ハイパーブランチポリマー、これを含む燃料電池用電極と電解質膜及びそれを採用した燃料電池
【課題】ハイパーブランチポリマー、それを含む燃料電池用電極及び電解質膜とこれを採用した燃料電池を提供する。
【解決手段】樹状ユニット、線形ユニット及びターミナルユニットを備え、分枝化度0.05以上1以下であるハイパーブランチポリマー、それを含む燃料電池用電極及び電解質膜とそれを採用した燃料電池。
【解決手段】樹状ユニット、線形ユニット及びターミナルユニットを備え、分枝化度0.05以上1以下であるハイパーブランチポリマー、それを含む燃料電池用電極及び電解質膜とそれを採用した燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ハイパーブランチポリマー、これを含む燃料電池用電極と電解質膜及びそれを採用した燃料電池が提示される。
【背景技術】
【0002】
電解質として高分子電解質膜を使用した燃料電池は、動作温度が比較的低温であると同時に小型化できるため、電気自動車や家庭用分散発電システムの電源として期待されている。高分子電解質膜燃料電池に使われる高分子電解質膜としては、ナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカルボンスルホン酸系ポリマー膜が使われている。このタイプの高分子電解質膜がプロトン伝導を発現するためには、水分が必要なため、加湿が必要である。また、電池システム効率を高めるために100℃以上の温度での高温運転が求められるが、この温度では電解質膜内の水分が蒸発して枯渇し、固体電解質としての機能が失われるという問題がある。
【0003】
これらの従来の技術に起因する問題を解決するために、無加湿でありつつも100℃以上の高温で作動できる無加湿電解質膜が開発されている。前記無加湿電解質膜の構成材料として、燐酸がドーピングされたポリベンズイミダゾールなどの材料が開示されている。
【0004】
また、パーフルオロカルボンスルホン酸系ポリマー膜を利用した低温作動電池では、電極、特にカソードでの発電によって生成された水(生成水)による電極内でのガス拡散不良を防止するために、撥水材であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混合して疎水性を付与した電極が利用されている。
【0005】
また、高温(150〜200℃)で作動させる燐酸型燃料電池では、電解質として液体である燐酸を使用するが、この液状の燐酸が電極内に多量に存在してガス拡散を阻害する。したがって、電極触媒に撥水材であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混合し、電極内の細孔が燐酸によって閉塞されることを防止できる電極触媒層が使われている。
【0006】
また、高温無加湿電解質である燐酸を保持するポリベンズイミダゾール(PBI)を電解質膜に使用した燃料電池では、電極と電解質膜との界面接触を良好にするために、液状の燐酸を電極に含浸させることが試みられ、金属触媒のローディング含有量を高める試みが行われたが、十分の特性を引出すとはいえない状況であるので、改善の余地が多い。
【0007】
また燐酸がドーピングされた固体高分子電解質を利用する場合には、カソードに空気を供給する場合、最適化された電極組成を使用するとしても、1週間の活性化時間が求められる。これは、カソードの空気を酸素で替えることによって、性能向上はもとより活性化時間を短縮することはできるが、商用化を考慮すれば、望ましくない。そして、前記PBIを利用したホモポリマー電解質膜は、高温での機械的特性及び化学的安定性、燐酸保液能が十分ではなく改善の余地が多い。かかる先行技術文献には特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,525,436号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、耐熱性に優れたハイパーブランチポリマー、これを含む燃料電池用電極と電解質膜及びそれを利用してセル電圧性能が改善された燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
分枝化度が0.05以上1以下のハイパーブランチポリマーであって、前記ハイパーブランチポリマーが下記化学式1の樹状ユニット、下記化学式2の線形ユニット及び下記化学式3のターミナルユニットを含むハイパーブランチポリマーが提供される。
【0011】
【化1】
【0012】
前記式中、xは0または1であり、Rはフッ素、C1−C20フッ素化されたアルキル基、C6−C20フッ素化されたアリール基、C2−C20フッ素化されたヘテロアリール基、C6−C20フッ素化されたシクロアルキル基、またはC2−C20フッ素化されたヘテロ環基である。
【0013】
前述したハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとの架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーの架橋体を提供する。
【0014】
また前述したハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーの架橋体を提供する。
【0015】
前述したハイパーブランチポリマー、または前述したハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電極が提供される。
【0016】
前述したハイパーブランチポリマー、または前述したハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電解質膜が提供される。カソード;アノード;及びそれらの間に介された電解質膜を備え、前記カソード、アノード及び電解質膜から選択された一つ以上は、前述したハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池が提供される。
【0017】
前述したハイパーブランチポリマー;及びベンゾオキサジン系モノマーを含むハイパーブランチポリマーの混合物が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、耐熱性及び耐燐酸性に優れたハイパーブランチポリマー、これを利用したハイパーブランチポリマーの架橋体が提供される。前記ハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電極及び電解質膜を採用すればセル性能が改善された燃料電池を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】合成例1による化学式6のHPEの13C−NMRスペクトルである。
【図1B】合成例2による化学式7のHPEFの13C−NMRスペクトルである。
【図1C】合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの19F−NMRスペクトルである。
【図1D】前記合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの1H−NMRスペクトルである。
【図2】合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの熱的特性を示すグラフである。
【図3】実施例1及び比較例1による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を示すグラフである。
【図4】実施例1及び2と比較例1による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を示すグラフである。
【図5】実施例1及び2と比較例1による燃料電池において、カソード白金ローディング量によるセル電圧変化を示すグラフである。
【図6】実施例3及び比較例1による燃料電池において、電流密度によるセル電圧特性を示すグラフである。
【図7】実施例3及び比較例1による燃料電池において、経時的なセル電圧特性を示すグラフである。
【図8A】実施例3による燃料電池において、酸素溶解度評価結果を示すグラフである。
【図8B】実施例3による燃料電池において、酸素溶解度評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
分枝化度が0.05以上1以下のハイパーブランチポリマーであって、前記ハイパーブランチポリマーが下記化学式1の樹状ユニット、下記化学式2の線形ユニット及び下記化学式3のターミナルユニットを含むハイパーブランチポリマーが提供される。
【0021】
【化2】
【0022】
前記式中、xは0または1であり、Rはフッ素、C1−C20フッ素化されたアルキル基、C6−C20フッ素化されたアリール基、C2−C20フッ素化されたヘテロアリール基、C6−C20フッ素化されたシクロアルキル基、またはC2−C20フッ素化されたヘテロ環基である。
【0023】
前記分枝化度は、樹状ユニット、線形ユニット及びターミナルユニットの総数に対する樹状ユニットとターミナルユニットとの総数の比を表す。例えば、もし、分枝化度が0ならば、線形高分子であり、分枝化度が1ならば、線形ユニットとターミナルユニットとは存在しない。
【0024】
前記分枝化度は、核磁気共鳴スペクトルで樹状ユニット、線形ユニット、ターミナルユニットにそれぞれ関連したピークの積分値比から計算できる。
【0025】
前記ハイパーブランチポリマーは、AB2形態の単量体から合成され、前述したように、3種の形態の反復単位、すなわち、樹状ユニット、線形ユニット及びターミナルユニットを持つ。
【0026】
前記ハイパーブランチポリマーは、数平均分子量が8,000ないし15,000である。
【0027】
前記Rは、フッ素、トリフルオロメチル基、3,5−ジフルオロフェニル基または下記構造式で表示されるグループのうち一つであり、
【化3】
前記分枝化度は0.05ないし0.9である。
【0028】
前記樹状ユニット、線形ユニット及びターミナルユニットと結合されるコアユニットは、下記化学式4で表示される。
【0029】
【化4】
【0030】
前記式中、Yは−SO2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−N=N−または−O−であり、mは0ないし3の数であり、nは0ないし1の数である。
【0031】
前記化学式4のコアユニットは、下記化学式で表示されるユニットでありうる。
【0032】
【化5】
【0033】
前記ハイパーブランチポリマーは、下記化学式5で表示される化合物でありうる。
【0034】
【化6】
【0035】
前記式中、Rは、フッ素、トリフルオロメチル基、3,5−ジフルオロフェニル基または下記構造式で表示されるグループのうち選択された一つである。
【0036】
【化7】
【0037】
前記化学式5の化合物としては、下記化学式6または化学式7で表示される化合物を挙げることができる。
【0038】
下記化学式7の化合物は、下記化学式から分かるように、化学式6の化合物に比べてフッ素またはフッ素官能基導入量が増加する。
【0039】
【化8】
【0040】
前記化学式6の化合物は、分枝化度が0.05ないし0.9であり、例えば0.63ないし0.9であり、数平均分子量は8,000ないし12,000である。
【0041】
【化9】
【0042】
前記式中、R’はペンタフルオロフェニル基であり、分枝化度は0.05ないし0.9であり、特に0.63ないし0.9であり、数平均分子量は12,000ないし15,000範囲である。
【0043】
以下、前記ハイパーブランチポリマーの製造方法を説明する。一具現例として、前述した化学式6及び7で表示される化合物の製造方法を挙げて説明する。
【0044】
まず、化学式6の化合物は、AB2形態のフッ素化されたポリエーテルであって、3,5−ジフルオロフェノールに溶媒を付加し、これを塩基と反応するエーテル化反応過程を経て合成できる。
【0045】
前記溶媒としては、トルエン、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)などを使用でき、その含有量は、3,5−ジフルオロフェノール100重量部を基準として500ないし3000重量部である。溶媒の含有量が前記範囲である時、エーテル化反応の反応性が優秀である。
【0046】
前記塩基としては、炭酸カルシウム(K2CO3)、水酸化カルシウム(KOH)などを利用し、塩基の含有量は、3,5−ジフルオロフェノール1モルを基準として1.5ないし2モルを使用する。
【0047】
前記反応温度は、175ないし205℃範囲である。反応温度が前記範囲である時、化学式6の化合物の収率が優秀である。
【0048】
前記過程によって製造された化学式6のハイパーブランチポリマーは、分枝化度が0.63ないし0.9であり、数平均分子量が8,000ないし12,000である。
【0049】
化学式7の化合物は、出発物質として前記過程によって得た化学式6の化合物を利用し、パラジウム触媒とペンタフルオロフェニルボロン酸を使用する鈴木カップリング反応によって、単一容器内反応を経て得ることができる。
【0050】
化学式6の化合物に溶媒を付加し、これにPd(PPh3)4(Phは、フェニルを表す)、塩基、ペンタフルオロフェニルボロン酸を付加し、反応を65ないし80℃で実施する。
【0051】
前記塩基としては、炭酸カルシウム(K2CO3)、水酸化カルシウム(KOH)などを利用し、塩基の含有量は、化学式6の化合物1モルを基準として0.65ないし0.8モルを使用する。
【0052】
前記過程によって製造された化学式7のハイパーブランチポリマーは、分枝化度が0.63ないし0.9であり、数平均分子量が12,000ないし15,000である。
【0053】
前記化学式6及び7のハイパーブランチポリマーの分枝化度及び数平均分子量は、反応溶媒の種類、反応時間及び反応温度によって可変的である。
【0054】
前記ハイパーブランチポリマーは、単一巨大分子であって、合成が容易であり、かつ量産ができる。そして、フッ素またはフッ素官能基を含有して、酸素親和力の増大で酸素透過度が改善されつつ耐熱性、耐久性、燐酸保有力が向上する。
【0055】
また、前記ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとの架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーの架橋体が提供される。
【0056】
また、前記ハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーの架橋体が提供される。
【0057】
前記架橋性化合物としては、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド系から選択された一つ以上を挙げることができる。
【0058】
前記ポリベンズイミダゾールの例として、下記化学式を持つ化合物を使用できる。
【0059】
【化10】
【0060】
前記式中、nは、10以上の整数、例えば、100以上の整数であり、前記高分子の数平均分子量は100万以下である。
【0061】
そして、前記架橋性化合物の含有量は、ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として5ないし95重量部である。
【0062】
前記ハイパーブランチポリマーの含有量は、ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として0.1ないし10重量部である。
【0063】
前記架橋性化合物の含有量及びハイパーブランチポリマーの含有量が前記範囲である時、最終的に得たハイパーブランチポリマーの架橋体の燐酸の含浸能が優秀である。
【0064】
前記ハイパーブランチポリマーの架橋体は、ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系との混合物、またはハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の混合物を50ないし250℃の範囲、例えば、80〜220℃で熱処理する過程を経て製造できる。
【0065】
出発物質として、ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとの混合物を使用する場合、前述した熱処理過程を経れば、ベンゾオキサジン系モノマーの重合反応が起きてベンゾオキサジン系モノマーの重合体が形成され、前記ベンゾオキサジン系モノマーの重合体及び/またはベンゾオキサジン系モノマーとハイパーブランチポリマーとの架橋反応生成物が形成される。
【0066】
出発物質として、ハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の混合物を使用する場合、前述した熱処理過程を経れば、ベンゾオキサジン系モノマーの重合反応が起きてベンゾオキサジン系モノマーの重合体が形成され、前記ベンゾオキサジン系モノマーの重合体及び/またはベンゾオキサジン系モノマーが、架橋性化合物及びハイパーブランチポリマーと架橋反応を進めて、これらの架橋反応生成物が形成される。この過程中に、ベンゾオキサジン系モノマー、ハイパーブランチポリマー及び架橋性化合物のグラフト重合反応生成物が形成される。
【0067】
