説明

ノルボルネン官能基およびチオールを含む建築用途に適した樹脂

本発明は、(i)チオールと、(ii)少なくとも1つのノルボルネン基を含有し、かつ少なくとも500ダルトンの分子量Mnを有する樹脂と、(iii)メタクリレート含有化合物とを含む、建築用途に適している熱硬化性樹脂組成物であって、少なくとも5重量%、最大で75重量%の量でメタクリレート含有化合物を含み、100重量%がメタクリレート含有化合物と少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂との合計である、熱硬化性樹脂組成物に関する。本発明はさらに、成分Aと成分Bからなる二成分樹脂システムに関し、一方の成分(A)は、少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂とメタクリレート含有化合物を含み、成分(A)は、少なくとも5重量%、最大で75重量%の量でメタクリレート含有化合物を含有し、100重量%がメタクリレート含有化合物と少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂との合計であり;もう一方の成分(B)はチオールと過酸化物を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、建築用途に適している熱硬化性樹脂組成物に関する。本明細書において使用される、建築用途に適しているとは、樹脂組成物をラジカル硬化した結果、構造物が得られることを意味する。本明細書において意味される構造物は、少なくとも0.5mmの厚さおよび適切な機械的性質を有するとみなされる。本発明による熱硬化性樹脂組成物はさらに、接着剤用途にも適している。
【0002】
より要求の厳しい構造的用途の1つは、化学的アンカリング用途であり、この用途に関しては、硬化樹脂の機械的強度、コンクリートに対する硬化樹脂の接着性、および鋼に対する硬化樹脂の接着性が非常に優れていなければならない。
【0003】
アミンで硬化される、エポキシ樹脂をベースとする樹脂組成物を使用した化学的アンカリング法が知られている。例えば、欧州特許第1118628号明細書および欧州特許第0974610号明細書が参照される。現況技術のかかる樹脂組成物は、硬化した場合に、低収縮率などの多くの望ましい特性を示し、そのため特大のドリルホールに有用である。更なるエポキシ樹脂−アミンシステムが接着剤用途に使用されており、これらの樹脂システムに特有な低収縮率はこれによって有利である。しかしながら、これらの樹脂システムは、室温で非常にゆっくりとのみ硬化し、低温、つまり0℃未満の温度では全く硬化しない。これらの樹脂の更なる欠点は、使用されるアミンが一般に毒性および腐食性とみなされるという事実である。
【0004】
室温で不適切に速く硬化するこの問題は、その組成物における樹脂および反応性希釈剤が単にメタクリレートをベースとする、樹脂組成物を使用することによって克服される。例えば、欧州特許第0713015号明細書および欧州特許第0761792号明細書が参照される。欧州特許第0761792号明細書によると、約数分のゲル化時間を室温で達成することができ、したがって速硬化性が得られる。しかしながら、これらのメタクリレートベースの樹脂組成物は、硬化すると、かなりの収縮を示す。収縮は、すべての構造用途、特に化学的アンカリング用途に不利である。当然のことながら、接着剤の収縮によって、収縮応力が増加し、したがって接着強度が低くなることから、接着剤の収縮も不利である。
【0005】
国際公開第2007/042199号パンフレットには、チオール成分、ノルボルネン官能性樹脂などの非芳香族炭素二重結合含有樹脂、場合により反応性希釈剤を含んでもよい樹脂組成物を使用した化学的アンカリング方法が記述されている。これらの樹脂組成物は有利には、特に低温でより速く硬化し(上記で参照されるエポキシ−アミン樹脂システムと比較して)、収縮が少ない(上記で参照されるメタクリレート樹脂と比較して)。国際公開第2007/042199号パンフレットに従って使用することができる適切な反応性希釈剤の例は、例えば、ジシクロペンタジエン(DCPD)、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、エポキシエチルノルボルネンである。実験を考慮すると、アリル含有反応性希釈剤、特にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)が反応性希釈剤として使用された。
【0006】
国際公開第2007/042199号パンフレットに記載の反応性希釈剤の欠点は、相対的に切断力が乏しいことあり、このことは、粘度を下げるのに、相対的に多量の反応性希釈剤が必要であり、その結果、機械的性質が低下し得ることを意味する。しかしながら、建築用途の多くでは、樹脂を充填し、および/または強化する必要がある。これらの用途では一般的に、充填および/または強化された樹脂組成物を使用可能な粘度にするために、樹脂の粘度を低く、ないし非常に低くする必要がある。
【0007】
他の欠点は、反応性希釈剤の量をわずかに変更しても、硬化樹脂組成物の特定のレベルの機械的性質を得るために、必要とされるチオールの量が多大な影響を受け、システムが強さが低下し、つまり反応性希釈剤の含有量の変化に対して非常に影響を受け易くなることである。
