説明

ハイドロタルサイト粒子の耐熱劣化剤としての使用

【課題】 合成樹脂に対して、極めて優れた耐熱劣化性を付与できる特定性状のハイドロタルサイト粒子の耐熱劣化剤の提供。
【解決手段】 下記(i)〜(iv)により定義付けられたハイドロタルサイト粒子の耐熱劣化剤としての使用。(i)ハイドロタルサイト粒子は下記化学構造式(1)で表される。 {(Mg)(Zn)1−x(Al)(OH)(An−)x/n・mH0 (1)但し、式中、An−はn価のアニオンを示し、x、y、zおよびmは特定条件を満足する値を示す。(ii)ハイドロタルサイト粒子は、レーザー回折散乱法により測定された平均2次粒子径が2μm以下であり、(iii)ハイドロタルサイト粒子は、BET法により測定された比表面積が1〜20m/gであり、かつ(iv)ハイドロタルサイト粒子は、鉄化合物およびマンガン化合物を合計で金属(Fe+Mn)に換算して、0.02重量%以下含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の性状を有するハイドロタルサイト粒子の耐熱劣化剤としての使用に関する。さらに詳しくは、合成樹脂の加熱成形加工時における熱劣化が殆ど無く、樹脂に対して卓越した耐熱劣化性および高分散性、非凝集性、成形適正、耐衝撃強度の如き優れた物理的性質を付与できる特定性状のハイドロタルサイト粒子の耐熱劣化剤としての使用に関する。
さらに具体的には、本発明は、ハイドロタルサイト粒子を配合して、成形時または使用時に熱に対して樹脂の分解による物理的強度の低下を極めて少なくするハイドロタルサイト粒子の耐熱劣化剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒成分および/または担体成分としてハロゲン含有化合物を用いたチーグラー型重合用触媒により製造されたオレフィン類の重合体や共重合体あるいは後塩素化ポリエチレン等の如く、重合用触媒および/または後ハロゲン化に由来するハロゲンを含有するポリオレフィン類(本発明においてはホモポリマーのほかに各種共重合体類を包含する呼称である)、および硫酸、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、塩酸の如きハロゲンおよび/または酸性物質を含有する触媒を用いて製造されたAS、ABS、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等のハロゲンおよび/または酸性物質含有熱可塑性樹脂、塩化ビニリデン重合体もしくは共重合体、塩化ビニル樹脂を含有するポリマーブレンドなどの如きハロゲン含有熱可塑性樹脂、後塩素化塩化ビニル重合体もしくは共重合体の如きハロゲン含有熱可塑性樹脂、これらを含有するブレンド樹脂等の触媒および/または単量体および/または後ハロゲン化に由来するハロゲンおよび/または酸性物質含有の熱可塑性樹脂が、その含有するハロゲンおよび/または酸性物質のために、成形時に成形機や成形用金型の金属部分に腐食ないし発錆を起こしたり、特に熱あるいは紫外線によって得られた樹脂あるいはその成形品に劣化を生じたりする熱および紫外線劣化性のトラブルを防止するためにハイドロタルサイト粒子が安定剤として開発された(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】米国特許第4347353号明細書
【特許文献2】特公昭58−46146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記ハイドロタルサイト粒子は、樹脂に配合して耐熱劣化が優れた成形品として適した性質を有しているが、最近の要求特性の増大と共に、ハイドロタルサイト粒子の樹脂への配合量が少ないにもかかわらず、なお解決すべき問題があることが判明してきた。
すなわち、ハイドロタルサイト粒子の樹脂に対する熱や紫外線による優れた安定性が激しく要求されるようになってきた。
そこで本発明者らは、この要求を満足させるため、さらに研究を進めたところ、ハイドロタルサイト粒子中の不純物としての特定の金属化合物量および粒子の形状が相互に熱劣化および物性に影響を与えることが判明し、これらを特定の値とすることによって、優れた耐熱劣化剤となりうることがわかった。
【0004】
樹脂添加物としてのハイドロタルサイト粒子は、工業的規模で大量に生産されているが、その製造過程において、主としてその原料中に存在する種々の不純物に起因して、その不純物がハイドロタルサイト粒子中に固溶体あるいは夾雑物として混入している。
すなわち、ハイドロタルサイト粒子は、工業的にはマグネシウム原料、アルミニウム原料およびアルカリ原料を主原料として製造され、これら原料は大部分天然資源もしくはその加工処理物に依存している。そのため、これら原料中は、多くの種類の金属化合物や非金属化合物を含有しており、これら原料はコストが許容する範囲で精製して使用されるが、それでも多くの種類の不純物の混入は避けることができない。
また、その製造工程において、反応装置、貯蔵容器、輸送配管、晶折器および粉砕機などの各種装置の材質に起因する金属の溶出および混入は少なからず起こる。
【0005】
