説明

ハイビスカスの新規使用、特に製薬的使用

本発明は、大腸菌(Escherichia coli)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の存在と関連した尿感染を治療又は予防するための薬剤、特に膀胱炎を治療又は予防するための薬剤を製造するためのハイビスカス又は粗製若しくは精製されたハイビスカス抽出物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に製薬分野でのハイビスカスの新規使用に関する。
【0002】
ハイビスカス(Hibiscus sabdariffa)は、西アフリカで広く生育している植物であって、そこでは、ホットドリンク又はコールドドリンクの形(カルカデ(karkade))で消費されている。
【0003】
ハイビスカス花弁は、単一の形態であるか又は重合形態のフラボノール及びフラバノール型のポリフェノールを含んでいる。それらのポリフェノールの中で、モノマー形態又は二量体形態(プロシアニジンA又はB)及びフラボノイドにおいてカテキン誘導体が見つかっている。ハイビスカスは、特に、特定のフラボノイドであるゴシペチン(gossypetin)(3,5,7,8,3’,4’−ヘキサヒドロキシ−フラボン)、及びそのグリコシル化形態であるゴシピン(gossypin)を含んでいる。そのフラボノイドは、インビトロにおいて、いくつかの微生物(Mounnissamy VM;Kavimani S;Gunasegaran R.Antibacterial activity of gossypetin isolated from hibiscus sabdariffa.The Antiseptic.2002 Mar;99(3):81−2)、即ち、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バシラス・プンピラス(Bacillus pumpilus)、及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対して抗菌特性を示した。
【0004】
疫学の研究は、2人の女性のうち1人以上が彼女の一生において尿感染に直面することを示す。そのような感染の原因となる微生物は、ほとんど常に大腸菌(colibacillus)であり、それは、何十億に近い数で大腸において自然とコロニーを形成する。女性は、泌尿器系解剖的な相違に起因して、男性よりそのような感染によってはるかに頻繁に影響される:女性の尿道は、より短く、細菌によって膀胱の汚染を促進する。若者は、この障害にめったに影響されない。しかしながら、前立腺問題を有する中年男性はより危険に晒されている。
【0005】
膀胱炎、即ち、下部尿道感染症は、大腸菌型、ミラビリス変形菌(Proteus mirabilis)型、腐生ブドウ球菌(Staphylococcus saprophyticus)型などの微生物の増殖によって引き起こされる泌尿器系の炎症である。
【0006】
この病理学は、大部分の症例において、抗生物質で治療される。感染が低い強度である場合、それは良好な衛生状態で素早く消失する;反対の場合では、抗生物質治療が必要である。しかしながら、薬剤に対する耐性の発生、特に可能な腎臓合併症に起因した頻繁な再発を回避することが、是非とも必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、尿の快適さが回復されることを可能にする生産物を提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、尿障害、より具体的には膀胱炎を治療するための新規な薬剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、尿感染、より具体的には膀胱炎を治療又は予防するための薬剤の製造における、ハイビスカスの使用、又は粗製若しくは精製されたハイビスカス抽出物の使用に関する。
【0010】
尿感染の予防及び治療は、尿感染が生じる頻度を制限し、病理学の消失の促進を意味するものとして理解される。
【0011】
本明細書において言及される尿感染は、尿道の局所的な炎症に帰着する、ある種の病原性の植物相の増殖に関係している。より具体的には、それらは、特に大腸菌及びカンジダ・アルビカンスの増殖に関係している。
