説明

ノンカーボン感圧複写紙及びトリアージタグ

【課題】脱色や溶媒に弱いという欠点をなくしたノンカーボン感圧複写紙、及び、そのノンカーボン感圧複写紙を用いたトリアージタグを提供する。
【解決手段】このノンカーボン感圧複写紙10は、原紙1に、顕色剤3と発色剤2とを塗布した上に、さらに透明かつ耐水性の被覆層であるフィルム4を設けた構造となっており、このノンカーボン感圧複写紙10を、フィルム4を上に向けた状態で3枚重ねて、上位のノンカーボン感圧複写紙10に記入した事項を下位のノンカーボン感圧複写紙10に複写可能とすることにより、トリアージタグとして使用できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンカーボン感圧複写紙に関するものであって、特に大規模災害時にできるだけ多くの人を救うために使用されているトリアージタグに好適である。
【背景技術】
【0002】
大規模災害時に用意された医療チームのパワーと医療設備でできるだけ多くの人命を救うためには、全傷病者の状態を把握し、医療チーム全体の能力を考慮して治療のスケジュールを決定することが不可欠である。そのために、従来より、傷病者の状態を明示するためのトリアージタグが用いられている(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
図8は、市販のトリアージタグ20を示す説明図、図9はこのトリアージタグ20に使用可能な3層構造のノンカーボン感圧複写紙10aの断面構造図である。なお、説明の便宜上、図8、図9(a)(b)中の用紙の厚さに対して顕色剤3及び発色剤2の厚さを誇張して示しているが、実際の顕色剤3及び発色剤2は無視しうる厚さである。また、後述する本発明品との対比が容易となるように、図9(b)中の発色剤2は顕色剤3の上にのっているように示しているが、実際には図9(a)に示すように、発色剤2は下位の用紙12aの表面に塗布された顕色剤3に対向する上位の用紙11aの裏面に塗布されているものである。
【0004】
トリアージタグ20は、例えば図8及び図9(a)に示すように、傷病者に装着するためのゴム紐21が付いている3枚1組の用紙(災害現場用、搬送機関用、収容医療機関用)11a,12a,13aを備えたノンカーボン感圧複写紙10aからなり、その3枚目の用紙13aに4色のカラー部分24,24,・・・がミシン目で切り離し可能に繋がっている。このカラー部分24,24,・・・は、傷病者の治療優先度を視認するための部分であって、生命・四肢の危機的状態で直ちに処置の必要なものを治療優先度の最も高い区分I(赤色)とし、2〜3時間処置を遅らせても悪化しない程度のものを治療優先度の高い区分II(黄色)とし、軽度外傷・通院加療が可能な程度のものを治療優先度の低い区分III(緑色)とし、生命兆候のないものを最も治療優先度の低い区分(黒色)として、それぞれ色分けされている。
【0005】
また、1枚目の用紙11aにおける表側上段の記載部分22には、No.、氏名、年齢、性別、住所、電話、トリアージ実施月日・時刻、搬送機関名、及び収容医療機関名がそれぞれ記載可能となっており、表側下段の記載部分23には、トリアージ実施場所、トリアージ区分、トリアージ実施機関、症状・傷病名、及び特許事項がそれぞれ記載可能となっている。
【0006】
そして、1枚目の用紙11aの各記載事項が、2枚目の用紙12aと、3枚目の用紙13aにそのまま複写されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
ここで、ノンカーボン感圧複写紙10aは、図9(a)に示すように、原紙1の裏側に発色剤(マイクロカプセル等)2が塗布された上位の用紙(上用紙)11aと、原紙1の表裏面にそれぞれ顕色剤(顕色剤塗料、顕色剤インク等)3、発色剤2が塗布された中位の用紙(中用紙)12aと、原紙1の表面に顕色剤3が塗布された下位の用紙(下用紙)13aとから構成されており、上用紙11aの表面への、例えばボールペンによる記載時の筆圧Aで、中用紙12a及び下用紙13aの各表面にそれぞれ複写がなされるものが知られている(例えば特許文献2を参照)。
【0008】
また、電子ペンに対応したトリアージタグを使用し、そのトリアージタグに赤外線インクで印刷された電子ペン専用ドットパターンを、電子ペン内蔵の撮像カメラで読み取ることによって、電子ペンが、トリアージタグ上のどの位置で、どのように動いたかを示す軌跡データ(デジタルデータ)を、電子ペン内蔵の記憶部に蓄積し、この記憶部に蓄積された軌跡データを、通信端末経由でサーバーに伝送し、傷病者情報として管理する傷病者管理システムが知られている(例えば特許文献3参照)。
【非特許文献1】厚生労働省、「厚生労働省ホームページ 災害医療体制のあり方に関する検討会報告書 平成13年6月」、「online」、厚生労働省、「平成19年10月22日検索」、インターネットURL「http://www.mhlw.go.jp/shingi/0106/s0629-3.html」
