説明

ハイパーブランチポリマーの合成方法、ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体集積回路、および半導体集積回路の製造方法

【課題】ハイパーブランチポリマーを簡便かつ安定的に大量合成すること。
【解決手段】金属触媒存在下、リビングラジカル重合可能なモノマーを重合することによりハイパーブランチポリマーの合成に際して、リビングラジカル重合によって合成されたハイパーブランチポリマーを含む反応溶液に溶解度パラメータが10.5以上である溶媒を混合して沈殿物を生成する沈殿物生成工程を行うようにした。これによって、吸着剤を用いることなく金属触媒、モノマーおよび副生物のオリゴマーなどの不純物を簡便に除去できるため、ハイパーブランチポリマーを簡便かつ安定的に大量合成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハイパーブランチポリマーの合成方法、ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体集積回路、および半導体集積回路の製造方法に関する。この発明は、特に、ATRP法(原子移動ラジカル重合)を用いるコアシェル型のハイパーブランチポリマーの合成方法、コアシェル型のハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体集積回路、および半導体集積回路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細加工技術として有望視されている光リソグラフィーでは、光源の短波長化によりデザインルールの微細化が進み、超LSIなどの半導体集積回路の高集積化を実現している。32nm以下のデザインルールでは、EUVリソグラフィーが有望視されている。
【0003】
レジスト組成物には、各光源に対して透明な化学構造を持つベースポリマーの開発が進められている。たとえば、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)ではノボラック型ポリフェノールを基本骨格としたポリマー(たとえば、下記特許文献1を参照。)、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)ではポリ(メタ)アクリル酸エステル(たとえば、下記特許文献2を参照。)、またはF2エキシマレーザー光(波長157nm)ではフッ素原子(パーフルオロ構造)を導入したポリマー(たとえば、下記特許文献3を参照。)を含むレジスト組成物がそれぞれ提案されており、これらポリマーは線状構造を基本とするものである。
【0004】
しかしながら、これら線状ポリマーを32nm以細の超微細パターン形成に適用した場合、ラインエッジラフネスを指標とするパターン側壁の凹凸が問題となってきた。たとえば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、およびPHS(ポリヒドロキシスチレン)を主とした従来のレジストに対して電子線や極端紫外光(EUV:13.5nm)露光を行って、極微細のパターンを形成するためには、表面平滑性をナノレベルで制御することが課題となることが指摘されている(たとえば、下記非特許文献1を参照。)。
【0005】
パターン側壁の凹凸は、レジストを構成するポリマーの会合体(クラスター)によるものとされている(たとえば、下記非特許文献2を参照。)。クラスターによるラインエッジラフネス低下は、低分子の単分散ポリマーを用いることにより、低減できると言われている(たとえば、下記特許文献4を参照。)が、低分子量ポリマーを用いるとポリマーのガラス転移点(Tg)が低下し、熱によるベークが困難になるため、実用性には欠ける。
【0006】
一方、線状分子に比べ、ラインエッジラフネスが向上する例として分岐型ポリマーが知られている(たとえば、下記非特許文献3を参照。)。しかしながら、基板に対する密着性や感度の点で、デザインルールの微細化に伴う要求を満足するものは達成されていない。
【0007】
このような観点から、近年、ハイパーブランチポリマーをレジスト材料として用いる試みがなされてきている。高度なブランチ(分岐)構造をコア部とし、分子末端に酸基(たとえば、カルボン酸)および酸分解性基(たとえば、カルボン酸エステル)を有するハイパーブランチポリマーは、線状ポリマーに見られる分子間での絡まりが小さく、主鎖を架橋する分子構造に比べて溶媒による膨潤も小さい。このようなハイパーブランチポリマーを含むレジスト材料を用いた場合、パターン側壁における表面ラフネスの原因となる大きな分子集合体の形成が抑制されると報告されている(たとえば、下記特許文献5を参照)。
【0008】
ハイパーブランチポリマーは、通常、球状形態をとる。球状形態のハイパーブランチポリマーの表面に酸分解性基が存在すると、光リソグラフィーにおいて、光酸発生剤から発生する酸の作用によって露光部分において分解反応が起こり親水基が生じる。この結果、ハイパーブランチポリマー分子の外周に多数の親水基が存在する球状ミセル状の構造をとることができることが明らかとなったと報告されている。
【0009】
外周に多数の親水基が存在する球状ミセル状の構造をとるハイパーブランチポリマーは、アルカリ水溶液に対し効率よく溶解し、アルカリ溶液と共に除去される。このようなハイパーブランチポリマーを含むレジスト材料を用いた場合、微細なパターンを形成することができ、レジスト材料のベース樹脂として好適に利用可能であることが判ったと報告されている。さらに、コア部とシェル部が特定の値で存在し、かつシェル部において、酸分解性基であるカルボン酸エステル基とカルボン酸基がある特定の比で共存とすることで、露光後のアルカリ溶解性の向上、すなわち感度の向上が達成されることが明らかとなっている。
【0010】
一般に、高度なブランチ(分岐)構造をコア部とし、分子末端に酸分解性基と酸基、たとえばカルボン酸基とカルボン酸エステル基とを、それぞれ特定の比率で含むハイパーブランチポリマーを、ATRP法(原子移動ラジカル重合)にしたがって合成する場合、以下の(a)、(b)の工程を経て製造することができる。
【0011】
(a)金属触媒の存在下、ブランチ構造を有するコア部を合成し、コア部に対して、酸分解性基(カルボン酸エステル基)(以下、シェル部とする)を導入する工程 (b)露光時に最適なアルカリ溶解性が得られるよう、カルボン酸エステル基の一部を分解(以下、脱エステル化ないし脱保護とする)してカルボン酸基(以下、酸基とする)を得る工程
【0012】
上記(a)、(b)の工程を可能にし、原料入手やスケールアップの容易性が高いことから実用性が高いATRP法にしたがってハイパーブランチポリマーを合成する場合、合成に際して銅などの金属触媒を使用する。このため、ATRP法にしたがってハイパーブランチポリマーを合成する場合、以降の工程に悪影響を及ぼさないように、金属除去が不可欠である。コア部に対して酸分解性基を導入する工程でも金属触媒を用いるが、コア部の合成の後、コア部に金属触媒に由来する金属が多量に残存していると、特に、反応性が大きく変化したり、ハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物が露光後に不溶化したりするなどの悪影響を招く恐れがあるため、影響がない程度に金属を除去する必要がある。
【0013】
従来、たとえば、金属触媒を除去する方法としては、カラム分取(たとえば、下記特許文献6を参照。)、または、アルミナ吸着(たとえば、下記特許文献5を参照。)などの方法によって金属を除去する方法が知られている。
【0014】
また、ハイパーブランチポリマーにモノマーや副生成物のオリゴマーが混入している場合においても、ハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物が露光後に不溶化するなどの悪影響を招く恐れがある。このため、ハイパーブランチポリマーの重合に使用したモノマーや副生物のオリゴマーなどの不純物は適切に取り除かれるのが望ましい。従来、モノマーやオリゴマーを除去する方法としては、良溶媒と貧溶媒の混合溶媒で洗浄する方法などがあるが、従来の技術では、除去効率を上げるために、洗浄回数を増加させる、多量の溶媒を使用する、などの問題があった。
【0015】
【特許文献1】特開2004−231858号公報
【特許文献2】特開2004−359929号公報
【特許文献3】特開2005−91428号公報
【特許文献4】特開平6−266099号公報
【特許文献5】国際公開第2005/061566号パンフレット
【特許文献6】特開2003−268057号広報
【非特許文献1】Franco Cerrina, Vac.Sci.Tech.B,19,2890(2001)
【非特許文献2】Toru Yamaguti, Jpn.J.Appl.Phys., 38,7114(1999)
【非特許文献3】Alexander R. Trimble,Proceedings of SPIE,3999,1198,(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上述した従来の技術では、いずれの方法もコストがかかり、工業化には不向きであるという問題があった。また、上述した金属触媒除去の従来の技術では、アルミナなどの吸着剤を用いると、たとえばアルミニウムなど、吸着剤由来の金属が溶出することに起因する、ハイパーブランチポリマーへの金属の混入が避けられないという問題があった。
【0017】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ハイパーブランチポリマーを簡便かつ安定的に大量合成することができるハイパーブランチポリマーの合成方法、ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体集積回路、および半導体集積回路の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるハイパーブランチポリマーの合成方法は、金属触媒存在下、リビングラジカル重合可能なモノマーを重合することによりハイパーブランチポリマーを合成するハイパーブランチポリマーの合成方法であって、前記リビングラジカル重合によって合成されたハイパーブランチポリマーを含む反応溶液に、溶解度パラメータがそれぞれ10.5以上である2種以上の混合溶媒を混合して沈殿物を生成する沈殿物生成工程を含むことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、吸着剤を用いることなく金属触媒、モノマーおよび副生物のオリゴマーなどの不純物を簡便に除去できるため、ハイパーブランチポリマーを簡便かつ安定的に大量合成することができる。
【0020】
また、この発明にかかるハイパーブランチポリマーの合成方法における前記沈殿物生成工程は、2種以上の溶媒からなる溶解度パラメータが10.5以上の混合溶媒(以下溶媒Aと表記する場合もある)を前記反応溶液に対して0.2〜10容量部混合して前記沈殿物を生成することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、吸着剤を用いることなく金属触媒、モノマーおよび副生物のオリゴマーなどの不純物をより簡便に除去できるため、ハイパーブランチポリマーをさらに簡便かつ安定的に大量合成することができる。
【0022】
またこの発明は、前記溶媒Aを前記リビングラジカル重合によって合成されたハイパーブランチポリマーを含む反応溶液に混合して生成した前記沈殿物に、溶解度パラメータが7以上10.5未満の溶媒(以下溶媒Bと表記する場合もある)を加えて溶解し、さらに溶解度パラメータが10.5以上の溶媒(以下溶媒Cと表記する場合もある)を加えて沈殿物を再度生成させることを特徴とする。なお、溶媒Bで沈殿物を溶解させ、溶媒Cで再度沈殿させる工程は複数回繰り返して行うこともできる。
【0023】
また、この発明にかかるハイパーブランチポリマーの合成方法は、上記のハイパーブランチポリマーの合成方法において、前記沈殿物生成工程において生成された沈殿物をコア部とし、当該コア部に酸分解性基を導入することにより形成されたシェル部を備えるコアシェル型ハイパーブランチポリマーを生成する工程と、前記工程において生成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける前記シェル部を構成する酸分解性基の一部を、酸触媒を用いて分解して酸基を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるハイパーブランチポリマーは、上記のハイパーブランチポリマーの合成方法にしたがって合成されたことを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、金属触媒、モノマーおよび副生物のオリゴマーなどの不純物が除去された、品質の安定したハイパーブランチポリマーを大量に得ることができる。
【0026】
また、この発明にかかるレジスト組成物は、上記のハイパーブランチポリマーを包含することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、反応性が大きく変化したり露光後に不溶化したりするなどの悪影響の発生を低減することができる。
【0028】
また、この発明にかかる半導体集積回路は、上記のレジスト組成物によってパターンを形成されることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、超微細な回路パターンが形成された半導体集積回路を得ることができる。