【0012】
表現「尿感染」は、尿中の微生物の病原菌の異常な存在と関連した病理学を示す。
【0013】
より具体的には、本発明は、膀胱炎を治療又は予防するための薬剤の製造における、ハイビスカスの使用、又は粗製若しくは精製されたハイビスカス抽出物の使用に関する。
【0014】
用語「膀胱炎」は、感染源である膀胱の慢性又は急性炎症を示す。従って、この特定の尿感染は、膀胱に限定される(Bergogne−Bezerin E.et al.,Les infections urinaires,questions d’actualite.Ed Phase 5,2002)。
【0015】
急性の単純性膀胱炎及び合併性膀胱炎が区別される。
【0016】
急性の非合併性膀胱炎は、特別な泌尿器科学の経歴がなく、及び免疫抑制なしに、妊娠しておらず、しかも糖尿病ではない65歳未満の女性に影響する。繰り返される急性の非合併性膀胱炎が1年当たり最大4回生じる。1年当たり4回を超えて生じる場合、膀胱炎が再発する。
【0017】
合併性膀胱炎が、危険要因(男性、妊娠、糖尿病、免疫抑制、尿腎臓学的な病理学など)を含む特定の状況において生じる。
【0018】
大腸菌は、フランスの合併性尿感染又は非合併性尿感染、及び特に急性の非合併性膀胱炎の症例の80〜90%の原因となる細菌である。症例の残りの10〜20%に関与する他の細菌は、個別に低い有病率だけを有する。
【0019】
大部分の他のヨーロッパ諸国では、急性の非合併性膀胱炎に関与する微生物の有病率は、フランスで見つかったものに類似している。大腸菌株の有病率は、スカンジナビア諸国及びポーランドなどの北方の国々において実質的により高い(88%)。合併性尿感染では、関与する種の割合が著しく異なり、大腸菌株は、多くの場合、P.ミラビリス(mirabilis)、他の腸内細菌又は腸球菌より優先して、関与していない。従って、最近の研究(Hryniewick K.et al.,Antibiotic susceptibility of bacterial strains isolated from urinary tract infection in Poland.J Antimicrob Chemother 2001;47:773−80)では、2つのタイプの感染において同時に実施されたものであるが、大腸菌の有病率は、合併性尿感染の66%と比較して、急性の非合併性膀胱炎で88%であった。
【0020】
カンジダ・アルビカンスは、膀胱炎などの尿感染の原因となる主な酵母である。カンジダ尿が続くか又は細菌尿と共存する。大規模な多角的な研究では、C.アルビカンスは、膀胱炎の症例で単離された酵母の52%に相当する。C.アルビカンスは、最も頻繁に見出される種である。
【0021】
尿感染の原因である主な微生物(細菌及び/又は酵母)の有病率は、検討中の感染のタイプによって変わる。
【0022】
例えば、合併性膀胱炎を引き起こす尿道疾患性薬物のスペクトルは、非合併性膀胱炎に関与する薬物よりも広い。
【0023】
結論として、いくつかの尿感染の治療に有効な化合物は、必ずしも急性の非合併性膀胱炎タイプのより特別な感染に対して同程度の有効性を有するとは限らない。
【0024】
膀胱炎(急性の非合併性)の場合には、治療は、主に関与し得る微生物に対して特異的に指向されなければならない(活性分子への菌株の接着性、異なる感受性の特定のメカニズム)。
【0025】
従って、次の病原菌大腸菌(細菌)及びC.アルビカンス(酵母)は、膀胱炎、特に急性の非合併性膀胱炎に特に関与する。
【0026】
本発明は、ハイビスカス又はハイビスカスの抽出物がそれらの特定の抗菌作用により、膀胱炎の原因である2つの主な微生物に有効であるという発見に基づく。
【0027】
ハイビスカス、具体的には花弁は、特にAHA型の有機酸(アルファヒドロキシ酸)の多くを含んでいる。このような酸は、尿のpHを酸性に保つことができ、従って、尿道中の細菌の増殖を調節することができる。
【0028】
従って、本発明の範囲内で、ハイビスカス、又は粗製若しくは精製されたハイビスカス抽出物の使用によって、尿は、pHを7未満、好ましくは6以下、特に約5〜約6のpHで、なおより好ましくは約5.5〜約6のpHで維持することができる。
【0029】
