説明

ノズル駆動装置

【課題】モータを利用したノズル駆動の改良技術を提供する。
【解決手段】第1ノズル11を利用する場合には、第1モータのみを作動させて第1ノズル11のみを所定の利用位置に移動させる。第2ノズル12を利用する場合には、回転式ストッパー40をオン状態として第2モータを作動させる。回転式ストッパー40がオン状態の場合には第3ノズル13が所定の位置で停止されるため、第2モータの駆動により第2ノズル12のみを所定の利用位置に移動させることができる。第3ノズル13を利用する場合には、回転式ストッパー40をオフ状態として第2モータを作動させる。回転式ストッパー40がオフ状態の場合には第3ノズル13が停止されることなく第2ノズル12と共に第2モータによって駆動される。第3ノズル13の先端は第2ノズル12の先端よりも突き出した構成としておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを利用してノズルを駆動する駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器などからノズルによって液体を吸引して他の容器やスライドガラスなどにその液体を吐き出す機構を備えた装置として、例えば、分注装置や反応処理装置などが知られている(特許文献1参照)。近年では、例えば遺伝子レベルでの実験や診断などに利用されるハイブリダイゼーション装置が登場し、そのハイブリダイゼーション装置内にノズル駆動機構(ノズル駆動装置)が搭載される場合もある。
【0003】
【特許文献1】特開2006−25767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にノズル駆動装置は、モータなどによってノズルを所定の位置に移動させて吸引吐出を行う。ノズル駆動装置によっては、複数のノズルを備えた装置もあり、こうした装置では、複数のノズルの各々を独立に駆動できることが望ましい。
【0005】
各ノズルごとにそれを駆動するためのモータを設けることにより、各ノズルごとの独立駆動は比較的容易に実現できる。しかし、その場合には、ノズルの個数だけのモータを設ける必要があるため、装置が大型化するなどのデメリットを無視することができない。
【0006】
こうした背景において、本願発明者らは、モータを利用した新しいノズル駆動技術について研究開発を重ねてきた。
【0007】
本発明は、その研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、モータを利用したノズル駆動の改良技術を提供することにある。また、本発明の他の目的は、ノズルに限らずモータを利用した駆動装置に関する改良技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様であるノズル駆動装置は、第1ノズルを駆動する第1モータと、第2ノズルを駆動する第2モータと、第2ノズルおよび第3ノズルを互いに連結する弾性部材と、第3ノズルの移動を制限するストッパーと、を有し、前記第1モータは、前記第1ノズルを駆動するとともに前記ストッパーのオンオフ状態を切り替え、前記第2モータは、前記第2ノズルを駆動するとともに前記弾性部材を介して前記第3ノズルへ駆動力を与え、前記ストッパーは、オン状態において、前記弾性部材の弾性力に逆らって前記第3ノズルを所定の位置で停止させることを特徴とする。
【0009】
上記態様によれば、3つのノズルを2つのモータで駆動することができる。例えば、第1ノズルを第1モータで直接的に駆動することができ、第2ノズルを第2モータで直接的に駆動することができ、第3ノズルを第2モータで弾性部材を介して間接的に駆動することができる。
【0010】
また、上記態様において、3つのノズルは、例えば、各々に対応したリニアガイドに沿って直線状に駆動される。3つのノズルに対応した複数のリニアガイドは、例えば互いに略平行に並べて配置される。このような構成の場合でも、ストッパーの機能を併用することにより、他のノズルとの間の物理的な干渉を避けつつ各ノズルを利用することが可能になる。
【0011】
