説明

ハイブリッドおよび単鎖メガヌクレアーゼならびにその使用

【課題】特定のヌクレオチド配列を認識して切断する、メガヌクレアーゼと呼ばれる単鎖レアカットエンドヌクレアーゼ、該レアカットエンドヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレオチド配列、該ポリヌクレオチド配列を含むベクター、該ポリヌクレオチド配列又は該レアカットエンドヌクレアーゼを含む細胞もしくは非ヒト動物、該レアカットエンドヌクレアーゼの製造方法を提供すること。
【解決手段】N-末端からC-末端の方向に第一及び第二のドメインを含み、
第一及び第二のドメインがI-CreIモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼに由来し、
前記第一のドメイン及び第二のドメインの各々が、ドデカペプチドモチーフ及びDNA結合部分を含むポリペプチドフラグメントからなり、
前記第一及び第二のドメインがリンカーにより結合されている、
DNA切断を起こし得る単鎖メガヌクレアーゼ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
発明の分野
本特許出願は、特定のヌクレオチド配列を認識して切断する、メガヌクレアーゼと呼ばれるハイブリッドおよび/または単鎖レアカット(rare-cutting)エンドヌクレアーゼ、該レアカットエンドヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレオチド配列、該ポリヌクレオチド配列の1つを含むベクター、該ポリヌクレオチド配列もしくは該レアカットエンドヌ
クレアーゼの1つを含む細胞または動物、該レアカットエンドヌクレアーゼの1つを産生する方法、ならびに開示される産物および方法のいずれの使用に関する。より具体的には、本発明は遺伝子工学および遺伝子治療のためのこのようなレアカットエンドヌクレアーゼのいずれの使用を意図する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の簡単な説明
メガヌクレアーゼは、非常に希に切断するエンドヌクレアーゼのファミリーを構成する。これは、90年代の初めに、タンパク質I-Sce I (元来、酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のミトコンドリアグループIイントロンによりエンコードされるオメガヌクレアーゼ)の使用により、最初に特性決定された。イントロンORF、独立遺伝子または介在配列(インテイン)によりエンコードされるホーミングエンドヌクレアーゼは、現在、「メガヌクレアーゼ」と定義され、それらを「古典的な」制限酵素(通常、細菌系R/MIIより)から区別する、著しい構造的および機能的な特性を有する。これらは12〜40 bpのDNAにわたる認識配列を有するが、「古典的な」制限酵素は、より短い範囲である3〜8 bpの範囲(レアカットについては12 bpまで) のDNAを認識する。よって、メガヌクレアーゼは、ヒトゲノムにおいてさえも非常に低い頻度の切断を示す。
【0003】
さらに、メガヌクレアーゼの標的配列の一般的な非対称性は、ほとんどの制限酵素認識部位の特徴的なダイアド対称性と対比される。イントロンORFまたはインテインによりエ
ンコードされるいくつかのメガヌクレアーゼは、それらの各遺伝子要素の対立遺伝子がイントロンレスまたはインテインレス部位に戻ること(homing)を促進することが示されている。イントロンレスまたはインテインレス対立遺伝子中に部位特異的二本鎖切断をつくることにより、これらのヌクレアーゼはコーディング配列を重複させ、DNAレベルでのイン
トロンまたは介在配列の挿入に導く遺伝子変換プロセスに携わる組換え生成末端(recombinogenic end)を創る。
【0004】
メガヌクレアーゼは、非常によく保存されたアミノ酸モチーフを基に、4つの別々のフ
ァミリーに分類される。それらの1つはドデカペプチドファミリー(ドデカマー、DOD、D1-D2、LAGLI-DADG、P1-P2)である。これは、それらの最も一般的に保存された配列モチーフ:12残基の配列の1または2のコピー(非常に大多数):ジ-ドデカペプチドにより集められ
たタンパク質の最大のファミリーである。1つのドデカペプチドをもつメガヌクレアーゼ(D)は分子質量が約20 kDaであり、ホモダイマーとして作用する。2つのコピーを有するも
の(DD)は、25 kDa (230 AA)〜50 kDa (HO、545 AA)の範囲で、各モチーフの間に70〜150
残基を有し、モノマーとして作用する。切断は認識部位の内部であり、3'OHの突出をもつ4 ntのジグザグのカットを残す。I-Ceu IおよびI-Cre Iは、1つのドデカペプチドモチー
フ(モノ-ドデカペプチド)によりメガヌクレアーゼを例証する。I-Dmo I、I-Sce I、PI-Pfu IおよびPI-Sce Iは、2つのドデカペプチドモチーフによりメガヌクレアーゼを例証する。
【0005】
Goguelら(Mol. Cell. Biol.、1992、12、696〜705)は、酵母ミトコンドリアのRNAマチ
ュラーゼ(maturase)とメガヌクレアーゼの実験を交換することにより、メガヌクレアーゼが配列の交換に対する耐性が悪く、そのエンドヌクレアーゼ活性を失うことを示している。
【0006】
エンドヌクレアーゼは今日の進歩した遺伝子工学技術、特にクローニングおよび遺伝子の分析のために必須の酵素である。メガヌクレアーゼは、レアカットエンドヌクレアーゼとして非常に興味深いが、これは、これらがそれらの認識部位のサイズのために、大きいゲノム中で非常に低い認識および切断頻度を有するからである。したがって、メガヌクレアーゼは、分子生物学および遺伝子工学、より具体的にはWO 96/14408、米国特許第5,830,729号、WO 00/46385およびWO 00/46386に記載の方法に従って用いられる。
【0007】
現在までに、新規なエンドヌクレアーゼを生じる第一のアプローチにおいて、天然の制限酵素Fok Iから、ジンクフィンガーDNA結合ドメインと非特異的DNA切断ドメインの間の
ハイブリッドを介して、いくつかのキメラ制限酵素がつくられている(Smithら、2000、Nucleic Acids Res、28、3361〜9;Kimら、1996、Proc Natl Acad Sci USA、93、1156〜60
;KimおよびChandrasegaran、1994、Proc Natl Acad Sci USA、91、883〜7;WO 95/09233;WO 94/18313)。
【0008】
その他のアプローチは、部位特異的突然変異誘発によるその特異性の変更のためのEcoRV制限酵素の認識ドメインの変更からなっていた(Wenzら、1994、Biochim Biophys Acta、1219、73〜80)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの努力にもかかわらず、認識および切断についての新規な配列特異性を有する新規なレアカットエンドヌクレアーゼへの強い必要性がまだ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
要約
本発明は、第一のドメインおよび第二のドメインを含むハイブリッドメガヌクレアーゼに関し、ここで第一および第二のドメインは2つの異なる当初のLAGLIDADGメガヌクレアーゼに由来し、該当初のメガヌクレアーゼはモノ-またはジ-LAGLIDADGメガヌクレアーゼの
いずれかである。本発明は、2つのドメインを含むハイブリッドメガヌクレアーゼも意図
し、ここで各ドメインは同じメガヌクレアーゼに由来し、かつ該2つのドメインは当初の
メガヌクレアーゼからは異なる配置を有する(すなわち、第二のドメインは当初のメガヌ
クレアーゼのN-末端ドメインに由来し、および/または第一のドメインは当初のメガヌクレアーゼのC-末端に由来する)。
【0011】
本発明は、第一のドメインおよび第二のドメインを含む単鎖メガヌクレアーゼにも関し、ここで該第一および第二のドメインは当初のモノ- LAGLIDADGメガヌクレアーゼに由来する。
さらに、本発明は、本発明によるハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼをエンコードするいずれのポリヌクレオチド、ならびにこのようなポリヌクレオチドを含むベクター、細胞または非ヒト動物に関する。
【0012】
本発明は、本発明によるハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼ、またはそれをエンコードするポリヌクレオチドの、分子生物学、遺伝子工学および遺伝子治療のためのいずれの使用に関する。
【0013】
図面の簡単な説明
図1は、I-DmoI (pdbコード1b24)のリボン図である。不連続の線は、2つのドメイン間の2回回転(two-fold)擬対称軸を示す。I-DmoIのN-末端ドメインは軸の左側であり、C-末端
ドメインは右側にある。DNA (構造1b24中には存在しない)は、2つのβシート(矢印)より
下で、対称軸に垂直に結合する。αDおよびα'Dはドデカペプチドモチーフを含むヘリッ
クスのことをいい、DBMはDNA結合部分、そしてVは可変配列のことをいう。
【0014】
図2は、棒状の図の結合したDNAを有するダイマーI-CreIのリボン図である(pdbコード1g9y)。不連続の線は、2つのドメインまたはモノマーの間の2回回転対称軸を示す。結合したDNAは、2つのβシート(矢印)より下で、対称軸に垂直である。αDはドデカペプチドモチーフを含むヘリックスのことをいい、DBMはDNA結合部分、そしてVは可変配列のことをいう。
【0015】
図3Aおよび3Bは、それぞれ、ドデカペプチドモチーフ領域でのI-DmoIおよびI-CreIのリボン図である。両方のタンパク質について、ドデカペプチドモチーフに対応する残基の主鎖の原子を、その他のタンパク質からの重ね合わせた原子と共に棒状の図で示す。不連続の線は、2つのタンパク質ドメインの間の2回回転対称軸を示す。図3Aでは、星印はI-DmoIドメインの間のリンカーの限界を示し、そして図3B中ではリンカーが工作される(to be engineered) I-CreI中の対応する位置を示す。タンパク質の方向は図1および2と同じであ
る。
【0016】
図4は、I-DmoI/I-CreIハイブリッドタンパク質のリボン図である(モデル構造は、それ
らの各X線構造から得られた2つのドメインの並列により構築される)。I-DmoI部分の末端
である、両方のドメインを連結するリンカーは、2つの星印の間である。不連続の線は、2つのタンパク質ドメインの間の2回回転対称軸を示す。I-DmoIのN-末端ドメインは軸の左
であり、I-CreIドメインは右である。αDおよびα'Dはドデカペプチドモチーフを含むヘ
リックスのことをいい、DBMはDNA結合部分、そしてVは可変配列のことをいう。
【0017】
図5Aおよび5Bは、それぞれ、I-CreIダイマー(1g9y)および単鎖I-CreIのリボン図である(モデル構造)。(図5A)星印は、リンカーが導入されるところを示し;第一のモノマー中の3つのα-ヘリックス(最も左の星印に続く)は、第二のモノマーのN-末端残基(もう1つの星印に先立つ)と共に、単鎖中では除去される。(図5B) 2つの星印の間に含まれ、両方のド
メインを連結するループは、I-DmoI (構造1b24)から得られる。灰色の円盤は、対称軸を
表す(方向は構造の頂部からであり、例えば前の図に比べると、横軸の周りに90°回転さ
れていた)。
【0018】
図6Aおよび6Bは、ハイブリッドメガヌクレアーゼI-Dmo I/I-Cre Iの2つの代案のアミノ酸配列および各代案をエンコードするポリヌクレオチド配列を開示する。下線を引いた残基はLAGLI-DADGモチーフである。太字で、変異されたI-DmoI中の残基を示す。「H」は、I-DmoIおよびI-CreIドメインの間の交換点(swap point)を示す。全てのタンパク質の配列
において、2つの当初のN-末端残基がメチオニンおよびアラニン(MA)であり、かつ3つのC-末端残基がアラニン、アラニンおよびアスパラギン酸(AAD)である。これらの配列は、NcoI (CCATGG)およびEagI (CGGCCG)制限部位を含むDNAコーディング配列を有することを許容し、これらは種々のベクターへのクローニングのために用いられる。代案Aは、交換点を示すのみであるが、代案Bは、起こり得る障害を避ける3つの付加変異を有する。
【0019】
図7は、単鎖I-Cre Iの代案のアミノ酸配列および該単鎖メガヌクレアーゼをエンコードする1つのポリヌクレオチドを開示する。タンパク質の配列において、2つの当初のN-末端残基はメチオニンおよびアラニン(MA)であり、そして3つのC-末端残基はアラニン、アラ
ニンおよびアスパラギン酸(AAD)である。これらの配列は、NcoI (CCATGG)およびEagI (CG
GCCG)制限部位を含むDNAコーディング配列を有することを許容し、これらは種々のベクターへのクローニングのために用いられる。
【0020】
図8は、ハイブリッドメガヌクレアーゼI-Dmo I/I- Cre Iのインビトロ切断アッセイ(図8B)、およびそのようなハイブリッドを用いたSDS-PAGEゲル(図8A)を示す。図8A:ラインA:分子量マーカー;ラインB:ハイブリッドメガヌクレアーゼI-Dmo I/I-Cre I;ラインC
:野生型メガヌクレアーゼI-Dmo I。図8B:ハイブリッドI-Dmo I/I-Creのアガロースゲル活性;ラインA、B、C、D:標的I-Dmo I/I-Cre I;ラインE、F、G、H:標的I-Cre I/I-Dmo
I;ラインD、G:サイズマーカー;ラインC、H:直鎖プラスミド;ラインB、F:37℃でのアッセイ;ラインA、E;65℃でのアッセイ。
【0021】
図9は、単鎖メガヌクレアーゼI-Cre Iのインビトロ切断アッセイ(図9B)およびこのような単鎖メガヌクレアーゼを用いたゲルろ過のSDS-PAGEゲル(図9A)を示す。図9A:ラインA
:分子量マーカー;ラインBおよびC:ゲルろ過のデッドカラム。ラインD:単鎖メガヌク
レアーゼI-Cre I。図9B:単鎖メガヌクレアーゼのアガロースゲル活性;ラインA:マーカー;ラインB:野生型I-Cre Iメガヌクレアーゼの標的部位;ラインC:野生型I-Cre I +
野生型I Cre Iメガヌクレアーゼの標的部位(ポジティブコントロール);ラインD:野生型I-Sce I + 単鎖I-Cre Iメガヌクレアーゼの標的部位(ネガティブコントロール);ラインEおよびF:それぞれラインEおよびFについて、37℃および65℃で1時間の野生型I-Cre I + 単鎖I-Cre Iメガヌクレアーゼの標的部位。
【0022】
図10Aは、LACURAZレポーター構築物の概略図である。LACZは、Lac Z遺伝子の要素を示
す。介在配列のそれぞれの側面の区画Aは、Lac Z遺伝子の内部の重複を含む。pADH1は、
酵母の構成プロモーターである。tADH1は、酵母のターミネーターである。Ura3はUra3遺
伝子を示す。矢印は転写の始まりを示す。「切断部位」のタグは、アッセイされるメガヌクレアーゼの認識および切断部位のことをいう。「Trp1」は、Trp1選択マーカー(selectable marker)、《cen》は複製のARS-CEN起点のことをいう。
【0023】
図10Bは、メガヌクレアーゼ誘導可能発現ベクターの概略図である。pGAL10はガラクト
ースの存在下で誘導可能な酵母プロモーターである。tADH1は酵母のターミネーターであ
る。「Leu2」および「2μ」は、それぞれLeu2選択マーカーおよび2μ複製起点のことをいう。矢印は転写の始まりを示す。
【0024】
図11は、同時形質転換(co-transformation)およびそれに続くレポーター遺伝子の修飾
の組み合わせを示す。《#X》は、表Aに開示される組み合わせのことをいう。淡灰色の箱
はUra3遺伝子のことをいう。濃灰色の箱はLac Z遺伝子のことをいう。白色の箱はメガヌ
クレアーゼをエンコードする遺伝子のことをいう、白色のタグはアッセイされるメガヌクレアーゼの認識および切断部位のことをいう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、I-DmoI (pdbコード1b24)のリボン図である。
【図2】図2は、棒状の図の結合したDNAを有するダイマーI-CreIのリボン図である(pdbコード1g9y)。
【図3】図3Aおよび3Bは、それぞれ、ドデカペプチドモチーフ領域でのI-DmoIおよびI-CreIのリボン図である。
【図4】図4は、I-DmoI/I-CreIハイブリッドタンパク質のリボン図である。
【図5】図5Aおよび5Bは、それぞれ、I-CreIダイマー(1g9y)および単鎖I-CreIのリボン図である(モデル構造)。
【0026】
【図6】図6Aおよび6Bは、ハイブリッドメガヌクレアーゼI-Dmo I/I-Cre Iの2つの代案のアミノ酸配列および各代案をエンコードするポリヌクレオチド配列を開示する。
【図7】図7は、単鎖I-Cre Iの代案のアミノ酸配列および該単鎖メガヌクレアーゼをエンコードする1つのポリヌクレオチドを開示する。
【図8】図8は、ハイブリッドメガヌクレアーゼI-Dmo I/I- Cre Iのインビトロ切断アッセイ(図8B)、およびそのようなハイブリッドを用いたSDS-PAGEゲル(図8A)を示す。
【図9】図9は、単鎖メガヌクレアーゼI-Cre Iのインビトロ切断アッセイ(図9B)およびこのような単鎖メガヌクレアーゼを用いたゲルろ過のSDS-PAGEゲル(図9A)を示す。
【図10A】図10Aは、LACURAZレポーター構築物の概略図である。
【図10B】図10Bは、メガヌクレアーゼ誘導可能発現ベクターの概略図である。
【図11】図11は、同時形質転換およびそれに続くレポーター遺伝子の修飾の組み合わせを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
定義
本出願において「メガヌクレアーゼ」により、一般的に約12〜40 bpの長さ、より好ま
しくは14〜40 bpのポリヌクレオチド認識部位を有するレアカットエンドヌクレアーゼを
意図する。一般的なメガヌクレアーゼは、それらの認識部位の内部で切断を起こし、3'OH突出を有する4 ntのジグザグのカットを残す。メガヌクレアーゼは、一般にホーミングエンドヌクレアーゼとも呼ばれる。好ましくは、本発明による「メガヌクレアーゼ」は、ドデカペプチドファミリー (LAGLIDADG)に属する。メガヌクレアーゼについてのさらなる情報についてはDalgaardら(1997、Nucleic Acids Resarch、25、4626〜4638)、ならびにChevalierおよびStoddard (2001、Nucleic Acids Resarch、29、3757〜3774)を参照。LAGLIDADGメガヌクレアーゼの具体例を表1に列挙する。
【0028】
本発明において「ヘリックス」により、α-ヘリックスを意図する。本発明におけるαDおよびαLAGLIDADG は、LAGLIDADG、DODまたはドデカペプチドモチーフを含むヘリックスのことをいう。
【0029】
由来する」により、ドメインが、ドメインが由来するメガヌクレアーゼのドメインの配列を含むことを意図する。ドメインの該配列はいくつかの修飾または置換を含み得る。
本明細書において用いられる「標的部位」または認識および/または切断部位は、メガヌクレアーゼにより結合され、かつ切断されるポリヌクレオチド配列のことをいう。
【0030】
組換えポリペプチド」の語は、本明細書において、人工的に設計され、かつそれらの当初の天然の環境において近接するポリペプチド配列として見出されない少なくとも2つ
のポリペプチド配列を含むポリペプチド、または組換えポリヌクレオチドから発現されるポリペプチドのことをいう。
【0031】
本明細書において用いられるような「個体」の語は哺乳動物、およびその他の動物(例
えば鳥類、魚類、爬虫類、昆虫)を含む。本明細書において用いられるような「哺乳動物
」および「哺乳類」の語は、それらの子に授乳し、かつ生きている子を産む(真獣類また
は胎盤哺乳類)か、または産卵する(後獣亜綱または無胎盤哺乳類)のいずれかの単孔類、
有袋類および胎盤哺乳類を含むいずれの脊椎動物のことをいう。
哺乳動物種の例は、ヒトおよびその他の霊長類(例えばサル、チンパンジー)、げっ歯類(例えばラット、マウス、モルモット)および反芻動物(例えばウシ、ブタ、ウマ)を含む。