ハイビスカス又は粗製若しくは精製されたハイビスカス抽出物は、尿の快適さを回復するために使用することができる。7未満の値で尿のpHを維持することは、細菌の発生を促進しない培地を作成することを可能にする。
【0030】
好都合には、ハイビスカス又は粗製若しくは精製されたハイビスカス抽出物により、尿は、ハイビスカスに特有のポリフェノールで濃縮され、このポリフェノールは、抗菌作用をし、特にアントシアン又はプロアントシアニジンである。
【0031】
ハイビスカスの化学組成は、有機酸、アントシアン、プロアントシアニジン型のポリフェノール及び抗菌性フラボノイドに富んでいる。ハイビスカスにあるアントシアンの中で、下記が言及されてもよい:デルフィニジン−3−O−サムブビオシド、デルフィニジン−3−O−グルコシド、シアニジン−3−O−サムブビオシド及びシアニジン−3−O−グルコシド。フラボノイドの中には、前記に言及されるゴシペチン及びそのグリコシル化形体であるゴシピンがあってもよい。
【0032】
また、本発明は、前記で定義される使用に関し、その中で、ハイビスカス又は粗製若しくは精製されたハイビスカス抽出物は栄養補助食品の形体である。
【0033】
このような栄養補助食品は、特に、ゼラチン・カプセル、錠剤、カプセル、可溶性粉末(サシェ若しくはスティック)又は飲料(濃縮形態、若しくは飲料として準備ができている)の形をすることができる。
【0034】
従って、栄養補助食品は、例えば、尿の快適さを回復したい女性によって使用されてもよい。また、尿のトラブル及びその再発を防ぐために使用することができる。
【0035】
本発明による有利な使用は、ハイビスカスが新鮮な形体若しくは乾燥した形式で植物全体に由来するか、又は花に由来することによって特徴付けられる。
【0036】
従って、本発明の範囲内において、粒子サイズが何であっても、ハイビスカスは新鮮な形体又は乾燥した形式で使用することができる。従って、ハイビスカスは、例えば、(低温)粉砕形体又は微粉形式で使用することができる。
【0037】
本発明による別の有利な使用は、粗製又は精製されたハイビスカス抽出物が、溶媒が何であれ(例えば、アルコール、水又は水性アルコール混合物)、液体形体の抽出物であるか、あるいは乾燥手段が何であれ(特に、熱風の流れにおける水の除去によって、噴霧化によって、蒸発によって、昇華によって、脱水によって、又は支持体への吸着によって)、乾燥形体の抽出物であることによって特徴付けられる。
【0038】
ハイビスカス抽出物は、当業者の従来の手段によって粗製若しくは精製され、得ることができる。
【0039】
粗製抽出物は、液体形体の粗製抽出物を得るために、抽出工程のために水などの溶媒の存在下に植物(ハイビスカス)を置き、植物と溶媒を分離することによって得られる。乾燥形体の粗製抽出物を得るために、液体形体の粗製抽出物は、例えば、熱風の流れにおける水の除去よって、噴霧化によって、蒸発によって、昇華によって、脱水によって、又は支持体への吸着によって乾燥される。
【0040】
精製された抽出物は、有効成分の含有量を増大させるために、前述の工程において得られた粗製抽出物から得られる。その目的のために、前記粗製抽出物は、クロマトグラフィー、又は水に混ざらない有機溶媒を用いた液体/液体抽出のいずれかによって精製工程に晒される。
【0041】
従って、水を用いて植物を粗製抽出し、又はアルコールを用いて粗製抽出してこの溶媒を除去することによって、あるいは水に粉末形体の粗製抽出物を再溶解させることによって得られる、水相中の液体形式の粗製抽出物から開始して、クロマトグラフィー技術による精製法を適用してもよい。
【0042】
粗製抽出物はクロマトグラフィーレジンに置かれる。所望の有効成分(ポリフェノール)は、そのレジンに固定されたままであり、次に、水を用いて、又は所望の有効成分を再溶解しない水/有機溶媒混合物を用いて洗浄される。最後に、有効成分は、アルコール(例えば、メタノール若しくはエタノール)又はケトン型の有機溶媒を用いた溶出によってカラムから回収される。このプロセスは、水性開始相に存在する90%を超える有効成分が回復されることを可能にする。
【0043】
精製された抽出物は、アルコール相の液体形体で、溶媒の除去後の水相の液体形体で、又は濃縮された水相の液体形体で、あるいは乾燥形体(粉末形体)で、個々の方法において処置することができる。
【0044】
