説明

ノズル装置

【課題】噴射された液体が充分に正確な幕状となるようにするノズル装置を提供すること。
【解決手段】液体Wが供給される供給パイプ1の下部の長さ方向に液体Wが幕状に噴射されるスリット形のノズル口5が設けられている。供給パイプ1とノズル口5との間に、スリット形の補助ノズル口3が設けられている。ノズル口5と補助ノズル口3との間に、補助ノズル口3から噴射された液体Wを集合させる液体集合部4が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を幕状に噴射するノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、各種機器の洗浄の分野において、洗浄液である液体の噴射を幕状にすることで、洗浄対象である各種機器の構造によっては洗浄機能が飛躍的に高められることが認識されるようになってきている。この結果、液体を正確に幕状に噴射する技術の開発が要望されるようになってきている。
【0003】
従来、液体を正確に幕状に噴射することを指向した技術としては、例えば、以下に記載のものが知られている。
【0004】
特許文献1には、液体が供給される供給パイプの下部の長さ方向に液体が幕状に噴射されるスリット形のノズル口が設けられ、供給パイプの内部にノズル口に対面するように邪魔板を設けたノズル装置が記載されている。
【0005】
特許文献1に係るノズル装置は、供給パイプに供給されて供給方向に付勢されている液体を邪魔板で分散してノズル口に均等に送り込むことで、液体を正確に幕状に噴射するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−237773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に係るノズル装置では、ノズル口を噴射方向に長さが確保された薄溝筒形としているものの、ノズル口から噴射される液体の一部が飛散してしまうため、噴射された液体が充分に正確な幕状にならないという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、噴射された液体が充分に正確な幕状となるノズル装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明に係るノズル装置は、特許請求の範囲の各請求項に記載の手段を採用する。
【0010】
即ち、請求項1では、液体が供給される供給パイプの下部に、該供給パイプの長さ方向に前記液体を幕状に噴射させるスリット形のノズル口を備えたノズル装置において、
前記供給パイプと前記ノズル口との間にスリット形の補助ノズル口が設けられ、前記ノズル口と該補助ノズル口との間に該補助ノズル口から噴射された液体を集合させる液体集合部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
この手段では、補助ノズル口から幕状に噴射された液体と飛散した液体とを一旦液体集合部で集合させてからノズル口から噴射させることで、補助ノズル口で噴射方向に付勢された液体をさらにノズル口に向けて集合させて整流する。
【0012】
また、請求項2では、請求項1のノズル装置において、液体集合部は断面形状がノズル口に向けて幅狭となるテーパ形であることを特徴とする。
【0013】
この手段では、液体をテーパ形に沿って無理なくノズル口に向けて集合させる。
【0014】
また、請求項3では、請求項1または2のノズル装置において、供給パイプは角筒形であることを特徴とする。
【0015】
この手段では、供給パイプに供給された液体の旋回等の無用な流れが起きるのを防止する。
【0016】
また、請求項4では、請求項3のノズル装置において、供給パイプは上面が一方の端面側から他方の端面側に向けて下降傾斜された4角筒形とされて一方の端面に液体の供給源に接続される円筒形の接続口が設けられ、接続口は軸中心線が供給パイプの長さ方向の中央線が供給パイプの上面を通る点で交差する位置に設定されていることを特徴とする。
【0017】
