説明

ハイドロフォンのパラメータを測定するための方法及び装置

ハイドロフォンの加速度相殺特性の測定のような、ハイドロフォンのパラメータを測定するために技術が設計される。この技術は、ハイドロフォンを操作する実際の条件を代表する条件下での、選択されたハイドロフォンの検査を含む。代表的な条件を用いることにより、ハイドロフォンの加速度相殺特性及び/又は他のパラメータがより正確に決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国仮特許出願整理番号第61/260,841号(2009年11月12日出願)に基づき、その優先権を主張するものであり、その内容は全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ハイドロフォンの加速度補正値の決定などの、ハイドロフォンのパラメータを測定する技術に関するものである。通常の適用領域を記載するが、明示しない他の領域も意図及び暗示される本発明の範囲内に含まれてもよい。
【背景技術】
【0003】
以下の記述及び例示は、この項目に含まれるため、先行技術としては認められない。
【0004】
地質構造は、人工源から地震波を生成し、ボアホール内の受信機を用いて地震波からのデータを記録することによりマッピングされる。このデータは、到着時刻及び音響インピーダンスコントラストを反映する波形を含む。例えば、チェックショット調査は、走時を測定するために、源から受信機への直接路を用いる。一方、坑井内地震探査(Vertical Seismic Profile:VSP)調査は、源から受信機への直接路に加えて、受信機各々の位置において記録した反射エネルギを用いる。例えば、海上環境では、音響エネルギ源としてエアガンが用いられてもよい。エアガン源及びハイドロフォン(複数可)は、リグの側面に配備され、かつ海面下数メートルに配置される。エアガン源は、一般的には、5〜250Hzの信号帯域幅を生成する。
【0005】
ハイドロフォンはその名の通り、海を通して伝搬するエネルギ又は圧力波を記録/測定するために用いられる。ハイドロフォンは、このように多くの用途で用いられ、例えば、音源のエネルギを測定するためにエアガンに近接して用いられる。音源はボートの後ろに配列して牽引されてもよいし、海洋のボアホールに近接して配置されてもよい。しかしながら、これらの環境の各々では、種々の現象により生じる一定量のノイズが存在する。ノイズは測定精度に悪影響を及ぼす。かかる例の一つとしては、ハイドロフォンに作用する外部加速力によるノイズが挙げられる。この加速は、船の後方のストリーマの中で引っ張られるハイドロフォンを通り過ぎる水の動き、ブイの真下に吊るされたハイドロフォンを通り過ぎる水の動き、掘削穴内のハイドロフォンを通り過ぎる流体の動き、又は加速力を生じる種々の他の動きに起因する場合がある。加速に起因するノイズは、種々の技術を使用して加速度を相殺するハイドロフォンを用いて処理されるのがよい。この処理には、「加速度の相殺」を達成するための受動的及び能動的補正が含まれる。
【0006】
当業界では、「加速度の相殺」の質及びハイドロフォンの性能を検査するために、いくつかの検査方法を採用してきた。1つの検査方法は、ハイドロフォンを深いプールに沈めることにより、海中での実際の使用を再現するために必要な静水圧を提供することを含む。ハイドロフォンの物理的構築は静水圧に影響され、換言すれば、ハイドロフォンの性能及びその加速度相殺特性に影響するので、この再現が必要である。深いプールに配置されると、ハイドロフォンは振動され、ハイドロフォンの性能を決定するための測定中に振動してノイズを再現する。測定値が取得され、かつ対照測定を達成するために、基準ハイドロフォン又はセンサの測定結果と比較される。しかしながら、この種類の検査方式は、(基礎構造に)非常に費用がかかり、危険であり、実現が困難である。
【0007】
