説明

ノルエピネフリン、セロトニンまたはドーパミン再取り込み阻害剤として有用な3−アザビシクロ(4.1.0)ヘプタン誘導体

本発明は、式(I)で示される化合物、それらの製造方法、これらの製造方法に用いられる中間体、それらを含有する医薬組成物、ならびにセロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)再取り込み阻害剤としての治療におけるそれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、それらの製造方法、これらの製造方法に用いられる中間体、それらを含有する医薬組成物、ならびにセロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)再取り込み阻害剤としての治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
脳組織は、シナプスと称される特異的な細胞構造により情報を交換し合うことができる神経細胞から成る。シナプスにおけるニューロン間のシグナル交換は、受容体と称されるシナプス後およびシナプス前の特異的な標的タンパク質分子に対して作用する神経伝達物質と称される神経化学的メッセンジャーによって起こる。モノアミン類は、共通の化学的特徴を共有する小さな神経伝達物質分子の一ファミリーであり、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)が挙げられる。
【0003】
モノアミン神経伝達物質は、ニューロン間のシナプス間隙に放出され、標的細胞の膜上にある受容体と相互作用する。神経化学的シグナルの切換は、主に、モノアミン輸送体(5−HTについてはSERT、DAについてはDAT、NEについてはNET)と称される他のタンパク質分子を介する神経伝達物質分子の除去により生じる。輸送体は、神経伝達物質分子を結合することができ、それらをシナプス前終末に移動させることができ、この細胞機構を再取り込みという。再取り込みプロセスの薬理学的阻害は、シナプスレベルでモノアミンの増加を引き起こすことができ、その結果として、神経伝達物質の生理学的活性の亢進を引き起こすことができる。
【0004】
脳におけるセロトニン作動性神経伝達は、14種類のサブタイプを含むGタンパク質結合受容体およびリガンド依存性イオンチャネルの両方を含む大きなファミリーの受容体によって媒介され、様々な生理学的機能に関与している。
【0005】
SERTでの阻害特性をもつ化合物は、ヒトを包含する哺乳動物において、この神経系に関連する様々な障害、例えば、摂食障害、大うつ病および気分障害、強迫性障害、パニック障害、アルコール依存症、疼痛、記憶欠損および不安を治療する能力を有すると予想される。これらの障害には、うつ関連障害、例えば、仮性認知症またはガンザー症候群、片頭痛、過食症、糖尿病、月経前症候群または黄体期後期症候群、タバコ乱用、パニック障害、心的外傷後ストレス症候群、記憶喪失、老年性認知症、後天性免疫不全症候群認知症複合、老人性記憶障害、社会恐怖症、注意欠陥/多動性障害、慢性疲労症候群、早漏症、勃起困難、神経性食欲不振症、睡眠障害、自閉症、無言症または抜毛癖が挙げられる。
【0006】
大うつ病は、深い悲しみの感情、自己否定気分、絶望感、およびあらゆる愉しみに対する無関心(無快感症)、死について繰り返し考えること、精神機能低下、エネルギー喪失、意思決定不能(しばしば、不安および興奮を伴う)を包含するいくつかの症状を特徴とする感情障害または気分の障害である。これらの症状は、持続的であり、軽度から重度までの範囲であり得る。
【0007】
大うつ病の病態生理学が多因子症候群であることはあまり理解されておらず、このため、数種類の神経伝達物質系が原因とされてきた。しかしながら、一般に、該障害は、重要な脳の区域におけるモノアミン神経伝達物質(主に、NEおよび5−HT)のシナプス濃度の低下によるものであると考えられ、うつ病の「モノアミン理論」につながる。
【0008】
いくつかの前臨床的および臨床的証拠は、セロトニン媒介神経伝達の増強が、大うつ病の治療に有効であるかもしれないことを示しており、実際に選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、ここ20年の間にうつ病の治療を支配するようになってきた。最初に導入されたSSRIであるフルオキセチンはこのグループのプロトタイプである。他のメンバーとしては、パロキセチン、セルトラリン、フルボキサミン、シタロプラムが挙げられる。
【0009】
しかしながら、これらの薬剤がどのように作用してうつ病を軽減するかは厳密には明らかではない。他の分類の抗うつ剤と同様に、セロトニン再取り込みの迅速な遮断にもかかわらず、気分高揚効果の発現までには数週間のラグがある。SSRIの慢性的な投与の後にセロトニン作動性シナプスにて二次的な適応変化、すなわち、放出調節自己受容体のダウンレギュレーションおよび神経伝達物質放出の増加が生じるに違いないと考えられる。抗うつ効果の発現の遅延は、現在用いられているSSRIの重大な欠点であると考えられる。さらにまた、SSRIの一般的に良好な認容性があるが、中枢シナプスおよび末梢シナプスでの5−HTレベルの上昇により、胃腸管系の副作用および性的な副作用に加えて煽動および不穏の一因となる5−HT2Cおよび5−HT3のような受容体サブタイプが刺激される。
【0010】
SSRIの成功は、有望な抗うつ剤としての選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)の開発への関心を再燃させた。このような化合物が数多く合成されてきた、例えば、ニソキセチン、マプロチリン、トモキセチンおよびレボキセチン。さらにまた、イミプラミンおよびアミトリプチリン(SERT力価 > NET)ならびにデシプラミン、ノルトリプチリンおよびプロトリプチリン(NET力価 > SERT)のような旧三環系抗うつ剤を含む多くの化合物はNET−SERT混合阻害プロファイルを持っている。
【0011】
DATの薬理学的処置は、主に、中脳辺縁系におけるDAレベルを上昇させて大うつ病の中核症状である無快感症を改善する能力を持つことがある。DAT阻害成分は、SERTおよびNETの遮断と組み合わせて、うつ病患者に見られる意欲および注意力の欠陥を改善する能力ならびに認知障害を増強する能力を持つこともある。他方、DATの遮断は、潜在的な強化効果および乱用傾向を回避するために、注意深く管理されなければならない。しかしながら、デクスメチルフェニデート、メチルフェニデートおよびブプロピオンのような、薬効薬理においてDAT阻害をもつ化合物は、うまく市場参入ができている。
【0012】
臨床研究により、SSRIに対する反応が乏しい患者にとってドーパミン作動性を増強する薬剤による併用療法が有効であることが示される。結果として、十分に均衡のとれたNET遮断と適度なDAT阻害活性とを組み合わせた強力なSERT阻害活性をもつ化合物は、無応答患者を治療するための現行の併用療法の代替法をもたらすことができ、より迅速な抗うつ効果発現とともにより大きな効力および治療フレキシビリティをもたらすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の化合物は、それらの有用なDAT阻害により、パーキンソニズム、うつ病、糖尿病、ナルコレプシー、コカイン乱用を含む薬物依存または濫用、注意欠陥/多動性障害、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群および老人性認知症の治療に有用であると考えられる。ドーパミン再取り込み阻害剤は、ドーパミンニューロンを介して間接的にアセチルコリンの放出を増強し、したがって、例えばアルツハイマー病、初老期認知症、老人性記憶障害および慢性疲労症候群における、記憶欠損の治療に有用である。ノルアドレナリン再取り込み阻害剤は、注意力、用心深さ、覚醒および覚醒状態の増強、ならびにうつ病の治療に有用であると考えられる。
【0014】
本発明の目的は、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)再取り込み阻害剤である化合物を含む新規医薬組成物を提供することである。さらにまた、本発明の目的は、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)再取り込み阻害剤である新規化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
1は、水素またはC1-4アルキルであり;
2は、基AまたはWであり(ここで、
Aは、
【化2】

であり(ここで、pは、0、1、2、3、4または5であり、R4は、ハロゲンである);
Wは、水素、シアノおよびC1-4アルキルからなる群から各々独立して選択される1〜7個の基R6によって置換されていてもよいαまたはβナフチル基である);
3は、基P:
【化3】

である(ここで、R5は、水素、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、C3-6シクロアルキルおよびC3-6シクロアルキルC1-3アルキルからなる群から選択され、nは、1または2である)]
で示される式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
式(I)において、「*」は、結合する箇所を示す。
【0017】
「C1-4アルキル」なる用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルのような、炭素原子1〜4個を有するあらゆる異性体形態のアルキル基をいう。「C1-3アルキル」なる用語は、炭素原子1〜3個を有するあらゆる異性体形態のアルキル基、すなわち、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルをいう。
【0018】
本明細書で用いる場合の「C3-6シクロアルキル」なる用語は、飽和であっても不飽和であってもよい、炭素原子3〜6個の非芳香族単環式炭化水素環を意味する。飽和シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルが挙げられ;一方、不飽和シクロアルキルとしては、シクロペンテニル、シクロヘキセニルおよび同類のものが挙げられる。
【0019】
本明細書で用いる場合の「C3-6シクロアルキルC1-3アルキル」なる用語は、メチルシクロプロパンのような、1個の水素原子が上記定義のC3-6シクロアルキル基で置き換えられている炭素原子1〜3個を有するアルキルを意味する。
【0020】
「C1-4アルコキシ」なる用語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシのような、炭素原子1〜4個を有する直鎖または分枝鎖状アルコキシ(または「アルキルオキシ」)基をいう。
【0021】
本明細書で用いる場合の「ハロC1-4アルキル」なる用語は、トリフルオロメチル基および同類のもののような、少なくとも1つの水素原子がハロゲン(好ましくは、フッ素)で置換されている、炭素原子1個以上を有するアルキル基を意味する。
【0022】
「ハロゲン」なる用語およびその略語「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)をいう。「ハロ」なる用語が別の基の前で用いられる場合、この基が1つ以上のハロゲン原子によって置換されていることを示す。
【0023】
一の実施態様では、R1は、水素である。
【0024】
一の実施態様では、R1は、C1-4アルキルである。
【0025】
一の実施態様では、R2は、
【化4】