【0008】
本発明の目的は、限られた量の反応性希釈剤で低粘度を有することができると同時に、反応性希釈剤の量に対して影響を受けにくい、チオールと反応性炭素間二重結合を含有する樹脂を含む樹脂組成物を得ることである。
【0009】
この目的は驚くべきことに、(i)チオールと、(ii)少なくとも1つのノルボルネン基を含有し、かつ少なくとも500ダルトンの分子量Mnを有する樹脂と、(iii)反応性希釈剤としてのメタクリレート含有化合物を含む樹脂組成物であって、メタクリレート含有化合物を少なくとも5重量%、最大で75重量%の量で含み、100重量%がメタクリレート含有化合物と少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂との合計である、樹脂組成物を適用することによって達成される。
【0010】
驚くべきことに、本発明による樹脂組成物を用いて、速硬化性(ゲル化時間によって実証される)、硬化した際の低収縮率および向上した加工性を得ることができることが判明した。向上した加工性とは、ごく限られた量のメタクリレート含有化合物を添加することによって、樹脂組成物の粘度を下げることができることを意味する。さらに、向上した加工性とは、硬化樹脂組成物の特定のレベルの機械的性質を得るために、チオール含有化合物の量を実質的に増加する必要なく、メタクリレート含有化合物の量を増加することができる(例えば、樹脂組成物の粘度を減少させるために)ことを意味する。したがって、本発明による組成物は、メタクリレート含有化合物(反応性希釈剤の機能を有する)の量に対して非常に認容性があり、そのため機械的性質を損なう必要なく、配合の自由が与えられる。
【0011】
本発明による樹脂組成物の利点の一つは、低温(0℃未満の温度でさえ)および高温(40℃を超える温度でさえ、および50℃を超える温度でさえ)の両方で、ゲル化時間によって実証されるように速く硬化することができることである。
【0012】
本発明による樹脂組成物の他の利点は、高い硬化速度(ゲル化時間とピーク時間の差によって実証される)、さらに十分に長いゲル化時間が得られ、その結果、作業の流れの融通性が高まることである。前記樹脂組成物を適用する場合、例えばボアホールに樹脂組成物を注入した後に、使用者が締め具を挿入および調節することができるように十分な作業時間を確保するための、一定のゲル化時間が必要である。
【0013】
国際公開第A2005/100436号パンフレットには、チオール成分(XH成分)と、非芳香族炭素間二重結合含有成分(RU成分)をと含む樹脂組成物であって、その反応性不飽和のうち最大で5モル%、つまり最大で5モル%の(メタ)アクリレートが単独重合を受けることができる、樹脂組成物が記述されている。したがって、この特許公開は、(メタ)アクリレートの使用を避けて教示している。
【0014】
本発明による樹脂組成物の更なる意外な利点は、硬化時の収縮が少ないことである。これは、メタクリレートベースの樹脂組成物は硬化すると、一般に約15〜20%というかなりの収縮を示すことが知られていることから、非常に驚くべきことである。
【0015】
本発明による熱硬化性樹脂組成物を適用することができる末端セグメントは化学的アンカリングであるが、この樹脂組成物は有利には、例えば接着用途、自動車部品、ボート、屋根ふき材、建築物、容器、リライニング、パイプ、タンク、フローリング、ウィンドミルブレードに使用することもできる。本明細書で示される、化学的アンカリングとは、タイバー、だぼ、ロックボルト、ねじ、例えばボアホールにおけるアンカーボルト、天然および人工岩のなどのアンカリング要素の化学的固定を意味する。
【0016】
熱硬化性樹脂組成物は、形成される際に熱を発生することが多い化学反応によって硬化し、一旦硬化すると溶融することも容易に再形成することもできない。
【0017】
本発明による樹脂組成物は、少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂を含む。このノルボルネン基は好ましくは、以下の式1
【化1】


(式中、R=C(O)O−(つまり、カルボン酸エステル基)であり、Rは、水素、カルボン酸エステル基、ニトリル基、またはアルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、置換されることができる)を有する。好ましくはRは、メチル基またはカルボン酸エステル基である。さらに好ましくはRは、カルボン酸エステル基であり、これによって一般に、機械的性質が向上する。
【0018】
ノルボルネン基は、少なくともR基を介して樹脂に結合される、または組み込まれる。好ましくは、ノルボルネン基は、R基およびR基(R基はカルボン酸エステル基である)を介して樹脂に組み込まれる。
【0019】
好ましくは、樹脂は、少なくとも2つの反応性炭素−炭素不飽和を含有し、そのうちの1つの反応性炭素−炭素不飽和がノルボルネン基にある。さらに好ましくは、樹脂は、少なくとも3つの反応性炭素−炭素不飽和を含有する。
【0020】
一実施形態に従うと、樹脂は、少なくとも2個のノルボルネン基を含有する。さらに好ましくは、樹脂は、少なくとも3個のノルボルネン基を含有する。