【0032】
本明細書において用いられる「レポーター遺伝子」の語は、その産物が、ガラクトシダーゼをエンコードするlacZ遺伝子のような、例えば酵素反応産物として呈色的に容易にアッセイできる核酸配列のことをいう。広く用いられるレポーター分子の例は、β-ガラク
トシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、β-グルコシダーゼのような酵素;グリーン蛍光タンパク質およびホタルルシフェラーゼのような蛍光分子;ならびにHis3pおよびUra3pのような栄養要求性マーカー (例えばAusubel, F. M.ら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons, Inc. (1998)の9章参照)を含む。
【0033】
本明細書において交換可能に用いられるような「核酸」、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」の語は、一本鎖または二重の形態のいずれかにある1以上のヌク
レオチドのRNA、DNAまたはRNA/DNAハイブリッド配列を含む。「ポリヌクレオチド」の語
は、プリンまたはピリミジン、リボースまたはデオキシリボース糖部分、およびリン酸基またはホスホジエステル結合を含む単位のポリマーのことをいう。「ポリヌクレオチド」は、次の修飾(a) 代替の連結基、(b) プリンの類似の形態、(c) ピリミジンの類似の形態、または(d) 類似の糖の少なくとも1つを含む「修飾ヌクレオチド」を含むポリヌクレオチドのこともいう。
【0034】
エンドヌクレアーゼ:「エンドヌクレアーゼ」により、高度に特異的な位置でのDNA分
子における二本鎖切断を起こし得る酵素を意図する。
細胞」または「宿主細胞」は、本明細書中において交換可能に用いられる語である。このような語は、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の子孫、または潜在的な子孫のこともいうことが理解される。ある修飾は、続いて起こる世代において変異または環境的影響のいずれかにより起こり得るので、このような子孫は親細胞と同一ではないが、それでも本明細書において用いられるような語の範囲内に含まれる。
【0035】
「同一性(identity)」は、2つの核酸分子またはポリペプチド間の配列の同一性をいう
。同一性は、比較の目的で整列させ得る各配列における位置を比較することにより決定できる。比較される配列中の位置が同じ塩基で占められるとき、その分子はその位置において同一である。核酸またはアミノ酸配列の間の類似性(similarlity)または同一性の程度
は、核酸配列により共有される位置における同一または適合する(matching)ヌクレオチドの数の関数である。GCG配列分析パッケージ(University of Wisconsin、Madison、Wis.)
の部分として入手可能であり、例えばデフォルト設定で用い得るFASTAまたはBLASTを含む種々の整列アルゴリズムおよび/またはプログラムを、2つの配列の間の同一性を計算す
るのに用いることができる。
【0036】
本発明の「非ヒト動物」は、げっ歯類、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などのような哺乳動物を含む。好ましい非ヒト動物は、ラットおよびマウスを含むげっ歯類のファミリーから選択され、最も好ましくはマウスであるが、ツメガエル属の構成要素ようなトランスジェニック両生類、およびトランスジェニックニワトリ、ウシ、ヒツジも重要な道具を提供し得る。
【0037】
ベクター」の語は、それが連結されているその他の核酸を移すことができる核酸分子のことをいう。好ましいベクターのあるタイプは、エピソーム、すなわち染色体外の複製が可能な核酸である。好ましいベクターは、自律複製および/またはそれらが連結されている核酸の発現が可能なものである。それらが実施可能に(operably)連結されている遺伝子の発現に向けることができるベクターは、本明細書において「発現ベクター」という。本発明によるベクターは、限定されないが、YAC (酵母人工染色体)、BAC (細菌人工)、バキュロウイルスベクター、ファージ、ファージミド、コスミド、ウイルスベクター、プラスミド、RNAベクター、または染色体、非染色体、半合成(semi-synthetic)もしくは合成DNAからなる直鎖もしくは環状DNAもしくはRNA分子を含む。一般に、組換えDNA技術におい
て実用性のある発現ベクターは、しばしば、一般に環状二本鎖DNAループをいう「プラス
ミド」の形態にあり、そのベクターの形態においてそれらは染色体に結合しない。適切なベクターの多数は、次の細菌ベクター:pQE70、pQE60、pQE-9 (キアゲン)、pbs、pDlO、phagescript、psi174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A、pNH16A、pNH18A、pNH46A (ストラタジーン);ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5 (ファルマシア);pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG (ストラタジーン);pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL (ファルマシア);pQE-30 (QIAexpress)のように当業者に知られており市場で入手可能である。
【0038】
ウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例えばアデ
ノ随伴ウイルス)、コロナウイルス、オルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば狂犬病および水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば麻疹およびセンダイ)のようなマイナス鎖RNAウイルス、ピコルナウイルスおよびαウイルスのようなプラス鎖RNAウイルス、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペスウイルス1型および2型、エプスタイン-バーウイルス、サイトメガロウイルス)およびポックスウイルス(例えばワクシニア、鶏痘ウイルスおよびカナリア痘ウイルス)を含む二本鎖DNAウイルスを含む。その他のウイルスは、例えばノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポバウイルス、ヘパドナウイルス(hepadnavirus)、および肝炎ウイルスを含む。
【0039】
レトロウイルスの例は、トリ白血病-肉腫、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLVグループ、レンチウイルス、スプマウイルス(Coffin, J. M.、Retroviridae: The viruses and their replication, In Fundamental Virology、第3版、B. N. Fieldsら編、Lippincott- Raven Publishers、Philadelphia、1996)を含む。その他の例は、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルス、マウス乳腺癌ウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒヒ内在性ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、メイソンファイザーサルウイルス、サル免疫不全性ウイルス、サル肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウイルスおよびレンチウイルスを含む。ベクターのその他の例は、例えばMcVeyら、米国特許第5, 801,030号に記載され、この教示は本明細書に参照として組み込まれる。
【0040】
ベクターは、選択マーカー(例えば、原核細胞培養にはネオマイシンホスホトランスフ
ェラーゼ、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、グルタミンシンセターゼ、およびハイポキサンチン-グアニンホスホリボシ
ルトランスフェラーゼ;エス・セレビシエにはTRP1;イー・コリではテトラサイクリン、リファンピシンまたはアンピシリン耐性など)を含み得る。しかしながら、本発明は、同
等の機能を提供し、かつ本発明に続いて知られることとなる発現ベクターのその他の形態を含むことを意図する。
【0041】
側面にあって:線状化されるかまたは切り出されるポリヌクレオチドの側面には、切断部位があるが、これはこのような部位が該ポリヌクレオチドのいずれかもしくは両方の端にあるか、またはその近くにある場合である。線状化されるかまたは切り出されるポリヌクレオチドの1つの端もしくはその近くに1つの切断部位が存在することができるか、または線状化されるかまたは切り出されるポリヌクレオチドのそれぞれの端もしくはその近くに1つがある、2つの切断部位が存在することができる。本発明において、「近く」によ
り、好ましくは切断部位が、組み込まれるポリヌクレオチドの端の1 kb未満、好ましくは500 bp未満、より好ましくは200または100 bp未満に位置することを意図する。
【0042】
本発明は、新規な、設計されたレアカットエンドヌクレアーゼおよびその使用に関する。これらの新規な、設計されたレアカットエンドヌクレアーゼは、好ましくは「ドデカペプチド」LAGLIDADGのメガヌクレアーゼファミリーに由来する。
【0043】
ハイブリッドメガヌクレアーゼ
メガヌクレアーゼは、200を越えるレアカット二本鎖DNAエンドヌクレアーゼのクラスを形成する(グループIイントロンホーミングエンドヌクレアーゼおよびインテイン) (BelfortおよびRoberts、1997、Nucleic Acids Res、25、3379〜3388;JuricaおよびStoddard、1999、Cell Mol Life Sci、55、1304〜1326)。これらは14〜40塩基対の間の長さの非対称なDNA配列を認識し、それらの標的配列のほぼ中央で二本鎖切断をつくる。本明細書において該標的部位は、2つの異なる半分の部位(half-site)の合計として定義される。複合DNAでは、16 (およびそれを超える)ヌクレオチドの長さのDNA配列は、ヒトゲノム(3×109塩基対)のサイズのゲノムにおいてさえも、非反復(unique)であることを予想することができる。よって、メガヌクレアーゼは、標的遺伝子座において細胞のゲノムをただ1度だけ切断する。
【0044】
LAGLIDADGタンパク質ファミリーは、ドデカペプチド、またはP1およびP2、LAGLIおよびDADGまたはLAGLIDADGと呼ばれる、よく保存された配列モチーフの1または2コピーの存在
を特徴とする。これらのモチーフの外側では、関連する相同な配列はない(全体の対の様
式での配列相同性は25%未満である)。より小さい例、すなわちI-CreI (DurrenbergerおよびRochaix、1991、Embo J、10、3495〜3501)は、ただ1つのドデカペプチドモチーフを有
し、2つの15〜20 kDaサブユニットまたはドメインのホモダイマーとして機能する。ただ1つのドデカペプチドモチーフを有するこれらのタンパク質は、本明細書において「モノ-
ドデカペプチド」タンパク質と呼ばれる。
【0045】
一方、より大きいタンパク質、すなわちI-DmoI (Dalgaardら、1993、Proc Natl Acad Sci U S A、90、5414〜5417)、I-SceI (Jacquier et Dujon、1985、Cell、41、383〜394)
およびPI-SceI (GimbleおよびWang、1996、J Mol Biol、263、163〜180)は、2つの(同一
でない)ドデカペプチドモチーフを有する単鎖タンパク質(20〜30 kDa)である2つのドデカペプチドモチーフを有するこれらのタンパク質は、本明細書において「ジ-ドデカペプチ
ド」タンパク質と呼ばれる。
【0046】
詳細な3次元構造は (Chevalierら、2001、Nat Struct Biol、8、312〜316;Duanら、1997、Cell、89、555〜564;Heathら、1997、Nat Struct Biol、4、468〜476;Huら、2000、J Biol Chem、275、2705〜2712;Ichiyanagiら、2000、J Mol Biol、300、889〜901;Juricaら、1998、Mol Cell、2、469〜476;Polandら、2000、J Biol Chem、275、16408〜16413;Silvaら、1999、J Mol Biol、286、1123〜1136)、4つのLAGLIDADGタンパク質:I-CreI (図1)、I-DmoI (図2)、PI-SceIおよびPI-PfuIについて説明されている。これらの構造は、ドデカペプチドモチーフが2-ヘリックスの束の部分であることを説明する。2つのα-ヘリックスは中心の界面(interface)のほとんどを形成し、ここで2回回転(擬)対称軸が2つの構成ドメインを分けている。ドデカペプチドモチーフの他にも、各ドメインが標的DNA配列の2つの半分の部位の1つと相互作用するようにタンパク質を駆り立てるDNA結合界面を示す。
【0047】
非反復の活性な触媒部位は、その特異的性質および空間的配置がDNA切断に必要とされ
る両方の構造ドメインからのアミノ酸残基を含む。LAGLIDADGタンパク質ファミリーにお
いて、活性部位の残基は互いに異なっている。持続性の保存を示す独特の残基は、両方のLAGLIDADGモチーフ(下線を引いた残基)からの最後の酸性アミノ酸(DまたはE)である。し
たがって、これらの酸性アミノ酸を除いて、活性部位の残基に機能的役割を割り当てるのは困難である。これらの残基の変異は触媒作用を完全に破壊するが、DNA結合は破壊しな
い(Lykke-Andersenら、1997、Embo J、16、3272〜3281;GimbleおよびStephens、1995、J. Biol. Chem.、270、5849〜5856)。その他に、酸性および塩基性残基のアミノ酸側鎖に
より構造的に構成されているいくつかの水分子からなる水和殻は、二価のカチオンと共に、おそらくDNAホスホジエステル結合の切断を行うのに必須の役割を有している(Chevalierら、2001、Nat Struct Biol、8、312〜316)。
【0048】
DNA配列に対するそれらの特異性を変更するための既知のメガヌクレアーゼの工作は、
新規なDNA配列を標的とし、選択された遺伝子の二本鎖切断を創ることを許容することが
できた。
【0049】
しかしながら、ドメイン間パッキング界面(inter-domain packing interface)および触媒部位に関連する残基は、非常に圧迫されている。酵素の触媒ドメインは、しばしば複雑で修飾に対して高度に反応性であることが知られている。メガヌクレアーゼの場合、触媒部位が2つのドメインの界面により構成されているので、この修飾に対する感受性が増大
されている。したがって、明確な触媒部位残基を有するメガヌクレアーゼのドメイン交換が、機能的な活性タンパク質を回復させるかは知られていない。さらに、既知のメガヌクレアーゼのドメイン構造、特にLAGLIDADGタンパク質ファミリーのものにもかかわらず、
このようなドメイン構造の単位(module)としての行動については何も知られていない。
【0050】
本発明は、LAGLIDADGエンドヌクレアーゼがモジュールのものであり、そして天然のホ
ーミングエンドヌクレアーゼまたはメガヌクレアーゼのドメイン交換が可能、そして有利の両方であることを最初に示している:異なるLAGLIDADGメガヌクレアーゼから得られる2つのドメインの新規で人工的な組み合わせは、対応する2つの半分の部位でつくられるDNA配列を認識し、結合し、かつ切断する。このような人工的な組み合わせ(ハイブリッドも
しくはキメラホーミングエンドヌクレアーゼまたはメガヌクレアーゼ)の工作は、新規な
特異性を有するメガヌクレアーゼを生み出すために主として有用である。
【0051】
LAGLIDADGタンパク質ファミリーは、本質的に、ドデカペプチドモチーフ内に配列の保
存を示す。3D構造は類似である:これらは、独特のトポロジーで構成されている二次構造の要素の同じ組を有する。ドデカペプチドモチーフおよびタンパク質サイズの保存(特に
、ジ-ドデカメガヌクレアーゼの2つのドデカペプチドモチーフ間の配列の長さにおける隔離長さとともに生物学的関係、すなわち同じ「機能」および保存された3D構造)は、二次
構造が保存されていることを提案するのに充分であると考えられる。
【0052】
本発明は、好ましくは少なくとも2つの異なるLAGLIDADGメガヌクレアーゼに由来する、新規なエンドヌクレアーゼ、より具体的にはハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。当初のメガヌクレアーゼは、I-Cre Iメガヌクレアーゼのような「モノ-ドデカペプチド」もしくは「モノ-LAGLIDADG」、またはI-Dmo Iのような「ジ-ドデカペプチド」もしくは「ジ-LAGLIDADG」メガヌクレアーゼであり得る。これらの新規な、設計されたエンドヌクレアーゼまたはメガヌクレアーゼは、LAGLIDADGメガヌクレアーゼのハイブリッドである。本発明は、各ドメインが異なるLAGLIDADGメガヌクレアーゼに由来する2つのドメインを含むハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。表1参照(モチーフ「D」は、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ、そして「dd」または「DD」は、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのことをいう)。本発明は、各ドメインが同じメガヌクレアーゼに由来するが、当初のメガヌクレアーゼに比べて異なる配置(例えば位置(location)、構成(organization)、位置(position)など)にある2つのドメインを含むハイブリッドメガヌクレアーゼ(例えば、第二のドメインは当初のメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来し、および/または第一のドメインは当初のメガヌクレアーゼのC-末端に由来する)も意図する。
【0053】
本発明において、LAGLIDADGメガヌクレアーゼの「ドメイン」により、ドデカペプチド
モチーフおよびDNA結合部分を含むか、またはそれらからなるポリペプチドフラグメント
を意図する。任意に、該ドメインはDNA結合またはドメイン界面に関与しない付加的なポ
リペプチド配列も含み得る。しかしながら、これらの付加的な配列は、多様なサイズを有し、DNAの認識および結合、またはエンドヌクレアーゼ活性には一般的に重要ではない。
ドデカペプチドモチーフはα-ヘリックスに含まれ、本明細書中では概略的にαLAGLIDADGまたはαDという。より詳細には、最後のD (E)残基は一般的にα-ヘリックスをキャッピ
ングし、そして続くGly残基が主鎖をα-ヘリックスに垂直なβ-ストランドへ再び向けさ
せる。DNA結合部分(本明細書中では概略的にDBMという)は、一般的にα-ヘリックスおよ
びβ-ストランドを含む。メガヌクレアーゼの最小限のDNA結合部分は、β-ヘアピン(2つ
のβ-ストランドがループまたはターンにより連なっている)である。天然のメガヌクレアーゼは、各DNA結合部分中に2つのこのようなβヘアピンを含み、4ストランドのβ-シートに連結する。2つのβ-ヘアピンの間の連結は1つのα-ヘリックスを含む。一般に、DNA結合部分は4ストランドのβ-シートの下流にさらに1つのα-ヘリックスを含む。付加的なポリペプチド配列は、ドデカペプチドモチーフおよびDNA結合部分からなるグループの各側面に見出すことができる。したがって、本発明によるメガヌクレアーゼドメインは、ドデカペプチドモチーフ含むヘリックス、αDおよびDNA結合部分であるDBMをを含む。任意に、付加的な配列は、さらに該ドメインに含まれることができる。該付加的な配列は、ハイブリッドメガヌクレアーゼの第一のドメインのN-末端側、またはハイブリッドメガヌクレアーゼの第二のドメインのC-末端側にあることができる。