である(ここで、pは、0、1、2、3、4または5であり、R4は、ハロゲンである)。
【0026】
一の実施態様では、R2は、1、2または3つのハロゲンによって置換されているフェニルである。
【0027】
一の実施態様では、R2は、2つのハロゲンによって置換されているフェニルである。
【0028】
一の実施態様では、R2は、ジクロロフェニルである。一の実施態様では、R2は、3,4−ジクロロフェニルである。
【0029】
一の実施態様では、R2は、水素、シアノおよびC1-4アルキルからなる群から各々独立して選択される1〜7個の基R15によって置換されていてもよいαまたはβナフチル基である。
【0030】
一の実施態様では、R3は、基:
【化5】

であり、nは1である。
【0031】
一の実施態様では、nは2である。
【0032】
一の実施態様では、R5は、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、C3-6シクロアルキルおよびC3-6シクロアルキルC1-3アルキルからなる群から選択される。
【0033】
一の実施態様では、R5はC1-4アルキルである。
【0034】
一の実施態様では、R5はメチルまたはエチルである。
【0035】
当然のことながら、式(I)で示される化合物は、少なくとも3つのキラル中心、すなわち、分子の3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン部分の1位、6位および7位にキラル中心を有する。縮合シクロプロピル環の各角の立体中心の絶対配置は、基の優先順位に基づくカーン・インゴルド・プレログ命名法を用いて付与され得る。
【0036】
当然のことながら、ほとんどの生物学的に活性な分子と同様に、生物学的活性のレベルは、所定の分子の個々の立体性異性体間で異なることがある。本発明の範囲は、本明細書に記載の方法を参照して適当な生物学的活性を示す全ての個々の立体異性体(ジアステレオ異性体およびエナンチオマー)およびその混合物の全て(ラセミ混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない)を包含することが意図される。
【0037】
縮合シクロプロパン環の存在のために、式(I)で示される化合物は、置換基が「シス」配置となると考えられる(二環式環系に結合した2つの水素はどちらも二環式環系の同一面上にある)。
【0038】
本発明の一の実施態様では、シクロプロピル部分付近の二つの結合の太線によって表されている「シス」配置をもつ式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグに相当する式(I'):
【化6】

[式中、R1、R2およびR3は、式(I)で示される化合物について上記で定義したとおりである]
で示される化合物が提供される。
【0039】
以下、記号「‘」(プライム符号)は、シクロプロピル部分付近の2つの結合の太線によって表される「シス」配置をもつ化合物を示すために用いられ、これらの化合物は、立体異性体の混合物である(ラセミ混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない)。
【0040】
当業者には当然のことながら、式(I')で示される化合物は、基R2およびシス配置の2つの水素原子の空間における相対的な配置によって生じるエキソまたはエンド相対立体化学を有することができる。
【0041】
下記構造は、式エンド−(I')およびエキソ−(I')の化合物に関するエキソ/エンド相対立体化学を示す:
【化7】

【0042】
式エキソ−(I')で示される化合物における結合の太字は、基R2およびシス配置の2つの水素原子がシクロプロパン環と同一面上にあることを示している。
【0043】
式エンド−(I')で示される化合物における結合の太字は、基R3およびシス配置の2つの水素原子がシクロプロパン環と同一平面上にあることを示している。
【0044】
式(I')で示される化合物が、以下に示すように、式(IA)および(IB)で示されるジアステレオ異性体、すなわち、二環式環の1位および6位にてエナンチオマーで存在することができることは当業者には理解されるであろう:
【化8】

【0045】
また、当業者には当然のことながら、式(I')で示される化合物は、以下に示すように、式(IC)、(ID)、(IE)および(IF)で示される少なくとも4つの立体異性体で存在することができる:
【化9】

【0046】
式(IC)および(ID)で示される立体異性体が式エキソ−(I')で示される化合物の単一のエナンチオマーを表すことは当業者には理解されるであろう。
【0047】
式(IE)および(IF)で示される立体異性体が式エンド−(I')で示される化合物のエナンチオマーを表すことは当業者には理解されるであろう。
【0048】
式(I)で示される化合物の全ての特徴および実施態様は、変更すべきところは変更して、式(I')、(IA)、(IB)、(IC)、(ID)、(IE)および(IF)で示される化合物に適用される。
【0049】
本明細書で用いる場合の「塩」なる用語は、無機または有機の酸または塩基から調製される本発明の化合物のいずれかの塩、第四アンモニウム塩および内部形成塩をいい、医薬上許容される塩も含む。医薬上許容される塩は、親化合物と比べて水溶性が高いので、特に医薬用途に適している。かかる塩は、明らかに、生理学的に許容される陰イオンまたは陽イオンを持っていなければならない。
【0050】
本発明の化合物には、1当量以下または以上の酸または塩基と酸付加塩または塩基付加塩を形成し得るものがある。本発明は、その範囲内に、全ての起こり得る化学量論的形態および非化学量論的形態を包含する。
【0051】
医薬上許容される塩は、慣用的な方法を使用して、式(I)で示される化合物の、他の医薬上許容される塩を包含する、他の塩から調製することもできる。
【0052】
好適には、本発明の化合物の医薬上許容される塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸のような無機酸、および酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ナフトエ酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンファースルホン酸、イソチオン酸、ムチン酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィニル酸、アルギニン酸、ガラクツロン酸およびアリールスルホン酸、例えば、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸のような有機酸を用いて形成された酸付加塩;アルカリ金属およびアルカリ土類金属、およびN,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、リジンおよびプロカインのような有機塩基を用いて形成された塩基付加塩;ならびに内部形成塩を包含する。医薬上許容されない陰イオンまたは陽イオンを有する塩は、医薬上許容される塩の調製のための有用な中間体として、および/または非治療的な状況(例えば、インビトロ)で用いるために、本発明の範囲内にある。
【0053】
有機化学分野の当業者には当然のことながら、多くの有機化合物は、それらと反応するかまたはそれらを沈殿もしくは結晶化させる溶媒と錯体を形成することができる。これらの錯体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との錯体は「水和物」として知られている。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内である。式(I)で示される化合物は、結晶化または適当な溶媒の蒸発によって溶媒分子と共に容易に単離されて、対応する溶媒和物を生じうる。
【0054】
また、プロドラッグも本発明の範囲内に含まれる。本明細書で用いる場合の「プロドラッグ」なる用語は、体内で、例えば血液中での加水分解によって、医薬効果をもつ活性形態に変換される化合物を意味する。医薬上許容されるプロドラッグは、T. Higuchi and V. Stella, Prodrugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series, Edward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987、およびD. Fleisher, S. Ramon and H. Barbra “Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs”, Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2) 115-130に記載されている。
【0055】
プロドラッグは、一般に、修飾部がルーチン的な操作によるかまたはインビボで切断されて親化合物が得られるような方法で官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグとしては、例えば、ヒドロキシ基、アミン基またはスルフヒドリル基を、患者に投与されると切断されてヒドロキシ基、アミン基またはスルフヒドリル基を形成する基と結合させる、本発明の化合物が挙げられる。かくして、プロドラッグの代表的な例としては、構造(I)の化合物のアルコール、スルフヒドリルおよびアミン官能基の酢酸エステル、ギ酸エステルおよび安息香酸エステル誘導体が挙げられる(これらに限定されるものではない)。また、カルボン酸(−COOH)の場合、メチルエステル、エチルエステルのようなエステルを用いることができる。エステルは、それ自体が活性であり得るか、および/または、ヒトの体内でインビボ条件下にて加水分解可能であり得る。好適な医薬上許容されるインビボ加水分解性エステル基としては、ヒトの体内で容易に分解して親酸またはその塩を残すものが挙げられる。
【0056】
以下、本発明の態様において定義された式(I)で示される化合物ならびにそれらの医薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ(化学的プロセスにおける中間化合物は除く)を、「本発明の化合物」と称する。
【0057】
さらにまた、本発明の化合物の結晶形態のいくつかは多形体として存在することができ、それらは本発明に包含される。
【0058】
当業者には当然のことながら、本発明の化合物の製造において、望ましくない副反応を防ぐために分子中の1つ以上の感受性基を保護することが必要であるか、および/または望ましい場合がある。本発明の使用のために好適な保護基は、当業者に周知であり、慣用の方法で使用することができる。例えば、“Protective groups in organic synthesis” by T.W. Greene and P.G.M. Wuts (John Wiley & sons 1991)または“Protecting Groups” by P.J. Kocienski (Georg Thieme Verlag 1994)を参照。好適なアミノ保護基の例としては、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換Cbz)、脂肪族ウレタン型保護基(例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチル、クロロトリチル)が挙げられる。好適な酸素保護基の例としては、例えば、トリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルのようなアルキルシリル基;テトラヒドロピラニルまたはtert−ブチルのようなアルキルエーテル;または酢酸エステルのようなエステルが挙げられる。
【0059】
本発明は、1個またはそれ以上の原子が、自然界にて通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子と置き換えられたこと以外は、式(I)およびそれに続く式において記載されるものと同一の同位体標識化合物もまた包含する。本発明の化合物およびその医薬上許容される塩に取り込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素の同位体が挙げられ、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123Iおよび125Iが挙げられる。
【0060】
上記同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物およびその医薬上許容されない塩は本発明の範囲内である。本発明の同位体標識化合物、例えば、3H、14Cのような放射性同位体が取り込まれているものは、薬物および/または基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム同位体(すなわち、3H)および炭素−14同位体(すなわち、14C)は、それらの製造の容易さおよび検出能のために特に好ましい。11Cおよび18F同位体は、PET(陽電子放射型断層撮影)に特に有用であり、125I同位体は、SPECT(単一光子放射型コンピューター断層撮影)に特に有用であり、全て、脳画像診断に有用である。さらに、ジュウテリウム(すなわち、2H)のようなより重い同位体での置換は、大きい代謝安定性により生じるある種の治療的利点、例えば、インビボ半減期の増加または必要用量の減少をもたらすことができ、故に、状況によっては好ましいことがある。本発明の同位体標識化合物およびその医薬上許容されない塩は、一般に、同位体標識されていない試薬の代わりに容易に入手可能な同位体標識試薬を用いることにより下記スキームおよび/または下記実施例に記載されている方法を行うことによって製造され得る。
【0061】
一の実施態様では、本発明の化合物は、
(1S,6R,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1S,6R,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1S,6R,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(メチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(メチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1S,6R,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(エチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(エチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ならびに
それらの医薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ
からなる群から選択される。
【0062】
一の実施態様では、本発明の化合物は、
(1S,6R,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1S,6R,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1S,6R,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(メチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(メチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1S,6R,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(エチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(エチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ならびに
それらの溶媒和物およびプロドラッグ
からなる群から選択される。
【0063】
本発明はまた、本発明の化合物の製造方法を提供している。本発明の化合物は、以下の合成スキームに従って製造することができる。
【0064】
式(Ia)で示される化合物、すなわち、R1がアルキル基である式(I)で示される化合物は、スキーム1に従って、室温でプロトン性溶媒(例えば、メタノール)中にて適当なアルデヒドまたはケトン、およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤を用いて標準的な還元的アミノ化法により、式(Ib)で示される化合物、すなわち、R1が水素であり、R3が基Xであり、nが1である式(I)で示される化合物を反応させることによって得ることができる。
【0065】
【化10】