【0021】
他の実施形態に従うと、ノルボルネン基に加えて、樹脂は、アリル、ビニル、(メタ)アクリル、フマル、マレイン、イタコン、クロトン、またはケイ皮二重結合部位、またはそのディールス・アルダー付加物の群から好ましくは選択される非芳香族炭素間二重結合部位などの他の反応性炭素間二重結合を含有してもよい。ノルボルネン以外の他の反応性炭素−炭素不飽和を含有する場合、メタクリル基が好ましい
【0022】
ノルボルネン基を含有する樹脂は、少なくとも500ダルトン、さらに好ましくは少なくとも750ダルトン、またさらに好ましくは少なくとも1000ダルトンの分子量Mnを有する。好ましくは、ノルボルネン基を含有する樹脂は、最大10.000ダルトン、好ましくは最大8000ダルトン、最も好ましくは最大6000ダルトンの分子量を有する。ポリスチレン標準物質および分子量の決定のために設計された適切なカラムを用いて、ISO 13885−1に従ってゲル浸透クロマトグラフィーを使用して、テトラヒドロフラン中で分子量(Mn)が決定される。ノルボルネン基を含有する樹脂は好ましくは、少なくとも500ダルトン、最大10.000ダルトン、さらに好ましくは最大8000ダルトン、またさらに好ましくは最大6000ダルトンの分子量Mnを有する。さらに好ましくは、ノルボルネン基を含有する樹脂は、少なくとも750ダルトン、最大10.000ダルトン、さらに好ましくは最大8000ダルトン、またさらに好ましくは最大6000ダルトンの分子量Mnを有する。またさらに好ましくは、ノルボルネン基を含有する樹脂は、少なくとも1000ダルトン、最大10.000ダルトン、さらに好ましくは最大8000ダルトン、またさらに好ましくは最大6000ダルトンの分子量Mnを有する。
【0023】
少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂は、当業者に公知の方法によって製造することができる。1つの可能性のある方法は、不飽和ポリエステルを製造し(例えばM.Malik et al.in J.M.S.−Rev.Macromol.Chem.Phys.,C40(2&3),p.142−144(2000)に記載のように)、ディールス・アルダー条件下にてこれをシクロペンタジエンと反応させて、少なくともノルボルネン基を含有する樹脂を得る方法である。もう1つの可能性のある方法は、ディールス・アルダー条件下にてシクロペンタジエンを(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸と反応させて、続いて、この反応生成物を重縮合条件下にて少なくとも1つのポリオール(ジオールおよびトリオールなど)、場合によりポリカルボン酸(二酸および三酸、およびその無水物など)と反応させる方法である。
【0024】
本発明による樹脂組成物において、多くのチオール含有化合物をチオールとして適切に用いることができる。これらの化合物は、芳香族チオフェノールであることができるが、脂肪族チオールを使用することもできる。好ましくは、樹脂組成物は脂肪族チオールを含有する。
【0025】
α−メルカプト酢酸またはβ−メルカプトプロピオン酸と、モノアルコール、ジオール、トリオール、テトラオール、ペンタオールおよび/または他のポリオールとのエステルが特に有用である。このエステルはポリマーの一部であることができる。アルコールの混合物を使用することもできる。最も好ましくは、チオールは、α−メルカプト酢酸またはβ−メルカプトプロピオン酸またはその誘導体もしくは混合物である。
【0026】
好ましくは、樹脂組成物に存在するチオールの少なくとも一部は、少なくとも2、さらに好ましくは少なくとも3のチオール官能価を有する。チオール官能価は、チオール基含有化合物(本出願ではチオールとも呼ばれる)1モル当たりの−SH数として定義される。
【0027】
好ましい実施形態において、樹脂組成物はチオール混合物を含み、その混合物は、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2、さらに好ましくは少なくとも2.5のチオール平均官能価を有する。
【0028】
好ましい実施形態において、樹脂組成物に存在するチオールの少なくとも一部は、メルカプトプロピオネートまたはメルカプトアセテートから誘導されるチオールである。
【0029】
3以上のチオール官能価を有する特に適しているチオールは、トリメチロールプロパントリス−メルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリス−メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラ−メルカプトアセテート、ペンタエリトリトールテトラ−メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールヘキサ−(3−メルカプトプロピオネート)、グリセロールトリス−(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトールヘキサ−メルカプトアセテート、トリビニルシクロヘキシルポリメルカプタン、トリチオシアヌル酸、およびそのエトキシ化またはプロポキシル化誘導体である。
【0030】
