説明

ノートブック

【課題】 記録内容の改竄を容易に識別できる機能を備えつつ、製作費の低減を図ることのできるノートブック1を提供する。
【解決手段】 複数冊の折丁5を重ね合わせて中身2が構成される。折丁5の頁には、折丁5を単位として完結する規則性を有した改竄識別標識群が、当該規則性を保持する形態で付してある。記録内容の改竄の有無は、頁に付された改竄識別標識群の規則性が保持されているか否かで容易に識別することができる。例えば、ノートブック1の中身2を1枚を破り取ったり、中身2に別の用紙5を差し込んだ場合は、改竄識別標識群の規則性が失われるため、これをもってその種の改竄を識別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、研究開発や実験等の過程を記録しておくために用いられるラボノートとして好適なノートブックに関する。
【背景技術】
【0002】
日々の研究開発や実験等の過程を日時とともに記録し、第三者のサインをもってその記録内容を証明してもらうことで発明完成時の証拠となるラボノートは、先発明主義の特許制度を採用するアメリカ合衆国では、研究開発者の必需品となっている。
近年では、グローバル化した産業発展に伴い、我が国においても、ラボノートを利用し研究開発や実験等の過程を記録しておくことを研究開発者に習慣化させる企業が増えている。
ラボノートは、証拠としての価値を保持するため、容易に改竄できないことが要求される。逆に言うと、記録内容が改竄された場合にはその痕跡を容易に識別できる機能を有していることが必要とされる。このため、従来のラボノートは、最初の頁から最後の頁まで連続した頁番号(ノンブル)が付され、途中の1枚を破り取ったり、途中に別の用紙を差し込んだ場合は、頁番号が不連続となってその種の改竄が識別できるように構成されていた。
なお、この種のラボノートの構成は、すでに周知となっており、出願人の調査した範囲でかかる構成を開示する特許文献は見当たらなかった。
【0003】
しかしながら、従来のラボノートの製作費は、最初の頁から最後の頁まで連続した頁番号(ノンブル)が付されているだけで、次に説明するとおり、通常のノートブックの製作費に比べ格段に高価格となってしまう。
すなわち、ノートブックの製作は、通常の印刷・製本技術をもって行われており、「折丁」と称する構成要素を複数冊重ね合わせて中身の頁が構成されている。折丁は、表裏に複数頁分の印刷が施され、且つ頁サイズに折りたたまれた構成要素である。複数冊の折丁を重ね合わせ、背を綴じて、且つ天地と小口を裁断してノートブックが製作される。ここで、ノートブックの最初の頁から最後の頁まで連続した頁番号(ノンブル)を付すには、頁番号を複数の折丁に区分けして印刷し、それらの折丁を順番に重ね合わせて綴らなければならない。したがって、複数に区分けされた頁番号を複数の用紙にそれぞれ印刷するために、刷版(印刷用の版)がその区分けされた数だけ必要となり、印刷コストが高価格となる。さらに、複数種類の折丁を頁番号順に並べて重ね合わせる作業が必要となるため作業効率が低下する。これらがラボノートの製作費を高価格化させる要因となっていた。
【0004】
また、特許文献1に開示されているような管理システムを利用して、ラボノートの改竄を防止する技術も開発されているが、汎用性がなく、ラボノートの普及には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−169722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、記録内容の改竄を容易に識別できる機能を備えつつ、製作費の低減を図ることのできるノートブックの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、複数冊の折丁を重ね合わせて中身が構成されるノートブックであって、
折丁を単位として完結する規則性を有した改竄識別標識群を、折丁の頁に当該規則性が保持される形態で付してあることを特徴とする。
【0008】
ここで、「折丁」とは、ノートブックにおける複数頁分の記載頁が印刷され、それらの各記載頁が頁順に並ぶように折り込まれた状態の用紙をいう。
【0009】
記録内容の改竄の有無は、頁に付された改竄識別標識群の規則性が保持されているか否かで容易に識別することができる。例えば、ノートブックの中身を1枚破り取ったり、中身に別の用紙を差し込んだ場合は、改竄識別標識群の規則性が失われるため、これをもってその種の改竄を識別することができる。
