説明

ノック式シャープペンシル

【課題】チャック2の後部に圧入固着されるパイプで形成された芯タンク4を、0.3芯、0.5芯、0.7芯及び0.9芯用に共通して用いるノック式シャープペンシルに適用できる。
【解決手段】チャック2を前進させることにより芯1を繰り出すノック式シャープペンシルであって、チャック2の後部にパイプで形成された芯タンク4を圧入固着する。この芯タンク4内にパイプで形成されたガイド筒8を内蔵する。更に、ガイド筒8の内径を0.9mm以上でかつ1.8mm未満に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャックの後部にパイプで形成された芯タンクを圧入固着したノック式シャープペンシルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂製のパイプで形成され、その内径は収納される芯が3本並列に余裕を持って並ぶ寸法に設定され、芯が芯タンクの中心に位置できるように芯タンクが構成され、この芯タンクがチャックの外鍔に圧入固着されるノック式シャープペンシルが知られている。(特許文献1参照)
【0003】
しかし、上記ノック式シャープペンシルは、0.3芯、0.5芯、0.7芯は共通のパイプを用いて芯タンクを構成できるが、0.9芯を3本並列に並ぶ寸法に設定しようとした場合にはパイプの径が極端に太くなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−234292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、0.3芯、0.5芯及び0.7芯で共通に用いているパイプからなる芯タンクを0.9芯に用いた場合には、0.9芯が3本並列に並ぶことができず、2本並んでしまってチャック内に0.9芯を追従できない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、チャックを前進させることにより芯を繰り出すノック式シャープペンシルであって、チャックの後部にパイプで形成された芯タンクを圧入固着し、更に、芯タンク内にパイプで形成されたガイド筒を内蔵し、このガイド筒の内径を0.9mm以上でかつ1.8mm未満に構成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、0.9芯に用いる場合には芯タンク内にパイプで形成されたガイド筒を内蔵することにより、0.3芯、0.5芯、0.7芯及び0.9芯に用いるパイプからなる芯タンクを共通にでき、軸筒が太くならないとともに、軸筒や消しゴム支えといった部材も共通化でき、更に、0.3芯、0.5芯、0.7芯及び0.9芯のいずれの芯も確実にチャック内に追従できるという利点が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の実施例1のノック式シャープペンシルを示す断面図である。(実施例1)
【図2】図2は図1のA−A線を示す拡大断面図である。(実施例1)
【図3】図3は図1のB−B線を示す拡大断面図である。(実施例1)
【図4】図4は図1のC−C線を示す拡大断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、軸筒が太くなることなく、0.3芯、0.5芯、0.7芯及び0.9芯に用いるパイプからなる芯タンクを共通にできるノック式シャープペンシルを実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、図1、図2、図3及び図4に基づいて本発明における実施例1のノック式シャープペンシルを説明する。また、図1の左側を前方とし右側を後方とする。また、使用する芯1は直径0.9mmで説明する。先ず、チャック2の前端から切溝を等間隔に3個形成し、3分割した芯保持部2Aを形成する。この芯保持部2Aの外面には隆起した頭部2Bが形成され、この頭部2Bには長手方向後方に行くに従って縮径するテーパー面が形成される。更に、チャック2の芯保持部2Aより後方に位置する内孔2Cは、芯保持部2A内に確実に芯1を導くために使用する芯1が1本は確実に通過することができ2本は通過することができない径に形成されている。
【0011】
以上のように形成されたチャック2の頭部2B及び弾性片2Dは前方より円錐形のピンを挿入して拡大し、その外径は後述する先部材3のチャック摺動部内孔3Aの内径より僅かに大きく形成する。
【0012】
チャック2の後部外面2Eは弾性片2Dより適宜太径に形成され、後部外面2Eの外径が後述する芯タンク4の内径より適宜太径に形成する。この後部外面2Eに段部2Fを形成し、芯タンク4の内径とほぼ同形の芯タンク固定部2Gが形成される。この芯タンク固定部2Gの外面に外鍔2Hが形成される。この外鍔2Hは、芯タンク4を強固に圧入固着するために、前面は垂直に形成し、かつ後面はテーパーに形成する。
【0013】
前記チャック2の頭部2Bに外嵌される締具5は黄銅製で、前後同形の円筒形に形成される。しかも、締具5の内径は、チャック2が芯1を保持していないで閉じた時の頭部2B外径より僅かに小径に形成される。
【0014】
更に、チャック2の頭部2Bには前記締具5より後方に位置して円板状のワッシャー6が外嵌される。このワッシャー6は黄銅製で後端面に後述するスプリング7をセンタリングするために凹部6Aが形成され、この凹部6Aの径はスプリング7の外径より僅かに大きく形成される。芯タンク4はポリプロピレン等の合成樹脂製のパイプで形成され、その内径は0.3芯、0.5芯及び0.7芯が3本並列に並ぶ寸法2.1mmに設定され、0.3芯、0.5芯及び0.7芯が芯タンク4の中心に位置できるように構成する。また、芯タンク4の肉厚は、芯タンク4が曲がる恐れがなくしかも外径を極力細く形成するために0.6mmから0.8mmの範囲内に形成する。この芯タンク4は前記チャック2の外鍔2Hに圧入固着されるが、芯タンク4の前端はチャック2の後部外面2Eに形成された段部2Fに当接される。更に、芯タンク4内にポリプロピレン等の合成樹脂製のパイプで形成されたガイド筒8を挿入する。このガイド筒8の内径は0.9芯が1本は通過可能で2本は並列に並ばない寸法、つまり0.9mm以上でかつ1.8mm未満、好ましくは1.5mmに設定する。尚、芯タンク4及びガイド筒8の材質としては、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製「PL400A」)が特に好ましい。