別の検査方法は、空中で、静水圧もかけずにハイドロフォンを検査することを含む。この方法は、一般的に「加振」法と呼ばれる。この方法は、ハイドロフォンを加振台/機構又はスピーカに取り付け、振動に対するハイドロフォンの反応を測定する。このような技術は周知であり、標準の実験室設備を用いることが可能である。しかしながら、この方式もまた多くの不都合がある。例えば、大気条件で実施される検査は、代表的な作業環境にあるハイドロフォンを検査しない。それ故、このような検査を、ハイドロフォンの動作性能の代表とすることはできない。例えば、このような検査は、液状媒体又は海洋環境におけるハイドロフォンの加速度相殺特性の正確な指示を提供できない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、一般的に、ハイドロフォンの加速度相殺特性の測定などのハイドロフォンのパラメータを測定するための方法及びシステムに関する。この技術は、ハイドロフォンを実際に操作する条件を代表する条件下での、選択されたハイドロフォンの検査を含む。代表的な条件で検査することにより、ハイドロフォンの加速度相殺特性及び/又は他のパラメータがより正確に決定される。一実施形態では、振動源に取り付けられている間にハイドロフォンを封入するために、流体を満たした圧力容器を用いて、ハイドロフォンの加速度相殺特性をより正確に決定する。
【0009】
以下の記述、図面及び特許請求の範囲から他の又は代替的な特徴が明らかとなるであろう。
【0010】
本発明の特定の実施形態が、同様の参照番号が同様の要素を示す添付図面を参照して以下に記述される。しかしながら、添付図面が本明細書に記載する種々の実施のみを示し、本明細書に記載する種々の技術範囲の制限を意味しないことが理解されるべきである。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態による加速度補正を検査するハイドロフォンを利用する測量システムの一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態による加速度補正を測定するハイドロフォンの種類の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態による加速度補正を測定するハイドロフォンの種類の別例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による図3に示すハイドロフォンの側面図である。
【図5】ハイドロフォンの加速度相殺能力を説明する図である。
【図6】非理想の大気条件において検査した複数のハイドロフォンの加速度相殺値を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態によるハイドロフォンの加速度補正を測定するためのシステムの一例を示す概略図である。
【図8】本発明の実施形態による図7に示すシステムの別の概略図である。
【図9】本発明の実施形態によるハイドロフォンの加速度補正を測定するためのシステムの別の例を示す概略図である。
【図10】本発明の実施形態による図9に示すシステムの別の概略図である。
【図11】20Hzの駆動周波数における複数のハイドロフォンの加速度相殺値を示す表である。
【図12】80Hzの駆動周波数における複数のハイドロフォンの加速度相殺値を示す表である。
【図13】本発明の実施形態によるハイドロフォンの加速度補正値を測定する圧力室の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の例示の実施形態及び態様を以下に記述する。いかなるかかる実際の実施形態の開発においても、開発者の特定の目的を達成するための多くの実施に固有の決定がなされなければならないことが当然理解されるであろう。この特定の目的には、例えば、1つ1つの実施ごとに異なる、システム関連及びビジネス関連の制約の順守がある。さらに、このような開発努力は複雑であり、かつ時間がかかるが、それでもなお、この開示の恩恵を受ける当業者が実行するルーティンであると理解されるであろう。
【0013】
明細書全体を通して、参照される「一実施形態」、「ある実施形態」、「一部の実施形態」、「一態様」、「ある態様」、又は「一部の態様」に対する参照は、実施形態又は態様に関連して記述する特定の特徴、構造、方法、又は特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。それ故、本明細書全体の種々の位置における「一実施形態では」、「ある実施形態では」又は「一部の実施形態では」などの出現は、全てが必ずしも同一の実施形態を参照しない。さらに、特定の特徴、構造、方法、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせられてもよい。用語「含んでいる(including)」及び「有している(having)」は、用語「備えている(comprising)」と同じ意味である。