前記熱処理過程は必要に応じて経なくてもよい。例えば、前記ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系との混合物、またはハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の混合物を利用して電極及び/または電解質膜を製造する場合、電池動作中に前記ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系との混合物、またはハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の混合物の架橋反応が進むこともある。
【0068】
前記ベンゾオキサジン系モノマーは特別に制限されず、例えば、下記化学式8ないし13で表示される化合物のうち、選択された一つ以上を使用できる。
【0069】
【化11】
【0070】
前記化学式中、R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立して水素、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキル基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキルオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはシアノ基であり、R5は、ハロゲン化されたC1−C20アルキル基、ハロゲン化されたC1−C20アルコキシ基、ハロゲン化されたC2−C20アルケニル基、ハロゲン化されたC2−C20アルキニル基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC7−C20アリールアルキル基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリールアルキル基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環アルキル基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC2−C20ヘテロ環アルキル基である。
【0071】
【化12】
【0072】
前記式中、R5’は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、R6は、置換または非置換のC1−C20アルキレン基、置換または非置換のC2−C20アルケニレン基、置換または非置換のC2−C20アルキニレン基、置換または非置換のC6−C20アリーレン基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリーレン基、−C(=O)−、−SO2−からなる群から選択される。
【0073】
【化13】
【0074】
前記式中、A、B、C、D、Eはいずれも炭素であるか、またはA、B、C、D、Eのうち選択された一つまたは二つは窒素(N)であり、その残りは炭素(C)であり、R1及びR2は、互いに連結されて環を形成し、前記環は、C6−C10シクロアルキル基、C3−C10ヘテロアリール基、融合されたC3−C10ヘテロアリール基、C3−C10ヘテロ環基または融合されたC3−C10ヘテロ環基である。
【0075】
【化14】
【0076】
前記式中、Aは、置換または非置換のC1−C20ヘテロ環基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキル基、または置換または非置換のC1−C20アルキル基であり、R2及びR3は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20シクロアルキル基、C1−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、またはヒドロキシ基である。
【0077】
【化15】
【0078】
前記式中、R1及びR2は、互いに独立してC1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基または下記構造式で表示されるグループであり、
【化16】
前記式中、R3は水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20シクロアルキル基、ハロゲン化されたC4−C20シクロアルキル基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である。
【0079】
【化17】
【0080】
前記式中、R2とR3、またはR3とR4とは、互いに連結されて下記化学式2Aで表示されるグループであり、R5とR6、またはR6とR7とは、互いに連結されて下記化学式2Aで表示されるグループであり、
【化18】
R1は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
*は、化学式1のR2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7とをそれぞれ連結される位置を表示する。
【0081】
前記R1は、下記構造式で表示されるグループのうち選択された一つである。
【0082】
【化19】
【0083】
前記化学式8で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物を挙げることができる。
【0084】
【化20a】
【化20b】
【化20c】
【化20d】
【0085】
前記化学式9で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物を挙げることができる。
【0086】
【化21】
【0087】
前記式中、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示されるグループである。
【0088】
【化22】
【0089】
例えば、下記化学式で表示される化合物から選択できる。
【0090】
【化23】
【0091】
前記化学式10で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物がある。
【0092】
【化24】
前記式中、Rは、水素またはC1−C10アルキル基であり、
【化25】
【0093】
前記化学式で下記化学式Aが、下記構造式で表示されるグループのうち一つである。
【化26】
【化27】
【0094】
前記化学式10で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例は、下記化学式で表示される化合物から選択される。
【0095】
【化28a】
【化28b】
【0096】
前記化学式11で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物がある。
【0097】
前記化学式11のAは、下記化学式で表示されるグループのうち一つでありうる。
【0098】
【化29】
【0099】
前記式中、R1は、水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20シクロアルキル基、ハロゲン化されたC4−C20シクロアルキル基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である。
【0100】
前記燐含有ベンゾオキサジン系モノマーは、下記化学式で表示される化合物でありうる。
【0101】
【化30】
【0102】
前記式中、R1は、下記構造式で表示されるグループのうち選択された一つである。
【0103】
【化31】
【0104】
前記化学式11の化合物は、下記化学式で表示される化合物のうち選択された一つでありうる。
【0105】
【化32】
【0106】
前記化学式12で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物がある。
【0107】
【化33】
【0108】
前記式中、R2は、C1−C10アルキル基、C1−C10アルコキシ基、C6−C10アリール基、またはC6−C10アリールオキシ基であり、
【化34】
前記式中、R4及びR5は、互いに独立してC6−C10アリール基であり、前記化学式中、R3は、下記構造式で表示されるグループのうち選択される。
【0109】
【化35】
【0110】
前記化学式12の化合物は、下記化学式で表示される化合物のうち選択された一つでありうる。
【0111】
【化36】
【0112】
前記化学式中、R3は、下記構造式で表示されるグループのうち選択される。
【0113】
【化37】
【0114】
前記化学式13で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物を挙げることができる。
【0115】
【化38】
【0116】
前記式中、R1は、下記構造式で表示されるグループのうち一つである。
【0117】
【化39a】
【化39b】
【0118】
前記化学式1の樹状ユニット、前記化学式2の線形ユニット及び前記化学式3のターミナルユニットを備えるハイパーブランチポリマー、または前記ハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電極が提供される。
【0119】
前記電極は、前記ハイパーブランチポリマーとハイパーブランチポリマーとの架橋体のうち選択された一つと、触媒を含む触媒層を備える。ここで、前記ハイパーブランチポリマーを構成するコアユニットは、化学式4で表示できる。
【0120】
前記ハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体は、電極の結合剤の役割を行うことができて、通常の結合剤なしでも電極構成が可能である。また、ハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体の付加で、従来の場合に比べて減少した触媒のローディング含有量を使用しつつも電極性能が向上する。
【0121】
前記電極は、電極内酸素透過度を向上させて最高性能を発現するまでの活性化時間を短縮させ、ドーピングされた燐酸に電極がさらに容易に染み込むように手助けする耐熱性及び耐燐酸性を同時に持つ。
【0122】
前述した電極を採用した燃料電池は、高温無加湿条件下で動作可能であり、熱的安定性が補強されるだけではなく、改善された発電性能を発現させることができる。
【0123】
電極内で、前記ハイパーブランチポリマーまたは前記ハイパーブランチポリマーの架橋体の含有量は、触媒1重量部に対して0.001ないし0.65重量部、例えば、0.01ないし0.05重量部である。
【0124】
もし、ハイパーブランチポリマーまたは前記ハイパーブランチポリマーの架橋体の含有量が前記範囲である時、電極の濡れ状態を改善しつつ酸素透過度の改善効果が優秀である。
【0125】
前記触媒としては、白金(Pt)単独、または金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された一種以上の金属と白金の合金、あるいは白金と金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された一種以上の混合物を使用するか、または、前記触媒金属がカーボン系担体に担持された担持触媒でありうる。例えば、白金(Pt)、白金コバルト(PtCo)及び白金ルテニウム(PtRu)からなる群から選択された一つ以上の触媒金属であるか、または前記触媒金属がカーボン系担体に担持された担持触媒を使用する。
【0126】
前記電極は、燃料電池電極の製造時に通例的に使用可能な結合剤をさらに含むことができる。
【0127】
前記結合剤としては、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリウレタンからなる群から選択された一つ以上を使用する。
【0128】
前記結合剤の含有量は、触媒1重量部を基準として0.001ないし0.5重量部である。結合剤が前記含有量範囲で使われれば、電極の濡れ状態を改善できる。
【0129】
前記燃料電池用電極を製造する方法を説明すれば、次の通りである。
【0130】
まず溶媒に触媒を分散して分散液を得る。この時、溶媒としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などを使用し、その含有量は、触媒1重量部を基準として1ないし10重量部である。
【0131】
前記分散液に前記ハイパーブランチポリマー、例えば、化学式6または7のハイパーブランチポリマーを含む混合物を付加及び混合して攪拌する。
【0132】
ハイパーブランチポリマーの架橋体を含む電極を形成する場合には、前記ハイパーブランチポリマーを含む混合物にはベンゾオキサジン系モノマーのみをさらに付加するか、またはベンゾオキサジン系モノマーと架橋性化合物をさらに付加する。
【0133】
前記溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などを使用する。
【0134】
前記混合物をカーボン支持体の表面にコーティングして電極を完成する。
【0135】
前記カーボン支持体は、ガラス基板上に固定させることが、コーティング作業するのに容易である。そして、前記コーティング方法としては特別に制限されないが、ドクターブレードを利用したコーティング、バーコーティング、スクリーンプリンティングなどの方法を利用できる。
【0136】
前記混合物をコーティング後、乾燥する過程を経るが、溶媒を除去する過程であって、20ないし150℃の温度範囲で施す。そして、乾燥時間は乾燥温度によって変わり、10ないし60分範囲内で施す。
【0137】
ハイパーブランチポリマーの架橋体を含む電極を形成する場合には、前記混合物をコーティング後に乾燥する過程を経た後、50ないし250℃で熱処理する過程をさらに経る。
【0138】
また前記電極は、触媒層が燐酸及びC1−C20有機ホスホン酸から選択された一つ以上のプロトン伝導体をさらに含むことができる。ここで、プロトン伝導体の含有量は、電極の総重量100重量部対比10ないし1000重量部で使われる。前記酸の濃度は特別に制限されないが、燐酸を使用する場合、85重量%の燐酸水溶液を使用し、燐酸含浸時間は80℃で2.5時間ないし14時間の範囲である。
【0139】
前記C1−C20有機ホスホン酸の例として、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸などがある。
【0140】
前述したハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体を含有する燃料電池用電解質膜が提供される。
【0141】
前記電解質膜は、ポリベンズイミダゾール単独からなる電解質膜を使用した場合の問題点である、高温での機械的、化学的安定性欠如に起因するピンホール現象を低減させることができる。これと合わせて、電極での酸素透過度が増加し、電極内の溶存酸素量が増加して活性化時間が短縮される。
【0142】
以下、前記電解質膜及びその製造方法を説明する。
【0143】
まず、ハイパーブランチポリマーを含む電解質膜は、ポリベンズイミダゾールの代わりにハイパーブランチポリマーのみを利用したことを除いては、通常のポリベンズイミダゾールを利用した電解質膜の製造工程と同一に実施して製造できる。
【0144】
ハイパーブランチポリマーの架橋体を含む電解質膜の製造方法は、次の通りである。
【0145】
前記電解質膜は、前述したハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとをブレンドするか、または前述したハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物をブレンドした後、これを50〜250℃、例えば、80〜220℃で硬化反応を実施する。次いで、これに酸のようなプロトン伝導体を含浸して電解質膜を形成できる。
【0146】
前記架橋性化合物の種類及び含有量と、ハイパーブランチポリマーの含有量とは前述した通りである。
【0147】
前記電解質膜を形成する方法としては、テープキャスティング法を利用してもよく、通常のコーティング法を利用してもよい。前記コーティング法の例としては、支持体上にドクターブレードを利用して前記混合物をキャスティングする方法を挙げることができる。ここで、ドクターブレードとしては250〜500μmギャップを持つものを使用する。
【0148】
もし、前記膜を形成する過程でドクターブレードを利用したキャスティング法を利用する場合には、硬化後、酸を含浸するステップ以前に、支持体から電解質膜を分離して支持体を除去するステップがさらに行われる。このように支持体を除去しようとする場合には、60ないし80℃の蒸溜水に浸漬する過程を経る。
【0149】
前記支持体としては、電解質膜を支持する役割を行えるものならばいずれも使用可能であり、支持体の例として、ガラス基板、ポリイミドフィルムなどを使用する。テープキャスティング法を利用する場合には、テープキャスティングされた膜を硬化する前にポリエチレンテレフタレートのような支持体から分離した後、硬化のためのオーブンに入れるので支持体が不要であるため、支持体を除去するステップが不要である。
【0150】
また、ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとの混合物、またはハイパーブランチポリマーと、ベンゾオキサジン系モノマーと架橋性化合物とからなる混合物を利用して、膜をテープキャスティング法によって形成する場合、混合物をろ過するステップをさらに経ることができる。
【0151】
このように形成された膜を熱処理して硬化反応を実施した後、これを酸のようなプロトン伝導体に含浸して電解質膜を形成する。
【0152】
