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ハイドロゲル用組成物及びその製造方法
説明

ハイドロゲル用組成物及びその製造方法

【課題】本発明の課題は、ハイドロゲルの生成に過酸化水素水を必要とせず、ハイドロゲルの生成時に加熱する等の工程を要せず、ハイドロゲルの生成時間を制御できるハイドロゲル用組成物を提供することである。
【解決手段】(i)天然及び/又は合成高分子からなる架橋性高分子組成物、(ii)基質を消費して過酸化水素を生成する酵素A、及び、(iii)(a)過酸化水素を消費して架橋性高分子を架橋させる架橋形成酵素B、及び/又は(b)ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分である過酸化水素分解剤、を含有することを特徴とするハイドロゲル用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロゲル用組成物及びその製造方法に関し、特に、創傷被覆又は再生医療等において有用なハイドロゲル用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロゲルは、ヒアルロン酸、キトサン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等の生体適合性の高い高分子を用いて製造され、創傷被覆及び再生医療用の材料として多くの検討が行われている。
【0003】
近年、これらをゲル化させるための方法として、その反応が細胞及び生体分子に対して温和であることから、ラッカーゼ、チロシナーゼ、カタラーゼ及び西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ等の架橋形成酵素反応を利用して、前記高分子にフェノール性水酸基を導入してゲル化させる方法が開発されている(特許文献1〜5)。
【0004】
しかしながら、これらの方法では、使用直前に、(1)前記架橋形成酵素と前記高分子を含有する水溶液と、(2)過酸化水素水とを混合する必要があった。すなわち、例えば、傷口を被覆するためにゲルを生成するためには、2つの溶液を用意する必要があり、使用するのが煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−200494号公報
【特許文献2】特開2007−23079号公報
【特許文献3】特開2007−297360号公報
【特許文献4】特開2008−174671号公報
【特許文献5】特開2008−174510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ハイドロゲルの生成に過酸化水素水を必要とせず、ハイドロゲルの生成時に加熱する等の工程を要せず、ハイドロゲルの生成時間を制御できるハイドロゲル用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、(i)天然及び/又は合成高分子からなる架橋性高分子組成物、(ii)基質を消費して過酸化水素を生成する酵素A、及び、(iii)(a)過酸化水素を消費して架橋性高分子を架橋させる架橋形成酵素B、及び/又は(b)ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分である過酸化水素分解剤を用いることによって、前記した課題を一挙に解決できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1](i)天然及び/又は合成高分子からなる架橋性高分子組成物、(ii)基質を消費して過酸化水素を生成する酵素A、及び、(iii)(a)過酸化水素を消費して架橋性高分子を架橋させる架橋形成酵素B、及び/又は(b)ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分である過酸化水素分解剤、を含有することを特徴とするハイドロゲル用組成物。
[2]架橋性高分子組成物が、天然及び/又は合成高分子からなる高分子基材とフェノール性水酸基を有する重合性化合物とを結合させて得られる高分子からなることを特徴とする前記[1]に記載のハイドロゲル用組成物。
[3]高分子基材が、合成高分子からなる高分子基材であることを特徴とする前記[2]に記載のハイドロゲル用組成物。
[4]高分子基材が、多糖類、核酸、炭水化物、タンパク質、ポリペプチド、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物−co−イミド)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(α−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ホスホエステル)、ポリ乳酸、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコール酸、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(γ−ブチロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(エチレンイミン)、ポリプロピレンフマレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、炭素繊維、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド)−co−ポリ(プロピレンオキシド)ブロック共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリアミド及びそれらの共重合体からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記[2]に記載のハイドロゲル用組成物。
[5]高分子基材が、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、コラーゲン及びアルブミンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記[2]に記載のハイドロゲル用組成物。
[6]フェノール性水酸基を有する重合性化合物が、下記一般式[I]
【化1】

(式中、Rは、アルコール性水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基又はカルボキシル基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素を表し、A〜Aのうち1つ又は2つは、フェノール性水酸基を表し、残りは水素原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。A〜Aのうち2つがフェノール性水酸基である場合、2つのフェノール性水酸基はオルト又はパラ位の位置関係にあるものとする。)
で表される化合物であることを特徴とする前記[2]〜[5]のいずれかに記載のハイドロゲル用組成物。
[7]架橋性高分子組成物が、官能基としてアミノ基を有するアミノ基含有多糖質高分子化合物を溶解及び/又は分散した水性溶液と、ポリフェノール類化合物とからなることを特徴とする前記[1]記載のハイドロゲル用組成物。
[8]酵素Aが、コリンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ及びグルコースオキシダーゼからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれかに記載のハイドロゲル用組成物。
[9]酵素Aが、グルコースオキシダーゼであることを特徴とする前記[1]〜[8]のいずれかに記載のハイドロゲル用組成物。
[10]架橋形成酵素Bが、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ及びカタラーゼからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記[1]〜[9]のいずれかに記載のハイドロゲル用組成物。
[11]ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分が、鉄ポルフィリン錯体であることを特徴とする前記[1]〜[10]のいずれかに記載のハイドロゲル用組成物。
[12]過酸化水素分解剤が、ペルオキシダーゼであることを特徴とする前記[1]〜[11]のいずれかに記載のハイドロゲル用組成物。
[13]ペルオキシダーゼが西洋ワサビペルオキシダーゼであることを特徴とする前記[12]に記載のハイドロゲル用組成物。
[14]架橋性高分子組成物の含有量が0.1〜30質量%であり、酵素Aの含有量が0.1mU/mL以上であることを特徴とする前記[1]〜[13]のいずれかに記載のハイドロゲル用組成物。
[15]過酸化水素分解剤が架橋形成酵素Bであって、架橋性高分子組成物の含有量が0.1〜30質量%であり、架橋形成酵素Bの含有量が、0.1U/mL以上であることを特徴とする前記[1]〜[14]のいずれかに記載のハイドロゲル用組成物。
[16]過酸化水素分解剤が鉄ポルフィリン錯体であって、架橋性高分子組成物の含有量が0.1〜30質量%であり、前記鉄ポルフィリン錯体の含有量が、0.1質量%以上であることを特徴とする前記[1]〜[14]のいずれかに記載のハイドロゲル用組成物。
[17](i)天然及び/又は合成高分子からなる架橋性高分子組成物、(ii)基質を消費して過酸化水素を生成する酵素A、及び、(iii)(a)過酸化水素を消費して架橋性高分子を架橋させる架橋形成酵素B、及び/又は(b)ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分である過酸化水素分解剤を混合する工程を有することを特徴とする前記[1]〜[16]のいずれかに記載されたハイドロゲル用組成物の製造方法。
[18]前記[1]〜[16]のいずれかに記載のハイドロゲル用組成物を含むことを特徴とする創傷被覆材。
【発明の効果】
【0009】
本発明のハイドロゲル用組成物は、基質を消費して過酸化水素を生成する酵素Aを使用するため、創傷被覆材等として体液に接触するよう用いられる場合、該体液に含まれる基質を利用して過酸化水素を生成することができ、ゲル生成のために必要であった過酸化水素水を用意する必要がない。例えば、酵素Aがグルコースオキシダーゼの場合、体液に含まれるグルコースを利用して、過酸化水素を生成することができる。また、酵素濃度及び架橋性高分子組成物の濃度を調節することによって、ハイドロゲルの生成時間を制御することができる。例えば、創傷部位又は手術の縫合部位等を迅速にハイドロゲルで被覆することもでき、必要に応じて所定時間後にハイドロゲルを生成させて被覆することもできる。このため、雑菌の侵入又は細胞癒着等を効果的に防ぐことができる。また、酵素濃度及び架橋性高分子組成物の濃度を調節することによって、生成されるハイドロゲルの物性を制御することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、ゲルの製造例を示す図である。Aは製造例1及び2のゲルを表し、Bは製造例3を表し、Cは製造例4を表す。
【図2】図2は、実施例1のハイドロゲル用組成物で得られたハイドロゲルを表す図である。
【図3】図3は、試験例1のゲル化時間を表す図である。Aは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)が1U/mLの場合のゲル化時間を表し、Bは、HRPが5U/mLの場合のゲル化時間を表し、CはHRPが15U/mLの場合のゲル化時間を表す。図中、丸記号が、グルコースを添加したサンプルを表し、三角記号が、過酸化水素を添加したサンプルを表す。
【図4】図4は、試験例2のゲル化時間を表す図である。AはHRP濃度を変化させた場合のゲル化時間を表し、BはGOx濃度を変化させた場合のゲル化時間を表し、Cはグルコース濃度を変化させた場合のゲル化時間を表し、Dは反応温度を変化させた場合のゲル化時間を表し、EはAlg-Ph濃度を変化させた場合のゲル化時間を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のハイドロゲル用組成物及びその製造方法を詳細に説明する。
【0012】
本発明のハイドロゲル用組成物は、(i)天然及び/又は合成高分子からなる架橋性高分子組成物、(ii)基質を消費して過酸化水素を生成する酵素A、及び、(iii)(a)ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ及びカタラーゼからなる群から選ばれる1種以上の酵素B、及び/又は(b)ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分である過酸化水素分解剤、を含有することを特徴とする。
【0013】
本発明のハイドロゲル用組成物は過酸化水素水を含まない。また、本発明のハイドロゲル用組成物は、酵素Aが反応する基質を含まないものが好ましい。例えば、ハイドロゲル用組成物が、グルコースオキシダーゼを含む場合、グルコースを含まないものが好ましく、アミノ酸及びコリンは含んでいてもよい。アミノ酸オキシダーゼを含む場合、アミノ酸(高分子基材としてのポリアミノ酸を除く。)を含まないものが好ましく、グルコース及びコリンは含んでいてもよい。本発明のハイドロゲル用組成物は、創傷被覆材等に用いられる場合、血液中又は体液中の基質(グルコース等)を利用できるためである。
【0014】
本発明に用いる架橋性高分子組成物としては、過酸化水素を消費してゲル状となるものであれば、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば(1)天然及び/又は合成高分子からなる高分子基材とフェノール性水酸基を有する重合性化合物とを結合させて得られる高分子及び/又は(2)官能基としてアミノ基を有するアミノ基含有多糖質高分子化合物を溶解及び/又は分散した水性溶液と、ポリフェノール類化合物とからなる組成物等が挙げられる。
【0015】
前記(1)天然及び/又は合成高分子からなる高分子基材(以下、単に「高分子基材」ともいう。)としては、特に限定されないが、例えば、多糖類、核酸、炭水化物、タンパク質、ポリペプチド、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物−co−イミド)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(α−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ホスホエステル)、ポリ乳酸、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコール酸、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(γ−ブチロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(エチレンイミン)、ポリプロピレンフマレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、炭素繊維、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド)−co−ポリ(プロピレンオキシド)ブロック共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリアミド、及びそれらの共重合体等が挙げられる。
【0016】
前記多糖類としては、セルロース、ヘミセルロース、デキストラン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、アルギン酸、コンドロイチン硫酸、澱粉、プルラン、それらの薬理学的に許容される塩及びそれらの誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、脱アセチル化キチン類又は脱アセチル化キトサン類等)等が挙げられる。前記脱アセチル化キチン類又は脱アセチル化キトサン類は、キチン(N−アセチル−D−グルコサミンがβ−1,4結合した多糖)類のグルコサミン単位の2位のアセトアミド基が脱アセチル化されている多糖類であり、主にエビ、カニ等の甲殻類の甲羅に含まれるキチン質から公知の手段で得ることができ、脱アセチル化度は、50〜100%が好ましく、70〜100%がより好ましい。薬理学的に許容される塩は、特に限定されず、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩等が例として挙げられる。薬理学的に許容される酸付加塩としては、特に限定されず、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩が例として挙げられ、薬理学的に許容される金属塩としては、特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が例として挙げられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、特に限定されず、モルホリン、ピペリジン等の付加塩が例として挙げられる。
【0017】
前記タンパク質としては、単純タンパク質(アルブミン、グロブリン、プロラミン、グルテリン、ヒストン、プロタミン、硬タンパク質等)、複合タンパク質(核タンパク質、糖タンパク質、色素タンパク質、リンタンパク質等)、誘導タンパク質(ゼラチン、プロテオース、ペプトン等)等が挙げられ、分子形状から分類される繊維状タンパク質(コラーゲン、ケラチン、フィブロイン、ゼラチン)、球状タンパク質等が挙げられる。
【0018】
これらのうち、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、コラーゲン又はアルブミン等が工業的に容易に供給されること、得られるハイドロゲルの性状が良好なことから好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ヘミセルロースは除いていてもよい。高分子基材は、架橋密度を制御できるという点から、必要に応じて、合成高分子からなる高分子基材を好適に使用できる。高分子基材としては、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、Kimica I-1G(商品名、アルギン酸ナトリウム、フナコシ社製)、ゼラチン(魚ゼラチン、製品番号:G7765、シグマアルドリッチ社製)等が挙げられる。
【0019】
前記(2)官能基としてアミノ基を有するアミノ基含有多糖質高分子化合物を溶解及び/又は分散した水性溶液と、ポリフェノール類化合物とからなる組成物において、アミノ基含有多糖質高分子化合物としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、アセチル化キチン及びキトサン等が好ましく挙げられる。また、ポリフェノール類化合物としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、カテキン類化合物、アントシアニン類化合物、ルチン、並びに、赤キャベツ色素(シアニジンアシルグリコシド類化合物)、ベニバナ黄色素(カーサマスイエロー:サフロミンA、サフロミンB)、カーサマスレッド(カーサミン)、シソ色素(Perilla colour:シソニン、マロニルシソニン)、アカダイコン色素(Red radish colour:ペラルゴニジンアシルグリコシド類化合物)、ムラサキイモ色素(Purple sweet potato colour:シアニジンアシルグルコシド類化合物、ペオニジンアシルグルコシド類化合物)、エルダーベリー色素(Elderberry colour:シアニジングリコシド類化合物)等の天然色素を好ましく例示することができる。
【0020】
前記フェノール性水酸基を有する重合性化合物(以下、単に「重合性化合物」ともいう。)としては、特に限定されないが、下記一般式[I]
【化2】

(式中、Rは、アルコール性水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基又はカルボキシル基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素を表し、A〜Aのうち1つ又は2つは、フェノール性水酸基を表し、残りは水素原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。A〜Aのうち2つがフェノール性水酸基である場合、2つのフェノール性水酸基はオルト又はパラ位の位置関係にあるものとする。)
で表される化合物等が挙げられる。前記高分子基材に前記重合性化合物が有するようなフェノール性水酸基を導入することで、高分子基材が酵素により容易に架橋し得る。Rは、重合性化合物を高分子基材へ導入しやすいという観点から、カルボキシル基、1級又は2級アミノ基が好ましく、1級又は2級アミノ基がより好ましい。また、Rとしては、重合性化合物の水に対する溶解性の観点、高分子基材との反応時の溶媒の選定を容易にする観点及び架橋性高分子中におけるフェノール性水酸基の反応性の観点等から、炭素数1〜8の炭化水素であることが好ましく、炭素数1〜6の炭化水素であることがより好ましい。かかる炭化水素としては、特に制限はないが、得られた架橋性高分子の反応性の観点から、好ましくはアルキレン基、アルキルアルキレン基等が挙げられる。また、Rが有してもよい置換基としては、特に制限はなく、例えばアミド基、エステル基、エーテル基等が挙げられる。
【0021】
前記一般式[I]で表される化合物として、例えば、チラミン及びホモバニリン誘導体類等のフェノール性水酸基を1つ有する化合物、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン等のカテコールアミン誘導体類等のフェノール性水酸基を2つ有する化合物が挙げられる。これらの中でも、得られる架橋性高分子の架橋反応性の観点から、重合性化合物としては、フェノール性水酸基を1つ有する化合物が好ましく、チラミン誘導体類がより好ましい。前記重合性化合物1種又は2種以上を選択して使用することができる。
【0022】
前記重合性化合物は、その製造方法に特に制限はなく、例えば、公知の化学的な合成方法、生物的な合成方法、又は動物や植物等の自然界から得る方法等を単独又は組み合わせた方法により得ることができる。また、前記重合性化合物としては、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、チラミン塩酸塩(4−(2−アミノエチル)フェノール・塩酸塩、製品番号:T2879、シグマアルドリッチ社製)等が挙げられる。
【0023】
前記高分子基材と前記重合性化合物との結合方法は、特に限定されないが、重合性化合物が有することがあるカルボキシル基、アミノ基又はアルコール性水酸基等の官能基と、高分子基材が有することがあるアミノ基、カルボキシル基又はチオール基等の官能基とを縮合剤を用いて縮合する方法、グルタミルトランスフェラーゼにより処理することで縮合する方法等が挙げられる。本発明における高分子の製造方法としては、より反応条件が温和であり、高分子基材に与える影響が少ないことからグルタミルトランスフェラーゼを用いる方法がより好ましい。
【0024】
前記縮合剤としては、特に制限されないが、例えば、1,1−カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド及び3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド・塩酸塩等が挙げられる。これらの縮合剤としては、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド・塩酸塩(ペプチド研究所製)等を使用することができる。
【0025】
前記グルタミルトランスフェラーゼとは、グルタミル化合物のグルタミル基をアミン化合物に転移する酵素であり、グルタミルトランスペプチダーゼ、プロテイン−グルタミン−γ−グルタミルトランスフェラーゼ、プロテイン−グルタミン:アミンγ−グルタミルトランスフェラーゼ、グルタモトランスフェラーゼ又はトランスグルタミナーゼともよばれる。グルタミルトランスフェラーゼとしては、例えば、生体から得られたものを使用してもよく、生物的に合成したものを使用してもよい。また、これらの方法により得られた市販品を使用してもよく、例えばシグマアルドリッチ社製のモルモット肝臓由来プロテイン−グルタミン−γ−トランスフェラーゼ、和光純薬社製の牛腎臓由来γ−グルタミルトランスフェラーゼ、オリエンタル社製のモルモット肝臓由来トランスグルタミナーゼ等の市販されている酵素を使用することができる。
【0026】
前記の高分子基材及び重合性化合物をグルタミルトランスフェラーゼにて処理する方法においては、上述の縮合反応が進行する限り、特に制限はなく、使用する高分子基材、酵素及び重合性化合物の性質に合わせて適宜、pH、高分子基材の濃度及び反応温度等の条件を選定することができる。
【0027】
処理する際に使用する溶媒としては、特に制限されず、高分子基材、重合性化合物及びグルタミルトランスフェラーゼに対して溶解性や反応性の良好な溶媒を選択すればよい。例えば、水;pH緩衝液(例えば、PBS等);メタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルフォキシド等又はこれらの混合溶媒が挙げられる。高分子基材、グルタミルトランスフェラーゼの溶解性及び酵素の反応性の観点から水又はpH緩衝液を主体とした溶媒が好ましく、重合性化合物の溶解性に応じて、アルコール類又はアミド類等の有機溶媒を混合することがより好ましい。例えば、高分子基材の水溶液に酵素を作用させる方法で説明すると、溶媒のpHは、溶解性等の高分子基材の性質及び酵素活性等を考慮して調整することができ、酵素活性が高い領域を選択するという観点から、4〜11が好ましく、5〜9がより好ましい。
【0028】
高分子基材の水溶液中の濃度は、特に限定されないが、高分子基材の溶解性、反応の均一性及び得られる架橋性高分子の回収率等の観点から、0.1〜70質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。
【0029】
反応温度は、高分子基材が変性せず、酵素活性が損なわれない領域を選択するという観点から、5〜80℃が好ましく、10〜50℃がより好ましい。グルタミルトランスフェラーゼには、その反応性が共存するカルシウムイオンに依存するものがある。このようなグルタミルトランスフェラーゼを用いる場合は、反応を促進する為にカルシウムイオンを添加することが好ましい。カルシウムイオンの濃度は、使用するグルタミルトランスフェラーゼの性質と使用時の反応速度により選択すればよいが、反応速度の観点から0.1〜1000mMが好ましく、1〜500mMがより好ましい。
【0030】
重合性化合物の量は、目的とする架橋性高分子中の重合性化合物の導入量及び架橋能力により適宜選択することができるが、高分子基材に対してフェノール性水酸基を有する重合性化合物の配合比(縮合比)は高分子基材1に対して0.003〜0.1(質量比)が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.05(質量比)である。重合性化合物の量が少なすぎると架橋が十分に行われず、強度が低くなりすぎ、重合性化合物の量が多すぎると得られる架橋体ゲルが硬くなり過ぎ、脆くなる。
【0031】
本発明で使用するグルタミルトランスフェラーゼの量は、酵素の活性やその他の反応条件(例えば反応時間、温度、又は重合性化合物の濃度等)により適宜選択することができる。例えば、所望の反応速度及び重合性化合物の導入量を得るという観点から、高分子基材に対して0.0001〜90質量%が好ましく、0.01〜70質量%がより好ましい。なお、上述の方法により得られた架橋性高分子は、公知の方法で単離することができる。かかる方法としては、例えば、高分子基材及びグルタミルトランスフェラーゼを混合した反応液を反応後、過剰の溶媒中に滴下し、生成した沈殿物を遠心分離して回収し、未反応物を洗浄する方法や透析により未反応物を除去する方法等が挙げられる。
【0032】
上記の方法により得られる架橋性高分子を、例えば、H−NMRを用いた構造分析に供することにより、高分子基材と重合性化合物とが結合していることを確認することができる。
【0033】
また、本発明で使用される架橋性高分子の重合度は種々のものとすることができ、高分子基材の種類により、適宜選択できる。20℃における架橋性高分子の水溶液粘度は、通常、1〜100000mPa・s程度であり、10〜10000mPa・s程度が好ましく、より迅速にハイドロゲルを生成する場合、30〜1000mPa・sがより好ましい。適用部位(例えば、創傷部位又は手術部位等)に数分〜数十分後(例えば、40分後)にハイドロゲルを生成させる場合、50〜500mPa・sがより好ましい。なお、該架橋性高分子の水溶液粘度は、JIS K7117−2 プラスチック液状・乳濁状叉は分散状の樹脂−回転粘度計によるせん断速度での粘度の測定方法(ISO 3219)に従って測定した値であり、粘度は円錐平板型回転粘度計(コーン・プレート タイプ)を用いて測定した値である。測定器としては、例えば、R215形粘度計シリーズ(例えば、RB215L形粘度計、東機産業社製)等が挙げられる。
【0034】
ハイドロゲル用組成物における架橋性高分子組成物の含有量は、組成物全体に対して、通常0.1〜30質量%であり、0.5〜20質量%が好ましく、0.75〜10質量%がより好ましい。架橋性高分子組成物の含有量が、0.1質量%を下回る場合、使用しうる強度のゲルを形成することができないおそれがあり、30質量%を超えると、ゲル化が容易ではない又はゲルがもろくなるおそれがある。
【0035】
ハイドロゲル用組成物のpHは、特に限定されないが、酵素活性の点から、pH2.0〜pH10.0程度が好ましく、特にpH5.0〜pH9.0程度が好ましい。
【0036】
本発明に用いる酵素Aとしては、基質を消費して過酸化水素を生成する酵素が用いられ、コリンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ及びグルコースオキシダーゼからなる群から選ばれる1種以上が用いられることが好ましい。これらの酵素は、用途に応じて適宜選択できるが、創傷被覆材として使用する場合、グルコースオキシダーゼが好ましい。酵素Aは、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、グルコースオキシダーゼ(Aspergillus niger起源、SERVA Electrophoresis GmbH社製)等が挙げられる。
【0037】
ハイドロゲル用組成物における酵素Aの含有量は、特に限定されないが、反応性の点から約0.1mU/mL以上が好ましく、約1mU/mL以上がより好ましい。また、酵素Aの含有量の上限としては、通常20000mU/mL程度であり、10000mU/mL程度が好ましい。例えば、適用部位(例えば、創傷部位又は手術部位等)に迅速にハイドロゲルを生成させる場合、架橋性高分子組成物の含有量を0.1〜30質量%程度とし、酵素Aを約0.1mU/mL程度とすることが好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を0.1〜10質量%程度とし、酵素Aを2.5〜200mU/mL程度とすることがより好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を0.3〜30質量%程度とし、酵素Aを10〜180mU/mL程度とすることがさらに好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を0.5〜20質量%程度とし、酵素Aを0.5mU/mL程度以上にすることが最も好ましい。また、適用部位(例えば、創傷部位又は手術部位等)に数分〜数十分後(例えば、40分後)にハイドロゲルを生成させる場合、架橋性高分子組成物の含有量を0.5〜15質量%程度とし、酵素Aを約1mU/mL以上とすることが好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を1〜15質量%程度とし、酵素Aを5mU/mL程度以上とすることがより好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を1〜10質量%程度とし、酵素Aを10mU/mL程度以上とすることがさらに好ましい。
【0038】
本発明において、グルコースオキシダーゼ1U(unit)は、pH5.1,35℃,1分間で、1.0μmolのβ−D−グルコ−スをD−グルコノラクトンとHに酸化する酵素量である。コリンオキシダーゼ1Uは、pH8.0,37℃,1分間で、1μmolのコリンのベタインアルデヒドへの酸化により1μmolのHを生じる酵素量である。アミノ酸オキシダーゼ1Uは、pH6.5、37℃で1分間あたり1.0μmolのL−フェニルアラニンを酸化的に脱アミノする酵素量である。アルコールオキシダーゼ1unitは、pH7.5,25℃,1分間で、1.0μmolのメタノ−ルをホルムアルデヒドへと酸化する酵素量である。ピルビン酸オキシダーゼ1Uは、pH6.7、37°Cでピルビン酸とリン酸がアセチルリン酸とCOへと変換される反応において、1分間で1μmolのHを生成する酵素量である。コレステロールオキシダーゼ1Uは、pH7.5,25℃,1分間で、1.0μmolのコレステロ−ルを4−コレステン−3−オンに変換する酵素量である。
【0039】
本発明に用いる過酸化水素分解剤としては、過酸化水素を消費して架橋性高分子を架橋させる架橋形成酵素B、及び/又はペルオキシダーゼ様の活性を有する成分が好ましく用いられる。
【0040】
前記架橋形成酵素Bとしては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、反応が室温、大気圧下で進行し、反応時の安全性が高く、かつ物質自体の安全性も高い点から、例えば、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ及びカタラーゼ等が好ましく挙げられる。これらの酵素は単独でまたは2種以上併用することができる。
【0041】
前記ラッカーゼ及びチロシナーゼは、ハイドロゲルの構成要素とならない他の薬品を一切加える必要がないため、ゲル化の際に機能発現物質が変性するおそれが全くない点で優れる。ペルオキシダーゼは、酵素Aの反応によって生成した過酸化水素と反応して、瞬時にゲル化させることができ、医療現場等で瞬間的に、止血することが可能となる。
【0042】
酵素の起源については、特に限定されないが、例えば、ラッカーゼ、チロシナーゼ(フェノールオキシダーゼ)等の銅酵素類の起源は、例えば、ウルシ、キノコ(ツチカブリ、マッシュルーム)、カビ(Polyporus vericolor)等が挙げられる。カタラーゼ、ペルキシダーゼ等のヒドロペルオキシダーゼ類の起源は、例えば、ウシ肝臓、ウマ血球、ヒト血球、M.lysodeikticus、西洋ワサビ、大豆、ダイコン、カブ、甲状腺、牛乳、腸、白血球、赤血球、酵母、Caldariomyces fumago、Steptococcus faecalis等が挙げられる。これらの中では、チロシナーゼとしては、マッシュルームチロシナーゼが好ましく、ペルオキシダーゼとしては、基質特異性が低く、汎用性がある点から西洋ワサビペルオキシダーゼが好ましい。前記酵素Bとしては、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(製品番号:165−10793、和光純薬工業社製)、マッシュルームチロシナーゼ(製品番号:T3824、lyophilized powder, 1000 U/mg以上、固体 シグマアルドリッチ社製)、ラッカーゼ(Myceliophthora thermophila由来、ノボザイム社製)を使用することができる。
【0043】
前記ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分としては、特に限定されないが、例えば、反応が室温、大気圧下で進行し、反応時の安全性が高く、かつ物質自体の安全性も高い点から、鉄ポルフィリン錯体(ヘマチン)、ヘモグロビン等であってよい。前記ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分としては、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、牛ヘモグロビン(牛由来、シグマアルドリッチ社製)、ヒトヘモグロビン(シグマアルドリッチ社製)等が挙げられる。
【0044】
ハイドロゲル用組成物における過酸化水素分解剤の含有量は、特に限定されないが、反応性の点から約0.1U/mL以上が好ましく、約1U/mLがより好ましい。また、過酸化水素分解剤の含有量の上限としては、通常2000U/mL程度であり、1000U/mL程度が好ましい。また、過酸化水素分解剤が鉄ポルフィリン錯体である場合は、約0.1質量%以上が好ましく、約1質量%以上がより好ましい。また、鉄ポルフィリン錯体の含有量の上限としては、通常20質量%程度であり、10質量%程度が好ましい。
【0045】
例えば、適用部位(例えば、創傷部位又は手術部位等)に迅速にハイドロゲルを生成させる場合、架橋性高分子組成物の含有量を0.1〜30質量%程度とし、過酸化水素分解剤を約0.1U/mL以上とすることが好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を0.1〜30質量%程度とし、過酸化水素分解剤を0.5〜2000U/mL程度とすることがより好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を0.3〜15質量%程度とし、過酸化水素分解剤を0.8〜1000U/mL程度とすることがさらに好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を0.5〜5質量%程度とし、過酸化水素分解剤を1〜500U/mL程度とすることが最も好ましい。また、例えば、過酸化水素分解剤が鉄ポルフィリン錯体である場合、架橋性高分子組成物の含有量を0.1〜30%程度とし、鉄ポルフィリン錯体を約0.1質量%以上とすることが好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を0.1〜30質量%程度とし、鉄ポルフィリン錯体を0.5〜20質量%程度とすることがより好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を0.3〜15質量%程度とし、鉄ポルフィリン錯体を0.8〜10質量%程度とすることがさらに好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を0.5〜5質量%程度とし、鉄ポルフィリン錯体を1〜5質量%程度とすることが最も好ましい。
【0046】
また、適用部位(例えば、創傷部位又は手術部位等)に数分〜数十分後(例えば、5分後)にハイドロゲルを生成させる場合、架橋性高分子組成物の含有量を0.5〜20質量%程度とし、過酸化水素分解剤を0.5〜200U/mL程度とすることが好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を1〜15質量%程度とし、過酸化水素分解剤を1〜200U/mL程度とすることがより好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を1〜10質量%程度とし、過酸化水素分解剤を1〜200U/mL程度とすることがさらに好ましい。過酸化水素分解剤が鉄ポルフィリン錯体の場合、架橋性高分子組成物の含有量を0.5〜20質量%程度とし、鉄ポルフィリン錯体を0.5〜5質量%程度とすることが好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を1〜15質量%程度とし、鉄ポルフィリン錯体を1〜5質量%程度とすることがより好ましく、架橋性高分子組成物の含有量を1〜10質量%程度とし、鉄ポルフィリン錯体を1〜5質量%程度とすることがさらに好ましい。
【0047】
本発明において、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ1Uは、ピロガロールから20秒で1mgのプルプロガリンをpH6,20℃の条件下で生成する酵素量である。カタラーゼ1Uは、pH7.0,25℃,1分間で1.0μmolのHを分解する酵素量であり、チロシナーゼ1Uは、L−チロシンを含む3mLの反応混合液において、pH6.5、25℃、1分間で、280nmの波長での吸光度を0.001とする酵素量である。ラッカーゼ1Uは、シリングアルダジンを基質として用いた3mLの反応溶液中で、pH6.5,30℃,1分間で、530nmでの吸光度を0.001とする酵素量である。
【0048】
本発明のハイドロゲル用組成物は、上記の(i)天然及び/又は合成高分子からなる架橋性高分子組成物、(ii)基質を消費して過酸化水素を生成する酵素A、及び、過酸化水素を消費して架橋性高分子を架橋させる架橋形成酵素B、及び/又は(b)ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分である過酸化水素分解剤を混合することによって、製造することができる。混合時の条件は、特に限定されないが、酵素活性の点から、通常、4〜45℃程度であり、10〜40℃程度が好ましい。また、混合時には、pHは、酵素活性の点から、通常、2〜11程度であり、5〜9程度が好ましい。得られる混合物であるハイドロゲル用組成物は、通常、−80〜20℃程度で保存しておくのが好ましい。また、本発明のハイドロゲル用組成物は、製造された後、凍結乾燥により、凍結乾燥されたものであってもよい。凍結乾燥の方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
【0049】
本発明のハイドロゲル用組成物を用いて、創傷被覆材を製造することができる。創傷被覆材の形態としては、公知の好適なドレッシングであればどのようなものであってもよく、例えば、絆創膏、ストリップ、パッド、ガーゼ、フィルム、ストッキング、テープ等が挙げられる。創傷被覆材は、ハイドロゲル用組成物以外の成分として、ハイドロゲルの生成を妨げない限り、特に限定されないが、例えば、消毒薬、1種以上の生物学的活性剤等の別の作用剤を含有するものであってもよい。これらの作用剤は、従来公知の標準的な方法を用いてドレッシング材料に取り込むことが可能なものであり、或いは、ドレッシングの構造とブレンドされ等の別の作用剤に取り込んでもよい。
【0050】
創傷被覆材に用いるハイドロゲル用組成物は、使用時に各室が連通可能な容器に、前記架橋性高分子組成物と、酵素Aと、過酸化水素分解剤とを別々の室に封入したものであってもよいが、使用が簡便であるという点から、すべてを混合したものが好ましい。
【0051】
例えば、創傷の上にのせると、創傷被覆材は、創傷からの血液又は創傷滲出液と接触して、前記血液又は創傷滲出液に含まれるグルコース、アミノ酸等と接触する。この接触により、例えば、グルコースオキシダーゼ(酵素A)が前記グルコースを、酸素の存在下(例えば、空気中の酸素)、酵素処理することによって、過酸化水素を生成させることができる。過酸化水素分解剤が、生成した過酸化水素を用いて、架橋性高分子組成物を架橋し、ハイドロゲルが生成され、創傷部位を被覆することができる。本発明の創傷被覆材を使用する温度としては、特に限定されないが、ゲル化が容易になる点から、通常15〜42℃程度であり、20〜40℃程度が好ましい。
【0052】
本発明の他の態様としては、創傷被覆用であって、創傷被覆材を製造するための、(i)天然及び/又は合成高分子からなる架橋性高分子組成物、(ii)基質を消費して過酸化水素を生成する酵素A、及び、過酸化水素を消費して架橋性高分子を架橋させる架橋形成酵素B、及び/又は(b)ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分である過酸化水素分解剤の混合物の治療的に有効量からなるハイドロゲル用組成物の使用が挙げられる。前記有効量は、適用部位の大きさ等の条件によって、適宜選択することができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、特にことわりのない限り「%」及び「部」は重量基準を示す。
【0054】
[ゲル化時間]
以下の実施例において、ゲル化時間とは、グルコースを添加した瞬間から、溶液面が撹拌子によって盛り上がり、ディッシュ底面から離れた瞬間までの時間を意味するものである。
【0055】
[合成例1]
