説明

ノード装置

【課題】第1ノード装置からパケットを受信し、受信されたパケットを第2ノード装置へ転送するノード装置を提供する。
【解決手段】第2ノード装置との通信が異常であると判断される場合、受信されたパケットをブロードキャストパケットとして送信する。異常か否かは、第2ノードからのアクノリッジが所定期間内に受け取られるかどうか
による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おおまかには無線ネットワークに関し、より具体的には無線センサネットワークを構成するノード装置のパケット送信に関する。
【背景技術】
【0002】
無線センサネットワークを用いて、クライアント機器(client,子機、末端ノードとも呼ばれ、例えば計測機器)からのデータを無線で集めるニーズがある。例としてクライアント複数台がホスト機器(host,親機、基地局ノードとも呼ばれる)に無線ネットワークを介して接続される計測機器ネットワークが挙げられる。本明細書では簡単のために、クライアント機器を「クライアント」と呼び、ホスト機器を「ホスト」と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−254420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ホストから末端ノードのクライアントへパケットを送る時には、それらの間に複数のクライアントが介在する。ホストが最初の送信元ノードであるパケットは、これら介在する複数のクライアント(中間ノードとも呼ばれる)によって中継され、最終的な宛先ノードである末端ノードへ到達することが期待される。典型的には、パケットが送られる時に経由する中間ノードは、所定の方法によって適宜、選択される。選択された経路上の中間ノードのうち、一つでも通信できない場合(不通信状態という)には最終的な宛先ノードまでパケットが届かない。そのため信頼性が損なわれるという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不通信状態が発生した箇所において同報送信の形でパケットを再送することによって、通信の信頼性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある実施形態によれば、第1ノード装置からパケットを受信し、受信されたパケットを第2ノード装置へ転送するノード装置は、前記第2ノード装置との通信が異常であると判断される場合、前記受信されたパケットをブロードキャストパケットとして送信する。
【0007】
さらに他の実施形態によれば、前記通信異常は、前記第2ノード装置からのアクノリッジが所定期間内に受け取られるかどうかに基づいて判断される。
【0008】
さらに他の実施形態によれば、前記受信されたパケットの履歴に基づいて、前記第2ノード装置への転送を行うかが判断される。
【発明の効果】
【0009】
上記構成により、本発明は、不通信状態が発生した箇所において同報送信の形でパケットを再送することによって、通信の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の例示的実施形態を用いたセンサネットワークシステムの概略図である。
【図2】センサネットワークシステムによるブロードキャストを示す図である。
【図3】不通信が発生したときにブロードキャストパケットを送信するフローを示す図である。
【図4】判定のために用いられる受信履歴テーブルを示す図である。
【図5】センサネットワークシステムが扱うパケットのフォーマットを示す図である。
【図6】隣接ノードテーブルを示す図である。
【図7】本発明の例示的実施形態のために用いられる末端ノードのブロック図である。
【図8】本発明の例示的実施形態のために用いられるホストのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の例示的実施形態を図面を参照して以下に詳細に説明する。同じ参照符号は、同じ構成要素、又は異なる実施形態における対応する構成要素を表す。
【0012】
(システムの概要)
図1は、本発明の例示的実施形態を用いたセンサネットワークシステム100の概略図である。システム100は、アドホック無線センサネットワークである。このシステム100は、近接する小型無線センサ端末が自発的にネットワークを構築するよう構成される。システム100は、ホスト110、PC(パーソナルコンピュータ)120、及びクライアント111〜118を備える。この実施形態ではクライアントを8つ設けたが、クライアントの個数はこれに限定されない。ホスト110は基地局ノードとも呼ばれる。クライアント111〜117は中間ノードとも呼ばれる。クライアント118は末端ノードとも呼ばれる。本明細書では、ホスト及びクライアントのそれぞれを総称して単にノードともいう。
【0013】