【0054】
2つのドデカペプチドモチーフを含むLAGLIDADGメガヌクレアーゼ(本明細書においてジ-LAGLIDADGメガヌクレアーゼという)は、2つのドメインを含み、1つのドメインはN-末端ドメイン、もう1つはC-末端ドメインと呼ばれる。N-末端ドメインは、連続的に、付加的な
任意の配列、ドデカペプチドモチーフおよびDNA結合部分を含む。C-末端ドメインは、連
続的に、ドデカペプチドモチーフ、DNA結合部分および付加的な任意の配列を含む。各ド
メインの2つのドデカペプチドα-ヘリックスは、密にパッキングされたドメイン界面を形成する。2つのドメインを連結するループはN-末端ドメインのDNA結合部分と、C-末端ドメインの第二のドデカペプチドモチーフを含むヘリックスとの間である。ジ-ドデカペプチ
ドメガヌクレアーゼは、概略的に、N-末端の端からC-末端の端に、次の構造で表すことができる:V αD DBM (L) α'D DBM' V' (Vは、付加的な任意の配列をいい、αDはドデカペプチドモチーフを含むヘリックスをいい、DBMはDNA結合部分をいい、Lは連結ループをい
う;'はC-末端ドメインの要素をいう)。ヘリックスαDおよびα'D は、ドデカペプチドモチーフを含むヘリックスに相当する。2つのドデカペプチドモチーフを含むメガヌクレア
ーゼのドメインは非対称である(類似であるが、通常、同一でない)。ジ-ドデカペプチド
メガヌクレアーゼの数は既知である。表1の「dd」または「DD」を参照。(Dalgaardら、1993、Proc Natl Acad Sci USA、90、5414〜5417、表1および図1も参照)。
【0055】
1つのドデカペプチドモチーフを含むダイマーのLAGLIDADGメガヌクレアーゼ(本明細書
においてモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼという)は、連続的に、付加的な任意のポリペプチド配列、ドデカペプチドモチーフ、DNA結合部分および付加的な任意ポリペプチ
ド配列を含む。2つのドデカペプチドヘリックス(各モノマーに1つ)は、密にパッキングされたダイマー界面を形成する。モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼは、概略的に、N-
末端の端からC-末端の端を含む次の構造により表すことができる: V αD DBM V' (VおよびV'は、付加的な任意の配列をいい、αDはドデカペプチドモチーフを含むヘリックスを
いい、DBMはDNA結合部分をいう)。モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼの数は既知である。表1のモチーフDを参照 (Lucasら、2001、Nucleic Acids Res.、29、960〜9、表1および図1も参照)。
【0056】
したがって、本発明は、N-末端からC-末端の方向に第一のドメインおよび第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関し、該第一および第二のドメインは2つの異なる当初のLAGLIDADGメガヌクレアーゼに由来し、該当初のメガヌクレアーゼはモノ-またはジ-ドデカペプチドのいずれかであり、そして該第一および第二のドメインは適切なリンカーにより結合され、ここで該ハイブリッドメガヌクレアーゼはDNA切断を起こし得る。本発明は、2つのドメインを含むかまたはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼも意図し、各ドメインは同じメガヌクレアーゼに由来し、該2つ
のドメインは当初のメガヌクレアーゼとは異なる配置を有し(すなわち、第二のドメイン
は、当初のメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来し、および/または第一のドメインは、当初のメガヌクレアーゼのC末端に由来する)、そして該第1および第2のドメインは、適切なリンカーにより結合されている。
【0057】
ハイブリッドメガヌクレアーゼの生成のための本発明による当初のモノ-およびジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼは、表1に記載のメガヌクレアーゼからなる群から好ましく
は選択され、特にI-Sce I、I-Chu I、I-Dmo I、I-Cre I、I-Csm I、PI-Sce I、PI-Tli I
、PI-Mtu I、I-Ceu I、I-Sce II、I-Sce III、HO、PI-Civ I、PI-Ctr I、PI-Aae I、PI-Bsu I、PI-Dha I、PI-Dra I、PI-Mav I、PI-Mch I、PI-Mfu I、PI-Mfl I、PI-Mga I、PI-Mgo I、PI-Min I、PI-Mka I、PI-Mle I、PI-Mma I、PI-Msh I、PI-Msm I、PI-Mth I、PI-Mtu I、PI-Mxe I、PI-Npu I、PI-Pfu I、PI-Rma I、PI-Spb I、PI-Ssp I、PI-Fac I、PI-Mja I、PI-Pho I、PI-Tag I、PI-Thy I、PI-Tko IおよびPI-Tsp I;好ましくは、I-Sce I
、I-Chu I、I-Dmo I、I-Cre I、I-Csm I、PI-Pfu I、PI-Sce I、PI-Tli I、PI-Mtu I、I-Ceu I、I-Sce II、I-Sce IIIおよびHO;より好ましくは、I-Sce I、I-Chu I、I-Dmo I、I-Cre I、I-Csm I、PI-Sce I、PI-Pfu I、PI-Tli I、PI-Mtu IおよびI-Ceu I;さらにより好ましくは、I-Dmo I、I-Cre I、I-Sce IおよびI-Chu I;さらにより好ましくはI-DmoIおよびI-Cre Iである。
【0058】
ハイブリッドメガヌクレアーゼの生成のための本発明による当初のジ-ドデカペプチド
メガヌクレアーゼは、表1に記載の「DD」または「dd」モチーフを含むメガヌクレアーゼ
からなる群から好ましくは選択され、特に:I-Sce I、I-Chu I、I-Dmo I、I-Csm I、PI-Sce I、PI-Tli I、PI-Mtu I、I-Sce II、I-Sce III、HO、PI-Civ I、PI-Ctr I、PI-Aae I
、PI-Bsu I、PI-Dha I、PI-Dra I、PI-Mav I、PI-Mch I、PI-Mfu I、PI-Mfl I、PI-Mga I、PI-Mgo I、PI-Min I、PI-Mka I、PI-Mle I、PI-Mma I、PI-Msh I、PI-Msm I、PI-Mth I、PI-Mtu I、PI-Mxe I、PI-Npu I、PI-Pfu I、PI-Rma I、PI-Spb I、PI-Ssp I、PI-Fac I、PI-Mja I、PI-Pho I、PI-Tag I、PI-Thy I、PI-Tko IおよびPI-Tsp I;好ましくは、I-Sce I、I-Chu I、I-Dmo I、I-Csm I、PI-Pfu I、PI-Sce I、PI-Tli I、PI-Mtu I、I-Sce II、I-Sce IIIおよびHO;より好ましくは、I-Sce I、I-Chu I、I-Dmo I、I-Csm I、PI-Sce I、PI-Tli IおよびPI-Mtu I;さらにより好ましくは、I-Dmo I、I-Sce IおよびI-Chu I;さらにより好ましくはI-DmoIである。
【0059】
ハイブリッドメガヌクレアーゼの生成のための本発明による当初のモノ-ドデカペプチ
ドメガヌクレアーゼは、表1に記載の「D」モチーフを含むメガヌクレアーゼからなる群から好ましくは選択され、特に:I-Cre I、I-Ceu I;好ましくはI-Cre Iである。
【0060】
より好ましくは、本発明は、モノ-もしくはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからの第一のドメインおよび別のモノ-もしくはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからの第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関し、該第一および第二のドメインは、適切なリンカーにより結合されている。好ましい実施形態において、本発明は次のハイブリッドメガヌクレアーゼからなる群より選択されるハイブリッドメガヌクレアーゼに関する:
【0061】
I-Sce I/I-Chu I、I-Sce I/PI-Pfu I、I-Chu I/I-Sce I、I-Chu I/PI-Pfu I、I-Sce I/I-Dmo I、I- Dmo I/I-Sce I、I-Dmo I/PI-Pfu I、I-Dmo I/I-Cre I、I-Cre I/I-Dmo I、I-Cre I/PI-Pfu I、I-Sce I/I-Csm I、I-Sce I/I-Cre I、I-Sce I/PI-Sce I、I-Sce I/PI-Tli I、I-Sce I/PI-Mtu I、I-Sce I/I-Ceu I、I-Cre I/I-Ceu I、I-Chu I/I-Cre I、I-Chu I / I-Dmo I、I-Chu I / I-Csm I、I-Chu I / PI-Sce I、I-Chu I/PI-Tli I、I-Chu I/PI-Mtu I、I-Cre I/I-Chu I、I-Cre I/I-Csm I、I-Cre I/PI-Sce I、I- Cre I/PI-Tli I、I-Cre I / PI-Mtu I、I-Cre I / I-Sce I、I-Dmo I / I-Chu I、I-Dmo I / I-Csm I、I- Dmo I/PI-Sce I、I-Dmo I/PI-Tli I、I-Dmo I/PI-Mtu I、I-Csm I/I-Chu I、I-Csm I/PI-Pfu I、I-Csm I/I-Cre I、I-Csm I/I-Dmo I、I-Csm I/PI-Sce I、I-Csm I/PI-Tli I、I-Csm I/PI- Mtu I、I-Csm I/I-Sce I、PI-Sce I/I-Chu I、PI-Sce I/I-Pfu I、PI-Sce I/I-Cre I、PI-Sce I/I-Dmo I、PI-Sce I/I-Csm I、PI-Sce I/PI-Tli I、PI-Sce I/PI-Mtu I、PI-Sce I/I-Sce I、PI-Tli I/I-Chu I、PI-Tli I/PI-Pfu I、PI-Tli I/I-Cre I、PI-Tli I/I-Dmo I、PI-Tli I/I-Csm I、PI-Tli I/PI- Sce I、PI-Tli I / PI-Mtu I、PI-Tli I / I-Sce I、PI-Mtu I/I-Chu I、PI-Mtu I / PI-Pfu I、PI-Mtu I/I-Cre I、PI-Mtu I/I-Dmo I、PI-Mtu I / I-Csm I、PI-Mtu I/PI-Sce I、PI-Mtu I/PI-Tli I、およびPI-Mtu I/I-Sce I;
【0062】
好ましくは、I-Sce I/I-Chu I、I-Sce I/PI-Pfu I、I-Chu I/I-Sce I、I-Chu I/PI-Pfu
I、I-Sce I/I-DmoI、I-Dmo I/I-Sce I、I-Dmo I/PI-Pfu I、I-Dmo I/I-Cre I、I-Cre I/I-Dmo I、I-Cre I/PI-Pfu I、I-Sce I/I-Csm I、I-Sce I/I-Cre I、I-Sce I/PI-Sce I、I-Sce I/PI-Tli I、I-Sce I/PI-Mtu I、I-Sce I/I-CeuI、I-Chu I / I-Cre I、I-Chu I / I-Dmo I、I-Chu I / I-Csm I、I-Chu I / PI-Sce I、I-Chu I / PI-Tli I、I-Chu I / PI-Mtu I、I-Cre I / I-Chu I、I-Cre I / I-Csm I、I-Cre I / PI-Sce I、I-Cre I / PI-Tli I、I-Cre I / PI-Mtu I、I-Cre I / I-Sce I、I-Dmo I / I-Chu I、I-Dmo I / I-Csm I、I-Dmo I / PI-Sce I、I-Dmo I / PI-Tli I、I-Dmo I / PI-Mtu I、I-Csm I / I-Chu I、I-Csm I / PI-Pfu I、I-Csm I / I-Cre I、I-Csm I / I-Dmo I、I-Csm I / PI-Sce I、I-Csm I / PI-Tli I、I-Csm I / PI-Mtu I、I-Csm I/I-Sce I、PI-Sce I / I-Chu I、PI-Sce I / I-Pfu I、PI-Sce I / I-Cre I、PI-Sce I / I-Dmo I、PI-Sce I / I-Csm I、PI-Sce I/ PI-Tli I、PI-Sce I/PI-Mtu I、PI-Sce I / I-Sce I、PI-Tli I / I-Chu I、PI-Tli I / PI-Pfu I、PI-Tli I / I-Cre I、PI-Tli I / I-Dmo I、PI-Tli I / I-Csm I、PI-Tli I / PI-Sce I、PI-Tli I / PI-Mtu I、PI-Tli I / I-Sce I、PI-Mtu I / I-Chu I、PI-Mtu I / PI-Pfu I、PI-Mtu I / I-Cre I、PI-Mtu I / I-Dmo I、PI-Mtu I / I-Csm I、PI-Mtu I / PI-Sce I、PI-Mtu I / PI-Tli IおよびPI-Mtu I / I-Sce I;
【0063】
より好ましくは、I-Sce I/I-Chu I、I-Chu I/I-Sce I、I-Sce I/I-Dmo I、I-Dmo I/I-Sce I、I-Dmo I/I-Cre IおよびI-Cre I/I-Dmo I;
さらにより好ましくは、I-Dmo I/I-Cre IおよびI-Cre I/I-Dmo I;または
さらにより好ましくはI-Dmo I/I-Cre I;より具体的には配列番号2または4のハイブリ
ッドメガヌクレアーゼである。
【0064】
例えば、「I-Sce I / I-Ceu I」について、最初に示されるメガヌクレアーゼは、ハイ
ブリッドメガヌクレアーゼの第一のドメインの起源に相当し、二番目に示されるメガヌクレアーゼは、ハイブリッドメガヌクレアーゼの第二のドメインの起源に相当する。
【0065】
任意に、該ハイブリッドメガヌクレアーゼは:
1) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアー
ゼからの第二のドメイン;
2) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレア
ーゼからの第二のドメイン;
【0066】
3) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからの第一のドメインおよび別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレア
ーゼからの第二のドメイン;または
4) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからの第一のドメインおよび同じかもしくは別のモノ-ドデカペプ
チドメガヌクレアーゼから、好ましくは別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼから
の第二のドメイン
を含むか、またはそれらからなる。
【0067】
好ましくは、該ハイブリッドメガヌクレアーゼは:
1) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアー
ゼからの第二のドメイン;または
2) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからの第一のドメインおよび別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレア
ーゼからの第二のドメイン
を含むか、またはそれらからなる。
【0068】
より好ましくは、該ハイブリッドメガヌクレアーゼは、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからの第一の
ドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからの第二のドメインを含むか
、またはそれらからなる。
【0069】
任意に、該ハイブリッドメガヌクレアーゼは:
1) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペ
プチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメインに由来する第二のドメイン;
2) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチ
ドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび同じもしくは別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第二のドメイン;
【0070】
3) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のモノ-ドデカ
ペプチドメガヌクレアーゼに由来する第二のドメイン;
4) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび同じもしくは別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメインに由来する第二のドメイン;
【0071】
5) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌク
レアーゼのC-末端ドメインに由来する第二のドメイン;
6) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび同じもしくは別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第二のドメイン;
【0072】
7) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌク
レアーゼのN-末端ドメインに由来する第二のドメイン;
8) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のモノ-ドデカ
ペプチドメガヌクレアーゼに由来する第二のドメイン;または
9) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼに由来する第一のドメインおよび同じもしくは別のモノ-ドデカペ
プチドメガヌクレアーゼに由来する第二のドメイン
を含むか、またはそれらからなる。
【0073】
好ましくは、該ハイブリッドメガヌクレアーゼは:
1) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペ
プチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメインに由来する第二のドメイン;
2) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび同じもしくは別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第二のドメイン;
【0074】
3) ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼに由来する第二のドメイン;
4) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび同じもしくは別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメインに由来する第二のドメイン;また

5) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌク
レアーゼのC-末端ドメインに由来する第二のドメイン
を含むか、あるいはそれらからなる。
【0075】
より好ましくは、該ハイブリッドメガヌクレアーゼは:
1) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペ
プチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメインに由来する第二のドメイン;
2) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび同じもしくは別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第二のドメイン;また

3) 第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のモノ-ドデカ
ペプチドメガヌクレアーゼに由来する第二のドメイン
を含むか、またはそれらからなる。
【0076】
本発明においては、ドメインの順序が当初のメガヌクレアーゼと同じでなければ、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、同じジ-ドデカペプチド
メガヌクレアーゼからの第一のドメインおよび第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼも意図する。より具体的には、本発明においては、N-末端からC-末端への方向で第一および第二のドメインを含むハイブリッドメガヌクレアーゼを意図し、ここで各ドメインは同じジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼに由来し、かつ該第一のドメインはC-末端ドメインに由来し、該第二のドメインはN-末端ドメインに由来する。
【0077】
ハイブリッドメガヌクレアーゼの2つのドメインの間に連結を導入する方法は、当業者
によく知られている。本発明においては、好ましい方法は、フレキシブルポリペプチドリンカーの使用、またはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからのループの使用のいずれ
かである。本発明においては、ループがリンカーの実施形態である。フレキシブルポリペプチドリンカーは、本質的に、グリシン、セリンおよびスレオニン残基を含む。ループは、ハイブリッドメガヌクレアーゼの設計のために用いられる2つの当初のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼの1つに存在するループ、または2つのドメインの間に導入されるいずれのその他のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからのループ、好ましくはI-Dmo Iループのいずれかであり得る。
【0078】
ハイブリッドメガヌクレアーゼの生成のための我々の好ましいアプローチは、種々のLAGLIDADGメガヌクレアーゼと矛盾しないドメイン交換である。
【0079】
ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメイン/ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメイン
第一の好ましい実施形態は、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のC-末端ドメインに由来する第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。交換点はいずれの適切な場所に位置する。交換点は、第一のメガヌクレアーゼ(A)の配列
が第二のメガヌクレアーゼ(B)の配列により実質的に置き換えられる点である。この交換
点は、DNA結合部分DBMの最後のヘリックスから第二のドデカペプチドモチーフα'Dを含むヘリックスの端までに位置することが可能である。第二のドデカペプチドモチーフ(α'D)に先行するループ(L)の内部、またはドデカペプチドモチーフを含むヘリックス(α'D)の
中に位置するのが好ましい。一般に、ドデカペプチドモチーフの上流にはほとんどアミノ酸がなく(約4〜10アミノ酸)、ヘリックス(α'D)の形成にもほとんどのアミノ酸が参加し
ない。ある好ましい実施形態において、交換点はヘリックス(α'D)の内部に位置する。特に好ましい実施形態において、交換点はドデカペプチドモチーフ自身の前のヘリックス(
α'D)中に位置する。得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼAのN-末端ドメインおよびメガヌクレアーゼBのC-末端ドメインを含む。このようなハイブリッ
ドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0080】
【表1】

【0081】
を含む。
AおよびBは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレアーゼを示す。A/Bは、交換点がセグメントの内部にあり、要素の第一の部分の起源がAであり、
第二の部分のそれがBであることを示す。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文
字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0082】
代替の実施形態において、交換点は「交換ドメイン」により置き換えられる。実際に、配列を急に変更する代わりに、ハイブリッドメガヌクレアーゼのヘリックスαDおよびα'Dは、2つの当初のメガヌクレアーゼの混合物であり得る。ヘリックス界面のほうに向けられているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、両方のヘリックスαDおよびα'Dについて1つのメガヌクレアーゼのものである(メガヌクレアーゼAからのαDおよびα'Dのもの、またはメガヌクレアーゼBからのαDおよびα'Dのもののいずれか)。任意に、界面における残基は、モノ-またはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼXからのドデカペプチドヘリックスの別の対に由来することが可能である。各ドメインの内部において、ドメインの内側の方に向けられているαDおよびα'Dを含むヘリックスからのアミノ酸残基は、それが由来するメガヌクレアーゼのそのドメイン中のその点で見出される残基に対応するものである(メガヌクレアーゼAからのαDのものおよびメガヌクレアーゼBからのα'Dのもの)。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0083】
【表2】

【0084】
を含む。
A、BおよびXは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレア
ーゼを示す。A/Bは、交換点がセグメントの内部にあり、要素の第一の部分の起源がAであり、第二の部分のそれがBであることを示す。「インター」は、ドメイン間の界面に向い
ているαDおよびα'Dの残基のことをいい、「イントラ」は、各ドメインの内部に向いて
いるαDおよびα'Dの残基のことをいう。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文
字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0085】
任意に、アミノ酸側鎖の間の立体障害を避け、そして/または安定性を増大させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる。任意に、生産性および/または溶解性を増大させ、かつ毒性を減少させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる(Turmelら、1997、Nucleic Acid Research、25、2610〜2619)。
任意に、ループを適切なリンカーにより完全にまたは部分的に置き換えることができる。適切なリンカーは、好ましくはフレキシブルである。該フレキシブルリンカーは、好ましくはグリシン、セリンおよびスレオニン残基を含む。ループとドメインとの間に、短いフレキシブルリンカーを導入することもできる。任意に、該ループを、いずれの他のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからのループ、好ましくはI-Dmo Iループにより置き換えることもできる。
【0086】
任意に、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデ
カペプチドメガヌクレアーゼ(A)のN-末端ドメインからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のC-末端ドメインからの第二のドメインを含むか、ま
たはそれらからなるこのようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、そのNおよび/またはC-末端の端にループまたはリンカー、およびいずれの付加的なドメインをさらに含むこと
ができる。好ましくは、該付加的なドメインは、DNA結合ドメイン、転写促進剤またはリ
プレッサードメイン、核局在化シグナルまたはDNA切断ドメインである。任意に、このよ
うなハイブリッドのエンドヌクレアーゼ活性を撤廃することができる。よって、ハイブリッドの主要な機能は特異的DNA結合である。
【0087】
ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメイン/ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメイン
第二の実施形態は、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のN-末端ドメインに由来する第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。交換点はいずれの適切な場所に位置する。第二のドデカペプチドモチーフ(α'D)に先行するループ(LA)の端、またはヘリックス(α'D)の中に位置するのが好ましい。ある好ましい実施形態において、交換点はヘリックス(α'D)の内部に位置する。特に好ましい実施形態において、交換点はドデカペプチドモチーフ自身の前のヘリックス(α'D)中に位置する。得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、N-末端の端からC-末端の端に、メガヌクレアーゼAのN-末端ドメインおよびメガヌクレアーゼBのN-末端ドメインを含む。好ましくは、得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼBのC-末端ドメインのDBMを含まず、より好ましくはそのC-末端ドメインを含まない。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0088】
【表3】

【0089】
を含む。
AおよびBは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレアーゼを示す。A/Bは、交換点がセグメントの内部にあり、要素の第一の部分の起源がAであり、第二の部分のそれがBであることを示す。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文
字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0090】
代替の実施形態において、交換点は交換ドメインにより置き換えられる。実際に、配列
を急に変更する代わりに、ハイブリッドメガヌクレアーゼのヘリックスαDおよびα'D
、2つの当初のメガヌクレアーゼの混合物であり得る。ヘリックス界面のほうに向けられ
ているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、両方のヘリックスαDおよびα'Dについて1つのメガヌクレアーゼのものである(メガヌクレアーゼAまたはBのいずれかからのαDおよびα'Dのもの)。任意に、界面における残基は、モノ-またはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼXからのドデカペプチドヘリックスの別の対に由来することが可能であ
る。各ドメインの内部において、ドメインの内部の方に向けられているヘリックスαD
よびα'Dからのアミノ酸残基は、それが由来するメガヌクレアーゼのそのドメイン中のその位置で見出される残基に対応するものである(メガヌクレアーゼAからのαDのものおよ
びメガヌクレアーゼBからのαDのもの)。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、
概略的に:
【0091】
【表4】

【0092】
を含む。
A、BおよびXは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレア
ーゼを示す。「インター」は、ドメイン間の界面に向いているαDおよびα'Dの残基のこ
とをいい、「イントラ」は、各ドメインの内部に向いているαDおよびα'Dの残基のこと
をいう。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末
端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0093】
任意に、アミノ酸側鎖の間の立体障害を避け、そして/または安定性を増大させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる。任意に、生産性および/または溶解性を増大させ、かつ毒性を減少させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる(Turmelら、1997、Nucleic Acid Research、25、2610〜2619)。
任意に、ループを適切なリンカーにより完全にまたは部分的に置き換えることができる。適切なリンカーは、好ましくはフレキシブルである。該フレキシブルリンカーは、本質的にグリシン、セリンおよびスレオニン残基を含む。ループとドメインとの間に、短いフレキシブルリンカーを導入することもできる。任意に、該ループを、いずれの他のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからのループ、好ましくはI-Dmo Iループにより置き換えることもできる。
【0094】
任意に、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のN-末端ドメインからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のN-末端ドメインからの第二のドメインを含むこのようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、そのNおよび/またはC-末端の
端にループまたはリンカー、およびいずれの付加的なドメインをさらに含むことができる。好ましくは、該付加的なドメインは、DNA結合ドメイン、転写促進剤またはリプレッサ
ードメイン、核局在化シグナルまたはDNA切断ドメインである。任意に、このようなハイ
ブリッドのエンドヌクレアーゼ活性を撤廃することができる。
【0095】
第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチ
ドメガヌクレアーゼ(A)のN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび同じジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のN-末端ドメインに由来する第二のドメインを含むか、ま
たはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼも、本発明の意図するところである。この種類のメガヌクレアーゼにも、同じ設計の規則が適用される。
【0096】
ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメイン/モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのドメイン
第三の実施形態は、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のN-末端ドメインからの第一のドメインおよび別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)からの第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。交換点はいずれの適切な場所に位置する。メガヌクレアーゼ(A)の第二のドデカペプチドモチーフ(α'D)に先行するループ(LA)の端、またはヘリックスαDの中に位置するのが好ましい。ある好ましい実施形態において、交換点はヘリックスα'Dの内部に位置する。特に好ましい実施形態において、交換点はドデカペプチドモチーフ自身の前のヘリックスα'D中に位置する。得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、N-末端の端からC-末端の端に、メガヌクレアーゼAのN-末端ドメインおよびメガヌクレアーゼBのドメインを含む。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0097】
【表5】

を含む。
AおよびBは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレアーゼを示す。A/Bは、交換点がセグメントの内部にあり、要素の第一の部分の起源がAであり、第二の部分のそれがBであることを示す。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文
字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0098】
本発明は、より具体的には、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、I-Dmo IメガヌクレアーゼのN-末端ドメインからの第一のドメインおよびI-Cre
Iメガヌクレアーゼからの第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼI-Dmo I/I-Cre Iに関する。好ましくは、該適切なリンカーはI-Dmo Iメガヌクレアーゼループである。好ましくは、交換点はドデカペプチドモチーフ自身の前のヘリックスα'D中に位置する。ある実施形態において、本発明は実施例1および図6に開示されるハイブリッドメガヌクレアーゼI-Dmo I/I-Cre Iまたはそれらの変形に関する。
【0099】
代替の実施形態において、交換点は交換ドメインにより置き換えられる。実際に、配列を急に変更する代わりに、ハイブリッドメガヌクレアーゼのヘリックスαDおよびα'D
、2つの当初のメガヌクレアーゼの混合物であり得る。ヘリックス界面のほうに向けられ
ているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、両方のヘリックスについて1つのメガヌクレアーゼのものである(メガヌクレアーゼAからのαDおよびα'Dのもの、または
メガヌクレアーゼBからのαDのもの)。任意に、界面における残基は、モノ-またはジ-ド
デカペプチドメガヌクレアーゼXからのドデカペプチドヘリックスの別の対に由来するこ
とが可能である。各ドメインの内部において、ドメインの内部の方に向けられているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、それが由来するメガヌクレアーゼのそのドメイン中のその位置で見出される残基に対応するものである(メガヌクレアーゼAからのαDのものおよびメガヌクレアーゼBからのαDのもの)。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0100】
【表6】

【0101】
を含む。
A、BおよびXは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレア
ーゼを示す。A/Bは、交換点がセグメントの内部にあり、要素の第一の部分の起源がAであり、第二の部分のそれがBであることを示す。「インター」は、ドメイン間の界面に向い
ているαDおよびα'Dの残基のことをいい、「イントラ」は、各ドメインの内部に向いて
いるαDおよびα'Dの残基のことをいう。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文
字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0102】
任意に、アミノ酸側鎖の間の立体障害を避け、そして/または安定性を増大させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる。任意に、生産性および/または溶解性を増大させ、かつ毒性を減少させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに
導入することができる(Turmelら、1997、Nucleic Acid Research、25、2610〜2619)。
任意に、ループを適切なリンカーにより完全にまたは部分的に置き換えることができる。適切なリンカーは、好ましくはフレキシブルである。該フレキシブルリンカーは、好ましくはグリシン、セリンおよびスレオニン残基を含む。ループとドメインとの間に、短いフレキシブルリンカーを導入することもできる。任意に、該ループを、いずれの他のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからのループ、好ましくはI-Dmo Iループにより置き換えることもできる。
【0103】
任意に、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のN-末端ドメインからの第一のドメインおよび別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のドメインからの第二のドメインを含むこのようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、そのN-末端および/またはC-末端の端にループまたはリンカー、およびいずれの付加的なドメインをさらに含むことができる。好ましくは、該付加的なドメインは、DNA結合ドメイン、転写促進剤またはリプレッサードメイン、核局在化シグナルまたはDNA切断ドメインである。任意に、このようなハイブリッドのエンドヌクレアーゼ活性を撤廃することができる。
【0104】
ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメイン/ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメイン
第四の好ましい実施形態は、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のC-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のC-末端ドメインに由来する第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。交換点はいずれの適切な場所に位置する。この交換点は、DNA結合部分DBMの最後のヘリックスから、ヘリックスα'Dに先行するループ(LB)の開始までに位置する。ヘリックスα'Dに先行するループ(LB)の開始に位置するのが好ましい。得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼAおよびBのC-末端ドメインを含む。好ましくは、得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼAのN-末端ドメインのDBMを含まず、より好ましくはそのN-末端ドメインを含まない。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0105】
【表7】

【0106】
を含む。
AおよびBは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレアーゼを示す。A/Bは、交換点がセグメントの内部にあり、要素の第一の部分の起源がAであり、第二の部分のそれがBであることを示す。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文
字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0107】
代替の実施形態において、交換点は「交換ドメイン」により置き換えられる。実際に、配列を急に変更する代わりに、ハイブリッドメガヌクレアーゼのヘリックスαDおよびα'Dは、2つの当初のメガヌクレアーゼの混合物であり得る。ヘリックス界面のほうに向けられているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、両方のヘリックスαDおよびα'Dについて1つのメガヌクレアーゼのものである(メガヌクレアーゼAからのαDおよびα'Dのもの、またはメガヌクレアーゼBからのαDおよびα'Dのもの)。任意に、界面における残基は、モノ-またはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼXからのドデカペプチドヘリックスの別の対に由来することが可能である。各ドメインの内部において、ドメインの内部の方に向けられているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、それが由来するメガヌクレアーゼのそのドメイン中のその位置で見出される残基に対応するものである(メガヌクレアーゼAからのαDのものおよびメガヌクレアーゼBからのα'Dのもの)。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0108】
【表8】

【0109】
を含む。
A、BおよびXは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレア
ーゼを示す。A/Bは、交換点がセグメントの内部にあり、要素の第一の部分の起源がAであり、第二の部分のそれがBであることを示す。「インター」は、ドメイン間の界面に向い
ているαDおよびα'Dの残基のことをいい、「イントラ」は、各ドメインの内部に向いて
いるαDおよびα'Dの残基のことをいう。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文
字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0110】
任意に、アミノ酸側鎖の間の立体障害を避け、そして/または安定性を増大させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる。任意に、生産性および/ま
たは溶解性を増大させ、かつ毒性を減少させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる(Turmelら、1997、Nucleic Acid Research、25、2610〜2619)。
任意に、ループを適切なリンカーにより完全にまたは部分的に置き換えることができる。適切なリンカーは、好ましくはフレキシブルである。該フレキシブルリンカーは、好ましくはグリシン、セリンおよびスレオニン残基を含む。ループとドメインとの間に、短いフレキシブルリンカーを導入することもできる。任意に、該ループを、いずれの他のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからのループ、好ましくはI-Dmo Iループにより置き換えることもできる。
【0111】
任意に、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のC-末端ドメインからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のC-末端ドメインからの第二のドメインを含むこのようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、そのN-末端および/またはC-末端の端にループまたはリンカー、およびいずれの付加的なドメインをさらに含むことができる。好ましくは、該付加的なドメインは、DNA結合ドメイン、転写促進剤またはリプレ
ッサードメイン、核局在化シグナルまたはDNA切断ドメインである。任意に、このような
ハイブリッドのエンドヌクレアーゼ活性を撤廃することができる。
【0112】
第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチ
ドメガヌクレアーゼ(A)のC-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび同じジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のC-末端ドメインに由来する第二のドメインを含むか、ま
たはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼも、本発明の意図するところである。この種類のメガヌクレアーゼにも、同じ設計の規則が適用される。
【0113】
モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのドメイン/ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメイン
第五の実施形態は、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のドメインからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のC末端ドメインからの第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。交換点は、DNA結合部分DBMの最後のヘリックスから、ヘリックスα'Dに先行するループ(LB)の開始までに位置することができる。ヘリックス(α'D)に先行するループ(LB)の開始に位置するのが好ましい。得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、N-末端の端からC-末端の端に、メガヌクレアーゼAのドメインおよびメガヌクレアーゼBのC-末端ドメインを含む。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0114】
【表9】