【0066】
上記で定義した式(Ib)で示される化合物は、スキーム2に従って、式(Ic)で示される化合物、すなわち、Pgが好適なN保護基(典型的には、BOC)である式(Ib)で示される化合物から、N−Pg基の脱保護により(例えばBOCの場合には、0℃〜室温でDCM中にてTFAを用いて)得ることができる。
【0067】
【化11】

【0068】
式(Ic)で示される化合物は、スキーム3に従って、式(Id)で示される化合物から、標準的なアルキル化法により、例えば0℃〜室温で非プロトン性溶媒(例えば、DMF)中にて強塩基(例えば、NaH)の存在下でR5Xアルキル化剤(ここで、Xは、ハロゲン原子のような脱離基であり、R5は、式(I)について定義されたとおりである)を用いて得ることができる。
【0069】
【化12】

【0070】
式(Id)で示される化合物は、スキーム4に従って、式(II)で示される化合物から、0℃〜室温でMeOH中NaBH4のような還元剤による還元によって得ることができる。
【0071】
【化13】

【0072】
式(II)で示される化合物は、スキーム5に従って、式(III)で示される化合物から、0℃〜45℃でトルエン中DIBALのような還元剤によるニトリル基の還元により得ることができる。
【0073】
【化14】

【0074】
式(III)で示される化合物は、スキーム6に従って、式(IV)で示される化合物から、NaHのような強塩基の存在下でDMEのような非プロトン性溶媒中にて式(V)で示される化合物との反応によって得ることができる。
【0075】
【化15】

【0076】
式(IV)で示される化合物は、スキーム7に従って、式(VI)で示される化合物から、DCM中塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下での塩化チオニルとの反応、次いで、かくして得られた中間体の過ヨウ素酸ナトリウムおよび塩化ルテニウム(III)・水和物による酸化によって得ることができる。
【0077】
【化16】

【0078】
式(VI)で示される化合物は、スキーム8に従って、式(VII)で示される化合物から、NMOの存在下におけるTHF/tert−ブタノール/水の混合溶液中での四酸化オスミウム触媒ジヒドロキシル化反応により得ることができる。
【0079】
【化17】

【0080】
1が水素であり、R3が基Xであり、nが2である式(I)で示される化合物である式(Ie)で示される化合物は、スキーム9に従って、式(If)で示される化合物、すなわち、Pgが好適なN保護基(典型的には、BOC)である式(Ie)で示される化合物から、N−Pg基の脱保護により(例えばBOCの場合には、0℃〜室温でDCM中TFAを用いて)得ることができる。
【0081】
【化18】

【0082】
上記にて定義した式(If)で示される化合物は、スキーム10に従って、式(Ig)で示される化合物から、標準的なアルキル化法により、例えば0℃〜室温で非プロトン性溶媒(例えば、DMF)中にて強塩基(例えば、NaH)の存在下でR5Xアルキル化剤(ここで、Xは、ハロゲン原子のような脱離基であり、R5は、式(I)について定義したとおりである)を用いて得ることができる。
【0083】
【化19】

【0084】
式(Ig)で示される化合物は、スキーム11に従って、式(VIII)で示される化合物から、0℃〜室温でTHF中ボラン−THF錯体によるアルケンのヒドロホウ素化、次いで、0℃にて過酸化水素および3.0M NaOHによる酸化によって得ることができる。
【0085】
【化20】

【0086】
式(VIII)で示される化合物は、スキーム12に従って、式(IX)で示される化合物から、室温でTHF中にてメチレントリフェニルホスホラン(トリフェニルホスフィンメチリデン)を用いてウィッティッヒ反応により得ることができる。
【0087】
【化21】