【0010】
かかる改竄識別標識群の規則性は、折丁を単位として完結するように構成されているので、ノートブック全体の頁には、折丁を単位に規則性を有する改竄識別標識群が繰り返し付される。この繰り返しも規則性を有しているため、どの部分に改竄が行われても改竄識別標識群の規則性が喪失してその改竄を容易に識別することができる。
【0011】
そして、折丁に印刷される改竄識別標識群は、折丁を単位として規則性が完結しているため、少なくとも同じ頁数の折丁に対しては、同じ内容の印刷で済むため、印刷コストが低減する。また、折丁の重ね合わせ作業も、順番を気にする必要が無くなるため容易となる。その結果、既述したように最初の頁から最後の頁まで連続した頁番号が付された従来のラボノートに比べ、製作費の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、本発明によれば、記録内容の改竄を容易に識別できる機能を備えつつ、製作費の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の各実施形態に係るノートブックに共通する構成を示しており、(a)は閉じた状態の正面図、(b)は開いた状態の正面図である。
【図2】折丁を構成する用紙(折り込む前の状態)の構成例を示す図であり、(a)は表面、(b)は裏面を示している。
【図3】図2の用紙を折り込んで折丁を製作する過程を示す図である。
【図4】(a)は折丁の各頁の並びを示す図、(b)は複数冊の折丁を重ね合わせて背を綴った状態を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る特徴部分の具体例を示す図で、(a)は頁の表面、(b)は頁の裏面を示している。
【図6】本発明の第1実施形態に係る特徴部分の他の具体例を示す図で、(a)は頁の表面、(b)は頁の裏面を示している。
【図7】本発明の第1実施形態に係る特徴部分の更に他の具体例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る特徴部分の具体例を説明するための図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る特徴部分の具体例を示す図で、(a)は頁の表面、(b)は頁の裏面を示している。
【図10】本発明の第3実施形態に係る特徴部分の他の具体例を示す図で、(a)は頁の表面、(b)は頁の裏面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
〔全体構成〕
まず、図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係るノートブックの全体構成を説明する。以下に示す各実施形態では、本発明を研究開発や実験等の過程を記録しておくために用いられるラボノートに適用した構成例を示す。
【0015】
図1は以下に示す各実施形態に係るノートブックに共通する構成を示しており、(a)は閉じた状態の正面図、(b)は開いた状態の正面図である。
ノートブック1は、記録用の用紙が綴じられた中身2と、その表面を被覆する表紙3とを備えている。表紙3と中身2は、一端縁が接着剤等を使用して綴じられている。この綴じられた一端縁部分Aを「背」と称する。また背Aの反対側の縁部Bを「小口」と称し、正面から見て上端縁部分Cを「天」、下端縁部分Dを「地」と称している。
【0016】
図1(a)に示すように、表紙3には、所有者の氏名や所属部署、ノート番号等の記載欄が任意に付されていることもある。中身2を開くと、同図(b)に示すように1頁の記載頁4に、実験データや研究記録等の記載欄4aが印刷されているほか、記入者の氏名や記入年月日の記載欄4bや、記載内容の証拠力を高める目的で証人のサイン欄4cなどが印刷されている。なお、これら中身2の印刷内容は、本発明の特徴的構成ではなく、必要に応じて任意に設計すべきものである。
中身2は、複数枚の用紙5からなり、用紙5の表裏にそれぞれ同様の記載頁4が印刷されている。
【0017】
ノートブック1は、一般の製本技術をもって製作される。図2〜図4は中身2の製本過程を示している。図2に示すように、一枚の用紙5の表裏にそれぞれ中身2を構成する複数頁分の記載頁4が印刷される。一般に、4の倍数に相当する数の記載頁4が一枚の用紙5に印刷される。図2に示す用紙5には、16頁分の記載頁4が用紙5の表裏に印刷されている。なお、同図(a)は用紙5の表面、同図(b)は用紙5の裏面を示している。