つまり、第1ノズルを利用する場合には、第1モータのみを作動させて第1ノズルのみを所定の利用位置に移動させる。また、第2ノズルを利用する場合には、ストッパーをオン状態として第2モータを作動させる。ストッパーがオン状態の場合には第3ノズルが所定の位置で停止されるため、第2モータの駆動により第2ノズルのみを所定の利用位置に移動させることができる。これにより、第2ノズルと第3ノズルとの間の物理的な干渉を避けつつ、第2ノズルのみを利用することが可能になる。また、第3ノズルを利用する場合には、ストッパーをオフ状態として第2モータを作動させる。ストッパーがオフ状態の場合には第3ノズルがストッパーによって停止されることなく第2ノズルと共に第2モータによって駆動される。そこで、例えば第3ノズルの先端を第2ノズルの先端よりも突き出した構成としておくことにより、第3ノズルと第2ノズルとの間の物理的な干渉を避けつつ、第3ノズルのみを利用することが可能になる。
【0012】
望ましい態様において、前記ノズル駆動装置は、第1ノズルと第2ノズルと第3ノズルの各々に対応した複数のリニアガイドをさらに有し、前記複数のリニアガイドは、互いに略平行に並べて配置され、これにより、第1ノズルと第2ノズルと第3ノズルの各々が対応するリニアガイドに沿って直線状に駆動されることを特徴とする。
【0013】
望ましい態様において、前記ノズル駆動装置は、前記第1モータによって前記第1ノズルとともに直線状に駆動されるストッパー駆動部をさらに有し、前記ストッパーは、回転式ストッパーであり、前記ストッパー駆動部によって回転されてオフ状態となり前記第3ノズルの移動の制限を解除し、これにより、移動の制限が解除された状態において、前記第3ノズルが前記弾性部材を介して連結された前記第2ノズルとともに前記第2モータによって駆動されることを特徴とする。
【0014】
望ましい態様において、移動の制限が解除されて前記第3ノズルが前記第2ノズルとともに駆動された状態において、前記第3ノズルの先端は前記第2ノズルの先端よりも突き出されていることを特徴とする。
【0015】
また上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である駆動装置は、第1作業部を駆動する第1モータと、第2作業部を駆動する第2モータと、第2作業部および第3作業部を互いに連結する弾性部材と、第3作業部の移動を制限するストッパーと、を有し、前記第1モータは、前記第1作業部を駆動するとともに前記ストッパーのオンオフ状態を切り替え、前記第2モータは、前記第2作業部を駆動するとともに前記弾性部材を介して前記第3作業部へ駆動力を与え、前記ストッパーは、オン状態において、前記弾性部材の弾性力に逆らって前記第3作業部を所定の位置で停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、モータを利用した駆動装置に関する改良技術が提供される。例えば、本発明の好適な態様によれば、3つのノズルを2つのモータで駆動して、さらに、他のノズルとの間の物理的な干渉を避けつつ各ノズルを利用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明に係るノズル駆動装置の好適な実施形態が示されており、図1はその正面図である。図1に示すノズル駆動装置10は、第1ノズル11と第2ノズル12と第3ノズル13を駆動する装置である。このノズル駆動装置10は、例えば、ハイブリダイゼーション装置に搭載される。もちろん、他の反応処理装置や分注装置などに搭載されてもよい。また、ノズル駆動装置10によって駆動される複数のノズルのうちのいくつかを分注処理用とし、他のいくつかを排出処理用とするなど、用途に応じてノズルを使い分けるようにしてもよい。
【0019】
第1ノズル11と第2ノズル12と第3ノズル13は、各々、ノズル取付台51とノズル取付台52とノズル取付台53に取り付けられる。各ノズルは、対応する取付台に対して着脱可能であってもよい。
【0020】
装置基板70の正面側には、各ノズルに対応したリニアガイド(図2の符号80)が配置される。3つのノズルに対応した3本のリニアガイドは、各々、上下方向に沿って配置され、また、3本のリニアガイドは、互いに平行に並べて配置される。ノズル取付台51,52,53は、各々、対応するリニアガイドに沿って駆動される。
【0021】
ノズル取付台51は、ベルト61によって駆動される。ベルト61は、装置基板70の背面側に設けられた第1モータ(図2の符号21)に掛け渡されている。そのため、第1モータが回転することによりベルト61が駆動され、そのベルト61の動きに従ってノズル取付台51が上下方向に駆動され、ノズル取付台51に取り付けられた第1ノズル11が上下方向に駆動される。
【0022】
なお、ノズル取付台51には、ストッパー駆動板42も取り付けられており、ノズル取付台51の移動に伴ってストッパー駆動板42も上下方向に移動する。このストッパー駆動板42によって、回転式ストッパー40のオンオフ状態が切り替えられる。回転式ストッパー40の機能については後に詳述する。
