説明

ノック式ディスペンサー用の内容物カートリッジおよびこの内容物カートリッジが取り付けられたノック式ディスペンサー

【課題】カートリッジ単体状態での内容物の漏れを確実に防止し、かつ、ノック式ディスペンサーへのカートリッジ交換作業の一層の簡単化を図る。
【解決手段】前軸筒ユニットAに取り付けられる前のカートリッジ10の内容物は、ヒートシール10bと後側シール部材10eとで密封されている。前軸筒ユニットAの後側保持部材8の外周面および環凸状部8aにカートリッジ10を取り付ける際、ヒートシール10bが貯留部材5の後端部分に当たって破断される。その結果、貯留部材5およびカートリッジ10それぞれの内部空間域が上流弁部材7を介して連通可能となる。操作ボタン14のノック操作により貯留空間域5bの内容物が孔部1aから吐出されるのに応じて、後側シール部材10eが下動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノック式ディスペンサーの内容物カートリッジなどに関し、特にノック式ディスペンサーへの取付け前の単体状態ではヒートシールなどの破断可能なシール部で内容物が封止され、ノック式ディスペンサーへの取付け後にはノック操作釦と連動し、かつ、このシール部が破断した状態に設定される内容物カートリッジに関する。
【0002】
なお、本明細書では必要に応じて、ノック式ディスペンサーの内容物吐出用孔部の方である図面下側を「前」と記し、操作ボタンの方である図面上側を「後」と記す。また、この前後方向を「縦」とする。
【背景技術】
【0003】
本件出願人は、ノック式ディスペンサーの内容物(乳液やゼリー状液体など)の収容部を当該ディスペンサーのノック操作部や軸筒などとは別ユニットのカートリッジ形状にしたものを提案済みである(特許文献1参照)。
【0004】
このノック式ディスペンサーの内容物カートリッジは、筒状部からなり、その前端に内容物吐出用孔部が形成され、その後端側には軸筒への組込み後に操作ボタン側と係合して前後方向に連動可能なシール部材が設けられている。
【0005】
そして、このカートリッジ前端の内容物吐出用孔部とカートリッジ後端側のシール部材との内部空間域に、例えば乳液やゼリー状液体などの各種内容物が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−261725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
提案済みの内容物カートリッジを用いるノック式ディスペンサーは、内容物の補充・交換作業の簡単化を図ることができるといった利点を有している。
【0008】
ただ、内容物カートリッジは筒状部からなり、その前端に内容物吐出用孔部が形成され、その後端側内部に前後動可能な(内容物)シール部材が設けられた態様になっているため、ノック式ディスペンサーに組み込まれる前の内容物カートリッジ自体の管理面、例えばカートリッジからの内容物洩れを防ぐなどの点で改善の余地を残している。
【0009】
本発明では、ノック式ディスペンサーの内容物カートリッジを、鞘形状のいわゆるレフィール形状のもので、その前端の内容物供給開口部が破断可能なシール部で閉塞され、かつその内部後側(内容物の後端部分)には内容物の減少にともなって前方向に応動するシール部材が設定された、内容物の完全封止態様のものにしている。
【0010】
このような破断可能なシール部を用いた完全封止態様の内容物カートリッジの使用により、ノック式ディスペンサーへのカートリッジ組込み前における内容物の漏れを確実に防止するとともに、ノック式ディスペンサーへのカートリッジ態様による内容物補充・交換作業の一層の簡単化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)ノック式ディスペンサーの内容物吐出機構に取り付けた形で使用される内容物カートリッジ(例えば後述のカートリッジ10)において、
内容物を収容し、かつ、操作ボタンのノック操作により駆動されて作動モードへ移行する鞘状本体(例えば後述の鞘状本体10a)と、
前記鞘状本体の開口部に破断可能な状態で固定されて前記内容物を封止するシール部(例えば後述のヒートシール10b)と、からなり、
前記鞘状本体は少なくとも、
前記内容物吐出機構の一部(例えば後述の後側保持部材8,環凸状部8a)に保持される開口側被保持部分(例えば後述の開口側内周面部10c)と、
前記内容物が収容された内部空間域(例えば後述の内容物収容域10d)と、
前記操作ボタンのノック操作にともなう駆動力を受ける受け面部分(例えば後述の鞘状本体上面部10j)と、
を備えている。
(2)上記(1)において、
前記鞘状本体は、
前記内部空間域の後端側を確定する移動可能なシール部材(例えば後述の後側シール部材10e)と、