本発明による樹脂組成物は、反応性希釈剤としてメタクリレート含有化合物を含む。希釈剤は、例えば、その取り扱いを容易にするために、樹脂組成物の粘度を調節するため適用される。本明細書で使用される、反応性希釈剤は、硬化条件下で重合することができる希釈剤である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、二官能性または三官能性メタクリレートを使用することによって、硬化がより速く、より効率的になり得るため、メタクリレート含有化合物の少なくとも一部は、メタクリレートにおいて少なくとも二官能性、さらに好ましくは二官能性または三官能性である。好ましくは、メタクリレート含有化合物またはその混合物は、少なくとも1.5、さらに好ましくは少なくとも2の平均官能価を有する。メタクリレート官能価は、メタクリレート含有化合物1モル当たりのメタクリレート基(CH=CMeCOO−)数として定義される。反応性希釈剤として適用可能な、好ましいメタクリレート含有化合物の例は、ブタンジオール−1,4−ジメタクリレート(BDDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)である。
【0032】
好ましくは、樹脂組成物は、メタクリレート含有化合物を少なくとも15重量%、さらに好ましくは少なくとも25重量%含む。好ましくは、樹脂組成物は、メタクリレート含有化合物を最大で65重量%、さらに好ましくは最大で60重量%含み、100重量%はメタクリレート含有化合物と少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂との合計である。本明細書で使用される、メタクリレート含有化合物の量は、メタクリレート含有化合物と少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂との総量(g)に対する量であり、したがって、チオールの量も樹脂組成物の他の量も、この計算に考慮に入れられない。好ましい実施形態において、樹脂組成物は、少なくとも15重量%、最大で65重量%の量のメタクリレート含有化合物を含む。さらに好ましい実施形態において、樹脂組成物は、少なくとも25重量%、最大で60重量%の量のメタクリレート含有化合物を含む。
【0033】
本発明による樹脂組成物は好ましくは、−SHとノルボルネン基のモル比が10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5、さらに好ましくは2:1〜1:2の範囲であり、最も好ましくは約1:1であるような量でチオールとノルボルネン含有樹脂とを含む。
【0034】
本発明による樹脂組成物は好ましくはさらに、遷移金属塩などの遷移金属含有化合物を含む。かかる遷移金属化合物の存在は、過酸化物での樹脂の硬化を促進することから有利である。遷移金属は好ましくは、範囲22〜29の原子番号または範囲38〜49の原子番号または範囲57〜79の原子番号を有する遷移金属から選択される。さらに好ましくは、遷移金属は、V、Mn、Cu、Feから選択される。
【0035】
本発明による樹脂組成物は、ラジカル開始剤、好ましくは過酸化物で硬化可能である。構造部品を得るための硬化反応の開始に使用される過酸化物は、不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂の硬化で使用されている、当業者に公知の過酸化物であることができる。かかる過酸化物としては、固体であろうと液体であろうと、有機および無機過酸化物が挙げられ;過酸化水素も適用することができる。適切な過酸化物の例は、例えば、ペルオキシカーボネート(式−OC(O)O−)、ペルオキシエステル(式−C(O)OO−)、ジアシルパーオキシド(−C(O)OOC(O)−)、ジアルキルパーオキシド(式−OO−)等である。それらは本質的にオリゴマーまたはポリマーであることもできる。適切な過酸化物の一連の広範な例は、例えば、米国特許出願公開第2002/0091214A1号明細書のパラグラフ[0018]に記載されている。当業者は過酸化物についての情報を容易に得ることができ、過酸化物の製造者によって与えられる説明書における過酸化物の取り扱いに注意を払わなければならない。
【0036】
好ましくは、過酸化物は、好ましくはヒドロペルオキシド、パーエーテル、パーエステル、パーアンヒドリドまたはパーカーボネートであり、さらに好ましくは、過酸化物は、パーカーボネート、パーエステルおよびヒドロペルオキシドの群から選択され、最も好ましくは、過酸化物は、例えばトリゴノックス(Trigonox)117などのモノパーカーボネートまたは例えばトリゴノックスCなどのパーエステルである。
【0037】
本発明による樹脂組成物の貯蔵安定性は改善され、これが好ましい場合には、樹脂組成物はさらに、1種または複数種の抑制剤を含む。好ましくは、抑制剤のうちの少なくとも1つは、フェノール系化合物、N−オキシル化合物またはニトロソ化合物から選択される。
【0038】