【特許文献1】登実第3053755号公報
【特許文献2】特開2006−076273号公報
【特許文献3】特開2007−172010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、2005年4月に発生したJR福知山線列車事故で前記トリアージタグ20が実際に使用されたときに、2枚目の用紙12aの表側上段の記載部分22と表側下段の記載部分23には記載事項が何も無いのにもかかわらず、3枚目の用紙13aの表側上段の記載部分22と表側下段の記載部分23には記載事項の複写されたものが残っていたことがあった。本発明者は、その原因として、傷病者にトリアージタグ20が装着された後の災害現場又は搬送中において、その傷病者をアルコール消毒等したときに、トリアージタグ20の2枚目の用紙12aの記載事項が消えてしまったものと考えた。
【0010】
すなわち、特許文献2に記載したノンカーボン感圧複写紙10aの場合では、図9(b)に示すように、上用紙11aの表面へのボールペンによる筆圧Aにより中用紙12a及び下用紙13aの各表面の顕色剤3に発色剤2が破壊されて着色され、その着色部分5が視認できるようになることにより、上用紙11aの表面へ記載された文字が、中用紙12a及び下用紙13aの各表面での発色文字として複写されるようになっている。
【0011】
しかしながら、中用紙12a及び下用紙13aの原紙1と顕色剤3との境界部分6はアルコール等で剥離しやすいといった性質があるため、この境界部分6に染み込んだアルコール等で前記発色文字が消えることがあり、発色能力が低下することがある。
【0012】
このため、本発明者は、従来のトリアージタグ20に使用されているノンカーボン感圧複写紙10aは、脱色や溶媒に弱いという欠点があるものと考え、実験により、それを確認した(詳しくは、後述する)。
【0013】
また、特許文献3に記載した傷病者管理システムでは、電子ペンを使用しており、この電子ペンで読み取るドットパターン以外は、従来と同様のトリアージタグを使用するものであって、トリアージタグへの書込みは電子ペンに内蔵されたインクカートリッジからのインクによるものであるので、雨天では使用できず、従来と同様に脱色や溶媒に弱いという欠点があることは、上記実験結果より明らかである。
【0014】
この傷病者管理システムは、トリアージタグのカルテの代用として使用されるためには、保管に耐えるものであることが実証されなければならないが、その実証までにはいたっていない。また、上記傷病者管理システムは、特殊なペンである電子ペンと、電子ペン専用ドットパターンが赤外線インクで印刷された特殊なトリアージタグとを使用した複雑で高価な構成となっているので、災害時に実際に使用するためには、それまでに操作方法を習得しておくことが必要であり、費用低減の問題がある。さらに、デジタルデータを伝送する際の、個人データの機密保持上の問題もある。
【0015】
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、アルコール等が介在するといった劣悪な環境下においも、常に良好な複写性能を確保できるノンカーボン感圧複写紙、及び、そのノンカーボン感圧複写紙を用いたトリアージタグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、原紙に、顕色剤と発色剤とを塗布したノンカーボン感圧複写紙であって、前記顕色剤と発色剤とを塗布した上に、さらに透明かつ耐水性の被覆層を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明によれば、原紙に、顕色剤と発色剤とが塗布された上に、さらに透明かつ耐水性の被覆層が設けられたので、この被覆層の存在により原紙と顕色剤との境界部分にアルコール等が入り込むことがなくなる。したがって、その境界部分で剥離するおそれがなくなり、これにより脱色や溶媒に弱いという欠点をなくすことができる。
【0018】
また、被覆層で耐水性が確保されるので、雨天時や、水中であっても、最も上位の被覆層の上から筆記具(例えばボールペン等の先の尖ったものであればなんでもよい。)で筆圧を与えるだけで、下位の用紙への複写を行えるのはもちろんのこと、その最上位の用紙への複写をも容易に行うことができる。したがって、アルコール等が介在するといった劣悪な環境下においも、常に良好な複写性能を確保できる。しかも、ノンカーボン感圧複写紙10で複写されたものを仮に地下貯蔵室に貯蔵しており、台風等により冠水などがあったとしても、このノンカーボン感圧複写紙10で複写されたものは全く影響を受けない。
【0019】
さらに、最上位の用紙への複写をも容易に行うことができることから、1枚の用紙(単層)だけでの使用が可能となるので、複数枚の用紙のように、ばらけることがなくなり、その使い勝手がよくなる。しかも、前記従来例のように3枚1組で使用する必要性は必ずしもなくなり、用途によっては経済的なものとなる。
