説明

ノズル調整工具

【課題】略円錐形状のノズルを安定して保持し、ノズルに対し簡単に着脱できるノズル調整工具を提供する。
【解決手段】略円錐形状の噴射ノズル11に着脱されるノズル調整工具100であって、前記噴射ノズル11は、噴射方向に向かって、上流部と、噴射口部と、を具備し、前記ノズル調整工具100は、前記上流部を把持する第1部材110と、前記噴射口部を把持する第2部材120と、を具備し、前記第1部材110は、前記上流部の外周側面に嵌合し、前記上流部端面を係止することで前記噴射ノズル11から離脱する向きへの動きを係止する係止部111を備え、前記第1部材110と、前記第2部材120とは、前記噴射ノズル11の同軸上を相対的に離近するように螺合され、前記第1部材110の係止部は、前記噴射ノズル11の半径方向へ変位することで該噴射ノズル11の係止を解放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル調整工具の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を噴射するノズルの技術は公知となっている。ノズルを用いて流体を吹き付けるときに、限られた範囲に吹き付ける場合には、ノズルの噴射方向を調整する必要がある。例えば、特許文献1は、ダイカスト金型への離型剤の吹き付けにおいて、レーザポインタのレーザによって仮想の噴射点を視認し、ノズルの噴射方向を調整するノズル調整工具としてのレーザポイント調整装置を開示している。
【0003】
ここで、特許文献1が開示するスプレーノズルは、円柱形状のものである。しかし、例えば切削加工時にワークに対しクーラントを噴射するクーラントノズル等は、噴射時の流速を上昇させるため、ノズル内部のノズルオリフィスが先細りに形成され、これに伴いノズル自体も略円錐形状に形成されるものが多い。
【0004】
そして、特許文献1が開示するノズル調整工具は、筒形状の取付部によってスプレーノズルに取り付けるものである。しかし、このように特許文献1に代表されるような筒形状の取付部を有するノズル調整工具を略円錐形状のノズルに取り付ける場合には、ノズル調整工具によってノズルの噴射口部しか把持できないため、安定してノズルを把持できず、正確にレーザによって仮想の噴射点を視認できない。
【0005】
また、特許文献1が開示するノズル調整工具は、ノズル調整工具をノズルに対して径方向に締め付けることによってノズルに装着し、緩めることによってノズルから脱着するものである。このとき、ノズル調整工具とノズルとの同軸性を確保するためには、作業者は強いトルクで締め付ける必要がある。一方、ノズル調整工具をノズルから脱着するときは、同様の強いトルクで緩める必要がある。
【0006】
ここで、ノズル調整工具をノズルに装着し、レーザによって仮想の噴射点を視認し、ノズル調整工具をノズルから脱着する一連の噴射方向調整作業において、作業者が強いトルクでノズル調整工具をノズルに締め付け、さらに緩める場合には、作業途中において無理な力がかかってレーザの同軸が仮想の噴射点に対してずれることもあり、正確にレーザによって仮想の噴射点を視認できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平3−37826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、略円錐形状のノズルを安定して保持し、ノズルに対し簡単に着脱できるノズル調整工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、略円錐形状の噴射ノズルに着脱されるノズル調整工具であって、前記噴射ノズルは、噴射方向に向かって、上流部と、噴射口部と、を具備し、前記ノズル調整工具は、前記上流部を把持する第1部材と、前記噴射口部を把持する第2部材と、を具備し、前記第1部材は、前記上流部の外周側面に嵌合し、前記上流部の端面を係止することで前記噴射ノズルから離脱する向きへの動きを係止する係止部を備え、前記第2部材は、前記噴射ノズルの噴射方向と同軸上に平行光を発するレーザポインタを備え、前記第1部材と、前記第2部材とは、前記噴射ノズルの同軸上を相対的に離近するように螺合され、前記第1部材の係止部は、前記噴射ノズルの半径方向へ変位することで該噴射ノズルの係止を解放するものである。
【0011】