0.1Mの2−モルフォリノエタンスルホン酸一水和物(2-Morpholinoethanesulfolic acid, monohydrate、MES)緩衝液(pH6)1Lにアルギン酸ナトリウム(I−1G)10gを溶解させた。さらに前記アルギン酸ナトリウムのカルボキシル基と同モル(0.051mol)のチラミン塩酸塩(Tyramine hydrochloride)を加え15分間攪拌した。得られた溶液に、前記アルギン酸ナトリウムのカルボキシル基の15%相当(モル)のN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)を10mLの精製水に完全に溶解させた溶液を加えた後、アルギン酸ナトリウムのカルボキシル基の30%相当(モル)の水溶性カルボジイミド(WSCD)を加え、21時間攪拌した。塩化ナトリウム1.0gを加え、15分間攪拌した。80%エタノールに少量ずつ加え、チラミン修飾アルギン酸(Alg−Ph)を析出させた。チラミンを除去するため析出したAlg−Phを80%エタノールで洗浄し、1時間ごとにエタノールを取り替えて吸光度を測定した。275nm付近の吸収がなくなるまで洗浄を続けた。100%エタノール中で30分間の洗浄を2回行った。凍結真空乾燥を行い、アルギン酸中の糖単位ユニット100個あたり約4個のフェノール性水酸基が導入されたフェノール性水酸基導入アルギン酸を得た。
【0056】
[製造例1]
合成例1で得られたフェノール性水酸基を導入したアルギン酸(Alg-Ph)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、グルコースオキシダーゼ(GOx)、及びグルコースを、それぞれ最終濃度が、0.75質量%、15U/mL、0.83mU/mL、4.63mmol/Lとなるように調製した混合液を製造した。図1Aに示すように、過酸化水素なしで、ゲルを製造できることが確認された。
【0057】
[製造例2]
合成例1で得られたフェノール性水酸基を導入したアルギン酸(Alg-Ph)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)及び過酸化水素を、それぞれ最終濃度が、0.75wt%、15U/mL、4.63mmol/Lとなるように調製した混合液を製造した。図1Aに示すように、過酸化水素の存在下では、ゲルを製造できることが確認された。
【0058】
[製造例3]
合成例1で得られたフェノール性水酸基を導入したアルギン酸(Alg-Ph)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、コリンオキシダーゼ(ChOx)、及び塩化コリンを、それぞれ最終濃度が、1.13質量%、15U/mL、1U/mL、23mmol/Lとなるように調製した混合液を製造した。図1Bに示すように、過酸化水素なしで、ゲルを製造できることが確認された。
【0059】
[製造例4]
合成例1で得られたフェノール性水酸基を導入したアルギン酸(Alg-Ph)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、L−アミノ酸オキシダーゼ(L−AAOx)、及びL−フェニルアラニンを、それぞれ最終濃度が、1.13質量%、15U/mL、0.1U/mL、1g/mLとなるように調製した混合液を製造した。図1Cに示すように、過酸化水素なしで、ゲルを製造できることが確認された。
【0060】
[実施例1]
合成例1で得られたフェノール性水酸基を導入したアルギン酸(Alg-Ph)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)及びグルコースオキシダーゼ(GOx)、のPBS溶液を混合し、ハイドロゲル用組成物溶液を得た。前記混合溶液中の最終濃度は、それぞれAlg-Ph:2.45質量%、HRP:110U/mL、GOx:91mU/mLとした。この混合溶液に、ゲルを見やすくするために少量のメチレンブルーを加えた。得られた混合溶液を、オーストラリア産FBS(Biofill Australia Pty. Ltd.製、グルコース濃度3mmol/L)を十分に染み込ませた脱脂綿上に広げたところ、約5分でゲル化した。結果を図2に示す。
【0061】
[実施例2]
合成例1で得られたフェノール性水酸基導入カルボキシメチルセルロース(CMC-Ph)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、及びグルコースオキシダーゼ(GOx)のPBS溶液を混合したハイドロゲル用組成物溶液を直径14mmのディッシュに播いた。前記混合溶液中の最終濃度は、それぞれCMC -Ph:3.0質量%、HRP:100U/mL、GOx:83mU/mLとした。このディッシュ上の溶液を攪拌しながら、グルコースを1.85mmol/Lとなるように、加えた。なお、生体内のグルコース濃度は、一般に5.4mmol/L前後である。ゲル化時間は、3秒であった。
【0062】
[試験例1]
Alg-Ph、グルコース、HRP及びGOxの水溶液をそれぞれ調製した。1.5質量%Alg-Phを450μL、HRP及びGOx混合溶液100μLを直径14mmのディッシュに加え、ハイドロゲル用組成物溶液を得た。該溶液中のGOxの最終濃度は、0.00083U/mLとし、HRPの最終濃度は、1、5又は15U/mLとした(3サンプル)。得られた溶液をよく撹拌した後、撹拌しながらグルコース溶液を加えゲル化時間を測定した。ゲルの全体積は600μLであった。なお、グルコースの最終濃度は1.38、4.63又は46.25mmol/Lとした。結果を図3A〜C(各n=3, bar:SD)に示す。
【0063】
Alg-Ph、H、HRP及びGOxの水溶液をそれぞれ調製した。1.5質量%Alg-Phを450μL、HRP溶液100μLを最終濃度1、5、又は15U/mLとなるように24ウェルディッシュプレートに加えよく撹拌した。その後、撹拌しながらH水溶液を加えゲル化時間を測定した。ゲルの全体積は600μLであった。なお、Hの最終濃度は1.38、4.63又は46.25mmol/Lとした。結果を図3A〜Cに示す。
【0064】
図3の結果から、本発明のハイドロゲル用組成物を用いて、ゲル化できることが確認された。また、図B及びCに示されるように、過酸化水素を用いているため、Hの混合後すぐにゲル化した。過酸化水素を用いると、ゲル化の時間は、制御できないことが確認された。
【0065】
[試験例2]
Alg-Ph、グルコース、HRP及びGOxの水溶液をそれぞれ調製した。Alg-Ph、HRP及びGOx溶液を直径14mmのディッシュに加えよく攪拌し、ハイドロゲル用組成物溶液を得た。その後、撹拌しながらグルコース溶液を50μL加えて撹拌し、ゲル化を行った。ゲルの全体積は600μLであった。ここで、それぞれの最終濃度をAlg-Ph:1.13質量%、HRP:1U/mL、GOx:0.83mU/mL、グルコース:4.625mmol/Lとし、反応温度を20℃とする条件を基準とし、Alg-Ph、HRP、GOx、グルコース、反応温度をそれぞれ変化させて測定した。具体的には、HRPは、1、5、15U/mLに変化させてゲル化時間を測定した。GOxは、0.42、0.83、4.2、8.3mU/mLに変化させてゲル化時間を測定した。グルコースは、1.38、4.63、46.25mmol/Lに変化させてゲル化時間を測定した。反応温度は、4、20、37℃に変化させてゲル化時間を測定した。Alg-Phは、0.38、0.75、1.13重量%に変化させてゲル化時間を測定した。結果を図4に示す。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のハイドロゲル用組成物は、ハイドロゲルの生成時間を制御でき、ハイドロゲルの生成に過酸化水素水を必要とせず、ハイドロゲルの生成時に加熱する等の工程を要しないため、創傷被覆等において有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)天然及び/又は合成高分子からなる架橋性高分子組成物、(ii)基質を消費して過酸化水素を生成する酵素A、及び、(iii)(a)過酸化水素を消費して架橋性高分子を架橋させる架橋形成酵素B、及び/又は(b)ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分である過酸化水素分解剤、を含有することを特徴とするハイドロゲル用組成物。