以下、燃料電池用電極−膜アセンブリーを製造する過程を説明すれば、次の通りである。用語“電極−膜アセンブリー(MEA:Membrane and Electrode Assembly)”とは、電解質膜を中心にその両面に、触媒層と拡散層とで構成された電極が積層されている構造を教える。
【0153】
前記MEAは、前述した電極触媒層を備えている電極を、前記過程によって得た電解質膜の両面に位置させた後、高温と高圧で接合して形成し、これに燃料拡散層を接合して形成できる。
【0154】
前記電解質膜としては、燃料電池で通例的に使われる電解質膜、例えば、ポリベンズイミダゾール電解質膜、ポリベンゾオキサジン−ポリベンズイミダゾール共重合体電解質膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜などを使用できる。または前記ハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体を含む電解質膜を使用できる。
【0155】
電解質膜として、前述したハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体を含む電解質膜を使用する場合には、三相界面が同じ物質からなっている場合、相溶性(compatibility)の改善で接触抵抗が減少することによって、燃料電池のセル性能が極大化できる。
【0156】
前記接合のための加熱温度及び圧力は、電解質膜が軟化する温度まで加熱した状態で0.1ないし3ton/cm2、特に約1ton/cm2の圧力で加圧して行う。
【0157】
次いで、前記電極−膜アセンブリーにそれぞれバイポーラプレートを装着して燃料電池を完成する。ここでバイポーラプレートは燃料供給用溝を持っており、集電体機能を持っている。
【0158】
燃料電池は特別にその用途が限定されるものではないが、一具現例によれば、高分子電解質膜燃料電池として使われる。
【0159】
化学式で使われる置換基の定義について説明すれば、次の通りである。
【0160】
化学式で使われるアリール基は、単独または組み合わせて使われて、一つ以上の環を含む炭素原子数6ないし20個の炭素環芳香族系を意味し、前記環は、ペンダント方法で共に付着されるか、または融合される。アリールという用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルのような芳香族ラジカルを含む。前記アリール基は、ハロアルキレン、ニトロ、シアノ、アルコキシ及び低級アルキルアミノのような置換基を持つことができる。また前記アリール基のうち、一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換できる。
【0161】
化学式で使われるヘテロアリール基は、N、O、P及びSのうち選択された少なくとも一つ以上のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである炭素数1ないし20の1価単環または二環芳香族2価有機化合物を意味する。前記ヘテロ原子のうち一つ以上の水素原子は、前述したアリール基の場合と同じ置換基で置換できる。
【0162】
化学式で使われるアルキル基の具体的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシルなどを挙げることができて、前記アルキルのうち一つ以上の水素原子は、前述したアリール基の場合と同じ置換基で置換できる。
【0163】
化学式で使われるヘテロ環基は、窒素、硫黄、燐、酸素などのヘテロ原子を含有している5ないし10原子からなる環基を称し、これらのヘテロ環基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアリール基の場合と同様に置換できる。
【0164】
化学式で、シクロアルキル基は炭素数6ないし20の炭素環を表し、これらのシクロアルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアリール基の場合と同様に置換できる。
【0165】
前述したハイパーブランチポリマー;及びベンゾオキサジン系モノマーを含むハイパーブランチポリマーの混合物が提供される。
【0166】
このようなハイパーブランチポリマーの混合物はハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーのブレンドよりなる。
【0167】
また、このようなハイパーブランチポリマーの混合物は、ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとの架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーと同様に、燃料電池用電極及び電解質膜を形成する時用いられる。
【0168】
以下、下記実施形態を挙げて詳細に説明するが、下記実施形態のみで限定されるものではない。
【0169】
【化40】
【0170】
前記反応式1は、下記合成例1によって製造されたHPE及び、下記合成例2によって製造されたHPEFの合成経路を示した反応式である。
【0171】
合成例1:化学式6の化合物(HPE)の製造
3,5−ジフルオロフェノール5gをジメチルアセトアミド130mlに溶解し、これにK2CO3 8g及びトルエン65mlを付加した。
【0172】
前記反応混合物を175℃で攪拌して反応させ、ディーン・スタークトラップを使用してトルエンを除去した。
【0173】
前記反応混合物にトルエン65mlをさらに付加し、175℃で攪拌した後、ディーン・スタークトラップを使用してトルエンを除去した。
【0174】
前記反応混合物の温度を205℃に高めて48時間攪拌した。
【0175】
次いで、前記反応混合物の温度を常温に冷やした後、反応結果物から水を利用して沈殿物を形成した。得られた沈殿物をろ過及び真空オーブンで乾燥して、化学式6のHPE(Hyper−branched Polymer having a phenoxide unit at its building block)を収得した。
【0176】
前記目的物を、核磁気共鳴分析法(NMR)を利用して構造及び分枝化度を確認し、その結果は図1Aに示した通りである。13C−NMR分析時に使われたNMR機器は、ブルカー社のAvance 500製品であり、500MHZを使用した。
【0177】
前記HPEの分枝化度は約0.63であった。図1AでD、L、Tは、前記樹状ユニット関連ピークD、線形ユニット関連ピークL、ターミナルユニット関連ピークTをそれぞれ示したものである。前記分枝化度は、図1Aに示した樹状ユニット関連ピークD、線形ユニット関連ピークL及びターミナル関連ユニットTのピークの総積分に対する樹状ユニットピークとターミナルユニット関連ピークとの総積分値の比を計算して定めたものである。
【0178】
合成例2:化学式7の化合物(HPEF)の製造
前記合成例1によって合成された化学式6で表示される化合物HPE 1g、ペンタフルオロボロン酸2gをTHF 30mlに溶解し、これに2M K2CO3水溶液10mlを付加して混合した。
【0179】
前記混合物にPd(PPh3)4(Phは、フェニルを表す)0.38gを付加し、その結果物を24時間還流した。
【0180】
反応が完結した後、反応結果物を常温に冷やした後、ヘキサンを利用して沈殿物を形成した。得られた沈殿物をメタノール、水、メタノールの順でウォッシング処理した後、これをオーブンで乾燥してHPEF(Hyper−branched Polymer having a phenoxide unit at its building block and a pentafluorophenyl group at its main terminal)を収得した。
【0181】
核磁気共鳴分析法(NMR)を利用して構造及び分枝化度を確認し、その結果は図1Bに示した通りである。13C−NMR分析時に使われたNMR機器は、バリアン社のUnity NOVA600製品であり、600MHZを使用した。
【0182】
前記化学式7の化合物HPEFの分枝化度は、約0.63であった。図1BでD、L、Tは、前記樹状ユニット関連ピークD、線形ユニット関連ピークL、ターミナルユニット関連ピークTをそれぞれ示したものであり、分枝化度は、図1Aに対する場合と同一に計算されたものである。
【0183】
前記合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの19F−NMRを実施し、その結果は図1Cに示した。19F−NMR分析時に使われたNMR機器は、バリアン社のUnity NOVA600製品であり、600MHZを使用した。
【0184】
前記合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの1H−NMRを実施し、この時前記HPE及びHPEFを溶解する溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)−d8を利用した。
【0185】
前記1H−NMR結果は図1Dに示した。1H−NMR分析時に使われたNMR機器は、バリアン社のUnity NOVA600製品であり、600MHZを使用した。
【0186】
熱重量分析機を利用して、前記合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの熱的特性を調べ、その結果を図2に示した。熱的特性分析条件は、昇温速度が10℃/分で800℃まで昇温し、窒素流量は35ml/minであった。
【0187】
図2を参照して、合成例1によって得たHPEと合成例2によって得たHPEFとが熱的安定性に優れることが分かった。
【0188】
前記合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの分子量を、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を利用して調べ、その結果は下記表1の通りである。
【0189】
【表1】
【0190】
前記表1で、Mnは数平均分子量、Mwは重量平均分子量、Mpはピーク重量平均分子量、MzはZ重量平均分子量、Mz+1はz+1重量平均分子量を表す。
【0191】
前記表1から、HPEFがHPEに比べて分子量が増加することが確認できた。
【0192】
実施例1:燃料電池用電極及びそれを利用した燃料電池の製造
攪拌容器に、カーボンに50重量%PtCoが担持された触媒1g及び溶媒NMP 3gを付加し、これを乳鉢を利用して攪拌してスラリーを作った。前記スラリーに、前記合成例1によって得た化学式6の化合物HPEのNMP溶液を付加し、HPE 0.025gになるように添加してさらに攪拌した。
【0193】
次いで、前記混合物に5重量%のポリフッ化ビニリデンのNMP溶液を付加して、ポリフッ化ビニリデンが0.025gになるように添加し、10分間混合してカソード触媒層形成用スラリーを製造した。
【0194】
カーボンペーパーを4×7cm2に切断してガラス板上に固定させ、ドクターブレード(Sheen instrument社製)でコーティングするが、この時のギャップ間隔は600μmに調節した。
【0195】
前記カーボンペーパーの上部に前記カソード触媒層形成用スラリーをコーティングし、これを常温で1時間乾燥し、80℃で1時間乾燥し、120℃で30分乾燥し、150℃で15分間乾燥してカソード(燃料電極)を製造した。前記カソードに含まれていたPtCoのうちPtの担持量は約1.7mg/cm2であった。
【0196】
アノードとしては、下記過程によって得た電極を利用した。
【0197】
攪拌容器に、カーボンに50重量%Ptが担持された触媒2g及び溶媒NMP 9gを付加し、これを高速攪拌器を利用して2分間攪拌した。
【0198】
次いで、前記混合物に、ポリフッ化ビニリデン0.05gをNMP 1gに溶解した溶液を付加して2分間さらに攪拌し、アノード触媒層形成用スラリーを製作する。これを、微細多孔層がコーティングされたカーボンペーパー上にバーコーターでコーティングして製作した。
【0199】
これと別途に、下記化学式で表示されるベンゾオキサジン系モノマーA60重量部、下記化学式で表示されるベンゾオキサジン系モノマーB 3重量部、ポリベンズイミダゾールを37重量部としてブレンドした後、これを約220℃範囲で硬化反応を実施した。
【0200】
【化41】
【0201】
次いで、これに85重量%燐酸を80℃で4時間以上含浸して、電解質膜を形成した。ここで燐酸の含有量は、電解質膜総重量100重量部に対して約480重量部であった。
【0202】
前記カソードとアノードとの間に前記電解質膜を介在してMEAを製作した。ここで、前記カソードとアノードとは燐酸含浸なしに使用した。
【0203】
前記カソードとアノードとの間のガス透過を防止するために、主ガスケット用として200μm厚さのテフロン(登録商標)膜と、サブガスガスケット用として20μm厚さのテフロン(登録商標)膜とを、電極と電解質膜との界面に重ねて使用した。そして、MEAに加えられる圧力は、トルクレンチを使用して調節し、1,2,3N−mトルクレンチまで段階的に増加しつつ組立てた。
【0204】
温度150℃、電解質膜に対して加湿しない条件で、アノードに水素(流速:100ccm)、カソードに空気(250ccm)を流通させて発電させ、電池特性を測定した。この時、燐酸をドーピングした電解質を使用するので、経時的に燃料電池の性能が向上するので、作動電圧が最高点に到達するまでエージングした後、最終評価する。そして前記カソードとアノードとの面積は、2.8×2.8=7.84cm2に固定し、カソードとアノードとの厚さはそれぞれ約430μm、約390μmであった。
【0205】
実施例2:燃料電池用電極及びそれを利用した燃料電池の製造
カソード製造時、化学式6の化合物HPEの代わりに化学式7の化合物HPEFを使用し、ポリフッ化ビニリデンの代わりにポリウレタンを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、カソード及びそれを利用した燃料電池を製造した。
【0206】
実施例3:燃料電池用電極、電解質膜及びそれを利用した燃料電池の製造
攪拌容器に、カーボンに50重量%PtCoが担持された触媒1g及び溶媒NMP 3gを付加し、これを、乳鉢を利用して攪拌してスラリーを作った。前記スラリーに、前記合成例2によって得た化学式7の化合物HPEFのNMP溶液を付加して、HPEF0.025gになるように添加してさらに攪拌した。
【0207】
次いで、前記混合物に5重量%のポリフッ化ビニリデンのNMP溶液を付加して、ポリフッ化ビニリデンが0.025gになるように添加し、10分間混合してカソード触媒層形成用スラリーを製造した。
【0208】
カーボンペーパーを4×7cm2に切断し、ガラス板上に固定させてドクターブレード(Sheen instrument社製)でコーティングし、この時にギャップ間隔は600μmに調節した。
【0209】
前記カーボンペーパー上部に前記カソード触媒層形成用スラリーをコーティングし、これを常温で1時間乾燥し、80℃で1時間乾燥し、120℃で30分乾燥し、150℃で15分間乾燥してカソード(燃料電極)を製造した。前記カソードに含まれていたPtCoのうち、Ptの担持量は約1.7mg/cm2であった。アノードとしては、下記過程によって得た電極を利用した。
【0210】
攪拌容器に、カーボンに50重量%Ptが担持された触媒2g及び溶媒NMP9gを付加し、これを高速攪拌器を利用して2分間攪拌した。
【0211】
次いで、前記混合物に、ポリフッ化ビニリデン0.05gをNMP1gに溶解した溶液を付加し、2分間さらに攪拌してアノード触媒層形成用スラリーを製作する。これを、微細多孔層がコーティングされたカーボンペーパー上に、バーコーターでコーティングして製作した。
【0212】
これと別途に、下記化学式で表示されるベンゾオキサジン系モノマー4FPh−2AP 60重量部とm−PBI37重量部と化学式7の化合物HPEF3重量部をブレンドした後、これを約220℃範囲で硬化反応を実施した。
【0213】
【化42】
【0214】
次いで、これに、85重量%燐酸を80℃で4時間以上含浸して電解質膜を形成した。ここで燐酸の含有量は、電解質膜総重量100重量部に対し約480重量部であった。
【0215】
前記カソードとアノードとの間に前記電解質膜を介して、MEAを製作した。ここで、前記カソードとアノードとは燐酸含浸なしに使用した。
【0216】
前記カソードとアノードとの間のガス透過を防止するために、主ガスケット用として200μm厚さのテフロン(登録商標)膜と、サブガスガスケット用として20μm厚さのテフロン(登録商標)膜を電極と電解質膜界面に重なり使用した。そしてMEAに加えられる圧力はトルクレンチを使用して調節したし、1,2,3N−mトルクまでステップ的に増加しながら組立てた。
【0217】
温度150℃、電解質膜に対して加湿しない条件で、アノードに水素(流速:100ccm)、カソードに空気(250ccm)を流通させて発電させ、電池特性を測定した。この時、燐酸をドーピングした電解質を使用するため、経時的に燃料電池の性能が向上するので、作動電圧が最高点に到達するまでエージングした後、最終評価する。そして、前記カソードとアノードとの面積は、2.8×2.8=7.84cm2に固定し、カソードとアノードとの厚さはカーボンペーパーの散布のために変化があるが、カソードの電極の厚さは、それぞれ約430μm、約390μmであった。
【0218】
実施例4:燃料電池用電極及びそれを利用した燃料電池の製造
カソード製造時、化学式6の化合物HPEの代わりに化学式7の化合物HPEFを使用し、カソードでのPtの担持量が約1.16mg/cm2になるように、カソード製造時にPtCoの含有量が変わったことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、カソード及び燃料電池を製造した。