【0023】
ノズル取付台52は、ベルト62によって駆動される。ベルト62は、装置基板70の背面側に設けられた第2モータ(図2の符号22)に掛け渡されている。そのため、第2モータが回転することによりベルト62が駆動され、そのベルト62の動きに従ってノズル取付台52が上下方向に駆動され、ノズル取付台52に取り付けられた第2ノズル12が上下方向に駆動される。
【0024】
なお、ノズル取付台52には、連結バネ30を介してノズル取付台53が連結されている。そのため、ノズル取付台52が下に向かって移動すると、連結バネ30の弾性力によってノズル取付台53も下に向かって移動する。また、ノズル取付台52が上に向かって移動すると、ノズル取付台52とノズル取付台53が互いに接触して、ノズル取付台52によってノズル取付台53が押し上げられる。
【0025】
図2は、図1に示したノズル駆動装置10の側面図と背面図であり、図2(A)にはノズル駆動装置10の側面図が示されており、図2(B)にはノズル駆動装置10の背面図が示されている。
【0026】
図2に示すように、装置基板70の背面側に設けられた第2モータ22に対してベルト62が掛け渡されている。そのベルト62は、装置基板70の正面側において、ノズル取付台52に対応したリニアガイド80に沿って上下方向に伸長されている。これにより、第2モータ22の回転運動が、ベルト62によって、装置基板70の正面側において上下方向の運動に変換される。そして、その上下方向の運動によってノズル取付台52が上下方向に駆動され、第2ノズル12が上下方向に駆動される。
【0027】
なお、装置基板70の背面側に設けられた第1モータ21に対してもベルト61が掛け渡されており、ベルト61が装置基板70の正面側において第1ノズルに対応したリニアガイド80に沿って上下方向に伸長されている。そして、第1モータ21の回転運動が、ベルト61によって、装置基板70の正面側において上下方向の運動に変換され、ノズル取付台に取り付けられた第1ノズルが上下方向に駆動される。
【0028】
図3は、図1に示したノズル駆動装置10の動作を説明するための図である。本実施形態に係るノズル駆動装置10は、3つのノズルを2つのモータで駆動する。また、回転式ストッパー40の機能を併用することにより、他のノズルとの間の物理的な干渉を避けつつ各ノズルを利用することができる。
【0029】
図3(I)は、第1ノズル11の利用状態を示している。第1ノズル11を利用する場合には、第1モータのみを作動させることによりベルト61が駆動され、ノズル取付台51に取り付けられた第1ノズル11が下降する。なお、ノズル取付台51に取り付けられたストッパー駆動板42も下降する。第2モータは作動させないため、第2ノズル12と第3ノズル13は下降しない。図3(I)に示す状態では、第1ノズル11のみが下降しているため、他のノズルとの間の物理的な干渉を避けつつ、第1ノズル11によって液体を吸引あるいは吐出することができる。
【0030】
図3(II)は、第2ノズル12の利用状態を示している。第2ノズル12を利用する場合には、第1モータは作動させないため、第1ノズル11は下降しない。また、第1モータを作動させない場合には、回転式ストッパー40がオン状態となっており、この状態で第2モータを作動させる。第2モータが作動するとベルト62が駆動され、ノズル取付台52が下降する。また、連結バネ30を介してノズル取付台52に連結されたノズル取付台53も連結バネ30の弾性力によって下に向かって移動する。但し、回転式ストッパー40がオン状態となっているため、回転式ストッパー40によってノズル取付台53が図示した位置で停止される。一方、ノズル取付台52は、ベルト62を介して第2モータによってさらに下降されて図示した状態となる。図3(II)に示す状態では、第2ノズル12のみが所定の利用位置まで下降しているため、他のノズルとの間の物理的な干渉を避けつつ、第2ノズル12によって液体を吸引あるいは吐出することができる。
【0031】