本発明に従って化学的アンカリングの方法で使用することができる抑制剤の適切な例は、例えば、2−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリメチル−フェノール、2,4,6−トリス−ジメチルアミノメチルフェノール、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−メチレンジ−p−クレゾール、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、2,3,5−トリメチルヒドロキノン、カテコール、4−t−ブチルカテコール、4,6−ジ−t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、メチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、ナフトキノン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール(テンポール(TEMPOL)とも呼ばれる化合物)、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン(TEMPONとも呼ばれる化合物)、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシル−ピペリジン(4−カルボキシ−TEMPOとも呼ばれる化合物)、1−オキシル−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン、1−オキシル−2,2,5,5−テトラメチル−3−カルボキシルピロリジン(3−カルボキシ−PROXYLとも呼ばれる)、アルミニウム−N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、フェノチアジンおよび/またはこれらの化合物のいずれかの誘導体または組み合わせである。
【0039】
本発明の好ましい実施形態に従って、樹脂組成物は、多成分システム、好ましくは二成分システム(A+B)として適用される。二成分系の適用には、その使用前に2つの成分を混合することが必要である。
【0040】
多成分システム、特に二成分システムの使用は現在、例えば化学的アンカリング用途においてよく知られている。しかしながら.本特許出願でのかかる使用について教示されるように、樹脂システムはその中で使用されていない。
【0041】
したがって、本発明はさらに、成分Aおよび成分Bからなる二成分樹脂システムに関し、一方の成分(A)は、少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂、メタクリレート含有化合物、場合により遷移金属化合物を含み、もう一方の成分(B)は、チオール、場合により過酸化物を含む。好ましい実施形態において、もう一方の成分(B)は、チオールと過酸化物を含む。かかる二成分システムに存在する化合物は上述されている。好ましい成分および好ましい量も上述されている。過酸化物の量は、広い範囲内で変動し、一般に20重量%未満、好ましくは10重量%未満である(過酸化物の量は、チオール、ノルボルネン基を含有する樹脂、メタクリレート含有化合物の総量に対する量である)。
【0042】
本発明による樹脂組成物中に、充填剤も存在することができる。これらの充填剤は、多成分システムの成分のいずれかにおいて存在することができる。したがって、本発明の他の実施形態に従って、成分のうちの少なくとも1つがさらに、1種または複数種の充填剤を含む。それに限定されないが、シリカ、砂、セメント、顔料等の多種多様な充填剤を適用することができる。本発明による樹脂組成物中に、例えば、ガラス繊維、天然繊維および炭素繊維などの強化用繊維も存在することができる。本発明による樹脂組成物中に、繊維および/または充填剤に加えて、他の添加剤が存在してもよい。
【0043】
本発明は、樹脂組成物を過酸化物と混合することによって、本発明による樹脂組成物をラジカル硬化するプロセスにも関する。この硬化は好ましくは、−20〜+200℃の範囲、好ましくは−20〜+100℃の範囲、最も好ましくは−10〜+60℃の範囲(いわゆる低温硬化)の温度で行われる。
【0044】
本発明はさらに、本発明による樹脂組成物を過酸化物と混合し、適切な条件で硬化することによって得られる、または本発明による多成分樹脂システムの成分を混合し、適切な条件で硬化することによって得られる構造物にも関する。これらの構造物は優れた機械的性質を有する。したがって、本発明は、接着用途、自動車部品、ボート、屋根ふき材、建築物、容器、リライニング、パイプ、タンク、フローリング、ウィンドミルブレードまたは化学的アンカリングにおける本発明による多成分樹脂システムの使用にも関する。
【0045】
本発明は、一連の実施例および比較例によって実証される。すべての実施例は、特許請求の範囲を支持する。しかしながら、本発明は、実施例に示される特定の実施形態に限定されない。
【0046】
[実験セクション]
[硬化のモニタリング]
以下に示す実施例および比較例のほとんどにおいて、標準ゲル化時間装置を用いて硬化をモニターしたことが言及される。これは、実施例および比較例で示される過酸化物で樹脂を硬化した場合に、ゲル化時間(TgelまたはT25−>35℃)とピーク時間(TpeakまたはT25−>Peak)の両方が、DIN16945の方法に従って発熱測定によって決定されたことを意味することが意図される。したがって、使用された装置は、PeakproソフトウェアパッケージおよびNational Instrumentsハードウェアを備えたSoformゲルタイマーであり;使用された水浴およびサーモスタットはそれぞれ、Haake W26、およびHaake DL30であった。