【請求項2】
架橋性高分子組成物が、天然及び/又は合成高分子からなる高分子基材とフェノール性水酸基を有する重合性化合物とを結合させて得られる高分子からなることを特徴とする請求項1記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項3】
高分子基材が、合成高分子からなる高分子基材であることを特徴とする請求項2記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項4】
高分子基材が、多糖類、核酸、炭水化物、タンパク質、ポリペプチド、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物−co−イミド)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(α−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ホスホエステル)、ポリ乳酸、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコール酸、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(γ−ブチロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(エチレンイミン)、ポリプロピレンフマレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、炭素繊維、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド)−co−ポリ(プロピレンオキシド)ブロック共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリアミド及びそれらの共重合体からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項2記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項5】
高分子基材が、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、コラーゲン及びアルブミンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項2記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項6】
フェノール性水酸基を有する重合性化合物が、下記一般式[I]
【化1】

(式中、Rは、アルコール性水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基又はカルボキシル基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素を表し、A〜Aのうち1つ又は2つは、フェノール性水酸基を表し、残りは水素原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。A〜Aのうち2つがフェノール性水酸基である場合、2つのフェノール性水酸基はオルト又はパラ位の位置関係にあるものとする。)
で表される化合物であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項7】
架橋性高分子組成物が、官能基としてアミノ基を有するアミノ基含有多糖質高分子化合物を溶解及び/又は分散した水性溶液と、ポリフェノール類化合物とからなることを特徴とする請求項1記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項8】
酵素Aが、コリンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ及びグルコースオキシダーゼからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項9】
酵素Aが、グルコースオキシダーゼであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項10】
架橋形成酵素Bが、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ及びカタラーゼからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項11】
ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分が、鉄ポルフィリン錯体であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項12】
過酸化水素分解剤が、ペルオキシダーゼであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項13】
ペルオキシダーゼが西洋ワサビペルオキシダーゼであることを特徴とする請求項12記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項14】
架橋性高分子組成物の含有量が0.1〜30質量%であり、酵素Aの含有量が0.1mU/mL以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項15】
過酸化水素分解剤が架橋形成酵素Bであって、架橋性高分子組成物の含有量が0.1〜30質量%であり、架橋形成酵素Bの含有量が、0.1U/mL以上であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項16】
過酸化水素分解剤が鉄ポルフィリン錯体であって、架橋性高分子組成物の含有量が0.1〜30質量%であり、前記鉄ポルフィリン錯体の含有量が、0.1質量%以上であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のハイドロゲル用組成物。
【請求項17】
(i)天然及び/又は合成高分子からなる架橋性高分子組成物、(ii)基質を消費して過酸化水素を生成する酵素A、及び、(iii)(a)過酸化水素を消費して架橋性高分子を架橋させる架橋形成酵素B、及び/又は(b)ペルオキシダーゼ様の活性を有する成分である過酸化水素分解剤を混合する工程を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載されたハイドロゲル用組成物の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のハイドロゲル用組成物を含むことを特徴とする創傷被覆材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−162621(P2012−162621A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23145(P2011−23145)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】