請求項2においては、請求項1記載のノズル調整工具であって、前記第1部材を、弾性部材とし、前記第1部材の係止部は、弾性変形によって前記噴射ノズルの半径方向へ変位するものである。
【0012】
請求項3においては、請求項2記載のノズル調整工具であって、前記第2部材は、前記噴射ノズルの噴射口部の外周を把持する把持部と、前記噴射ノズルの噴射口部の噴射口に挿入される支持部と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のノズル調整工具によれば、略円錐形状のノズルを安定して保持し、ノズルに対し簡単に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る工作機械装置およびフレキシブルクーラントノズルを示す模式図。
【図2】本発明の第一実施形態であるノズル調整工具の全体構成を示す側面図。
【図3】(A)同じく第1部材の全体構成を示す正面図、(B)同じく側面断面図。
【図4】(A)同じく第2部材の全体構成を示す正面図、(B)同じく側面断面図。
【図5】同じくノズル調整工具がフレキシブルクーラントノズルに装着されている状態を示す側面断面図。
【図6】同じくノズル調整工具がフレキシブルクーラントノズルに装着されるときの手順を示す模式図。
【図7】同じくノズル調整工具がフレキシブルクーラントノズルより脱着されるときの手順を示す模式図。
【図8】(A)第二実施形態の第1部材の全体構成を示す正面図、(B)同じく側面断面図。
【図9】(A)第三実施形態の第1部材の全体構成を示す正面図、(B)同じく側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を用いて、工作機械装置5、ならびに、クーラントフレキシブルノズル10について説明する。
図1は、工作機械装置5と、上方にクーラントフレキシブルノズル10のうちの1つを拡大して示している。
【0016】
工作機械装置5は、天井シャワークーラント装置6と、刃具7と、加工冶具8と、工作機械室9と、を具備している。工作機械室9は、略密閉された筐体であって、その内部に天井シャワークーラント装置6と、刃具7と、加工冶具8と、が配置されている。天井シャワークーラント装置6は、工作機械室9の天井側に設けられ、複数(本実施形態では4本)のクーラントフレキシブルノズル10を具備している。刃具7は、工作機械室9の一側に設けられ、金属等のワークを切削加工するものである。加工冶具8は、工作機械室9の他側に設けられ、切削加工されるワークを固定する冶具である。
【0017】
このような構成とすることで、工作機械装置5は、刃具7を用いて加工冶具8に固定された金属等のワークの切削加工を行い、同時に摩擦抑制とワークの冷却のためにクーラントフレキシブルノズル10を用いてワークに対し切削油(クーラント)を噴射することができる。
【0018】
クーラントフレキシブルノズル10は、噴射ノズル11と、複数のフレキシブル部12・・・・12と、を具備している。クーラントフレキシブルノズル10は、複数のフレキシブル部12・・・・12を連接し、先端に噴射ノズル11を接続することで構成されている。噴射ノズル11は、噴射口部11Aと、中途部11Bと、上流部11Cと、上流部端面11Dと、からなる中空の略円錐形状に形成されている。また、噴射ノズル11の噴射口部11Aには、クーラントを噴射する噴射口11Pが形成されている。つまり、噴射ノズル11においては、噴射方向に向かって順に、噴射口部11A、中途部11B、上流部11C、および上流部端面11Dが順に形成されており、先端面に噴射口11Pが開口している。
【0019】
フレキシブル部12は、略球形状の凸部12Aと、略円柱体の本体12Bと、を具備し、中空形状に形成されている。
【0020】
クーラントフレキシブルノズル10は、一のフレキシブル部12の凸部12Aと、他のフレキシブル部12の本体12Bとを、それぞれ相対的に回動自在に嵌合して連接し、最も噴射方向の前側に配置されるフレキシブル部12の凸部12Aと、噴射ノズル11の上流部11Cと、を嵌合して構成されている。
【0021】
このような構成とすることで、クーラントフレキシブルノズル10は、連接するフレキシブル部12・・・・12の柔軟性を用いて噴射ノズル11の先端の向きを調整することで、クーラントの噴射方向を調整することができる。
【0022】
図2を用いて、本発明のノズル調整工具の第一実施形態であるノズル調整工具100について説明する。