【0047】
[樹脂Aの合成]
機械攪拌機およびディーン・スターク(DeanStark)セットアップを備えた2L反応器に、トリメチロールプロパン402g、無水マレイン酸147gおよびジブチルヒドロキノン1.1gを装入した。この混合物を2時間、100℃に加熱した後、トルエン218g、p−トルエンスルホン酸10.9gおよびクロトン酸541gを添加した。反応混合物を加熱して還流し、水を共沸状態で28時間除去した。次に、トリメチロールプロパンオキセタン(残存するp−トルエンスルホン酸を中和するため)7.7gを添加し、100℃でさらに1時間攪拌した。次に、トルエンおよび余分なクロトン酸を蒸留除去し、黄色みを帯びた樹脂が得られた。この樹脂を165℃に加熱し、反応温度を165〜180℃に維持しながら、DCPD550gを8時間の間、ゆっくりと添加した。完全に添加した後、真空(15ミリバール)を2時間かける前に、反応をさらに2時間170℃で維持し、その後、Mn約1000ダルトンを有するノルボルネン官能性樹脂が得られた。
【0048】
[実施例1〜2および比較実験A〜C]
樹脂A100gに、反応性希釈剤xg(表1参照)を添加し、樹脂が反応性希釈剤に完全に溶解するまで、混合物を攪拌した。次に、テンポール200ppmおよびVN−2 1%(アクゾノーベル社(Akzo−Nobel)から市販のバナジウムベースの促進剤)を添加し、続いてペンタエリトリトールテトラメルカプトプロピオネートyg(表1参照;チオール)およびトリゴノックスC2%(%は総量に対するものである)を添加し、その後、樹脂の反応性を測定し、続いて、このようにして得られたゲル化時間ロッドのTgを24時間後に測定する。
【0049】
ブルックフィールド(Brookfield)粘度計を用いて、反応性希釈剤中の樹脂の粘度を25Cにおいて測定した。
【0050】
ゲル化時間標準装置を使用して、反応性を決定した。
【0051】
パーキンエルマー(Perkin Elmer)DSC7を使用して、オンセットとしてゲル化時間ロッドのTgを決定した。
【0052】
この結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
実施例から、メタクリレート含有化合物は本発明によるシステムにとって非常に良い反応性希釈剤であることがはっきりと実証されている。
【0055】
さらに、実施例を比較すると、メタクリレートの量を変化させる場合に、機械的性質(オンセットTgによって示される)を維持するため、チオールの量を調節する必要がないことは明らかである。これは、アリル官能性反応性希釈剤(トリアリルイソシアヌレートTAIC)と際立った対照をなしており、それによって、より多くの反応性希釈剤を添加することによって粘度を下げると(比較例Aに対して比較例B)、機械的性質が非常に乏しくなる(比較例B)。機械的性質を補うためには、より多くのチオールが必要である(比較例C参照)。
【0056】
さらに、本発明による樹脂組成物において、メタクリレートの量はゲル化時間に対して最小限の影響を有し、そのためシステムは非常に強くなるのに対して、硬化樹脂のTgによって示される最良の機械的性質(比較例A、BおよびC)を得るためにチオールの量を調節する場合、アリル反応性希釈剤を用いると、ゲル化時間は著しく影響を受ける。
【0057】
さらに、上記のゲル化時間から、本発明による樹脂ステムに関しては十分すぎるほどの作業時間があることは明らかである。ピーク時間がゲル化時間に近いことから、これは、作業時間は長いが、それでもなお非常に速く、かつ効率的な硬化プロセスが進行することを意味している。
【0058】
[実施例3〜6および比較実験D〜E]
本発明による樹脂の多用性を実証するために、14mmのドリルホールおよびセッティング深さ7mmのM12アンカーを使用して、限定されたセッティングを用いて、国際公開第2007 042199号パンフレットに記載のようにコンクリートからの引抜き試験と同様に、硬化組成物の機械的強度を評価した。この試験法を用いることによって、低い値は、硬化樹脂の低い引張り強さ、金属および/またはコンクリートに対する硬化樹脂の低い接着性を表す。低い引張り強さは、不十分な硬化を表す。
【0059】
この試験において、未充填樹脂配合物を使用した。記載の値は、6つの測定値の平均である。
【0060】
上述のように製造された樹脂に、テンポール100ppmを添加し、続いてメタクリレート反応性希釈剤を添加した。5分間攪拌した後、この混合物の粘度を決定した。次に、チオールを添加し、続いてNuodex Mn10(ロックウッド社(Rockwood)から市販のMnベースの促進剤)1%を添加した。混合後、トリゴノックスC2%を添加し、6個のドリルホールを充填し、アンカーをセットした。24時間後に、コンクリートからアンカーを引き抜いた。この結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