使用されるクロマトグラフィーレジンは、イオン(陰イオン若しくは陽イオン)交換型又は吸着/脱着型のものであってもよく、例えば、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体、ポリスチレン又はポリメタクリル型であり、特に、Rohm & Haas又はMitsubishi Chemicalによって市販されている。
【0045】
また、本発明は、尿障害の治療又は予防、特に膀胱炎を治療又は予防するためのハイビスカス又は粗製若しくは精製されたハイビスカス抽出物を含む薬剤に関する。
【0046】
また、本発明は、ポリフェノール含有量が約50%以上、好ましくは約50%〜約100%、なおより好ましくは約90%〜約100%である、液体又は乾燥形体の濃縮ハイビスカス抽出物に関する。
【0047】
より具体的には、発明による濃縮抽出物は、少なくとも90%の全ポリフェノール、より具体的には約20〜約50%のカテキンを含有する。
【0048】
ポリフェノールは、溶離液として、溶媒A:水/酢酸(99/1)、B:水/酢酸(94/6)及びC:水/アセトニトリル/酢酸(65/30/5)の勾配を用いたHPLCにより分析される。適用された勾配は下記のとおりである。
【0049】
【表1】

【0050】
適用された流速は、0.5ml/分(UV検知器:280nm;カラム:C18グラフト化相)である。
【0051】
ポリフェノールの中で、一方ではフラボノール及びフラボノイド、他方ではフラボンに言及されてもよい。
【0052】
フラボノールとフラボノイドの中で、特に言及されてもよいのは次の化合物である:ハイビスセチン、ハイビスセトリン(ハイビスセチン−3−O−グルコシド)、ゴシペチン、ゴシペトリン(ゴシペチン−7−O−グルコシド)、ゴシピン(ゴシペチン−8−O−グルコシド)、ゴシトリン(ゴシペチン−3−O−グルコシド)、サブダリトリン(sabdaritrin)及びその加水分解形サブダレチン(sabdaretin)(ヒドロキシフラボン)、ケルセチン(quercetin)又はミリセチン(myricetin)。
【0053】
フラボンの中で、特に言及されてもよい化合物は、ルテオリン(luteolin)又はルテオリングリコシド(glycoside)である。
【0054】
特定の態様によれば、本発明による濃縮ハイビスカス抽出物は、8%未満のアントシアン含有物を有する。
【0055】
好ましくは、本発明の濃縮ハイビスカス抽出物は、8%以上、好ましくは約10%〜約20%、なおより好ましくは約15〜約20%のアントシアン含有物を有することによって特徴付けられる。
【0056】
アントシアンは、溶離液として、溶媒B:超純水(Millipore)中の3%リン酸(v/v)、及びC:メタノールの勾配を用いたHPLCにより分析される。適用された勾配は以下のとおりである。
【0057】
【表2】

【0058】
適用された流速は、1.0ml/分(検出:525nm;カラム:C18グラフト化相)である。
【0059】
より具体的には、本発明の濃縮ハイビスカス抽出物は、次の配分のアントシアン含有物を有することによって特徴付けられる:
デルフィニジン−3−O−サンブジオシド(sambudioside)(ハイビシン(hibiscin)) 4〜6%
デルフィニジン−3−O−グルコシド 0〜2%
シアニジン−3−O−サンブジオシド(ゴシピシアニン) 0〜4%
シアニジン−3−O−グルコシド 0〜1%
【0060】
さらに、本発明の濃縮ハイビスカス抽出物は、30%以下の有機酸含有物を含むことによって特徴付けられる。
【0061】
より具体的には、本発明の濃縮ハイビスカス抽出物は、1%を超える量のクロロゲン酸、及び5%未満の量のキナ酸を含むことができる。
【0062】
また、有機酸のうち、言及されてもよい化合物は、プロトカテク酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ハイビシン酸(hibiscic acid)、又はアスコルビン酸である。
【0063】
また、本発明は、有効成分として、上記で定義された濃縮ハイビスカス抽出物、並びに医薬として許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0064】
さらに、本発明は、上記で定義された濃縮ハイビスカス抽出物、並びに許容される担体を含む栄養補助食品に関する。