【0020】
ところで、前記被覆層の厚みが薄い場合には、例えばボールペンによる筆圧等で破損することがある。そこで、請求項2記載の発明のように、前記被覆層は、10μm以上の厚みを有することが好ましい。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、前記被覆層は、10μm以上の厚みを有するので、例えばボールペンによる筆圧によって該被覆層が破れないような強度を確保することができる。
【0022】
また、用紙に対する被覆層の厚さは無視できないことから、その用紙の枚数によっては、複写性能が確保できなくなるものの、通常は2〜3枚の用紙を1組で使用することが多いことから、そのような条件下で複写性能を確保するのが経済的であるといった事情がある。そこで、請求項3記載の発明のように、前記被覆層は、30μm以下の厚みを有することが好ましい。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、前記被覆層は、30μm以下の厚みを有するので、最も上位の用紙への例えばボールペンによる筆圧で、下位の用紙の顕色剤に対抗する発色剤が潰れて着色することで、その下位の用紙への複写が確実になされるようになる。
【0024】
また、前記被覆層は、透明なものであり、紫外線を透過しにくくする性質を有するのであるが、特に紫外線の強い屋外での使用が多い場合や、その使用後の保存期間が長期間にわたる場合などには、さらに紫外線による脱色を防止することが必要である。そこで、請求項4記載の発明のように、前記被覆層は、紫外線を透過しにくい材料からなることが好ましい。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、前記被覆層は、紫外線を透過しにくい材料からなるので、紫外線による脱色が少なくなり、耐侯性があるものとなる。
【0026】
また、前記被覆層は、耐水性のものであるが、吸湿により膨潤するものであってはならない。そこで、請求項5記載の発明のように、前記被覆層は、ポリマー系の合成樹脂からなることが好ましい。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、前記被覆層は、ポリマー系の合成樹脂からなるので、膨潤することがなくなり、耐水性のあるものとなる。
【0028】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のノンカーボン感圧複写紙を、それぞれ前記被覆層を上に向けた状態で複数枚重ねて、上位のノンカーボン感圧複写紙を圧下することにより、この上位のノンカーボン感圧複写紙に記入した事項を、下位のノンカーボン感圧複写紙に複写可能としたことを特徴とするトリアージタグである。
【0029】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載のノンカーボン感圧複写紙が、それぞれ前記被覆層を上に向けた状態で複数枚重ねられて、上位のノンカーボン感圧複写紙が圧下されることにより、この上位のノンカーボン感圧複写紙に記入された事項が、下位のノンカーボン感圧複写紙に複写可能とされるので、脱色や溶媒に弱いという欠点がないトリアージタグを得ることができる。したがって、トリアージタグは、所定法規による長期間の保存が義務付けられているが、このような長期保存をも可能とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明のノンカーボン感圧複写紙によれば、原紙に、顕色剤と発色剤とが塗布された上に、さらに透明かつ耐水性の被覆層が設けられたので、この被覆層の存在により原紙と顕色剤との境界部分にアルコール等が入り込むことがなくなる。したがって、その境界部分で剥離するおそれがなくなり、これにより脱色や溶媒に弱いという欠点をなくすことができる。
【0031】
また、被覆層で耐水性が確保されるので、雨天時や、水中であっても、最も上位の被覆層の上から筆記具(例えばボールペン等の先の尖ったものであればなんでもよい。)で筆圧を与えるだけで、下位の用紙への複写を行えるのはもちろんのこと、その最上位の用紙への複写をも容易に行うことができる。したがって、アルコール等が介在するといった劣悪な環境下においも、常に良好な複写性能を確保できる。しかも、ノンカーボン感圧複写紙10で複写されたものを仮に地下貯蔵室に貯蔵しており、台風等により冠水などがあったとしても、このノンカーボン感圧複写紙10で複写されたものは全く影響を受けない。
【0032】
さらに、最上位の用紙への複写をも容易に行うことができることから、1枚の用紙(単層)だけでの使用が可能となるので、複数枚の用紙のように、ばらけることがなくなり、その使い勝手がよくなる。しかも、前記従来例のように3枚1組で使用する必要性は必ずしもなくなり、用途によっては経済的なものとなる。