本発明者らは、原料から混入し、また製造工程から混入するハイドロタルサイトに含まれる多くの種類の不純物において、樹脂の成形加工時の熱劣化、物性低下および成形品の熱劣化に影響を及ぼす成分およびその量について研究を進めたところ、種々の不純物中、鉄化合物およびマンガン化合物が微量存在すると、それらが夾雑物としてばかりでなく、固溶体として含有されている場合でさえも、樹脂の熱劣化に影響を与えることが見出された。
その上ハイドロタルサイト粒子は、これら特定の不純物が熱劣化に顕著な作用を発現するには、その含有量を一定以下とすることの他に、粒子径および比表面積も影響していること、従って樹脂に配合して極めて熱劣化の少ない組成物を得るためのハイドロタルサイト粒子は、(i)特定金属化合物の量を一定以下とすること、(ii)平均2次粒子径を一定以下とすること(つまりほとんどの粒子が2次凝集していない粒子であること)および(iii)一定の比表面積を有すること(結晶形態がよいこと)が必要であることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かくして本発明によれば、
下記(i)〜(iv)により定義付けられたハイドロタルサイト粒子の耐熱劣化剤としての使用が提供される。
(i)ハイドロタルサイト粒子は下記化学構造式(1)で表される。
{(Mg)(Zn)1−x(Al)(OH)(An−)x/n・mH0 (1)
但し、式中、An−はn価のアニオンを示し、x、y、zおよびmは下記条件を満足する値を示す。
0.1≦x≦0.5、 y+z=1、 0.5≦y≦1
0≦z≦0.5、 0≦m<1
(ii)ハイドロタルサイト粒子は、レーザー回折散乱法により測定された平均2次粒子径が2μm以下であり、
(iii)ハイドロタルサイト粒子は、BET法により測定された比表面積が1〜30m/gであり、かつ
(iv)ハイドロタルサイト粒子は、鉄化合物およびマンガン化合物を合計で金属(Fe+Mn)に換算して、0.02重量%以下含有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。
【0008】
本発明において使用されるハイドロタルサイト粒子は、下記化学構造式(1)で表される。
{(Mg)(Zn)1−x(Al)(OH)(An−)x/n・mH0 (1)
前記一般式(1)において、An−はn価のアニオンを示し、具体例としては、ClO、SO2−およびCO2−が挙げられるが、CO2−が好ましい。
また前記一般式(1)において(y+z)は1であり、xは0.1≦x≦0.5を満足し、好ましくは0.2≦x≦0.4を満足する値である。
さらにyは、0.5≦y≦1を満足し、好ましくは0.7≦y≦1を満足する値である。さらにzは0≦z≦0.5を満足し、好ましくは0≦z≦0.3を満足する値である。mは0≦m<1を満足し、好ましくは0≦m≦0.7を満足する値である。
【0009】
本発明において使用するハイドロタルサイト粒子は、レーザー回折散乱法で測定された平均2次粒子径が2μm以下であること、つまりほとんどの粒子は2次凝集していない1次粒子であることにより目的の達成のために必要であり、一層好ましくは0.4〜1.0μmの平均2次粒子径を有している粒子である。
【0010】
さらにハイドロタルサイト粒子は、BET法により測定された比表面積が1〜20m/gであり、好ましくは5〜20m/gのものが適当である。その上ハイドロタルサイト粒子は(BET法により測定された比表面積)/(ブレーン法により測定された比表面積)の比が1〜6の範囲であるのが好ましく、特に1〜3の範囲であるものが樹脂に対する分散性が良好であり一層好ましい。
【0011】
さらに、本発明において使用するハイドロタルサイト粒子は、不純物として鉄化合物およびマンガン化合物の合計量が金属として換算(Fe+Mn)して0.02重量%以下、好ましくは0.01重量%以下のものである。
【0012】
本発明において使用するハイドロタルサイト粒子は、前記したように不純物として金属換算(Fe+Mn)の合計量が前記範囲であるが、さらに好ましいのは、コバルト化合物、クロム化合物、銅化合物、バナジウム化合物およびニッケル化合物の含有量も含めて重金属化合物の金属としての含有量が、前記範囲であることが望ましい。すなわち、ハイドロタルサイト粒子は、金属として(Fe+Mn+Co+Cr+Cu+V+Ni)合計含有量が0.02重量%以下、好ましくは0.01重量%以下であるのが一層有利である。
【0013】
ハイドロタルサイト粒子中の鉄化合物およびマンガン化合物の含有量が多い程、配合した樹脂の熱安定性を著しく低下させる原因となる。しかし、鉄化合物およびマンガン化合物の合計量が前記範囲を満足するのみで樹脂の熱安定性が優れ、樹脂の物性低下が損なわれないというわけではなく、その上に、前記平均2次粒子径および比表面積の値が前記範囲を満足することが必要である。ハイドロタルサイト粒子の平均2次粒子径が前記値よりも大きくなる程、分散が不十分となり樹脂中の遊離、ハロゲンとの中和能力が劣り、熱安定性が悪く、機械的強度が低下したり、外観不良という問題が生じてくる。またハイドロタルサイト粒子のBET法により測定された比表面積が20m/gを越えると樹脂に対する分散性が低下し、熱安定性も低くなる。