【0030】
また、この発明にかかる半導体集積回路の製造方法によれば、上記のレジスト組成物を用いて超微細な回路パターンを形成する工程を含むことを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、超微細な回路パターンが形成された半導体集積回路を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるハイパーブランチポリマーの合成方法、ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体集積回路、および半導体集積回路の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0033】
はじめに、実施の形態のハイパーブランチポリマーの合成工程について説明する。図1は、実施の形態のハイパーブランチポリマーの合成工程を示すフローチャートである。図1には、実施の形態のハイパーブランチポリマーの合成方法にしたがって製造されるハイパーブランチポリマー(以下、「ハイパーブランチポリマー」という。)の合成工程が、各工程をおこなう順序で示されている。
【0034】
図1に示したように、ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、まず、金属触媒と原料モノマーからハイパーブランチポリマーを合成する(ステップS101)。ステップS101において合成されたハイパーブランチポリマーは、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部を実現する。
【0035】
つぎに、ステップS101において合成されたハイパーブランチポリマーを含む反応溶媒から金属触媒を除去する(ステップS102)。その後、金属触媒が除去された反応溶液に溶媒Aを混合し(ステップS103)、沈殿物としてのポリマーを沈殿させる。ここに、ステップS103によって沈殿物生成工程が実現される。
【0036】
ステップS103によって溶媒Aを混合することによって沈殿したポリマーを含む溶液の上澄み液を除去し(ステップS104)、ハイパーブランチポリマーを得る。場合によっては、除去後の沈殿物をさらに溶媒Bに溶解させて(ステップS105)、ポリマーが溶解した溶液を生成する。その後、ポリマーが溶解した溶液に溶媒Cを混合して(ステップS106)、沈殿物としてのハイパーブランチポリマーを沈殿させることもできる。
【0037】
ステップS104(或いはS106)において得たハイパーブランチポリマーのコア部に酸分解性基を導入して(ステップS107)、ハイパーブランチポリマーをコア部とするシェル部を備えるコアシェル型のハイパーブランチポリマーを精製する。
【0038】
そして、精製されたコアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部を構成する酸分解性基の一部を、酸触媒を用いて分解して酸基を形成して(ステップS108)、シェル部に酸分解性基と酸基を有するコアシェル型のハイパーブランチポリマーを合成して、一連の処理を終了する。
【0039】
つぎに、上述した図1に示した工程順にしたがって生成されるコアシェル型のハイパーブランチポリマーの合成における各工程について詳細に説明する。
【0040】
(ハイパーブランチポリマーの合成)
まず、上述した図1中のステップS101について説明する。上述した図1中のステップS101における、ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、たとえば、0〜200℃で、0.1〜30時間、クロロベンゼンなどの溶媒中で原料モノマーを金属触媒存在下にリビングラジカル重合反応させることによってハイパーブランチポリマー(コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部)を合成する。
【0041】
ハイパーブランチポリマーは、たとえば、0〜200℃で、0.1〜30時間、クロロベンゼンなどの溶媒中で原料モノマーを金属触媒下リビングラジカル重合反応させることによって合成することが出来る。ステップS101においては、たとえば、超純水あるいはメタノールのような水酸基を持つ溶媒を反応系に添加して反応を停止させる。
【0042】
つぎに、上述した図1中のステップS102について説明する。上述した図1中のステップS102においては、ステップS101において合成されたハイパーブランチポリマーを含む溶液から金属触媒を除去する。具体的に、ステップS102においては、たとえば、ステップS101において形成されたハイパーブランチポリマーを含む溶液をろ過することで、不溶化した金属触媒を除去する。
【0043】
また、上述した図1中のステップS102においては、水−有機溶媒による液々抽出によって金属触媒を除去できる。ステップS102において使用される有機溶媒としては、たとえば、ステップS101におけるラジカルリビング重合反応で使用したクロロベンゼンやクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素が好ましい有機溶媒として挙げられる。ステップS102において使用される有機溶媒としては、後述する溶媒Bであってもよい。
【0044】
(ポリマーの沈殿)
つぎに、上述した図1中のステップS103について説明する。上述した図1中のステップS103における、ポリマーの沈殿操作に際しては、2種以上の溶媒からなる溶解度パラメータが10.5以上である混合溶媒(溶媒A)を用いることが好ましい。単独で溶解度パラメータが10.5以上である溶媒はメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、グリセリン、水等であり、溶媒Aにはこれらの溶媒が含まれる。具体的に、溶媒Aとしては、酢酸エチル/メタノール、酢酸エチル/エタノール、酢酸エチル/1−プロパノール、酢酸エチル/2−プロパノール、酢酸エチル/グリセリン、テトラヒドロフラン/メタノール、テトラヒドロフラン/エタノール、テトラヒドロフラン/1−プロパノール、テトラヒドロフラン/2−プロパノール、テトラヒドロフラン/グリセリン、アセトン/メタノール、アセトン/エタノール、アセトン/1−プロパノール、アセトン/2−プロパノール、アセトン/グリセリン、メチルエチルケトン/メタノール、メチルエチルケトン/エタノール、メチルエチルケトン/1−プロパノール、メチルエチルケトン/2−プロパノール、メチルエチルケトン/グリセリン、メタノール/エタノール、メタノール/1−プロパノール、メタノール/2−プロパノール、メタノール/グリセリン、メタノール/水、エタノール/1−プロパノール、エタノール/2−プロパノール、エタノール/グリセリン、エタノール/水、1−プロパノール/2−プロパノール、1−プロパノール/グリセリン、1−プロパノール/水、2−プロパノール/グリセリン、2−プロパノール/水、グリセリン/水、が挙げられる。
【0045】
なかでもメタノール/水、メタノール/エタノール、エタノール/水、1−プロパノール/水、2−プロパノール/水、グリセリン/水が好ましい。特に水を含むことが好ましく、溶媒A全量に対して、好ましくは1〜50質量%、更に3〜40質量%含有することが好ましい。
【0046】
ここで、溶解度パラメータ(Solubility Parameter)とは、物質の極性を示す指標であり、溶媒と樹脂の親和性の指標をあらわす値である。ポリマーを溶媒に溶解させる場合、ポリマーの溶解度パラメータと溶媒の溶解度パラメータとが近いほど、ポリマーの溶媒への溶解性は良好になる。溶解度パラメータをあらわす数値であるSP値は、その値が大きい程、極性が大きいことをあらわす。SP値は、ポリマーの分子と溶媒の分子とが引き合う力、すなわち凝集エネルギー密度CED(Cohesive Energy Density)の平方根であらわされる。CEDの定義は、1ccの物質を蒸発させるのに要するエネルギー量である。なお、混合溶媒の場合も同様に算出することができる。
【0047】
上述した図1中のステップS103においては、溶媒Aを反応溶液に対し過剰量添加する。具体的に、ステップS103においては、溶媒Aを、反応溶液に対して0.2〜10容量部添加することが好ましい。反応溶液に対して溶媒Aを添加することにより、反応容器内には粘性な褐色のポリマーが沈殿する。さらにステップS104において上澄み液を除去する。
【0048】
(ポリマーの再溶解)
つぎに、上述した図1中のステップS105について説明する。ステップS105における、前記ポリマーの再溶解に際しては、ステップS104において上澄み液を除去した後の沈殿物を溶解させる溶媒Bとして、溶解度パラメータが7以上10.5未満である溶媒を用いることが好ましい。
【0049】
具体的に、溶媒Bとしては、たとえば、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、ニトリル、エーテル、ケトン、エステル、カーボネートまたはこれらの混合溶媒が挙げられる。具体的には、クロロベンゼン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ペンタノンなどのケトン;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミルなどのエステル;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0050】
前記溶媒Bとして好ましくはエーテルが挙げられ、最も好ましい溶媒の1つとしては、テトラヒドロフランが挙げられる。溶媒Bは、ポリマー1gあたり0.1〜10mL使用することが好ましい。
【0051】
(不純物の除去)
上述した図1中のステップS104(あるいはS106)においては、残存したモノマーや副生成物であるオリゴマーなどの不純物を除去する。さらにいえば、ステップS102からS104(あるいはS106)の一連の操作により当該ハイパーブランチポリマーの重量平均分子量Mwの4分の1の分子量を有する物質と金属触媒を除去する。ステップS106においては、溶媒Cとして、溶解度パラメータが10.5以上である溶媒を用いることが好ましい。溶媒Cとしては、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、グリセリン、水またはこれらの混合溶媒が挙げられる。前述した各種の溶媒の中で、溶媒Cとして好ましい溶媒としては、メタノール、エタノール及びそれらと水との混合物が挙げられ、さらに好ましくは水を1〜50質量%、より好ましくは3〜40質量%含有するメタノール、又は前記量の水を含有するエタノール、が挙げられる。なお、溶媒Cが混合溶媒の場合、溶媒Aと溶媒Cは、同一でも、異なってもよい。溶媒Cは、溶媒Bに対して、1〜20容量部であることが好ましい。
【0052】
(酸分解性基の分解)
上述した図1中のステップS108において、酸分解性基の一部を酸基に分解する酸触媒としては、たとえば、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ギ酸などが挙げられる。酸分解性基の一部を酸基に分解する際には、上述したステップS107において生成された固体状のレジストポリマー中間体を、たとえば、1,4−ジオキサンなどの酸触媒を含有する適当な有機溶媒に添加し、50〜150℃の温度で、10分〜20時間加熱攪拌させることによっておこなうことができる。
【0053】
得られたレジストポリマーの酸分解性基と酸基との比率は、レジストの組成により最適値が異なるが、導入した酸分解性基を含有するモノマー中の5〜80モル%が脱保護されているのが好ましい。酸分解性基と酸基との比率がこのような範囲にあると、高感度と露光後の効率的なアルカリ溶解性が達成されるため、好ましい。得られた固形状のレジストポリマーはまた、反応溶媒から分離し、減圧蒸留などの操作により溶媒を除去するなどして乾燥することで、固体状のレジストポリマーとして利用することができる。
【0054】
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の分子構造)
つぎに、ハイパーブランチポリマー(コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部)の分子構造について説明する。ここでは、ハイパーブランチポリマーの分子構造として、上述のように製造されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分岐度(Br)について説明する。
【0055】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、温度40℃でGPC(Gel Permeation Chromatography)測定を行って求めることができる。移動溶媒としてはテトラヒドロフランを用い、標準物質としてはポリスチレンを使用することができる。
【0056】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の分岐度(Br)は、生成物の1H−NMRを測定し、以下のようにして求めることができる。すなわち、4.6ppmに現われる−CH2Cl部位のプロトンの積分比H1°と、4.8ppmに現われる−CHCl部位のプロトンの積分比H2°を用いて、下記数式(A)を演算することにより算出できる。なお、−CH2Cl部位と−CHCl部位との両方で重合が進行し、分岐が高まると、分岐度(Br)の値は0.5に近づく。
【0057】
【数1】