【実施例】
【0065】
1)ハイビスカス抽出物の生産:
a)粗製ハイビスカス抽出物の生産:
1kgの乾燥したハイビスカスの花は、水中、50℃で2時間の浸軟によって抽出される。取り入れた溶媒は、懸濁した固体材料から分離され、ろ過され、次に濃縮される。濃縮物は、液体粗製抽出物を構成し、それは、例えば、真空中で乾燥させることによって、溶媒を除去することにより粉末形体の粗製抽出物に変換可能である。重量収率は、30〜40%w/wのオーダーである。生産物の分析は、有機酸、プロアントシアニジン型ポリフェノール、フラボノイド及びアントシアンの存在を示す。その分析は、抽出物が20%を超えるロアントシアニジン含有物を有することを示す。
【0066】
b)別の粗製ハイビスカス抽出物の生産:
1kgの新鮮なハイビスカスの花は、90%のエタノール中、2時間の浸軟によって抽出される。取り入れた溶媒は、懸濁した固体材料から分離され、次にろ過される。生産物は、液体粗製抽出物を構成し、その中では、所望の化合物がすべて同様に見出されるが、異なった配分である。また、液体生産物は、蒸留され、次に濃縮され、場合により、従来の手段、例えば、真空中で加熱して乾燥することができる。
【0067】
c)精製されたハイビスカス抽出物の生産:
1kgの乾燥したハイビスカスの花は、90%のエタノール中、2時間の浸軟によって抽出される。取り入れた溶媒は、懸濁した固体材料から分離され、ろ過され、次に蒸留及び濃縮される。濃縮物は、ポリフェノールに適している吸着/脱着レジン上のクロマトグラフィーによる精製工程に晒される。その後、溶離物は、精製された抽出物を構成し、それは液体形体又は乾燥形式で同様に保存することができる。HPLCによって測定すると、最大9%のアントシアン及び最大50%のポリフェノールを含む、精製されたハイビスカス抽出物が得られる。
【0068】
d)別の精製されたハイビスカス抽出物の生産:
例えば、上述されるように(a段落)、特に濃縮形体で得られた粗製抽出物から開始して、例えば、n−ブタノール又は酢酸エチル型の水に混ざらない溶媒の酸を用いて液体/液体抽出物による精製工程を適用することができる。その後、最大65%のポリフェノールを含む精製された画分から溶媒が除去される。分析は、抽出物が50%を超えるプロアントシアニジン含有物を有することを示す。液体形体のハイビスカス抽出物のすべての場合において、グリセロール若しくはグリコール型、保存剤型の添加物を用いて、又は任意の他の製剤成分を用いて抽出物を安定化することができる。
【0069】
2)生薬製剤の実施例:
a)飲む準備ができている飲料の生産:
【0070】
【表3】

【0071】
ハイビスカスは、尿道中の病原性の細菌叢の出現を調節することができる;他の抽出物は、利尿を増加させることにより水の除去を促し、それは、尿道の感染性病理学に対する飲料の一般的な肯定的な影響に寄与する。
【0072】
b)ゼラチンカプセルの生産:
【0073】
【表4】

【0074】
この種の生薬製剤は、AFSSAによって提案される1日当たり36mgのプロアントシアニジンが容易に提供されるようにする。
【0075】
3)微生物学的な結果:
尿感染、より具体的には膀胱炎、特に急性の非合併性膀胱炎に対する本発明のハイビスカス抽出物(精製された又は精製されていない)の有効性を示すために、微生物学的研究を行った。
【0076】
研究No.1−ハイビスカス抽出物(UtiRose)の抗菌性保存の有効性評価−プロトコール米国薬局方XXV−2つの菌株−7日間
この最初の研究の目的は、保存活性が保存期間中に変化しないことを確認するために、保存システムの可使間を評価することである。使用された菌株は、大腸菌及びカンジダ・アルビカンスである。培地は、新世代の培地(保存培地、菌株維持培地、有効なインキュベーション及び計数培地)であり、下記に言及される:
保存培地:
●脳/心臓ブロス
●LT100ブロス
●トリプトン塩溶液
菌株維持培地:
●LT100ゲロース(gelose)
●トリプト−カゼイン大豆ゲロース
●サブロー・ゲロース(Sabouraud gelose)
インキュベーション及び計数培地(ペトリ皿):
●細菌の菌株用のLT100ゲロース上
●真菌及び酵母用のサブロー・ゲロース上
【0077】
この試験を行なうために使用される培地の各バッチの対照は、その滅菌性をチェックするために32℃で5日間インキュベートされる。