前記シール部材より後方の鞘状本体内部に生成される内容物未収容空間域(例えば後述の内容物未収容空間域10g)と連通して外気を供給するための孔部(例えば後述の鞘状本体上面孔部10h)と、を併せ備えている。
(3)上記(1),(2)において、
前記シール部は、
ヒートシールである。
(4)内容物吐出機構を備えたノック式ディスペンサーにおいて、
上記(1),(2),(3)それぞれの内容物カートリッジ(例えば後述のカートリッジ10)の保持部(例えば後述の後側保持部材8,環凸状部8a)を有する内容物吐出機構を用いる。
【0012】
このような構成からなる、ノック式ディスペンサー用の内容物カートリッジおよび当該内容物カートリッジが内容物吐出機構に取り付けられたノック式ディスペンサーを、本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上の課題解決手段により、
(11)ノック式ディスペンサーへのカートリッジ組込み前における内容物の漏れを確実に防止するとともに、
(12)ノック式ディスペンサーへのカートリッジ態様による内容物補充・交換作業の一層の簡単化を図る、
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ノック式ディスペンサーの静止モードを示す断面図である。
【図2】ノック式ディスペンサーの作動モードを示す断面図である。
【図3】ノック式ディスペンサーを構成する前軸筒ユニット,内容物カートリッジおよび後軸筒ユニットのそれぞれを示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図3を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0016】
以下のアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば孔部1a)は原則として当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば前軸筒1)の一部であることを示している。
【0017】
後述の前軸筒ユニットAに関して、
1は内容物吐出用通路域を有して筒状で固定タイプの前軸筒(シリンダ),
1aは前端部分に形成された内容物吐出用の孔部,
1bは孔部1aに通じる内容物吐出用通路域を画定する内側筒状部,
1cは後述のキャップ9および後軸筒11が外周面に取り付けられる外側筒状部,
1dは外側筒状部1cの外周面に形成されてキャップ9および後軸筒11それぞれの端部を受ける環凸状部分,
1eは内側筒状部1bと外側筒状部1cとの間の前部分に形成されて後述のコイルスプリング4を受けるための複数のリブ状部,
1fは外側筒状部1cの後端側内周面の周方向に飛び飛びに複数形成されて後述の貯留部材5の抜けを阻止するための凸状部,
2は内容物通過域を有して鞘状で固定タイプのカラー部材,
2aは内側筒状部1bの後端側内周面に嵌合固定された大径筒状部,
2bは当該大径筒状部の上流側(後側)の内容物通過域を画定する小径筒状部,
2cは当該小径筒状部に形成されて後述の下流弁部材6の開閉作用相手となる内容物通過用の孔部,
2dは小径筒状部2bの後側に形成されて下流弁部材6の後方への移動を規制する中径鞘状部,
3は後述の貯留部材5の前端側内周面と嵌合固定した状態でカラー部材2の外側に設けられて、当該貯留部材などと前後方向に連動し、かつ、作動モードから静止モードへの復帰時に後述の下流弁部材6を後方向に駆動する筒状の前側保持部材,
3aは当該前側保持部材の外周面に形成されてその前面部分で後述のコイルスプリング4を受ける環凸状部,
4は前軸筒1のリブ状部1eと前側保持部材3の環凸状部3aとの間に設けられて当該前側保持部材を後方向に付勢するコイルスプリング,
5は前側保持部材3の外周面に嵌合して内容物の貯留空間域を有する筒状の前後動可能な貯留部材,
5aは当該貯留部材の後端開口側に形成されて後述の上流弁部材7の弁作用部7cの密接受け面として作用する擂鉢状内周面,
5bは当該貯留部材の内部空間域の一部であって、吐出弁(=カラー部材2の孔部2cおよび下流弁部材6の内周面6a)と、吸込弁(=貯留部材5の擂鉢状内周面5aおよび上流弁部材7のカップ状部7d)との間に生成される吐出対象内容物の貯留空間域,
6は小径筒状部2b(カラー部材)の外周面および貯留部材9の内周面のそれぞれに密接する形で設けられた前後動可能な筒状の下流弁部材(吐出弁部材),
6aはカラー部材2の孔部2cとの間で弁作用を呈する内周面,
6bは貯留部材5の内周面に密接するスカート部,
7は貯留部材5の後側内周面に係合して固定された樹脂コイルスプリング仕様の上流弁部材(吸込弁部材),
7aは貯留部材5の後側内周面に対して係合,接着などにより固定された環状(鍔状)基部,
7bは当該環状基部の一部に形成されて内容物通過域として作用する切欠状部,
7cは当該環状基部と一体に形成されて前後方向に伸縮可能なコイル状部分,
