説明

ノート

【課題】使用態様の自由度を損ねることのないノートを提供する。
【解決手段】複数枚の用紙4を重ね合わせてなり複数の綴じ元候補箇所5、6を有したノート本体2と、このノート本体2の綴じ元候補箇所5、6のいずれか一つを選択的に綴じる綴じ要素3とを具備してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見開いた状態で使用するノートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のノートとして、複数枚の用紙を重ね合わせてなり左側端部に綴じ元を有したノートが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このようなノートは、綴じ元を基端とする横開きのみが可能であるため、描きたいものや描きたいシーンに合わせてノートの開き方を変えたいという要望があってもそれに応えることができないという問題があった。
【0004】
上端部に綴じ元を有したノートも存在するが、事情は横開きのものと同様であり、使用態様の自由度に欠けるという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−141973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、使用態様の自由度を損ねることのないノートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明に係るノートは、複数枚の用紙を重ね合わせてなり複数の綴じ元候補箇所を有したノート本体と、このノート本体の綴じ元候補箇所のいずれか一つを選択的に綴じる綴じ要素とを具備してなることを特徴とする。
【0008】
ここで、「用紙」とは、シート状になっているものであれば、どのようなものであってもよく、紙製のものの他、プラスチック製や金属製のものも含まれる。
【0009】
このようなものであれば、綴じ要素の綴じ箇所を複数の綴じ元候補箇所から選択することができるので、描きたいものや描きたいシーンに合わせてノートの開き方を変えることが可能である。したがって、使用態様の自由度を損ねることのないノートを提供することができる。
【0010】
用紙の具体的な一例としては、表紙及びその表紙の内側に配される中紙が挙げられる。
【0011】
ノート本体が、長方形状のものであり、前記用紙が、第一の綴じ元候補箇所を形成するための長辺に沿った折り曲げ線と、第二の綴じ元候補箇所を形成するための短辺に沿った折り曲げ線とを備えたものであり、前記綴じ要素が、前記第一の綴じ元候補箇所または第二の綴じ元候補箇所を綴じるものが好適な一態様として挙げられる。
【0012】
綴じ要素は、前記第一の綴じ元候補箇所の両端部に形成された対をなす第一の掛け止め部と、前記第二の綴じ元候補箇所の両端部に形成された対をなす第二の掛け止め部と、前記第一の掛け止め部間または第二の掛け止め部間に架け渡される弾性帯とを備えたものが好ましい。
【0013】
前記第一の掛け止め部の一方と前記第二の掛け止め部の一方とが共通の貫通穴により構成されており、この貫通穴に環状をなす前記弾性帯が常時保持されているものが好適な一態様として挙げられる。
【0014】
用紙が、複数枚の中紙を含むものであり、各中紙に長辺及び短辺に平行な罫線が格子状をなすように施されているものが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、使用態様の自由度を損ねることのないノートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示すノートの平面図。
【図2】同実施形態のノートの一使用態様を示す斜視図。
【図3】同実施形態のノートの一使用態様を示す斜視図。
【図4】同実施形態のノートの他の使用態様を示す斜視図。
【図5】同実施形態のノートの他の使用態様を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
【0018】
このノート1は、複数枚の用紙4を重ね合わせてなり複数の綴じ元候補箇所5、6を有したノート本体2と、このノート本体2の綴じ元候補箇所5、6のいずれか一つを選択的に綴じる綴じ要素3とを具備してなる。
【0019】
ノート本体2は、紙製のものであり、前記用紙4である表表紙21、裏表紙22及びそれら表表紙21と裏表紙22の内側に配される中紙23からなる長方形状のものである。前記用紙4は、第一の綴じ元候補箇所5を形成するための長辺41に沿った折り曲げ線42と、第二の綴じ元候補箇所6を形成するための短辺43に沿った折り曲げ線44とを備えたものである。各用紙4には、長辺41及び短辺43に平行な罫線24が格子状をなすように施されている。
【0020】