【0014】
さらに、発明の態様は、単独で開示する実施形態の全ての特徴よりも少ないところにある。それ故、「発明を実施するための形態」の後に続く請求項は、各請求項が本発明の別個の実施形態としてその独自に基づいて、この「発明を実施するための形態」の中に明確に組み込まれる。
【0015】
図1は、加速度補正又はハイドロフォンの他のパラメータの検査後の、ハイドロフォン20を用いることができる方法の一例を示す。この例では、リグ26の下方のボアホール24に沿って配置された受信機22を用いて地震調査が実行される。リグ26は海領域28に配置され、例えばブイ32を通して震源30を吊るす。震源30から地震波を生成して、地質構造がマッピングされてもよい。一例として、震源30は1つ以上のエアガンを備えるとよい。震源30及びハイドロフォン20は、海面28下に配備される。例えば、ブイ32を、海面下の震源30を所望の一定の深さ(例えば、3〜5m)に維持するために用いてもよい。同様に、ブイ32は、震源30の下方にハイドロフォン20を所望の一定の深さ(例えば、3〜5m)に維持する。
【0016】
しかしながら、1つ以上のハイドロフォン20は、適切な牽引船を介した海領域28を通って牽引される地震観測網などの種々の地震調査アプリケーションの使用前に、加速度補正測定の対象となる場合がある。特定の種類の地震調査及びハイドロフォン20の特定の用途に関わらず、本明細書に記載されるシステム及び方法は、ハイドロフォン20の加速度補正などの所望のパラメータの測定を容易にする。加速度補正が既知であれば、より正確なデータをハイドロフォン20から蓄積できる。
【0017】
図2を概して参照すると、整合変成器36と連結された感圧圧電素子34を備えるハイドロフォン20の一例を示す。整合変成器36は、ハイドロフォンの周波数応答を一致させるように動作する。変成器36はまた、ハイドロフォン20が長いケーブルを介して接続された場合に、入力記録装置を一致させるために出力インピーダンスを低下させるように機能する。この特定の例では、ハイドロフォン20は、セラミックディスク38の各対の間にスペーサ40をともなって片面セラミック円板38で構成される。セラミック円板38は、銅取付ディスクのような取付ディスク42を介してスペーサ40の両側に取り付けられるのがよい。セラミック円板38の+側は、組立体の外面で反対方向を向く。この実施形態では、両方の+側は、並列に配線されて、整合変成器36の一方の側に接続される。両方の−側は、図示のように、並列に配線されて、整合変成器36の他方の側に接続される。
【0018】
より一般的なハイドロフォン20が図3及び図4に概略的に示される。この実施形態では、圧電素子34は、一対のセラミック円板46が、各屈曲ダイアフラム44の両側に、例えば、接着などによって、取り付けられた、一対の屈曲ダイアフラム44を備えている。セラミック円板46の各対の間に空気空洞48が形成される。整合変成器36は、圧電素子34と連係して動作する。周囲圧力が増大すると、この圧力が素子34を屈曲し、空気空洞48内の空気を圧縮する。曲げ応力により、セラミック円板46の表面上に電子の運動が生じ、逓降変成器を用いて電子電荷を電気信号に変換される。セラミック円板46の圧電セラミック材料のキャパシタンス、及び変成器36のインダクタンスは、通常、例えば、地中聴音器などのハイドロフォン20の固有振動数と一致するように選択される。
【0019】
外部ノイズ/加速及び圧力がハイドロフォン20に影響を及ぼす異なる方法を、図5に最も良く示す。この図は、受動的加速度補正技術を例示する。示すように、ハイドロフォン20がいかなる圧力又は運動も受けない場合には、図5のセクション50に示すように、ダイアフラム44の動きが無く、圧電素子34の全体も同様に静止している。しかしながら、圧力を受けると、図5のセクション52に示すように、ダイアフラム44及び素子34は、それぞれ、対向する方向に変形し、圧力に相対する出力を提供する。動作中は、例えば、ハイドロフォン20の移動(外部ノイズ/加速)によって生じた運動を受けると、図5のセクション54に示すように、ダイアフラム44及び素子34は、それぞれ、同じ方向に変形する。運動によって生じた変形は、ハイドロフォンに適切に配線することにより、理論上は補正することができ、例えば解消することができる。従って、結果としてゼロ又は非出力となる。換言すれば、外部運動に伴うハイドロフォンの加速は、「相殺」又は「補正(補償)」することができる。