【0078】
方法:
分析される生産物は、適切な微生物で人為的に汚染される。各測定間で、接種された調製物は、28日間、22℃で、遮光されて維持される。4回の接種後の計算は、7日、14日、21日、28日で実行される(汚染している植物相の計算は栄養ゲロース上の1gの生産物の連続稀釈によって実行された)。
【0079】
各測定時間で:
○1g(+/−0.1g)の汚染された生産物は、9ml(+/−0.2ml)のLT100ブロス中で計量される。
○30分間、周囲温度での回復
試験された生産物は、上記で定義された精製されたハイビスカス抽出物である。
【0080】
対数減少の結果
【0081】
【表5】

【0082】
解釈と結論:
保存システムは、次の場合には有効である:
○細菌について:14日では、開始の接種と比較して、少なくとも2logの減少がなければならない。14日で得られた微生物の濃度は、残りの14日と同一であるか、又は低くなければならない。
○かび(mould)/酵母について:14日と28日では、濃度は、接種の初期濃度以下でなければならない。
【0083】
対数減少は7日において薬局方の要件に従う。この最初の研究は、本発明によるハイビスカス抽出物が、大腸菌とC.アルビカンスの両方において、初期の微生物汚染の減少(微生物集団の低下)に有意な効果を有することを示す。
【0084】
研究No.2−ハイビスカス抽出物(UtiRose)の抗菌的保存の有効性評価−プロトコール米国薬局方XXV−1菌株
使用される菌株は大腸菌である。培地は研究No.1で使用されるものと同じである。
【0085】
方法:
分析されるべき生産物は、適切な微生物で人為的に汚染される。各測定間で、接種された調製物は、4日間、20℃で、遮光されて維持される。4回の接種後の計算は、1日、2日、3日、4日で実行される(汚染している植物相の計算は栄養ゲロース上の1gの生産物の連続稀釈によって実行された)。
【0086】
各測定時間で:
○1g(+/−0.1g)の汚染された生産物は、9ml(+/−0.2ml)のLT100ブロス中で計量される。
○30分間、周囲温度での回復
試験された生産品は、上記で定義された精製されたハイビスカス抽出物である。
【0087】
対数減少の結果
【0088】
【表6】

【0089】
解釈と結論:
保存システムは、薬局方の推薦により試験された菌株に有効である。ハイビスカス抽出物は、大腸菌に有意な抗菌作用を示した。大腸菌に対する抗菌効果は、直ちに現われ、全汚染除去が処置開始後の24時間で得られる:この処置は、24時間以内に得られるべき初期の細菌集団の10の減少を可能にした。
【0090】
研究No.3−尿の快適さにおける栄養補助食品の有効性及び容認性
1−プロトコールの要約
研究の目標:尿の快適さを改善し、尿感染を予防するために、食品成分(上記で定義されたハイビスカス抽出物)の有効性及び容認性を評価すること。該食品成分は、60人の女性によって、24週間、栄養補助食品の形体で接種され、女性らは3つのグループに配分され、有効成分なしの対照生産物(プラセボ)、又は該成分の投薬物No.1を含む試験生産物、又は該成分の投薬物No.2を含む別の試験生産物を試験する。生産物は、無作為に(20人の3グループを無作為に配分する)配置されたグループに従って、医師によってコード化された中立な包装に分配される。
【0091】
ボランティアの募集用の試験対象患者基準は以下のとおりである:
●18〜55歳の女性
●尿の不快について不平を言い、尿感染を繰り返していると述べる女性。
投薬:1日当たり2個のゼラチンカプセル
栄養補助食品1:UtiRoseレギュラー(ハイビスカス抽出物)
栄養補助食品2:UtiRoseプレミアム(精製されたハイビスカス抽出物)
対照生産物:マルトデキストリン
【0092】
試験は、調節され、無作為化された二重盲検試験である。3グループは、並行して生産物をテストする。
【0093】
2−評価基準