末端ノード118は、中間ノード111〜117を介して、ホスト110と無線で結合される。例えば、ホスト110は、中間ノード111と無線リンク110a,111aによって結合される。中間ノード111は、中間ノード112と無線リンク111b,112fによって結合される。中間ノード112は、その周囲に位置する中間ノード114〜117とそれぞれ無線リンク112b〜112eによって結合される。一例として、中間ノード112から中間ノード113への無線リンクは、ここでは不通信状態、すなわちパケットのやりとりができない状態である。本来、中間ノード112は、中間ノード113と無線リンク112aによって結合されるべきである。中間ノード115,117は、末端ノード118とそれぞれ無線リンク115a,117aによって結合される。なお簡単のため、例えば中間ノード112と、中間ノード114〜117のそれぞれとの結合は、中間ノード112から見てダウンリンク(下流)方向のみ図示される。図1の結合関係に限定されず、任意のノードは、他のノードとダウンリンク方向及びアップリンク(上流)方向に結合され得る。なお、通信状態やノードの配置によっては、末端ノード118が他のノードの中間ノードとして機能することがある。反対に他の中間ノードが末端ノードとして機能してもよい。
【0014】
ノード112の隣接範囲112Pには、ノード111,113〜117が含まれる。ノード112は、ビーコンメッセージ(ルーティングパケットとも呼ばれる)を定期的に送信する。ビーコンメッセージに応答して隣接ノードが送信してくるアクノリッジの受信確率、受信信号電力、遅延など、ノード112によって測定されたパラメータは、隣接ノードの通信状態を表す。よってノード112は、これら隣接ノードとの通信状態を表す情報を記憶することによって、パケットの送信の仕方を変えることができる。隣接範囲112Pは、ノード112の送信電力が大きいほど典型的には大きくなる。
【0015】
典型的には末端ノード118は、センサ118sと結合され得る。センサ118sは、任意の適切なセンサであり得る。そのようなセンサには、温度センサ、湿度センサ、加速度(衝撃)センサ、光センサ等があるが、これらには限定されない。センサ118sは、機械的、電磁気的、熱的、音響的、化学的なパラメータ(例えば温度)を表すデータ(「センサデータ」)を出力する。なお図示はされないが、典型的には、末端ノード118以外の他のノードにもセンサ118sのようなセンサが設けられている。
【0016】
無線リンク110a,111a,111b,112a〜112f,115a,117aは、例えば、2.4GHz帯を用いたIEEE802.15.4に準拠する短距離無線ネットワークであり得る。このIEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)又はWPAN(Wireless Personal Area Network)と呼ばれる無線通信規格の一つであり、低コスト・低消費電力で、高い信頼性とセキュリティを持つ。無線リンク110a,111a,111b,112a〜112f,115a,117aは、上述の特定の無線ネットワークに限定されず、典型的にはパケットの形で情報をやりとりできる任意の適切なネットワークであり得る。
【0017】
ある実施形態によれば、それぞれのノードは、自動中継機能を有し、通信環境を察知して自発的にネットワークを構成し得る。例示的なネットワークは、真メッシュであり、ホップ数も実質的に無制限である。換言すれば本発明の実施形態は、マルチホップの無線ネットワークを使用可能である。
【0018】
図1において、ノード111〜118にそれぞれ付されたN1〜N8は、ノードID(識別子)を表す。ノードIDはこれらの具体的な文字列には限定されず任意の適切な文字列または数値をとり得る。
【0019】
上記において簡単のため、例としてノード112についてだけ説明したことは、他のノードについてもあてはまる。例えば、ノード112が隣接ノードとの通信状態に関する情報を記憶するように、ノード110,111,113〜118のそれぞれも、それぞれの隣接ノードとの通信状態に関する情報を記憶してもよい。これは、隣接ノードとの通信状態に関する情報が全てのノードの間で共有されることを意味しない。すなわちノードは、それぞれの隣接ノードに関する情報を記憶すればよいのであって、隣接しないノードについての情報は記憶する必要はない。
【0020】
以下の例では、パケットがノード110からノード118へ送信経路110pthを通して送られることを想定する。この送信経路110pthは、ノード110,111,112,113,118を含む。典型的には送信経路110pthは、システム100によって自動的に選択され得る。
【0021】
末端ノード118は、センサ118sに例えば有線で結合され得る。具体的には、末端ノード118は、センサ118sにUSB(universal serial bus)、RS485、RS422、RS232C、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等で接続され得る。同様にノード110〜117も、それぞれセンサに例えば有線で結合されてもよい。
【0022】