【0033】
また、本発明のノンカーボン感圧複写紙を用いたトリアージタグによれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載のノンカーボン感圧複写紙が、それぞれ前記被覆層を上に向けた状態で複数枚重ねられて、上位のノンカーボン感圧複写紙が圧下されることにより、この上位のノンカーボン感圧複写紙に記入された事項が、下位のノンカーボン感圧複写紙に複写可能とされるので、脱色や溶媒に弱いという欠点がなくなる。したがって、このトリアージタグは、所定法規による長期間の保存が義務付けられているが、このような長期保存をも可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は本発明の一実施形態に係るノンカーボン感圧複写紙10の断面構造を模式的に示す図であって、(a)は単層の圧縮前の状態を示す図、(b)は単層の圧縮後の状態を示す図である。図2は本実施形態に係るノンカーボン感圧複写紙10の複数層の圧縮前の状態を示す図である。なお、図1(a)(b)、図2中では、用紙の厚さに対して、顕色剤3、発色剤2、フィルム4の厚さを誇張して示している。
【0035】
図1(a)に示すように、本実施形態に係るノンカーボン感圧複写紙10の1枚の用紙11は、原紙1上に、顕色剤3、発色剤2の双方が塗布された、セルフと呼ばれる自己発色性の用紙で、25μm程度の厚みのものを使用し、その上にフィルム(透明かつ耐水性の被覆層に相当する。)4をラミネートした構造となっている。
【0036】
原紙1は、通常セルロース繊維を主体とする酸性紙、中性紙が用いられるが、合成樹脂からなるシートを用いることもできる。ここでは、撥水性(耐水)のある合成樹脂製のシートを用いることとする。
【0037】
顕色剤3は、マイクロカプセル内の染料と反応して、例えばブルーに発色する有機顕色剤が、原紙1の表面に均一に塗布されている。
【0038】
発色剤2は、染料を含有するマイクロカプセルが、顕色剤3上に均一に塗布されている。マイクロカプセルは、無色の染料を不揮発性のオイルに溶解し、高分子皮膜で包んだものであり、直径数μmの大きさの微粒子である。この発色剤2は、通常の取り扱いでは、マイクロカプセルが破壊されにくく、後述する図3(a)のボールペン50などによる筆圧で適当な圧力を与えることにより、このマイクロカプセルが破壊されて、適正な発色性や強度を実現するようになっている。
【0039】
フィルム4は、ポリマー系の合成樹脂であり、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好適である。ここでは、例えば屋内外で用いることの多いポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることとする。なお、セルロース系の合成樹脂は、水中で膨潤するので除く。フィルム厚さは10〜30μmとしており、これは後述する実験結果に基づいて設定されたものである。
【0040】
そして、図1(b)に示すように、フィルム4の上から、例えばボールペン50の筆圧Aにより適当な圧力を与えると、発色剤2のマイクロカプセルが破壊されて、このマイクロカプセル中の無色染料が流出し、原紙1上の顕色剤3と接触して化学反応を起こし、瞬時に着色するようになっている。
【0041】
このノンカーボン感圧複写紙10は単層でも使用できるが、ここでは、3層構造の場合を例示する。すなわち、ノンカーボン感圧複写紙10は、図2に示すように、1,2,3枚目の用紙11,12,13は、いずれも同じ構成となっている。
【0042】
以下、このノンカーボン感圧複写紙10を用いて、その性質を確認するための実験をすることとした。図3は圧縮中の用紙11,12を模式的に示す説明図であって、(a)は1枚目の用紙11、(b)は2枚目の用紙12を示す。
【0043】
この実験では、ノンカーボン感圧複写紙10の用紙11,12,・・・を重ねた状態で、最上位の用紙11の表面に100気圧の筆圧Aをかけながら、その用紙全体を引っ張ることで、各用紙11,12,・・・に複写された筆跡(着色部分5)の濃度を測定することとした。この100気圧の筆圧Aは、図3(a)に示すように、例えばボールペン50を用いて用紙11に文字等を書くときの通常の筆圧の2倍程度を想定したものである。なお、実際には、最上位の用紙11の表面のフィルム4に2本の筋状の着色部分5がはっきりと複写されており、下位の用紙12の表面のフィルム4に当該着色部分5がやや薄くなって複写されているが、図3(a)(b)では、この様子を、説明の便宜上、線の太さの変化にして示している。
【0044】