前記したように、ハイドロタルサイト粒子は、(i)化学構造式、(ii)平均2次粒子径、(iii)比表面積および(iv)鉄化合物およびマンガン化合物の合計含有量(またはさらに他の金属化合物の合計量)が、前記条件を満足すれば、樹脂との相溶性、分散性、非凝集性、成形および加工性、成形品の外観、機械的強度および耐熱劣化性等の諸特性を満足する高性能の樹脂組成物が得られる。
【0014】
本発明において使用するハイドロタルサイト粒子を製造する方法は、前記(i)〜(iv)の要件を満足するハイドロタルサイト粒子が得られる限り、その方法や条件は何等制限されない。ハイドロタルサイト粒子を得るための原料および製造条件はそれ自体公知であり、基本的には、公知の方法に従って製造することができる(例えば特公昭46−2280号公報およびその対応する米国特許第3650704号明細書;特公昭47−32198号公報およびその対応する米国特許第3879525号明細書;特公昭50−30039号公報;特公昭48−29477号公報および特公昭51−29129号公報)。
【0015】
一方ハイドロタルサイト粒子を工業的規模で多量に生産するために使用される原料は、アルミニウム源として硫酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウム、マグネシウム源として塩化マグネシウム(ブライン、イオン苦汁)アルカリ源として石灰(またはその消化物)が代表例として挙げられ、これらは大部分天然資源もしくはその処理物である。
これらのハイドロタルサイト粒子の工業的原料は、そのほとんどは後述するように、鉄化合物やマンガン化合物などの不純金属化合物を少なからず含有しており、これら原料を使用して得られたハイドロタルサイト粒子は、これら不純金属化合物を固溶体としてあるいは不純物として含有しており、簡単な手段では除去できない。
【0016】
また不純金属化合物の含有量が少ない原料(これらは一般に高価である)を使用した場合であっても、工業規模で多量にハイドロタルサイト粒子を製造すると、反応装置、貯槽タンク、輸送配管、晶折器、粉砕機および乾燥器などの装置からの材質成分の混入は避けられない。ハイドロタルサイト粒子の製造工程は、アルカリ条件下の反応および長時間の加熱熟成の工程が含まれており、装置の材質として特別の配慮をしない限り、鉄化合物などの不純金属化合物の混入は起こる。
そのために、本発明において鉄化合物およびマンガン化合物の含有量が極めて少ないハイドロタルサイト粒子を得るには特別の配慮が必要となる。すなわち、(i)原料として、予め鉄化合物およびマンガン化合物などの不純金属化合物を除去するかあるいは含有量の少ないものを選択して使用することおよび(ii)ハイドロタルサイト粒子の製造工程において、各種装置からの不純金属化合物の溶出や混入が少ない材質の装置を使用することが必要となる。
【0017】
前記米国特許第3650704号明細書には、重金属不純物の含有量が30ppm以下のハイドロタルサイト粒子が開示されている。この特殊なハイドロタルサイト粒子は、胃の制酸剤(gastric antacid)として使用するための合成ハイドロタルサイト粒子であり、人体に服用するために高度に精製されかつ制酸効果の高いものである。この特許には人体に有害な不純物の混入は、原料物質の品質(class)を注意深く選択することにより、回避することができる(第2欄第12〜26行)と記載されているが、原料の品質について具体的でかつ詳細な説明はなされていない。前記特許は医薬品としてのハイドロタルサイト粒子中の重金属不純物の含有量を単に規定しているに過ぎず、そのハイドロタルサイト粒子は、特別の原料を使用しかつ特殊な小型の装置(例えばガラス容器およびガラスライニングの装置)を使用して得られたものである。
【0018】
本発明において使用するハイドロタルサイト粒子は、原料中の鉄化合物およびマンガン化合物などの不純金属化合物を除去するかあるいはこれら不純金属化合物の含有量の少ない原料を選択して使用することにより得られる。また製造に当たっては、鉄化合物およびマンガン化合物、特に鉄化合物の溶出や混入が極めて少ない耐アルカリ性および耐酸性の材質からなる装置を選択すべきである。
【0019】
本発明において使用するハイドロタルサイト粒子は、樹脂添加剤として工業的に多量に使用され、また安価であることが要求される。そのためアルミニウム原料、マグネシウム原料およびアルカリ原料の全てを過剰に精製して使用することはコストアップを招き得策ではない。
【0020】
かくして本発明において使用するハイドロタルサイト粒子は、鉄化合物およびマンガン化合物を主として含まず一定の平均粒子径および比表面積を有するので、それを使用することにより、樹脂の高品質化の要求、つまり高度の耐熱劣化性および耐衝撃強度の保持の要求を満足させる樹脂組成物を提供できた。
【0021】
具体的には、本発明において使用するハイドロタルサイト粒子は、例えばマグネシウム原料として海水、天然のブラインまたはイオン苦汁を鉄化合物およびマンガン化合物を除く精製手段を施したものを使用できまたアルミニウム原料としては、工業用の硫酸アルミニウムまたは塩化アルミニウムを使用できる。