【0058】
この発明のコアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部は、重量平均分子量(Mw)が、300〜8,000であるのが好ましい。より好ましい重量平均分子量(Mw)は、500〜8,000である。もっとも好ましい重量平均分子量(Mw)は、1,000〜8,000である。
【0059】
コアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の重量平均分子量(Mw)がこのような範囲にあると、コア部が球状形態をとり、酸分解性基導入反応における反応溶媒への溶解性を確保できるので好ましい。さらに、コアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の重量平均分子量(Mw)がこのような範囲にあると、当該コアシェル型ハイパーブランチポリマーをレジスト組成物に用いた場合に、成膜性に優れ、コア部に酸分解性基を導入(誘導)したハイパーブランチポリマーにおいて、未露光部の溶解抑止に有利となるので好ましい。
【0060】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の分子量分布(Mw/Mn)は、1〜5であるのが好ましい。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部のより好ましい分子量分布(Mw/Mn)は、1〜3である。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部のより一層好ましい分子量分布(Mw/Mn)は、1〜2.5である。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の分子量分布(Mw/Mn)を前述の範囲とすることで、当該コアシェル型のハイパーブランチポリマーをレジスト組成物に用いた場合に、露光後のレジスト組成物が不溶化するなどの悪影響を招く恐れがなく、望ましい。
【0061】
また、コアシェル型のハイパーブランチポリマーの分子量分布(Mw/Mn)を前述の範囲とすることで、当該コアシェル型ハイパーブランチポリマーをレジスト組成物に用いた場合に、ラインエッジラフネスに優れ、熱によるベークに耐えられるレジスト組成物を得ることができるので好ましい。
【0062】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部は、分岐度(Br)が、0.3以上であるのが好ましい。より好ましい分岐度(Br)は、0.4〜0.5である。さらに好ましい分岐度(Br)は、0.5である。コアシェル型のハイパーブランチポリマーの分岐度(Br)が前述の範囲にあると、コアシェル型のハイパーブランチポリマー分子間での絡まりが小さく、当該ハイパーブランチポリマーをレジスト組成物に用いた場合に、パターン側壁における表面ラフネスが抑制されるので好ましい。
【0063】
(コアシェル型のハイパーブランチポリマーの分子構造)
つぎに、コアシェル型のハイパーブランチポリマーの分子構造について説明する。コアシェル型のハイパーブランチポリマーの分子構造として、上述のように合成されたコアシェル型のハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(M)について説明する。
【0064】
この発明のコアシェル型のハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(M)は、酸分解性基が導入されたポリマーの各繰り返し単位の導入比率(構成比)を1H−NMRにより求め、前記ハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(Mw)をもとにして、各構成単位の導入比率および、各構成単位の分子量を使って計算により求めることができる。
【0065】
この発明のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、重量平均分子量(M)が、500〜21,000であることが好ましい。より好ましい重量平均分子量(M)は、2,000〜21,000である。もっとも好ましい重量平均分子量(M)は、3,000〜21,000である。
【0066】
重量平均分子量(M)が前述の範囲にあるコアシェル型のハイパーブランチポリマーを含有するレジスト組成物は、成膜性が良好であり、リソグラフィー工程で形成された加工パターンの強度を向上させて各パターンの形状を保つことができる。また、重量平均分子量(M)が前述の範囲にあるコアシェル型ハイパーブランチポリマーを含有するレジスト組成物は、ドライエッチング耐性に優れ、良好な表面ラフネス性を提供することができる。
【0067】
(コアシェル型のハイパーブランチポリマーの合成に用いる物質)
つぎに、コアシェル型のハイパーブランチポリマーの合成に用いる物質について説明する。コアシェル型のハイパーブランチポリマーの合成に際しては、モノマー、金属触媒、および溶媒を用いる。
【0068】
(コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いるモノマー)
はじめに、コアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いるモノマーについて説明する。コアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いるモノマーとしては、たとえば、下記式(I)で表されるモノマーが挙げられる。
【0069】
【化1】