【0015】
更に、前記ワッシャー6と芯タンク4の間にはスプリング7が取り付けられ、このスプリング7の前端はワッシャー6の凹部6Aによりセンタリングされる。また、スプリング7の取付時荷重は、芯1を確実に保持でき、かつ容易にノックを行うために、300gから600gの間に設定する。更に、スプリング7の有効径は、作動を確実に行うために芯タンク4の外径よりも小さく形成する。
【0016】
軸筒9には、前部内孔9Aが形成され、この前部内孔9Aは前記芯タンク4の外径より太径に形成される。更に、軸筒9の後部には前部内孔9Aより太径の後部内孔9Bが形成され、この後部内孔9Bには後端より前方に伸びたキー溝9Cが形成される。しかも、キー溝9Cの後端は片側に広がり後述する頭冠10のキー10Aを挿入するためのテーパー状の案内部が形成される。更に、軸筒9の前部外面には細径部9Dが形成され、この細径部9Dには熱可塑性エラストマーあるいはシリコンゴムからなる滑り止め用のグリップ11が取り付けられる。
【0017】
この軸筒9の前部内孔9Aに、前記したようにチャック2に連結された芯タンク4が挿入され、更に、軸筒9の前部に先部材3を螺合する。この先部材3の後端と軸筒9の外段9Eによりグリップ11が挾持されるとともに、先部材3の内段3Bと軸筒9の前端により前記ワッシャー6が挾持される。また、前記締具5は先部材3の係止段3Cとワッシャー6の間を適宜摺動可能に先部材3内に内蔵される。
【0018】
先部材3の前端にはステンレス製のガイドパイプ12が圧入固着され、ガイドパイプ12は先部材3の前端より適宜突出する。また、先部材3内には芯ホルダー13が内蔵される。この芯ホルダー13は、確実に芯1を繰り出すために芯1を保持する力を3gから100g好ましくは5gから20gの力に設定する。また、芯ホルダー13のゴム硬度は、芯保持力を長期に渡って維持するために60度から90度の範囲に設定する。
【0019】
頭冠10は、上側にクリップ14を一体に形成するとともに、前部に細径部10Bを形成する。この細径部10Bの外周面には前記クリップ14の真下に位置して突起10Cを形成するとともに、突起10Cと反対側の外周面に長手方向に伸びたキー10Aを形成する。更に、図2に示したように細径部10Bの両側部に長手方向に伸びた開口窓10Dを対向して形成し、キー10Aが適宜弾性変形可能に構成する。
【0020】
前記頭冠10は、軸筒9の後端より細径部10Bが挿入され、軸筒9のキー溝9Cに前記頭冠10のキー10Aが嵌め合わされる。すると、必然的に頭冠10の突起10Cが軸筒9の係止窓9Fの延長線上に位置し、頭冠10の細径部10Bを更に挿入すると、頭冠10の突起10Cが軸筒9の係止窓9Fに位置合わせを行うことなく嵌め込まれ、頭冠10が軸筒9に固定される。前記芯タンク4の後部には軸筒9の後端より挿入された消しゴム支え15の前部内孔15Aが嵌合され、図3に示すように、消しゴム支え15の前部内孔15Aに形成された突部15Bが芯タンク4の後部外面に圧接される。また、消しゴム支え15の内鍔15Cが芯タンク4の後端に当接される。この消しゴム支え15の内鍔15C内径はガイド筒8の内径より細く構成する。この消しゴム支え15の後部内孔15Dに消しゴム16が取り付けられる。更に、消しゴム支え15の後部外側15Eには、前記消しゴム16を覆うための合成樹脂製のノブ17が嵌合され、図4に示すようにノブ17の前部内側に形成された突部17Aが消しゴム支え15の後部外側15Eに形成された凹溝に落ち込み、ノブ17が取り付けられる。このノブ17の天部には開口孔17Bが形成され、幼児が誤って飲み込んでも窒息を防止できる。尚、ノブ17及び消しゴム16は頭冠10の後端より適宜突出した位置に構成される。
【0021】
以上のように構成されたノック式シャープペンシルは、ノブ17を押圧することによりチャック2が前進し、芯1が一定量繰り出される。そして、締具5が先部材3の係止段3Cに当接すると、締具5がチャック2の頭部2Bより外れチャック2が拡開する。拡開したチャック2は先部材3のチャック摺動部内孔3Aに接触し、チャック2の拡開が規制される。この時、チャック2を先部材3のチャック摺動部内孔3Aに接触する理由は、チャック2をセンタリングすることにより、芯保持部2Aを中心に位置させるためである。チャック2がチャック摺動部内孔3Aに規制された状態では、チャック2の切溝の幅が芯1の外径より小さくなるように構成し、切溝内に芯1が入り込むのを防止する。
【0022】
尚、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、軸筒や頭冠といった部材は2個以上の部材を圧入あるいは嵌合することによって一体化してもよい。また、軸筒と頭冠を一体に構成しても良い。更に、ガイド筒は芯タンク内に遊嵌されていても良いし圧入固着されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0023】
チャックの後部に圧入固着されるパイプからなる芯タンクを、0.3芯、0.5芯、0.7芯及び0.9芯に共通化して用いることができるノック式シャープペンシルを実現した。
【符号の説明】
【0024】
1 芯
2 チャック
4 芯タンク
8 ガイド筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックを前進させることにより芯を繰り出すノック式シャープペンシルであって、チャックの後部にパイプで形成された芯タンクを圧入固着し、更に、芯タンク内にパイプで形成されたガイド筒を内蔵し、このガイド筒の内径を0.9mm以上でかつ1.8mm未満に構成したことを特徴とするノック式シャープペンシル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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