【0219】
実施例5:燃料電池用電極及びそれを利用した燃料電池の製造
カソードでのPtの担持量I約1.35mg/cm2になるようにカソード製造時PtCoの含有量が変化されたことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施してカソード及び燃料電池を製造した。
【0220】
比較例1:燃料電池用電極及びそれを利用した燃料電池の製造
カソード製造時、合成例1によって得た化学式6の化合物HPEを付加しないことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、カソード及びそれを利用した燃料電池を製造した。
【0221】
前記実施例1及び比較例1によって、燃料電池における電流密度によるセル電圧変化を調べて図3に示した。
【0222】
図3を参照すれば、実施例1は、比較例1の場合に比べてセル電圧特性が改善されるということが分かった。
【0223】
また前記実施例1及び2と比較例1によって製造された燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を調べ、その評価結果を図4に示した。
【0224】
図4によれば、実施例1及び2の燃料電池は、比較例1の場合に比べてセル電圧特性が向上し、カソード結合剤としてポリウレタンを使用した実施例2による燃料電池が、カソード結合剤としてポリフッ化ビニリデンを使用した実施例1の場合に比べてセル電圧特性に優れることが分かった。
【0225】
前記実施例1、2、4、5及び比較例1による燃料電池において、カソード白金ローディング量によるセル電圧特性を比較し、その結果は図5に現れた通りである。
【0226】
図5を参照して、実施例1及び2の燃料電池は、比較例1の場合に比べてセル電圧特性が改善された。そして、実施例4及び実施例5の電池は、比較例1の場合に比べて、小さな白金含有量を使用してもセル性能が同等または優秀な結果を示した。
【0227】
前記実施例3及び比較例1による燃料電池において、電流密度によるセル電圧特性と、経時的なセル電圧特性とを調べて図6及び図7に示した。
【0228】
図6及び図7を参照して、実施例3のセル電圧特性が比較例1の場合と比較して向上することが分かった。
【0229】
前記実施例3による燃料電池において、酸素溶解度特性を調べた。
【0230】
前記酸素溶解度特性は、下記方法によって評価する。
【0231】
燐酸と、HPEFを燐酸に溶解して得た0.1重量%のHPEF含有燐酸溶液とにそれぞれアルゴンまたは酸素をパージし、これらの酸素還元反応を0Vないし1.2V範囲でスキャンして、0.2Vと0.4Vとの間に測定される電流値を比較して評価する。この時、電流値は絶対値数値を比較して、絶対値数値の大きいものが酸素溶解度特性に優れたものと評価する。前記燐酸としては、約85重量%の燐酸溶液を使用する。
【0232】
前記酸素溶解度特性評価結果を、図8A及び図8Bに示した。
【0233】
図8Aは、燐酸と、0.1重量%のHPEF含有燐酸溶液とにそれぞれアルゴンをパージし、これらの酸素還元反応を実施した結果であり、図8Bは、燐酸と、0.1重量%のHPEF含有燐酸溶液とにそれぞれ酸素をパージし、これらの酸素還元反応を実施した結果である。
【0234】
図8Aを参照すると、燐酸溶液及び0.1重量%のHPEFの燐酸溶液いずれも酸素還元反応が測定されていない。
【0235】
図8Bを参照すると、燐酸溶液及び0.1重量%のHPEF含有燐酸溶液に酸素をパージした場合には、0.2〜0.4V範囲で酸素還元反応が起こることが観測でき、0.1重量%のHPEF含有燐酸溶液を使用した場合が、燐酸を使用した場合に比べて酸素還元反応の電流が高くなることが分かった。このように、燐酸にHPEFを添加すれば、燐酸の酸素溶解度が高くなることが分かる。
【0236】
図面に図示された一実施形態を参考までに説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0237】
本発明は、燃料電池関連の技術分野に好適に用いられる。
【技術分野】
【0001】
ハイパーブランチポリマー、これを含む燃料電池用電極と電解質膜及びそれを採用した燃料電池が提示される。
【背景技術】
【0002】
電解質として高分子電解質膜を使用した燃料電池は、動作温度が比較的低温であると同時に小型化できるため、電気自動車や家庭用分散発電システムの電源として期待されている。高分子電解質膜燃料電池に使われる高分子電解質膜としては、ナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカルボンスルホン酸系ポリマー膜が使われている。このタイプの高分子電解質膜がプロトン伝導を発現するためには、水分が必要なため、加湿が必要である。また、電池システム効率を高めるために100℃以上の温度での高温運転が求められるが、この温度では電解質膜内の水分が蒸発して枯渇し、固体電解質としての機能が失われるという問題がある。
【0003】
これらの従来の技術に起因する問題を解決するために、無加湿でありつつも100℃以上の高温で作動できる無加湿電解質膜が開発されている。前記無加湿電解質膜の構成材料として、燐酸がドーピングされたポリベンズイミダゾールなどの材料が開示されている。
【0004】
また、パーフルオロカルボンスルホン酸系ポリマー膜を利用した低温作動電池では、電極、特にカソードでの発電によって生成された水(生成水)による電極内でのガス拡散不良を防止するために、撥水材であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混合して疎水性を付与した電極が利用されている。
【0005】
また、高温(150〜200℃)で作動させる燐酸型燃料電池では、電解質として液体である燐酸を使用するが、この液状の燐酸が電極内に多量に存在してガス拡散を阻害する。したがって、電極触媒に撥水材であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混合し、電極内の細孔が燐酸によって閉塞されることを防止できる電極触媒層が使われている。
【0006】
また、高温無加湿電解質である燐酸を保持するポリベンズイミダゾール(PBI)を電解質膜に使用した燃料電池では、電極と電解質膜との界面接触を良好にするために、液状の燐酸を電極に含浸させることが試みられ、金属触媒のローディング含有量を高める試みが行われたが、十分の特性を引出すとはいえない状況であるので、改善の余地が多い。
【0007】
また燐酸がドーピングされた固体高分子電解質を利用する場合には、カソードに空気を供給する場合、最適化された電極組成を使用するとしても、1週間の活性化時間が求められる。これは、カソードの空気を酸素で替えることによって、性能向上はもとより活性化時間を短縮することはできるが、商用化を考慮すれば、望ましくない。そして、前記PBIを利用したホモポリマー電解質膜は、高温での機械的特性及び化学的安定性、燐酸保液能が十分ではなく改善の余地が多い。かかる先行技術文献には特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,525,436号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、耐熱性に優れたハイパーブランチポリマー、これを含む燃料電池用電極と電解質膜及びそれを利用してセル電圧性能が改善された燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
分枝化度が0.05以上1以下のハイパーブランチポリマーであって、前記ハイパーブランチポリマーが下記化学式1の樹状ユニット、下記化学式2の線形ユニット及び下記化学式3のターミナルユニットを含むハイパーブランチポリマーが提供される。
【0011】
【化1】
【0012】
前記式中、xは0または1であり、Rはフッ素、C1−C20フッ素化されたアルキル基、C6−C20フッ素化されたアリール基、C2−C20フッ素化されたヘテロアリール基、C6−C20フッ素化されたシクロアルキル基、またはC2−C20フッ素化されたヘテロ環基である。
【0013】
前述したハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとの架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーの架橋体を提供する。
【0014】
また前述したハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーの架橋体を提供する。
【0015】
前述したハイパーブランチポリマー、または前述したハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電極が提供される。
【0016】
前述したハイパーブランチポリマー、または前述したハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電解質膜が提供される。カソード;アノード;及びそれらの間に介された電解質膜を備え、前記カソード、アノード及び電解質膜から選択された一つ以上は、前述したハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池が提供される。
【0017】
前述したハイパーブランチポリマー;及びベンゾオキサジン系モノマーを含むハイパーブランチポリマーの混合物が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、耐熱性及び耐燐酸性に優れたハイパーブランチポリマー、これを利用したハイパーブランチポリマーの架橋体が提供される。前記ハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電極及び電解質膜を採用すればセル性能が改善された燃料電池を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】合成例1による化学式6のHPEの13C−NMRスペクトルである。
【図1B】合成例2による化学式7のHPEFの13C−NMRスペクトルである。
【図1C】合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの19F−NMRスペクトルである。
【図1D】前記合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの1H−NMRスペクトルである。
【図2】合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの熱的特性を示すグラフである。
【図3】実施例1及び比較例1による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を示すグラフである。
【図4】実施例1及び2と比較例1による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を示すグラフである。
【図5】実施例1及び2と比較例1による燃料電池において、カソード白金ローディング量によるセル電圧変化を示すグラフである。
【図6】実施例3及び比較例1による燃料電池において、電流密度によるセル電圧特性を示すグラフである。
【図7】実施例3及び比較例1による燃料電池において、経時的なセル電圧特性を示すグラフである。
【図8A】実施例3による燃料電池において、酸素溶解度評価結果を示すグラフである。
【図8B】実施例3による燃料電池において、酸素溶解度評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
分枝化度が0.05以上1以下のハイパーブランチポリマーであって、前記ハイパーブランチポリマーが下記化学式1の樹状ユニット、下記化学式2の線形ユニット及び下記化学式3のターミナルユニットを含むハイパーブランチポリマーが提供される。
【0021】
【化2】
【0022】
前記式中、xは0または1であり、Rはフッ素、C1−C20フッ素化されたアルキル基、C6−C20フッ素化されたアリール基、C2−C20フッ素化されたヘテロアリール基、C6−C20フッ素化されたシクロアルキル基、またはC2−C20フッ素化されたヘテロ環基である。
【0023】
前記分枝化度は、樹状ユニット、線形ユニット及びターミナルユニットの総数に対する樹状ユニットとターミナルユニットとの総数の比を表す。例えば、もし、分枝化度が0ならば、線形高分子であり、分枝化度が1ならば、線形ユニットとターミナルユニットとは存在しない。
【0024】
前記分枝化度は、核磁気共鳴スペクトルで樹状ユニット、線形ユニット、ターミナルユニットにそれぞれ関連したピークの積分値比から計算できる。
【0025】
前記ハイパーブランチポリマーは、AB2形態の単量体から合成され、前述したように、3種の形態の反復単位、すなわち、樹状ユニット、線形ユニット及びターミナルユニットを持つ。
【0026】
前記ハイパーブランチポリマーは、数平均分子量が8,000ないし15,000である。
【0027】
前記Rは、フッ素、トリフルオロメチル基、3,5−ジフルオロフェニル基または下記構造式で表示されるグループのうち一つであり、
【化3】
前記分枝化度は0.05ないし0.9である。
【0028】
前記樹状ユニット、線形ユニット及びターミナルユニットと結合されるコアユニットは、下記化学式4で表示される。
【0029】
【化4】
【0030】
前記式中、Yは−SO2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−N=N−または−O−であり、mは0ないし3の数であり、nは0ないし1の数である。
【0031】
前記化学式4のコアユニットは、下記化学式で表示されるユニットでありうる。
【0032】
【化5】
【0033】
前記ハイパーブランチポリマーは、下記化学式5で表示される化合物でありうる。
【0034】
【化6】
【0035】
前記式中、Rは、フッ素、トリフルオロメチル基、3,5−ジフルオロフェニル基または下記構造式で表示されるグループのうち選択された一つである。
【0036】
【化7】
【0037】
前記化学式5の化合物としては、下記化学式6または化学式7で表示される化合物を挙げることができる。
【0038】
下記化学式7の化合物は、下記化学式から分かるように、化学式6の化合物に比べてフッ素またはフッ素官能基導入量が増加する。
【0039】
【化8】
【0040】
前記化学式6の化合物は、分枝化度が0.05ないし0.9であり、例えば0.63ないし0.9であり、数平均分子量は8,000ないし12,000である。
【0041】
【化9】
【0042】
前記式中、R’はペンタフルオロフェニル基であり、分枝化度は0.05ないし0.9であり、特に0.63ないし0.9であり、数平均分子量は12,000ないし15,000範囲である。
【0043】
以下、前記ハイパーブランチポリマーの製造方法を説明する。一具現例として、前述した化学式6及び7で表示される化合物の製造方法を挙げて説明する。
【0044】
まず、化学式6の化合物は、AB2形態のフッ素化されたポリエーテルであって、3,5−ジフルオロフェノールに溶媒を付加し、これを塩基と反応するエーテル化反応過程を経て合成できる。
【0045】
前記溶媒としては、トルエン、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)などを使用でき、その含有量は、3,5−ジフルオロフェノール100重量部を基準として500ないし3000重量部である。溶媒の含有量が前記範囲である時、エーテル化反応の反応性が優秀である。
【0046】
前記塩基としては、炭酸カルシウム(K2CO3)、水酸化カルシウム(KOH)などを利用し、塩基の含有量は、3,5−ジフルオロフェノール1モルを基準として1.5ないし2モルを使用する。
【0047】
前記反応温度は、175ないし205℃範囲である。反応温度が前記範囲である時、化学式6の化合物の収率が優秀である。
【0048】
前記過程によって製造された化学式6のハイパーブランチポリマーは、分枝化度が0.63ないし0.9であり、数平均分子量が8,000ないし12,000である。
【0049】
化学式7の化合物は、出発物質として前記過程によって得た化学式6の化合物を利用し、パラジウム触媒とペンタフルオロフェニルボロン酸を使用する鈴木カップリング反応によって、単一容器内反応を経て得ることができる。
【0050】
化学式6の化合物に溶媒を付加し、これにPd(PPh3)4(Phは、フェニルを表す)、塩基、ペンタフルオロフェニルボロン酸を付加し、反応を65ないし80℃で実施する。
【0051】
前記塩基としては、炭酸カルシウム(K2CO3)、水酸化カルシウム(KOH)などを利用し、塩基の含有量は、化学式6の化合物1モルを基準として0.65ないし0.8モルを使用する。
【0052】
前記過程によって製造された化学式7のハイパーブランチポリマーは、分枝化度が0.63ないし0.9であり、数平均分子量が12,000ないし15,000である。
【0053】
前記化学式6及び7のハイパーブランチポリマーの分枝化度及び数平均分子量は、反応溶媒の種類、反応時間及び反応温度によって可変的である。
【0054】
前記ハイパーブランチポリマーは、単一巨大分子であって、合成が容易であり、かつ量産ができる。そして、フッ素またはフッ素官能基を含有して、酸素親和力の増大で酸素透過度が改善されつつ耐熱性、耐久性、燐酸保有力が向上する。