【0070】
上記式(I)中のYは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基をあらわしている。Yにおける炭素数は、1〜8であることが好ましい。Yにおけるより好ましい炭素数は、1〜6である。上記の式(I)中のYは、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を含んでいてもよい。
【0071】
上記式(I)中のYとしては、具体的には、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、アミレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられる。また、上記式(I)中のYとしては、上記の各基が結合した基、あるいは、上述した各基に「−O−」、「−CO−」、「−COO−」が介在した基が挙げられる。
【0072】
上述した各基の中で、式(I)中のYとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましい。炭素数1〜8のアルキレン基の中で、上記式(I)中のYとしては、炭素数1〜8の直鎖アルキレン基がより好ましい。より好ましいアルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、−OCH2−基、−OCH2CH2−基が挙げられる。上記式(I)中のZは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子(ハロゲノ基)をあらわしている。上記式(I)中のZとして、具体的には、たとえば、上述したハロゲン原子の中で、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0073】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いるモノマーの中で、上記式(I)であらわされるモノマーとしては、具体的には、たとえば、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、p−(1−クロロエチル)スチレン、ブロモ(4−ビニルフェニル)フェニルメタン、1−ブロモ−1−(4−ビニルフェニル)プロパン−2−オン、3−ブロモ−3−(4−ビニルフェニル)プロパノール、などが挙げられる。より具体的に、ハイパーブランチポリマーの合成に用いるモノマーの中で、上記式(I)であらわされるモノマーとしては、たとえば、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、p−(1−クロロエチル)スチレンなどが好ましい。
【0074】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いるモノマーとしては、上記式(I)であらわされるモノマーに加え、他のモノマーを含むことができる。他のモノマーとしては、ラジカル重合が可能なモノマーであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ラジカル重合が可能な他のモノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸エステル類、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸エステル類、スチレン類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などから選ばれるラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。
【0075】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられた(メタ)アクリル酸エステル類としては、具体的には、たとえば、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−メチルブチル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸3−メチルペンチル、アクリル酸2−メチルヘキシル、アクリル酸3−メチルヘキシル、アクリル酸トリエチルカルビル、アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−メチルノルボニル、アクリル酸1−エチルノルボニル、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸1−メトキシエチル、アクリル酸1−エトキシエチル、アクリル酸1−n−プロポキシエチル、アクリル酸1−イソプロポキシエチル、アクリル酸n−ブトキシエチル、アクリル酸1−イソブトキシエチル、アクリル酸1−sec−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−アミロキシエチル、アクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、アクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリエチルシリル、アクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、アクリル酸1−メチルシクロヘキシル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、アクリル酸クロルエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸トリメチロールプロパン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−メチルブチル、メタクリル酸2−メチルペンチル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸3−メチルペンチル、メタクリル酸2−メチルヘキシル、メタクリル酸3−メチルヘキシル、メタクリル酸トリエチルカルビル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−メチルノルボニル、メタクリル酸1−エチルノルボニル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸テトラヒドロフラニル、メタクリル酸テトラヒドロピラニル、メタクリル酸1−メトキシエチル、メタクリル酸1−エトキシエチル、メタクリル酸1−n−プロポキシエチル、メタクリル酸1−イソプロポキシエチル、メタクリル酸n−ブトキシエチル、メタクリル酸1−イソブトキシエチル、メタクリル酸1−sec−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−アミロキシエチル、メタクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、メタクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリエチルシリル、メタクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、メタクリル酸1−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、メタクリル酸クロルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、メタクリル酸5−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、などが挙げられる。
【0076】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられたビニル安息香酸エステル類としては、具体的には、たとえば、ビニル安息香酸tert−ブチル、ビニル安息香酸2−メチルブチル、ビニル安息香酸2−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−エチルブチル、ビニル安息香酸3−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−メチルヘキシル、ビニル安息香酸3−メチルヘキシル、ビニル安息香酸トリエチルカルビル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−メチルノルボニル、ビニル安息香酸1−エチルノルボニル、ビニル安息香酸2−メチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸2−エチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、ビニル安息香酸テトラヒドロフラニル、ビニル安息香酸テトラヒドロピラニル、ビニル安息香酸1−メトキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシエチル、ビニル安息香酸1−n−プロポキシエチル、ビニル安息香酸1−イソプロポキシエチル、ビニル安息香酸n−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−イソブトキシエチル、ビニル安息香酸1−sec−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−アミロキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−n−プロピル、ビニル安息香酸1−シクロヘキシロキシエチル、ビニル安息香酸メトキシプロピル、ビニル安息香酸エトキシプロピル、ビニル安息香酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸トリメチルシリル、ビニル安息香酸トリエチルシリル、ビニル安息香酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、ビニル安息香酸1−メチルシクロヘキシル、ビニル安息香酸アダマンチル、ビニル安息香酸2−(2−メチル)アダマンチル、ビニル安息香酸クロルエチル、ビニル安息香酸2−ヒドロキシエチル、ビニル安息香酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、ビニル安息香酸5−ヒドロキシペンチル、ビニル安息香酸トリメチロールプロパン、ビニル安息香酸グリシジル、ビニル安息香酸ベンジル、ビニル安息香酸フェニル、ビニル安息香酸ナフチルなどが挙げられる。
【0077】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられたスチレン類としては、具体的には、たとえば、スチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、ベンジルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0078】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられたアリル化合物としては、具体的には、たとえば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、アリルオキシエタノールなどが挙げられる。
【0079】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられたビニルエーテル類としては、具体的には、たとえば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテルなどが挙げられる。
【0080】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられたビニルエステル類としては、具体的には、たとえば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなどが挙げられる。
【0081】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いるモノマーとして上述した各種のモノマーの中で、この発明のハイパーブランチポリマーの合成に用いるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、4−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸エステル類、スチレン類が好ましい。前述の各種モノマー中でも、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部に相当するモノマーとしては、具体的には、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、4−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸tert−ブチル、スチレン、ベンジルスチレン、クロルスチレン、ビニルナフタレンが好ましい。
【0082】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーにおいて、コア部を形成するモノマーは、仕込み時において、コアシェル型のハイパーブランチポリマーを形成する全モノマーに対して、10〜90モル%の量で含まれることが好ましい。コア部を形成するモノマーのより好ましい量は、仕込み時において、コアシェル型のハイパーブランチポリマーを形成する全モノマーに対して、10〜80モル%である。コア部を形成するモノマーのより一層好ましい量は、仕込み時において、コアシェル型のハイパーブランチポリマーを形成する全モノマーに対して、10〜60モル%である。
【0083】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部を構成するモノマーの量が前述の範囲内にあると、当該ハイパーブランチポリマーを用いたレジスト組成物は、現像液に対する適度な疎水性を有し、未露光部分の溶解を抑制することができるので好ましい。
【0084】
上記式(I)で表わされるモノマーは、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部を形成する全モノマーに対して、5〜100モル%の量で含まれていることが好ましい。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部を形成する全モノマーに対して、上記式(I)で表わされるモノマーのより好ましい量は、20〜100モル%である。
【0085】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部を形成する全モノマーに対して、上記式(I)で表わされるモノマーのより一層好ましい量は、50〜100モル%である。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部を形成する全モノマーに対する上記式(I)で表わされるモノマーの量が前述の範囲にあると、コア部が球状形態をとるため、分子間の絡まりを抑制することができ、好ましい。
【0086】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部が、式(I)で表されるモノマーとその他のモノマーとの重合物である場合、コア部を構成する全モノマー中における上記式(I)の量は、仕込み時において、10〜99モル%であるのが好ましい。この場合、コア部を構成する全モノマー中における上記式(I)のより好ましい量は、仕込み時において、20〜99モル%である。また、この場合、コア部を構成する全モノマー中における上記式(I)のより一層好ましい量は、仕込み時において、30〜99モル%である。
【0087】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部が、式(I)で表されるモノマーとその他のモノマーとの重合物である場合、コア部を構成する全モノマー中における上記式(I)の量が前述の範囲にあると、コア部が球状形態をとるため、分子間の絡まりを抑制することができ、好ましい。
【0088】
また、コア部を構成する全モノマー中における上記式(I)の量が前述の範囲にあると、コア部の球状形態を保ちつつ、基板密着性やガラス転移温度の上昇等の機能を付与することができるので、好ましい。なお、コア部を構成する全モノマー中における上記式(I)であらわされるモノマーとそれ以外のモノマーとの量は、目的に応じて重合時の仕込み量比により調節することができる。
【0089】
(コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いる触媒)
つぎに、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いる触媒について説明する。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いる触媒としては、たとえば、銅、鉄、ルテニウム、クロム等の遷移金属と未置換のおよびアルキル基、アリール基、アミノ基、ハロゲン基、エステル基などにより置換されたピリジン類およびビピリジン類、脂肪族ポリアミン類、脂肪族アミン類、あるいはアルキル、およびアリールホスフィン類などからなる配位子を組み合わせた触媒、たとえば、塩化銅(I)、あるいは臭化銅(I)と配位子の組み合わせによる銅ビピリジル錯体、銅ペンタメチルジエチレントリアミン錯体、銅テトラメチルエチレンジアミン錯体、塩化鉄(II)と配位子の組み合わせによる鉄トリブチルホスフィン錯体、鉄トリフェニルホスフィン錯体、鉄トリブチルアミン錯体などを挙げることができる。
【0090】
前述した各種の触媒の中で、銅ビピリジル錯体、銅ペンタメチルジエチレントリアミン錯体鉄トリブチルホスフィン錯体、鉄トリブチルアミン錯体が、この発明のコアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いる触媒として特に好ましい。
【0091】
上述した合成方法にしたがったコアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いる金属触媒の使用量は、仕込み時において、モノマーの全量に対して0.1〜70モル%となるように使用するのが好ましく、1〜60モル%となるように使用するのがより好ましい。このような量で触媒を使用すると、好適な分岐度を有するハイパーブランチポリマーコア部を得ることができる。
【0092】
金属触媒の使用量が上記の範囲を下回った場合、反応性が著しく低下し、重合が進行しない可能性がある。一方、金属触媒の使用量が上記の範囲を上回った場合、重合反応が過剰に活発になり、生長末端のラジカル同士がカップリング反応しやすくなり、重合の制御が困難になる傾向がある。さらに、金属触媒の使用量が上記の範囲を上回った場合、ラジカル同士のカップリング反応により、反応系のゲル化が誘発される。
【0093】
金属触媒は、上述した遷移金属化合物と配位子とを装置内で混合し、錯体化されてもよい。遷移金属化合物と配位子とからなる金属触媒は、活性を持つ錯体の状態で装置に加えられてもよい。遷移金属化合物と配位子とを装置内で混合し、錯体化される方が、ハイパーブランチポリマーの合成作業の簡便化を図ることができるため好ましい。
【0094】
金属触媒の添加方法は特に限定されるものではないが、たとえば、ハイパーブランチポリマーの重合前に一括して添加することができる。また、重合開始後、触媒の失活具合に応じて金属触媒を追加して添加してもよい。たとえば、金属触媒となる錯体の反応系における分散状態が不均一である場合には、遷移金属化合物を装置内にあらかじめ添加しておき、配位子のみを後から添加するようにしてもよい。
【0095】
上述した金属触媒の存在下においてハイパーブランチポリマーを合成するための重合反応は、無溶媒でも可能であるが、溶媒中でおこなうことが望ましい。上述した金属触媒の存在下におけるハイパーブランチコアポリマーの重合反応に用いる溶媒としては、特に限定はされないが、たとえば、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒が挙げられる。これらは、単独で使用されても、2種以上を併用しても良い。
【0096】
ハイパーブランチポリマーの合成(コア重合)に際しては、ラジカルが酸素の影響を受けることを防ぐために、窒素や不活性ガス存在あるいはフロー下、酸素不存在条件の下でコア重合をおこなうことが好ましい。コア重合は、バッチ方式、連続式のいずれの方法にも適用することができる。コア重合に際しては、金属触媒が酸化されて失活することを防ぐため、コア重合に使用する全ての物質、すなわち、金属触媒、溶媒、モノマーなどは、減圧、あるいは、窒素やアルゴンのような不活性ガスの吹き込みによって、十分に脱酸素(脱気)したものを使用することが好ましい。
【0097】
コア重合は、たとえば、反応容器内にモノマーを滴下しながら重合をおこなうことができる。モノマーの滴下スピードをコントロールすることで、合成されるハイパーブランチコアポリマー(マクロ開始剤)における高い分岐度を保ち、且つ、急激な分子量の増加を抑制することができる。すなわち、モノマーの滴下スピードをコントロールすることで、合成されるハイパーブランチコアポリマーにおける高い分岐度を保ったまま、ポリマー分子量を精度良くコントロールすることができる。ハイパーブランチコアポリマーにおける急激な分子量の増加を抑制するため、滴下するモノマーの濃度は、反応全量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。
【0098】
コア重合に際しては、モノマー(仕込みモノマー)を、重合反応をおこなう反応容器に後から加えて反応をおこなわせることができる。ここで、反応容器(反応系)に対するモノマーの1回当たりの混合量(添加量)は、当該反応系に混合するモノマーの全量未満とする。ハイパーブランチコアポリマーにおける高い分岐度を保ち、且つ、急激な分子量の増加を抑制するため、反応系に混合する1回当たりのモノマー量は、モノマー全量の50%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましい。
【0099】
たとえば、所定時間に亘ってモノマーを滴下することで反応系にモノマーを混合する連続式や、反応系に混合するモノマーの全量を複数回に分割した一定量のモノマーを一定間隔ごとに加えることで反応系にモノマーを混合する分割式などの方式にしたがって反応系にモノマーを混合することで、反応容器(反応系)に対するモノマーの1回当たりの混合量(添加量)を、当該反応系に混合するモノマーの全量未満とする。
【0100】
また、たとえば、所定時間に亘ってモノマーを連続して注入することで反応系にモノマーを混合するようにしてもよい。この場合、反応系に対して或る単位時間内に混合されたモノマーの混合量(添加量)は、当該反応系に混合するモノマーの全量未満となる。
【0101】
連続式を用いて反応系にモノマーを混合する場合、モノマーの滴下時間としては、たとえば、5〜300分が好ましい。連続式を用いて反応系にモノマーを混合する場合のモノマーのより好ましい滴下時間は、15〜240分である。連続式を用いて反応系にモノマーを混合する場合のより一層好ましい滴下時間は、30〜180分である。
【0102】
分割式を用いて反応系にモノマーを混合する場合、1回分のモノマーを混合してから所定のインターバルを開けてつぎの1回分のモノマーを混合する。所定時間としては、たとえば、混合したモノマーが少なくとも1回の重合反応をおこなうために要する時間であってもよいし、混合したモノマーが反応系全体に均一に分散するために要する時間であってもよいし、モノマーを混合することによって変動した反応系の温度が安定するまでに要する時間であってもよい。
【0103】
なお、反応系に対するモノマーの滴下時間が短すぎる場合、分子量の急増を抑制するための十分な効果が発揮されない可能性がある。また、反応系に対するモノマーの滴下時間が長すぎる場合、ハイパーブランチポリマーの合成を開始してから終了するまでのトータルでの重合時間が長くなり、ハイパーブランチポリマーの合成コストがかかるため好ましくない。
【0104】
コア重合に際しては、添加剤を用いることができる。コア重合に際しては、下記式(1−1)または式(1−2)で示される化合物の少なくとも一種類を添加することが可能である。
【0105】
1−A 式(1−1)
【0106】
2−B−R3 式(1−2)
【0107】
上記式(1−1)中のR1は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアリール基または炭素数1〜10のアラルキル基を示している。より詳細には、上記式(1−1)中のR1は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基をあらわす。上記式(1−1)中のAは、シアノ基、水酸基、ニトロ基を示している。上記式(1−1)であらわされる化合物としては、たとえば、ニトリル類、アルコール類、ニトロ化合物などが挙げられる。
【0108】
具体的に、上記式(1−1)であらわされる化合物に含まれるニトリル類としては、たとえば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルなどが挙げられる。具体的に、上記式(1−1)であらわされる化合物に含まれるアルコール類としては、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘシキルアルコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。具体的に、上記式(1−1)であらわされる化合物に含まれるニトロ化合物としては、たとえば、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロベンゼンなどが挙げられる。なお、式(1−1)であらわされる化合物は、上記の化合物に限定されるものではない。
【0109】
上記式(1−2)中のR2およびR3は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアリール基、炭素数1〜10のアラルキル基または炭素数1〜10のジアルキルアミド基、Bはカルボニル基、スルホニル基を示している。より詳細には、上記式(1−2)中のR2およびR3は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基または炭素数2〜10のジアルキルアミノ基をあらわす。上記式(1−2)中のR2とR3とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0110】
上記式(1−2)であらわされる化合物としては、たとえば、ケトン類、スルホキシド類、アルキルホルムアミド化合物などが挙げられる。具体的に、ケトン類としては、たとえば、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、シクロヘキサンノン、2−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2−メチルアセトフェノンなどが挙げられる。
【0111】
具体的に、上記式(1−2)であらわされる化合物に含まれるスルホキシド類としては、たとえば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどが挙げられる。具体的に、上記式(1−2)であらわされる化合物に含まれるアルキルホルムアミド化合物としては、たとえば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミドなどが挙げられる。なお、上記式(1−2)であらわされる化合物は、上記の化合物に限定されるものではない。上記式(1−1)または上記式(1−2)であらわされる化合物の中で、ニトリル類、ニトロ化合物、スルホキシド類、ケトン類、アルキルホルムアミド化合物が好ましく、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ニトロエタン、ニトロプロパン、ジメチルスルホキシド、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。
【0112】
ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0113】
ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物を、溶媒として単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0114】
ハイパーブランチポリマーの合成に際して添加する、上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物の添加量は、上述した金属触媒における遷移金属原子の量に対して、モル比で2倍以上であって10000倍以下であることが好ましい。上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物の添加量は、上述した金属触媒における遷移金属原子の量に対して、モル比で3倍以上であって7000倍以下であることがより好ましく、モル比で4倍以上であって5000倍以下であることがより一層好ましい。
【0115】
なお、上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物の添加量が少なすぎる場合、急激な分子量の増加を十分に抑制できない。一方で、上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物の添加量が多すぎる場合、反応速度が遅くなりオリゴマーが多量にできてしまう。
【0116】
コア重合の重合時間は、重合物の分子量に応じて、0.1〜30時間の間で行うことが好ましく、さらには0.1〜10時間、特に1〜10時間の間で行うことが好ましい。コア重合に際して、反応温度は、0〜200℃の範囲であることが好ましい。コア重合に際してのより好ましい反応温度は、50〜150℃の範囲である。使用溶媒の沸点よりも高い温度で重合させる場合は、たとえば、オートクレープ中で加圧してもよい。
【0117】
コア重合に際しては、反応系を均一に分散させることが好ましい。たとえば、反応系を撹拌することで、反応系を均一に分散させる。コア重合に際しての具体的な撹拌条件としては、たとえば、単位容積当たりの攪拌所要動力が、0.01kW/m3以上であることが好ましい。コア重合に際しては、さらに、重合の進行や触媒の失活の程度に応じて、触媒を追加したり、触媒を再生させる還元剤を添加したりしてもよい。
【0118】
コア重合に際しては、コア重合が設定した分子量に到達した時点で重合反応を停止させる。コア重合の停止方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、冷却する、酸化剤やキレート剤などの添加によって触媒を失活させる、などの方法用いることができる。
【0119】
上述したようなハイパーブランチポリマーの合成方法によれば、コア重合に際して、たとえば、R1−AまたはR2−B−R3で示される化合物の少なくとも一種類を添加する場合、ハイパーブランチコアポリマー分子間でゲル化が発生することを防止できるので好ましい。
【0120】
また、上述したようなハイパーブランチポリマーの合成方法によれば、コア重合に際して、たとえば、反応系に対するモノマーの1回当たりの混合量を、当該反応系に混合するモノマーの全量未満とすることで、反応系に対してモノマーの全量を1回で混合する場合と比較して金属触媒の使用量を低減するとともに、急激な分子量の増加を抑制することができるので好ましい。
【0121】
これによって、上述したようなハイパーブランチポリマーの合成方法によれば、簡易な方法によって、金属触媒の使用量を低減するとともに、急激な分子量の増加を抑制し、目的とする分子量および分岐度を有するハイパーブランチポリマーを安定的に製造することができるので好ましい。
【0122】
(コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の製造に用いるモノマー)
つぎに、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の製造に用いるモノマーについて説明する。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部は、当該ポリマー分子の末端を構成する。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の製造に用いるモノマーとしては、たとえば、下記式(II)で表される繰り返し単位を与えるモノマー、式(III)で表される繰り返し単位を与えるモノマー、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるモノマーが挙げられる。
【0123】
下記式(II)または下記式(III)であらわされる繰り返し単位は、たとえば、酢酸、マレイン酸、安息香酸などの有機酸或いは塩酸、硫酸または硝酸などの無機酸の作用によって分解する酸分解性基を含んでいる。下記式(II)または下記式(III)であらわされる繰り返し単位は、光エネルギーによって酸を発生する光酸発生剤の作用により分解する酸分解性基を含んでいることが好ましい。酸分解性基としては、分解して親水基となるものが好ましい。
【0124】
【化2】