中身2の頁は、後述する図3に示すように用紙5を折り込んだ際、最初の頁(1頁)から最後の頁(16頁)まで順番に並ぶように考慮して配置されている。図2に表示された数字の配置は、用紙5に印刷される1頁〜16頁までの配置を示している。ちなみに、図2(a)に示す1頁が配置された部分の裏面には、同図(b)に示す2頁が印刷され、同様に8頁が配置された部分の裏面には7頁が、4頁が配置された部分の裏面には3頁が、5頁が配置された部分の裏面には6頁が、それぞれ印刷されている。
【0018】
複数の記載頁4が印刷された用紙5は、図3(a)に示すように中央から2つ折りされ、続いて同図(b)に示すように中央から折り込まれ、さらに同図(c)に示すように中央から折り込まれて、各記載頁4を折り重ねた状態に形成される。
この折り込み状態では、図4(a)に示すように、用紙5に印刷された記載頁4が、1頁から順番に並んで折り重ねられている。なお、1頁の裏面に次の2頁が、3頁の裏面に次の4頁がそれぞれ配置され、以下の奇数頁も同様の順序で偶数頁の裏面に配置されている。
このように、複数頁分の記載頁4が印刷され、それらの各記載頁4が頁順に並ぶように折り込まれた状態の用紙5を「折丁」と称する。
【0019】
次に、図4(b)に示すように、上述した折丁5を、あらかじめ設定されたノートブック1の頁数に合わせて複数冊重ね合わせ、表面に表紙3(図4では省略)を配置して、背Aを綴じる。この綴じ方は、製本技術の分野で種々の手法が開発されているが、ノートブック1の品質や用途などに応じて任意の手法を用いればよい。
その後、同図(b)に破線で示すように、天C、地D、小口Bをそれぞれ裁断してノートブック1が完成する。
【0020】
〔第1実施形態〕
次に、上述した基本構成を前提として、本発明の第1実施形態に係るノートブック1の特徴的構成について、図5〜図7を主に参照して説明する。
本実施形態では、同じ頁数の複数冊の折丁5を重ね合わせて中身2が構成されている。例えば、記載頁4が1頁から16頁まである折丁5を用い、それを複数冊重ね合わせて中身2が構成されているものとする。
【0021】
これを前提として、本実施形態のノートブック1は、各折丁5に印刷された記載頁4に、折丁5を単位として完結する規則性を有した改竄識別標識群が、当該規則性が保持される形態で付されていることを特徴としている。
ここで、改竄識別標識群は、折丁5の最初の頁(1頁)から最後の頁(16頁)までに付された個々の改竄識別標識10からなり、それら個々の改竄識別標識10が、各頁毎にあらかじめ定めた規則性をもって変化する形態となっている。
改竄識別標識10は、折丁5の最初の頁(1頁)から最後の頁(16頁)まで各頁毎にあらかじめ定めた規則性をもって変化する文字、図形、記号またはこれらの結合で構成されている。
【0022】
図5に示す具体例では、改竄識別標識10として数字で表した「頁番号(ノンブル)」を用いており、各折丁5について、最初の頁(1頁)から最後の頁(16頁)まで連続する頁番号(ノンブル)を付した構成となっている。なお、図5(a)は折丁5の表の頁を示しており、同図(b)は折丁5の裏の頁を示している。
すなわち、図5に示す具体例では、1頁から16頁までの頁番号の連続が「規則性」となっており、かかる頁番号の連続が折丁5を単位として完結している。したがって、複数冊の折丁5を重ね合わせて構成された中身2にあっては、折丁5単位で完結する頁番号の連続が、繰り返して記載頁4に表示される。
頁番号は、例えば、図1(b)に示す小口Bの上隅部の欄外スペース4dなどに付すことができる。
【0023】
上述した構成を有するノートブック1によれば、仮に、中身2のうちの1枚が破り取られると、1頁から16頁まで連続する頁番号の繰り返しという規則性が失われてしまう。例えば、1頁から16頁までの中間の1枚が破り取られると、連続する頁番号の規則性が失われてしまう。また重なり合った折丁5の境界に位置する記載頁4が1枚破り取られたときは、16頁から1頁に戻って、再び1頁から繰り返される頁番号の規則性が失われてしまう。
また、中身2に別の1枚の記載頁4が差し込まれた場合にも、同様に、連続する頁番号の規則性が失われたり、16頁から1頁に戻って、再び1頁から繰り返される頁番号の規則性が失われてしまう。