【0020】
図6を概して参照すると、2つの選択されたハイドロフォン20と、関連するハイドロフォンとについての加速度補正の測定に関する、理想条件ではなく、前述のような大気条件での検査結果がグラフで示される。検査結果は、ハイドロフォンの測定された加速度補正が駆動周波数に対して、グラフで示される。加速度相殺値が、測定されたハイドロフォンの出力(Hyd1、Hyd2及びRefHyd)と基準加速度計の出力とを用いて算出された。ハイドロフォンの加速度相殺が完全である可能性がある場合、例えば、ハイドロフォンが全ての外部加速を相殺又は補正する可能性がある場合には、結果として得られる値はゼロ(0)になることになる。しかしながら、加速度相殺は完全ではないため、ハイドロフォンの出力は、さらなる処理をしないと、単に相対的な、比較できない値となる。
【0021】
適正な比較の基盤を提供するために、加速度計を使用して、理論的なハイドロフォンの真の加速値を得ることができる。それ故、「真の」又は「絶対的な」加速度相殺値の算出させることにより、他のハイドロフォンと比較することが可能になる。しかしながら、前述のように、この方法は実際の実施における大きな欠点があり、ハイドロフォンの真の加速度補正能力を表さない情報を提供する。本発明のシステム及び方法は、ハイドロフォン20が動作されるべき実際の条件を代表する条件下でハイドロフォン20の検査を可能にする。この結果、ハイドロフォンのこれらの相殺又は補正特徴の真の性能を、受動的又は能動的に関わらず容易に測定することができる。
【0022】
図7及び図8を概して参照して、検査装置56の一例及び対応する方法を示す。この実施形態では、検査装置56は、内部圧力室60を有する圧力容器58を備える。圧力容器58及びその内部室60は、1つ以上のハイドロフォン20を収容、例えば、取り囲むために適切なように寸法設定される。示す例では、検査ハイドロフォン20は、標準ハイドロフォン62と共に圧力容器58内に配置される。圧力容器58、ハイドロフォン20、及び標準ハイドロフォン62は、振動台66などの振動源64に接続される。例として、圧力容器58は振動源64の上部に取り付けられてもよく、ハイドロフォン20及び関連するハイドロフォン62は、圧力室60内に固定されてもよい。標準加速度計68も、ハイドロフォン20の絶対的な加速度相殺値を決定するための基準を提供するのを補助するために、例えば、圧力容器58外部の位置において振動源64に取り付けられてもよい。
【0023】
圧力容器58の圧力室60は、ハイドロフォン20が動作される実際の条件を代表する条件を確立するために所望の圧力に加圧されてもよい流体70で満たされる。流体70は空気又は窒素のような気体を含んでもよいが、この流体は、更に、水又は他の適切な液体などの、ハイドロフォン20が動作する実際の条件を複製する、又は少なくとも近い条件を作る液体も含んでもよい。多くの用途では、所与のハイドロフォン(複数可)20の加速度補正の測定には、例えば、水などの液体の使用がより有用である。なぜならば、ハイドロフォン20が用いられる実際の環境に類似するからである。水の密度は、例えば、約1000kg/m3であり、一方、空気の密度はわずか約1.2kg/m3である。ハイドロフォン20は、一般的に、水中音響を記録又は聴音するために水中での使用のために設計される。それ故、圧力容器58内の液体中でハイドロフォン20を検査することは、ハイドロフォンの加速度補正のよりよい測定を提供する。
【0024】
ハイドロフォン20、標準ハイドロフォン62、及び標準加速度計68からのデータ出力は、解析及び/又は表示のために、出力線72を通って出力されてもよい。一実施形態に従い、データはプリアンプ74に出力される。プリアンプ74は、次に、デジタルスコープ76又は他の適切なデバイスにおいて処理及び表示するために、適切に増幅されたデータを出力する。図8に示すように、データは、ハイドロフォン20のパラメータを測定するために、振動源64が圧力容器58を動かしている間、ハイドロフォン20と通信可能に接続される、プロセッサベースの制御システム78に送られてもよい。プロセッサベース制御システム78はプロセッサ80を備えている。プロセッサ80は、加速度補正及び/又は他のハイドロフォンのパラメータを決定するための適切なアルゴリズム又はモデルに従い、ハイドロフォン20、標準ハイドロフォン62、及び/又は関連する加速度計68から受信した種々のデータ/パラメータを処理及び解析するようにプログラムされていてもよい。