【0125】
【化3】

【0126】
上記式(II)中のR1および上記式(III)中のR4は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示している。このうち、上記式(II)中のR1および上記式(III)中のR4としては、水素原子およびメチル基が好ましい。上記式(II)中のR1および上記式(III)中のR4としては、水素原子がさらに好ましい。
【0127】
上記式(II)中のR2は、水素原子、アルキル基、またはアリール基を示している。上記式(II)中のR2におけるアルキル基としては、たとえば、炭素数が1〜30であることが好ましい。上記式(II)中のR2におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜20である。上記式(II)中のR2におけるアルキル基のより一層好ましい炭素数は、1〜10である。アルキル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状構造を有している。具体的に、上記式(II)中のR2におけるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0128】
上記式(II)中のR2におけるアリール基としては、たとえば、炭素数6〜30であることが好ましい。上記式(II)中のR2におけるアリール基のより好ましい炭素数は、6〜20である。上記式(II)中のR2におけるアリール基のより一層好ましい炭素数は、6〜10である。具体的に、上記式(II)中のR2におけるアリール基としては、たとえば、フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。このうち、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられる。上記式(II)中のR2として、もっとも好ましい基の1つとして水素原子が挙げられる。
【0129】
上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5は、水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基、オキソアルキル基、または下記式(i)であらわされる基を示している。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5におけるアルキル基としては、炭素数1〜40であることが好ましい。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜30である。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5におけるアルキル基のより一層好ましい炭素数は、1〜20である。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5におけるアルキル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状構造を有している。
【0130】
上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5における各アルキル基の好ましい炭素数は1〜6であり、より好ましい炭素数は1〜4である。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5におけるオキソアルキル基のアルキル基の炭素数は4〜20であり、より好ましい炭素数は4〜10である。
【0131】
【化4】

【0132】
上記式(i)中のR6は、水素原子またはアルキル基を示している。下記式(i)であらわされる基のR6におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、もしくは環状構造を有している。下記式(i)であらわされる基のR6におけるアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましい。下記式(i)であらわされる基のR6におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜8であり、より好ましい炭素数は1〜6である。
【0133】
上記式(i)中のR7およびR8は、水素原子またはアルキル基である。上記式(i)中のR7およびR8における水素原子またはアルキル基は、互いに独立していてもよいし、一緒になって環を形成しても良い。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状構造を有している。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましい。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜8である。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基のより一層好ましい炭素数は、1〜6である。上記式(i)中のR7およびR8としては、炭素数1〜20の分岐状アルキル基が好ましい。
【0134】
上記式(i)で示される基としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−sec−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−tert−アミロキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、1−シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチル−エチル基などの直鎖状または分岐状アセタール基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基などの環状アセタール基、などが挙げられる。上記式(i)で示される基としては、前述した各基の中でも、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシプロピル基、テトラヒドロピラニル基が特に好適である。
【0135】
上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5としては、炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基が好ましい。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5としては、炭素数1〜20の分岐状アルキル基がより好ましい。
【0136】
上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5において、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、tert−アミル基などが挙げられる。このうち、tert−ブチル基が特に好ましい。
【0137】
上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5において、トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基などの各アルキル基の炭素数が1〜6のものが挙げられる。オキソアルキル基としては、3−オキソシクロヘキシル基、などが挙げられる。
【0138】
上記式(II)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーとしては、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸tert−ブチル、ビニル安息香酸2−メチルブチル、ビニル安息香酸2−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−エチルブチル、ビニル安息香酸3−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−メチルヘキシル、ビニル安息香酸3−メチルヘキシル、ビニル安息香酸トリエチルカルビル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−メチルノルボニル、ビニル安息香酸1−エチルノルボニル、ビニル安息香酸2−メチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸2−エチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、ビニル安息香酸テトラヒドロフラニル、ビニル安息香酸テトラヒドロピラニル、ビニル安息香酸1−メトキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシエチル、ビニル安息香酸1−n−プロポキシエチル、ビニル安息香酸1−イソプロポキシエチル、ビニル安息香酸n−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−イソブトキシエチル、ビニル安息香酸1−sec−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−アミロキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−n−プロピル、ビニル安息香酸1−シクロヘキシロキシエチル、ビニル安息香酸メトキシプロピル、ビニル安息香酸エトキシプロピル、ビニル安息香酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸トリメチルシリル、ビニル安息香酸トリエチルシリル、ビニル安息香酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、ビニル安息香酸1−メチルシクロヘキシル、ビニル安息香酸アダマンチル、ビニル安息香酸2−(2−メチル)アダマンチル、ビニル安息香酸クロルエチル、ビニル安息香酸2−ヒドロキシエチル、ビニル安息香酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、ビニル安息香酸5−ヒドロキシペンチル、ビニル安息香酸トリメチロールプロパン、ビニル安息香酸グリシジル、ビニル安息香酸ベンジル、ビニル安息香酸フェニル、ビニル安息香酸ナフチルなどが挙げられる。このうち、4−ビニル安息香酸と4−ビニル安息香酸tert−ブチルの重合体が好ましい。
【0139】
上記式(III)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−メチルブチル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸3−メチルペンチル、アクリル酸2−メチルヘキシル、アクリル酸3−メチルヘキシル、アクリル酸トリエチルカルビル、アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−メチルノルボニル、アクリル酸1−エチルノルボニル、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸1−メトキシエチル、アクリル酸1−エトキシエチル、アクリル酸1−n−プロポキシエチル、アクリル酸1−イソプロポキシエチル、アクリル酸n−ブトキシエチル、アクリル酸1−イソブトキシエチル、アクリル酸1−sec−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−アミロキシエチル、アクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、アクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリエチルシリル、アクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、アクリル酸1−メチルシクロヘキシル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、アクリル酸クロルエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸トリメチロールプロパン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−メチルブチル、メタクリル酸2−メチルペンチル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸3−メチルペンチル、メタクリル酸2−メチルヘキシル、メタクリル酸3−メチルヘキシル、メタクリル酸トリエチルカルビル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−メチルノルボニル、メタクリル酸1−エチルノルボニル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸テトラヒドロフラニル、メタクリル酸テトラヒドロピラニル、メタクリル酸1−メトキシエチル、メタクリル酸1−エトキシエチル、メタクリル酸1−n−プロポキシエチル、メタクリル酸1−イソプロポキシエチル、メタクリル酸n−ブトキシエチル、メタクリル酸1−イソブトキシエチル、メタクリル酸1−sec−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−アミロキシエチル、メタクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、メタクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリエチルシリル、メタクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、メタクリル酸1−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、メタクリル酸クロルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、メタクリル酸5−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、などが挙げられる。このうち、アクリル酸とアクリル酸tert−ブチルの重合体が好ましい。
【0140】
なお、シェル部に相当するモノマーとしては、4−ビニル安息香酸またはアクリル酸の少なくとも一方と、4−ビニル安息香酸tert−ブチルまたはアクリル酸tert−ブチルの少なくとも一方と、の重合体も好ましい。シェル部に相当するモノマーとしては、ラジカル重合性の不飽和結合を有する構造であれば、上記式(II)および上記式(III)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマー以外のモノマーであってもよい。
【0141】
使用することができる重合モノマーとしては、たとえば、上記以外のスチレン類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、クロトン酸エステル類などから選ばれるラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物、などが挙げられる。
【0142】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたスチレン類としては、具体例には、たとえば、スチレン、tert−ブトキシスチレン、α−メチル−tert−ブトキシスチレン、4−(1−メトキシエトキ)シスチレン、4−(1−エトキシエトキ)シスチレン、テトラヒドロピラニルオキシスチレン、アダマンチルオキシスチレン、4−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)スチレン、4−(1−メチルシクロヘキシルオキシ)スチレン、トリメチルシリルオキシスチレン、ジメチル−tert−ブチルシリルオキシスチレン、テトラヒドロピラニルオキシスチレン、ベンジルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン、ビニルナフタレン、などが挙げられる。
【0143】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたアリルエステル類としては、具体例には、たとえば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、アリルオキシエタノール、などが挙げられる。
【0144】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたビニルエーテル類としては、具体例には、たとえば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル、などが挙げられる。
【0145】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたビニルエステル類としては、具体例には、たとえば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、などが挙げられる。
【0146】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたクロトン酸エステル類としては、具体例には、たとえば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、グリセリンモノクロトネート、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、ジメチルマレレート、ジブチルフマレート、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、などが挙げられる。
【0147】
また、シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとしては、具体的には、たとえば、下記式(IV)〜式(XIII)なども挙げられる。
【0148】
【化5】