綴じ要素3は、ノート本体2の前記第一の綴じ元候補箇所5または第二の綴じ元候補箇所6を綴じるものである。この綴じ要素3は、前記第一の綴じ元候補箇所5の両端部に形成された対をなす第一の掛け止め部7と、前記第二の綴じ元候補箇所6の両端部に形成された対をなす第二の掛け止め部8と、前記第一の掛け止め部7間または第二の掛け止め部8間に架け渡される弾性帯9とを備えたものである。本実施形態においては、前記第一の掛け止め部7の一方71と前記第二の掛け止め部8の一方81とが共通の貫通穴30により構成されており、この貫通穴30に環状をなす前記弾性帯9が常時保持されている。前記第一の掛け止め部7の他方72と前記第二の掛け止め部8の他方82はそれぞれ、ノート本体2の各用紙4に設けられ前記弾性帯9の幅寸法と略一致する幅寸法を有した四角形状の切り欠きである。第一の掛け止め部7の他方72は、前記ノート本体2の下縁に設けられており、第二の掛け止め部8の他方82は前記ノート本体2における第一の綴じ元候補箇所5とは反対側の側縁に設けられている。より具体的には、第一の掛け止め部7は、前記長辺41に沿った折り曲げ線42よりも外側、すなわち第一の綴じ元候補箇所5側に形成されており、第二の掛け止め部8は、前記短辺43に沿った折り曲げ線44よりも外側、すなわち第二の綴じ元候補箇所6側に形成されている。なお、前記貫通穴30の周縁には、金属製の留め具が取り付けられている。
【0021】
本実施形態のノート1は、上述したようなものであるため、描きたいものや描きたいシーンに合わせてノート1の開き方を変えることができる。すなわち、従来のノートのような横開きで使用したい場合には、図2及び図3に示すように、前記綴じ要素3で第一の掛け止め部7を綴じるようにすればよく、一方、縦開きで使用したい場合には、図4及び図5に示すように、前記綴じ要素3で第二の掛け止め部8を綴じるようにすればよい。すなわち、弾性帯9が掛け止めてある第一または第二の掛け止め部7、8の他方72、82から弾性帯9の先端92側を外し、貫通穴30に弾性帯9の基端91側を挿通させた状態のまま前記弾性帯9の先端92側を移動させて、弾性帯9を掛け止めたい第二または第一の掛け止め部7の他方82、72に弾性帯9の先端92側を掛け止めることにより、2箇所に形成された綴じ元候補箇所5、6を選択的に綴じることができる。
【0022】
以上に述べたように、本実施形態に係るノート1は、複数枚の用紙4を重ね合わせてなり2箇所の綴じ元候補箇所5、6を有したノート本体2と、このノート本体2の綴じ元候補箇所5、6のいずれか一つを選択的に綴じる綴じ要素3とを具備してなるので、綴じ要素3によって綴じられる綴じ元候補箇所5、6を適宜選択することによって、綴じ元20を所望の箇所に設定できる。そのため、使用態様の自由度を損ねることなく、描きたいものや描きたいシーンに合わせてノート1の開き方を変えることが可能となる。
【0023】
用紙4が、表紙21、22及びそれら表紙21、22の内側に配される中紙23であるので、保管にも適している。特に、本実施形態のように中紙23に比べて表表紙21及び裏表紙22が厚みを有したものであれば、前記綴じ要素3を取り付けたり取り外したりする作業に耐え得る。また、綴じ要素3として本実施形態のような弾性帯9を用いた場合、その弾性力により用紙4を丸めてしまうという不具合の発生を抑制することができる。
【0024】
本実施形態のノート本体2は、長方形状のものであり、前記用紙4が、第一の綴じ元候補箇所5を形成するための長辺41に沿った折り曲げ線42と、第二の綴じ元候補箇所6を形成するための短辺43に沿った折り曲げ線44とを備えたものであり、前記綴じ要素3が、前記第一の綴じ元候補箇所5または第二の綴じ元候補箇所6を綴じるものであるので、このノート1は、4種類の使い方をすることができる。すなわち、綴じ要素3を前記第一の綴じ元候補箇所5に綴じた場合には、綴じ元20を左右方向中央に位置させて上下に幅広な横開きのノート1として用いることができるとともに、この状態から平面視90度回転させて、綴じ元20を上下方向中央に位置させて左右に幅広な縦開きのノート1として用いることができ、一方、綴じ要素3を前記第二の綴じ元候補箇所6に綴じた場合には、綴じ元20を上下方向中央に位置させて左右に幅狭な縦開きのノート1として用いることができるとともに、この状態から平面視90度回転させて、綴じ元20を左右方向中央に位置させて上下に幅狭な横開きのノート1として用いることができる。このように、綴じ要素3で綴じる綴じ元候補箇所5、6を2箇所から選択することによって、見開いた状態でのノート1の形状を変えることができる。したがって、このようにノート1の形状を変えることによって、描きたいものや描きたいシーンに合わせることが可能となる。
【0025】
特に、用紙4が折り曲げ線42、44を備えているので、所定の見開き状態に簡単に開くことができる。また、この折り曲げ線42、44は、綴じ元候補箇所5、6の内側に形成されているため、この折り曲げ線42、44を用紙4に記入する際の目印として用いることもできる。すなわち、用紙4の長辺41に沿った折り曲げ線42より内側かつ短辺43に沿った折り曲げ線44より内側の領域に記入しておけば、綴じ要素3によって綴じる部分を変更した場合であっても、記入した文字等が綴じ要素3によって隠されてしまうという不具合の発生を防止することができる。
【0026】