この手段では、供給パイプの一端のみから液体が供給され、液体の供給圧力の減少する供給パイプの他端側に向けて上面の傾斜で容積が低減されるとともに、接続口が供給パイプの上面に中央付近に向けられることで、供給された液体が供給パイプの内部で均等に分散される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るノズル装置は、補助ノズル口から幕状に噴射された液体と飛散した液体とを一旦液体集合部で集合させてからノズル口から噴射させることで、補助ノズル口で噴射方向に付勢された液体をさらにノズル口に向けて集合させて整流するため、噴射された液体を充分に正確な幕状とすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るノズル装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1の要部の拡大平面図である。
【図3】本発明に係るノズル装置の構成を示す側面図である。
【図4】ノズル装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るノズル装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るノズル装置の構成を示す断面図である。図2は、図1の要部の拡大平面図である。この図2において、供給パイプ1の底面に形成された補助ノズル口3を示している。図3は、本発明に係るノズル装置の構成を示す側面図である。図4は、ノズル装置の構成を示す斜視図である。この図4において、ノズル装置と、整列されて水平方向に搬送される食器Dとの位置関係も示している。
【0021】
この形態では、整列されて水平方向に搬送される食器Dに対して上方から洗浄液Wを噴射する食器洗浄装置に備えられるものを示してある。
【0022】
図1〜図4に示すように、本発明に係るノズル装置は、耐腐食性を有するステンレス材等で形成された供給パイプ1と、供給パイプ1の一端に設けられた接続口2と、供給パイプ1の底面に形成された補助ノズル口3と、供給パイプ1の下に設けられた液体集合部4と、液体集合部4の下に設けられたノズル口5とから構成されている。
【0023】
供給パイプ1は、接続口2から内部に洗浄液Wが供給されるもので、長方形の上面11,下面12と台形の側面13,14と長方形の端面15,16とで囲まれた4角錐筒形に形成され、上面11が一方の端面15側から他方の端面16側に向けて下降傾斜されている。端面15には、接続口2が設けられる。下面12には、補助ノズル口3が設けられる。ここで、上面11、および側面13,14は、1枚の板から板金加工により一体に形成され、側面13,14は、溶接(またはネジ止め)により下面12に接続されている。なお、上面11、および側面13,14は、それぞれの形状に形成され、溶接により接続されるようにしてもよい。
また、供給パイプ1は、食器Dの搬送方向に直交する幅方向に水平に配置される(図4参照)。
【0024】
接続口2は、洗浄液Wの供給源から配設された管またはチューブ等を接続するためのもので、短円筒形に形成されて供給パイプ1の一方の端面15の外側に取付けられている。この接続口2は、軸中心線Xが供給パイプ1の長さ方向の中央線Yが上面11を通る点で交差する位置に設定されている。即ち、接続口2の中心の高さは、供給パイプ1の長さ方向の中央線Yと上面11と交差する点と同じ高さにある(図3参照)。これにより、供給パイプ1中に洗浄液Wが均等に供給され、供給パイプ1の内部で旋回等の無用な流れが起きるのを防止することが可能である。
【0025】
補助ノズル口3は、供給パイプ1に供給された洗浄液Wを液体集合部4に導入するためのもので、供給パイプ1の下面12の幅方向の中央部に長さ方向に沿ってスリット形に切抜き形成されている。この補助ノズル口3については、スリット幅aを下方に位置するノズル口5のスリット幅bよりも大きくすることで、供給パイプ1の内部での洗浄液Wの滞溜,還流の形成を避けることができる。なお、図2に詳細に示すように、補助ノズル口3の形成の際に供給パイプ1の下面12に一定間隔で未切抜き部17を設けることで、補助ノズル口3が洗浄液Wの通過圧力で振動して異音を発生するのを防止することができる。
【0026】
液体集合部4は、補助ノズル口3から噴射された洗浄液Wを集合させるもので、供給パイプ1の下面12に取付けられた長方形の側板41,42と3角形の端板43,44とで囲まれた3角筒形に形成されている。側板41,42は、補助ノズル口3に向けて幅広となりノズル口5に向けて幅狭となるテーパ形を形成している(図1参照)。この液体集合部4の上端は、供給パイプ1の下面12の幅より小さく形成されている。また、側板41,42の上端に板金加工により水平方向に折り曲げ部を形成し、この折り曲げ部を、供給パイプ1の下面12に接続される。これにより、液体集合部4が強固に取り付けられる。
【0027】