を含む。
AおよびBは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレアーゼを示す。A/Bは、交換点がセグメントの内部にあり、要素の第一の部分の起源がAであり、第二の部分のそれがBであることを示す。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文
字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0115】
代替の実施形態において、交換点は「交換ドメイン」により置き換えることができる。実際に、配列を急に変更する代わりに、ハイブリッドメガヌクレアーゼのヘリックスαD
およびα'Dは、2つの当初のメガヌクレアーゼの混合物であり得る。ヘリックス界面のほ
うに向けられているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、両方のヘリックス
αDおよびα'Dについて1つのメガヌクレアーゼのものである(メガヌクレアーゼAからのαDのもの、またはメガヌクレアーゼBからのαDおよびα'Dのもの)。任意に、界面における残基は、モノ-またはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼXからのドデカペプチドヘリックスの別の対に由来することが可能である。各ドメインの内部において、ドメインの内部の方に向けられているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、それが由来するメガヌクレアーゼのそのドメイン中のその位置で見出される残基に対応するものである(メガヌクレアーゼAからのαDのものおよびメガヌクレアーゼBからのα'Dのもの)。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0116】
【表10】

【0117】
を含む。
A、BおよびXは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレア
ーゼを示す。A/Bは、交換点がセグメントの内部にあり、要素の第一の部分の起源がAであり、第二の部分のそれがBであることを示す。「インター」は、ドメイン間の界面に向い
ているαDおよびα'Dの残基のことをいい、「イントラ」は、各ドメインの内部に向いて
いるαDおよびα'Dの残基のことをいう。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文
字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0118】
任意に、アミノ酸側鎖の間の立体障害を避け、そして/または安定性を増大させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる。任意に、生産性および/または溶解性を増大させ、かつ毒性を減少させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる(Turmelら、1997、Nucleic Acid Research、25、2610〜2619)。
任意に、ループを適切なリンカーにより完全にまたは部分的に置き換えることができる。適切なリンカーは、好ましくはフレキシブルである。該フレキシブルリンカーは、本質的にグリシン、セリンおよびスレオニン残基を含む。ループとドメインとの間に、短いフレキシブルリンカーを導入することもできる。任意に、該ループを、いずれの他のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからのループ、好ましくはI-Dmo Iループにより置き換えることもできる。
【0119】
任意に、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のドメインからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のC-末端ドメインからの第二のドメインを含むこのようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、そのN-末端および/またはC-末端の端にループまたはリンカー、およびいずれの付加的なドメインをさらに含むことができる。好ましくは、該付加的なドメインは、DNA結合ドメイン、転写促進剤またはリプレッサードメイン、核局在化シグナルまたはDNA切断ドメインである。任意に、このようなハイブリッドのエンドヌクレアーゼ活性を撤廃することができる。
【0120】
ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメイン/ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメイン
第六の好ましい実施形態は、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のC-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のN-末端ドメインに由来する第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。第一および第二のドメインは、いずれのジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼYからの適切なリンカーまたは連結ループのいずれか、例えばI-Dmo Iメガヌクレアーゼのループによ
り連結されている。適切なリンカーは、好ましくはフレキシブルである。該フレキシブルリンカーは、本質的にグリシン、セリンおよびスレオニン残基を含む。ループとドメインとの間に、短いフレキシブルリンカーを導入することもできる。リンカーは、メガヌクレアーゼAのC-末端ドメインのDBMの4ストランドのβ-シートに続くヘリックスの一端、およびメガヌクレアーゼBのN-末端ドメインのヘリックスαDにおける他の端に付着しているのが好ましい。得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、N-末端の端からC-末端の端にメガヌクレアーゼAのC-末端ドメイン、リンカーまたは連結ループ、およびメガヌクレアー
ゼBのN-末端ドメインを含む。好ましくは、得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、
メガヌクレアーゼAのN-末端ドメインのDBMを含まず、より好ましくはそのN-末端ドメインを含まない。好ましくは、得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼBのC-末端ドメインのDBMを含まず、より好ましくはそのC-末端ドメインを含まない。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0121】
【表11】

【0122】
を含む。
A、BおよびYは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレア
ーゼを示す。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0123】
代替の実施形態において、ハイブリッドメガヌクレアーゼのヘリックスαDおよびα'D
は、2つの当初のメガヌクレアーゼの混合物であり得る。ヘリックス界面のほうに向けら
れているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、両方のヘリックスαDおよびα'Dについて1つのメガヌクレアーゼのものである(メガヌクレアーゼAまたはBからのαDおよびα'Dのもの)。任意に、界面における残基は、モノ-またはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼXからのドデカペプチドヘリックスの別の対に由来することが可能である。各ドメインの内部において、ドメインの内部の方に向けられているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、それが由来するメガヌクレアーゼのそのドメイン中のその位置で見出される残基に対応するものである(メガヌクレアーゼAからのα'DのものおよびメガヌクレアーゼBからのαDのもの)。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0124】
【表12】

【0125】
を含む。
A、B、XおよびYは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレアーゼを示す。「インター」は、ドメイン間の界面に向いているαDおよびα'Dの残基の
ことをいい、「イントラ」は、各ドメインの内部に向いているαDおよびα'Dの残基のこ
とをいう。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-
末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文字(N)および(C)は、それぞれ
、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0126】
任意に、アミノ酸側鎖の間の立体障害を避け、そして/または安定性を増大させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる。任意に、生産性および/または溶解性を増大させ、かつ毒性を減少させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる(Turmelら、1997、Nucleic Acid Research、25、2610〜2619)。
【0127】
任意に、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のC-末端ドメインからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のN-末端ドメインからの第二のドメインを含むこのようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、そのN-末端および/またはC-末端の端にループまたはリンカー、およびいずれの付加的なドメインをさらに含むことができる。好ましくは、該付加的なドメインは、DNA結合ドメイン、転写促進剤またはリプレ
ッサードメイン、核局在化シグナルまたはDNA切断ドメインである。任意に、このような
ハイブリッドのエンドヌクレアーゼ活性を撤廃することができる。
【0128】
第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチ
ドメガヌクレアーゼ(A)のC-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび同じジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のN-末端ドメインに由来する第二のドメインを含むか、ま
たはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼも、本発明の意図するところである。この種類のメガヌクレアーゼにも、同じ設計の規則が適用される。
【0129】
モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのドメイン/ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのN-末端ドメイン
第七の実施形態は、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のドメインからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のN-末端ドメインからの第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。第一および第二のドメインは、いずれのジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼYからの適切なリンカーまたは連結ループのいずれか、例えばI-Dmo Iメガヌクレアーゼのループにより連結されている。適切なリンカーは、好ましくはフレキシブルである。該フレキシブルリンカーは、本質的にグリシン、セリンおよびスレオニン残基を含む。ループとドメインとの間に、短いフレキシブルリンカーを導入することもできる。リンカーは、メガヌクレアーゼAのドメインのDBMの4ストランドのβ-シートに続くヘリックスの一端、およびメガヌクレアーゼBのN-末端ドメインのヘリックスαDにおける他の端に付着しているのが好ましい。得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、N-末端の端からC-末端の端にメガヌクレアーゼAのドメイン、リンカーまたは連結ループ、およびメガヌクレアーゼBのN-末端ドメインを含む。好ましくは、得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼBのC-末端ドメインのDBMを含まず、より好ましくはそのC-末端ドメインを含まない。
このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0130】
【表13】

【0131】
を含む。
A、BおよびYは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレア
ーゼを示す。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0132】
代替の実施形態において、ハイブリッドメガヌクレアーゼのヘリックスαDおよびα'D
は、2つの当初のメガヌクレアーゼの混合物であり得る。ヘリックス界面のほうに向けら
れているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、両方のヘリックスについて1つのメガヌクレアーゼのものである(メガヌクレアーゼAからのαDのもの、またはメガヌク
レアーゼBからのαDおよびα'Dのもの)。任意に、界面における残基は、モノ-またはジ-
ドデカペプチドメガヌクレアーゼXからのドデカペプチドヘリックスのその他の対に由来
することが可能である。各ドメインの内部において、ドメインの内部の方に向けられているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、それが由来するメガヌクレアーゼの
そのドメイン中のその位置で見出される残基に対応するものである(メガヌクレアーゼAからのαDのものおよびメガヌクレアーゼBからのαDのもの)。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0133】
【表14】

【0134】
を含む。
A、B、XおよびYは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレアーゼを示す。「インター」は、ドメイン間の界面に向いているαDおよびα'Dの残基の
ことをいい、「イントラ」は、各ドメインの内部に向いているαDおよびα'Dの残基のこ
とをいう。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-
末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文字(N)および(C)は、それぞれ
、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0135】
任意に、アミノ酸側鎖の間の立体障害を避け、そして/または安定性を増大させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる。任意に、生産性および/または溶解性を増大させ、かつ毒性を減少させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる(Turmelら、1997、Nucleic Acid Research、25、2610〜2619)。
【0136】
任意に、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のドメインからの第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のN-末端ドメインからの第二のドメインを含むこのようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、そのN-末端および/またはC-末端の端にループまたはリンカー、およびいずれの付加的なドメインをさらに含むことができる。好ましくは、該付加的なドメインは、DNA結合ドメイン、転写促進剤またはリプレッサードメイン、核局在化シグナルまたはDNA切断ドメインである。任意に、このようなハイブリッドのエンドヌクレアーゼ活性を撤廃することができる。
【0137】
ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのC-末端ドメイン/モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのドメイン
第八の実施形態は、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のC-末端ドメインからの第一のドメインおよび別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)からの第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。第一および第二のドメインは、いずれのジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼYからの適切なリンカーまたは連結ループのいずれか、例えばI-Dmo Iメガヌクレアーゼのループにより連結されている。適切なリンカーは、好ましくはフレキシブルである。該フレキシブルリンカーは、本質的にグリシン、セリンおよびスレオニン残基を含む。ループとドメインとの間に、短いフレキシブルリンカーを導入することもできる。リンカーは、メガヌクレアーゼAのC-末端ドメインのDBMの4ストランドのβ-シートに続くヘリックスの一端、およびメガヌクレアーゼBのドメインのヘリックスαDにおける他の端に付着しているのが好ましい。得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、N-末端の端からC-末端の端にメガヌクレアーゼAのC-末端ドメイン、リンカーまたは連結ループ、およびメガヌクレアーゼBのドメインを含む。好ましくは、得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼAのN-末端ドメインのDBMを含まず、より好ましくはそのN-末端ドメインを含まない。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0138】
【表15】

【0139】
を含む。
A、BおよびYは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレア
ーゼを示す。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0140】
代替の実施形態において、ハイブリッドメガヌクレアーゼのヘリックスαDおよびα'D
は、2つの当初のメガヌクレアーゼの混合物であり得る。ヘリックス界面のほうに向けら
れているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、両方のヘリックスについて1つのメガヌクレアーゼのものである(メガヌクレアーゼAからのαDおよびα'Dのもの、また
はメガヌクレアーゼBからのαDのもの)。任意に、界面における残基は、モノ-またはジ-
ドデカペプチドメガヌクレアーゼXからのドデカペプチドヘリックスのその他の対に由来
することが可能である。各ドメインの内部において、ドメインの内部の方に向けられているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、それが由来するメガヌクレアーゼの
そのドメイン中のその位置で見出される残基に対応するものである(メガヌクレアーゼAからのα'DのものおよびメガヌクレアーゼBからのαDのもの)。このようなハイブリッドメ
ガヌクレアーゼは、概略的に:
【0141】
【表16】

【0142】
を含む。
A、B、XおよびYは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレアーゼを示す。「インター」は、ドメイン間の界面に向いているαDおよびα'Dの残基の
ことをいい、「イントラ」は、各ドメインの内部に向いているαDおよびα'Dの残基のこ
とをいう。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-
末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文字(N)および(C)は、それぞれ
、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0143】
任意に、アミノ酸側鎖の間の立体障害を避け、そして/または安定性を増大させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる。任意に、生産性および/または溶解性を増大させ、かつ毒性を減少させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる(Turmelら、1997、Nucleic Acid Research、25、2610〜2619)。
【0144】
任意に、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のC-末端ドメインからの第一のドメインおよび別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のドメインからの第二のドメインを含むこのようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、そのN-末端および/またはC-末端の端にループまたはリンカー、およびいずれの付加的なドメインをさらに含むことができる。好ましくは、該付加的なドメインは、DNA結合ドメイン、転写促進剤またはリプレッサードメイン、核局在化シグナルまたはDNA切断ドメインである。任意に、このようなハイブリッドのエンドヌクレアーゼ活性を撤廃することができる。
【0145】
モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのドメイン/モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼのドメイン
第九の実施形態は、第一および第二のドメインが適切なリンカーにより結合されている、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のドメインに由来する第一のドメインおよび同じもしくは別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のドメインに由来する第二のドメインを含むか、またはそれらからなるハイブリッドメガヌクレアーゼに関する。第一および第二のドメインは、いずれのジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼYからの適切なリンカーまたは連結ループのいずれか、例えばI-Dmo Iメガヌクレアーゼのループにより連結されている。適切なリンカーは、好ましくはフレキシブルである。該フレキシブルリンカーは、本質的にグリシン、セリンおよびスレオニン残基を含む。ループとドメインとの間に、短いフレキシブルリンカーを導入することもできる。リンカーは、メガヌクレアーゼAのドメインのDBMの4ストランドのβ-シートに続くヘリックスの一端、およびメガヌクレアーゼBのドメインのヘリックスαDにおける他の端に付着しているのが好ましい。得られるハイブリッドメガヌクレアーゼは、N-末端の端からC-末端の端にBのDBMの下流に位置する可変配列VAを欠失したメガヌクレアーゼAのドメイン、リンカーまたは連結ループ、およびBのドメインを含む。このようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、概略的に:
【0146】
【表17】

【0147】
を含む。
A、BおよびYは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレア
ーゼを示す。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文字(N)および(C)は、それぞれ、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0148】
代替の実施形態において、ハイブリッドメガヌクレアーゼのヘリックスαDおよびα'D
は、2つの当初のメガヌクレアーゼの混合物であり得る。ヘリックス界面のほうに向けら
れているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、両方のヘリックスについて1つのメガヌクレアーゼのものである(メガヌクレアーゼAまたはBからのαDのもの)。任意に
、界面における残基は、モノ-またはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼXからのドデカ
ペプチドヘリックスの別の対に由来することが可能である。各ドメインの内部において、ドメインの内部の方に向けられているヘリックスαDおよびα'Dからのアミノ酸残基は、
それが由来するメガヌクレアーゼのそのドメイン中のその位置で見出される残基に対応するものである(メガヌクレアーゼAおよびBからのαDのもの)。このようなハイブリッドメ
ガヌクレアーゼは、概略的に:
【0149】
【表18】