【0088】
本発明の化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオ異性体は、例えばキラルHPLCのようなキラルクロマトグラフィー法を使用して、対応するエナンチオマー混合物またはジアステレオ異性体混合物から得ることができる。別法として、当該化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオ異性体は、キラル酸による沈殿のようなキラル結晶化法を使用して、対応するエナンチオマー混合物またはジアステレオ異性体混合物から得ることができる。また、本発明の化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオ異性体は、本明細書に記載する一般的な方法のいずれかを使用して適当な光学活性中間体から合成することができる。別法として、本発明の化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオ異性体は、本明細書に記載する一般的な方法のいずれかを使用し、それと上記した慣用の分割方法のいずれかを組み合わせて、適当な立体化学的に富む中間体から合成することができる。
【0089】
光学活性中間体または立体化学的に富む中間体は、慣用的な方法を使用して対応するエナンチオマー混合物またはジアステレオ異性体混合物の分割によって、または、立体選択的反応の履行もしくは異なる分割技術を併用することによって得ることができる。また、当該化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオ異性体は、上記した慣用の方法を併用することによって得ることができる。
【0090】
本発明の化合物は、当該化合物のモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に反応する障害または疾患の治療に有用である。本発明の化合物は、この活性のために、パーキンソニズム、うつ病、摂食障害、睡眠障害、物質関連障害、注意欠陥/多動性障害、不安障害、認知障害、性的機能不全、強迫スペクトル障害、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群および老人性認知症、ならびに当該化合物のモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に感受性のある他の障害の治療に有用なものである。
【0091】
本発明の関連の中で、本明細書中で使用される適応症を記載する用語は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Edition, published by the American Psychiatric Association(DSM−IV)および/またはInternational Classification of Diseases, 10th Edition(ICD−10)において分類されている。本明細書に記載する障害の様々な亜型は、本発明の部分であることを意図されるものである。以下に列挙する疾患の後の括弧内の番号は、DSM−IVにおける分類番号である。
【0092】
「うつ病」なる用語は、以下のものを包含する:
うつ病および気分障害(大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードおよび軽躁病エピソードを含む);うつ病性障害(大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能のうつ病性障害(311)を含む);他の気分障害(うつ病性の特徴を伴う亜型、大うつ病様エピソードを伴う亜型、躁病性の特徴を伴う亜型および混合性の特徴を伴う亜型を含む一般身体疾患に因る気分障害(293.83)を含む);物質誘発性気分障害(うつ病性の特徴を伴う亜型、躁病性の特徴を伴う亜型および混合性の特徴を伴う亜型を含む);ならびに特定不能の気分障害(296.90):
双極型障害(双極型I障害、双極型II障害(すなわち、軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および特定不能の双極型障害(296.80)。
【0093】
「不安障害」なる用語は、以下のものを包含する:
不安障害(パニック発作を含む);パニック障害(広場恐怖を伴わないパニック障害(300.01)および広場恐怖を伴うパニック障害(300.21)を含む);広場恐怖;パニック障害の既往歴のない広場恐怖(300.22)、特定の恐怖症(300.29、以前は単一恐怖)(動物型、自然環境型、血液・注射・外傷型、状況型およびその他の型の亜型を含む)、社会恐怖(社会不安障害、300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般身体疾患に因る不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害、分離不安障害(309.21)、不安を伴う適応障害(309.24)および特定不能の不安障害(300.00)。
【0094】
「物質関連障害」なる用語は、以下のものを包含する:
物質関連障害(物質依存、物質渇望および物質乱用のような物質使用障害を含む);物質誘発性障害(例えば、物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘性障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能障害、物質誘発性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック));アルコール関連障害(例えば、アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘性障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性機能障害、アルコール誘発性睡眠障害および特定不能のアルコール関連障害(291.9));アンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害(例えば、アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性機能障害、アンフェタミン誘発性睡眠障害および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9));カフェイン関連障害(例えば、カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害および特定不能のカフェイン関連障害(292.9));大麻関連障害(例えば、大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害および特定不能の大麻関連障害(292.9));コカイン関連障害(例えば、コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性機能障害、コカイン誘発性睡眠障害および特定不能のコカイン関連障害(292.9));幻覚剤関連障害(例えば、幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9));吸入剤関連障害(例えば、吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害および特定不能の吸入剤関連障害(292.9));ニコチンに関連する障害(例えば、ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および特定不能のニコチン関連障害(292.9));オピオイド関連障害(例えば、オピオイド依存(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘発性精神病性障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性機能障害、オピオイド誘発性睡眠障害および特定不能のオピオイド関連障害(292.9));フェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害(例えば、フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9));鎮静剤、催眠剤または抗不安薬関連障害(例えば、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬乱用(305.40)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬持続性認知症、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬持続性健忘性障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性気分障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性不安障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性性機能障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性睡眠障害および特定不能の鎮静剤、催眠剤または抗不安薬関連障害(292.9));多物質関連障害(例えば、多物質依存(304.80));ならびに他の(または不明の)物質関連障害(例えば、タンパク質同化ステロイド、硝酸塩吸入剤および亜酸化窒素)。
【0095】
「睡眠障害」なる用語は、以下のものを包含する:
原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および特定不能の睡眠異常(307.47)のような睡眠異常のような原発性睡眠障害を含む睡眠障害;悪夢障害(307.47)、睡眠驚愕障害(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)および特定不能の睡眠時随伴症(307.47)のような睡眠時随伴症のような原発性睡眠障害;他の精神障害に関連した不眠症(307.42)および他の精神障害に関連した過眠症(307.44)のような他の精神障害に関連した睡眠障害;一般健康状態に因る睡眠障害;ならびに物質誘発性睡眠障害(亜型である不眠症型、過眠症型、睡眠時随伴症型および混合型を含む)。
【0096】
「摂食障害」なる用語は、以下のものを包含する:
摂食障害、例えば、神経性無食欲症(307.1)(亜型である制限型およびむちゃ食い/排出型を含む);神経性大食症(307.51)(亜型である排出型および非排出型を含む);肥満;強迫性摂食障害;むちゃ食い障害;ならびに特定不能の摂食障害(307.50)。
【0097】
「注意欠陥/多動性障害」なる用語は、以下のものを包含する:
注意欠陥/多動性障害(亜型である注意欠陥/多動性障害の混合型(314.01)、注意欠陥/多動性障害の不注意優勢型(314.00)、注意欠陥/多動性障害の多動性−衝動性型(314.01)および特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)を含む);多動性障害;分裂的行動障害、例えば、行為障害(亜型である小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および非特定型発症(312.89)を含む)、反抗挑戦性障害(313.81)および特定不能の分裂的行動障害;ならびにチック障害、例えば、トゥレット障害(307.23)。
【0098】
「認知障害」なる用語は、以下のものを包含する:
統合失調症、双極性障害、うつ病、認知障害に関連する他の精神障害および精神病的状態、例えば、アルツハイマー病のような他の疾患における認識障害。
【0099】
「性機能障害」なる用語は、以下のものを包含する:
性機能障害(性的欲求低下障害(302.71)および性嫌悪障害(302.79)のような性的欲求の障害を含む);性的興奮の障害(例えば、女性の性的興奮の障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72));オルガズム障害(例えば、女性オルガズム障害(302.73)、男性オルガズム障害(302.74)および早漏(302.75));性交疼痛障害(例えば、性交疼痛症(302.76)および膣痙攣(306.51));特定不能の性機能障害(302.70);性嗜好異常(例えば、露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯的フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および特定不能の性嗜好異常(302.9));性同一性障害(例えば、小児の性同一性障害(302.6)および青年期または成人の性同一性障害(302.85));ならびに特定不能の性障害(302.9)。
【0100】
「強迫スペクトル障害」なる用語は、以下のものを包含する:
強迫性障害(300.3)、身体表現性障害(身体醜形障害(300.7)および心気症(300.7)を含む)、過食症(307.51)、神経性食欲不振症(307.1)、他に分類されない摂食障害(307.50)(例えば、気晴らし食い)、他に分類されない衝動制御障害(間欠性爆発性障害(312.34)、衝動買い、反復性自傷、爪かみ、心因性表皮剥離、窃盗癖(312.32)、病的賭博(312.31)、抜毛癖(312.39)およびインターネット中毒を含む)、性的倒錯(302.70)および非性的倒錯性セックス中毒、シデナム舞踏病、斜頚、自閉症性障害(299.0)、強迫性買い溜め、および運動障害(トゥーレット症候群(307.23)を含む)を含む強迫スペクトル障害。
【0101】
本明細書記載の障害の様々な形態および下位の形態は全て本発明の部分であることが意図される。
【0102】
実施態様では、本発明の化合物は、鎮痛剤として有用であり得る。例えば、本発明の化合物は、慢性炎症性疼痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ性脊椎炎、通風性関節炎および若年性関節炎に伴う疼痛);筋骨格痛;腰部頸部痛;捻挫および筋挫傷;神経因性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌および線維筋痛症に伴う疼痛;片頭痛に伴う疼痛;インフルエンザまたは他のウイルス感染症(例えば、感冒)に伴う疼痛;リウマチ熱;腸機能障害(例えば、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛および過敏性腸症候群)に伴う疼痛;心筋虚血に伴う疼痛;術後痛;頭痛;歯痛;および月経困難症の治療に有用であり得る。
【0103】
本発明の化合物は、神経因性疼痛の治療に特に有用であり得る。神経因性疼痛症候群は、神経損傷の後に発生する可能性があり、結果として生じる疼痛は、原因となる損傷の治癒後であっても、数ヶ月間または数年間持続することがある。神経損傷は、末梢神経、後根、脊髄、または脳の特定の領域において生じる可能性がある。神経因性疼痛症候群は、それらを誘発した疾患または事象に従って伝統的に分類される。神経因性疼痛症候群としては、糖尿病性神経障害;坐骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症痛;線維筋痛症;HIV関連神経障害;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;および身体的外傷、切断、癌、トキシンまたは慢性炎症状態に起因する疼痛が挙げられる。これらの状態は治療するのが困難であり、いくつかの薬物は限定された効力を有することが知られているが、完全な疼痛管理はほとんど達成されない。神経因性疼痛の症状は、非常に不均一であり、しばしば、突発性の激痛および電撃痛、または進行中の灼熱痛といわれる。加えて、「しびれてピリピリとする感覚(pins and needles)」のような通常は無痛の感覚に伴う疼痛(知覚異常および異常感覚)、接触に対する感受性の増大(知覚過敏)、非侵害性刺激後の痛みの感覚(動的異痛症、静的異痛症または温熱性異痛症)、侵害性刺激に対する感受性の増大(温熱性痛覚過敏、冷感痛覚過敏、機械的痛覚過敏)、刺激除去後の継続する痛みの感覚(痛感過敏)、または選択的感覚経路の欠如もしくは消失(痛覚鈍麻)がある。
【0104】
本発明の化合物はまた、炎症性障害の寛解、例えば、皮膚状態(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼病、例えば、緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎および眼組織への急性損傷(例えば、結膜炎);肺障害(例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、ハト愛好家病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD));胃腸管障害(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、疣状胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、胃腸逆流症);片頭痛、多発性硬化症、心筋虚血のような炎症性要素を有する他の症状の治療に有用であり得る。
【0105】
一の実施態様では、本発明の化合物は、うつ病および不安障害の治療に有用である。
【0106】
別の実施態様では、本発明の化合物は、うつ病の治療に有用である。
【0107】
「治療」とは、予防が関連症状に適している場合、予防を含む。
【0108】
一の態様では、本発明は、治療に用いるための本発明の化合物を提供する。
【0109】