【0025】
一検査方法では、プロセッサ80はハイドロフォン20と通信的に接続して、振動源64が起動され、圧力容器58が加圧されている間、ハイドロフォン20の加速度相殺測定データを収集する。ハイドロフォン20、標準ハイドロフォン62、及び標準加速度計68からのデータは、ハイドロフォン20の絶対的な加速度相殺値のような、所望のパラメータを決定するために、プロセッサ80により容易に解析される。処理結果は、グラフ、表、又は他の適切な標識(しるし)の形で適切な表示部82に出力されてもよい。示される特定の例では、デジタルスコープ76はプロセッサベース制御システム78の一部(または、これと連係する動作)である。さらに、プロセッサベースの制御システム78は、閉ループ制御の形態で、ハイドロフォン20に加えて、標準ハイドロフォン62及び標準加速度計68に連結されてもよい。
【0026】
振動源64は圧力容器58を介してハイドロフォン20に、作業環境においてハイドロフォン20が受けることになる外部加速をシミュレートするために設計された様態で、接続される。一例に従うと、振動台66上に圧力容器58を固定して取り付け、かつ圧力容器58の内側にハイドロフォン20を固定して取り付けることによって、ハイドロフォン20は振動される。標準ハイドロフォンを用いる場合には、標準ハイドロフォンも圧力容器58の内側にも固定して取り付けられてもよい。示される特定の例では、図8に最も良く示すように、矢印84で示す振動運動方向が、ハイドロフォン20及び標準ハイドロフォン62の取付方向と垂直となるように、圧力容器58は振動台66に取り付けられる。圧力容器、ハイドロフォン配設、及びプロセッサベース制御システムの結果、ハイドロフォン20の真の加速度補正能力のより代表的な測定が得られる。
【0027】
示される例では、加圧窒素源などの加圧流体源86を有する圧力システム85によって、圧力室60に圧力が加えられる。加圧窒素は、ハイドロフォン20及び任意の標準ハイドロフォン62を囲む圧力室60に直接送られてもよい。代替的に、例えば、適切なインターフェース機構を通して、圧力室60に収容されている液体などの、個々の流体を加圧するために、加圧窒素が用いられてもよい。示す例では、窒素などの加圧流体が、加圧流体源86からレギュレータ88及び制御弁90を通じて供給される。この例では、高圧流体は、圧力容器58に供給される前に、制御弁90、圧力計92及び第2の制御弁94を通過する。当然ながら、種々の弁、レギュレータ、高圧管路及び他の構成要素が利用されて、圧力容器58内の気体又は液体を加圧してもよい。
【0028】
検査装置56の代替的な実施形態を図9及び図10に示す。便宜上、図7及び図8に示し、かつこれらを参照して記述される部材と同一又はそれに類似する構成要素には、同一の参照番号を付す。図9及び図10の実施形態では、流体70は、圧力システム96により所望レベルに加圧される流体である。例として流体70は水であるが、圧力容器58内で、他の種類の流体が用いられてもよい。この実施形態では、液体70は圧力室60を完全に満たし、この液体70中に、任意の標準ハイドロフォン62とともに、1つ以上のハイドロフォン20とが浸漬される。
【0029】
圧力システム96は、例えば、作動液などの加圧流体を圧力容器58に供給し、圧力室60内の液体70の圧力を所望レベルに増大するために用いられる、圧力ポンプなどの圧力源98を備えている。示される特定の例では、圧力源98は、第1の制御弁100、圧力計102、及び第2の制御弁104を介して圧力容器58に連結される。しかしながら、種々の圧力源、弁、レギュレータ、高圧管路、及び他の構成要素を利用して、圧力容器58内の液体70を加圧してもよい。
【0030】
図9及び図10に示す検査装置56は、水状の流体70を用いることにより、ハイドロフォン20の加速度補正を効果的に決定することができる。前述したように、加速度相殺値は、検査ハイドロフォン20の出力及び標準加速度計68の出力を用いて、ハイドロフォン20の「真の」又は「絶対的な」加速度相殺値を得るために、算出されてもよい。図11及び図12にグラフで示すように、ハイドロフォンの加速度補正値は、大きく変化する可能性がある。図11は20Hzの駆動周波数における静水圧に対する、種々のハイドロフォン20の加速応答の例を示す。図12は80Hzの駆動周波数における類例を示す。異なる深さ、及び異なるハイドロフォンの種類において、加速応答は大幅に異なる可能性があるが、本発明の装置及び方法は、ハイドロフォンの加速度補正又は他のパラメータを測定するための、正確かつ繰り返し可能な技術を提供する。図11及び図12のグラフで参照される、10メートルずつの追加の深さが、約1バールの追加の静水圧に対応することに留意するべきである。