このような規則性の喪失は、容易に認識することができるため、これにより容易に中身2の改竄の有無を認識することが可能となる。
【0024】
図6に示す具体例では、小口Bの縁に沿って描いた帯状の図形を改竄識別標識10としている。帯状の図形は、縦方向に16分割されて16個のブロックを有している。そして、各折丁5について、最初の頁(1頁)から最後の頁(16頁)まで、上端のブロックから下方のブロックへ頁毎に順次移動して当該ブロックを黒塗りした構成となっている。なお、図6(a)は折丁5の表の頁を示しており、同図(b)は折丁5の裏の頁を示している。
すなわち、図6に示す具体例では、1頁から16頁までの黒塗りブロック10aの位置の変化が「規則性」となっており、かかる黒塗りブロック10aの位置の変化が折丁5を単位として上端から下端までで完結している。したがって、複数冊の折丁5を重ね合わせて構成された中身2にあっては、折丁5単位で完結する黒塗りブロック10aの位置の変化が、繰り返して記載頁4に表示される。
【0025】
このような改竄識別標識10によっても、仮に、中身2のうちの1枚が破り取られると、1頁から16頁までで完結する黒塗りブロック10aの位置の変化と、その繰り返しという規則性が失われてしまう。例えば、1頁から16頁までの中間の1枚が破り取られると、黒塗りブロック10aの位置が飛んでしまい、当該黒塗りブロック10aの位置変化の規則性が失われてしまう。また重なり合った折丁5の境界に位置する記載頁4が1枚破り取られたときは、16頁から1頁に戻って、再び1頁から繰り返される黒塗りブロック10aの位置変化の規則性が失われてしまう。
また、中身2に別の1枚の記載頁4が差し込まれた場合にも、同様に、黒塗りブロック10aの位置変化の規則性が失われたり、16頁から1頁に戻って、再び1頁から繰り返される黒塗りブロック10aの位置変化の規則性が失われてしまう。
このような規則性の喪失は、容易に認識することができるため、これにより容易に中身2の改竄の有無を認識することが可能となる。
【0026】
図7に示す具体例では、周方向に一定角度毎に多分割された円形図形を改竄識別標識10としている。円形図形は、周方向に16分割されて16個のブロックを有している。そして、各折丁5について、最初の頁(1頁)から最後の頁(16頁)まで、頁毎に順次移動して1つのブロックを黒塗りした構成となっている。
これらの円形図形は、例えば、図1(b)に示す小口Bの上隅部の欄外スペースなどに付すことができる。
【0027】
図7に示す具体例においても、図6に示した先の具体例と同様に、1頁から16頁までの黒塗りブロック10aの位置の変化が「規則性」となっており、かかる黒塗りブロック10aの位置の変化が折丁5を単位として上端から下端までで完結している。したがって、複数冊の折丁5を重ね合わせて構成された中身2にあっては、折丁5単位で完結する黒塗りブロック10aの位置の変化が、繰り返して記載頁4に表示される。
したがって、図6に示した先の具体例と同様に、中身2の改竄に伴い黒塗りブロック10aの位置変化の規則性が喪失し、これを容易に認識することができるため、これにより容易に中身2の改竄の有無を認識することが可能となる。
〔第2実施形態〕
次に、既述した基本構成を前提として、本発明の第2実施形態に係るノートブック1の特徴的構成について、図8を主に参照して説明する。
本実施形態では、頁数が同じ第1の折丁5を複数冊重ね合わせ、且つその後ろに頁数の少ない第2の折丁6を1冊重ね合わせて中身2が構成されている。例えば、記載頁4が1頁から16頁まである折丁5を第1の折丁5としてそれを複数冊重ね合わせるとともに、その後ろに記載頁4が1頁から8頁まである第2の折丁6を重ね合わせて中身2が構成されているものとする。
【0028】
本実施形態は、一種類の折丁5では希望する頁数の中身2に対応できない場合を想定している。例えば、200頁の中身2を有するノートブック1を製作したい場合、図5の具体例に示したような16頁の記載頁4を有する折丁5を複数冊重ね合わせても、8頁分が不足してしまう。この不足ページを、別の種類の折丁5で補うようにした構成を、本実施形態は想定している。
【0029】
これを前提として、本実施形態のノートブック1においても、各折丁5に印刷された記載頁4に、折丁5を単位として完結する規則性を有した改竄識別標識群が、当該規則性を保持する形態で付されている。