さらにアルカリ原料としては、工業用の苛性ソーダが適しており、天然の石灰は精製が困難でありあまり好ましくない。さらに炭酸イオンの原料としては工業用の炭酸ソーダまたは炭酸ガスを使用できる。以下各種原料中の組成、特に鉄化合物およびマンガン化合物の含有量については参考例において具体的に説明する。また各種装置の材質についても参考例において具体的に説明する。
【0022】
本発明において使用するハイドロタルサイト粒子はそれ自体を合成樹脂に配合することができるが、粒子を表面処理剤で処理して使用することができ、通常その方が好ましい。
かかる表面処理剤としては、例えば高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル類、カップリング剤、(シラン系、チタネート系、アルミニウム系)および多価アルコールと脂肪酸のエステル類からなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0023】
表面処理剤として好ましく用いられるものを例示すれば次のとおりである。ステアリン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸類;前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールの硫酸エステル塩;ポリエチレングリコールエーテルの硫酸エステル塩、アミド結合硫酸エステル塩、エステル結合硫酸エステル塩、エステル結合スルホネート、アミド結合スルホン酸塩、エーテル結合スルホン酸塩、エーテル結合アルキルアリールスルホン酸塩、エステル結合アルキルアリールスルホン酸塩、アミド結合アルキルアリールスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤類;オルトリン酸とオレイルアルコール、ステアリルアルコール等のモノまたはジエステルまたは両者の混合物であって、それらの酸型またはアルカリ金属塩またはアミン塩等のリン酸エステル類;ビニルエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤類;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等のチタネート系カップリング剤類;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤類;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等の多価アルコールと脂肪酸のエステル類。
【0024】
前記した表面処理剤を使用して、ハイドロタルサイト粒子の表面コーティング処理をするには、それ自体公知の湿式または乾式法により実施できる。例えば湿式法としては、ハイドロタルサイト粒子のスラリーに該表面処理剤を液状またはエマルジョン状で加え、約100℃までの温度で機械的に十分混合すればよい。乾式法としては、ハイドロタルサイト粒子をヘンシェルミキサー等の混合機により、十分撹拌下で表面処理剤を液状、エマルジョン状、固形状で加え、加熱または非加熱下に十分に混合すればよい。表面処理剤の添加量は、適宜選択できるが、該ハイドロタルサイト粒子の重量に基づいて、約10重量%以下とするのが好ましい。
表面処理をしたハイドロタルサイト粒子は、必要により、例えば水洗、脱水、造粒、乾燥、粉砕、分級等の手段を適宜選択して実施し、最終製品形態とすることができる。本発明のハイドロタルサイト粒子は、樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部の割合で樹脂に配合される。
【0025】
本発明で使用するハイドロタルサイト粒子を耐熱劣化剤として配合される合成樹脂は、通常、成形品として使用されるものであればよく、通常熱可塑性の合成樹脂であり、その例としてはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、ポリブテン、ポリ・4−メチルペンテン−1等の如きC〜Cオレフィン(α−オレフィン)の重合体もしくは共重合体、これらオレフィンとジエンとの共重合体類、エチレン−アクリレート共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、エチレン/塩ビ共重合樹脂、エチレン酢ビコポリマー樹脂、エチレン−塩ビ−酢ビグラフト重合樹脂、塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩ビプロピレン共重合体、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、メタクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が例示できる。
【0026】