【0031】
前述の利点と共に、検査装置56は大変可搬性があり、通常の、容易に用意できる、もしくは発注するのが簡単な実験室設備を用いて製造される場合がある。換言すれば、検査装置56は、関連リスクがごくわずか、又は全く無い典型的な実験環境で、容易に形成、使用、及び保持できる。
【0032】
検査装置56は、検査されるハイドロフォン20の数及び圧力容器58内に生成される状態に応じて、種々の圧力容器58を組み込んでもよい。図13に、圧力容器58の1つの種類の一例を示す。この実施形態では、圧力室60は、2つのハイドロフォンのような、複数のハイドロフォン20,62を収容するのに十分に大きい。圧力容器58は、対応するエンドキャップ110との係合のために設計されたエンドコネクタ108を有する圧力ハウジング106をともなって形成される。例として、エンドコネクタ108はネジ部が、エンドキャップ110の対応するネジ部との係合のために螺刻されてもよい。
【0033】
この実施形態では、圧力容器58は、個々の取付構造112が、対応するエンドコネクタ108及びエンドキャップ110の内部配置されるように配設された取付構造112を更に備えてもよい。各取付構造112は、圧力ハウジング106と密閉された係合を形成するための1つ以上のシール114を備えている。さらに、各取付構造112は、通信回線又は機能118の周囲を密閉するように配置された1つ以上のシール116を備えてもよい。通信回線又は機能118を通して、各ハイドロフォン20,62からのデータを、出力線72、及びプロセッサベースシステム78上へ中継する(図7〜図10参照)。しかしながら、示された圧力容器58は、単に圧力容器の一つの種類にすぎず、限定するものとして解釈されるべきではない。圧力容器58は、多くの種類の地震調査用途において用いられるための所望のハイドロフォン20の検査に順応する種々の特徴を有する種々の構成及びサイズで設計されてもよい。この地震調査は、海上油井基地上のボアホール地震調査、牽引されるアレイによる観測網調査、及び他の種類の地震調査を含む。
【0034】
前述のように、検査装置及び方法は、ハイドロフォン採用される条件を代表する加圧及び/又は他の条件下で、ハイドロフォンの1つ以上のパラメータを測定するために採用されてもよい。多くの種類の調査用途では、ハイドロフォンの加速度補正の測定は、地震調査から得られる地震データの正確な収集及び使用を容易にすることが望ましい。検査装置及び方法は、多くの種類の地震調査に用いるための多くの種類のハイドロフォンで使用されてもよい。
【0035】
さらに、検査装置の特定の構成要素及び構成要素の配設は、検査用途に応じて異なってもよい。一部の実施形態では、検査装置56は、ある検査位置から別の位置に移動するために、車両上に容易に積み込める可搬機器として設計される。さらに、検査装置の種々の構成要素は、他の種類の構成要素と容易に置換及び/又は交換するために、モジュラーコンポーネントとして構築される。圧力容器はまた、特定の検査用途に所望されるように、異なる種類のハイドロフォン及び異なる数のハイドロフォンを収容するように設計されてもよい。
【0036】
結果として、本発明のいくつかの実施形態のみを詳細に前述したが、本発明の教示から著しく逸脱することなく、多くの変更が可能であることを当業者は容易に理解するであろう。このような変更は、特許請求の範囲に定義させるように、本発明の範囲内に含まれるものとして意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロフォンの加速度相殺特性を測定する装置であって、
振動源と、
前記振動源に接続され、流体媒体を収容する圧力容器と、
前記圧力容器内に取り付けられたハイドロフォンと、
前記振動源が作動し、かつ前記圧力容器が圧力下にある間に、前記ハイドロフォンの加速度相殺測定データを収集するために前記ハイドロフォンと通信可能に接続される、プロセッサと、を備える、装置。
【請求項2】