本発明はまた、当該化合物のモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に反応する障害または疾患の治療に用いるための本発明の化合物を提供する。
【0110】
本発明はまた、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有効である症状の治療に用いるための本発明の化合物を提供する。
【0111】
本発明はまた、うつ病または気分障害の治療に用いるための本発明の化合物を提供する。
【0112】
本発明はまた、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に反応する障害または疾患の治療方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に本発明の化合物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0113】
本発明はまた、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有効である症状の治療方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に本発明の化合物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0114】
本発明はまた、うつ病または気分障害の治療方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に本発明の化合物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0115】
本発明はまた、当該化合物のモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に反応する障害または疾患の治療のための薬物の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0116】
本発明はまた、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有効である哺乳動物における症状の治療のための薬物の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0117】
本発明はまた、うつ病または気分障害の治療のための薬物の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0118】
本発明の化合物は、他の治療薬と併用することもできる。かくして、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物をさらなる治療薬と一緒に含む組み合わせを提供する。
【0119】
本発明の化合物は、精神病性障害を治療または予防するために以下の薬剤と併用することができる:i)統合失調症治療薬;ii)錐体外路性副作用のための薬物、例えば、抗コリン作用薬(例えば、ベンズトロピン、ピペリデン、プロシクリジンおよびトリヘキシフェニジル)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)およびドーパミン作用薬(例えば、アマンタジン);iii)抗うつ薬;iv)抗不安薬;ならびにv)抗知性薬、例えば、コリンエステラーゼ阻害薬(例えば、タクリン、ドネペシル、リバスチグミンおよびガランタミン)。
【0120】
本発明の化合物は、うつ病および気分障害を治療または予防するために抗うつ薬と併用することができる。
【0121】
本発明の化合物は、双極型疾患を治療または予防するために以下の薬剤と併用することができる:i)気分安定剤;ii)統合失調症治療薬;およびiii)抗うつ薬。
【0122】
本発明の化合物は、不安障害を治療または予防するために以下の薬剤と併用することができる:i)抗不安薬;およびii)抗うつ薬。
【0123】
本発明の化合物は、ニコチン離脱を改善し、ニコチン渇望を軽減するために以下の薬剤と併用することができる:i)ニコチン置換療法、例えば、ニコチン−β−シクロデキストリンの舌下剤およびニコチンパッチ;ならびにii)ブプロピオン。
【0124】
本発明の化合物は、アルコール離脱を改善し、アルコール渇望を軽減するために以下の薬剤と併用することができる:i)NMDA受容体拮抗薬、例えば、アカンプロセート;ii)GABA受容体作動薬、例えば、テトラバメート(tetrabamate);およびiii)オピオイド受容体拮抗薬、例えば、ナルトレキソン。
【0125】
本発明の化合物は、アヘン離脱を改善し、アヘン渇望を軽減するために以下の薬剤と併用することができる:i)オピオイドμ受容体作動薬/オピオイドκ受容体拮抗薬、例えば、ブプレノルフィン;ii)オピオイド受容体拮抗薬、例えば、ナルトレキソン;およびiii)血管拡張性降圧薬、例えば、ロフェキシジン。
【0126】
本発明の化合物は、睡眠障害を治療または予防するために以下の薬剤と併用することができる:i)ベンゾジアゼピン系薬物、例えば、テマゼパム、ロルメタゼパム、エスタゾラムおよびトリアゾラム;ii)非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、例えば、ゾルビデム、ゾピクロン、ザレプロンおよびインジプロン(indiplon);iii)バルビツール酸系薬物、例えば、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタールおよびフェノバルビタール;iv)抗うつ薬;v)他の鎮静−睡眠薬、例えば、抱水クロラールおよびクロルメチアゾール。
【0127】
本発明の化合物は、食欲不振を治療するために以下の薬剤と併用することができる:i)食欲刺激薬、例えば、シプロヘプチジン(cyproheptidine);ii)抗うつ薬;iii)統合失調症治療薬;iv)亜鉛;ならびにv)月経前薬剤、例えば、ピリドキシンおよびプロゲステロン。
【0128】
本発明の化合物は、過食症を治療または予防するために以下の薬剤と併用することができる:i)抗うつ薬;ii)オピオイド受容体拮抗薬;iii)制吐薬、例えば、オンダンセトロン;iv)テストステロン受容体拮抗薬、例えば、フルタミド;v)気分安定剤;vi)亜鉛;およびvii)月経前薬。
【0129】
本発明の化合物は、本発明の化合物は、自閉症を治療または予防するために以下の薬剤と併用することができる: i)統合失調症治療薬;ii)抗うつ薬;iii)抗不安薬;ならびにiv)刺激薬、例えば、メチルフェニデート剤、アンフェタミン剤およびペモリン。
【0130】
本発明の化合物は、ADHDを治療または予防するために以下の薬剤と併用することができる:i)刺激薬、例えば、メチルフェニデート剤、アンフェタミン剤およびペモリン;ならびにii)非刺激薬、例えば、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(例えば、トモキセチン)、α2アドレナリン受容体作用薬(例えば、クロニジン)、抗うつ薬、モダフィニル、およびコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ガランタミンおよびドネペジル)。
【0131】
本発明の化合物は、人格障害治療するために以下の薬剤と併用することができる:i)統合失調症治療薬;ii)抗うつ薬;iii)気分安定剤;およびiv)抗不安薬。
【0132】
本発明の化合物は、男性性的機能不全を治療または予防するために以下の薬剤と併用することができる:i)ホスホジエステラーゼV阻害剤、例えば、バルデナフィルおよびシルデナフィル;ii)ドーパミン作用薬/ドーパミン輸送阻害剤、例えば、アポモルヒネおよびブプロプリオン;iii)αアドレナリン受容体拮抗薬、例えば、フェントラミン;iv)プロスタグランジン作用薬、例えば、アルプロスタジル;v)テストステロン作用薬、例えば、テストステロン;vi)セロトニン輸送阻害剤、例えば、セロトニン再取り込み阻害剤;v)ノルアドレナリン輸送阻害剤、例えば、レボキセチン;ならびにvii)5−HT1A作用薬、例えば、フリバンセリン。
【0133】
本発明の化合物は、女性性的機能不全を治療または予防するために、男性性的機能不全に関して具体的に挙げた薬剤およびエストロゲン作用薬(例えば、エストラジオール)と併用することができる。
【0134】
統合失調症治療薬としては、定型統合失調症治療薬(例えば、クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、チオチキセン、ハロペリドール、モリンドンおよびロキサピン);および非定型統合失調症治療薬(例えば、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドンおよびアミスルプリド)が挙げられる。
【0135】
抗うつ薬としては、セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、シタロプラム、エシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチンおよびセルトラリン);セロトニン/ノルアドレナリン二重再取り込み阻害剤(例えば、ベンラファキシン、デュロキセチンおよびミルナシプラン);ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(例えば、レボキセチン);三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびトリミプラミン);モノアミン酸化酵素阻害剤(例えば、イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジンおよびトラニルシプロミン);および他の抗うつ薬(例えば、ブプロピオン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドンおよびトラゾドン)が挙げられる。
【0136】
気分安定剤としては、リチウム、バルプロ酸ナトリウム/バルプロ酸/ジバルプロエクス、カルバマゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、トピラマートおよびチアガビンが挙げられる。
【0137】
抗不安薬としては、アルプラゾラムおよびロラゼパムのようなベンゾジアゼピン系薬剤が挙げられる。
【0138】
医薬用には、本発明の化合物は、通常、医薬組成物として投与される。したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。当該医薬組成物は、本明細書に記載されるいずれもの症状の治療に使用することができる。
【0139】
一の実施態様では、本発明の化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0140】
本発明の化合物は、いずれかの慣用的な方法により、例えば、経口投与、非経口(例えば、静脈内)投与、頬側投与、舌下投与、経鼻投与、直腸投与または経皮投与によって投与することができ、したがって、当該医薬組成物が適している。
【0141】
経口投与した場合に活性をもつ本発明の化合物は、液剤または固形剤、例えば、シロップ剤、懸濁剤もしくは乳剤、錠剤、カプセル剤およびロゼンジ剤として処方することができる。
【0142】
液体製剤は、一般に、化合物または塩の好適な液体担体(例えば、水、エタノールもしくはグリセリンのような水性溶媒、またはポリエチレングリコールもしくは油のような非水性溶媒)中の懸濁液または溶液からなる。該製剤は、懸濁化剤、保存剤、フレーバー剤または着色剤を含有することもできる。
【0143】
錠剤の剤形の組成物は、固体製剤を調製するためにルーチン的に使用されるいずれかの好適な医薬担体を用いて調製することができる。かかる担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、シュークロースおよびセルロースが挙げられる。
【0144】
カプセル剤の剤形の組成物は、ルーチン的なカプセル化手順を用いて調製することができる。例えば、標準的な担体を用いて活性成分を含有するペレットを調製し、次いで、ハードゼラチンカプセルに充填することができる;別法として、好適な医薬担体(例えば、水性ガム、セルロース、シリケートまたは油)を用いて分散体または懸濁液を調製し、次いで、該分散体または懸濁液をソフトゼラチンカプセルに充填することができる。
【0145】
典型的な非経口組成物は、化合物または塩の滅菌水性担体または非経口的に許容される油(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油またはゴマ油)中の溶液または懸濁液からなる。別法として、該溶液を凍結乾燥させ、次いで、投与直前に好適な溶媒で戻すことができる。
【0146】
経鼻投与用組成物は、好都合には、エアゾール剤、滴剤、ゲル剤および散剤として製剤化することができる。エアゾール剤は、典型的には、活性物質の医薬上許容される水性または非水性溶媒中の溶液または微細懸濁液を含み、通常、噴霧装置と共に使用するためのカートリッジ形態またはリフィル形態をとり得る密閉容器中にて滅菌形態で1回投与量または複数回投与量で提供される。別法として、密閉容器は、一旦容器の内容物が使い果たされると廃棄が予定されている、1回投与用鼻吸入器または計量バルブを装着したエアゾールディスペンサーのような単一調剤装置であり得る。投与剤形がエアゾールディスペンサーを含む場合には、圧縮空気または有機噴射剤(例えば、フルオロクロロハイドロカーボン)のような圧縮ガスであり得る噴射剤を含有する。エアゾール投与剤形は、ポンプ式噴霧器の形態をとることもできる。
【0147】
頬側投与または舌下投与に適している組成物としては、錠剤、ロゼンジ剤およびトローチ剤ガ挙げられ、この場合、活性成分は、糖およびアカシア、トラガカント、またはゼラチンおよびグリセリンのような担体と共に製剤化される。
【0148】
直腸投与用組成物は、好都合には、カカオ脂のような慣用的な坐剤基剤を含有する坐剤の剤形である。
【0149】
経皮投与に適している組成物としては、軟膏剤、ゲル剤およびパッチ剤が挙げられる。
【0150】
一の実施態様では、当該組成物は、錠剤、カプセル剤またはアンプル剤のような1回投与剤形である。
【0151】
経口投与用の各投与単位は、遊離塩基として計算して本発明の化合物0.5〜250mgを含有する(非経口投与用の場合は、例えば、0.05〜25mg含有する)。
【0152】
好適には、当該化合物は、持続的療法の期間、例えば1週間以上、投与される。
【0153】
本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体が同じ病態に対して活性な別の治療薬と併用される場合、各化合物の投与量は、その化合物を単独で使用した場合の投与量とは異なってよい。適当な投与量は、当業者に容易に理解されるであろう。当然のことながら、治療に用いるのに必要な本発明の化合物の量は、処置される症状の性質ならびに患者の年齢および健康状態によって異なり、最終的には、主治医または獣医の判断による。
【0154】
上記した組み合わせは、好都合には、医薬製剤の剤形で用いるために提供されることができ、かくして、上記で定義した組み合わせを医薬上許容される担体または賦形剤とともに含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様を構成する。このような組み合わせの個々の成分は、好都合な経路によって、別々の医薬製剤または合わせた医薬製剤中にて連続的にまたは同時に投与することができる。
【0155】
本発明はまた、本発明の化合物を含む第1の投与剤形および別の治療剤を含む第2の投与剤形を含む上記で定義した障害の治療に用いるのに適している、同時投与、個別投与または連続投与用の新規キット−オブ−パーツ(kit-of-parts)を対象とする。
【0156】
投与が連続的である場合、まず本発明の化合物または別の治療薬のどちらを投与してもよい。投与が同時である場合、組み合わせたものを同一医薬組成物または異なる医薬組成物のどちらで投与してもよい。
【0157】
同一の製剤中に合わせる場合、当然のことながら、2つの化合物は、安定していなければならず、お互いおよび製剤の他の成分と適合していなければならない。別々に製剤化された場合、それらは、好都合な製剤化で、好都合には当該技術分野でこのような化合物について知られているような方法で、提供され得る。
【0158】
生物学的アッセイ
細胞生物学
哺乳動物細胞におけるhSERT、hNETおよびhDATの発現のためのBacMamウイルスの産生
各々単一のヒトSERT、NETおよびDAT輸送体に関して生産したBacMamウイルスによるHEK−293F細胞感染によって、SPA結合アッセイのための膜を生成する。hSERTおよびhDATはpFBMRfAベクター中にクローン化され、一方、hNETはpFASTBacMam1ベクター中にクローン化される。BacMamウイルスの生産および使用は、Condreay JP et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1999, 96: 127-132およびHassan NJ et al, Protein Expression and Purification, 47(2): 591-598, 2006に記載されている。
【0159】
ヒト輸送体SERT、NETおよびDATに対する親和性
ヒトセロトニン輸送体(SERT)、ヒトノルエピネフリン輸送体(NET)およびヒトドーパミン輸送体(DAT)に対する本発明の化合物の親和性は、以下に記載のアッセイのうちの1つによって決定することができる。このような親和性は、典型的には、輸送体からの放射性リガンドの50%を置き換えるのに必要な化合物の濃度として競合実験で得られるIC50から算出され、下記式によって算出される「Ki」値として報告される:
【数1】