7dは当該コイル状部分の後端に連続形成されて貯留部材5の擂鉢状内周面5aとの間で弁作用を呈するカップ状部,
8は貯留部材5の後側外周面と嵌合固定して後述のカートリッジ10が装填される筒状の後側保持部材,
8aは当該後側保持部材の前端側外周面に形成されてカートリッジ10を受けるための環凸状部,
9は前軸筒1の外周面に着脱自在な形で取り付けられて孔部1aを閉状態にするためのキャップ,
をそれぞれ示している。
【0018】
内容物収容カートリッジに関して、
10は乳液やゼリー状液体などの各種内容物を収容した鞘状のカートリッジ,
10aは内容物を収容して、ノック操作により前方に移動する鞘状本体,
10bは当該鞘状本体の開口部に固定されて破断可能な周知のヒートシール,
10cは当該鞘状本体の開口側に形成されて後側保持部材8,環凸状部8aと係合する大径の開口側内周面部,
10dは当該鞘状本体の内部空間域の一部であって乳液やゼリー状液体などの内容物収容域,
10eは当該内容物収容域の後端側を画定する略円形状の部材であって、その径方向断面がH型で、内容物吐出動作の繰り返しにともなうカートリッジ内容物の減少に応じて前方向に移動する後側シール部材,
10fは当該後側シール部材に形成されてそれぞれ鞘状本体10aの内周面に密接するスカート部,
10gは鞘状本体10aの内部空間域の一部であって、後側シール部材10eより後方に生成される内容物未収容空間域,
10hは当該内容物未収容空間域に外気を供給するための鞘状本体上面孔部,
10jは後述の操作ボタン14の前端部分からノック操作力を受ける鞘状本体上面部,
をそれぞれ示している。
【0019】
後述の後軸筒ユニットBに関して、
11は取外しできる形で前軸筒1に係合する筒状で固定タイプの後軸筒(シリンダ),
12は後軸筒11の後端開口部に取り付けられて後述の操作ボタン14を案内する筒状で固定タイプの案内部材,
12aは外周面に形成されて、後軸筒11の後端部分に受けられ、後述の尾栓部材13の前端部分を受ける環凸状部,
12bは当該環凸状部より後側の内周面に形成されて、後述の被案内凸状部14a(操作ボタン14)を前後方向に案内する複数の縦溝状部,
13は案内部材12の外周面に嵌合した筒状で固定タイプの尾栓部材,
14は案内部材12および尾栓部材13などの内部に設けられた鞘状で前後動可能なノック式の操作ボタン,
14aは当該操作ボタンの外周面に形成されてそれぞれが案内部材12の縦溝状部12bに案内される複数の被案内凸状部,
14bは当該操作ボタンの前端部分の一部に形成されてカートリッジ10の孔部10gへの外気通過域として作用する切欠状部,
をそれぞれ示している。
【0020】
さらには、
Aは前軸筒1,カラー部材2,前側保持部材3,コイルスプリング4,貯留部材5,下流弁部材6,上流弁部材7および後側保持部材8をそれぞれ組み立て、かつ、キャップ9を前軸筒1に取り付けた状態の前軸筒ユニット,
Bは後軸筒11,案内部材12,尾栓部材13および操作ボタン14をそれぞれ組み立てた状態の後軸筒ユニット,
をそれぞれ示している。
【0021】
以上の各構成要素は例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどの合成樹脂製のものである。コイルスプリング4,カートリッジ10は金属製のものでもよい。
【0022】
図示のノック式ディスペンサーの構成は,前軸筒ユニットA,カートリッジ10および後軸筒ユニットBに大別される。
【0023】
図示のノック式ディスペンサーの基本的特徴は、ヒートシール10bを破断するまでの間、カートリッジ10に収容された内容物が当該ヒートシール,カートリッジ内周面および後側シール部材10eの作用により、密封状態になっていることである。
【0024】
したがって、ヒートシール10bの破断前のカートリッジ10からその収容内容物が洩れるようなことはなく、当該カートリッジそれぞれの管理を簡単,効率的におこなうことができる。
【0025】
ノック式ディスペンサーの使用にともなって略空状態となった旧カートリッジ10を交換するには、
(21)先ず前軸筒ユニットAおよびこれに装填された旧カートリッジ10からなる前部分と、後軸筒ユニットBの後部分とを分離し、
(22)次に前軸筒ユニットAの後側保持部材8から旧カートリッジ10を取外し、
(23)次に前軸筒ユニットAの後側保持部材8に新カートリッジ10を取り付け、
(24)次に前軸筒ユニットAの外側筒状部1cに後軸筒ユニットBの前端側内周面をネジ結合させればよい。
【0026】
なお、後側保持部材8の外周面および環凸状部8aに新カートリッジ10を取り付ける際、そのヒートシール10bが貯留部材5の後端部分に当たって破断される。その結果、貯留部材5およびカートリッジ10それぞれの内部空間域が上流弁部材7を介して連通可能となる。
【0027】
図1の静止モードでは、