ここで、本実施形態では、改竄識別標識群が、頁数の多い第1の折丁5を単位として完結する規則性を有するように設定してある。
この改竄識別標識群は、折丁5の最初の頁から最後の頁までに付された個々の改竄識別標識10からなり、それら個々の改竄識別標識10が、各頁毎にあらかじめ定めた規則性をもって変化する形態となっていることは、第1実施形態と同じである。また、改竄識別標識10は、折丁5の最初の頁から最後の頁まで各頁毎にあらかじめ定めた規則性をもって変化する文字、図形、記号またはこれらの結合で構成されている点も、第1実施形態と同じである。
【0030】
ただし、本実施形態では、第1の折丁5に対しては、最初の頁から最後の頁までの各頁に改竄識別標識群が付されており、第2の折丁6に対しては、最初の頁から最後の頁までの各頁に、改竄識別標識群が途中まで付されている。
【0031】
例えば、改竄識別標識10として数字で表した「頁番号(ノンブル)」を用いて、第1の折丁5に対しては、図5に示したように、各第1の折丁5について、最初の頁(1頁)から最後の頁(16頁)まで連続する頁番号(ノンブル)を付した構成となっている。
一方、第2の折丁6に対しては、図8(a)(b)に示すように、最初の頁(1頁)から最後の頁(8頁)まで連続する頁番号(ノンブル)を付した構成となっている。図8(a)は第2の折丁6の表の頁を示しており、同図(b)は第2の折丁6の裏の頁を示している。
【0032】
すなわち、かかる具体例では、1頁から16頁までの頁番号の連続が「規則性」となっており、かかる頁番号の連続が第1の折丁5を単位として完結している。したがって、複数冊の重ね合わされた第1の折丁5に含まれる記載頁4にあっては、完結する1頁から16頁までの頁番号の連続が繰り返して表示される。
また、第2の折丁6に含まれる記載頁4にあっては、1頁から8頁までの頁番号の連続が表示される。この第2の折丁6に含まれる記載頁4については頁番号が途中で途切れ完結していないが、1頁から8頁までの頁番号の連続が「規則性」となっていることに変わりはない。
【0033】
上述した構成を有するノートブック1によれば、仮に、第1の折丁5に相当する部分で中身2の1枚が破り取られたり、別の1枚の記載頁4が差し込まれた場合には、図5に示した第1実施形態の場合と同様に、連続する頁番号の規則性が失われたり、16頁から1頁に戻って、再び1頁から繰り返される頁番号の規則性が失われてしまう。
一方、第2の折丁6に相当する部分で中身2の1枚が破り取られたり、別の1枚の記載頁4が差し込まれた場合にも、連続する頁番号の規則性が失われてしまう点は変わりがない。
このような規則性の喪失は、容易に認識することができるため、これにより容易に中身2の改竄の有無を認識することが可能となる。
【0034】
なお、上述した具体例では、改竄識別標識10として数字で表した「頁番号(ノンブル)」を用いた構成を示したがこれに限定されず、本実施形態でも、例えば、図6に示した帯状の図形や図7に示した円形図形をもって改竄識別標識10を構成することができる。
【0035】
また、第2の折丁6については、頁番号等の改竄識別標識10が途中で途切れていることから、例えば最後の記載頁4を切り取られたり、最後の記載頁4の次に別の用紙が差し込まれた場合、ユーザがその改竄をすぐに認識できないおそれがある。そこで、第2の折丁6については、最後の記載頁4に最終頁であることを示す識別標識(エンドマーク)を付しておくことが好ましい。
【0036】
〔第3実施形態〕
次に、既述した基本構成を前提として、本発明の第3実施形態に係るノートブック1の特徴的構成について、図9および図10を主に参照して説明する。
本実施形態では、頁数が4の倍数である複数種類の折丁5を複数冊重ね合わせて中身2が構成されている。例えば、記載頁4が1頁から16頁まである折丁5を第1の折丁5と、記載頁4が1頁から8頁まである第2の折丁6とで、中身2が構成されているものとする。第1の折丁5の冊数と第2の折丁6の冊数は任意に決めることができ、また配列も任意に設定することができる。
ここでは、第1の折丁5を複数冊重ね合わせ、その前または後ろに第2の折丁6を重ね合わせて中身2を構成するものとして説明を進めていく。
【0037】