図3(III)は、第3ノズル13の利用状態を示している。第3ノズル13を利用する場合には、第1モータを作動させてノズル取付台51を図示した位置まで下降させる。これにより、ノズル取付台51に取り付けられたストッパー駆動板42が下降し、ストッパー駆動板42が回転式ストッパー40をおよそ90度だけ回転させ、回転式ストッパー40がオフ状態となる。この状態で第2モータを作動させてベルト62が駆動され、ノズル取付台52が下降する。また、連結バネ30を介してノズル取付台52に連結されたノズル取付台53も連結バネ30の弾性力によって下に向かって移動する。回転式ストッパー40がオフ状態となっているため、回転式ストッパー40によってノズル取付台53が停止されることなく、ノズル取付台52とノズル取付台53が下降されて図示した状態となる。なお、第3ノズル13の先端は、第2ノズル12の先端よりも突き出した構成としておく。例えば、第3ノズル13として、第2ノズル12よりも長いものを利用する。図3(III)に示す状態では、第3ノズル13の先端のみが所定の利用位置まで下降しているため、他のノズルとの間の物理的な干渉を避けつつ、第3ノズル13によって液体を吸引あるいは吐出することができる。
【0032】
図4は、本発明に係るノズル駆動装置の別の好適な実施形態を説明するための図である。図4に示すノズル駆動装置10´は、3つのモータによって5つのノズルを駆動する。このノズル駆動装置10´は、図1から図3に示したノズル駆動装置10の構成や動作原理を応用したものであり、図4に示すノズル駆動装置10´においても、各ノズルに対応したノズル取付台がリニアガイドに沿って上下方向に移動する。
【0033】
ノズル取付台51は、ベルト61によって駆動される。ベルト61は、装置基板70の背面側に設けられた第1モータに掛け渡されている。そして、第1モータが回転することによりベルト61が駆動され、そのベルト61の動きに従ってノズル取付台51が上下方向に駆動され、ノズル取付台51に取り付けられた第1ノズル11が上下方向に駆動される。なお、ノズル取付台51にはストッパー駆動板42Aも取り付けられており、ノズル取付台51の移動に伴ってストッパー駆動板42Aも上下方向に移動する。このストッパー駆動板42Aによって、回転式ストッパー40Aのオンオフ状態が切り替えられる。
【0034】
ノズル取付台52は、ベルト62によって駆動される。ベルト62は、装置基板70の背面側に設けられた第2モータに掛け渡されている。そして、第2モータが回転することによりベルト62が駆動され、そのベルト62の動きに従ってノズル取付台52が上下方向に駆動され、ノズル取付台52に取り付けられた第2ノズル12が上下方向に駆動される。なお、ノズル取付台52には、連結バネ30Aを介してノズル取付台53が連結されている。そのため、ノズル取付台52が下に向かって移動すると、連結バネ30Aの弾性力によってノズル取付台53も下に向かって移動する。また、ノズル取付台52が上に向かって移動すると、ノズル取付台52とノズル取付台53が互いに接触して、ノズル取付台52によってノズル取付台53が押し上げられる。ノズル取付台53には、第3ノズル13が取り付けられる。
【0035】
さらに、ノズル取付台52には、連結バネ30Bを介してノズル取付台54が連結されている。そのため、ノズル取付台52が下に向かって移動すると、連結バネ30Bの弾性力によってノズル取付台54も下に向かって移動する。また、ノズル取付台52が上に向かって移動すると、ノズル取付台52とノズル取付台54が互いに接触して、ノズル取付台52によってノズル取付台54が押し上げられる。ノズル取付台54には、第4ノズル14が取り付けられる。
【0036】
ノズル取付台55は、ベルト63によって駆動される。ベルト63は、装置基板70の背面側に設けられた第3モータに掛け渡されている。そのため、第3モータが回転することによりベルト63が駆動され、そのベルト63の動きに従ってノズル取付台55が上下方向に駆動され、ノズル取付台55に取り付けられた第5ノズル15が上下方向に駆動される。なお、ノズル取付台55にはストッパー駆動板42Bも取り付けられており、ノズル取付台55の移動に伴ってストッパー駆動板42Bも上下方向に移動する。このストッパー駆動板42Bによって、回転式ストッパー40Bのオンオフ状態が切り替えられる。
【0037】
図4(I)において、2つの回転式ストッパー40A,40Bは共にオン状態となっている。つまり、ノズル取付台51とノズル取付台55が両方とも駆動されず、ストッパー駆動板42Aと,ストッパー駆動板42Bが両方とも上昇したままの状態である。この状態で第2モータを作動させてノズル取付台52を下降させると、回転式ストッパー40Aがオン状態となっているため、回転式ストッパー40Aによってノズル取付台53が図示した位置で停止される。また、回転式ストッパー40Bもオン状態となっているため、回転式ストッパー40Bによってノズル取付台54が図示した位置で停止される。こうして図4(I)に示すように、第2ノズル12のみが所定の利用位置まで下降される。
【0038】