【0150】
を含む。
A、B、YおよびXは、セグメントV、αD、DBM、L、α'D、DBM'、V'の起源でのメガヌクレアーゼを示す。「インター」は、ドメイン間の界面に向いているαDおよびα'Dの残基の
ことをいい、「イントラ」は、各ドメインの内部に向いているαDおよびα'Dの残基のこ
とをいう。αAおよびαBは、N-末端ドメインのαDのことをいい、α'Aおよびα'Bは、C-
末端ドメインのα'Dのことをいう。「DBM」欄について、文字(N)および(C)は、それぞれ
、N-末端ドメインおよびC-末端ドメインからの起源を示す。
【0151】
任意に、アミノ酸側鎖の間の立体障害を避け、そして/または安定性を増大させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる。任意に、生産性および/または溶解性を増大させ、かつ毒性を減少させるために、いくらかのアミノ酸修飾をさらに導入することができる(Turmelら、1997、Nucleic Acid Research、25、2610〜2619)。
【0152】
任意に、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のドメインからの第一のドメインおよび別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のドメインからの第二のドメインを含むこのようなハイブリッドメガヌクレアーゼは、そのN-末端および/またはC-末端の端にループまたはリンカー、およびいずれの付加的なドメインをさらに含むことができる。好ましくは、該付加的なドメインは、DNA結合ドメイン、転写促進剤またはリプレッサード
メイン、核局在化シグナルまたはDNA切断ドメインである。任意に、このようなハイブリ
ッドのエンドヌクレアーゼ活性を撤廃することができる。
【0153】
ハイブリッドメガヌクレアーゼ、より具体的にはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のN-末端ドメインに由来する第一のドメインおよび別のジ-ドデカペプチドメガヌクレ
アーゼ(B)のC-末端ドメインに由来する第二のドメインを含むハイブリッドメガヌクレア
ーゼは、I-Dmo I / I-Cre Iハイブリッドメガヌクレアーゼについて実施例1に開示されている。2つのドメイン間に該リンカーを導入するある方法の例は、単鎖I-Cre Iメガヌクレアーゼについて、実施例2に開示されている。
【0154】
代替の工作の計略が可能である。例えば、フレキシブルリンカーは、グリシン、セリンおよびスレオニンアミノ酸のいくつかを含む配列であり得る。我々の発明には存在しない不都合は、この場合、タンパク質ドメインへの連結と共に、各ドメインの組み合わせについて正確なリンカー配列および長さを決定する必要があることだろう。
【0155】
我々の好ましい計略は、「ドメイン交換」された親のタンパク質の構造解析および比較に基づく。別のアプローチは、保存構造のモチーフに最も確実に一致する領域における2
つのタンパク質の配列を整列させることを必要とする。例えば、ドデカペプチドモチーフの配列保存は、ドメイン内の2-ヘリックスの束の持続的な存在に関連する。ドメイン交換されたエンドヌクレアーゼは、第二のドデカペプチドモチーフ内のどこか、またはリンカー領域が存在しなければならないモチーフの直前においてタンパク質配列を交換することにより、工作することができる。
【0156】
本発明は、本質的に認識ドメインとしてのこのようなハイブリッドメガヌクレアーゼの使用も意図する。この場合、ハイブリッドメガヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ触媒活性は、ある変異、例えば触媒活性に必要な酸性残基D/Eにより撤廃することができる。
【0157】
ある具体的な実施形態において、本発明はドデカペプチドメガヌクレアーゼに由来するあるドメイン、リンカーおよびドデカペプチドモチーフを含むヘリックスを含むキメラタンパク質に関する。任意に、該リンカーはジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼからのル
ープである。任意に、該キメラタンパク質は、付加的なドメインをさらに含む。該付加的なドメインは、好ましくはDNA結合ドメイン、転写促進剤またはリプレッサードメイン、
核局在化シグナルまたはDNA切断ドメインである。
【0158】
単鎖メガヌクレアーゼ
本発明において、我々は、「モノ-ドデカペプチド」メガヌクレアーゼに由来する単鎖
メガヌクレアーゼを開示している。「モノ-ドデカペプチド」メガヌクレアーゼは、ホモ
ダイマーとして活性である。各モノマーは、主に、それらのドデカペプチドモチーフを介してダイマー化する。この単鎖メガヌクレアーゼは、この酵素の2つのサブユニットの間
に共有結合を導入するように修飾された「モノ-ドデカペプチド」メガヌクレアーゼの2つのモノマーを共有的に結合する。好ましくは、該共有結合は、2つのモノマーの間にペプ
チド結合を創ることにより導入される。しかしながら、その他の適切な共有結合も本発明により意図される。
【0159】
本発明は、N-末端からC-末端の方向に該第一および第二のドメインを含み、第一および第二のドメインが同じモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼに由来し、そして単鎖メガ
ヌクレアーゼがDNA切断を起こし得る、単鎖メガヌクレアーゼに関する。単鎖メガヌクレ
アーゼは、単鎖I-Creおよび単鎖I-Ceu Iのような同じメガヌクレアーゼからの2つのサブ
ユニットを含むことができる。単鎖I-Ceu IIも、本発明により意図する。単鎖I-Cre Iに
ついての実施例2を参照。
【0160】
本発明は、配列番号6の配列を含むI-Creの単鎖メガヌクレアーゼに関する。単鎖メガヌクレアーゼは、多数の利点を有する。例えば、単鎖メガヌクレアーゼは、操作するのがより容易である。単鎖メガヌクレアーゼは、例えば標的配列の認識について、ダイマーの形成に比べて熱力学的に好ましい。単鎖メガヌクレアーゼは、オリゴマー化の調節を許容する。ハイブリッドメガヌクレアーゼの同じ原理が単鎖メガヌクレアーゼに適用される。より具体的には、モノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(A)のドメインに由来する第一のドメインおよび同じまたは別のモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼ(B)のドメインに由来する第二のドメインを含むハイブリッドメガヌクレアーゼを参照。
【0161】
本発明は、本発明によるハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼの変形にも関する。好ましくは、ハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼの変形は、当初のハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼと少なくとも70%の相同性、より好ましくは少なくとも80、90、95または99%の相同性を有する、2つのドメインおよびリンカーからなるメガヌクレアーゼの核を含む。変形は、1) 1以上のアミノ酸残基が保存または非保存アミノ酸残基により置換されており、かつこのような置換アミノ酸残基が遺伝コードによりエンコードされることができるか、またはされることができないもの、または2) 1以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、または3) ハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼが、ポリペプチドの半減期を増加させる化合物(例えばポリペプチドエチレングリコール)のような別の化合物と融合されているもの、または4) リーダー配列もしくは分泌配列、またはハイブリッドメガヌクレアーゼの精製に用いられる配列のような、付加的なアミノ酸がハイブリッドメガヌクレアーゼに結合されたものであり得る。このような変形は、当業者の視野の範囲内であると考えられる。
【0162】
本発明によるハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼのアミノ酸配列におけるアミノ酸置換の場合、1またはいくつかのアミノ酸を「等価」アミノ酸により置換することがで
きる。本明細書において用いられる「等価」アミノ酸の表現は、ペプチド化学の当業者がポリペプチドの二次構造およびヒドロパシーの性質(hydropathic nature)が実質的に変更されないことを予期できるように、類似の特性を有するアミノ酸の1つについて置換する
ことができるいずれのアミノ酸を表す。一般に、次のアミノ酸の群が等価な変更を表す:(1) Ala、Pro、Gly、Glu、Asp、Gln、Asn、Ser、Thr;(2) Cys、Ser、Tyr、Thr;(3) Val、Ile、Leu、Met、Ala、Phe;(4) Lys、Arg、His;(5) Phe、Tyr、Trp、His。修飾されたハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼは、タンパク質溶解に耐性があるペプチド分子であり、CONHペプチド結合が、(CH2NH)還元結合(reduced bond)、 (NHCO) レトロ逆(retro inverso)結合、(CH2-O)メチレン-オキシ結合、(CH2-S)チオメチレン結合、(CH2CH2)カルバ(carba)結合、(CO-CH2)セトメチレン結合、(CHOH-CH2)ヒドロキシエチレン結合、(N-N)結合、E-アルセン(alcene)結合または-CH=CH-結合により修飾され、かつ置換されているペプチドである。
【0163】
本発明は、少なくとも1つのペプチド結合が上記のようにして修飾されているハイブリ
ッドまたは単鎖メガヌクレアーゼも包含する。
【0164】
本発明は、本発明によるハイブリッドもしくは単鎖メガヌクレアーゼを含むいずれの細胞、または非ヒト動物に関する。本発明は、本発明によるハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼを含むいずれの医薬組成物も含む。
【0165】
ハイブリッドおよび単鎖メガヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレオチド、ベクター、細胞および動物
本発明は、本発明によるハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼをエンコードする組換えポリヌクレオチドに関する。これらのポリヌクレオチドのうち、本発明は、配列番号1、3および5からなる群より選択される配列を含むポリヌクレオチドに関する。
【0166】
本発明は:
a) 本発明によるハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレ
オチド配列を含むいずれのベクター;
b) 本発明によるハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレ
オチド配列もしくは該ポリヌクレオチド配列を含むベクターのいずれかを含む原核細胞または真核細胞;
c) 本発明によるハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレ
オチド配列、該ポリヌクレオチドを含むベクター、または該ポリヌクレオチドもしくは該ポリヌクレオチドを含むベクターのいずれかを含む細胞を含む非ヒト動物
に関する。
【0167】
ハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、1以上の発現調節配列に実施可能に連結された該ハイブリッドまたは単鎖メガ
ヌクレアーゼのコーディング配列の全部または部分を含み、それによりコーディング配列が転写シグナルの調節下にあって該ハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼの産生または合成を許容する。よって、ハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼをエンコードする該ポリヌクレオチドは、発現カセットの中に含まれる。
より具体的には、ベクターは、複製起点、該エンコードするポリヌクレオチドに実施可能に連結されるプロモーター、リボソーム結合部位、RNAスプライシング部位(ゲノムDNA
を用いる場合)、ポリアデニル化部位および転写終結部位を含む。また、エンハンサーを
含むこともできる。プロモーターの選択は、ハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼの発現のために要求される経路に依存する。
【0168】
本発明は、発現ベクターの要素に影響を及ぼさない細胞に発現ベクターを導入することを含む、ハイブリッドまたはメガヌクレアーゼの製造方法に関する。
ハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレオチド配列は、いずれの既知の方法により製造できる。
例えば、ハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレオチド配列は、通常の分子生物学の技術を用いることにより、当初のメガヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレオチド配列から製造できる。
【0169】
好ましくは、ハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレオチド配列は、よく知られた逆翻訳法(back or reverse-translation methods)によりつく
られるのが好ましい。例えばGCG配列解析パッケージ(University of Wisconsin、Madison、Wis);EMBOSS (European Molecular Biology Open Software Suite:http://www.hgmp. mrc. ac. uk/Software/EMBOSS/Apps/backtranseq.htmlなど)のDNAストライダー(strider)などにおいて、いくつかの逆翻訳ソフトが入手可能である。得られるポリヌクレオチド配列は、当業者によく知られたいずれの方法を用いて合成することができる。
【0170】
ハイブリッド認識および切断部位
本発明によるハイブリッドメガヌクレアーゼは、ハイブリッドメガヌクレアーゼに含まれる各ドメインにより認識される半分の部位を含む、ハイブリッド部位または標的を認識し、かつ切断する。
メガヌクレアーゼの認識部位は、パリンドロームではない。ジ-ドデカペプチドメガヌ
クレアーゼAについて、N-末端およびC-末端は、2つの異なる半分の認識部位(本明細書に
おいて、「部位LA」および「部位RA」という)を認識する。当初の半分の部位について示
される配列は、通常、ゲノムのプラス鎖の配列に対応する。「L」は、部位の左の部分、
「R」は、右の部分をいう。よって、メガヌクレアーゼAの部位は、部位LA-部位RAと記載
することができる。本発明において、「RC部位」により、ゲノムの標的部位のプラス鎖上の半分の部位の逆相補配列を意図する。
【0171】
それらのそれぞれの認識および切断部位上での親の分子の配向は、常によく定義され、知られているわけではない。よって、好ましくは、いくつかの半分の部位の組み合わせを合成し、切断に付さなければならない。例えば、ジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼAのドメインに由来する第一のドメインおよびジ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼBのドメインに由来する第二のドメインを含むハイブリッドメガヌクレアーゼについて、次の標的部位が好ましく用いられる;
部位LA-部位RB
RC 部位RA-部位RB
部位LA-RC 部位LB
RC 部位RA-RC 部位LB
【0172】
配向がわかっている場合、ハイブリッド部位は、いずれの組み合わせなしに容易に定義することができる。配向の決定は、ハイブリッドメガヌクレアーゼの発生、および上記の組み合わせのいくつかの標的へのそれらの特異性の研究により決定することができる。メガヌクレアーゼの各配向、および認識部位の決定の方法については、実施例3 (I-Dmo I/I-Cre I)を参照。
【0173】
エンドヌクレアーゼ活性および特異性を試験するために、親の半分の部位の融合またはそれらの組み合わせに対応する合成標的部位を合成し、そしてベクターにクローニングするか、またはそのまま用いる。
【0174】
本発明は、本発明によるハイブリッド標的部位を含む単離または組換えポリヌクレオチドに関する。このハイブリッド標的部位は、当初のメガヌクレアーゼからの2つの半分の
部位(1つのメガヌクレアーゼ当たり1つ)を含む。本発明は、本発明によるハイブリッド標的部位を含むベクターにも関する。本発明は、さらに、本発明による組換えポリヌクレオチドまたはハイブリッド標的部位を含むベクターを含む細胞に関する。本発明は、さらに、本発明による組換えポリヌクレオチドまたはハイブリッド標的部位を含むベクターを含む非ヒト動物に関する。本発明は、さらに、本発明による組換えポリヌクレオチドまたはハイブリッド標的部位を含むベクターを含む植物に関する。
【0175】
認識および切断部位に関して何も知られていない場合、この部位を決定するために次の方法を用いることができる。
【0176】
ドデカペプチドファミリーの、イントロンにエンコードされたホーミングメガヌクレアーゼは、通常、イントロンを有さない遺伝子中に存在する配列を認識し、切断するが、ここで該イントロンはメガヌクレアーゼをエンコードする配列を含む。実際に、メガヌクレアーゼについての標的配列は、イントロンを有さない遺伝子中に天然に存在する上流および下流のエキソンの接合点により表される。メガヌクレアーゼのこのクラスについての二本鎖切断は、認識部位の内部で起こる。
【0177】
認識部位の伸張についてのデータがない場合、認識部位の長さは、左の部分に30ヌクレオチド(上流のエキソン)、および右の部分に30ヌクレオチド(下流のエキソン)であるべきであり、つまりタンパク質の結合および/または切断を試験するのに60ヌクレオチドという意味である。認識配列は、イントロンを有さない遺伝子中のイントロン挿入点の場所の付近の中心におくべきである。
【0178】
インテインの特定の場合(PI)、規範的な標的は、DNAレベルにおいて、2つのエクステインをエンコードする配列の接合点により表されるべきであり、かつ前出の部位に等価なサイズ(合計で約30+30=60ヌクレオチド)のものであるべきである。認識部位についてのデータがない場合、イントロンにエンコードされた部位の決定との1つの相違点は、認識部位(TGTまたはTGC)の真ん中でのシステインコドンの存在(多くの場合に観察される)であろう。
【0179】
ハイブリッドメガヌクレアーゼの場合、規範的な標的配列は、各原型のメガヌクレアーゼの2つの半分の部位の間の接合点により表されるべきである。
【0180】
インビトロ切断アッセイ
本発明によるハイブリッドおよび/または単鎖メガヌクレアーゼによる特定のDNA配列
の認識および切断は、当業者に知られているいずれの方法により分析され得る。ハイブリッドおよび/または単鎖メガヌクレアーゼの活性を試験するある方法は、アッセイするメガヌクレアーゼに対応する認識および切断部位を含むポリヌクレオチド基質(subtrat)のインビトロ切断アッセイを用いることである。該ポリヌクレオチド基質は、合成され、ベクターにクローニングされる親の半分の部位の融合に対応する合成標的部位である。制限酵素により一旦線状化されたこのベクターを、次いでハイブリッドとインキュベーションする。該ポリヌクレオチド基質は、線状または環状であることができ、好ましくは切断部位を1つだけ含む。アッセイされるメガヌクレアーゼは、適切な条件でポリヌクレオチド基質とインキュベートされる。得られるポリヌクレオチドは、いずれの既知の方法、例えばアガロース上での電気泳動またはクロマトグラフィーにより分析される。メガヌクレアーゼ活性は、2つのバンド(産物)の出現、および当初の全長の基質のバンドの消滅により検出される。好ましくは、該アッセイされるメガヌクレアーゼは、例えば得られるポリヌクレオチドの分析の前に、プロテイナーゼKにより消化される。
【0181】
ある実施形態において、標的産物は、TAまたは制限酵素クローニングによる、プラスミドへの認識および切断配列を含むポリヌクレオチドの導入、および任意にそれに続くプラスミドの線状化を用いて調製される。好ましくは、このような線状化は、標的部位の周囲では行われない。Wangら、1997、Nucleic Acid Research、25、3767〜3776;In materials &Methods "I-CreI endonuclease activity assays"セクション(その開示は本明細書中に参照により組み込まれる)、および考慮するメガヌクレアーゼの特性を決定している文献を参照。
【0182】
それらのそれぞれの認識および切断部位上での当初のメガヌクレアーゼの配向は、いつも知られているわけではない(例えば、I-Dmo IのN-末端は、その部位の左半分または右半分の部分に結合するのか?)。よって、いくつかの半分の部位の組み合わせが合成され、
切断に付されなければならない。
【0183】
インビボ切断アッセイ
本発明によるハイブリッドおよび/または単鎖メガヌクレアーゼによる特定のDNA配列
の認識および切断は、当業者に知られているいずれの方法により分析され得る。ハイブリッドおよび/または単鎖メガヌクレアーゼの活性を試験するある方法は、インビボ一本鎖アニーリング組換え試験(SSA)の使用である。この種の試験は、当業者に知られており、例えばその開示が本明細書に参照として組み込まれるRudinら(Genetics 1989、122、519〜534);Fishman-LobellおよびHaber (Science 1992、258、480〜4);Linら(Mol. Cell. Biol.、1984、4、1020〜1034)、ならびにRouetら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1994、91、6064〜6068)に開示される。この試験は、いずれのエンドヌクレアーゼ、好ましくはレアカットエンドヌクレアーゼの分析のために用い得る。
【0184】
本発明によるハイブリッドおよび/または単鎖メガヌクレアーゼを試験するために、我々は、真核細胞、すなわち酵母細胞または哺乳動物細胞のような高等真核細胞中でSSAに基づくインビボアッセイを開発した。インビボアッセイのある好ましい実施形態において、該方法は酵母細胞を用いる。この生物は、高頻度で相同組換えを介してそのDNAを自然に組み換える利点を有する。
【0185】
このインビボ試験は、アッセイされるメガヌクレアーゼによりその認識および切断部位においてつくられる部位特異的二本鎖切断により誘導されるレポーターマーカーのSSAに
よる修復に基づく。標的は、アッセイされるメガヌクレアーゼの認識および切断部位を含む介在配列により分離される内部重複を持つ修飾されたレポーター遺伝子からなる。内部重複は、少なくとも50 bp、好ましくは少なくとも200 bp、より好ましくは少なくとも300または400 bpを含むべきである。SSA試験の効率は、内部重複のサイズにより増加される
。介在配列は、2 kbにあり、好ましくは2 kb未満である。好ましくは、少なくとも認識および切断部位を含む介在配列のサイズは、数bp〜1 kbの間、好ましくは500 bpの中である。介在配列は、任意に、選択マーカー(例えば、真核細胞培養にはネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、グルタミンシンセターゼおよびヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ;エス・セレビシエにはTRP1またはURA3;イー・コリではテトラサイクリン、リファンピシンまたはアンピシリン耐性など)を含み得る。レポーター遺伝子により、容易にアッセイされる産物、例えばβ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、グリーン蛍光タンパク質、チロシナーゼ、DsRedタンパク質をエンコードするいずれの核酸を意図する。レポーター遺伝子は、好ましくは、アッセイにおいて用いられる細胞に関連する構成プロモーター(例えばCMVプロモーター)に実施可能に連結される。本アッセイ方法によると、レポーターはSSAイベントが、アッセイされるメガヌクレアーゼにより導入される二本鎖切断に続いて起こる場合にのみ検出される。
【0186】
アッセイされるメガヌクレアーゼは、発現カセット中に導入される。好ましくは、この発現カセットは独立した構築物上にある。メガヌクレアーゼをエンコードする配列は、誘導可能なプロモーターまたは構成プロモーターに実施可能に連結されることができる。もちろん、該プロモーターは、アッセイで用いられる細胞に影響を及ぼさないものである必要がある。好ましい実施形態において、該構築物はプラスミドに含まれている。
【0187】
任意に、各構築物は、細胞中のプラスミドの存在を確実にするのに選択可能なマーカーを含むことができる。この選択可能なマーカーの存在は、酵母細胞中で進められるアッセイに必要である。例えば、酵母について、標的遺伝子を含む第一の構築物は、形質転換された酵母がいずれのロイシンも含まない合成培地で増殖するのを許容するLeu2選択マーカーを含むことができ、そして第二の構築物は、形質転換された酵母がいずれのトリプトファンも含まない合成培地で増殖するのを許容するTrp1選択マーカーを含むことができる。
【0188】
2つの構築物を用いて、適切な細胞を同時に形質転換する。メガヌクレアーゼが発現し
、そしてレポーター構築物上でその切断部位を認識する場合、一本鎖アニーリングとして知られる機構により、それは二本鎖切断および標的配列の間の部位特異的組換えを促進することができる。得られるレポーター遺伝子は、次いで完全に活性なレポータータンパク質を発現するはずである。コントロール実験を、いずれのメガヌクレアーゼ遺伝子を発現しない構築物、ならびに認識および切断部位を有さないレポーター構築物を用いて行うことができる。
【0189】
実施例4は、Ura3選択マーカーにより分離された900pbの内部重複を有する修飾されたβ-ガラクトシダーゼ遺伝子、およびアッセイされるメガヌクレアーゼ(単鎖I-Cre I)への切断部位からなる標的の使用を開示した。
【0190】
本発明によるハイブリッドおよび/または単鎖メガヌクレアーゼによる認識および切断は、遺伝子変換アッセイによっても行うことができる。例えば、レポーター構築物は、欠失および欠失の位置での介在配列の挿入をもつ第一の修飾されたレポーター遺伝子を含む。この介在配列は、アッセイされるメガヌクレアーゼの認識および切断部位を含む。レポーター構築物は、さらに、欠失に接するレポーター遺伝子配列がそれぞれの側にある、欠失されたレポーター遺伝子のフラグメントを含む。この接する配列は、それぞれの側で、レポーター遺伝子と少なくとも100 bp、好ましくは少なくとも300 pbの相同性を有する。その認識および切断部位における、アッセイされるメガヌクレアーゼによりつくられる部位特異的二本鎖切断の誘導は、遺伝子変換事象の引き金となり、機能的なレポーター遺伝子となる。この種のアッセイは、次の文献に記載されている:Rudinら(Genetics 1989、122、519〜534)、Fishman- LobellおよびHaber (Science 1992、258、480〜4)、PaquesおよびHaber (Mol. Cell. Biol.、1997、17、6765〜6771)、これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる。
【0191】
他には、本発明によるハイブリッドおよび/または単鎖メガヌクレアーゼによる認識および切断は、染色体の標的上の組換えアッセイを介して行うことができる。組換えは、SSAまたは遺伝子変換機構に基づくことができる。例えば、アッセイされるメガヌクレアーゼについての認識および切断部位を含む変異非機能性レポーター遺伝子は、細胞の染色体に導入される。該切断部位は、変異の近傍でなければならず、好ましくは変異から1 kb未満、より好ましくは変異の周囲で500 bp、200 bpまたは100 pb未満である。変異に対応する機能性レポーター遺伝子のフラグメントおよび細胞内で、アッセイされるメガヌクレアーゼの産生を許容する発現構築物で細胞をトランスフェクションすることにより、アッセイされるメガヌクレアーゼによりつくられる二本鎖切断の相同性組換えによる修復は、機能性レポーター遺伝子に導き、このレポーター遺伝子の発現が検出される。この種のアッセイは、次の文献に記載されている:Rouetら(Mol. Cell.Biol.、1994、14、8096〜8106);Choulikaら(Mol. Cell. Biol.、1995、15、1968〜1973);Donohoら(Mol. Cell. Biol.、1998、18、4070〜4078);これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる。
【0192】
標的遺伝子またはウイルスに対するハイブリッドメガヌクレアーゼの検索
本発明は、ウイルスゲノムまたは興味のあるその他のゲノム中、より具体的にはそれらの遺伝子内の標的遺伝子座における、メガヌクレアーゼの天然もしくはハイブリッドにつ
いての新規な標的を見出す新規な方法を開示する。実際に、多数のLAGLIDADGメガヌクレ
アーゼから、ハイブリッドメガヌクレアーゼが、標的部位の高い多様性を生み出すのを許容している。これらの新規な標的部位は、興味のあるゲノム中に希であり、好ましくはほぼ唯一であり、そしてさらに以下で詳細に説明されるいくつかの使用に有用である。
【0193】
全ての既知のメガヌクレアーゼ標的部位を含むデータベースを作成する。好ましくは、このようなデータベースは、メガヌクレアーゼにより切断されると実験的に示されている標的部位を含む。第二のデータベースは、ハイブリッドメガヌクレアーゼについての全ての可能な標的を含んで設計される。ハイブリッドメガヌクレアーゼについてのこのような標的は、上で開示されるようにして設計することができる。
【0194】
これらのデータベースから、整列を行ってギャップのない相同配列を見出すが、該相同配列は少なくとも70 %、好ましくは80%、より好ましくは90 %、さらにより好ましくは95 %の同一性を有する。2つの配列の間の同一性を計算するのに、GCG配列分析パッケージ(University of Wisconsin、Madison、Wis.)の部分として入手可能であって、例えばデフォルトの設定で用い得るFASTAまたはBLASTを含む種々の整列アルゴリズムおよび/またはプログラムを用い得る。
【0195】
メガヌクレアーゼの使用
本発明によるハイブリッドメガヌクレアーゼは、分子生物学ならびに遺伝子工学および遺伝子治療のために、より具体的にはWO 96/14408、米国特許第5,830,729号、WO 00/46385、WO 00/46386ならびに証明番号(Docket No.)第3665-20号の下で2001年10月26日にファイルされた仮出願(provisional application)および証明番号3665-17の下で2001年9月14日にファイルされた仮出願(これらの文書の開示は参照として組み込まれる)に記載の方法に従って、用いることができる。
【0196】
ハイブリッドメガヌクレアーゼの非常に興味深い使用は、興味のある特定のゲノム遺伝子座を標的とするためのものである。実際、細胞の染色体DNAの興味のある部位での二本
鎖切断の誘導は、高い効率での、切断部位を取り囲む領域に相同な標的DNAの導入により
達成される。ハイブリッドメガヌクレアーゼは、ハイブリッド標的部位を含む特定のゲノム遺伝子座を標的とするために用いることができる。本発明によるハイブリッドメガヌクレアーゼは、染色体DNAの特定部位での二本鎖DNA切断の細胞内における誘導を含む方法において用い得る。より詳細には、WO 96/14408、米国特許第5,830,729号、WO 00/46386を
参照。
【0197】
ハイブリッドメガヌクレアーゼは、次の工程を含む遺伝子工学の方法において用い得る:1) 対応するハイブリッドメガヌクレアーゼを用いて、ハイブリッド標的部位を含むゲノム遺伝子座にて二本鎖切断を導入し;2) 標的遺伝子座に、相同配列が側面にある導入する配列を含む標的DNA構築物を提供する。実際に、相同DNAは、標的DNA構築物の左および右のアームにあり、興味のある配列を修飾するDNAは、2つのアームの間に位置する。該ハイブリッドメガヌクレアーゼは、該ハイブリッドメガヌクレアーゼをエンコードし、かつ用いられる細胞におけるその発現に適したポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター、またはハイブリッドメガヌクレアーゼ自体のいずれかを介して細胞に提供される。
【0198】
本発明によるハイブリッドまたは単鎖メガヌクレアーゼは、ウイルスゲノムまたはその部分の欠失のために用い得る。実際に、ウイルスゲノムにおけるカットは、ウイルスゲノム全体または部分の欠失に導き得る組換えを誘導する。この方法は、通常、ウイルスポップアウトと呼ばれる。よって、ハイブリッドメガヌクレアーゼは、ウイルスゲノムを標的とすることを許容する。WO 96/14408の実施例5を参照。
【0199】
したがって、本発明は、本発明によるメガヌクレアーゼによりウイルスゲノム中に二本鎖切断を導入し、そして該二本鎖切断が組換え事象を誘導してウイルスゲノムまたはその部分の欠失に導く、ウイルスゲノムまたはその部分を欠失する方法に関する。
標的遺伝子座または標的ウイルスゲノムに二本鎖切断を導入するための適切なハイブリッドメガヌクレアーゼの決定のためには、すぐ前のセクションを参照。
【0200】
その他の使用において、ハイブリッドおよび単鎖メガヌクレアーゼは、少なくとも1つ
、好ましくは2つのハイブリッド標的部位が側面にあるポリヌクレオチドフラグメントの
インビボでの切り出しのためであり得る。本発明によるハイブリッドメガヌクレアーゼは、ベクターを取り込んだ細胞内のベクターからの標的DNAまたはポリヌクレオチドフラグメントの切り出しを含む方法において用い得る。このような方法は、少なくとも1つ、好ましくは2つのハイブリッド標的部位が側面にある該ポリヌクレオチドフラグメントを含むベクター、および用いられる細胞中での発現に適したハイブリッド標的部位に対応するハイブリッドおよび単鎖メガヌクレアーゼをエンコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該ハイブリッドおよび単鎖メガヌクレアーゼのいずれかの使用を含む。該切り出されたポリヌクレオチドフラグメントは、USSN 60/330,639の下で2001年10月26日にファイルされた仮出願およびUSSN 60/318,818の下で2001年9月14日にファイルされた仮出願中に記載されているような、トランスジェネシス(transgenesis)のために用い得る。該切り出された標的DNAは、標的DNAの左および右のアームに相同DNAを含み、興味のある配列を修飾するDNAが2つのアームの間に位置する。より詳細には、WO 00/46385を参照。細胞内のベクターからの標的DNAの切り出しのこの方法は、染色体DNA中の興味のある特定の配列の修復のため、染色体DNA中の特定の配列もしくは遺伝子の修飾のため、興味のある内在遺伝子の弱毒化のため、標的部位への変異の導入のため、または個体における遺伝子疾患の治療もしくは予防のために用い得る。
【0201】
本発明は、得られる細胞、およびタンパク質もしくはその他の遺伝子産物の産生のため、あるいは遺伝子的な欠損(変異)の結果として起こる個体(例えばヒトまたはその他の哺乳動物もしくは脊椎動物)における症状もしくは障害の治療または予防のためのそれらの使用にも関する。例えば、細胞を本明細書に記載される方法により産生(例えばエクスビボで)し、次いで既知の方法を用いて個体に導入することができる。代わりに、個体内で細胞を修飾することができる(個体から移動させることなく)。
【0202】
本発明は、最適なデリバリー技術の評価のための、ハイブリッドメガヌクレアーゼ部位が疾患遺伝子の部位において導入されている、疾患の動物モデルの産生にも関する。
【実施例】
【0203】
実施例
実施例1:I-Dmo I/I-Cre Iハイブリッドメガヌクレアーゼ
I-Dmo I/I-Cre Iハイブリッドメガヌクレアーゼ設計
I-Dmo Iは、超高熱始原菌であるデスルフロコッカス・モビリス(Desulfurococcus mobilis)の23S rRNA遺伝子のイントロンによりエンコードされている熱安定性エンドヌクレアーゼである(Dalgaardら、1993、Proc Natl Acad Sci U S A、90、5414〜5417)。I-Dmo Iは、メガヌクレアーゼのLAGLIDADGファミリーに属する。X線結晶学により解明されたその構造は (pdb コード1b24) (Silvaら、1999、J Mol Biol、286、1123〜1136)、擬2回回転対称により関連づけられる2つの類似のα/βドメイン(αββαββα)からなる。ドデカペプチドモチーフは、各ドメインの第一のα-ヘリックスのC-末端の端に位置する。これらのヘリックスは、ドメイン間の界面において2-ヘリックスの束を形成し、2つの4ストランド逆平行βシートにより形成される鞍形(saddle-shaped) DNA結合表面に垂直である(図1)。
【0204】
I-Cre Iは、クラミドモナス・レインハルディティ(Chlamydomonas reinhardtii)の葉緑体23S rRNA遺伝子中の自己スプライシングイントロン内に含まれるオープンリーディングフレームによりエンコードされる、別のLAGLIDADGメガヌクレアーゼである(DurrenbergerおよびRochaix、1991、Embo J、10、3495〜3501)。しかしながら、このタンパク質ファミリーの多くの構成要素とは異なり、I-Cre Iはドデカペプチドモチーフの単一コピーを含
み、かつダイマーの形態で機能する。I-Cre Iダイマーは、単鎖LAGLIDADGタンパク質の全体の構造を示す(図2) (Chevalierら、2001、Nat Struct Biol、8、312〜316;Heathら、1997、Nat Struct Biol、4、468〜476;Juricaら、1998、Mol Cell、2、469〜476)。各モ
ノマーは単一のドメインに対応し、DNA結合のための2つの4ストランド逆平行βシートの
うちの1つを提供し、そしてドデカペプチドモチーフは、ドメイン間の界面におけるα-ヘリックス内にある。
【0205】
これらは類似の全体のトポロジーを示すので、I-Dmo IおよびI-Cre Iの構造は、重ね合わせると低い(狭い)二乗平均偏差(RMSD)であり、I-Cre Iからの各モノマーは、I-Dmo Iからの2つのドメインの1つによく適合している。最適な構造的適合 (RMSD = 0.66 Å、図3)は、次の原子を重ね合わせて得られた(残基の番号はpdb構造のいずれかに対応し、そしてI-Cre Iについては、第二のモノマー中の残基は、第一のモノマー中のものに関して200シフトしている):
【0206】
【表19】