本実施形態も、先の第2実施形態と同様に、一種類の折丁5では希望する頁数の中身2に対応できない場合を想定している。例えば、200頁の中身2を有するノートブック1を製作したい場合、図5の具体例に示したような16頁の記載頁4を有する折丁5を複数冊重ね合わせても、8頁分が不足してしまう。この不足ページを、別の種類の折丁5で補うようにした構成を、本実施形態も想定している。
【0038】
これを前提として、本実施形態のノートブック1においても、各折丁5に印刷された記載頁4に、折丁5を単位として完結する規則性を有した改竄識別標識群が、当該規則性が保持される形態で付されている。
ここで、本実施形態では、改竄識別標識群が、頁数のもっとも少ない折丁5(上述した具体例では、第2の折丁6)を単位として完結する規則性を有するように設定してある。
この改竄識別標識群は、折丁5の最初の頁から最後の頁までに付された個々の改竄識別標識10からなり、それら個々の改竄識別標識10が、各頁毎にあらかじめ定めた規則性をもって変化する形態となっていることは、第1の実施形態と同じである。また、改竄識別標識10は、折丁5の最初の頁から最後の頁まで各頁毎にあらかじめ定めた規則性をもって変化する文字、図形、記号またはこれらの結合で構成されている点も、第1の実施形態と同じである。
【0039】
ただし、本実施形態では、頁数がもっとも少ない折丁5(上述した具体例では、第2の折丁6)は、最初の頁から最後の頁までの各頁に改竄識別標識群が付してあり、頁数が多い他の折丁5(上述した具体例では、第1の折丁5)は、最初の頁から最後の頁までの各頁に、改竄識別標識群が繰り返し付してある。各折丁5とも4の倍数に相当する頁数を有していることが前提となっているため、頁数が多い他の折丁5(上述した具体例では、第1の折丁5)についても、複数回の繰り返しで改竄識別標識群は完結するように付される。
【0040】
例えば、改竄識別標識10として数字で表した「頁番号(ノンブル)」を用いて、第2の折丁6に対しては、図8に示したように、各第1の折丁5について、最初の頁(1頁)から最後の頁(8頁)まで連続する頁番号(ノンブル)を付した構成となっている。
一方、第1の折丁5に対しては、図9(a)(b)に示すように、最初の頁(1頁)から中間の8頁まで、第2の折丁6に付した1頁から8頁まで連続する頁番号(ノンブル)を付し、さらに次の9頁から最後の頁(16頁)まで、再び第2の折丁6に付した1頁から8頁まで連続する頁番号(ノンブル)を繰り返し付した構成となっている。なお、図9(a)は第1の折丁5の表の頁を示しており、同図(b)は第1の折丁5の裏の頁を示している。
【0041】
すなわち、かかる具体例では、1頁から8頁までの頁番号の連続が「規則性」となっており、かかる頁番号の連続が第2の折丁6を単位として完結している。したがって、第2の折丁6に含まれる記載頁4にあっては、完結する1頁から8頁までの頁番号の連続が表示される。
また、第1の折丁5に含まれる記載頁4にあっては、1頁から8頁までの頁番号の連続が繰り返し表示されるため、この頁番号の連続という「規則性」は保持されている。そして、第1の折丁5に含まれる最後の記載頁4には、最後の頁番号(8頁)が付されるため、次に重なり合った折丁5の最初の記載頁4に付された頁番号(1頁)との間の繰り返しの規則性も保持されている。
【0042】
上述した構成を有するノートブック1によれば、仮に、中身2の1枚が破り取られたり、別の1枚の記載頁4が差し込まれた場合には、図5に示した第1実施形態の場合と同様に、1頁から8頁まで繰り返して連続する頁番号の規則性が失われてしまう。
このような規則性の喪失は、容易に認識することができるため、これにより容易に中身2の改竄の有無を認識することが可能となる。
【0043】
なお、上述した具体例では、改竄識別標識10として数字で表した「頁番号(ノンブル)」を用いた構成を示したがこれに限定されず、本実施形態でも、例えば、図10に示すような帯状の図形や、図7に示した円形図形をもって改竄識別標識10を構成することができる。
【0044】
〔その他の実施形態〕
特許請求の範囲に記載された本発明は、上述した実施形態の構成に限定されないことは勿論である。
例えば、中身2を構成する折丁5として、第1実施形態では16頁の記載頁4を有する折丁5を用いたが、これに限らず必要に応じて任意の数の記載頁4を有する折丁5を用いることができる。例えば、200頁の中身2を構成するために、8頁の記載頁4を有する折丁5を25冊重ね合わせることもできる。
【0045】
また、第2、第3実施形態についても使用する折丁5は、必要に応じて任意の数の記載頁4を有する折丁5を用いることができる。