図2は、クーラントフレキシブルノズル10に装着されている状態のノズル調整工具100を示している。
図2乃至図8において、矢印Aの指す向きをノズル調整工具100の軸方向の前側であってクーラントフレキシブルノズル10の噴射方向と定義し、同様に矢印Bの指す方向をノズル調整工具100の周方向と定義し、矢印Cの指す方向をノズル調整工具100の径方向と定義する。
【0023】
ノズル調整工具100は、クーラントフレキシブルノズル10の噴射ノズル11に着脱可能に装着され、クーラントフレキシブルノズル10のクーラントの噴射方向を調整する工具である。ノズル調整工具100は、第1部材110と、第2部材120と、レーザポインタ130と、を具備している。第1部材110は、円筒形状に形成され、クーラントフレキシブルノズル10に装着されている状態において、内部に噴射ノズル11を被装している。第2部材120は、円柱形状に形成され、後述するネジ部113・123の作用によって、第1部材110に対し軸方向に移動可能に螺合している。レーザポインタ130は、レーザ光線を用いて対象物等を指し示すなどのためのものであって、円柱形状に形成され、第2部材120に対して周方向および軸方向の位置を固定しつつ取り付けられている。レーザポインタ130の側面には、レーザ光線の照射・停止を切り換えるためのスイッチ131が設けられている。
【0024】
このような構成とすることで、クーラントをクーラントフレキシブルノズル10によって実際にワークに噴射する前に、クーラントフレキシブルノズル10にノズル調整工具100を装着し、レーザポインタ130のレーザ光線を用いてクーラントの仮想の噴射点を視認し、クーラントフレキシブルノズル10の噴射方向を調整し、クーラントフレキシブルノズル10からノズル調整工具100を脱着し、クーラントをクーラントフレキシブルノズル10を用いて実際にワークにクーラントを噴射することができる。
【0025】
図3を用いて、第1部材110について説明する。
図3(A)は第1部材110の正面図を示し、図3(B)は図3(A)のS1における断面図を示している。
第1部材110は略円筒状に形成されており、係止部111と、規制部112と、ネジ部113と、スリット115と、を具備している。スリット115は、第1部材110の後部を周方向へ複数に分割するように、第1部材110の後端から軸方向と平行に複数(本実施形態では4箇所)が形成されている。スリット115の長さは、後述する規制部112の長さと略同等とされている。係止部111は、第1部材110の内周側面の後端において、内周側に突起するようにして形成されている。規制部112は、第1部材110の後部における内周側面により構成されており、後述する噴射ノズル11の上流部11Cの径と略同一径の内周径となるように形成されている。ネジ部113は、第1部材110の前端側における内周側面に、後述する第2部材120のネジ部123と螺合するように形成される雌ネジ部である。
【0026】
図4を用いて、第2部材120について説明する。
図4(A)は第2部材120の正面図を示し、図4(B)は図4(A)のS2における断面図を示している。
第2部材120は略円柱状部材にて構成されており、支持部121と、把持部122と、ネジ部123と、レーザポインタ支持部124と、凹部125と、を具備している。凹部125は、第2部材120の後端面から前方へ向けて形成される円環状の凹陥部である。支持部121は、第2部材120の後端部において凹部125の半径方向内側に形成されている部分(凹部125の内側の内周側面にて囲まれた部分)であり、凹部125の底面から、第2部材120の軸芯と同芯に軸方向後側へ向けて突出している。支持部121においては、その外径が噴射ノズル11の噴射口11Pの内径よりも若干小さく形成されている。把持部122は、凹部125の外側の内周側面により構成されており、噴射ノズル11の噴射口部11Aの径と略同一となる内周径となるように形成されている。ネジ部123は、第2部材120の後端部の外周面に形成される雄ネジ部であり、上述した第1部材110のネジ部113と螺合するように形成されている。レーザポインタ支持部124は、第2部材120の先端部に形成される凹陥部であり、レーザポインタ130を差し込むことで、軸方向および周方向の位置を固定した状態でレーザポインタ130を支持することが可能となっている。
【0027】
図5を用いて、ノズル調整工具100がクーラントフレキシブルノズル10に装着されている状態について説明する。