前記流体媒体は作動液の媒体である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記作動液の媒体は水を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記圧力容器は、前記作動液の媒体で完全に満たされている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサと通信可能に接続する標準ハイドロフォンを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記振動源は振動台を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記圧力容器は、振動方向が前記ハイドロフォンの取付方向と垂直となるように取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記圧力容器外部において前記振動源に取り付けられた標準加速度計を更に備える、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
ハイドロフォンの少なくとも1つのパラメータを測定する方法であって、
振動源を起動することと、
ハイドロフォンを収容する、流体で満たされた容器を加圧することと、
前記振動源が前記圧力容器を動かしている間に前記ハイドロフォンのパラメータを測定することと、を含む、方法。
【請求項10】
パラメータを測定することは、ハイドロフォンの加速度相殺特性を測定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
加速度計を用いて、前記振動源の加速度を測定することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記加速度計の測定値及び前記ハイドロフォンのパラメータの測定値を利用することによって、前記ハイドロフォンの絶対的な加速度を算出することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
起動することは、前記圧力容器を支持する振動台を作動させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記流体で満たされた容器内に、標準ハイドロフォンを配置することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
加圧することは、前記流体で満たされた容器内の液体を加圧することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
評価するハイドロフォンを選択することと、
前記ハイドロフォンの絶対的な加速度相殺値を決定することと、
前記絶対的な加速度相殺値の標識を提供することと、を含む、方法。
【請求項17】
決定することは、圧力容器内に前記ハイドロフォンを配置することと、前記ハイドロフォンを振動させることとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
決定することは、前記ハイドロフォンを振動させている間に、プロセッサベースのシステムを利用して、前記ハイドロフォンの加速度相殺測定データを収集及び処理することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
決定することは、前記ハイドロフォンが前記液体中に浸漬されている間に、前記圧力容器内の液体を加圧することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
決定することは、前記ハイドロフォンと共に振動する加速度計から得た加速度計データを処理することを更に含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−511037(P2013−511037A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538422(P2012−538422)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002752
【国際公開番号】WO2011/058403
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited