるノズル装置100は、ノズル本体2と、壁面部15とが別体となっているが、一体となっていてもよい。
また、第1エアー本体10と第2エアー本体20とが別体となっていてもよい。
【0090】
上記実施形態におけるノズル装置100において、吐出ノズル1は半球状の形態を有しているが、四角状や三角状等であってもよく、かかる形態は特に限定されない。
【0091】
上記実施形態に係るノズル装置100は、抄紙機以外にも、食品加工や繊維加工等に用いることができる。
【0092】
また、上述した本実施形態に係るノズル装置100を抄紙機50に用いた例においては、ノズル装置100が1つ抄紙機50に取付けられているが、ノズル装置100が抄紙機に複数取付けられていてもよい。
【0093】
図11は、本実施形態に係るノズル装置を抄紙機に用いた他の例を概略的に示す斜視図である。
図11に示すように、抄紙機には、走査手段30に当該走査手段30の長さ方向に向かって往復走査する駆動装置43が複数取付けられており、それぞれの駆動装置43にノズル装置100が走行体40に向かって薬液が吐出されるように取付けられていてもよい。
【0094】
図12は、本実施形態に係るノズル装置を抄紙機に用いた他の例を概略的に示す上面図である。
図12に示すように、複数のノズル装置100が所定の本体70に取付けられていてもよい。
すなわち、これを抄紙機に用いた場合、本体70に取付けられた複数のノズル装置100から同時に薬液が吐出されるため、ノズル装置100の往復走査は不要である。
なお、本体70には、図示しない吹付空気供給管、薬液供給管、及び吐出空気供給管が内蔵されている。
また、図示しない走行体は矢印Aの方向に走行する(走行方向)。
【実施例】
【0095】
以下、本発明のノズル装置を使った実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0096】
(実施例1〜8)
第1エアー本体及び第2エアー本体にそれぞれ下記表1に示す個数の貫通孔を設けたノズル装置を製造した。
なお、貫通孔の位置は側面については図9、底面について図10に示す位置とした。
【0097】
〔表1〕

【0098】
[ノズル装置の評価方法]
(薬液の付着性)
実施例1及び比較例1のノズル装置を用い、薬液としてダスクリーンR409S(離型剤、粘度3cps、株式会社メンテック社製)を用い、以下の条件下で連続吐出した。
2週間後のノズル装置の写真を図13に示す。
なお、図13の(a)が実施例1のノズル装置であり、(b)が比較例1のノズル装置である。
【0099】
(吹付け力)
図14に示すように、実施例1〜8及び比較例1で得られたノズル装置をエアー孔が下に向くように配置し、ノズル装置の10cm下方に量り80を配置した。
そして、ブロー圧が0.3MPaとなるように空気を吹付け、その時の量りの目盛りを測定した。
得られた結果を表2に示す。
なお、表2の値は比較例1のノズル装置で得られた値を1とした場合の相対値である。
【0100】
〔表2〕

【0101】
図13より、本発明に係るノズル装置を用いた実施例1は、本発明によらない比較例1と比較して、十分に薬液の付着を抑制できることが確認された。
また、表2より、本発明に係るノズル装置を用いた実施例1〜8は、本発明によらない比較例1と比較して、格段に吹付け力が向上していることがわかった。
【0102】
以上の結果より、本発明のノズル装置によれば、第1及び第2エアー本体が固形物によって詰まるのを抑制し、超高速の抄紙機等においても走行体に対して薬液を確実に付与することができると共に、薬液の飛散も十分に抑制できることが確認された。
【0103】
[薬液の評価方法]
(薬液の付着性)
WS4052(湿潤紙力剤、粘度500cps、PMC社製)を準備し、水又は増粘剤で粘度を、10,100,200,400,500,600,1000(cps)に調整し薬液とした。
これらを実施例1のノズル装置にセットし、2週間又は5週間連続吐出させ、ノズル装置の状態を目視にて評価した。
かかる評価は、ノズル装置に固形物の付着がないものを○、ノズル装置に固形物の付着が僅かに認められるものを△、ノズル装置に固形物の付着が多く認められるものを×とした。
得られた結果を表3に示す。
【0104】
〔表3〕

【0105】
表3の結果より、薬液の粘度が500cps以下であると、薬液を確実に走行体に付与することができると共に、薬液が再付着しノズル口に固形物が付着するのが確実に抑制できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、本実施形態に係るノズル装置を示す上面図である。
【図2】図2は、図1に示すノズル装置を、走行体の走行方向に対して上流側からみた正面図である。
【図3】図3は、第1内部空間が負圧になり、吐出ノズルから吐出された薬剤の一部を吸引するメカニズムについて説明するための説明図である。
【図4】図4の(a)及び(b)は、第1エアー本体に貫通孔を設けた場合の効果を説明するための説明図である。
【図5】図5は、図1に示すノズル装置のI−I線断面図である。
【図6】図6は、図2に示すノズル装置のII−II線断面図である。
【図7】図7は、本実施形態に係るノズル装置から吐出される薬液と走行体との角度を説明するための説明図である。
【図8】図8は、本実施形態に係るノズル装置を抄紙機に用いた例を模式的に示す斜視図である。
【図9】図9の(a)(b)及び(c)は、第1エアー本体の側面に設けられる貫通孔の例を示す図である。
【図10】図10の(a)及び(b)は、壁面部の底面に設けられる貫通孔の例を示す図である。
【図11】図11は、本実施形態に係るノズル装置を抄紙機に用いた他の例を概略的に示す斜視図である。
【図12】図12は、本実施形態に係るノズル装置を抄紙機に用いた他の例を概略的に示す上面図である。
【図13】図13の(a)は、実施例1の薬液の付着性評価の結果を示す図であり、(b)は、比較例1の薬液の付着性評価の結果を示す図である。
【図14】図14は、実施例の吹付け力評価の試験方法を示す図である。
【符号の説明】
【0107】
1・・・吐出ノズル
2・・・ノズル本体
3・・・スリット
5a,5b・・・アーム部
7・・・吹付空気供給管
8a・・・薬液供給管
8b・・・吐出空気供給管
10・・・第1エアー本体
11・・・第1内部空間
12・・・第1エアー口
15,15a・・・壁面部
16・・・空気供給口
18・・・貫通孔
20・・・第2エアー本体
21・・・第2内部空間
22・・・第2エアー口
30・・・走査手段
40・・・走行体
43・・・駆動装置
45・・・ドラム
50・・・抄紙機
70・・・本体
80・・・量り
100・・・ノズル装置
A・・・走行方向
D・・・吐出方向
L・・・距離
S1・・・薬液流路
S2・・・吐出空気流路
S3・・・吹付空気流路
X・・・方向
Y・・・薬液
θ・・・角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体に対して薬液を付与するためのノズル装置であって、
ノズル本体と、
前記ノズル本体の上面に設けられ、前記薬液を吐出可能な吐出ノズルと、
前記ノズル本体の一方の側面に設けられ、空気が通過する第1内部空間を有する第1エアー本体と、
前記第1内部空間の上方が開放されることにより、前記第1エアー本体の上面に設けられた第1エアー口と、
前記ノズル本体の他方の側面に設けられ、空気が通過する第2内部空間を有する第2エアー本体と、
前記第2内部空間の上方が開放されることにより、前記第2エアー本体の上面に設けられた第2エアー口と、
を備え、
前記第1エアー口及び前記第2エアー口が前記空気を吹付け可能となっており、
前記第1エアー本体には、前記第1内部空間が外気に開放された貫通孔が設けられ、
前記第2エアー本体には、前記第2内部空間が外気に開放された貫通孔が設けられていることを特徴とするノズル装置。
【請求項2】
前記第1エアー本体及び前記第2エアー本体それぞれの側面及び/又は底面に前記貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載のノズル装置。
【請求項3】
前記吐出ノズル、前記第1エアー口及び前記第2エアー口が前記走行体の走行方向に沿って配列されており、
前記吐出ノズルから吐出された薬液の前記走行方向とは垂直方向の幅よりも、前記第1エアー口及び前記第2エアー口から吹付けられた空気の前記走行方向とは垂直方向の幅のほうが大きくなっていることを特徴とする請求項1記載のノズル装置。
【請求項4】
前記第1エアー本体と前記第2エアー本体とが一体となっていることを特徴とする請求項1記載のノズル装置。
【請求項5】
前記走行体の走行方向と前記吐出ノズルから吐出される前記薬液の吐出方向とのなす角度が30〜135度であることを特徴とする請求項1記載のノズル装置。
【請求項6】
前記吐出ノズルのノズル口がスリット状となっていることを特徴とする請求項1記載のノズル装置。
【請求項7】
前記薬液が湿潤紙力剤、洗浄剤、ピッチコントロール剤、汚染防止剤又は離型剤を含むことを特徴とする請求項1記載のノズル装置。
【請求項8】
前記走行体が紙体、カンバス、ドライヤーロール、カレンダーロール又はカンバスロールであることを特徴とする請求項1記載のノズル装置。
【請求項9】
抄紙機に請求項1〜8のいずれか一項に記載のノズル装置が取り付けられており、該ノズル装置を用いて薬液を付与する付与方法であって、
前記抄紙機に備えられた、紙体、カンバス、ドライヤーロール、カレンダーロール又はカンバスロールに対して、吐出ノズルにより薬液が付与されると同時に第1エアー口及び第2エアー口から空気が吹付けられることを特徴とする薬液の付与方法。
【請求項10】
前記抄紙機には走査手段が取り付けられており、
前記ノズル装置が前記走査手段により往復走査されることを特徴とする請求項9記載の薬液の付与方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のノズル装置を用いて付与され、
湿潤紙力剤、洗浄剤、ピッチコントロール剤、汚染防止剤又は離型剤であることを特徴とする薬液。
【請求項12】
粘度が500cps以下であることを特徴とする請求項11記載の薬液。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−290023(P2008−290023A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139400(P2007−139400)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(594020802)株式会社メンテック (7)
【Fターム(参考)】