式中、Lは放射性リガンドであり、Kは輸送体に対する放射性リガンドの親和性である(Cheng and Prusoff, Biochem. Pharmacol. 22: 3099, 1973)。本発明では、Kiの代わりにpKi値(Kiの真数に対応する)を使用するKi;pKi結果は、正確には、たった約0.3〜0.5と見積もられる。
【0160】
ヒトDAT、NETおよびSERT結合に対するシンチレーション近接アッセイ(SPA)
・hSERT/hDAT/hNET BacMamウイルスのHEK−293F細胞への形質導入
振盪フラスコ懸濁培養にて293_Freestyle Expression培地(Invitrogen)中でHEK−293F懸濁細胞系(Invitrogen)をルーチン的に増殖させる。該培養物に、細胞1個当たり100ウイルス粒子のMOI(感染効率)で適当な輸送体BacMamを形質導入し、加湿振盪器インキュベーター中にて37℃、空気中5%CO2で48時間インキュベートし、90rpmで振盪する。次いで、4℃にて1000gで10分間遠心分離することにより培養物を回収し、細胞ペレットを、必要となるまで−80℃で貯蔵する。
【0161】
・BacMam hSERT/hDAT/hNET−HEL293F細胞膜の調製
形質導入細胞ペレットを、バッファー−A(50mM HEPES、1mM EDTA、1mM ロイペプチン、25ug/mL バシトラシン、1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド、PMSF、2μM ペプスタチンA、pH7.7)を用いて10倍容量に再懸濁し、ガラス製Waringブレンダー中にて2×15秒バーストによりホモジナイズする。次いで、ホモジネートを500gで20分間遠心分離する。これに次いで、上清をプールし、13,000gで30分間遠心分離する。次いで、ペレットを、バッファー−B(50mM TRIS pH7.4、130mM NaCl)を用いて初期ペレット容量の4倍に再懸濁し、0.8mmの針に強制的に通して、均一な懸濁液を得る。必要となるまで膜アリコートを−80℃で貯蔵する。Bradfordアッセイによってタンパク質濃度を定量する。
【0162】
・hSERT、hNETおよびhDATに関するSPA−結合アッセイ・プロトコール
hSERT、hNETまたはhDATに対する本発明の化合物の親和性は、上記のように生成したBacMam−組換え型ヒトSERT、NETおよびDAT膜上でSPA技術と一緒に[3H]シタロプラム、[3H]ニソキセチンまたは[3H]WIN−35,428結合アッセイを用いて評価することもできる。SPA技術(GE Healthcare、Amersham)に関して、輸送体結合放射活性だけがビーズ励起を引き起こすことができ、結合/未結合放射性リガンドの分離は必要ではない。
hSERT結合SPAについてのプロトコールは、Trilux beta−counter(Wallac、Perkin−Elmer)に基づく。つまり、純粋なDMSO中の試験化合物(または、正の対照として1μM フルオキセチン)0.5μLを、アッセイバッファー(20mM HEPES、145mM NaCl、5mM KCl、pH7.3)中に2mg/mL SPAビーズ(Amersham RPNQ0001)、4μg/mL hSERT Bacmam膜、0.01% プルロニックF−127、2.5nM [3H]シタロプラムを含有するSPA混合物50μLに添加する。インキュベーションを室温で少なくとも2時間行う。カウントは安定しており、3日目まで読み取ることができた。
別法として、hDAT、hNETおよびhSERT SPA−結合アッセイは、384ウェルプレートフォーマット(Greiner 781075)にて最終アッセイ容量30μLでイメージングPS−WGAビーズ(Amersham RPNQ0260)と一緒にViewlux beta−counter(Wallac、Perkin−Elmer)を用いて行われる。つまり、純粋なDMSO中の試験化合物0.3μLならびに0%および100%効果対照(全結合の場合はDMSO、そして正の対照として10または1μM インダトラリン)を、Hummingbird(Genomic Solutions)を用いてウェルに添加し、次いで、アッセイバッファー(20mM HEPES、145mM NaCl、5mM KCl、pH7.3〜7.4)中に1mg/mL SPAビーズ(hSERT)または2mg/ml SPAビーズ(hDATおよびhNET)、40μg/mlまたは20μg/mlまたは6μg/mlのhDATまたはhNETまたはhSERT BacMam膜、0.02% プルロニックF−127、hDATまたはhNETまたはhSERT結合SPAに関して10mM [3H]WIN−35,428または10nM [3H]ニソキセチンまたは3nM [3H]シタロプラムを含有するSPA混合物30μLを添加する。インキュベーションを室温で少なくとも2時間、最良には暗所で一夜行う。600s 6×ビニングおよび613nm エミッション・フィルターをViewlux装置とともに用いて結合放射活性を記録する。
【実施例】
【0163】
以下の非限定的な例により本発明をさらに説明する。
【0164】
以下の手順において、各出発物質の後には典型的には製造例または実施例の参照先を番号によって提供する。これは、単に化学者への補助のために提供される。出発物質は必ずしも言及されているバッチから製造されなければならなかったわけではない。
【0165】
「同様の」または「類似の」手順の使用を引用する場合、当業者によって理解されるように、このような手順は、軽微な変更、例えば、反応温度、試薬/溶媒の量、反応時間、後処理条件、またはクロマトグラフィー精製条件を含み得る。
【0166】
化合物は、ACD/Name PRO 6.02化合物命名ソフトウェア(カナダ国M5H2L3オンタリオ、トロントのAdvanced Chemistry Development Inc.)を用いて命名される。
【0167】
絶対配置は、出願時に以下の化合物のいずれについても決定されていなかった。ラセミ化合物であると考えられる化合物は、それらの名称において、立体化学に言及しないことによって、または、例えば実施例1:(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタンにおけるようにそれらの名称中で「/」によって分けて両方のエナンチオマーに言及することによって、示される。鏡像異性的に豊富または純粋であると考えられる化合物は、それらの名称において、例えば、実施例2「(1S,6R,7R)または(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン」のように、どちらか一方に言及することによって示される。
【0168】
全ての温度は℃で表す。
【0169】
プロトン磁気共鳴(NMR)スペクトルは、典型的には、300、400もしくは500MHzにてVarian装置で、または300および400MHzにてBruker装置で記録されている。化学シフトは、内部標準として残留溶媒系を使用してppm(d)で報告されている。分裂パターンは以下のとおり示す:s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;b、幅広。NMRスペクトルは、25〜90℃の範囲の温度で記録された。2種類以上の配座異性体が検出された場合には、最も多いものの化学シフトが報告されている。
【0170】
質量スペクトル(MS)は、典型的には、4 II三連四重極Mass Spectrometer(Micromass UK)にて、またはES(+)およびES(−)イオン化モードで作動するAgilent MSD 1100 Mass Spectrometerにて、またはHPLC装置Agilent 1100 SeriesとつないだES(+)およびES(−)イオン化モードで作動するAgilent LC/MSD 1100 Mass Spectrometerにて測定される。質量スペクトルでは、分子イオンクラスター中の1つのピークだけが報告される。
【0171】
HPLCウォークアップ保持時間が記録される場合、分析は、HPLC Agilent 1100 Series Instrumentにて以下の方法で行われる:カラム:Luna C18 100A 50×2mm、3ミクロン;移動相:(MeCN+0.05%TFA)/(H2O+0.05%TFA)の8分以内の0/100〜95/5勾配液;流速1ml/分。
【0172】
フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーは、シリカゲル230〜400メッシュ(ドイツ国のMerck AG Darmstadtから供給された)上で、または、Varian Mega Be−SiプレパックドカートリッジまたはプレパックドBiotageシリカカートリッジにて、行われた。
【0173】
多くの調製において、精製は、Biotageマニュアルフラッシュクロマトグラフィー(Flash+)または自動フラッシュクロマトグラフィー(HorizonもしくはSP1)システムを使用して行われた。これらの装置は全て、Biotage Silicaカートリッジと共に作動する。
【0174】
本願明細書では以下の略語が使用される:乾燥とは、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた溶液または相分離器カートリッジによって乾燥させた溶液をいう;r.t.(RT)は、室温をいう;Rt=保持時間、BOC:tert−ブチルオキシカルボニル、NaH=水素化ナトリウム、DIBAL=水素化ジイソブチルアルミニウム、DME=1,2−ジメトキシエタン、NaOH=水酸化ナトリウム、NMO=N−メチルモルホリン−N−オキシド、DCM=ジクロロメタン;DMF=N,N'−ジメチルホルムアミド;MeOH=メタノール;THF=テトラヒドロフラン;TFA=トリフルオロ酢酸;SCXカートリッジ=強陽イオン交換カートリッジ;MCX:混合型陽イオン交換カートリッジ;h=時間、min=分、HPLC:高速液体クロマトグラフィー。
【0175】
製造例1: 3,4−ジヒドロキシ−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(P1)
【化22】