【0149】
【化6】

【0150】
【化7】

【0151】
【化8】

【0152】
【化9】

【0153】
【化10】

【0154】
【化11】

【0155】
【化12】

【0156】
【化13】

【0157】
【化14】

【0158】
シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーの中で、スチレン類、クロトン酸エステル類が好ましい。シェル部を形成するモノマーとして使用することができる重合モノマーの中でもスチレン、ベンジルスチレン、クロルスチレン、ビニルナフタレン、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、無水マレイン酸が好ましい。
【0159】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部は、上述したように合成されたハイパーブランチポリマーのコア部と、酸分解性基を含有するモノマーとを反応させることによって、上述したように合成されたハイパーブランチポリマーの末端に導入することができる。ハイパーブランチポリマーのコア部に、酸分解性基を含有するモノマーとしては、たとえば、少なくとも上記式(II)または上記式(III)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーが挙げられる。これによって、少なくとも上記式(II)または上記式(III)であらわされる繰り返し単位を与える酸分解性基を、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部に導入することができる。
【0160】
この発明のコアシェル型のハイパーブランチポリマーにおいて、上記式(II)または上記式(III)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーは、コアシェル型のハイパーブランチポリマーに対して10〜90モル%の範囲で含まれていることが好ましい。より好ましい範囲は20〜90モル%であり、より一層好ましい範囲は30〜90モル%である。特に、シェル部において上記式(II)または上記式(III)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位が、コアシェル型のハイパーブランチポリマーに対して50〜100モル%の範囲で含まれていることが好ましく、80〜100モル%の範囲で含まれていることがより好ましい。
【0161】
シェル部における上記式(II)または上記式(III)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位が、コアシェル型のハイパーブランチポリマーに対して前述の範囲内にあると、当該コアシェル型のハイパーブランチポリマーを用いたレジスト組成物を用いたリソグラフィーの現像工程において、露光部分が効率よくアルカリ溶液に溶解し除去されるので好ましい。
【0162】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部が、上記式(II)または上記式(III)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーとその他のモノマーとの重合物であるとき、シェル部を構成する全モノマー中における上記式(II)または上記式(III)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーの量は、仕込み時において、30〜90モル%であるのが好ましく、50〜70モル%であるのがより好ましい。このような範囲内にあると、露光部の効率的アルカリ溶解性を阻害せずに、エッチング耐性、ぬれ性、ガラス転移温度の上昇等の機能が付与されるので好ましい。
【0163】
なお、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部における上記式(II)または上記式(III)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位とそれ以外の繰り返し単位との量は、目的に応じてシェル部導入時のモル比の仕込み量比により調節することができる。
【0164】
(コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の合成に用いる触媒)
つぎに、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の合成に用いる触媒について説明する。コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の合成に用いる触媒としては、たとえば、上述したような、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いる触媒と同様の遷移金属錯体触媒が挙げられる。具体的に、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の合成に用いる触媒としては、たとえば、銅(I価)ビピリジル錯体が挙げられる。
【0165】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーのシェル部の合成に用いる触媒は、上述したコアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部の末端に多数存在するハロゲン化炭素を開始点として、少なくとも上記式(II)または上記式(III)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーを含んでなる1種以上の化合物における二重結合とリビングラジカル重合することによって、シェル部を直鎖状に付加重合させるものである。
【0166】
具体的には、たとえば、0〜200℃で、0.1〜30時間、クロロベンゼンなどの溶媒中で、上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部と、少なくとも上記式(II)または上記式(III)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーを含んでなる1種以上の化合物と、を反応させることによって、この発明のコアシェル型のハイパーブランチポリマーを製造することができる。
【0167】
酸分解性基の一部を塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ギ酸などの酸触媒により酸基に分解するには、固体状のレジストポリマー中間体を、酸触媒を含有する1,4−ジオキサン等の適当な有機溶媒に添加し、通常、50〜150℃の温度で、10分〜20時間加熱攪拌させることによりおこなうことができる。
【0168】
得られたレジストポリマーの酸分解性基と酸基との比率は、レジストの組成により最適値が異なるが、導入した酸分解性基を含有するモノマー中の0.1〜80モル%が脱保護されているのが好ましい。酸分解性基と酸基との比率がこのような範囲にあると、高感度と露光後の効率的なアルカリ溶解性が達成されるため、好ましい。得られた固形状のレジストポリマーはまた、反応溶媒から分離し、乾燥してその後の利用に供することができる。
【0169】
上述したように、コアシェル型のハイパーブランチポリマーを含むハイパーブランチポリマーの合成方法によれば、吸着剤を用いることなく、金属およびオリゴマーを同時に除去することができる。これによって、上述したコアシェル型のハイパーブランチポリマーを含むハイパーブランチポリマーの合成方法によれば、吸着剤を用いることなく金属触媒および副生物のオリゴマーなどの不純物を簡便に除去することができ、ハイパーブランチポリマーを簡便かつ安定的に大量合成することができる。
【0170】
上述したコアシェル型のハイパーブランチポリマーを含むハイパーブランチポリマーの合成方法によれば、コア部に対して酸分解性基を導入する工程に影響がない程度に金属を除去することができる。なお、上述したコアシェル型のハイパーブランチポリマーを含むハイパーブランチポリマーの合成方法において除去されるオリゴマーとは、上述したコアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部としてのハイパーブランチポリマーの重量平均分子量の4分の1以下の分子量を有する物質を指す。
【0171】
上述したコアシェル型のハイパーブランチポリマーを含むハイパーブランチポリマーの合成方法において、溶媒A〜Cの溶解度パラメータおよび量を調整することで、吸着剤を用いることなく、金属およびオリゴマーを同時に除去することができる。これによって、上述したコアシェル型のハイパーブランチポリマーを含むハイパーブランチポリマーの合成方法によれば、吸着剤を用いることなく金属触媒および副生物のオリゴマーなどの不純物を簡便に除去できるため、ハイパーブランチポリマーを簡便かつ安定的に大量合成することができる。
【0172】
また、上述したように、吸着剤を用いることなく、金属触媒および副生物のオリゴマーなどの不純物を簡便に除去したハイパーブランチポリマーを用いてコアシェル型のハイパーブランチポリマーを合成することで、品質の安定したコアシェル型のハイパーブランチポリマーを簡便に大量合成することができる。そして、上述したような合成方法を用いることで、金属触媒および副生物のオリゴマーなどの不純物が除去され、品質の安定したコアシェル型のハイパーブランチポリマーを含むハイパーブランチポリマーを大量に得ることができる。
【0173】
また、上述したように合成されたコアシェル型のハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物によれば、反応性が大きく変化したり露光後に不溶化したりするなどの悪影響の発生を低減することができる。
【0174】
また、上述したように合成されたコアシェル型のハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物を用いることで、超微細な回路パターンが形成された半導体集積回路を得ることができる。
【0175】
また、上述したように合成されたコアシェル型のハイパーブランチポリマーを含むハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物を用いて半導体集積回路を製造することで、超微細な回路パターンが形成された半導体集積回路を容易に製造することができる。
【実施例】
【0176】
以下に、上述した実施の形態の実施例について説明する。上述した実施の形態の実施例は、以下に示した具体例に限るものではなく、以下に示した具体例によって何等限定的に解釈されるものではない。
【0177】
実施例においては、以下に示すようにコアシェル型ハイパーブランチポリマーを製造し、製造されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分岐度(Br)、金属含有量、およびモノマー成分の減少率(%),ダイマー成分の減少率(%)を測定した。
【0178】
(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))
はじめに、実施例におけるコアシェル型ハイパーブランチポリマー(コア部)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)について説明する。実施例におけるコアシェル型ハイパーブランチポリマー(コア部)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、東ソー株式会社製GPC HLC−8020型装置、カラムをTSKgel HXL−M(東ソー株式会社製)2本を連結、温度40℃の環境下において測定することで求めた値である。測定に際しは、移動溶媒として、テトラヒドロフランを用いた。測定に際しては、標準物質として、ポリスチレンを使用した。
【0179】
(分岐度(Br))
つぎに、実施例におけるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの分岐度(Br)について説明する。実施例におけるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの分岐度は、生成物の1HNMRを測定し、以下のようにして求めた。具体的には、4.6ppmに現われる−CH2Cl部位のプロトンの積分比H1°と、4.8ppmに現われる−CHCl部位のプロトンの積分比H2°と、を用いて、下記数式を用いた演算により算出した。なお、−CH2Cl部位と−CHCl部位との両方で重合が進行し、分岐が高まると、Br値は0.5に近づく。
【0180】
(金属含有量)
つぎに、実施例におけるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの金属含有量について説明する。実施例におけるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの金属含有量は、ポリマー1%キシレン(原子吸光用)溶液を調整し、ICP(Inductively Coupled Plasma)装置(PerkinElmer製Optima5300DV)を用いて、触媒由来の銅(Cu)と吸着剤由来のアルミニウム(Al)の含有量を波長λCu=324.752nmおよびλAl=308.215nmで定量する。S−21(CONOSTAN製)を標準液として使用する。なお、この実施例の測定条件における金属の検出限界濃度は、銅が1ppm、アルミニウムが10ppmである(いずれもポリマーに対する)。
【0181】
【数2】

【0182】
この実施例においては、アドバンテック東洋(株)製GSR−200にて製造した超純水を用いた。超純水は、25℃における金属含有量が1ppb以下であり、比抵抗値18MΩ・cmである。また、この実施例においては、Krzysztof Matyjaszewski, Macromolecules.,29,1079(1996)およびJean M.J.Frecht,J.Poly.Sci.,36、955(1998)に掲載されている合成方法を参考にし、以下の合成を行った。
【0183】
(実施例1)
(ハイパーブランチポリマー(コア部A)の合成)
はじめに、実施例1のハイパーブランチポリマー(コア部A)の合成について説明する。実施例1のハイパーブランチポリマー(コア部A)の合成に際しては、まず、攪拌機および冷却管を取り付けた300mLの4つ口反応容器に、アルゴンガス雰囲気下において、2.2’−ビピリジル6.65g、塩化銅(I)2.1gを採り、当該4つ口反応容器に反応溶媒のクロロベンゼン150mLとアセトニトリル10mLを加え、クロロメチルスチレン32.5gを60分間で滴下し、4つ口反応容器内の温度を115℃一定に保ちながら加熱攪拌した。滴下時間を含めた反応時間は、240分とした。
【0184】
反応終了後、反応溶液を保留粒子サイズ1μmのろ紙を用いてろ過をおこない、ろ液にメタノール144mL/水16mL(溶媒A:反応溶媒の1倍容量部)を加えることで再沈させた。収率は80%であった。
【0185】
上述のようにして得られたハイパーブランチポリマー(コア部A)の重量平均分子量(Mw)および分岐度(Br)を測定した。また、上述のようにして得られたハイパーブランチポリマー(コア部A)の金属(銅およびアルミニウム)含有量を測定し、ポリマーに対する割合を計算した。コア部Aの結果を表1に示した。表1においては、銅の含有量を「Pppm」、アルミニウムの含有量を「Qppm」とあらわした。
【0186】
また、ハイパーブランチポリマー(コア部A)の重量平均分子量(Mw)の値の4分の1以下の分子量を有する物質の、精製物としてのハイパーブランチポリマー(コア部A)に対する割合を計算した。コア部Aの結果を表1に示す。表1においては、「R%」とあらわした。なお文中又は表1においてMeOHはメタノール、IPAは2−プロパノール、THFはテトラヒドロフランをそれぞれ表す。
【0187】
【表1】