図5は、クーラントフレキシブルノズル10に装着されている状態のノズル調整工具100を示している。
ノズル調整工具100がクーラントフレキシブルノズル10に装着された状態では、第1部材110は、係止部111および規制部112によって、噴射ノズル11の上流部端面11Dおよび上流部11Cを把持している。噴射ノズル11は、噴射ノズル11の上流部端面11Dに第1部材110の係止部111が引っ掛けられることによって、ノズル調整工具100の軸方向前側への移動が規制されている。また、噴射ノズル11の上流部11Cの外周面に第1部材110の規制部112が当接することによって、径方向への移動が規制されている。
【0028】
同時に、ノズル調整工具100がクーラントフレキシブルノズル10に装着された状態では、第2部材120は、支持部121および把持部122によって、噴射ノズル11の前側としての噴射口11Pおよび噴射口部11Aを把持している。
【0029】
つまり、噴射ノズル11の噴射口11Pに支持部121が差し込まれることによって、ノズル調整工具100の径方向への移動が規制されている。また、噴射ノズル11の噴射口部11Aの外周面に、第2部材120の把持部122が当接することによって、軸方向後側への移動および径方向への移動が規制されている。
【0030】
このような構成とすることで、ノズル調整工具100は、第1部材110および第2部材120によって噴射ノズル11を複数箇所で規制しているため、安定して確実にブレなくクーラントフレキシブルノズル10を把持することができる。
【0031】
このようにして、ノズル調整工具100は、略円錐形状の噴射ノズル11を安定して同軸上に把持しているため、レーザポインタ130のレーザ光線によってクーラントの仮想の噴射点を視認するときに、レーザ光線の指し方向がずれることを防止できる。
【0032】
図6を用いて、ノズル調整工具100をクーラントフレキシブルノズル10に装着するときの手順について説明する。
図6は、図6(A)、図6(B)、図6(C)の順で、ノズル調整工具100をクーラントフレキシブルノズル10に装着されるものとして示している。
まず、図6(A)に示すように、ノズル調整工具100と、クーラントフレキシブルノズル10の噴射ノズル11と、について軸方向を略一致させ、第1部材110が噴射ノズル11を被装するように、ノズル調整工具100を噴射ノズル11に対して軸方向の後向きに移動させる(図6(A)における矢印A1)。
【0033】
このとき、規制部112の内周径と、噴射ノズル11の上流部11Cの径とは、略同一であるものの、係止部111および規制部112が形成される第1部材110の後部にはスリット115が形成され、第1部材110の規制部112が形成されている部分は弾性を有していることから、規制部112の内周径は拡大され、係止部111は噴射ノズル11の上流部11Cの外周側面を乗り越えることができる。
【0034】
そして、第1部材110の係止部111が噴射ノズル11の上流部端面11Dに引っ掛けられ、第1部材110の規制部112が噴射ノズル11の上流部11Cに当接され、噴射ノズル11の後側(上流部端面11Dおよび上流部11C)が把持される。
【0035】
次に、図6(B)に示すように、ノズル調整工具100の第1部材110によって噴射ノズル11の後側(上流部端面11Dおよび上流部11C)を把持したまま、第1部材110と第2部材120との螺合を進めて、第2部材120を第1部材110に対して軸方向の後向きに移動させることで(図6(B)における矢印A2)、第2部材120の支持部121が噴射ノズル11の噴射口11Pに挿入され、第2部材120の把持部122が噴射ノズル11の噴射口部11Aの外周側面に当接され、噴射ノズル11の前側(噴射口11Pおよび噴射口部11A)が把持される。さらに螺合を進めることで、第1部材110の係止部111が前側へ進み、噴射ノズル11の上流部端面11Dに当接する。この状態でノズル調整工具100は、強固に噴射ノズル11を前後左右にブレなく把持することができる。
【0036】
そして、図6(C)に示すように、ノズル調整工具100はクーラントフレキシブルノズル10に装着され、第1部材110および第2部材120によって噴射ノズル11が把持されている。
【0037】