【0207】
低いRMSDは、2つのドデカペプチドドメイン間パッキング界面の類似性を強く示唆して
いる。ドデカペプチドモチーフおよび対応するα-ヘリックスの整合した(aligned)配列は:
【0208】
【表20】

【0209】
である。
重ね合わせの視覚的な検査は、対応するI-Cre Iモノマーで第二のI-Dmo Iドメインを置き換えることにより、両方のタンパク質のハイブリッドが形成されているであろうことを示した。両方のDNA結合ドメインをつなぐループ内、またはそれに続く第二のドデカペプ
チドα-ヘリックス内の同じ点(交換点)から開始するI-Dmo I配列は、対応する点から開始するI-Cre Iのそれにより置換されるべきである。我々は、第二のドデカペプチドモチー
フの始まりでドメインを交換することを選択した。得られたハイブリッドタンパク質配列は、Phe109 (含まれる)までI-Dmo Iのタンパク質配列で、そしてLeu213 (含まれる)からI-Cre Iのタンパク質配列であった。したがって、Leu213に先行するI-Cre Iからの残基は
除いた。このようなハイブリッドのアミノ酸(配列番号2)、およびポリヌクレオチド配列(
配列番号1)については図6を参照。
【0210】
モデル配列においては、新規なドメイン間パッキング界面はほとんど欠陥を示さず、例えば、おそらくPhe294 (I-Cre I)とのオーバーラップを有するIle107 (I-Dmo I)を除いて、容易に弛緩しない空間的衝突を有するアミノ酸側鎖は存在しなかった。潜在的に好ましくない斥力が得られることを抑制するために、イソロイシン残基をロイシンアミノ酸(I-Cre I中の整合したアミノ酸残基)により置換する。結局、ドメイン間のリンカー配列は次のようである:
【0211】
【表21】