【0188】
(実施例2)
(ハイパーブランチポリマー(コア部B)の合成)
つぎに、実施例2のハイパーブランチポリマー(コア部B)の合成について説明する。実施例2のハイパーブランチポリマー(コア部B)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と同様にして、反応時間を300分として重合反応をおこなった。
【0189】
実施例2のハイパーブランチポリマー(コア部B)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と比較して、精製時に用いた溶媒Aをメタノール288mL/水32mL(溶媒A:反応溶媒の2倍容量部)にした以外は、実施例1と同様にして、ハイパーブランチコア部Bを合成した。収率は、85%であった。
【0190】
実施例1と同様にして、実施例2のハイパーブランチポリマー(コア部B)の重量平均分子量(Mw)、分岐度(Br)、および金属含有量を測定し、4分の1以下の重量平均分子量を有する物質の割合を計算した。コア部Bに関する結果は表1に示した。
【0191】
(実施例3)
(ハイパーブランチポリマー(コア部C)の合成)
つぎに、実施例3のハイパーブランチポリマー(コア部C)の合成について説明する。実施例3のハイパーブランチポリマー(コア部C)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と同様にして、反応時間を360分として重合反応をおこなった。
【0192】
実施例3のハイパーブランチポリマー(コア部C)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と比較して、精製時に用いる溶媒Aの内、メタノールを2−プロパノールにした以外は、実施例1と同様にして、ハイパーブランチコア部Cを合成した。収率は、71%であった。
【0193】
実施例1と同様にして、実施例3のハイパーブランチポリマー(コア部C)の重量平均分子量(Mw)、分岐度(Br)、および金属含有量を測定し、4分の1以下の重量平均分子量を有する物質の割合を計算した。コア部Cに関する結果は表1に示した。
【0194】
(実施例4)
(ハイパーブランチポリマー(コア部D)の合成)
つぎに、実施例4のハイパーブランチポリマー(コア部D)の合成について説明する。実施例4のハイパーブランチポリマー(コア部D)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と同様にして、反応時間を300分として重合反応をおこなった。
【0195】
実施例4のハイパーブランチポリマー(コア部D)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と比較して、精製時に用いた溶媒Aをテトラヒドロフラン32mL/メタノール288mL(溶媒A:反応溶媒の2倍容量部)にした以外は、実施例1と同様にして、ハイパーブランチコア部Dを合成した。収率は、70%であった。
【0196】
実施例1と同様にして、実施例4のハイパーブランチポリマー(コア部D)の重量平均分子量(Mw)、分岐度(Br)、および金属含有量を測定し、4分の1以下の重量平均分子量を有する物質の割合を計算した。コア部Dに関する結果は表1に示した。
【0197】
(実施例5)
(ハイパーブランチポリマー(コア部E)の合成)
つぎに、実施例5のハイパーブランチポリマー(コア部E)の合成について説明する。実施例5のハイパーブランチポリマー(コア部E)は、以下の方法によって合成した。まず、300mLの4つ口反応容器に、2.2’−ビピリジル11.8g、塩化銅(I)3.5g、ベンゾニトリル345mLを仕込み、クロロメチルスチレン54.2gを秤り取った滴下漏斗、冷却管および撹拌機を取り付けた反応装置を組み立てた後、当該反応装置の内部を全体に亘って脱気し、脱気後に反応装置の内部を全体に亘ってアルゴン置換した。アルゴン置換した後、上述した混合物を125℃に加熱し、クロロメチルスチレンを30分かけて滴下した。滴下終了後、3.5時間加熱攪拌した。反応容器内へのクロロメチルスチレンの滴下時間を含めた反応時間は、4時間とした。
【0198】
反応終了後、反応溶液を保留粒子サイズ1μmのろ紙を用いてろ過をおこない、メタノール844gと超純水211gを予め混合した混合溶液に対してろ液を加えることでポリ(クロロメチルスチレン)を再沈させた。
【0199】
再沈によって得られたポリマー29gをベンゾニトリル100g(溶媒B:ポリマー1gあたり2mL)に溶解させた後、メタノール200gと超純水50gの混合溶液(溶媒C:溶媒Bの4倍容量部)を加え、遠心分離後、溶媒をデカンテーションにより取り除いてポリマーを回収した。この回収操作を3回繰り返し行い、ポリマー沈殿物を得た。
【0200】
デカンテーション後、沈殿物を減圧乾燥し、ポリ(クロロメチルスチレン)14.0gを得た。収率は、26%であった。
【0201】
実施例1と同様にして、実施例5のハイパーブランチポリマー(コア部E)の重量平均分子量(Mw)、分岐度(Br)、および金属含有量を測定し、4分の1以下の重量平均分子量を有する物質の割合を計算した。コア部Eに関する結果は表1に示した。
【0202】
(比較例1)
(ハイパーブランチポリマー(コア部F)の合成)
つぎに、比較例1のハイパーブランチポリマー(コア部F)の合成について説明する。比較例1のハイパーブランチポリマー(コア部F)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と同様にして、反応時間を300分として重合反応をおこなった。
【0203】
比較例1のハイパーブランチポリマー(コア部F)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と比較して、精製時に用いる溶媒Aをヘキサン160mL(溶媒A:反応溶媒の1倍容量部)とした以外は、実施例1と同様にして、ハイパーブランチコア部Fを合成した。収率は、収率45%であった。
【0204】
実施例1と同様にして、比較例3のハイパーブランチポリマー(コア部F)の重量平均分子量(Mw)、分岐度(Br)、および金属含有量を測定し、4分の1以下の重量平均分子量を有する物質の割合を計算した。コア部Fに関する結果は表1に示した。
【0205】
(比較例2)
(ハイパーブランチポリマー(コア部G)の合成)
つぎに、比較例2のハイパーブランチポリマー(コア部G)の合成について説明する。比較例2のハイパーブランチポリマー(コア部G)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と同様にして、反応時間を300分として重合反応をおこなった。
【0206】
比較例2のハイパーブランチポリマー(コア部G)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と比較して、精製時に用いる溶媒Aをトルエン160mL(溶媒A:反応溶媒の1倍容量部)にした以外は、実施例1と同様にして、ハイパーブランチコア部Gを合成した。収率は、収率0%であった。
【0207】
実施例1と同様にして、比較例2のハイパーブランチポリマー(コア部G)の重量平均分子量(Mw)、分岐度(Br)、および金属含有量を測定し、4分の1以下の重量平均分子量を有する物質の割合を計算した。コア部Gに関する結果は表1に示した。
【0208】
(比較例3)
(ハイパーブランチポリマー(コア部H)の合成)
つぎに、比較例3のハイパーブランチポリマー(コア部H)の合成について説明する。比較例3のハイパーブランチポリマー(コア部H)の合成に際しては、上述した実施例1において説明したハイパーブランチポリマーコア部Aの合成と同様にして、反応時間を360分として重合反応をおこなった。
【0209】
反応終了後、反応混合物に1000mLのテトラヒドロフラン、200gの活性アルミナを加え、1時間攪拌した。減圧ろ過により活性アルミナをろ別し、ろ液中のテトラヒドロフランをエバポレーターにより留去した。その後、残留物にメタノール320mL(溶媒A:反応溶媒の2倍容量部)を加えて再沈殿をおこない、一晩静置後上澄みをデカンテーションした。
【0210】
デカンテーション後、沈殿物を減圧乾燥し、再沈によって得られたポリマー20gをテトラヒドロフラン40mLと、メタノール160mLの混合溶媒を加え、30分間攪拌した。攪拌後、攪拌した溶媒をデカンテーションにより取り除き、精製物としてのハイパーブランチポリマー(コア部H)を得た。収率は48%であった。
【0211】
上述のようにして得られたハイパーブランチポリマー(コア部H)の重量平均分子量(Mw)、分岐度(Br)、金属含有量を測定し、4分の1以下の重量平均分子量を有する物質の割合を計算した。コア部Hに関する結果は表1に示した。
【0212】
(実施例6)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例6のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成について説明する。実施例6のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、まず、塩化銅(I)2.7g、2,2’−ビピリジル8.3g、実施例1で製造したコア部ポリマーA16.2gが入った反応容器に、アルゴンガス雰囲気下において、モノクロロベンゼン144mL、アクリル酸tertブチルエステル76mLをシリンジで注入し、120℃で5時間加熱攪拌した。
【0213】
加熱撹拌後の反応混合物に200mLの超純水を加え、20分攪拌し、撹拌後に撹拌後の反応混合物から水層を取り除いた。超純水を加えて撹拌し、撹拌後に撹拌後の反応混合物から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除き、淡黄色の溶液を得た。
【0214】
得られた淡黄色の溶液を減圧留去して、粗生成物ポリマーを得た。その後、粗生成物ポリマーをテトラヒドロフラン50mLに溶解させた後、メタノール500mLを加え再沈させ、再沈溶液を遠心分離して固形分を分離した。遠心分離された再沈溶液中の沈殿物をメタノールで洗浄し、精製物である淡黄色の固体を得た。収量は18.7gであった。1H−NMRによって重合体のモル比率を計算した。
【0215】
(脱保護化工程)
還流管付反応容器に重合体0.6gを採取し、ジオキサン30mL、塩酸(30%)0.6mLを加えて、90℃で60分加熱攪拌した。加熱攪拌後の反応粗製物を300mLの超純水に注いで固形分を再沈させた。再沈させた固形分を、ジオキサン30mLを加えて溶解させた後、再び固形分を再沈させた。再び再沈させた固形分を回収して乾燥して<ポリマー1>を得た。収量は0.4gであり、収率は66%であった。<ポリマー1>の構造を下記式(XIV)に示した。
【0216】
【化15】

【0217】
上記式(XIV)であらわされる<ポリマー1>の各構成単位の導入比率(構成比)を1H−NMRによって求めた。<ポリマー1>の重量平均分子量(M)は、下記式を用いて、実施例1で求めたコア部分Aの重量平均分子量(Mw)をもとにして、各構成単位の導入比率および各構成単位の分子量を使って計算した。具体的には、下記式(C)、(D)を用いて計算した。結果を表2に示した。
【0218】
【数3】