【0055】
また、前記ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとの架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーの架橋体が提供される。
【0056】
また、前記ハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーの架橋体が提供される。
【0057】
前記架橋性化合物としては、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド系から選択された一つ以上を挙げることができる。
【0058】
前記ポリベンズイミダゾールの例として、下記化学式を持つ化合物を使用できる。
【0059】
【化10】
【0060】
前記式中、nは、10以上の整数、例えば、100以上の整数であり、前記高分子の数平均分子量は100万以下である。
【0061】
そして、前記架橋性化合物の含有量は、ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として5ないし95重量部である。
【0062】
前記ハイパーブランチポリマーの含有量は、ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として0.1ないし10重量部である。
【0063】
前記架橋性化合物の含有量及びハイパーブランチポリマーの含有量が前記範囲である時、最終的に得たハイパーブランチポリマーの架橋体の燐酸の含浸能が優秀である。
【0064】
前記ハイパーブランチポリマーの架橋体は、ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系との混合物、またはハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の混合物を50ないし250℃の範囲、例えば、80〜220℃で熱処理する過程を経て製造できる。
【0065】
出発物質として、ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとの混合物を使用する場合、前述した熱処理過程を経れば、ベンゾオキサジン系モノマーの重合反応が起きてベンゾオキサジン系モノマーの重合体が形成され、前記ベンゾオキサジン系モノマーの重合体及び/またはベンゾオキサジン系モノマーとハイパーブランチポリマーとの架橋反応生成物が形成される。
【0066】
出発物質として、ハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の混合物を使用する場合、前述した熱処理過程を経れば、ベンゾオキサジン系モノマーの重合反応が起きてベンゾオキサジン系モノマーの重合体が形成され、前記ベンゾオキサジン系モノマーの重合体及び/またはベンゾオキサジン系モノマーが、架橋性化合物及びハイパーブランチポリマーと架橋反応を進めて、これらの架橋反応生成物が形成される。この過程中に、ベンゾオキサジン系モノマー、ハイパーブランチポリマー及び架橋性化合物のグラフト重合反応生成物が形成される。
【0067】
前記熱処理過程は必要に応じて経なくてもよい。例えば、前記ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系との混合物、またはハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の混合物を利用して電極及び/または電解質膜を製造する場合、電池動作中に前記ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系との混合物、またはハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物の混合物の架橋反応が進むこともある。
【0068】
前記ベンゾオキサジン系モノマーは特別に制限されず、例えば、下記化学式8ないし13で表示される化合物のうち、選択された一つ以上を使用できる。
【0069】
【化11】
【0070】
前記化学式中、R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立して水素、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキル基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキルオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはシアノ基であり、R5は、ハロゲン化されたC1−C20アルキル基、ハロゲン化されたC1−C20アルコキシ基、ハロゲン化されたC2−C20アルケニル基、ハロゲン化されたC2−C20アルキニル基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC7−C20アリールアルキル基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリールアルキル基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環アルキル基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC2−C20ヘテロ環アルキル基である。
【0071】
【化12】
【0072】
前記式中、R5’は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、R6は、置換または非置換のC1−C20アルキレン基、置換または非置換のC2−C20アルケニレン基、置換または非置換のC2−C20アルキニレン基、置換または非置換のC6−C20アリーレン基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリーレン基、−C(=O)−、−SO2−からなる群から選択される。
【0073】
【化13】
【0074】
前記式中、A、B、C、D、Eはいずれも炭素であるか、またはA、B、C、D、Eのうち選択された一つまたは二つは窒素(N)であり、その残りは炭素(C)であり、R1及びR2は、互いに連結されて環を形成し、前記環は、C6−C10シクロアルキル基、C3−C10ヘテロアリール基、融合されたC3−C10ヘテロアリール基、C3−C10ヘテロ環基または融合されたC3−C10ヘテロ環基である。
【0075】
【化14】
【0076】
前記式中、Aは、置換または非置換のC1−C20ヘテロ環基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキル基、または置換または非置換のC1−C20アルキル基であり、R2及びR3は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20シクロアルキル基、C1−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、またはヒドロキシ基である。
【0077】
【化15】
【0078】
前記式中、R1及びR2は、互いに独立してC1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基または下記構造式で表示されるグループであり、
【化16】
前記式中、R3は水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20シクロアルキル基、ハロゲン化されたC4−C20シクロアルキル基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である。
【0079】
【化17】
【0080】
前記式中、R2とR3、またはR3とR4とは、互いに連結されて下記化学式2Aで表示されるグループであり、R5とR6、またはR6とR7とは、互いに連結されて下記化学式2Aで表示されるグループであり、
【化18】
R1は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
*は、化学式1のR2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7とをそれぞれ連結される位置を表示する。
【0081】
前記R1は、下記構造式で表示されるグループのうち選択された一つである。
【0082】
【化19】
【0083】
前記化学式8で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物を挙げることができる。
【0084】
【化20a】
【化20b】
【化20c】
【化20d】
【0085】
前記化学式9で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物を挙げることができる。
【0086】
【化21】
【0087】
前記式中、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示されるグループである。
【0088】
【化22】
【0089】
例えば、下記化学式で表示される化合物から選択できる。
【0090】
【化23】
【0091】
前記化学式10で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物がある。
【0092】
【化24】
前記式中、Rは、水素またはC1−C10アルキル基であり、
【化25】
【0093】
前記化学式で下記化学式Aが、下記構造式で表示されるグループのうち一つである。
【化26】
【化27】
【0094】
前記化学式10で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例は、下記化学式で表示される化合物から選択される。
【0095】
【化28a】
【化28b】
【0096】
前記化学式11で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物がある。
【0097】
前記化学式11のAは、下記化学式で表示されるグループのうち一つでありうる。
【0098】
【化29】
【0099】
前記式中、R1は、水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20シクロアルキル基、ハロゲン化されたC4−C20シクロアルキル基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である。
【0100】
前記燐含有ベンゾオキサジン系モノマーは、下記化学式で表示される化合物でありうる。
【0101】
【化30】
【0102】
前記式中、R1は、下記構造式で表示されるグループのうち選択された一つである。
【0103】
【化31】
【0104】
前記化学式11の化合物は、下記化学式で表示される化合物のうち選択された一つでありうる。
【0105】
【化32】
【0106】
前記化学式12で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物がある。
【0107】
【化33】
【0108】
前記式中、R2は、C1−C10アルキル基、C1−C10アルコキシ基、C6−C10アリール基、またはC6−C10アリールオキシ基であり、
【化34】
前記式中、R4及びR5は、互いに独立してC6−C10アリール基であり、前記化学式中、R3は、下記構造式で表示されるグループのうち選択される。
【0109】
【化35】
【0110】
前記化学式12の化合物は、下記化学式で表示される化合物のうち選択された一つでありうる。
【0111】
【化36】
【0112】
前記化学式中、R3は、下記構造式で表示されるグループのうち選択される。
【0113】
【化37】
【0114】
前記化学式13で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物を挙げることができる。
【0115】
【化38】
【0116】
前記式中、R1は、下記構造式で表示されるグループのうち一つである。
【0117】
【化39a】
【化39b】
【0118】
前記化学式1の樹状ユニット、前記化学式2の線形ユニット及び前記化学式3のターミナルユニットを備えるハイパーブランチポリマー、または前記ハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電極が提供される。
【0119】
前記電極は、前記ハイパーブランチポリマーとハイパーブランチポリマーとの架橋体のうち選択された一つと、触媒を含む触媒層を備える。ここで、前記ハイパーブランチポリマーを構成するコアユニットは、化学式4で表示できる。
【0120】
前記ハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体は、電極の結合剤の役割を行うことができて、通常の結合剤なしでも電極構成が可能である。また、ハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体の付加で、従来の場合に比べて減少した触媒のローディング含有量を使用しつつも電極性能が向上する。
【0121】
前記電極は、電極内酸素透過度を向上させて最高性能を発現するまでの活性化時間を短縮させ、ドーピングされた燐酸に電極がさらに容易に染み込むように手助けする耐熱性及び耐燐酸性を同時に持つ。
【0122】
前述した電極を採用した燃料電池は、高温無加湿条件下で動作可能であり、熱的安定性が補強されるだけではなく、改善された発電性能を発現させることができる。
【0123】
電極内で、前記ハイパーブランチポリマーまたは前記ハイパーブランチポリマーの架橋体の含有量は、触媒1重量部に対して0.001ないし0.65重量部、例えば、0.01ないし0.05重量部である。
【0124】
もし、ハイパーブランチポリマーまたは前記ハイパーブランチポリマーの架橋体の含有量が前記範囲である時、電極の濡れ状態を改善しつつ酸素透過度の改善効果が優秀である。
【0125】
前記触媒としては、白金(Pt)単独、または金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された一種以上の金属と白金の合金、あるいは白金と金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された一種以上の混合物を使用するか、または、前記触媒金属がカーボン系担体に担持された担持触媒でありうる。例えば、白金(Pt)、白金コバルト(PtCo)及び白金ルテニウム(PtRu)からなる群から選択された一つ以上の触媒金属であるか、または前記触媒金属がカーボン系担体に担持された担持触媒を使用する。
【0126】
前記電極は、燃料電池電極の製造時に通例的に使用可能な結合剤をさらに含むことができる。
【0127】
前記結合剤としては、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリウレタンからなる群から選択された一つ以上を使用する。
【0128】
前記結合剤の含有量は、触媒1重量部を基準として0.001ないし0.5重量部である。結合剤が前記含有量範囲で使われれば、電極の濡れ状態を改善できる。
【0129】
前記燃料電池用電極を製造する方法を説明すれば、次の通りである。
【0130】
まず溶媒に触媒を分散して分散液を得る。この時、溶媒としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などを使用し、その含有量は、触媒1重量部を基準として1ないし10重量部である。
【0131】
前記分散液に前記ハイパーブランチポリマー、例えば、化学式6または7のハイパーブランチポリマーを含む混合物を付加及び混合して攪拌する。
【0132】
ハイパーブランチポリマーの架橋体を含む電極を形成する場合には、前記ハイパーブランチポリマーを含む混合物にはベンゾオキサジン系モノマーのみをさらに付加するか、またはベンゾオキサジン系モノマーと架橋性化合物をさらに付加する。
【0133】
前記溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などを使用する。
【0134】
前記混合物をカーボン支持体の表面にコーティングして電極を完成する。
【0135】
前記カーボン支持体は、ガラス基板上に固定させることが、コーティング作業するのに容易である。そして、前記コーティング方法としては特別に制限されないが、ドクターブレードを利用したコーティング、バーコーティング、スクリーンプリンティングなどの方法を利用できる。
【0136】
前記混合物をコーティング後、乾燥する過程を経るが、溶媒を除去する過程であって、20ないし150℃の温度範囲で施す。そして、乾燥時間は乾燥温度によって変わり、10ないし60分範囲内で施す。
【0137】
ハイパーブランチポリマーの架橋体を含む電極を形成する場合には、前記混合物をコーティング後に乾燥する過程を経た後、50ないし250℃で熱処理する過程をさらに経る。
【0138】
また前記電極は、触媒層が燐酸及びC1−C20有機ホスホン酸から選択された一つ以上のプロトン伝導体をさらに含むことができる。ここで、プロトン伝導体の含有量は、電極の総重量100重量部対比10ないし1000重量部で使われる。前記酸の濃度は特別に制限されないが、燐酸を使用する場合、85重量%の燐酸水溶液を使用し、燐酸含浸時間は80℃で2.5時間ないし14時間の範囲である。
【0139】
前記C1−C20有機ホスホン酸の例として、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸などがある。
【0140】
前述したハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体を含有する燃料電池用電解質膜が提供される。
【0141】
前記電解質膜は、ポリベンズイミダゾール単独からなる電解質膜を使用した場合の問題点である、高温での機械的、化学的安定性欠如に起因するピンホール現象を低減させることができる。これと合わせて、電極での酸素透過度が増加し、電極内の溶存酸素量が増加して活性化時間が短縮される。
【0142】
以下、前記電解質膜及びその製造方法を説明する。
【0143】
まず、ハイパーブランチポリマーを含む電解質膜は、ポリベンズイミダゾールの代わりにハイパーブランチポリマーのみを利用したことを除いては、通常のポリベンズイミダゾールを利用した電解質膜の製造工程と同一に実施して製造できる。
【0144】
ハイパーブランチポリマーの架橋体を含む電解質膜の製造方法は、次の通りである。
【0145】
前記電解質膜は、前述したハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとをブレンドするか、または前述したハイパーブランチポリマー、ベンゾオキサジン系モノマー及び架橋性化合物をブレンドした後、これを50〜250℃、例えば、80〜220℃で硬化反応を実施する。次いで、これに酸のようなプロトン伝導体を含浸して電解質膜を形成できる。
【0146】
前記架橋性化合物の種類及び含有量と、ハイパーブランチポリマーの含有量とは前述した通りである。
【0147】
前記電解質膜を形成する方法としては、テープキャスティング法を利用してもよく、通常のコーティング法を利用してもよい。前記コーティング法の例としては、支持体上にドクターブレードを利用して前記混合物をキャスティングする方法を挙げることができる。ここで、ドクターブレードとしては250〜500μmギャップを持つものを使用する。
【0148】
もし、前記膜を形成する過程でドクターブレードを利用したキャスティング法を利用する場合には、硬化後、酸を含浸するステップ以前に、支持体から電解質膜を分離して支持体を除去するステップがさらに行われる。このように支持体を除去しようとする場合には、60ないし80℃の蒸溜水に浸漬する過程を経る。
【0149】
前記支持体としては、電解質膜を支持する役割を行えるものならばいずれも使用可能であり、支持体の例として、ガラス基板、ポリイミドフィルムなどを使用する。テープキャスティング法を利用する場合には、テープキャスティングされた膜を硬化する前にポリエチレンテレフタレートのような支持体から分離した後、硬化のためのオーブンに入れるので支持体が不要であるため、支持体を除去するステップが不要である。
【0150】
また、ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとの混合物、またはハイパーブランチポリマーと、ベンゾオキサジン系モノマーと架橋性化合物とからなる混合物を利用して、膜をテープキャスティング法によって形成する場合、混合物をろ過するステップをさらに経ることができる。
【0151】
このように形成された膜を熱処理して硬化反応を実施した後、これを酸のようなプロトン伝導体に含浸して電解質膜を形成する。
【0152】
以下、燃料電池用電極−膜アセンブリーを製造する過程を説明すれば、次の通りである。用語“電極−膜アセンブリー(MEA:Membrane and Electrode Assembly)”とは、電解質膜を中心にその両面に、触媒層と拡散層とで構成された電極が積層されている構造を教える。
【0153】
前記MEAは、前述した電極触媒層を備えている電極を、前記過程によって得た電解質膜の両面に位置させた後、高温と高圧で接合して形成し、これに燃料拡散層を接合して形成できる。
【0154】
前記電解質膜としては、燃料電池で通例的に使われる電解質膜、例えば、ポリベンズイミダゾール電解質膜、ポリベンゾオキサジン−ポリベンズイミダゾール共重合体電解質膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜などを使用できる。または前記ハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体を含む電解質膜を使用できる。
【0155】
電解質膜として、前述したハイパーブランチポリマーまたはハイパーブランチポリマーの架橋体を含む電解質膜を使用する場合には、三相界面が同じ物質からなっている場合、相溶性(compatibility)の改善で接触抵抗が減少することによって、燃料電池のセル性能が極大化できる。
【0156】
前記接合のための加熱温度及び圧力は、電解質膜が軟化する温度まで加熱した状態で0.1ないし3ton/cm2、特に約1ton/cm2の圧力で加圧して行う。
【0157】
次いで、前記電極−膜アセンブリーにそれぞれバイポーラプレートを装着して燃料電池を完成する。ここでバイポーラプレートは燃料供給用溝を持っており、集電体機能を持っている。
【0158】
燃料電池は特別にその用途が限定されるものではないが、一具現例によれば、高分子電解質膜燃料電池として使われる。
【0159】
化学式で使われる置換基の定義について説明すれば、次の通りである。
【0160】
化学式で使われるアリール基は、単独または組み合わせて使われて、一つ以上の環を含む炭素原子数6ないし20個の炭素環芳香族系を意味し、前記環は、ペンダント方法で共に付着されるか、または融合される。アリールという用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルのような芳香族ラジカルを含む。前記アリール基は、ハロアルキレン、ニトロ、シアノ、アルコキシ及び低級アルキルアミノのような置換基を持つことができる。また前記アリール基のうち、一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換できる。
【0161】
化学式で使われるヘテロアリール基は、N、O、P及びSのうち選択された少なくとも一つ以上のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである炭素数1ないし20の1価単環または二環芳香族2価有機化合物を意味する。前記ヘテロ原子のうち一つ以上の水素原子は、前述したアリール基の場合と同じ置換基で置換できる。
【0162】
化学式で使われるアルキル基の具体的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシルなどを挙げることができて、前記アルキルのうち一つ以上の水素原子は、前述したアリール基の場合と同じ置換基で置換できる。
【0163】
化学式で使われるヘテロ環基は、窒素、硫黄、燐、酸素などのヘテロ原子を含有している5ないし10原子からなる環基を称し、これらのヘテロ環基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアリール基の場合と同様に置換できる。
【0164】
化学式で、シクロアルキル基は炭素数6ないし20の炭素環を表し、これらのシクロアルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアリール基の場合と同様に置換できる。
【0165】
前述したハイパーブランチポリマー;及びベンゾオキサジン系モノマーを含むハイパーブランチポリマーの混合物が提供される。
【0166】
このようなハイパーブランチポリマーの混合物はハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーのブレンドよりなる。
【0167】
また、このようなハイパーブランチポリマーの混合物は、ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとの架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーと同様に、燃料電池用電極及び電解質膜を形成する時用いられる。
【0168】
以下、下記実施形態を挙げて詳細に説明するが、下記実施形態のみで限定されるものではない。
【0169】
【化40】
【0170】
前記反応式1は、下記合成例1によって製造されたHPE及び、下記合成例2によって製造されたHPEFの合成経路を示した反応式である。
【0171】
合成例1:化学式6の化合物(HPE)の製造
3,5−ジフルオロフェノール5gをジメチルアセトアミド130mlに溶解し、これにK2CO3 8g及びトルエン65mlを付加した。
【0172】
前記反応混合物を175℃で攪拌して反応させ、ディーン・スタークトラップを使用してトルエンを除去した。
【0173】
前記反応混合物にトルエン65mlをさらに付加し、175℃で攪拌した後、ディーン・スタークトラップを使用してトルエンを除去した。
【0174】
前記反応混合物の温度を205℃に高めて48時間攪拌した。
【0175】
次いで、前記反応混合物の温度を常温に冷やした後、反応結果物から水を利用して沈殿物を形成した。得られた沈殿物をろ過及び真空オーブンで乾燥して、化学式6のHPE(Hyper−branched Polymer having a phenoxide unit at its building block)を収得した。
【0176】
前記目的物を、核磁気共鳴分析法(NMR)を利用して構造及び分枝化度を確認し、その結果は図1Aに示した通りである。13C−NMR分析時に使われたNMR機器は、ブルカー社のAvance 500製品であり、500MHZを使用した。
【0177】
前記HPEの分枝化度は約0.63であった。図1AでD、L、Tは、前記樹状ユニット関連ピークD、線形ユニット関連ピークL、ターミナルユニット関連ピークTをそれぞれ示したものである。前記分枝化度は、図1Aに示した樹状ユニット関連ピークD、線形ユニット関連ピークL及びターミナル関連ユニットTのピークの総積分に対する樹状ユニットピークとターミナルユニット関連ピークとの総積分値の比を計算して定めたものである。
【0178】
合成例2:化学式7の化合物(HPEF)の製造
前記合成例1によって合成された化学式6で表示される化合物HPE 1g、ペンタフルオロボロン酸2gをTHF 30mlに溶解し、これに2M K2CO3水溶液10mlを付加して混合した。
【0179】
前記混合物にPd(PPh3)4(Phは、フェニルを表す)0.38gを付加し、その結果物を24時間還流した。
【0180】
反応が完結した後、反応結果物を常温に冷やした後、ヘキサンを利用して沈殿物を形成した。得られた沈殿物をメタノール、水、メタノールの順でウォッシング処理した後、これをオーブンで乾燥してHPEF(Hyper−branched Polymer having a phenoxide unit at its building block and a pentafluorophenyl group at its main terminal)を収得した。
【0181】
核磁気共鳴分析法(NMR)を利用して構造及び分枝化度を確認し、その結果は図1Bに示した通りである。13C−NMR分析時に使われたNMR機器は、バリアン社のUnity NOVA600製品であり、600MHZを使用した。
【0182】
前記化学式7の化合物HPEFの分枝化度は、約0.63であった。図1BでD、L、Tは、前記樹状ユニット関連ピークD、線形ユニット関連ピークL、ターミナルユニット関連ピークTをそれぞれ示したものであり、分枝化度は、図1Aに対する場合と同一に計算されたものである。
【0183】
前記合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの19F−NMRを実施し、その結果は図1Cに示した。19F−NMR分析時に使われたNMR機器は、バリアン社のUnity NOVA600製品であり、600MHZを使用した。
【0184】
前記合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの1H−NMRを実施し、この時前記HPE及びHPEFを溶解する溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)−d8を利用した。
【0185】
前記1H−NMR結果は図1Dに示した。1H−NMR分析時に使われたNMR機器は、バリアン社のUnity NOVA600製品であり、600MHZを使用した。
【0186】
熱重量分析機を利用して、前記合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの熱的特性を調べ、その結果を図2に示した。熱的特性分析条件は、昇温速度が10℃/分で800℃まで昇温し、窒素流量は35ml/minであった。
【0187】
図2を参照して、合成例1によって得たHPEと合成例2によって得たHPEFとが熱的安定性に優れることが分かった。
【0188】
前記合成例1によって得たHPE及び合成例2によって得たHPEFの分子量を、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を利用して調べ、その結果は下記表1の通りである。
【0189】
【表1】
【0190】
前記表1で、Mnは数平均分子量、Mwは重量平均分子量、Mpはピーク重量平均分子量、MzはZ重量平均分子量、Mz+1はz+1重量平均分子量を表す。
【0191】
前記表1から、HPEFがHPEに比べて分子量が増加することが確認できた。
【0192】
実施例1:燃料電池用電極及びそれを利用した燃料電池の製造
攪拌容器に、カーボンに50重量%PtCoが担持された触媒1g及び溶媒NMP 3gを付加し、これを乳鉢を利用して攪拌してスラリーを作った。前記スラリーに、前記合成例1によって得た化学式6の化合物HPEのNMP溶液を付加し、HPE 0.025gになるように添加してさらに攪拌した。
【0193】
次いで、前記混合物に5重量%のポリフッ化ビニリデンのNMP溶液を付加して、ポリフッ化ビニリデンが0.025gになるように添加し、10分間混合してカソード触媒層形成用スラリーを製造した。
【0194】
カーボンペーパーを4×7cm2に切断してガラス板上に固定させ、ドクターブレード(Sheen instrument社製)でコーティングするが、この時のギャップ間隔は600μmに調節した。
【0195】
前記カーボンペーパーの上部に前記カソード触媒層形成用スラリーをコーティングし、これを常温で1時間乾燥し、80℃で1時間乾燥し、120℃で30分乾燥し、150℃で15分間乾燥してカソード(燃料電極)を製造した。前記カソードに含まれていたPtCoのうちPtの担持量は約1.7mg/cm2であった。
【0196】
アノードとしては、下記過程によって得た電極を利用した。
【0197】
攪拌容器に、カーボンに50重量%Ptが担持された触媒2g及び溶媒NMP 9gを付加し、これを高速攪拌器を利用して2分間攪拌した。
【0198】
次いで、前記混合物に、ポリフッ化ビニリデン0.05gをNMP 1gに溶解した溶液を付加して2分間さらに攪拌し、アノード触媒層形成用スラリーを製作する。これを、微細多孔層がコーティングされたカーボンペーパー上にバーコーターでコーティングして製作した。
【0199】
これと別途に、下記化学式で表示されるベンゾオキサジン系モノマーA60重量部、下記化学式で表示されるベンゾオキサジン系モノマーB 3重量部、ポリベンズイミダゾールを37重量部としてブレンドした後、これを約220℃範囲で硬化反応を実施した。
【0200】
【化41】
【0201】
次いで、これに85重量%燐酸を80℃で4時間以上含浸して、電解質膜を形成した。ここで燐酸の含有量は、電解質膜総重量100重量部に対して約480重量部であった。
【0202】
前記カソードとアノードとの間に前記電解質膜を介在してMEAを製作した。ここで、前記カソードとアノードとは燐酸含浸なしに使用した。
【0203】
前記カソードとアノードとの間のガス透過を防止するために、主ガスケット用として200μm厚さのテフロン(登録商標)膜と、サブガスガスケット用として20μm厚さのテフロン(登録商標)膜とを、電極と電解質膜との界面に重ねて使用した。そして、MEAに加えられる圧力は、トルクレンチを使用して調節し、1,2,3N−mトルクレンチまで段階的に増加しつつ組立てた。
【0204】
温度150℃、電解質膜に対して加湿しない条件で、アノードに水素(流速:100ccm)、カソードに空気(250ccm)を流通させて発電させ、電池特性を測定した。この時、燐酸をドーピングした電解質を使用するので、経時的に燃料電池の性能が向上するので、作動電圧が最高点に到達するまでエージングした後、最終評価する。そして前記カソードとアノードとの面積は、2.8×2.8=7.84cm2に固定し、カソードとアノードとの厚さはそれぞれ約430μm、約390μmであった。
【0205】
実施例2:燃料電池用電極及びそれを利用した燃料電池の製造
カソード製造時、化学式6の化合物HPEの代わりに化学式7の化合物HPEFを使用し、ポリフッ化ビニリデンの代わりにポリウレタンを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、カソード及びそれを利用した燃料電池を製造した。
【0206】
実施例3:燃料電池用電極、電解質膜及びそれを利用した燃料電池の製造
攪拌容器に、カーボンに50重量%PtCoが担持された触媒1g及び溶媒NMP 3gを付加し、これを、乳鉢を利用して攪拌してスラリーを作った。前記スラリーに、前記合成例2によって得た化学式7の化合物HPEFのNMP溶液を付加して、HPEF0.025gになるように添加してさらに攪拌した。