図4は吸光度の測定方法を模式的に示す図、図5〜図7は測定結果を示す図である。測定条件は、例えば常温で通常の湿度の空気中にあるものとする。ここでは、各用紙11,12,・・・の着色部分5の染料濃度を、図4に示すような、積分球Sを備えた可視吸光計(商品型式:日本分光V−7100)を用いて、光の波長610nmにおいて測定する場合を示している。すなわち、入射光L1を着色部分5に当てて、その反射光L2を積分球Sで捕えることで、吸光度を求めた。その際、1枚目の用紙11の吸光度を基準とし、2枚目以降の用紙12,13の吸光度はこの値により規格化した。
【0045】
図5においては、縦軸は規格化した吸光度(以下、単に「吸光度」という)、横軸はフィルム枚数を示す。ここでは、フィルム4の厚さは、10μm、30μm、50μm、60μmの4種類(図5中、10μmを○で、30μmを●で、50μmを□で、60μmを■でそれぞれ示している。)とし、ノンカーボン感圧複写紙10の用紙の枚数は、色が確認できる程度のものとして、吸光度が0.50(すなわち、元の色の半分の濃度である。)をその限界値とした。なお、フィルム4の厚さが10μmよりも薄いと、筆圧等により、このフィルム4が破れてしまうことがある。また、筆圧以外の圧力がかかることにより容易に発色してしまい、これにより用紙が汚れやすくなるといった不具合もある。
【0046】
図5によると、フィルム4の厚さが10μmの場合には、ノンカーボン感圧複写紙10の1枚目の用紙11で吸光度は1.00であり、2枚目の用紙12で吸光度は0.95であり、3枚目の用紙13で吸光度は0.90であり、4枚目の用紙14で吸光度は0.75である。いずれも吸光度の限界値である0.50よりも大きいので、ノンカーボン感圧複写紙10の用紙の枚数の使用限界は確認できなかった。
【0047】
フィルム4の厚さが30μmの場合には、ノンカーボン感圧複写紙10の1枚目の用紙11で吸光度は1.00であり、2枚目の用紙12で吸光度は0.95であり、3枚目の用紙13で吸光度は0.70であり、4枚目の用紙14で吸光度は0.40である。したがって、4枚目の用紙14で吸光度の限界値である0.50よりも小さくなっているので、ノンカーボン感圧複写紙10は3枚目の用紙13までが使用限界となることがわかる。
【0048】
フィルム4の厚さが50μmの場合には、ノンカーボン感圧複写紙10の1枚目の用紙11で吸光度は1.00であり、2枚目の用紙12で吸光度は0.90であり、3枚目の用紙13で吸光度は0.65であり、4枚目の用紙14で吸光度は0.40である。したがって、4枚目の用紙14で吸光度の限界値である0.50よりも小さくなっているので、ノンカーボン感圧複写紙10は3枚目の用紙13までが使用限界となることがわかる。
【0049】
フィルム4の厚さが60μmの場合には、ノンカーボン感圧複写紙10の1枚目の用紙11で吸光度は1.00であり、2枚目の用紙12で吸光度は0.80であり、3枚目の用紙13で吸光度は0.40であり、4枚目の用紙14で吸光度は0.20である。したがって、3枚目の用紙13で吸光度の限界値である0.50よりも小さくなっているので、ノンカーボン感圧複写紙10は2枚目の用紙12までが使用限界となることがわかる。
【0050】
図8に示したような一般的なトリアージタグ20では、3枚重ねの複写紙を用いるので、図5の測定結果からは、フィルム4の厚さは10〜50μmであることが好ましいことがわかる。しかしながら、実際の吸光度の変化は、フィルム4の厚さと枚数とだけではなく、用紙表面からの深さ方向への距離により大きく左右されることがわかった。そこで、引き続いて以下のような実験を行った。
【0051】
図6においては、縦軸は吸光度、横軸は用紙表面からの深さ方向への距離(μm)を示す。ここでも、フィルム4の厚さは、10μm、30μm、50μm、60μmの4種類(図6中、10μmを○で、30μmを●で、50μmを□で、60μmを■でそれぞれ示している。)とし、ノンカーボン感圧複写紙10の用紙の枚数は、色が確認できる程度のものとして、吸光度が0.50をその限界値とした。
【0052】
図6によると、フィルム厚が10μmの場合には、最上位の用紙11の表面(以下、「用紙表面」という。)からの深さ方向への距離が0μmで吸光度が1であり、用紙表面からの深さ方向への距離が40μmで吸光度が0.95であり、用紙表面からの深さ方向への距離が70μmで吸光度が0.90であり、用紙表面からの深さ方向への距離が100μmで吸光度が0.75であり、用紙表面からの深さ方向への距離が170μmで吸光度が0.40である。したがって、ノンカーボン感圧複写紙10は用紙表面からの深さ方向への距離が150μmで吸光度の限界値である0.5となることがわかる。
【0053】
フィルム厚が30μmの場合には、用紙表面からの深さ方向への距離が0μmで吸光度が1であり、用紙表面からの深さ方向への距離が60μmで吸光度が0.95であり、用紙表面からの深さ方向への距離が90μmで吸光度が0.80であり、用紙表面からの深さ方向への距離が170μmで吸光度が0.40である。したがって、ノンカーボン感圧複写紙10は用紙表面からの深さ方向への距離が150μmで吸光度の限界値である0.5となることがわかる。