【0219】
【数4】

【0220】
上記式(C)、(D)において、A〜D、b〜d、MwおよびMは以下をあらわしている。
A : 得られたコア部のモル数
B : NMRより求めたクロロメチルスチレン部のモル比
C : NMRより求めたアクリル酸tertブチルエステル部のモル比
D : NMRより求めたアクリル酸部のモル比
b : クロロメチルスチレン部の分子量
c : アクリル酸tertブチルエステル部 の分子量
d : アクリル酸部の分子量
Mw: コア部の重量平均分子量
M : ハイパーブランチポリマーの重量平均分子量
【0221】
実施例6と同様にして、以下の実施例7〜11のコアシェル型ハイパーブランチポリマー<ポリマー2>〜<ポリマー6>の各構成単位の導入比率(導入比)、重量平均分子量(M)を求めた。<ポリマー2>〜<ポリマー6>に関する結果は表2に示した。
【0222】
(実施例7)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例7のコアシェル型ハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例7のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例5のコア部ポリマーEを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例10のハイパーブランチポリマー10.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の500mLの4つ口反応容器に入れ、さらにモノクロロベンゼン248mL、アクリル酸tertブチルエステル48mLを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で5時間加熱攪拌した。
【0223】
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液308gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液615gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0224】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液62.5gを得た。得られた濃縮液にメタノール219g、続いて超純水31gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF20gに溶解させた溶液に、メタノール200g、続いて超純水29gを加えて、固形分を再沈させた。
【0225】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は23.8gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア/シェルの比率は、モル比で30/70であった。
【0226】
(実施例8)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例8のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例8のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例7のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの酸分解性基を部分的に分解(脱保護化工程)することによって合成した。
【0227】
(脱保護化工程)
つぎに、実施例8における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例8の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、60分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0228】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.6gを得た。酸分解性と酸基との比率は、78/22であった。
【0229】
(実施例9)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例9のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例9のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例5のコア部ポリマーEを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例10のハイパーブランチポリマー10.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の500mLの4つ口反応容器に入れ、さらにモノクロロベンゼン248mL、アクリル酸tertブチルエステル81mLを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で5時間加熱攪拌した。
【0230】
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液340gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液680gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0231】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液88.0gを得た。得られた濃縮液にメタノール308g、続いて超純水44gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF44gに溶解させた溶液に、メタノール440g、続いて超純水63gを加えて、固形分を再沈させた。
【0232】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は33.6gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で19/81であった。
【0233】
(脱保護化工程)
つぎに、実施例9における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例9の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、30分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0234】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.6gを得た。酸分解性と酸基との比率は、92/8であった。
【0235】
(実施例10)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例10のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例10のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例5のコア部ポリマーEを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例10のハイパーブランチポリマー10.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の1000mLの4つ口反応容器に入れ、さらにモノクロロベンゼン248mL、アクリル酸tertブチルエステル187mLを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で5時間加熱攪拌した。
【0236】
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液440gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液880gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0237】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液175gを得た。得られた濃縮液にメタノール613g、続いて超純水88gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF85gに溶解させた溶液に、メタノール850g、続いて超純水121gを加えて、固形分を再沈させた。
【0238】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は65.9gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で10/90であった。
【0239】
(脱保護化工程)
つぎに、実施例10における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例10の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、15分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0240】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.7gを得た。酸分解性と酸基との比率は、95/5であった。
【0241】
(実施例11)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例11のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例11のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例5のコア部ポリマーEを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例10のハイパーブランチポリマー10.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の1000mLの4つ口反応容器に入れ、さらにモノクロロベンゼン248mL、アクリル酸tertブチルエステル14mLを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で5時間加熱攪拌した。
【0242】
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液285gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液570gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0243】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液32gを得た。得られた濃縮液にメタノール112g、続いて超純水16gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF16gに溶解させた溶液に、メタノール160g、続いて超純水23gを加えて、固形分を再沈させた。
【0244】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は12.1gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で61/39であった。
【0245】
(脱保護化工程)
つぎに、実施例11における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例11の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、150分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0246】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.4gを得た。酸分解性と酸基との比率は、49/51であった。
【0247】
(参考例1)
(4−ビニル安息香酸−tert−ブチルの合成)
Synthesis,833−834(1982)を参考にし、以下に示す合成方法で合成を行った。滴下ロートを取り付けた1Lの反応容器にアルゴンガス雰囲気下、4−ビニルベンゾイックアシッド91g、1,1‘−カルボジイミダゾール99.5g、4−tert−ブチルピロカテコール、脱水ジメチルホルムアミド500gを加え30℃に保ち、1時間撹拌した。その後、1.8ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン93gおよび脱水2−メチル−2−プロパノール91gを加え4時間撹拌した。反応終了後、ジエチルエーテル300mLおよび、10%炭酸カリウム水溶液を加え、目的物をエーテル層に抽出した。その後、ジエチルエーテル層を減圧乾燥することによって、淡黄色の4−ビニル安息香酸−tert−ブチルを得た。1H−NMRより目的物が得られていることを確認した。収率は88%であった。
【0248】
式(C)、(D)において、アクリル酸tertブチルエステルの代わりに4−ビニル安息香酸−tert−ブチル、アクリル酸の代わりに4−ビニル安息香酸とした以外は、実施例6と同様にして、以下の実施例12〜15のコアシェル型ハイパーブランチポリマー<ポリマー7>〜<ポリマー10>の各構成単位の導入比率(導入比)、重量平均分子量(M)を求めた。<ポリマー7>〜<ポリマー10>に関する結果は表2に示した。
【0249】
(実施例12)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例12のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例12のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例5のコア部ポリマーEを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)0.8g、2,2'−ビピリジル 2.6g、および上述した実施例10のハイパーブランチポリマー5.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の1000mLの4つ口反応容器に入れ、さらにモノクロロベンゼン421mL、4−ビニル安息香酸−tert−ブチル46.8gを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で3.5時間加熱攪拌した。
【0250】
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液490gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液980gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0251】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液41gを得た。得られた濃縮液にメタノール144g、続いて超純水21gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF21gに溶解させた溶液に、メタノール210g、続いて超純水30gを加えて、固形分を再沈させた。
【0252】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は15.9gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で29/71であった。
【0253】
(脱保護化工程)
つぎに、実施例12における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例12の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、180分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0254】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.7gを得た。酸分解性と酸基との比率は、38/62であった。
【0255】
(実施例13)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例13のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例13のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例5のコア部ポリマーEを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例10のハイパーブランチポリマー5.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の1000mLの4つ口反応容器に入れ、さらにモノクロロベンゼン421mL、4−ビニル安息香酸−tert−ブチル46.8gを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で3時間加熱攪拌した。
【0256】
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液490gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液980gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0257】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液32gを得た。得られた濃縮液にメタノール224g、続いて超純水32gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF32gに溶解させた溶液に、メタノール320g、続いて超純水46gを加えて、固形分を再沈させた。
【0258】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は24.5gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で20/80であった。
【0259】
(脱保護化工程)
つぎに、実施例13における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例13の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、90分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0260】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.7gを得た。酸分解性と酸基との比率は、71/29であった。
【0261】
(実施例14)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例14のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例14のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例5のコア部ポリマーEを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例10のハイパーブランチポリマー5.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の1000mLの4つ口反応容器に入れ、さらにモノクロロベンゼン530mL、4−ビニル安息香酸−tert−ブチル60.2gを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で4時間加熱攪拌した。
【0262】
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液620gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液1240gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0263】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液130gを得た。得られた濃縮液にメタノール455g、続いて超純水65gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF65gに溶解させた溶液に、メタノール650g、続いて超純水93gを加えて、固形分を再沈させた。
【0264】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は50.2gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で9/91であった。
【0265】
(脱保護化工程)
つぎに、実施例14における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例14の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、30分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0266】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.7gを得た。酸分解性と酸基との比率は、92/8であった。
【0267】
(実施例15)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例15のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例15のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例5のコア部ポリマーEを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)0.8g、2,2'−ビピリジル 2.6g、および上述した実施例10のハイパーブランチポリマー5.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の1000mLの4つ口反応容器に入れ、さらにモノクロロベンゼン106mL、4−ビニル安息香酸−tert−ブチル8.0gを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で1時間加熱攪拌した。
【0268】
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液127gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液254gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0269】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液19gを得た。得られた濃縮液にメタノール67g、続いて超純水10gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF10gに溶解させた溶液に、メタノール100g、続いて超純水14gを加えて、固形分を再沈させた。
【0270】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は7.3gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で60/40であった。
【0271】
(脱保護化工程)
つぎに、実施例15における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例15の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、240分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0272】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.4gを得た。酸分解性と酸基との比率は、22/78であった。
【0273】
(レジスト組成物の調製)
つぎに、実施例6〜15のレジスト組成物の調製について説明する。実施例6〜14のレジスト組成物の調製に際しては、上述した<ポリマー1>〜<ポリマー10>のポリマーを4.0質量%、光酸発生剤としてのトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートを0.16質量%含有するプロピレングリコールモノメチルアセテート(PEGMEA)溶液を作成し、細孔径0.45μmのフィルターでろ過してレジスト組成物を調製した。調整されたレジスト組成物をシリコンウエハ上にスピンコートし、90℃にて1分間の熱処理で溶媒を蒸発させて、厚さ100nmの薄膜を作成した。
【0274】
(紫外線照射感度測定)
つぎに、紫外線照射感度測定について説明する。紫外線照射感度測定に際しては、光源として、放電管式紫外線照射装置(アトー株式会社製、DF−245型ドナフィックス)を用いた。上述したように、シリコンウエハ上に成膜した厚さ約100nmの試料薄膜に対して、縦10mm×横3mmの長方形の部分に、波長245nmの紫外線を、エネルギー量を0mJ/cm2から50mJ/cm2まで変化させて照射した。
【0275】
紫外線を照射したシリコンウエハに対して100℃にて4分間の熱処理をおこない、熱処理後のシリコンウエハをテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)2.4質量%水溶液中に25℃にて2分間浸漬させて現像した。現像後のシリコンウエハを水洗し乾燥させた。乾燥後の膜厚を、Filmetrics株式会社製薄膜測定装置F20で測定し、現像後の膜厚がゼロになる照射エネルギー範囲を測定した。実施例6〜15の結果を表2に示した。
【0276】
【表2】

【0277】
表1に示したように、上述した実施例1〜5は、比較例1〜3と比べて、金属とオリゴマーの除去性に優れており、ハイパーブランチポリマーとして好適であることが分かる。また、再沈操作を繰り返すことで金属触媒、モノマー、およびオリゴマーをより除去することができることが分かる。さらに、表2に示したように、上述した実施例1〜5は、コアシェル型ハイパーブランチポリマーを形成させた場合にレジスト組成物としても好適であることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0278】
【図1】ハイパーブランチポリマーの合成工程を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属触媒存在下、リビングラジカル重合可能なモノマーを重合することによりハイパーブランチポリマーを合成するハイパーブランチポリマーの合成方法であって、
前記リビングラジカル重合によって合成されたハイパーブランチポリマーを含む反応溶液に2種以上の溶媒からなる溶解度パラメータが10.5以上である混合溶媒を混合して沈殿物を生成する沈殿物生成工程を含むことを特徴とするハイパーブランチポリマーの合成方法。
【請求項2】
前記沈殿物生成工程は、前記溶媒を前記反応溶液に対して0.2〜10容量部混合して前記沈殿物を生成することを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマーの合成方法。
【請求項3】
前記沈殿物生成工程において生成された沈殿物をコア部とし、当該コア部に酸分解性基を導入することにより形成されたシェル部を備えるコアシェル型のハイパーブランチポリマーを生成するハイパーブランチポリマー生成工程と、
前記ハイパーブランチポリマー生成工程において生成されたコアシェル型のハイパーブランチポリマーにおける前記シェル部を構成する酸分解性基の一部を、酸触媒を用いて分解して酸基を形成する酸基形成工程と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のハイパーブランチポリマーの合成方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載のハイパーブランチポリマーの合成方法にしたがって合成されたことを特徴とするハイパーブランチポリマー。
【請求項5】
請求項4に記載のハイパーブランチポリマーを包含することを特徴とするレジスト組成物。
【請求項6】
請求項5に記載のレジスト組成物によってパターンを形成されることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
請求項6に記載のレジスト組成物を用いてパターンを形成するパターン形成工程を含むことを特徴とする半導体集積回路の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−179765(P2008−179765A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265206(P2007−265206)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】