ノズル口5は、液体集合部4に集合された洗浄液Wを食器Dに向けて噴射するもので、液体集合部4の下部に取付けられた長方形の側板51,52と所定間隔に設けられた小片形のスペーサ53とでスリット形に形成されている。この例において、側板51,52の長さ方向の両端部と中央部にスペーサ53が設けられている。スペーサ53は、側板51,52の長さ方向の両端部と中央部とに挟み込まれて洗浄液Wが通過する精密な隙間を形成している(図1,図3参照)。このノズル口5は、特許文献1に係るノズル装置のノズル口と同様に、薄溝筒形に形成されて噴射方向にある程度の長さcが確保されている(図1参照)。また、例において、側板51,52が下端(排出口)において、それぞれ外側へ水平方向に折り曲げ部を設け、即ち、側板51,52がL字形に形成される。これにより、ノズル口5から噴射される洗浄液Wの周辺への飛散を抑えることができる。
【0028】
この形態によると、洗浄液Wは、接続口2から供給パイプ1の内部に供給され、4角錐筒形の供給パイプ1の内部で旋回等の無用な流れが起きるのを防止されながら容積の減少で供給圧力を一定に保持される。洗浄液Wの供給圧力の保持には、本発明者の実験によれば、前述の接続口2の取付けの位置が最も有効であることが確認されている。
【0029】
供給パイプ1に供給され内部で一定の供給圧力で均等に分散された洗浄液Wは、スリット形の補助ノズル口3から幕状に噴射される。即ち、供給パイプ1の内部で供給方向に付勢されている洗浄液Wを最終的な噴射方向であるノズル口5の方向へ方向変換する。
【0030】
補助ノズル口3から幕状に噴射された大部分の洗浄液Wと一部の飛散した洗浄液Wとは、液体集合部4の内部で集合される。このとき、液体集合部4がテーパ形になっているため、洗浄液Wの集合が強制されるとともに集合された洗浄液Wが加圧される。
【0031】
液体集合部4で集合された洗浄液Wは、ノズル口5から幕状に噴射される。このとき、噴射される洗浄液Wは、補助ノズル口3によって噴射方向に付勢され液体集合部4によって確実に集合されて加圧されているため、正確な幕状を形成することになる。
【0032】
以上、図示した形態の外に、供給パイプ1を4角錐筒形以外の角筒形とすることも可能である。
【0033】
さらに、接続口2を供給パイプ1に複数個取付けることも可能である。また、接続口2を供給パイプ1の他の箇所に取付けることも可能である。
【0034】
さらに、補助ノズル口3は、供給パイプ1の下面12の幅方向に複数列に形成されるようにしてもよい。
【0035】
〔その他の実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含まれるものである。
本発明に係るノズル装置は、食器の洗浄水の噴射以外に各種の液体の噴射に広範に適用され得る。
【符号の説明】
【0036】
1 供給パイプ
11 上面
2 接続口
3 補助ノズル口
4 液体集合部
5 ノズル口
W 洗浄液(液体)
X 接続口の軸中心線
Y 供給パイプの長さ方向の中央線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が供給される供給パイプの下部に、該供給パイプの長さ方向に前記液体を幕状に噴射させるスリット形のノズル口を備えたノズル装置において、
前記供給パイプと前記ノズル口との間にスリット形の補助ノズル口が設けられ、前記ノズル口と該補助ノズル口との間に該補助ノズル口から噴射された液体を集合させる液体集合部が設けられていることを特徴とするノズル装置。
【請求項2】
前記液体集合部は断面形状が前記ノズル口に向けて幅狭となるテーパ形であることを特徴とする請求項1に記載のノズル装置。
【請求項3】
前記供給パイプは角筒形であることを特徴とする請求項1または2に記載のノズル装置。
【請求項4】
前記供給パイプは上面が一方の端面側から他方の端面側に向けて下降傾斜された4角筒形とされて一方の端面に液体の供給源に接続される円筒形の接続口が設けられ、接続口は軸中心線が供給パイプの長さ方向の中央線が供給パイプの上面を通る点で交差する位置に設定されていることを特徴とする請求項3に記載のノズル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−167396(P2010−167396A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14662(P2009−14662)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000231888)日本調理機株式会社 (14)
【Fターム(参考)】