【0054】
フィルム厚が50μmの場合には、用紙表面からの深さ方向への距離が0μmで吸光度が1であり、用紙表面からの深さ方向への距離が80μmで吸光度が0.90であり、用紙表面からの深さ方向への距離が150μmで吸光度が0.65であり、用紙表面からの深さ方向への距離が220μmで吸光度が0.40である。したがって、ノンカーボン感圧複写紙10は用紙表面からの深さ方向への距離が200μmで吸光度の限界値である0.5となることがわかる。
【0055】
フィルム厚が60μmの場合には、用紙表面からの深さ方向への距離が0μmで吸光度が1であり、用紙表面からの深さ方向への距離が120μmで吸光度が0.70であり、用紙表面からの深さ方向への距離が250μmで吸光度が0.20である。したがって、ノンカーボン感圧複写紙10は用紙表面からの深さ方向への距離が170μmで吸光度の限界値である0.5となることがわかる。
【0056】
トリアージタグ20では、3枚重ねの複写紙であって、原紙1の厚さが25μm程度であるので、図5,図6の測定結果より、フィルム4の厚さ10μmの場合には、用紙表面からの深さ方向への距離D1は、2枚の用紙11,12の全厚さと、3枚目のフィルム4の厚さとの合計となり、
D1=(25+10)×2+10=80μm
となる。したがって、この場合には、3枚目の用紙13の着色部分5での吸光度が0.8であって、これは吸光度の限界値である0.5よりも大きいので、その3枚目の用紙13への複写が確実にできることがわかる。
【0057】
フィルム4の厚さ30μmの場合には、用紙表面からの深さ方向への距離D2は、2枚の用紙11,12の全厚さと、3枚目のフィルム4の厚さとの合計となり、
D2=(25+30)×2+30=140μm
となる。したがって、この場合には、3枚目の用紙13の着色部分5での吸光度は0.5であって、これは吸光度の限界値である0.5と等しいので、その3枚目の用紙13への複写が確実にできることがわかる。
【0058】
フィルム4の厚さ50μmの場合には、用紙表面からの深さ方向への距離D3は、2枚の用紙11,12の全厚さと、3枚目のフィルム4の厚さとの合計となり、
D3=(25+50)×2+50=200μm
となる。したがって、この場合には、3枚目の用紙13の着色部分5での吸光度を外挿すると0.1であって、これは吸光度の限界値である0.5よりも小さいので、その3枚目の用紙13への複写が十分にはできないことがわかる。
【0059】
フィルム4の厚さ60μmの場合には、用紙表面からの深さ方向への距離D4は、2枚の用紙11,12の全厚さと、3枚目のフィルム4の厚さとの合計となり、
D4=(25+60)×2+60=230μm
となる。したがって、この場合には、3枚目の用紙13の着色部分5での吸光度は0.3であって、これは吸光度の限界値である0.5よりも小さいので、その3枚目の用紙13への複写が十分にはできないことがわかる。
【0060】
このようにして、図5,図6の測定結果より、フィルム4の厚さは10〜30μmが好ましいことがわかった。
【0061】
また、このフィルム4は、透明なものであり、紫外線を透過しにくくする性質を有するのであるが、特に紫外線の強い屋外での使用が多い場合や、その使用後の保存期間が長期間にわたる場合などには、その紫外線による脱色を防止することが必要である。そこで、波長352nmのブラックライトを照射し、フィルム4の有無による耐光性を確認した。
【0062】
図7においては、縦軸は規格化した吸光度、横軸は紫外線照射時間(hr)を示す。この図7によると、フィルム4が有る場合(図7中、●で示している。)は、紫外線照射時間が0hrで吸光度は1であり、紫外線照射時間が3hrで吸光度は0.90であり、紫外線照射時間が12hrで吸光度は0.85であり、紫外線照射時間が50hrで吸光度は0.80であり、紫外線照射時間が100hrで吸光度は0.80である。したがって、フィルム4が有る場合は耐光性があることが確認された。
【0063】
フィルム4が無い場合(図7中、○で示している。)は、紫外線照射時間が0hrで吸光度は1であり、紫外線照射時間が3hrで吸光度は0.80であり、紫外線照射時間が12hrで吸光度は0.70であり、紫外線照射時間が50hrで吸光度は0.60であり、紫外線照射時間が100hrで吸光度は0.50である。したがって、フィルム4が無い場合は耐光性がないことが確認された。
【0064】
トリアージタグ20では、屋内外で紫外線に晒されていることが多いので、図7の測定結果からは、フィルム4が有るのが好ましいことがわかる。
【0065】
この他、フィルム4を水中に浸漬することによって、耐水性を確認し、アルコールなどの溶媒を滴下して、脱色しないことをも確認した。
【0066】
したがって、このフィルム4の存在により、ノンカーボン感圧複写紙10の用紙11,12,13については、そのフィルム4よりも下方への水分や溶媒の進入を防止できることになる。これにより、空気中と全く変わらない状態で、水中での文字の記入さえも可能となることがわかった。
【0067】
本実施形態のノンカーボン感圧複写紙10によれば、原紙1に、顕色剤3と発色剤2とが塗布された上に、さらに透明かつ耐水性の被覆層としてもフィルム4が設けられたので、このフィルム4の存在により原紙1と顕色剤3との境界部分にアルコール等が入り込むことがなくなる。したがって、その境界部分で剥離するおそれがなくなり、これにより脱色や溶媒に弱いという欠点をなくすことができる。
【0068】
また、フィルム4で耐水性が確保されるので、雨天時や、水中であっても、最も上位の用紙11のフィルム4の上から筆記具(例えばボールペン等の先の尖ったものであればなんでもよい。)で筆圧を与えるだけで、下位の用紙12,13への複写を行えるのはもちろんのこと、その最上位の用紙11への複写をも容易に行うことができる。したがって、アルコール等が介在するといった劣悪な環境下においも、常に良好な複写性能を確保できる。しかも、ノンカーボン感圧複写紙10で複写されたものを仮に地下貯蔵室に貯蔵しており、台風等により冠水などがあったとしても、このノンカーボン感圧複写紙10で複写されたものは全く影響を受けない。
【0069】
さらに、最上位の用紙11への複写をも容易に行うことができることから、1枚の用紙(単層)だけでの使用が可能となるので、複数枚の用紙のように、ばらけることがなくなり、その使い勝手がよくなる。しかも、前記従来例のように3枚1組で使用する必要性は必ずしもなくなり、用途によっては経済的なものとなる。
【0070】
以下、ノンカーボン感圧複写紙10を用いたトリアージタグ20の使用方法について説明する。災害現場に駆けつけた最初のトリアージチームは、図8に示すようなトリアージタグ20を、傷病者の例えば右腕にゴム紐21で付けて廻る。
【0071】
このとき、トリアージタグ20の1枚目の用紙11における、上段の記載部分22と、下段の記載部分23には、それぞれ必要な事項をボールペン等で書込むが、例えば雨天であったとしても、その1枚目の用紙11の当該記載部分22,23に問題なく書込むことができる。
【0072】
すなわち、1枚目の用紙11のフィルム4が、そのボールペン50による筆圧で押圧される。この筆圧で発色剤2のマイクロカプセルが破壊されて、顕色剤と化学反応を起こして原紙1を着色する(図2(b)参照)。
【0073】
これにより、1枚目の用紙11の記載事項が、2,3枚目の用紙12,13に複写される。すなわち、1枚目の用紙11の筆圧で、2,3枚目のフィルム4が、押圧される結果、その2,3枚目の用紙12,13の発色剤2のマイクロカプセルがそれぞれ破壊されて、顕色剤3と化学反応を起こして原紙1を着色する。
【0074】
そして、トリアージタグ20の3枚目の用紙13における4色のカラー部分のうち、傷病者の治療優先度を示すカラー部分24を残すようにして、余分なカラー部分24を切り離す。また、トリアージタグ20の1枚目の用紙11は切り取られる。
【0075】
後続のトリアージチームは、このトリアージタグ20のカラー部分24に示す治療優先度にしたがって、傷病者を医療機関に搬送する。このとき、トリアージタグ20の2枚目の用紙12に、前記必要事項が記載されていない場合には、その2枚目の用紙12に、前記必要事項を記載する。すると、上記と同様にして、3枚面の用紙13に記載内容が複写される。
【0076】
そして、後続のトリアージチームは、傷病者にトリアージタグ20を付けたまま、その傷病者を医療機関に搬送し、トリアージタグ20の2枚目の用紙12は当該医療機関に到着した時点で切り取られる。医療機関では、トリアージタグ20の3枚目の用紙13に複写された記載事項とカラー部分24の残部とで、必要な医療を施すこととなる。
【0077】
このようにして、本実施形態に係るトリアージタグ20によれば、ノンカーボン感圧複写紙10を、それぞれフィルム4を上に向けた状態で3枚重ねて、上位の用紙に記入した事項を下位の用紙に複写可能としたので、仮に現場や搬送途中で、傷病者をアルコールで消毒していたとしても、トリアージタグ20の各用紙の記載事項は残っており、従来のものに比べて脱色や溶媒に弱いという欠点がない。
【0078】
したがって、このトリアージタグ20は、当該医療機関で5年間の保存が義務付けられているが、このような長期保存中にあっても、雨水や紫外線の影響で記載事項が薄くなり、最悪の場合には消えてしまうといったことがなくなるので、その長期保存が可能となる。
【0079】
なお、上記実施形態では、トリアージタグ20にノンカーボン感圧複写紙10を用いた場合を例示しているが、本発明のノンカーボン感圧複写紙10の適用範囲はこれに限定されず、例えば手術中のメモ、水中筆記具、通常の筆記具の保持が困難な障害者用の筆記具への適用は勿論のこと、ボトル側面への筆記手段などにも適用できる。その場合には、ノンカーボン感圧複写紙10を1枚(単層)だけで使用してもよいし、さらにはノンカーボン感圧複写紙10での複写ができる限りの枚数(2枚、或いは4枚以上)で使用してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、トリアージタグ20の各用紙11,12,13は、いずれもセルフと呼ばれる自己発色性の用紙の上にフィルム4をラミネートした構造となっているが、原紙1上に、顕色剤3と発色剤2とをそれぞれ塗布した上に、フィルム4をさらに被覆したものであってもよい。その被覆方法としては、必ずしもフィルム4をラミネートする必要はなく、例えば接着剤によるフィルム4の貼り付け、その他のあらゆるコーティング方法であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、発色剤2は、顕色剤3との化学反応を起こして、原紙1をブルーに着色するものであるが、例えばブラックなどの別の色に着色するものとしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、ボールペン50を用いて、トリアージタグ20の1枚目の用紙11における、上段の記載部分22と、下段の記載部分23にそれぞれ必要な記載を行っているが、先の尖ったものであれば、筆記具は何でもよい。この他、筆記具による筆圧の代わりに、ドットプリンターでの印字力を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態に係るノンカーボン感圧複写紙の断面構造を模式的に示す図であって、(a)は単層の圧縮前の状態を示す図、(b)は単層の圧縮後の状態を示す図である。
【図2】本実施形態に係るノンカーボン感圧複写紙の複数層の圧縮前の状態を示す図である。
【図3】圧縮中の様子を模式的に示す説明図であって、(a)は1枚目の用紙、(b)は2枚目の用紙を示す。
【図4】吸光度の測定方法を模式的に示す図である。
【図5】測定結果(用紙枚数に対する吸光度の変化)を示す説明図である。
【図6】測定結果を(用紙表面からの深さ方向への距離に対する吸光度の変化)示す説明図である。
【図7】測定結果(紫外線照射時間に対する吸光度の変化)を示す説明図である。
【図8】市販のトリアージタグの全体構造を示す説明図である。
【図9】従来のノンカーボン感圧複写紙の断面構造図であって、(a)は圧縮前の状態(3層構造)、(b)は圧縮後の状態(2枚目の用紙)を示す。
【符号の説明】
【0084】
1 原紙
2 発色剤
3 顕色剤
4 フィルム(被覆層に相当する。)
5 着色部分
6 境界部分
10 ノンカーボン感圧複写紙
11 最上位の用紙
12 下位の用紙
13 最下位の用紙
20 トリアージタグ
21 ゴム紐
22 上段の記載部分
23 下段の記載部分
24 カラー部分
50 ボールペン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙に、顕色剤と発色剤とを塗布したノンカーボン感圧複写紙であって、
前記顕色剤と発色剤とを塗布した上に、さらに透明かつ耐水性の被覆層を設けたことを特徴とするノンカーボン感圧複写紙。
【請求項2】
前記被覆層は、10μm以上の厚みを有することを特徴とする請求項1記載のノンカーボン感圧複写紙。
【請求項3】
前記被覆層は、30μm以下の厚みを有することを特徴とする請求項1又は2記載のノンカーボン感圧複写紙。
【請求項4】
前記被覆層は、紫外線を透過しにくい材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のノンカーボン感圧複写紙。
【請求項5】
前記被覆層は、ポリマー系の合成樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のノンカーボン感圧複写紙。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のノンカーボン感圧複写紙を、それぞれ前記被覆層を上に向けた状態で複数枚重ねて、上位のノンカーボン感圧複写紙を圧下することにより、この上位のノンカーボン感圧複写紙に記入した事項を、下位のノンカーボン感圧複写紙に複写可能としたことを特徴とするトリアージタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−137047(P2009−137047A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313068(P2007−313068)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(504150450)国立大学法人神戸大学 (421)
【Fターム(参考)】