【0207】
次いで、前記混合物に5重量%のポリフッ化ビニリデンのNMP溶液を付加して、ポリフッ化ビニリデンが0.025gになるように添加し、10分間混合してカソード触媒層形成用スラリーを製造した。
【0208】
カーボンペーパーを4×7cm2に切断し、ガラス板上に固定させてドクターブレード(Sheen instrument社製)でコーティングし、この時にギャップ間隔は600μmに調節した。
【0209】
前記カーボンペーパー上部に前記カソード触媒層形成用スラリーをコーティングし、これを常温で1時間乾燥し、80℃で1時間乾燥し、120℃で30分乾燥し、150℃で15分間乾燥してカソード(燃料電極)を製造した。前記カソードに含まれていたPtCoのうち、Ptの担持量は約1.7mg/cm2であった。アノードとしては、下記過程によって得た電極を利用した。
【0210】
攪拌容器に、カーボンに50重量%Ptが担持された触媒2g及び溶媒NMP9gを付加し、これを高速攪拌器を利用して2分間攪拌した。
【0211】
次いで、前記混合物に、ポリフッ化ビニリデン0.05gをNMP1gに溶解した溶液を付加し、2分間さらに攪拌してアノード触媒層形成用スラリーを製作する。これを、微細多孔層がコーティングされたカーボンペーパー上に、バーコーターでコーティングして製作した。
【0212】
これと別途に、下記化学式で表示されるベンゾオキサジン系モノマー4FPh−2AP 60重量部とm−PBI37重量部と化学式7の化合物HPEF3重量部をブレンドした後、これを約220℃範囲で硬化反応を実施した。
【0213】
【化42】
【0214】
次いで、これに、85重量%燐酸を80℃で4時間以上含浸して電解質膜を形成した。ここで燐酸の含有量は、電解質膜総重量100重量部に対し約480重量部であった。
【0215】
前記カソードとアノードとの間に前記電解質膜を介して、MEAを製作した。ここで、前記カソードとアノードとは燐酸含浸なしに使用した。
【0216】
前記カソードとアノードとの間のガス透過を防止するために、主ガスケット用として200μm厚さのテフロン(登録商標)膜と、サブガスガスケット用として20μm厚さのテフロン(登録商標)膜を電極と電解質膜界面に重なり使用した。そしてMEAに加えられる圧力はトルクレンチを使用して調節したし、1,2,3N−mトルクまでステップ的に増加しながら組立てた。
【0217】
温度150℃、電解質膜に対して加湿しない条件で、アノードに水素(流速:100ccm)、カソードに空気(250ccm)を流通させて発電させ、電池特性を測定した。この時、燐酸をドーピングした電解質を使用するため、経時的に燃料電池の性能が向上するので、作動電圧が最高点に到達するまでエージングした後、最終評価する。そして、前記カソードとアノードとの面積は、2.8×2.8=7.84cm2に固定し、カソードとアノードとの厚さはカーボンペーパーの散布のために変化があるが、カソードの電極の厚さは、それぞれ約430μm、約390μmであった。
【0218】
実施例4:燃料電池用電極及びそれを利用した燃料電池の製造
カソード製造時、化学式6の化合物HPEの代わりに化学式7の化合物HPEFを使用し、カソードでのPtの担持量が約1.16mg/cm2になるように、カソード製造時にPtCoの含有量が変わったことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、カソード及び燃料電池を製造した。
【0219】
実施例5:燃料電池用電極及びそれを利用した燃料電池の製造
カソードでのPtの担持量I約1.35mg/cm2になるようにカソード製造時PtCoの含有量が変化されたことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施してカソード及び燃料電池を製造した。
【0220】
比較例1:燃料電池用電極及びそれを利用した燃料電池の製造
カソード製造時、合成例1によって得た化学式6の化合物HPEを付加しないことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、カソード及びそれを利用した燃料電池を製造した。
【0221】
前記実施例1及び比較例1によって、燃料電池における電流密度によるセル電圧変化を調べて図3に示した。
【0222】
図3を参照すれば、実施例1は、比較例1の場合に比べてセル電圧特性が改善されるということが分かった。
【0223】
また前記実施例1及び2と比較例1によって製造された燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を調べ、その評価結果を図4に示した。
【0224】
図4によれば、実施例1及び2の燃料電池は、比較例1の場合に比べてセル電圧特性が向上し、カソード結合剤としてポリウレタンを使用した実施例2による燃料電池が、カソード結合剤としてポリフッ化ビニリデンを使用した実施例1の場合に比べてセル電圧特性に優れることが分かった。
【0225】
前記実施例1、2、4、5及び比較例1による燃料電池において、カソード白金ローディング量によるセル電圧特性を比較し、その結果は図5に現れた通りである。
【0226】
図5を参照して、実施例1及び2の燃料電池は、比較例1の場合に比べてセル電圧特性が改善された。そして、実施例4及び実施例5の電池は、比較例1の場合に比べて、小さな白金含有量を使用してもセル性能が同等または優秀な結果を示した。
【0227】
前記実施例3及び比較例1による燃料電池において、電流密度によるセル電圧特性と、経時的なセル電圧特性とを調べて図6及び図7に示した。
【0228】
図6及び図7を参照して、実施例3のセル電圧特性が比較例1の場合と比較して向上することが分かった。
【0229】
前記実施例3による燃料電池において、酸素溶解度特性を調べた。
【0230】
前記酸素溶解度特性は、下記方法によって評価する。
【0231】
燐酸と、HPEFを燐酸に溶解して得た0.1重量%のHPEF含有燐酸溶液とにそれぞれアルゴンまたは酸素をパージし、これらの酸素還元反応を0Vないし1.2V範囲でスキャンして、0.2Vと0.4Vとの間に測定される電流値を比較して評価する。この時、電流値は絶対値数値を比較して、絶対値数値の大きいものが酸素溶解度特性に優れたものと評価する。前記燐酸としては、約85重量%の燐酸溶液を使用する。
【0232】
前記酸素溶解度特性評価結果を、図8A及び図8Bに示した。
【0233】
図8Aは、燐酸と、0.1重量%のHPEF含有燐酸溶液とにそれぞれアルゴンをパージし、これらの酸素還元反応を実施した結果であり、図8Bは、燐酸と、0.1重量%のHPEF含有燐酸溶液とにそれぞれ酸素をパージし、これらの酸素還元反応を実施した結果である。
【0234】
図8Aを参照すると、燐酸溶液及び0.1重量%のHPEFの燐酸溶液いずれも酸素還元反応が測定されていない。
【0235】
図8Bを参照すると、燐酸溶液及び0.1重量%のHPEF含有燐酸溶液に酸素をパージした場合には、0.2〜0.4V範囲で酸素還元反応が起こることが観測でき、0.1重量%のHPEF含有燐酸溶液を使用した場合が、燐酸を使用した場合に比べて酸素還元反応の電流が高くなることが分かった。このように、燐酸にHPEFを添加すれば、燐酸の酸素溶解度が高くなることが分かる。
【0236】
図面に図示された一実施形態を参考までに説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0237】
本発明は、燃料電池関連の技術分野に好適に用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分枝化度が0.05以上1以下のハイパーブランチポリマーであって、
前記ハイパーブランチポリマーが下記化学式1の樹状ユニット、下記化学式2の線形ユニット及び下記化学式3のターミナルユニットを含むハイパーブランチポリマー:
【化1】
前記式中、xは0または1であり、Rはフッ素、C1−C20フッ素化されたアルキル基、C6−C20フッ素化されたアリール基、C2−C20フッ素化されたヘテロアリール基、C6−C20フッ素化されたシクロアルキル基、またはC2−C20フッ素化されたヘテロ環基である。
【請求項2】
前記樹状ユニット、線形ユニット及びターミナルユニットと結合され、下記化学式4で表示されるコアユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー:
【化2】
前記式中、Yは−SO2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−N=N−または−O−であり、
mは0ないし3の数であり、nは0ないし1の数である。
【請求項3】
前記化学式4のコアユニットは、下記化学式で表示されるグループであることを特徴とする請求項2に記載のハイパーブランチポリマー。
【化3】
【請求項4】
前記Rはフッ素、トリフルオロメチル基、3,5−ジフルオロフェニル基または下記構造式で表示されるグループのうち一つであることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー。
【化4】
【請求項5】
前記ハイパーブランチポリマーの分枝化度は、0.63ないし0.9であることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー。
【請求項6】
前記ハイパーブランチポリマーは、下記化学式5で表示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー:
【化5】
前記式中、Rはフッ素、トリフルオロメチル基、3,5−ジフルオロフェニル基または下記構造式で表示されるグループのうち選択された一つである。
【化6】
【請求項7】
前記ハイパーブランチポリマーは、
下記化学式6で表示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー。
【化7】
【請求項8】
前記ハイパーブランチポリマーは、
下記化学式7で表示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー:
【化8】
前記式中、R’はペンタフルオロフェニル基である。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーの架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーの架橋体。
【請求項10】
前記ベンゾオキサジン系モノマーは、
下記化学式8ないし13で表示される化合物のうち選択された一つ以上であることを特徴とする請求項9に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体:
【化9】
前記化学式中、R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立して水素、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキル基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキルオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはシアノ基であり、
R5は、ハロゲン化されたC1−C20アルキル基、ハロゲン化されたC1−C20アルコキシ基、ハロゲン化されたC2−C20アルケニル基、ハロゲン化されたC2−C20アルキニル基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC7−C20アリールアルキル基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリールアルキル基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環アルキル基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
【化10】
前記式中、R5’は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
R6は、置換または非置換のC1−C20アルキレン基、置換または非置換のC2−C20アルケニレン基、置換または非置換のC2−C20アルキニレン基、置換または非置換のC6−C20アリーレン基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリーレン基、−C(=O)−、−SO2−からなる群から選択され、
【化11】
前記式中、A、B、C、D、Eはいずれも炭素であるか、またはA、B、C、D、Eのうち選択された一つまたは二つは窒素(N)であり、その残りは炭素(C)であり、
R1及びR2は、互いに連結されて環を形成し、
前記環は、C6−C10シクロアルキル基、C3−C10ヘテロアリール基、融合されたC3−C10ヘテロアリール基、C3−C10ヘテロ環基または融合されたC3−C10ヘテロ環基であり、
【化12】
前記式中、Aは、置換または非置換のC1−C20ヘテロ環基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキル基、または置換または非置換のC1−C20アルキル基であり、
R2及びR3は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20シクロアルキル基、C1−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、またはヒドロキシ基であり、
【化13】
前記式中、R1及びR2は、互いに独立してC1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基または下記構造式で表示されるグループであり、
【化14】
前記式中、R3は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20シクロアルキル基、ハロゲン化されたC4−C20シクロアルキル基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である:
【化15】
前記式中、R2とR3、またはR3とR4とは、互いに連結されて下記化学式2Aで表示されるグループであり、
R5とR6またはR6とR7とは、互いに連結されて下記化学式2Aで表示されるグループであり、
【化16】
R1は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
*は、化学式1のR2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7とそれぞれ連結される位置を表示する。
【請求項11】
前記ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとに、架橋性化合物がさらに含まれることを特徴とする請求項9に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体。
【請求項12】
前記架橋性化合物は、
ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズチアゾール、ポリベンゾオキサゾール及びポリイミド系からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項11に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体。
【請求項13】
前記架橋性化合物の含有量が、
ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として5ないし95重量部であることを特徴とする請求項11に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体。
【請求項14】
前記ハイパーブランチポリマーの含有量は、
ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として0.1ないし10重量部であることを特徴とする請求項9に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体。
【請求項15】
請求項1ないし請求項8のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーを含む燃料電池用電極。
【請求項16】
請求項9ないし請求項14のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電極。
【請求項17】
請求項1ないし請求項8のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーを含む燃料電池用電解質膜。
【請求項18】
請求項9ないし請求項14のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電解質膜。
【請求項19】
カソード;アノード;及びそれらの間に介された電解質膜を備え、
前記カソード、アノード及び電解質膜から選択された一つ以上が、請求項1ないし請求項8のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーを含むことを特徴とする燃料電池。
【請求項20】
前記カソード及びアノードのうち選択された一つ以上が、触媒と、前記触媒1重量部を基準として0.001ないし0.65重量部のハイパーブランチポリマーとを含む触媒層を備えることを特徴とする請求項19に記載の燃料電池。