末端ノード118は、センサ118sから受け取ったセンサデータを、符号化及び変調することによって無線信号を発生する。末端ノード118は、この無線信号を無線リンクを介してホスト110へ送る。無線信号の符号化及び変調のための方式にはさまざまなものがあるが、ある具体的な実施形態では、上述のIEEE802.15.4に準拠した方式が用いられる。
【0023】
ホスト110は、末端ノード118から受け取られた無線信号を復調及び復号化することによって、センサデータを得る。ホスト110は、得られたセンサデータをPC120に送る。PC120は、ホスト110に例えば有線で結合される。具体的にはPC120は、ホスト110にUSB(ユニバーサルシリアルバス)等で接続され得る。
【0024】
PC120は、例えば、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)を備えるソフトウェアを用いて、センサ152から受け取られたセンサデータを視覚的に表示したり、統計的に処理したりできる。そのようなソフトウェアは、例えば通信状態の確認、センサデータの数値表示、グラフ表示、センサ値の分布カラーマッピング、センサデータの記録、センサデータのエクスポート、端末設定の変更等を行うことができる。
【0025】
センサネットワークシステム100は、一例として、1つの末端ノード118と、1つのセンサ118sと、中間ノード111〜117とを備える。中間ノード、末端ノード、及びセンサの個数や種類などは図1に限定されない。
【0026】
本発明のノード装置を用いるセンサネットワークの目的は、ノード装置がセンシングした情報をホストによって収集することである。そのため、クライアントからホストまでの経路は、より確実な経路を選択することが好ましい。例えば、クライアントからホストまでの経路(上流向き経路)は、下流側(クライアント側)のノードが、その上流側(ホスト側)のノードを選択する。この際、受信確率等に基づいて最適なノードが選択される。具体的には後述する隣接ノードテーブル600(図6)などを利用することによって、最適なノードを選択することができる。
【0027】
逆にホストからクライアントの経路(下流向き経路)は、上述の経路をホストからクライアントへと逆向きに辿っていく。これは、クライアントが辿ってホストに到達できた上流向き経路なら、その経路を逆向きに辿っても問題が起こらないはずだという前提に基づいている。この前提に基づく経路選択によって、省電力やトラフィックの軽減を図ることができる。
【0028】
本発明の実施形態によるノード装置は、典型的には、ホストからクライアントへの下流向き経路の途中で生じた不通信状態を回避するが、これには限定されない。すなわち、ホストからクライアントへの下流向きの通信が主目的である場合には、ホストからクライアントへの下流向き経路を受信確率に基づいて経路選択し、クライアントからホストへの上流向き経路は、その逆向きの経路をとるようにしてもよい。
【0029】
(ブロードキャスト)
図2は、センサネットワークシステム100によるブロードキャストを示す図である。図2において、縦軸は時間の経過(図で下の位置ほど、時間が経過した時刻を表す)を、横軸はノードを表す。
【0030】
時刻t0において、ホスト110はパケット202をノード111に送る。時刻t1において、ノード111はアクノリッジ204をホスト110に送る。時刻t2において、ノード111は、パケット202と同じペイロードデータを含むパケット206をノード112に送る。時刻t3において、ノード112はアクノリッジ208をノード111に送る。ここでペイロードデータとは、通信パケットのうちヘッダ部分(宛先ノード等の付加情報)を除いた、本来転送したいデータ本体のことを言う。
【0031】
時刻t4において、ノード112は、パケット202と同じペイロードデータを含むパケット210をノード113に送る。通信状態が正常なら、期間t0〜t1,t2〜t3と同程度の時間差で、例えば時刻t5において、ノード113からアクノリッジ212がノード112に戻ってくるはずである。本実施形態によるノードは、パケットを送信した時刻から所定期間が経過するまで、アクノリッジを待つ。換言すれば、本実施形態によるノードは、パケットを送信した時刻から所定期間が経過してもアクノリッジが受信されない場合は、そのノードとの間の通信状態が不通であるとみなす。図2では、そのような所定期間(待機期間とも言える)は、期間t4〜t6に相当する。なお、通信状態が不通であると決定するまでに何回か同じパケットの再送を試みてもよい。
【0032】
本実施形態によるノードは、所定期間内にアクノリッジが受信されない場合は、送信すべきパケットをブロードキャストパケットとして送信する。具体的には時刻t6において、ノード112は、パケット202と同じペイロードデータを含むパケット214,216をブロードキャストパケットとしてそれぞれノード115,117に送る。図1ではノード112の隣接ノードは、111,113〜117だが、図2では簡単のため、ノード115,117だけが代表として図示される。図2では、ブロードキャストパケット214,216の間に時間差があるように図示されるが、実際には時間差を設ける必要はない。時刻t7において、ノード115,117はそれぞれアクノリッジ218,220をノード112に送る。時刻t8において、ノード115,117は、パケット202と同じペイロードデータを含むパケット222,224をノード118に送る。時刻t9において、ノード118はアクノリッジ226,228をそれぞれノード115,117に送る。