このような構成することで、ノズル調整工具100を噴射ノズル11に差し込み、第1部材110と第2部材120との螺合を進める作業のみによって、ノズル調整工具100をクーラントフレキシブルノズル10に装着することができる。このとき、第1部材110のネジ部113と第2部材120のネジ部123とは平行であって、第1部材110と第2部材120との螺合を進めるには、第1部材110を移動させるだけの最小限のトルクによって螺合を進めることができ、特に強いトルクは必要とされない。
【0038】
図7を用いて、ノズル調整工具100をクーラントフレキシブルノズル10より脱着する手順について説明する。
図7は、図7(A)、図7(B)、図7(C)の順で、ノズル調整工具100をクーラントフレキシブルノズル10に脱着されるものとして示している。
まず、図7(A)に示すように、ノズル調整工具100は、クーラントフレキシブルノズル10の噴射ノズル11に装着され、第1部材110および第2部材120によって噴射ノズル11が把持されている。
【0039】
次に、図7(B)に示すように、第1部材110および第2部材120によって噴射ノズル11が把持された状態から、第1部材110と第2部材120との螺合をさらに進めることで、第1部材110を第2部材120に対し、さらに軸方向の後向きに移動させる(図7(A)における矢印A3)。この過程において、第2部材120の後端縁が噴射ノズル11の中途部11Bの外周側面に当接され、第1部材110は第2部材120に対し軸方向の移動が規制されている。
【0040】
一方、第1部材110と第2部材120との螺合を進めることは、第1部材110を第2部材120に対して軸方向の前向きに移動させることになる。そのため、所定位置Amから第1部材110と第2部材120との螺合をさらに進めても、第2部材120は後側へ移動できないため、第1部材110は弾性を有していることから径方向に広がり、係止部111が噴射ノズル11の上流部端面11Dを乗り越え、噴射ノズル11に対して軸方向の前向きに移動される(図7(B)における矢印A4)。
【0041】
次に、図7(C)に示すように、第1部材110と第2部材120との螺合を進め、第1部材110の係止部111が噴射ノズル11の上流部端面11Dから外され、第1部材110の規制部112が噴射ノズル11の上流部11Cの側面周囲からも離され、第1部材110の噴射ノズル11に対する把持が解除されると、第2部材120を軸方向の前向きに移動させることで、第2部材120の支持部121は噴射ノズル11の噴射口11Pから抜かれ、第2部材120の把持部122は噴射ノズル11の噴射口部11Aの側面周囲から離され、第2部材120の噴射ノズル11に対する把持が解除され、ノズル調整工具100がクーラントフレキシブルノズル10から脱着される。
【0042】
このような構成することで、第1部材110と第2部材120との螺合を進め、ノズル調整工具100を噴射ノズル11から引き抜く作業のみによって、ノズル調整工具100をクーラントフレキシブルノズル10より脱着することができる。このとき、第1部材110のネジ部113と第2部材120のネジ部123とは平行であって、第1部材110と第2部材120との螺合を進めるには、第1部材110を移動させるだけの最小限のトルクで螺合を進めることができ、特に強いトルクは必要とされない。
【0043】
このようにして、ノズル調整工具100をクーラントフレキシブルノズル10に装着し、レーザによってクーラントの仮想の噴射点を視認し、ノズル調整工具をクーラントフレキシブルノズル10から脱着する一連の噴射方向調整作業において、作業者が第1部材110と第2部材120との螺合を進めるのみの簡単な作業によって、ノズル調整工具100の装着および脱着ができる。そのため、無理な力がかかってレーザと仮想の噴射点との同軸がずれることがなく、正確にレーザによってクーラントの仮想の噴射点を視認できる。
【0044】
このようにして、ノズル調整工具100によれば、略円錐形状の噴射ノズル11を安定して保持し、クーラントフレキシブルノズル10に対し簡単に着脱できる。
【0045】
図8を用いて、第二実施形態であるノズル調整工具の第1部材210について説明する。
図8(A)は第1部材210の正面図を示し、図8(B)は図8(A)のS1−2における第1部材210の断面図を示している。
第二実施形態のノズル調整工具については、第2部材およびレーザポインタの構成は第一実施形態のノズル調整工具100と同様であるため、これらの説明については省略する。
【0046】