これらの熱可塑性樹脂のうち好ましい例としては、ハイドロタルサイト粒子による熱劣化防止効果および機械的強度保持特性の優れたポリオレフィンまたはその共重合体またはハロゲン含有樹脂であり、具体的には、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンプロピレン共重合体の様なポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、EVA(エチレンビニルアセテート樹脂)、EEA(エチレンエチルアクリレート樹脂)、EMA(エチレンアクリル酸メチル共重合樹脂)、EAA(エチレンアクリル酸共重合樹脂)、超高分子量ポリエチレンの様なポリエチレン系樹脂、およびポリブテン、ポリ(4−メチルペンテン−1)等のC〜Cのオレフィン(α−エチレン)の重合体もしくは共重合体である。これらのうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン;ポリ(4−メチルペンテン−1)またはこれらの共重合体が特に適している。これらポリオレフィンは、重合触媒に由来するハロゲンを含有しているが、そのハロゲンに起因する熱劣化に対して本発明の耐熱劣化剤は極めて効果的である。また、塩化ビニルもしくはその共重合体に対しても本発明の耐熱劣化剤は有利である。
さらに、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂およびEPDM、ブチルゴム、イソプレンゴム、SBR、NBR、クロロスルホン化ポリエチレン等の合成ゴムを例示することができる。
【0027】
本発明において、ハイドロタルサイト粒子を樹脂に配合する手段それ自体には特別な制約はなく、例えば安定剤や充填剤などをこれら樹脂に配合する公知慣用の配合手段と同様な手段で、他の樹脂配合材と共に、もしくは別個に合成樹脂にできるだけ均一に配合すればよい。例えば、リボンブレンダー、高速ミキサー、ニーダー、ペレタイザー、押出機などの公知混合手段を利用して配合する手段や、ハイドロタルサイト粒子を有効成分としてなる耐熱劣化剤の懸濁液を、重合後のスラリーに添加撹拌して混合し、乾燥する手段などを例示することができる。
本発明の耐熱劣化剤は、上記成分以外にも慣用の他の添加剤と共に樹脂組成物に配合してもよい。このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、顔料、発泡剤、可塑剤、充填剤、補強剤、有機ハロゲン難燃剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、他の無機系および有機系熱安定剤等を例示できる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例に基づき、本発明をより詳細に説明する。樹脂組成物は、樹脂100重量部に対する各添加物の重量部で表した値である。
なお、実施例において、ハイドロタルサイト粒子の(1)平均2次粒子径、(2)BET法比表面積、(3)ブレーン法比表面積、(4)金属の分析および(5)樹脂組成物成形品のアイゾット衝撃強度は、以下に記載する測定法によって測定された値を意味する。
【0029】
(1)ハイドロタルサイト2次粒子の平均2次粒子径
MICROTRAC粒度分析計タイプ[LEEDS & NORTHRUP INSTRUMENTS 社製]を用いて測定決定する。
試料粉末700mgを0.2wt%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液70mlに加えて、超音波(NISSEI 社製、MODEL US-300、電流300μA)で3分間分散処理した後、その分散液の2−4mlを採って、250mlの脱気水を収容した上記粒度分析計の試料室に加え、分析計を作動させて3分間その懸濁液を循環した後、粒度分布を測定する。合計2回の測定を行い、それぞれの測定について得られた50%累積2次粒子径の算術平均値を算出して、試料の平均2次粒子径とする。
【0030】
(2)ハイドロタルサイト粒子のBET法比表面積
JIS Z8830の規定に従って測定した。
【0031】
(3)ハイドロタルサイト粒子のブレーン法比表面積
JIS R5201中のブレーン比表面積測定に従って測定した。
【0032】
(4)ハイドロタルサイト粒子の金属分析
ICP−MS法(Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry)により測定した。
【0033】
(5)アイゾット衝撃強度
JIS K7110に準じて測定した。
【0034】
参考例1〜7(ハイドロタルサイト粒子の調製)
本参考例1〜7におけるハイドロタルサイト粒子の調製に使用された、各種原料の種類およびそれらの性状を下記に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
参考例1
精製ブライン(原料No.2)を濃度調整用タンクに移し、硫酸アルミニウム(原料No.4)を加えてMg濃度1.95mol/LおよびAl濃度0.847mol/Lの混合水溶液(A)を作った。次に苛性ソーダ(原料No.6)を別の濃度調整用タンクに移し、炭酸ソーダ粉末(原料No.7)および水(原料No.9)を加えてNaOH 3mol/LおよびNaCO0.23mol/Lを含む水溶液(B)を作った。