【0033】
(ブロードキャスト送信のフロー)
図3は、不通信が発生したときにブロードキャストパケットを送信するフロー300を示す図である。以下では、図2を参照して説明した、ノード112がブロードキャストパケットを送信する場合を説明する。ブロードキャストパケットを送信するノードは112には限定されず、図1の任意のノードがブロードキャストパケットを送信し得る。本明細書においてブロードキャストパケットとは、受信したノードがどれであるかにかかわらずそのパケットを他のノードに転送することが要求されるパケットである。通常のユニキャストパケットでは、そのヘッダ部において宛先ノードが特定されている。これに対し、ブロードキャストパケットでは、そのヘッダ部で宛先ノードが特定されていない。すなわちブロードキャストパケットの宛先ノードは、全ノードである。
【0034】
310において、ノード112は、受信したパケット206と、パケットID及び宛先IDが同じパケットを過去に受信したかを判定する。もしYESならそのようなパケットはブロードキャストパケットとして再送信せずに終了する。もしNOなら320に処理を進める。
【0035】
320において、ノード112は、ノード113からのアクノリッジを受信したかを判定する。もしYESならそのようなパケットはブロードキャストパケットとして再送信せずに終了する。もしNOなら330に処理を進める。
【0036】
330において、ノード112は、パケット202と同じペイロードデータを含むパケット(例えばパケット214,216)をブロードキャストパケットとして隣接ノードに送り、終了する。
【0037】
上述のように本発明によれば、不通信が発生するまではユニキャストでパケットを転送し、不通信が発生したと判定されると、ブロードキャストで転送する。あるノード(ここではノード112)が不通信状態を検出した時に、ブロードキャストパケットを隣接ノードに向けて送信すれば、それらの隣接ノードを介して最終的に宛先ノードに届くルート(図1に示す場合ではノード115,117を介したルート)が発生しやすくなる。その結果、ブロードキャストパケットによる送信は、パケットの宛先ノードへの到達確率が高くなるという効果を奏する。換言すれば、パケット通信が途絶する回数を減少できる。さらに不通信が発生した箇所から同報送信を行うので、同報送信だけしか行わないシステムと比較して、トラフィックを減らすことができるという効果も有する。本発明によれば、ダウンストリーム及びアップストリームの両方の向きについて、不通信が発生する確率を低くすることができる。
【0038】
図4は、判定310のために用いられる受信履歴テーブル400を示す図である。受信履歴テーブル400は、典型的にはそれぞれのノードの揮発性記憶装置に記憶される。受信履歴テーブル400は、過去に受信したパケットのパケットID410、送信元ノードID420及び宛先ノードID430を含む。受信履歴テーブル400は例えばFIFO(ファーストインファーストアウト)のキューとして実現され得る。図4に示される状態でノード112が、パケットID=PKT3,宛先ノードID=N8であるパケットを新たに受信した場合、このパケットは過去に受信したパケットと同じパケットである。したがってノード112は、判定310に基づいてブロードキャストパケットを送信しない。同じパケットが受信される原因には、隣接ノードがブロードキャストパケットを送信した場合が挙げられる。このような場合に、さらにブロードキャストパケットを送信することは、ネットワークトラフィックの過度の増加を招く。そのため、ブロードキャストパケットを送信する前には判定310を行うのが好ましい。
【0039】
図5は、センサネットワークシステム100が扱うパケット500のフォーマットを示す図である。パケット500は、プリアンブル510及びペイロードデータ550を有す
る。プリアンブル510は、その中にパケットID520,送信元ノードID530,及び宛先ノードID540を含む。典型的にはペイロードデータ550は可変長データである。判定310を行うために、パケットID520,送信元ノードID530,及び宛先ノードID540は、受信履歴テーブル400を構築するのに用いられる。パケットID520としては、典型的にはシーケンスナンバが用いられるが、これには限定されず、ユニークな識別子ならなんでもよい。
【0040】
図6は、隣接ノードテーブル600を示す図である。隣接ノードテーブル600は、典型的にはそれぞれのノードの揮発性記憶装置に記憶される。隣接ノードテーブル600は、典型的にはノードID610及び受信信号電力(受信電波の強度)620を含む。隣接ノードテーブル600は、例えば隣接ノードから送信された信号の受信電力を、ノードIDと関連付けて記述する。不通信状態が発生していないときは、ノード112は、隣接ノードテーブル600に基づいて、受信確率が高い、近隣のノード装置をユニキャストパケット中の宛先ノードとして特定する。これにより受信できる確率の高いノードに優先的に送信することができる。このユニキャストパケットによる転送は、ブロードキャストパケットと比較して、発生するトラフィックがより少なくなるという利点がある。
【0041】
図6の場合、適当な閾値を設け、その閾値を超えるノードだけを宛先ノードとしてユニキャストパケット内で特定すればよい。例えば、ノードN5,N7がそのような条件を満たすなら、ユニキャストパケット内の宛先ノードにはノードID=N5,N7のうちのいずれか1つを特定する。
【0042】
一方、いったん不通信状態が発生したときは、ノード112は、隣接ノードテーブル600を参照することなく、ブロードキャストパケットとして、受信されたパケットを再送する。これにより周囲に存在する正常に通信できる他のノードを介して、パケットが末端ノード118へ到達できる可能性が高まるという効果を奏する。
【0043】
図6の例では、当該ノード装置の隣接ノードテーブル600は、過去にノードN5から受信信号電力127でパケットを受信したことを示す。典型的には、より確実にパケットを転送するために、受信信号電力がより大きいノード装置へ転送するよう判断がなされる。具体的には、パケットを転送する際には、例えばノードN5へパケットを転送するよう判断される。逆に受信信号電力が比較的、小さいノードN4へは転送しないよう判断がなされる。このようにある具体的な実施例では、ノード装置から過去に受信されたパケットの履歴(例えば受信確率、受信信号電力など)に基づいて、そのノード装置への転送を行うかを判断する。
【0044】
(クライアントのハードウェア)
図7は、本発明の例示的実施形態のために用いられる末端ノード118のブロック図である。他のクライアント111〜117も同様の構成を有する。
末端ノード118のブロック図である。
【0045】
末端ノード118には、センサ118sが結合される。末端ノード118は、RFユニット710及びアンテナ730を備える。センサ118sは、センサデータをRFユニット710に出力する。RFユニット710は、センサ118sが出力したセンサデータを無線信号に変換して、アンテナ730から例えば上流ノード(ホスト110等)へ送る。センサ118sは、計測機器であってもよい。
【0046】
RFユニット710は、センサインタフェース740、DC(直流)電源745、MCU(Micro Controller Unit)750、ROM(読み出し専用メモリ)752、RAM(ランダムアクセスメモリ)754、タイマ756、無線送受信部758、及びRFインタフェース760を有する。センサインタフェース740は、センサ118sによって出力されたセンサ信号をMCU750が処理できる適当な信号(例えば10ビットデジタル信号)に変換する。DC電源745は、RFユニット710の各機能ブロックに直流電源を供給する。DC電源745は、例えば直流3Vを供給するリチウム電池であり得る。
【0047】
MCU750は、末端ノード118の機能を実現するのに用いられるマイクロプロセッサである。MCU750は、末端ノード118の機能を実現するのに必要なプログラム及びデータをROM752又はRAM754に記憶する。タイマ756は、例えば電源をオフにするタイミングを計測し、所定時間が経過したときに、DC電源745からの電源供給を断つようMCU750をトリガする。MCU750は、ROM752、RAM754、及びタイマ756などの周辺素子をその中に含んでもよい。この場合、ROMなどを独立した部品として搭載する場合に比べて、システム構築のためのコストを抑えることができる。
【0048】
無線送受信部758は、MCU750からのデータをホスト110へ送る応答パケットに変換したり、ホストから受け取られた要求パケットをデータに変換したりする。RFインタフェース760は、無線送受信部758から出力されたパケットをRF信号に変換し、アンテナに出力したり、アンテナで受け取られたRF信号からパケットを再生し、無線送受信部758に出力したりする。
【0049】
中間ノード111〜117も図4に示される末端ノード118と同様の構成を有する。代替として、中間ノード111〜117にはセンサが結合されていなくてもよい。
【0050】
(ホストのハードウェア)
図8は、本発明の例示的実施形態のために用いられるホスト110のブロック図である。ホスト110は、RFユニット810、及びアンテナ830を備える。一般にホスト110は、複数のクライアントのうちどれと通信してもよい。本明細書の以下の説明では、ホスト110が任意の中間ノード111〜117を介して末端ノード118と通信すると仮定して説明する。
【0051】
RFユニット810は、末端ノード118に対する要求を無線信号に変換して、アンテナ830から末端ノード118へ送る。RFユニット810は、アンテナ830によって受け取られた末端ノード118からの応答をデータに変換して、RFユニット810からインタフェース840を介してPC120へ送る。