綴じ要素3が、前記第一の綴じ元候補箇所5の両端部に形成された対をなす第一の掛け止め部7と、前記第二の綴じ元候補箇所6の両端部に形成された対をなす第二の掛け止め部8と、前記第一の掛け止め部7間または第二の掛け止め部8間に架け渡される弾性帯9とを備えたものであるので、弾性帯9が前記第一の綴じ元候補箇所5または第二の綴じ元候補箇所6に沿って配され、長辺41または短辺43のほぼ全域にわたる綴じ元20を形成することができる。したがって、綴じ元20の端部がめくれ上がったりする不具合の発生を抑制することができる。また、綴じ要素3として伸縮可能な弾性帯9を使用しているため、弾性帯9自身が変形することで、長辺41にも短辺43にも対応することができる。
【0027】
本実施形態では、前記第一の掛け止め部7の一方71と前記第二の掛け止め部8の一方81とが共通の貫通穴30により構成されており、この貫通穴30に環状をなす前記弾性帯9が常時保持されているので、綴じ要素3で綴じる箇所を変更する際にも用紙4がばらばらになってしまうことを抑制できる。すなわち、弾性帯9の先端92が第一の掛け止め部7の他方72や第二の掛け止め部8の他方82から取り外された状態であっても、弾性帯9の基端91によって全ての用紙4のコーナー部が綴じられているので、弾性帯9の取り付け作業及び取り外し作業を容易に行うことができる。また、本実施形態においては、貫通穴30の形状が略円形であるため、弾性帯9の先端92側を第一の掛け止め部7の他方72と第二の掛け止め部8の他方82との間で移動させる際に、弾性帯9の基端91側を貫通穴30の内周に沿って移動させることができるので、弾性帯9の移動をスムーズに行うことができる。
【0028】
用紙4が、複数枚の中紙23を含むものであり、各中紙23に長辺41及び短辺43に平行な罫線24が格子状をなすように施されているので、横開きした場合にも縦開きした場合にも使いやすいという効果が得られる。すなわち、従来、多くの場合、短辺43に平行な罫線24のみが施されているため、この罫線24によっても使用態様の自由度が損なわれていたが、本実施形態のようなノート1であれば、このような不具合を解消することができる。
【0029】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0030】
ノート本体は、表紙を備えないものであってもよい。また、ノート本体の形状は、長方形状に限らず、円形、楕円形、正方形状、その他の多角形状、その他の湾曲部分を含む形状等種々変更可能である。
【0031】
綴じ元候補箇所は、3箇所以上あってもよい。また、綴じ元候補箇所は、隣接する2辺に限らず種々変更可能であり、例えば、同じ辺上に複数箇所設けている場合や、ノート本体が長方形状である場合の対抗する各長辺や、対抗する各短辺にそれぞれ設けるものであってもよい。
【0032】
綴じ要素は、上述した掛け止め部と弾性帯とからなるものに限られず、例えば、クリップによって綴じ元候補箇所を綴じるクリップ式のものや、スライダによって綴じ元候補箇所を綴じるスライド式のもの等であってもよい。
【0033】
また、掛け止め部の場合にも、一方と他方が両方切り込みであってもよく、一方と他方が両方切り込みなしでもよい。後者の場合には、例えば、弾性帯の先端にクリップを付けておく等してノート本体に掛け止めるようにすればよい。
【0034】
さらに、弾性帯についても、環状のものに限られず種々変更可能である。
【0035】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0036】
1…ノート
2…ノート本体
21、22…表紙
23…中紙
24…罫線
3…綴じ要素
30…貫通穴
4…用紙
41…長辺
42…折り曲げ線
43…短辺
44…折り曲げ線
5、6…綴じ元候補箇所
7…第一の掛け止め部
8…第二の掛け止め部
9…弾性帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙を重ね合わせてなり複数の綴じ元候補箇所を有したノート本体と、このノート本体の綴じ元候補箇所のいずれか一つを選択的に綴じる綴じ要素とを具備してなることを特徴とするノート。
【請求項2】
用紙が、表紙及びその表紙の内側に配される中紙である請求項1記載のノート。
【請求項3】
ノート本体が、長方形状のものであり、前記用紙が、第一の綴じ元候補箇所を形成するための長辺に沿った折り曲げ線と、第二の綴じ元候補箇所を形成するための短辺に沿った折り曲げ線とを備えたものであり、前記綴じ要素が、前記第一の綴じ元候補箇所または第二の綴じ元候補箇所を綴じるものである請求項1または2記載のノート。
【請求項4】
綴じ要素が、前記第一の綴じ元候補箇所の両端部に形成された対をなす第一の掛け止め部と、前記第二の綴じ元候補箇所の両端部に形成された対をなす第二の掛け止め部と、前記第一の掛け止め部間または第二の掛け止め部間に架け渡される弾性帯とを備えたものである請求項3記載のノート。
【請求項5】
前記第一の掛け止め部の一方と前記第二の掛け止め部の一方とが共通の貫通穴により構成されており、この貫通穴に環状をなす前記弾性帯が常時保持されている請求項4記載のノート。
【請求項6】
用紙が、複数枚の中紙を含むものであり、各中紙に長辺及び短辺に平行な罫線が格子状をなすように施されている請求項3、4または5記載のノート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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