【請求項21】
前記触媒は、白金(Pt)単独;白金と、金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された1種以上の金属を含む白金合金;または白金と、金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された1種以上の金属の混合物であることを特徴とする請求項20に記載の燃料電池。
【請求項22】
前記触媒は、カーボン系担体に担持された触媒金属を含む担持触媒であることを特徴とする請求項20に記載の燃料電池。
【請求項23】
前記触媒層にポリ(フッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリウレタンからなる群から選択された一つ以上の結合剤がさらに含まれることを特徴とする請求項20に記載の燃料電池。
【請求項24】
前記結合剤がポリウレタンであることを特徴とする請求項23に記載の燃料電池。
【請求項25】
前記カソード、アノード及び電解質膜から選択された一つ以上は、燐酸及びC1−C20有機ホスホン酸から選択された一つ以上のプロトン伝導体をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の燃料電池。
【請求項26】
カソード;アノード;及びそれらの間に介された電解質膜を備え、
前記カソード、アノード及び電解質膜から選択された一つ以上は、請求項9ないし請求項14のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池。
【請求項27】
前記カソード及びアノードのうち選択された一つ以上は、触媒と、前記触媒1重量部を基準として0.001ないし0.65重量部のハイパーブランチポリマーとを含む触媒層を備えることを特徴とする請求項26に記載の燃料電池。
【請求項28】
前記触媒は、白金(Pt)単独;白金と、金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された一種以上の金属を含む白金合金;または白金と、金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された一種以上の金属の混合物であることを特徴とする請求項27に記載の燃料電池。
【請求項29】
前記触媒は、カーボン系担体に触媒金属が担持された担持触媒であることを特徴とする請求項27に記載の燃料電池。
【請求項30】
前記触媒層にポリ(フッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、スチレンブタジエンラバー(SBR)及びポリウレタンからなる群から選択された一つ以上の結合剤がさらに含まれることを特徴とする請求項27に記載の燃料電池。
【請求項31】
前記結合剤はポリウレタンであることを特徴とする請求項30に記載の燃料電池。
【請求項32】
前記カソード、アノード及び電解質膜から選択された一つ以上は、燐酸及びC1−C20有機ホスホン酸から選択された一つ以上のプロトン伝導体をさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の燃料電池。
【請求項33】
請求項1ないし8のうちいずれか1項のハイパーブランチポリマー;及びベンゾオキサジン系モノマーを含むハイパーブランチポリマーの混合物。
【請求項1】
分枝化度が0.05以上1以下のハイパーブランチポリマーであって、
前記ハイパーブランチポリマーが下記化学式1の樹状ユニット、下記化学式2の線形ユニット及び下記化学式3のターミナルユニットを含むハイパーブランチポリマー:
【化1】
前記式中、xは0または1であり、Rはフッ素、C1−C20フッ素化されたアルキル基、C6−C20フッ素化されたアリール基、C2−C20フッ素化されたヘテロアリール基、C6−C20フッ素化されたシクロアルキル基、またはC2−C20フッ素化されたヘテロ環基である。
【請求項2】
前記樹状ユニット、線形ユニット及びターミナルユニットと結合され、下記化学式4で表示されるコアユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー:
【化2】
前記式中、Yは−SO2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−N=N−または−O−であり、
mは0ないし3の数であり、nは0ないし1の数である。
【請求項3】
前記化学式4のコアユニットは、下記化学式で表示されるグループであることを特徴とする請求項2に記載のハイパーブランチポリマー。
【化3】
【請求項4】
前記Rはフッ素、トリフルオロメチル基、3,5−ジフルオロフェニル基または下記構造式で表示されるグループのうち一つであることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー。
【化4】
【請求項5】
前記ハイパーブランチポリマーの分枝化度は、0.63ないし0.9であることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー。
【請求項6】
前記ハイパーブランチポリマーは、下記化学式5で表示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー:
【化5】
前記式中、Rはフッ素、トリフルオロメチル基、3,5−ジフルオロフェニル基または下記構造式で表示されるグループのうち選択された一つである。
【化6】
【請求項7】
前記ハイパーブランチポリマーは、
下記化学式6で表示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー。
【化7】
【請求項8】
前記ハイパーブランチポリマーは、
下記化学式7で表示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマー:
【化8】
前記式中、R’はペンタフルオロフェニル基である。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーの架橋反応生成物であるハイパーブランチポリマーの架橋体。
【請求項10】
前記ベンゾオキサジン系モノマーは、
下記化学式8ないし13で表示される化合物のうち選択された一つ以上であることを特徴とする請求項9に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体:
【化9】
前記化学式中、R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立して水素、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキル基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキルオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはシアノ基であり、
R5は、ハロゲン化されたC1−C20アルキル基、ハロゲン化されたC1−C20アルコキシ基、ハロゲン化されたC2−C20アルケニル基、ハロゲン化されたC2−C20アルキニル基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC7−C20アリールアルキル基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロアリールアルキル基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環アルキル基、ハロゲン化されたC2−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
【化10】
前記式中、R5’は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
R6は、置換または非置換のC1−C20アルキレン基、置換または非置換のC2−C20アルケニレン基、置換または非置換のC2−C20アルキニレン基、置換または非置換のC6−C20アリーレン基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリーレン基、−C(=O)−、−SO2−からなる群から選択され、
【化11】
前記式中、A、B、C、D、Eはいずれも炭素であるか、またはA、B、C、D、Eのうち選択された一つまたは二つは窒素(N)であり、その残りは炭素(C)であり、
R1及びR2は、互いに連結されて環を形成し、
前記環は、C6−C10シクロアルキル基、C3−C10ヘテロアリール基、融合されたC3−C10ヘテロアリール基、C3−C10ヘテロ環基または融合されたC3−C10ヘテロ環基であり、
【化12】
前記式中、Aは、置換または非置換のC1−C20ヘテロ環基、置換または非置換のC4−C20シクロアルキル基、または置換または非置換のC1−C20アルキル基であり、
R2及びR3は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20シクロアルキル基、C1−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、またはヒドロキシ基であり、
【化13】
前記式中、R1及びR2は、互いに独立してC1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基または下記構造式で表示されるグループであり、
【化14】
前記式中、R3は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20シクロアルキル基、ハロゲン化されたC4−C20シクロアルキル基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である:
【化15】
前記式中、R2とR3、またはR3とR4とは、互いに連結されて下記化学式2Aで表示されるグループであり、
R5とR6またはR6とR7とは、互いに連結されて下記化学式2Aで表示されるグループであり、
【化16】
R1は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
*は、化学式1のR2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7とそれぞれ連結される位置を表示する。
【請求項11】
前記ハイパーブランチポリマーとベンゾオキサジン系モノマーとに、架橋性化合物がさらに含まれることを特徴とする請求項9に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体。
【請求項12】
前記架橋性化合物は、
ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズチアゾール、ポリベンゾオキサゾール及びポリイミド系からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項11に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体。
【請求項13】
前記架橋性化合物の含有量が、
ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として5ないし95重量部であることを特徴とする請求項11に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体。
【請求項14】
前記ハイパーブランチポリマーの含有量は、
ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として0.1ないし10重量部であることを特徴とする請求項9に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体。
【請求項15】
請求項1ないし請求項8のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーを含む燃料電池用電極。
【請求項16】
請求項9ないし請求項14のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電極。
【請求項17】
請求項1ないし請求項8のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーを含む燃料電池用電解質膜。
【請求項18】
請求項9ないし請求項14のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池用電解質膜。
【請求項19】
カソード;アノード;及びそれらの間に介された電解質膜を備え、
前記カソード、アノード及び電解質膜から選択された一つ以上が、請求項1ないし請求項8のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーを含むことを特徴とする燃料電池。
【請求項20】
前記カソード及びアノードのうち選択された一つ以上が、触媒と、前記触媒1重量部を基準として0.001ないし0.65重量部のハイパーブランチポリマーとを含む触媒層を備えることを特徴とする請求項19に記載の燃料電池。
【請求項21】
前記触媒は、白金(Pt)単独;白金と、金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された1種以上の金属を含む白金合金;または白金と、金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された1種以上の金属の混合物であることを特徴とする請求項20に記載の燃料電池。
【請求項22】
前記触媒は、カーボン系担体に担持された触媒金属を含む担持触媒であることを特徴とする請求項20に記載の燃料電池。
【請求項23】
前記触媒層にポリ(フッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリウレタンからなる群から選択された一つ以上の結合剤がさらに含まれることを特徴とする請求項20に記載の燃料電池。
【請求項24】
前記結合剤がポリウレタンであることを特徴とする請求項23に記載の燃料電池。
【請求項25】
前記カソード、アノード及び電解質膜から選択された一つ以上は、燐酸及びC1−C20有機ホスホン酸から選択された一つ以上のプロトン伝導体をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の燃料電池。
【請求項26】
カソード;アノード;及びそれらの間に介された電解質膜を備え、
前記カソード、アノード及び電解質膜から選択された一つ以上は、請求項9ないし請求項14のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーの架橋体を含む燃料電池。
【請求項27】
前記カソード及びアノードのうち選択された一つ以上は、触媒と、前記触媒1重量部を基準として0.001ないし0.65重量部のハイパーブランチポリマーとを含む触媒層を備えることを特徴とする請求項26に記載の燃料電池。
【請求項28】
前記触媒は、白金(Pt)単独;白金と、金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された一種以上の金属を含む白金合金;または白金と、金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された一種以上の金属の混合物であることを特徴とする請求項27に記載の燃料電池。
【請求項29】
前記触媒は、カーボン系担体に触媒金属が担持された担持触媒であることを特徴とする請求項27に記載の燃料電池。
【請求項30】
前記触媒層にポリ(フッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、スチレンブタジエンラバー(SBR)及びポリウレタンからなる群から選択された一つ以上の結合剤がさらに含まれることを特徴とする請求項27に記載の燃料電池。
【請求項31】
前記結合剤はポリウレタンであることを特徴とする請求項30に記載の燃料電池。
【請求項32】
前記カソード、アノード及び電解質膜から選択された一つ以上は、燐酸及びC1−C20有機ホスホン酸から選択された一つ以上のプロトン伝導体をさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の燃料電池。
【請求項33】
請求項1ないし8のうちいずれか1項のハイパーブランチポリマー;及びベンゾオキサジン系モノマーを含むハイパーブランチポリマーの混合物。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公開番号】特開2010−144171(P2010−144171A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285711(P2009−285711)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【出願人】(508298075)ソウル大学校産学協力団 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【出願人】(508298075)ソウル大学校産学協力団 (27)
【Fターム(参考)】
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