混合水溶液(A)1.18Lに対し水溶液(B)2.2Lの割合で、予め水を入れた反応槽に、撹拌下に滞留時間が60分となるように同時注下してハイドロタルサイト(H.T.)の反応スラリーを得た。この反応スラリー800Lを採取し、加熱熟成するためオートクレーブ中で170℃×6時間撹拌しながら維持させた。冷却後スラリーを表面処理槽に移し、撹拌しながら80℃まで加温し、予め80℃の温水50Lに溶かしたステアリン酸ソーダ(原料No.10)2Kgを徐々に投入し30分間撹拌を維持して表面処理を完了した。固形物を濾別、洗浄し熱風乾燥機にて乾燥後ハンマーミル粉砕してサンプルとした。
【0037】
得られたH.T.を分析した結果組成式は
Mg0.7Al0.3(OH)(CO0.15・0.5HO であった。
また、H.T.中のFeおよびMnの合計量は金属として0.0023wt%であり、BET法による比表面積は10.4m/gであった。
【0038】
なお、ここで使用した設備は下記の材質より構成されたものであった。
1.原料タンク(ブライン用):FRP内張り SUS 304
2.原料タンク(硫酸アルミニウム):FRP内張り SUS 304
3.濃度調整用タンク(ブライン+硫酸アルミニウム):FRP内張り SUS 304
4.原料タンク(苛性ソーダ用):SUS 304
5.濃度調整用タンク(苛性ソーダ+炭酸ソーダ):SUS 304
6.輸送管(ブライン用および混合液):PVC管
7.輸送管(苛性ソーダおよび混合液):SUS 304
8.輸送管(水熱処理物用):SUS 316L
9.反応容器およびオートクレーブ:ハステロイ C276内張りSUS 304
10.撹拌機:SUS 316L
11.フィルター、乾燥機および粉砕器:SUS 304
【0039】
天然地下ブラインの精製方法
前記精製ブライン(原料No.2)は、天然ブライン(原料No.1)を下記の方法によって精製したものを使用した。
地中より採取されたブライン中の鉄およびマンガンは2価イオン、3価イオンおよびコロイド状鉄等の状態で存在している。これらの鉄およびマンガンを除くためにはバッ気酸化した後、塩素による酸化処理を行った。得られた酸化物は凝集させ濾別し、精製ブライン(原料No.2)を得た。
【0040】
参考例2
参考例1において、精製ブラインの代わりに未精製のブライン(原料No.1)を用いた他は全て同じ原料を使用し、同じ濃度とし、同じ装置を使用してH.T.の反応スラリーを得た。
上記スラリーを800L採取し同様に加熱熟成した後、同様にステアリン酸ソーダで表面処理し、参考例1と同様な作業を行いサンプルとした。
このときのH.T.を分析した結果組成式は
Mg0.7Al0.3(OH)(CO0.15・0.5HO であった。
また、H.T.中のFeおよびMnの合計量は金属として0.0275wt%であり、BET法による比表面積は10.7m/gであった。
【0041】
参考例3
参考例1において、反応容器、オートクレーブおよび表面処理槽は材質として中・常圧力容器用炭素鋼鈑(SGP材、JIS G3118−1977)を用いたものを使用し、また輸送管は全て配管用炭素鋼管(SGP材、JIS G3452−1984)を用いた以外、同様にして製品を得た。
得られたH.T.を分析した結果組成式は
Mg0.7Al0.3(OH)(CO0.15・0.55HO であった。
また、H.T.中のFeおよびMnの合計量は金属として0.0383wt%であり、BET法による比表面積は11.3m/gであった。
【0042】
参考例4
参考例1において、原料中、精製ブラインの代わりにイオン苦汁、および塩化亜鉛を用いた他は全く同様な装置を用い同様に反応した。すなわち、イオン苦汁(原料No.3)を濃度調整用タンクに移し、塩化亜鉛(原料No.5)、硫酸アルミニウム(原料No.4)を加えてMg濃度1.05mol/L、Zn濃度0.42mol/LおよびAl濃度0.63mol/Lの混合水溶液を作る。この時、混合槽で硫酸カルシウムの沈澱を生じるので濾別し(A)液とする。次に苛性ソーダ(原料No.6)を別の濃度調整用タンクに移し、炭酸ソーダ粉末(原料No.7)、および水(原料No.9)を加えてNaOH 3mol/L、NaCO 0.225mol/L水溶液(B)を作る。
(A)液1Lに対し(B)液1.4Lの割合で、予め水を入れた反応槽に、撹拌下に滞留時間が60分となるように同時注下してH.T.の反応スラリーを得た。
【0043】
この反応スラリー800Lを採取し、加熱熟成するためオートクレーブ中で140℃×6時間撹拌しながら維持させた。冷却後スラリーを表面処理槽に移し、撹拌しながら80℃まで加温し、予め80℃の温水50Lに溶かしたステアリン酸ソーダ(原料No.10)1.3Kgを徐々に投入し30分間撹拌を維持して表面処理を完了した。固形物を濾別、洗浄し再乳化後噴霧乾燥しサンプルとした。
得られたH.T.を分析した結果組成式は
Mg0.5Zn0.2Al0.3(OH)(CO0.15・0.55HO であった。
また、H.T.中のFeおよびMnの合計量は金属として0.0076wt%であり、BET法による比表面積は7.1m/gであった。
【0044】
参考例5