これらの実施例および比較実験から、チオールの量を調節することが必要なアリルベースの反応性希釈剤と異なり、機械的性質(引抜き試験で決定される)に悪影響を及ぼすことなく、チオールの量を変える必要なく、メタクリレートの量を変えることができることがはっきりと実証されている。
【0063】
さらに、これらの実施例から、メタクリレートを使用して、より低い粘度が得られることが実証されている。さらに、これらの実施例から、さまざまなメタクリレートを使用することができることが示されている。
【0064】
さらに、実施例3を実施例5と比較すると、樹脂とチオールの量は同じ量のままであるが、メタクリレート反応性希釈剤で希釈すると、機械的性質をさらに向上することができるという意外な事実が分かる。
【0065】
[実施例6A〜G]
A成分として、樹脂A510g、TMPTMA410g、Nuodex Mn10 12.4gを使用して、二成分方式で実施例6を繰り返した。B成分として、ペンタエリトリトールテトラメルカプトプロピオネート320gとトリゴノックスC25gとの混合物を調製した。
【0066】
A成分110gとB成分40gを混合することによって、14mmホールすべてを充填し、続いてそのホールにM12アンカーをセットした。18mmホールについては、B成分60gと合わせたA成分165gを使用した。24時間後に、アンカーを引き抜いた。引抜き値(kN)を表3に示す。
【0067】
【表3】

【0068】
これらの実施例から、本発明による樹脂組成物は、様々な条件下にて、つまり高温および低温の両方で、ならびに乾燥および湿潤条件の両方で使用することができることがはっきりと実証されている。
【0069】
さらに、これらの実施例から、本発明による混合物は二成分システムとして用いることができることが実証されている。さらに、−5℃でさえ、24時間後の高い引抜き値が得られ、本発明による樹脂での硬化は速いプロセスであることが示されている。特に一般に使用されるエポキシ−アミンシステム(−5℃で24時間後に硬化しない)と比較した場合。
【0070】
[実施例7および比較実験F〜G]
[メタクリレート樹脂の合成]
MDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)575gおよびジブチルスズジラウレート0.3gが装入された攪拌反応器に、温度が60℃を超えないような速度でジプロピレングリコール71gを添加した。60℃で30分間攪拌した後、ヒドロキシプロピルメタクリレートHPMA792gを添加し、温度を90℃に上げた。90℃で2時間攪拌した後、混合物を室温に冷却し、BDDMA767gを添加した。
【0071】
表1に記載のように実施例2(実施例7)および比較実験C(比較実験F)の配合に従って、4mmキャスティングを製造した。比較実験Gについては、テンポール0.45%を含有する上述のメタクリレート樹脂から4mmキャスティングを製造し、Lucidol CH50 4%とジイソプロピルパラトルイジンDIPT1.7%で硬化させた。
【0072】
硬化前および後に密度を決定するために、50mlピクノメーターを使用して、収縮率の測定を行った。この結果を表4に示す。
【0073】
【表4】

【0074】
この実施例から、メタクリレート樹脂(比較例G)で実証されるように、一般に収縮率の値が高くなるメタクリレートで希釈されているという事実にもかかわらず、本発明による樹脂の低収縮率がはっきりと実証されている。
【0075】
[実施例8]
[樹脂Bの合成]
エポン(Epon)(登録商標)828 753.1gを反応器に装入し、100℃に加熱し、その温度でトリフェニルホスフィン1.5g、フマル酸54.6gを添加した。反応器を140℃に加熱し、酸価が0.1未満になるまで140℃で維持した。次に、反応器を180℃に加熱し、ジシクロペンタジエン49.7gをゆっくりと添加した。DCPDを完全に添加した後、110℃に冷却する前に180℃でさらに1時間、反応器を攪拌した。110℃にて、テンポール0.4gを添加し、続いて少量ずつメタクリル酸242.6gを添加した。酸価が25未満になるまで反応を続け、その後に樹脂を80℃未満に冷却した。
【0076】
この時点で、この結果得られた、Mn約1100ダルトンを有するメタクリレート官能性ノルボルネン含有樹脂を、ブタンジオールジメタクリレート300gとトリメチロールプロパントリメタクリレート600gで希釈し、t−ブチルカテコール0.246gでさらに安定化した。
【0077】
このようにして得られた希釈樹脂は、粘度3644mPas、酸価10.5mg KOH/g樹脂を有した。
【0078】
[引抜き試験]
希釈樹脂B100gに、Octasoligen(登録商標)Mn−10(マンガン10%)1.5gを添加し、5分間攪拌した。次に、ペンタエリトリトールテトラキスメルカプトプロピオネート7gとt−ブチルパーベンゾエート2gの混合物を添加した。この混合物および鋼ロッドセットで参照ドリルホールを充填した。24時間後、引抜き試験において荷重値101kNが得られた。
【0079】
非常に良い機械的性質に加えて、この値は、コンクリートおよび鋼に対する優れた接着力も示している。
【0080】
[接着試験]
希釈樹脂B100gに、Octasoligen(登録商標)Mn−10(マンガン10%)1.5gを添加し、5分間攪拌した。次に、ペンタエリトリトールテトラキスメルカプトプロピオネート7gとt−ブチルパーベンゾエート2gの混合物を添加した。