【0046】
折丁5は、図2および図3に示す一般的な折り方以外にも、種々の折り方をもって製作することができる。また、折丁5の裁断についても、図4(b)に示したいわゆる三方断ち以外に、折り方に応じて種々の方法を採用することができる。
【0047】
改竄識別標識10は、図面に示した形態以外であってもよく、任意に設計することが可能である。また、記載頁4において、この改竄識別標識10を付す場所は任意に設定することができるが、小口Bの近傍に付しておけば、頁をめくる際に視認し易くなり好ましい。
【0048】
上述した改竄識別標識10は、折丁5の各頁に連続して付してあったが、必要に応じて、中身21枚の表裏いずれか一方にのみ付した構成であっても、本発明の目的は達成できる。例えば、表の記載頁4にのみ改竄識別標識10を付した構成であってもよい。
さらに、一枚の用紙の表と裏の各記載頁4に同じ改竄識別標識10を付すこともできる。
【0049】
また、折丁5の頁に改竄識別標識10を付す際の「規則性」は、制作者が任意に設定することができる。
例えば、図5の具体例において、頁番号を示す数字を自然数の順序ではなく、例えば、1から16までの数字を、3−6−1−16−2−11−4−15−・・・のように、ランダムに最初の頁から最後の頁にかけて付してあっても、そのランダムな数字の並びを規則性と捉えて、改竄の有無を認識することも可能である。
同様に、図6に示した具体例において、黒塗りブロック10aを重複しないランダムな位置に配置して、その配置変化を規則性と捉えて、改竄の有無を認識することも可能である。
【0050】
本発明のノートブック1は、ラボノートに好適ではあるが、これに用途が限定されるものではなく、改竄を識別できる機能が付加価値となる各種用途のノートブック1に適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1:ノートブック、2:中身、3:表紙、4:記載頁、5:折丁(用紙、第1の折丁)、6:第2の折丁、10:改竄識別標識、10a:黒塗りブロック、
A:背、B:小口、C:天、D:地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数冊の折丁を重ね合わせて中身が構成されるノートブックであって、
前記折丁を単位として完結する規則性を有した改竄識別標識群を、前記折丁の頁に当該規則性が保持される形態で付してあるノートブック。
【請求項2】
前記改竄識別標識群は、前記折丁の最初の頁から最後の頁までに付された個々の改竄識別標識からなり、当該個々の改竄識別標識が、各頁毎にあらかじめ定めた規則性をもって変化する形態としてある請求項1のノートブック。
【請求項3】
前記改竄識別標識は、前記折丁の最初の頁から最後の頁まで各頁毎にあらかじめ定めた規則性をもって変化する文字、図形、記号またはこれらの結合で構成されている請求項2のノートブック。
【請求項4】
頁数が同じ第1の折丁を複数冊重ね合わせ、且つその後ろに頁数の少ない第2の折丁を1冊重ね合わせて中身が構成される請求項1のノートブックであって、
前記改竄識別標識群は、前記第1の折丁を単位として完結する規則性を有しており、
前記第1の折丁は、最初の頁から最後の頁までの各頁に前記改竄識別標識群が付してあり、
前記第2の折丁は、最初の頁から最後の頁までの各頁に、前記改竄識別標識群が途中まで付してあるノートブック。
【請求項5】
頁数が4の倍数である複数種類の折丁を複数冊重ね合わせて中身が構成される請求項1のノートブックであって、
前記改竄識別標識群は、頁数がもっとも少ない折丁を単位として完結する規則性を有しており、
前記頁数がもっとも少ない折丁は、最初の頁から最後の頁までの各頁に前記改竄識別標識群が付してあり、
頁数が多い他の折丁は、最初の頁から最後の頁までの各頁に、前記改竄識別標識群が繰り返し付してあるノートブック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−240360(P2012−240360A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114589(P2011−114589)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(501490243)中央印刷株式会社 (2)