(31)コイルスプリング4の作用により、前側保持部材3,貯留部材5,後側保持部材8およびカートリッジ10のいわば一体物と、当該カートリッジの鞘状本体上面部10jに当接した状態の操作ボタン14と、の全体が後方向に駆動され、
(32)下流弁部材6は、前側保持部材3の後端部分で後方向に押されて、その後面内端部分がカラー部材2の中径鞘状部2dの前面(小径筒状部2bとの境界段部)に当接した、
状態になっている。
【0028】
すなわち、カラー部材2の孔部2cが下流弁部材6の内周面6aで閉塞され、かつ、貯留部材5の擂鉢状内周面5aに上流弁部材7のカップ状部7dが密接している。
【0029】
この下流弁部材6および上流弁部材7の弁作用により貯留空間域5bは一つの閉空間状態に設定され、当該貯留空間域には次回の吐出対象の内容物が収容されている。
【0030】
静止モードのノック式ディスペンサーのキャップ9を前軸筒1の外側筒状部1cから取り外して、操作ボタン14の前方(図示下方)へのノック操作を行なうと、図2で示すように、
(41)操作ボタン14が、その被案内凸状部14aと案内部材12の縦溝状部12bとの間のガイド作用にしたがって、回動することなく前方に移動し、
(42)この操作ボタン14と連動する形で、カートリッジ10およびそれとの一体物、すなわちカートリッジ10,後側保持部材8,貯留部材5および前側保持部材3がコイルスプリング4の付勢力に抗する形で前方向に移動し、
(43)この貯留部材5などの前方向への移動にともなって貯留空間域5bの容積が減少してそこでの内容物圧力が大きくなるので、下流弁部材6が当該圧力で図2の白矢印で示すように前方へと駆動され、
(44)この下流弁部材6の前方への移動により、その内周面6aと、カラー部材2の内容物通過用の孔部2cとのそれまでの閉状態が解除され、作動モードへと移行する。
【0031】
この作動モードへの移行にともない、貯留空間域5bの収容内容物が、図2の黒矢印で示すように「貯留空間域5b−孔部2c−カラー部材2の内部空間域−内側筒状部1bの内部空間域−孔部1a」を経て外部空間域に吐出される。
【0032】
このとき上流弁は閉じたまま、すなわち上流弁部材7のカップ状部7dは貯留部材5の擂鉢状内周面5aに密接したままである。
【0033】
そして操作ボタン14のノック操作が終了すると、コイルスプリング4の作用により、ノック操作時とは逆に、前側保持部材3,貯留部材5,後側保持部材8,カートリッジ10および操作ボタン14が後方向へ移動して、それぞれ図1の静止モード位置へと復帰する。
【0034】
また、下流弁部材6も前側保持部材3の後端部分に押される形で同じく後方向へ移動して静止モード位置へ復帰する。これにより、それまで開状態となっていたカラー部材2の孔部2cは下流弁部材6の内周面6aで閉塞される。
【0035】
一方、上流弁部材7はノック操作時の閉状態から開状態へとシフトする。
それは、ノック操作終了にともなう貯留部材5の後方への復帰動作によりその貯留空間域5bの容積が増大して、そこでの残留内容物圧力および上流弁部材7のコイル状部分7cの上方向への弾性力の和よりも、カートリッジ10の内容物収容域10dの内容物圧力の方が大きくなるからである。
【0036】
すなわち、上流弁部材7は、内容物収容域10dの内容物圧力に応じてコイル状部分7cおよびカップ状部7dが前方に変位する(環状基部7aは変位しない)。この変位によりカップ状部7dが貯留部材5の擂鉢状内周面5aから離間し、カートリッジ10の内容物が貯留空間域5bへ流入する。
【0037】
この内容物10dの流入動作は概略、「貯留空間域5bの内容物圧力+上流弁部材7の後方向への付勢力」と「カートリッジ10の内容物圧力」とがバランスした段階で終了する。
【0038】
なお、カートリッジ10から貯留空間域5bへの内容物流入にともない、カートリッジ内部圧力が大気圧よりも小さくなるので、後側シール部材10eは、内容物未収納空間域10gからの大気圧によって押される形で前方向(図示下方向)に移動する。
【0039】
この内容物未収納空間域10gへの外気供給径路は、「外部空間域−尾栓部材13,案内部材12の各内面と操作ボタン14の外面との隙間部分−操作ボタン14の切欠状部14b−カートリッジ10の鞘状本体上面孔部10h」である。
【0040】
なお、カラー部材2の小径筒状部2bに下流弁部材6を取り付けるには、前広がりのテーパ状外周面が後端側に形成された中径鞘状部2dに、その後側(図示上側)から当該下流弁部材を入れ込んでいく。このときテーパ状外周面は下流弁部材6の内周面6aへの拡開作用を呈する。
【0041】
本発明が、図示の内容物カートリッジおよびノック式ディスペンサーに限定されないことは勿論である。
【0042】
例えば、ヒートシール10bのシール性状,カートリッジ開口部への固定態様を、カートリッジ10が後側保持部材8に取り付けられるのに先立って、利用者が当該ヒートシールを破断できるような態様にしてもよい。