評価パラメーターは2つのタイプである:一方では客観的な測定、即ち、試験期間中に申告された尿のトラブルの出現数、他方では主観的な測定、生産物の把握された有効性、容認性及び寛容性の評価による。健康診断は、試験生産物の84日及び168日の消費後に医療訪問によって実行される。尿の快適さは毎日モニターされ、観察記録に記され、尿のトラブル及び任意の申告された尿感染の発生すべてが記録されることを可能する。知覚された有効性を評価するためのアンケートが、4日と168日にボランティアに配布される。それは、尿の快適さ及び尿感染の予防における試験生産物の有効性が評価されることを可能にする。試験生産物に対する寛容性は、栄養補助食品の消費に関連した任意の望ましくない効果も記録するために医者によって評価される。研究の最終では、ボランティアは、この生産物の使用の容易さを評価し、栄養補助食品で知覚した、主な特質及び主な欠点を通じて一般的な印象を報告した。
【0094】
3−結果
客観的データ
尿感染の数は、精製された又は精製されていない有効成分を消費した2つのグループにおいて顕著に減少し、一方、対照グループでは顕著に減少しなかった。
【0095】
自動評価
尿のトラブルにおける顕著な減少は、頻度、疼痛、持続、尿意頻度、尿の臭気の点から2つのハイビスカス抽出物に関して観察された。また、粘膜の状態における顕著な改善は、焦燥、炎症、そう痒、乾燥、健康又は不健康な粘膜の点で、2つのハイビスカスに関して観察された。
【0096】
主観的データ
ハイビスカス抽出物の作用は、尿感染、及び感染が存在しなかった場合の尿のトラブルの程度における予防において、医師によって有効であると考えられた。一般に、ボランティアは、ハイビスカス抽出物を用いて処置を下記の局面で満足していると判断した:
●尿の快適さにおける改善
●天然の微生物叢に対する考慮
●尿のトラブル及び感染症の予防における有効性
●尿感染の顕著な減少
●感染中の疼痛の強度の減少
●尿感染の期間の短縮
●そう痒と焦燥の減少。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腸菌(Escherichia coli)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の存在に関連した尿感染を治療又は予防するための薬剤を製造するためのハイビスカス又は粗製若しくは精製されたハイビスカス抽出物の使用。
【請求項2】
膀胱炎を治療又は予防するための薬剤を製造するための請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ハイビスカス又は粗製若しくは精製されたハイビスカス抽出物が栄養補助食品の形体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
ハイビスカスが、新鮮形体若しくは乾燥形体で植物全体に由来するか、又は花に由来することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
粗製又は精製されたハイビスカス抽出物が液体形体又は乾燥形体の抽出物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
ポリフェノール含有量が50%以上、好ましくは約50%〜約100%、なおより好ましくは約90%〜約100%である、液体形体又は乾燥形体の濃縮ハイビスカス抽出物。
【請求項7】
アントシアン含有量が8%以上、好ましくは約10%〜約20%、なおより好ましくは約15%〜約20%である、請求項6に記載の濃縮ハイビスカス抽出物。
【請求項8】
有効成分として、請求項6又は7に記載の濃縮ハイビスカス抽出物、並びに医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の濃縮ハイビスカス抽出物、並びに許容される担体を含む栄養補助食品。
【請求項10】
膀胱炎を治療又は予防するための薬剤を製造するための請求項6又は7に記載の濃縮ハイビスカス抽出物の使用。

【公表番号】特表2010−526125(P2010−526125A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506981(P2010−506981)
【出願日】平成20年5月6日(2008.5.6)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050797
【国際公開番号】WO2008/148995
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(509309732)
【Fターム(参考)】