一方、図4(II)において、回転式ストッパー40Aはオン状態であり、回転式ストッパー40Bはオフ状態となっている。つまり、ノズル取付台51は駆動されずにストッパー駆動板42Aが上昇したままの状態であり、ノズル取付台55は駆動されてストッパー駆動板42Bが図示した位置まで下降した状態である。この状態で第2モータを作動させてノズル取付台52を下降させると、回転式ストッパー40Aがオン状態となっているため、回転式ストッパー40Aによってノズル取付台53は図示した位置で停止される。これに対し、回転式ストッパー40Bはオフ状態となっているため、回転式ストッパー40Bによってノズル取付台54が停止されることなく、ノズル取付台52とノズル取付台54が下降して図示した状態となる。なお、第4ノズル14の先端は、第2ノズル12の先端よりも突き出た構成としておく。これにより、図4(II)に示す状態では、第4ノズル14の先端のみが所定の利用位置まで下降し、他のノズルとの間の物理的な干渉を避けつつ、第4ノズル14によって液体を吸引あるいは吐出することができる。
【0039】
なお、第3ノズル13を利用する場合には、回転式ストッパー40Aをオフ状態、回転式ストッパー40Bをオン状態として、ノズル取付台52を下降させればよい。また、第1ノズル11を利用する場合にはノズル取付台51のみを下降させ、第5ノズル15を利用する場合にはノズル取付台55のみを下降させればよい。
【0040】
図5は、本発明に係る駆動装置の好適な実施形態を説明するための図である。図5に示す駆動装置100は、図1から図3に示したノズル駆動装置10の構成や動作原理を利用したものである。図5に示す駆動装置100は、ノズルに換えてあるいはノズルと共に、吸着パッド103やハンドリングアーム102などの作業部を駆動する装置である。
【0041】
ノズル101とハンドリングアーム102と吸着パッド103は、各々、ノズル取付台51とアーム取付台52´とパッド取付台53´に取り付けられる。各取付台は、それに対応したリニアガイドに沿って上下方向に移動する。
【0042】
ノズル取付台51は、ベルト61によって駆動される。ベルト61は、装置基板70の背面側に設けられた第1モータに掛け渡されている。そして、第1モータが回転することによりベルト61が駆動され、そのベルト61の動きに従ってノズル取付台51が上下方向に駆動され、ノズル取付台51に取り付けられたノズル101が上下方向に駆動される。なお、ノズル取付台51にはストッパー駆動板42も取り付けられており、ノズル取付台51の移動に伴ってストッパー駆動板42も上下方向に移動する。このストッパー駆動板42によって、回転式ストッパー40のオンオフ状態が切り替えられる。
【0043】
アーム取付台52´は、ベルト62によって駆動される。ベルト62は、装置基板70の背面側に設けられた第2モータに掛け渡されている。そして、第2モータが回転することによりベルト62が駆動され、そのベルト62の動きに従ってアーム取付台52´が上下方向に駆動され、アーム取付台52´に取り付けられたハンドリングアーム102が上下方向に駆動される。なお、アーム取付台52´には、連結バネ30を介してパッド取付台53´が連結されている。そのため、アーム取付台52´が下に向かって移動すると、連結バネ30の弾性力によってパッド取付台53´も下に向かって移動する。また、アーム取付台52´が上に向かって移動すると、アーム取付台52´とパッド取付台53´が互いに接触して、アーム取付台52´によってパッド取付台53´が押し上げられる。
【0044】
ノズル101を利用する場合には、第1モータのみを作動させることによりベルト61が駆動され、ノズル取付台51に取り付けられたノズル101が下降する。ハンドリングアーム102を利用する場合には、第1モータは作動させない。第1モータを作動させない場合には、回転式ストッパー40がオン状態となっており、この状態で第2モータを作動させる。第2モータが作動するとベルト62が駆動され、アーム取付台52´が下降する。また、連結バネ30を介してアーム取付台52´に連結されたパッド取付台53´も連結バネ30の弾性力によって下に向かって移動する。但し、回転式ストッパー40がオン状態となっているため、回転式ストッパー40によってパッド取付台53´は所定の位置で停止され、ハンドリングアーム102のみが利用位置まで下降する。
【0045】