3,6−ジヒドロ−1(2H)−ピリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(5g)およびNMO(4.79g)のテトラヒドロフラン(24mL)、tert−ブタノール(16mL)および水(6mL)中溶液に四酸化オスミウム(5.00mL)を添加した。該混合物を還流温度に加熱した。
3時間後、該混合物を真空濃縮した。酢酸エチルを添加し、有機相をブライン(2×)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。
粗生成物(6.2g)をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、93/7〜0/100のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶離して、標記化合物5.29gを得た。

【0176】
製造例2: テトラヒドロ[1,3,2]ジオキサチオロ[4,5−c]ピリジン−5(4H)−カルボン酸1,1−ジメチルエチル,2,2−ジオキシド(P2)
【化23】

0℃にて3,4−ジヒドロキシ−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(P1、5.29g)の乾燥ジクロロメタン(126mL)中溶液にトリエチルアミン(13.57mL)および塩化チオニル(2.67mL)を添加した。該混合物をこの温度で15分間撹拌した。水(5mL)の添加により反応物をクエンチした後、該反応物をジエチルエーテルおよび水で希釈した。有機抽出物を水、重炭酸ナトリウム飽和溶液およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。残留物を四塩化炭素(69mL)、アセトニトリル(69mL)および水(105mL)に溶解し、0℃で塩化ルテニウム(III)・水和物(0.101g)および過ヨウ素酸ナトリウム(10.42g)を添加した。該混合物をこの温度で3時間30分の間撹拌した。シクロヘキサンおよびエチルエーテルによる希釈の後、該混合物をエチルエーテルで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。粗生成物(7.2g)をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、88/12〜0/100のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶離して、標記化合物6.18gを得た。

【0177】
製造例3: (1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−シアノ−7−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P3)
【化24】

0℃にて、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散体、0.389g)のDME(10mL)中懸濁液に、乾燥DME(8mL)に溶解した(3,4−ジクロロフェニル)アセトニトリル(0.996g)を添加した。このようにして得られた橙色の懸濁液にテトラヒドロ[1,3,2]ジオキサチオロ[4,5−c]ピリジン−5(4H)−カルボン酸1,1−ジメチルエチル,2,2−ジオキシド(P2、1.36g)のDME(8mL)中溶液を添加した。5分後、反応混合物を室温に加温した。5時間後、該混合物をブライン(400mL)で希釈し、酢酸エチル(400mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。
粗生成物(1.9g)をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、93/7〜40/60のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶離して、標記化合物964mgを得た。

【0178】
製造例4: (1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−ホルミル−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P4)
【化25】

0℃にて(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−シアノ−7−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P3、885mg)の乾燥トルエン(20mL)中溶液に水素化ジイソブチルアルミニウム(3.21mL)を添加した。該混合物をこの温度で1時間撹拌し、次いで、室温に加温した。2時間後、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.6mL)を添加した。次いで、該混合物を45℃に加熱し、6時間後、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.6mL)を再度添加した。8時間30分の後、酢酸エチル(8mL)を添加し、該混合物を室温で一夜撹拌した。次いで、1N H2SO4水溶液を添加し、該混合物を室温で撹拌した。1時間後、該混合物を真空濃縮し、MCXカートリッジ(6g)上に負荷し、水、MeOHおよびNH3(MeOH中2M)で溶離した。塩基性フラクションを真空濃縮した。残留物(602mg)を乾燥THF(10mL)に溶解した。トリエチルアミン(0.621mL)を添加し、次いで、ジ炭酸ジtert−ブチル(0.569mL)の乾燥THF(10mL)中溶液を添加した。該溶液を室温で3時間30分の間撹拌した。次いで、水を添加し、該混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。粗物(780mg)をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、93/7〜40/60のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶離して、標記化合物196mgを得た。