【0081】
5分以内に、異なる材料のいくつかの小さな試験片をこの混合物で互いに接着した。24時間後に、試験片を手で離そうと試みた。
【0082】
金属上の木、木の上の木、金属上のガラス、プラスチック上のガラス、ガラス上のガラスおよび金属上の金属を使用したが、試験片を分離することができず、これによって、これらの樹脂混合物は、接着剤用途に適しているという事実が示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)チオールと、(ii)少なくとも1つのノルボルネン基を含有し、かつ少なくとも500ダルトンの分子量Mnを有する樹脂と、(iii)メタクリレート含有化合物とを含む樹脂組成物であって、少なくとも5重量%、最大で75重量%の量でメタクリレート含有化合物を含み、100重量%が、メタクリレート含有化合物と少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂との合計である、樹脂組成物。
【請求項2】
メタクリレート含有化合物を少なくとも15重量%、最大で65重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
メタクリレート含有化合物を少なくとも25重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
メタクリレート含有化合物を最大で60重量%含むことを特徴とする、請求項1または3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記メタクリレート含有化合物の少なくとも一部が、メタクリレートにおいて二官能性または三官能性であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記ノルボルネン基が、以下の式1
【化1】


式中、R=C(O)O−(つまり、カルボン酸エステル基)であり、Rは、水素、カルボン酸エステル基、ニトリル基、アルキル基、アルケニル基またはアリール基である、
を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
チオールとしてメルカプトプロピオネートまたはメルカプトアセテートを含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
−SHとノルボルネン基のモル比が10:1〜1:10の範囲であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
遷移金属化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
成分Aおよび成分Bからなる二成分樹脂システムであって、一方の前記成分(A)が、少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂とメタクリレート含有化合物を含み、成分(A)は、少なくとも5重量%、最大で75重量%の量でメタクリレート含有化合物を含有し、100重量%がメタクリレート含有化合物と少なくとも1つのノルボルネン基を含有する樹脂の合計であり;かつもう一方の前記成分(B)は、チオールと過酸化物を含むことを特徴とする、二成分樹脂システム。
【請求項11】
−SH(前記(B)成分に存在する)とノルボルネン基(前記(A)成分に存在する)のモル比が10:1〜1:10の範囲であることを特徴とする、請求項10に記載の二成分樹脂システム。
【請求項12】
前記二成分樹脂システムの前記成分のいずれか、または両方がさらに、抑制剤を含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の二成分樹脂システム。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を過酸化物と混合することを含むこと、または請求項10〜12のいずれか一項に記載の二成分樹脂システムの成分(A)と成分(B)を混合することを含むことを特徴とする、樹脂組成物をラジカル硬化するプロセス。
【請求項14】
自動車部品、ボート、屋根ふき材、建築物、容器、リライニング、パイプ、タンク、フローリング、ウィンドミルブレードまたは化学的アンカリングにおける請求項10〜12のいずれか一項に記載の二成分樹脂システムの使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を過酸化物と混合することによって得られるか、または請求項10〜12のいずれか一項に記載の二成分樹脂システムの成分を混合することによって得られる、硬化構造物。

【公表番号】特表2013−512299(P2013−512299A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540454(P2012−540454)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068403
【国際公開番号】WO2011/064360
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】