天然石より得られた消石灰(原料No.8)を濃度調整用タンクに移しCa(OH)として200g/Lスラリーを得た。一方、精製ブライン(原料No.2)を濃度調整用タンクに移し水(原料No.9)を加えてMgとして2mol/L水溶液を得た後、反応槽に移し、撹拌しながらMg水溶液1Lに対しCa(OH)水溶液0.726Lの割合で徐々に加えた。得られた水酸化マグネシウムスラリーをフィルターで脱水、水洗浄後水を加えて再乳化し水酸化マグネシウムとして50g/Lのスラリーを得た。上記水酸化マグネシウムスラリー229.4Lに撹拌しながら塩化亜鉛(原料No.5)35.1L、および硫酸アルミニウム(原料No.4)70.9Lを投入した後、炭酸ソーダ7.83Kgを溶かした3mol/Lの苛性ソーダ327.9Lを徐々に投入し混合スラリーを得た。このスラリーに水を加えて800Lとした後、加熱熟成するためオートクレーブ中で150℃、6時間撹拌しながら維持させH.T.スラリーを得た。冷却後スラリーを表面処理槽に移し、撹拌しながら80℃まで加温し、予め80℃の温水50Lに溶かしたステアリン酸ソーダ(原料No.10)0.75Kgを徐々に投入し30分間撹拌を維持して表面処理を完了した。固形物を濾別、洗浄し熱風乾燥後粉砕しサンプルとした。
【0045】
なお、反応容器、オートクレーブおよび表面処理槽は材質として中・常圧力容器用炭素鋼鈑(SGP材、JIS G3118−1977)を用いたものを使用し、また輸送管は全て配管用炭素鋼管(SGP材、JIS G3452−1984)を用いた。
得られたH.T.を分析した結果組成式は
Mg0.4Zn0.3Al0.3(OH)(CO0.15・0.55HO であった。
また、H.T.中のFeおよびMnの合計量は金属として0.0581wt%であり、BET法による比表面積は16.0m/gであった。
【0046】
参考例6
天然石より得られた消石灰(原料No.8)を濃度調整用タンクに移しCa(OH)として200g/Lスラリーを得た。一方、精製ブライン(原料No.2)を濃度調整用タンクに移し、水(原料No.9)を加えてMgとして2mol/L水溶液を得た。次いで反応槽に移し、撹拌しながらMg水溶液1Lに対しCa(OH)水溶液0.726Lの割合で徐々に加えた。得られた水酸化マグネシウムスラリーをフィルターで脱水、水洗浄後水を加えて再乳化し水酸化マグネシウムとして100g/Lのスラリーを得た。上記水酸化マグネシウムスラリー295.7Lに撹拌しながら水酸化アルミニウム(原料No.11)17.01Kgと水に溶かした炭酸ソーダ(原料No.7)11.54Kgおよび水(原料No.9)を加えて800Lとした。
【0047】
この混合スラリーを加熱熟成するためオートクレーブ中で180℃×20時間撹拌しながら維持させH.T.スラリーを得た。冷却後スラリーを表面処理槽に移し、参考例1と同様にステアリン酸ソーダ1.7Kgを用い撹拌処理を行った。また、装置類は全て参考例1と同じものを使用した。
得られたH.T.を分析した結果組成式は
Mg0.7Al0.3(OH)(CO0.15・0.55HO であった。
また、H.T.中のFeおよびMnの合計量は金属として0.0511wt%であり、BET法による比表面積は7.4m/gであったが凝集していた。
【0048】
参考例7
精製ブライン(原料No.2)を濃度調整用タンクに移し、硫酸アルミニウム(原料No.4)を加えてMg濃度1.95mol/LおよびAl濃度0.847mol/Lの混合水溶液(A)を作った。次に苛性ソーダ(原料No.6)を別の濃度調整用タンクに移し、炭酸ソーダ粉末(原料No.7)および水を加えてNaOH 3mol/LおよびNaCO 0.23mol/Lを含む水溶液(B)を作った。
【0049】
混合水溶液(A)1.18Lに対し水溶液(B)2.2Lの割合で、予め水を入れた反応槽に、撹拌下に滞留時間が60分となるように同時注下してH.T.の反応スラリーを得た。この反応スラリー800Lを表面処理槽に移し、撹拌しながら80℃まで加温し、予め80℃の温水50Lに溶かしたステアリン酸ソーダ(原料No.10)2Kgを徐々に投入し30分間撹拌を維持して表面処理を完了した。固形物を濾別、洗浄し熱風乾燥後粉砕しサンプルとした。
得られたH.T.を分析した結果組成式は
Mg0.7Al0.3(OH)(CO0.15・0.55HO であった。
また、H.T.中のFeおよびMnの合計量は金属として0.0029wt%であり、BET法による比表面積は60.0m/gであった。
なお、ここで使用した装置は全て参考例1と同じものを使用した。
前記参考例1〜7によって得られた、各々のハイドロタルサイト粒子の性状および金属含有量をまとめて下記表に示した。
【0050】
【表2】

【0051】
参考例8および9
別法で調整されたハイドロタルサイト粒子の組成および性状は下記表のとおりであった。
【0052】
【表3】

【0053】
実施例1、2および比較例1〜8
各参考例によって得られたハイドロタルサイト(H.T.)粒子を下記配合組成で260℃混練り押出機にてペレットを作成し、各テスト用サンプルを得た。各テスト用サンプルの耐熱劣化性および耐衝撃性(ノッチ付IZOD)、および粒子の分散性を下記方法に従って測定した。
【0054】
耐熱劣化性:上記ペレットを同様に混練り、押し出しを5回繰り返した後、JIS K7210のメルトフローレートを測定し、1回目と比較した。(MFR)の高い方が劣化が進んでいることを示している。)
【0055】