吸着パッド103を利用する場合には、第1モータを作動させてノズル取付台51を下降させ、ストッパー駆動板42によって回転式ストッパー40をおよそ90度だけ回転させる。これにより、回転式ストッパー40がオフ状態となる。この状態で第2モータを作動させてベルト62が駆動され、アーム取付台52´が下降する。また、連結バネ30を介してアーム取付台52´に連結されたパッド取付台53´も連結バネ30の弾性力によって下に向かって移動する。回転式ストッパー40がオフ状態となっているため、回転式ストッパー40によってパッド取付台53´が停止されることなく、パッド取付台53´とアーム取付台52´が共に下降する。なお、吸着パッド103の先端は、ハンドリングアーム102の先端よりも下方に突き出した構成としておく。これにより、ハンドリングアーム102との間の物理的な干渉を避けつつ、吸着パッド103を利用することが可能になる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るノズル駆動装置の正面図である。
【図2】本発明に係るノズル駆動装置の側面図と背面図である。
【図3】本発明に係るノズル駆動装置の動作を説明するための図である。
【図4】ノズル駆動装置の別の好適な実施形態を説明するための図である。
【図5】本発明に係る駆動装置の好適な実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
10 ノズル駆動装置、21 第1モータ、22 第2モータ、30 連結バネ、40 回転式ストッパー、100 駆動装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ノズルを駆動する第1モータと、
第2ノズルを駆動する第2モータと、
第2ノズルおよび第3ノズルを互いに連結する弾性部材と、
第3ノズルの移動を制限するストッパーと、
を有し、
前記第1モータは、前記第1ノズルを駆動するとともに前記ストッパーのオンオフ状態を切り替え、
前記第2モータは、前記第2ノズルを駆動するとともに前記弾性部材を介して前記第3ノズルへ駆動力を与え、
前記ストッパーは、オン状態において、前記弾性部材の弾性力に逆らって前記第3ノズルを所定の位置で停止させる、
ことを特徴とするノズル駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のノズル駆動装置において、
第1ノズルと第2ノズルと第3ノズルの各々に対応した複数のリニアガイドをさらに有し、
前記複数のリニアガイドは、互いに略平行に並べて配置され、
これにより、第1ノズルと第2ノズルと第3ノズルの各々が対応するリニアガイドに沿って直線状に駆動される、
ことを特徴とするノズル駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載のノズル駆動装置において、
前記第1モータによって前記第1ノズルとともに直線状に駆動されるストッパー駆動部をさらに有し、
前記ストッパーは、回転式ストッパーであり、前記ストッパー駆動部によって回転されてオフ状態となり前記第3ノズルの移動の制限を解除し、
これにより、移動の制限が解除された状態において、前記第3ノズルが前記弾性部材を介して連結された前記第2ノズルとともに前記第2モータによって駆動される、
ことを特徴とするノズル駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載のノズル駆動装置において、
移動の制限が解除されて前記第3ノズルが前記第2ノズルとともに駆動された状態において、前記第3ノズルの先端は前記第2ノズルの先端よりも突き出されている、
ことを特徴とするノズル駆動装置。
【請求項5】
第1作業部を駆動する第1モータと、
第2作業部を駆動する第2モータと、
第2作業部および第3作業部を互いに連結する弾性部材と、
第3作業部の移動を制限するストッパーと、
を有し、
前記第1モータは、前記第1作業部を駆動するとともに前記ストッパーのオンオフ状態を切り替え、
前記第2モータは、前記第2作業部を駆動するとともに前記弾性部材を介して前記第3作業部へ駆動力を与え、
前記ストッパーは、オン状態において、前記弾性部材の弾性力に逆らって前記第3作業部を所定の位置で停止させる、
ことを特徴とする駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−203219(P2008−203219A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42858(P2007−42858)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】