【0052】
RFユニット810は、インタフェース840、電源845、MCU850、ROM852、RAM854、タイマ856、無線送受信部858、及びRFインタフェース860を有する。インタフェース840は、PC120によって出力されたさまざまな信号をMCU850が処理できる適当な信号(例えば8ビットデジタル信号)に変換する。電源845は、ホスト110の各機能ブロックに直流電源を供給する。電源845は、例えば家庭用AC(交流)電源のコンセントから供給される100Vの交流を受け取り、直流3Vに変換し、直流電圧を各ブロックに供給する。
【0053】
MCU850は、ホスト110の機能を実現するのに用いられるマイクロプロセッサである。MCU850は、ホスト110の機能を実現するのに必要なプログラム及びデータをROM852又はRAM854に記憶する。タイマ856は、例えばタイムアウト時間230を計測し、所定時間が経過したときに、要求取消を送信するようMCU850をトリガする。MCU850は、ROM852、RAM854、及びタイマ856などの周辺素子をその中に含んでもよい。この場合、ROMなどを独立した部品として搭載する場合に比べて、システム構築のためのコストを抑えることができる。
【0054】
無線送受信部858は、MCU850からのデータを、クライアントへ送る要求パケット又は要求取消パケットに変換したり、クライアントから受け取られた応答パケットをデータに変換したりする。RFインタフェース860は、無線送受信部858から出力されたパケットをRF信号に変換し、アンテナに出力したり、アンテナで受け取られたRF信号からパケットを再生し、無線送受信部858に出力したりする。
【0055】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。
【0056】
本発明の実施形態によるホスト及びクライアントは、基板上に取り付けられた、半導体素子を含む回路要素群によって典型的には実現され得る。典型的にはホスト110,中間ノード111〜117、及び末端ノード118は、センサからのアナログ信号、及び無線ネットワークのための高周波信号を扱うアナログ回路と、MCUを主要素とするデジタル回路との組み合わせによって実現され得る。
【0057】
本発明によるホスト機器の制御は、典型的にはソフトウェアによって実現され得る。すなわち図2及び図3に示されるプロシージャ(又は動作)は、典型的にはコンピュータで読み取り可能な媒体に記憶されたソフトウェアによって実現され得る。コンピュータで読み取り可能な媒体には、ハードディスクドライブ、半導体メモリ等がある。代替として本発明の実施形態によるプロシージャは、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ、又はハードウェアのみによって実現され得る。本発明の実施形態によるクライアント機器の制御も典型的にはソフトウェアによって実現され得る。
【0058】
図7及び図8に示される機能ブロック群の一部又は全ては、適宜、結合されることによって一体化されて実現されてもよい。例えば、RFユニット710,810は、ハイブリッドIC(集積回路)として実現されてもよい。さらには例えば末端ノード118は、RFユニット710、センサ118s、及びアンテナ730を一つの基板に一体化して実現されてもよい。
【0059】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0060】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本発明は、特に無線を利用するセンサネットワーク等について有用である。
【符号の説明】
【0062】
300 フロー
310,320,330 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ノード装置からパケットを受信し、受信されたパケットを第2ノード装置へ転送するノード装置であって、
前記第2ノード装置との通信が異常であると判断される場合、前記受信されたパケットをブロードキャストパケットとして送信するノード装置。
【請求項2】
前記通信異常は、前記第2ノード装置からのアクノリッジが所定期間内に受け取られるかどうかに基づいて判断される請求項1に記載のノード装置。
【請求項3】
前記受信されたパケットの履歴に基づいて、前記第2ノード装置への転送を行うかが判断される請求項1に記載のノード装置。
【請求項4】
前記第2ノード装置から受信されたパケットの履歴に基づいて、前記第2ノード装置への転送を行うかが判断される請求項1に記載のノード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−205396(P2011−205396A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70558(P2010−70558)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】