第1部材210は、係止部211と、規制部212と、ネジ部213と、を具備している。係止部211、規制部212、およびネジ部213については、第一実施形態と同様の構造であるため説明を省略する。特記すべき事項として、第1部材210は、弾性変形する材質としている。また、第1部材210における係止部211および規制部212が形成されている部分には、第一実施形態におけるスリット115のようにスリットが形成されていない。
【0047】
このような構成とすることで、ノズル調整工具100をクーラントフレキシブルノズル10に装着するときには、係止部211が形成される規制部212の後端の内周径は弾性変形により拡大され、係止部211は噴射ノズル11の上流部11Cの外周側面を乗り越えて移動することができる。そのため、第一実施形態のノズル調整工具100と同様の作用および効果を得ることができる。
【0048】
図9を用いて、第三実施形態であるノズル調整工具300の第1部材310について説明する。
図9(A)は第1部材310の正面図を示し、図9(B)は図9(A)のS1−3における第1部材310の側面図を示している。
第三実施形態のノズル調整工具については、第2部材およびレーザポインタの構成は第一実施形態のノズル調整工具100と同様であるため、これらの説明については省略する。
【0049】
第1部材310は、本体317と、把持部316と、支持部315と、係止部311と、規制部312と、ネジ部313と、を具備している。把持部316は、硬度の高い材質とされ、複数本(本実施形態では4本)が本体317の支持部315によって支持されている。支持部315は、把持部316によって形成される径が拡大又は縮小するように把持部316を回動する(図9(B)における矢印Dの向き)構造であって、把持部316によって形成される径が縮小する方向に付勢力を有しているものとする。把持部316には、係止部311および規制部312が形成されている。係止部311および規制部312については、第一実施形態と同様の構造であるため説明を省略する。
【0050】
このような構成とすることで、ノズル調整工具100をクーラントフレキシブルノズル10に装着するときには、係止部311が形成される規制部312の後端の内周径が支持部315の付勢力に抗して拡大され、係止部311が噴射ノズル11の上流部11Cの外周側面を乗り越えて移動することとなる。そのため、第一実施形態のノズル調整工具100と同様の作用および効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 クーラントフレキシブルノズル
11 噴射ノズル
11A 噴射口部
11B 中途部
11C 上流部
11D 上流部端面
11P 噴射口
100 ノズル調整工具
110 第1部材
111 係止部
112 規制部
113 ネジ部
115 スリット
120 第2部材
121 支持部
122 把持部
123 ネジ部
130 レーザポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円錐形状の噴射ノズルに着脱されるノズル調整工具であって、
前記噴射ノズルは、噴射方向に向かって、上流部と、噴射口部と、を具備し、
前記ノズル調整工具は、前記上流部を把持する第1部材と、前記噴射口部を把持する第2部材と、を具備し、
前記第1部材は、前記上流部の外周側面に嵌合し、前記上流部の端面を係止することで前記噴射ノズルから離脱する向きへの動きを係止する係止部を備え、
前記第2部材は、前記噴射ノズルの噴射方向と同軸上に平行光を発するレーザポインタを備え、
前記第1部材と、前記第2部材とは、前記噴射ノズルの同軸上を相対的に離近するように螺合され、
前記第1部材の係止部は、前記噴射ノズルの半径方向へ変位することで該噴射ノズルの係止を解放する、
ノズル調整工具。
【請求項2】
請求項1記載のノズル調整工具であって、
前記第1部材を、弾性部材とし、
前記第1部材の係止部は、弾性変形によって前記噴射ノズルの半径方向へ変位する、
ノズル調整工具。
【請求項3】
請求項2記載のノズル調整工具であって、
前記第2部材は、
前記噴射ノズルの噴射口部の外周を把持する把持部と、
前記噴射ノズルの噴射口部の噴射口に挿入される支持部と、
を具備する、
ノズル調整工具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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