耐衝撃性:上記で5回押し出したものを、230℃射出成形機にてJIS K7110 IZOD試験片を作成し耐衝撃性を求めた。
【0056】
分散性:上記ペレットをT−ダイ フィルム成形機にて60μmフィルムを作り、目視にて観察し、良、劣、悪の3段階評価を行った。これらの結果を下記表に示した。
【0057】
配合組成
エチレンプロピレンコポリマー 100PHR
Irganox 1076 0.05PHR
Irgafos 168 0.05PHR
各ハイドロタルサイト粒子 0.1PHRまたは0PHR
【0058】
【表4】

【0059】
実施例3および比較例9
参考例1および3によって得られたハイドロタルサイト粒子を下記配合組成で260℃混練り押出機にてペレットを作成し、各テスト用サンプルとした。耐熱劣化性、耐衝撃性および分散性は実施例1と同様にサンプル作成し、測定した。
【0060】
配合組成
エチレンプロピレンコポリマ 100PHR
Irganox 1076 0.05PHR
Irgafos 168 0.05PHR
各ハイドロタルサイト粒子 8PHR
【0061】
【表5】

【0062】
実施例4および比較例10、11
下記配合物をロールを用いて180℃、5分間混練し、0.7mmのロールシートを作成した。このシートを5cm×8cmのサイズに切り取り、180℃ギアオープン中にいれて、10分毎に取り出し、熱安定性を測定した。評価は、樹脂の劣化が着色によって現れ、一定の黒さに黒化した時間を測定すると共に、熱安定性初期の色と分散性を評価した。
【0063】
配合組成
ポリ塩化ビニル(重合度700) 100PHR
ステアリン酸カルシウム 0.5PHR
ステアリン酸亜鉛 0.2PHR
ジベンゾイルメタン 0.1PHR
各ハイドロタルサイト粒子 1.5PHRまたは0PHR
エポキシ化大豆油 0.5PHR
【0064】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)〜(iv)により定義付けられたハイドロタルサイト粒子の耐熱劣化剤としての使用。
(i)ハイドロタルサイト粒子は下記化学構造式(1)で表される。
{(Mg)(Zn)1−x(Al)(OH)(An−)x/n・mH0 (1)
但し、式中、An−はn価のアニオンを示し、x、y、zおよびmは下記条件を満足する値を示す。
0.1≦x≦0.5、 y+z=1、 0.5≦y≦1
0≦z≦0.5、 0≦m<1
(ii)ハイドロタルサイト粒子は、レーザー回折散乱法により測定された平均2次粒子径が2μm以下であり、
(iii)ハイドロタルサイト粒子は、BET法により測定された比表面積が1〜20m/gであり、かつ
(iv)ハイドロタルサイト粒子は、鉄化合物およびマンガン化合物を合計で金属(Fe+Mn)に換算して、0.02重量%以下含有している。
【請求項2】
耐熱劣化剤が合成樹脂の加熱成形加工時の耐熱劣化剤である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
耐熱劣化剤を合成樹脂の加熱成形加工時に該合成樹脂に配合する請求項1に記載の使用。
【請求項4】
耐熱劣化剤を他の樹脂配合材と共に配合する請求項3に記載の使用。
【請求項5】
該ハイドロタルサイト粒子が、前記化学構造式(1)において、x、yおよびzが下記条件を満足する値を有するものである請求項1に記載の使用。
0.2≦x≦0.4、 y+z=1、 0.7≦y≦1
0≦z≦0.3
【請求項6】
該ハイドロタルサイト粒子のレーザー回折散乱法により測定された平均2次粒子径が0.4〜1.0μmである請求項1に記載の使用。
【請求項7】
該ハイドロタルサイト粒子のBET法により測定された比表面積が5〜20m/gである請求項1に記載の使用。
【請求項8】
該ハイドロタルサイト粒子について、(BETにより測定された比表面積)/(ブレーン法により測定された比表面積)の比が1〜6である請求項1に記載の使用。
【請求項9】
該ハイドロタルサイト粒子は、鉄化合物およびマンガン化合物を合計で金属(Fe+Mn)に換算して0.01重量%以下含有している請求項1に記載の使用。
【請求項10】
該ハイドロタルサイト粒子は、鉄化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、クロム化合物、銅化合物、バナジウム化合物およびニッケル化合物の合計含有量が、金属に換算して0.02重量%以下である請求項1に記載の使用。
【請求項11】
該ハイドロタルサイト粒子は、150〜300℃の温度で脱結晶されたものである請求項1に記載の使用。

【公開番号】特開2007−131858(P2007−131858A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338458(P2006−338458)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【分割の表示】特願2004−88731(P2004−88731)の分割
【原出願日】平成10年7月2日(1998.7.2)
【出願人】(000162489)協和化学工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】