【0043】
また、カートリッジ10に対するノック操作手段や当該カートリッジから供給される内容物の吐出手段の具体的構成としては図示以外の各種構成を用いることができる。
【0044】
本発明の用途は、化粧品,洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,接着剤,潤滑剤などの各種用途である。
【0045】
カートリッジ10に収納される内容物は、例えば乳液,ゼリー状液体や粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物などである。
【0046】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0047】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0048】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0049】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0050】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼインなどを用いる。
【0051】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料などを用いる。
【0052】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
A:前軸筒ユニット
B:後軸筒ユニット
【0054】
(前軸筒ユニットAに関して)
1:前軸筒
1a:内容物吐出用の孔部
1b:内側筒状部
1c:外側筒状部
1d:環凸状部分
1e:複数のリブ状部
1f:凸状部
2:カラー部材
2a:大径筒状部
2b:小径筒状部
2c:内容物通過用の孔部
2d:中径鞘状部
3:前側保持部材
3a:環凸状部
4:コイルスプリング
5:貯留部材
5a:擂鉢状内周面
5b:吐出対象内容物の貯留空間域
6:下流弁部材(吐出弁部材)
6a:内周面
6b:スカート部
7:上流弁部材(吸込弁部材)
7a:環状(鍔状)基部
7b:切欠状部
7c:コイル状部分
7d:カップ状部
8:後側保持部材
8a:環凸状部
9:キャップ
【0055】
(内容物収容カートリッジに関して)
10:カートリッジ
10a:鞘状本体,
10b:ヒートシール
10c:開口側内周面部
10d:内容物
10e:後側シール部材
10f:スカート部
10g:内容物未収容空間域
10h:外気供給用の鞘状本体上面孔部
10j:鞘状本体上面部
【0056】
(後軸筒ユニットBに関して)
11:後軸筒
12:案内部材
12a:環凸状部
12b:複数の縦溝状部
13:尾栓部材
14:ノック式の操作ボタン
14a:複数の被案内凸状部
14b:切欠状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノック式ディスペンサーの内容物吐出機構に取り付けた形で使用される内容物カートリッジにおいて、
内容物を収容し、かつ、操作ボタンのノック操作により駆動されて作動モードへ移行する鞘状本体と、
前記鞘状本体の開口部に破断可能な状態で固定されて前記内容物を封止するシール部と、からなり、
前記鞘状本体は少なくとも、
前記内容物が収容された内部空間域と、
前記操作ボタンのノック操作にともなう駆動力を受ける受け面部分と、
前記内容物吐出機構の一部に保持される開口側被保持部分と、を備えている、
ことを特徴とするノック式ディスペンサー用の内容物カートリッジ。
【請求項2】
前記鞘状本体は、
前記内部空間域の後端側を確定する移動可能なシール部材と、
前記シール部材より後方の鞘状本体内部に生成される内容物未収容空間域と連通して外気を供給するための孔部と、を併せ備えている、
ことを特徴とする請求項1記載のノック式ディスペンサー用の内容物カートリッジ。
【請求項3】
前記シール部は、
ヒートシールである、
ことを特徴とする請求項1または2記載のノック式ディスペンサー用の内容物カートリッジ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の内容物カートリッジの保持部を有する内容物吐出機構を備えた、
ことを特徴とするノック式ディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−239847(P2011−239847A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112656(P2010−112656)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】