【0179】
製造例5: (1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P5)
【化26】

0℃にて、(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−ホルミル−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P4、116mg)のメタノール(4mL)中溶液に水素化ホウ素ナトリウム(17.78mg)を添加した。該混合物を室温に加温した。11時間後、水(1mL)を添加した:該混合物を室温で10分間撹拌し、次いで、真空濃縮した。残留物をジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。粗物(114mg)をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、95/5〜80/20のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶離して、標記化合物94mgを得た。

【0180】
製造例6: (1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P6)
【化27】

0℃にて、(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P5、46mg)の乾燥DMF(1.2mL)中溶液に水素化ナトリウム(5.93mg、鉱油中60%分散体)を添加した。該懸濁液を0℃にて15分間撹拌し、次いで、室温に10分間加温した。次いで、ヨウ化メチル(0.015mL)を室温にて添加した。さらに3時間後および5時間後にヨウ化メチル(各0.015mL)を添加した。6時間後、酢酸エチルを添加し、該混合物を水およびブラインで洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。粗化合物(45mg)をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、95/5〜80/20のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶離して、標記化合物37mgを得た。

【0181】
製造例7: (1S,6R,7R)および(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P7)
【化28】

(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(方法P5に従って得られた、53mg)を半分取HPLC(カラム:Chiralpack AD−H 25×2.0cm、粒径5u、移動相:n−ヘキサン/エタノール(70/30、v/v)、流速:14mL/分、215nmでのUV検出)で処理して、エナンチオマー1(保持時間=7.34分)23mgおよびエナンチオマー2(保持時間=9.65分)23mgを得た。

【0182】
製造例8: (1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−エテニル−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P8)
【化29】

0℃にて、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(149mg)の乾燥THF(1mL)中懸濁液にブチルリチウム(0.167mL、ヘキサン中2.5M)を添加した。このようにして得られた黄色の混合物を室温に加温し、30分間撹拌した。次いで、室温にて、(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−ホルミル−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P4、119mg)の乾燥THF(1mL)中溶液を添加した。2時間30分の後、NH4Cl飽和溶液を添加し、該混合物を真空濃縮した。残留物をジエチルエーテルで抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。粗生成物(173mg)をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、93/7〜40/60のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶離して、標記化合物58mgを得た。

【0183】
製造例9: (1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(2−ヒドロキシエチル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P9)
【化30】

0℃にて、(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−エテニル−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P8、58mg)の乾燥THF(1mL)中溶液にボラン−テトラヒドロフラン錯体(0.205mL)を添加した。該混合物を室温に2時間加温した。次いで、該混合物を0℃に冷却し、水(90μl)、3N NaOH(230μl)および過酸化水素(30%、0.016mL)を添加し、該混合物を0℃で2時間30分の間撹拌し、次いで、室温で2時間30分の間撹拌した。次いで、水を添加し、該混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。粗物(59mg)をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、95/5〜20/80のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶離して、標記化合物41mgを得た。

【0184】
実施例1: (1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン(E1)
【化31】

(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P6、35mg)の乾燥ジクロロメタン(1mL)中溶液にトリフルオロ酢酸(0.070mL)を添加した。該反応混合物を25℃で撹拌した。1時間15分の後、反応混合物を真空濃縮した。粗生成物をSCXカートリッジ(1g、最初にMeOHで溶離、次いで、NH3(MeOH中0.5M)で溶離)によって精製して、標記化合物25mgを得た。

【0185】
実施例2: (1S,6R,7R)または(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、(E2)
【化32】

0℃にて、(1S,6R,7R)または(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P7、エナンチオマー1、23mg)の乾燥DMF(0.6mL)中溶液に水素化ナトリウム(3.21mg)を添加した。該混合物をこの温度で15分間撹拌し、次いで、室温に25分間加温した。次いで、ヨウ化エチル(0.015mL)を添加し、該混合物を25℃で1時間30分の間撹拌し、次いで、45℃に加温した。さらに4時間後および6時間後にヨウ化エチル(各0.015mL)を添加した。7時間後、NH4Cl飽和水溶液を添加し、該混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。粗物(23mg)をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、95/5〜60/40のシクロヘキサン/酢酸エチル勾配液で溶離して、実施例1で報告した手順に従って反応させた中間体(1S,6R,7R)または(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル17mgを得て、標記化合物12mgを得た。

【0186】
実施例3: (1S,6R,7R)または(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン・塩酸塩、(E3)
【化33】

(1S,6R,7R)または(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン(E2、12mg)のジクロロメタン(4mL)中溶液にHCl(ジエチルエーテル中1M、40μL)を添加した。該混合物を蒸発させ、残留物をジエチルエーテルと一緒にトリチュレートして、白色の僅かに吸湿性の固体として標記化合物を得た(12mg)。

【0187】
実施例4: (1S,6R,7R)または(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン(E4)
【化34】

実施例2に記載の方法に従って、(1S,6R,7R)または(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(エナンチオマー2、P7、23mg)から標記化合物11mgを製造した。

【0188】
実施例5: (1S,6R,7R)または(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン・塩酸塩、(E5)
【化35】

実施例3に記載の方法に従って、(1S,6R,7R)または(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン(E4)から標記化合物11mgを製造した。

【0189】
実施例6: (1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(メチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン(E6)
【化36】

0℃にて、(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(2−ヒドロキシエチル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P9、41mg)の乾燥DMF(1.0mL)中溶液に水素化ナトリウム(鉱油中60%分散体、5.52mg)を添加した。該混合物をこの温度で15分間撹拌し、次いで、室温に25分間加温した。次いで、ヨウ化メチル(0.013mL)を添加し、該混合物を25℃で5時間撹拌した。さらなるヨウ化メチル(50μl)を添加し、反応混合物を50℃で撹拌した。7時間後、NH4Cl飽和水溶液を添加し、該混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。粗物(41mg)をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、93/7〜20/80のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶離して、中間体(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(メチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル12mgを得た。この化合物を実施例1に記載の手順に従って反応させて、標記化合物8mgを得た。

【0190】
実施例7: (1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(エチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン(E7)
【化37】

0℃にて、(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(2−ヒドロキシエチル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(P9、20mg)の乾燥DMF(0.5mL)中溶液に水素化ナトリウム(2.90mg)を添加した。該懸濁液をこの温度で15分間撹拌し、次いで、室温に15分間加温した。ヨードエタン(0.013mL)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、45℃で加熱した。3時間後、ヨードエタン(0.013mL)を添加し、混合物を室温で一夜撹拌した。18時間後、NH4Cl飽和水溶液を添加し、該混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。粗物(21mg)をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、93/7〜0/100のシクロヘキサン/酢酸エチルで溶離して、中間体(1S,6R,7R)/(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(エチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸1,1−ジメチルエチル7mgを得た。この化合物を実施例1に記載の手順に従って反応させて、標記化合物5mgを得た。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
1は、水素またはC1-4アルキルであり;
2は、基AまたはWであり(ここで、
Aは、
【化2】

であり(ここで、pは、0、1、2、3、4または5であり、R4は、ハロゲンである);
Wは、水素、シアノおよびC1-4アルキルからなる群から各々独立して選択される1〜7個の基R6によって置換されていてもよいαまたはβナフチル基である);
3は、基P:
【化3】

である(式中、R5は、水素、C1-4アルキル、ハロC1-4アルキル、C3-6シクロアルキルおよびC3-6シクロアルキルC1-3アルキルからなる群から選択され、nは、1または2である)]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
(1S,6R,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1S,6R,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(エチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1S,6R,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(メチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(メチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1S,6R,7S)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(エチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、
(1R,6S,7R)−7−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[2−(エチルオキシ)エチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ならびに
それらの医薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ
からなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
治療に用いるための請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
化合物のモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に反応する障害または疾患の治療において用いるための請求項1または2記載の化合物。
【請求項5】
セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有効である症状の治療において用いるための請求項1または2記載の化合物。
【請求項6】
うつ病または気分障害の治療に用いるための請求項1または2記載の化合物。
【請求項7】
モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に反応する障害または疾患の治療方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に請求項1または2記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項8】
セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有効である症状の治療方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に請求項1または2記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項9】
治療されるべき症状がうつ病および気分障害である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
当該化合物のモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に反応する障害または疾患の治療のための薬物の製造における請求項1または2記載の化合物の使用。
【請求項11】
セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有効である哺乳動物における症状の治療のための薬物の製造における請求項1または2記載の化合物の使用。
【請求項12】
治療されるべき症状がうつ病または気分障害である、請求項11記載の使用。
【請求項13】
請求項1または2記載の化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2010−536919(P2010−536919A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522323(P2010−522323)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060913
【国際公開番号】WO2009/027295
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】