【0212】
さらに、Leu47、His51およびLeu55 (I-Dmo I)は、Lys296 (I-Cre I)に非常に近い。し
かしながら、タンパク質の主鎖構造(残基47、51および55が位置するI-Dmo I領域)が、構
造が充分に確かなものではないことを示し得るので、これは不確定である。にもかかわらず、3つの付加的な変異:L47A、H51AおよびL55Dを含むハイブリッドタンパク質の第二の
バージョンが設計されている。アラニンアミノ酸は、対応する残基のα-ヘリックス構造
を安定化させるのに選択された。第三の変異(アスパラギン酸)は、Lys296へのドメイン間塩橋の形成に導き、それにより更なる安定化を与えるはずである。このようなハイブリッドのアミノ酸(配列番号4)およびポリヌクレオチド配列(配列番号3)は、図6Bを参照。
【0213】
ハイブリッドI-Dmo I/I-Cre Iメガヌクレアーゼ産生
溶液
超音波破砕溶液:25 mM HEPES (pH 7.5)、5% (v/v)グリセロール、0.1% (v/v) 抗プロ
テアーゼ溶液;
溶液A:25 mM HEPES (pH 7.5)、5% (v/v)グリセロール、
保存溶液:25 mM HEPES (pH 7.5)、20% (v/v) グリセロール
標準反応溶液:12.5 mM HEPES (pH 7.5)、2.5% (v/v) グリセロール、5〜10 mM MgCl2

標準停止溶液(10X):0.1 M Tris-HCl pH 7.5、0.25 M EDTA、5% (w/v) SDS、0.5 mg/ml
プロテイナーゼK。
【0214】
プラスミド
発現プラスミド (pET 24 d(+) Novagen)を工作して、ヒスチジンタグを有するかまたは有さないI-Dmo I/I-Cre Iハイブリッドメガヌクレアーゼを産生した。簡単に、ORF配列を有し、かつNcoIおよびEagIまたはXhoI制限部位が側面にあるフラグメントを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および特異的オリゴヌクレオチドを用いて作製した。まず、半分のI-Dmo
IおよびI-Cre I配列をPCRにより作製し、次いでI-Dmo I/I-Cre Iハイブリッド配列を別
のPCRにより完成した。
【0215】
I-Dmo I/I-Cre Iハイブリッドメガヌクレアーゼの発現および精製
エシェリヒア・コリ(Escherichia coli) BL21株 (DE3) RILを、I-Dmo I/I-Cre Iの精製に用いた。I-Dmo I/I-Cre Iプラスミド(pET 24 d(+) Novagen)で形質転換したクローンを、30 mg/mlカナマイシンを含む250 mlのルリア培地で、37℃において振とうしながら増殖させた。
培養物が0.8〜1.2のA600に到達したときに、1 mMの最終濃度までのIPTGの添加により発現を誘導し、25℃で5時間〜15時間後に細胞を遠心分離により回収した。
【0216】
特に記載しない限りは、次の手順を4℃で行った。回収した細胞を氷冷超音波破砕溶液25 mlに再懸濁し、次いで5分間超音波破砕した。溶菌液を105 000 gで30分間遠心分離した。上清を回収し、次いで105 000 gで30分間の第二の超遠心分離に付した。タンパク質90%を含んでいたこの上清を、「可溶性」フラクションと称した。
【0217】
該可溶性フラクションを、コバルトをのせたHi-Trapキレーティングカラム(Amersham、Uppsala、Sweden) 5 mlに、流速2.5 ml/分(Amersham-Pharmacia FPLC Akta purifier 10)でアプライした。溶液A 25 mlでカラムを洗浄後、結合したタンパク質を、溶液A中で作製した0〜0.25 Mのイミダゾールの直線勾配、その後の0.5Mイミダゾール-0.5M NaClの溶出
段階で溶出した。フラクションを回収し、タンパク質の量およびI-Dmo I/I-Cre I活性(以下を参照)を測定した。カラムフラクションをSDS-PAGEによっても分析した。ほとんどのI-Dmo I/I-Cre I活性を含むフラクションをプールし、10 kDaカットオフのセントリプレップアミコンシステムを用いて濃縮した。
【0218】
この濃縮されたフラクションを、溶液Aの流速1 ml/分(Amersham-Pharmacia FPLC Akta purifier 10)でのSuperdex75 PG Hi-Load 26-60カラム(Amersham、Uppsala、Sweden)にアプライして精製した。フラクションを回収し、タンパク質の量およびI-Dmo I/I-Cre I活
性(以下を参照)を測定した。カラムフラクションをSDS-PAGEによっても分析した。ほとん
どのI-Dmo I/I-Cre I活性を含むフラクションをプールし、10 kDaカットオフのセントリ
プレップアミコンシステムを用いて濃縮した。次いで、保存溶液に対して一晩透析し、そしてアリコートで液体窒素中に保存した。
【0219】
SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動
SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を、Laemmliにより記載されたように
して、15%のアクリルアミドゲルを用いて行った。ゲルをクマシーブリリアントブルーを
用いて染色した。図8Aは、ハイブリッドメガヌクレアーゼI-Dmo I/I-Cre Iがよく発現さ
れており、このハイブリッドが上清中に得られており、つまり可溶性であることを示している。
【0220】
I-Dmo I/I-Cre Iハイブリッドメガヌクレアーゼのサイズ
溶液中のI-Dmo I/I-Cre Iの分子量を、精製タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィ
ーにより判断した。カラムフラクションをSDS-PAGEにより分析し、そして主として31.2 kDaのバンドが溶出したが、これは30 kDaの分子量に相当した。つまり、この分析は、I-Dmo I/I-Cre Iが主にモノマーであることを示した。
【0221】
実施例2:単鎖I-Cre Iメガヌクレアーゼ
単鎖I-Cre Iメガヌクレアーゼ設計
I-Cre Iは、ダイマー化する単独(single) LAGLIDADGタンパク質ドメインである(図2)。ドメイン交換ストラテジーのために、我々はI-Cre Iドメインをいずれの他のLAGLIDADGドメインにつなぐことを計画した。2つのモノマー間に連結を置くことによる単鎖I-Cre Iタンパク質の工作は、実施例Iに相補的であった。これは、新規なDNA結合特異性を有するタンパク質を与えなかった。代わりに、得られた人工タンパク質は、天然の単独LAGLIDADG
タンパク質が、より大きい二倍の(double) LAGLIDADGタンパク質の半分が2つとして効果
的に判断することができることを明らかにした。2つのドメインの融合が機能的であった
なら、異なる単独LAGLIDADGからのドメインの、このようなタンパク質の間での、または
二倍のLAGLIDADGタンパク質からのドメインとの交換は、簡単であるはずである。
各I-Cre Iドメインは、二倍のLAGLIDADGタンパク質のC-末端ドメインに存在するが、N-末端ドメインの部分ではあり得ない3つのα-ヘリックスからつくられたC-末端サブドメインを含む。これらのタンパク質のN-末端ドメインは、2つのドメインをつなぐループまた
はリンカーが3つのα-ヘリックスの位置にあるので、実際により短い。3つのヘリックス
はダイマー構造の反対側の部位、ドデカペプチドモチーフのN-末端ヘリックスから遠くで終結する。1つのドメインのC-末端残基を他のドメインのN-末端残基につなげる(末端-末
端融合)フレキシブルリンカーの長さは、かなりである。そのほかにも、このようなリン
カーの工作は、タンパク質表面の多くの部分を横切る必要があるために困難であろう。したがって、正しいドメインのパッキングが得られるかは確かでない。
【0222】
前の実施例において論じたI-Dmo IおよびI-Cre Iの構造的重ね合わせは、単純なリンカーの解決を設計するのを許容した。I-Dmo I自体からのループ領域である残基96〜103 (配列ERIRLFNM)は、1つのI-Cre IドメインのC-末端フラグメントを置き換え、そして第二のドメインのN-末端領域に導くことができる(それがI-Dmo I/I-Cre Iハイブリッドタンパク質中で行っているように;I-Cre Iα-ヘリックスの始めの残基を置き換える必要がなく、そして置き換えるべきでないことを除いて)。ループの両側において、I-Dmo IおよびI- Cre Iからの残基はよく整合し、そして重ね合わせることができる。これらの残基は:
【0223】
【表22】

【0224】
である。
よって、I-Cre Iドメインの間の連結は、第一のドメインのC-末端残基、および第二の
もののN-末端残基、それぞれPro93、Phe94またはLeu95からLys207、Glu208またはPhe209
までのいずれかを置き換えるように選択されるべきである。実際、2つの重ね合わされた
位置のアミノ酸は同一であり(両方のタンパク質中のLeu95、およびI- Dmo IからのGlul05とI-Cre IからのGlu208;下線の残基)、第三の位置ではこれらは等価であるのに充分に類似である(それぞれI-Dmo IおよびI-Cre IからのArg104およびLys207;下線の残基)。
【0225】
よく保存された残基であり、そして活性(切断)部位に近いI-Cre Iのリシン98は機能的
役割を有しているであろうと言うJuricaら(1998、Mol. Cell.、2,469〜476)の開示にもかかわらず、第一のドメインI-Cre Iのリシン98を除去する。
【0226】
プロリン93は、その残基の位置での主鎖のα-ヘリックス構造について最適な残基では
ない。I-Dmo I中の対応するアスパラギンは、わずかにより良いだけである;アミノ酸の
独特な水素結合の特性は、α-ヘリックス中のN-末端切断を促進する明白な傾向を確立す
る。この位置においては、結局、アラニン残基が好ましい(グルタミン酸が別の適切なア
ミノ酸であろう、これはα-ヘリックス構造を採用する良好な本来の性質を有し、その後
に続くリンカー領域のArg97と安定化塩橋を形成し得る)。
【0227】
よって、I-Cre Iの単鎖バージョンを、天然のI-Cre Iドメインの短くしたバージョン(Pro93Ala変異の後を切り捨て)とそのドメインのほぼ完全なコピー(Phe209の前を切捨て)との間に、Met94から開始してGlu105まで、I-Dmo Iブリッジを導入するように工作した(アミノ酸(配列番号6)およびポリヌクレオチド配列(配列番号5)について、図5および図7)。Met94は、I-CreIタンパク質ダイマー内に埋まっている、よりかさばるフェニルアラニンアミノ酸を置換した。両方のアミノ酸は、同等によく適合しているようであり、そしてその配列の位置で代わりとして試すことができる。別の非極性アミノ酸、位置98でのイソロイシン(I-Dmo Iでの数え方)は、いずれの原子の重なりを創ることなく、原型のダイマー構造にパッキングされる。残基101の芳香族フェニルアラニンは、同等に良好であるが、別の芳香族アミノ酸のチロシンにより置き換えることも可能であり、これは次いで残基94の主鎖カルボニル基に安定化水素結合を形成することができる。つまり、次の配列は、2つのI-Cre Iドメイン間のリンカー領域を提供する代替の解決である:
【0228】
【表23】

【0229】
単鎖I-Cre Iメガヌクレアーゼ産生
溶液
超音波破砕溶液:25 mM HEPES (pH 7.5)、5% (v/v) グリセロール、0.1% (v/v) 抗プロテアーゼ溶液;
溶液A:25 mM HEPES (pH 7.5)、5% (v/v) グリセロール、
保存溶液:25 mM HEPES (pH 7.5)、20% (v/v) グリセロール
標準反応溶液:12.5 mM HEPES (pH 7.5)、2.5% (v/v) グリセロール、5〜10 mM MgCl2

標準停止溶液(10X):0.1 M Tris-HCl pH 7.5、0.25 M EDTA、5% (w/v) SDS、0.5 mg/ml
プロテイナーゼK。
【0230】
プラスミド
発現プラスミド (pET 24 d(+) Novagen)を工作して、ヒスチジンタグを有するかまたは有さない単鎖I-Cre I (Sc I-Cre I)を産生した。簡単に、ORF配列を有し、かつNcoIおよ
びEagIまたはXhoI制限部位が側面にあるフラグメントを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)お
よび特異的オリゴヌクレオチドを用いて作製した。まず、2つの半分の修飾されたI-Cre I配列をPCRにより作製し、次いで単鎖I-Cre Iハイブリッド配列を別のPCRにより完成した

【0231】
Sc I-Cre I (Sc = 単鎖)の発現および精製
エシェリヒア・コリ(Escherichia coli) BL21株 (DE3) RILを、Sc I-Cre Iポリペプチ
ドの産生および精製に用いた。Sc I-Cre Iプラスミド(pET 24 d(+) Novagen)で形質転換
したクローンを、30 mg/mlカナマイシンを含む250 mlのルリア培地で、37℃において振とうしながら増殖させた。
培養物が0.8〜1.2のA600に到達したときに、1 mMの最終濃度までのIPTGの添加により発現を誘導し、25℃で5時間〜15時間後に細胞を遠心分離により回収した。
【0232】
特に記載しない限りは、次の手順を4℃で行った。回収した細胞を氷冷超音波破砕溶液25 mlに再懸濁し、次いで5分間超音波破砕した。溶菌液を105 000 gで30分間遠心分離した。上清を回収し、次いで105 000 gで30分間の第二の超遠心分離に付した。タンパク質90%を含んでいたこの上清を、「可溶性」フラクションと称した。
【0233】
該可溶性フラクションを、コバルトをのせたHi-Trapキレーティングカラム(Amersham、Uppsala、Sweden) 5 mlに、流速2.5 ml/分(Amersham-Pharmacia FPLC Akta purifier 10)でアプライした。溶液A 25 mlでカラムを洗浄後、結合したタンパク質を、溶液A中で作製した0〜0.25 Mのイミダゾールの直線勾配、その後の0.5Mイミダゾール-0.5M NaClの溶出
段階で溶出した。フラクションを回収し、タンパク質の量およびSc I-Cre I活性(以下を
参照)を測定した。カラムフラクションをSDS-PAGEによっても分析した。ほとんどのSc I-Cre I活性を含むフラクションをプールし、10 kDaカットオフのセントリプレップアミコ
ンシステムを用いて濃縮した。
【0234】
この濃縮されたフラクションを、溶液Aの流速1 ml/分(Amersham-Pharmacia FPLC Akta purifier 10)でのSuperdex75 PG Hi-Load 26-60カラム(Amersham、Uppsala、Sweden)にアプライして精製した。フラクションを回収し、タンパク質の量およびSc I-Cre I活性(以
下を参照)を測定した。カラムフラクションをSDS-PAGEによっても分析した。ほとんどのSc I-Cre I活性を含むフラクションをプールし、10 kDaカットオフのセントリプレップア
ミコンシステムを用いて濃縮した。次いで、保存溶液に対して一晩透析し、そしてアリコートで液体窒素中に保存した。
【0235】
SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動
SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を、Laemmliにより記載されたように
して、15%のアクリルアミドゲルを用いて行った。ゲルをクマシーブリリアントブルーを
用いて染色した。(図9A)
【0236】
Sc I-Cre Iメガヌクレアーゼのサイズ
溶液中のSc I-Cre Iの分子量を、精製タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィーにより判断した。並べたカラムの結果を図2Aにまとめる。カラムフラクションをSDS-PAGEにより分析し、そして主として31.4 kDaのバンドが溶出し、これは30 kDaの分子質量に相当した。つまり、この分析は、Sc I-Cre Iが主にモノマーであることを示した。
【0237】
実施例3:切断アッセイ
インビトロ切断アッセイ
ハイブリッドI-Dmo I/I-Cre Iメガヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性のアッセイ
プラスミドpGEMtarget (3.9 kb)を、PCRまたはシングルストレインハイブリダイゼーション(single strain hybridization)により得られる標的産物のTAまたは制限酵素クロー
ニングにより構築した。標的産物は、次の認識および切断部位を含む:
【0238】
【表24】

【0239】
このプラスミドを切断アッセイに用いた。これはキアゲンマキシプレップDNA精製シス
テム(キアゲン)を用いて単離した。ほとんどの実験について、アッセイの前にこれをXmnIで線状化した。標準I-Dmo I/I-Cre Iアッセイを、37℃で標準反応溶液(溶液A 0.5×、MgCl2 5〜10 mMを添加)中に行い、0.1容量の10×標準停止溶液で停止し、そして産物を室温
での1%アガロース/エチジウムブロマイドゲルでの電気泳動により分離した。トランスイ
ルミネーターを用いて蛍光をカメラで捉えた。
【0240】
1単位のエンドヌクレアーゼ活性(U)を、I-Cre I野生型と同じアッセイ条件において、3
7℃で60分間に標的DNA 200 ngを切断するのに必要なI-Dmo I/I-Cre Iの量と定義した。活性アッセイを、DNA切断のためのI-Dmo I の最適温度である65℃でも行った。
【0241】
I-Dmo I/I-Cre Iハイブリッドメガヌクレアーゼは、標的I-Cre I/I-Dmo Iを特異的に切断し、I-Dmo I、I-Cre IおよびI-Sce Iメガヌクレアーゼの野生型標的、ならびに標的I-Dmo I/I-Cre Iを切断しない。これらの結果を図8Bに示す。よって、I-Dmo I/I-Cre Iハイ
ブリッドメガヌクレアーゼは、その新規な標的配列に高い特異性を示す。I-Dmo I/I-Cre Iハイブリッドメガヌクレアーゼは、37および65℃で標的I-Cre I/I-Dmo Iを切断するが、切断は65℃でより速い。標的I-Cre I/I-Dmo Iに対するI-Dmo I/I-Cre Iハイブリッドメガヌクレアーゼの新規な特異性は、野生型メガヌクレアーゼI-Dmo Iの相対的な配向ならび
にその認識および切断部位の決定を許容する。実際、I-Dmo IメガヌクレアーゼのN-末端
ドメインは、標的I-Cre I/I-Dmo Iの第二の半分のドメインを認識する。よって、I-Dmo IメガヌクレアーゼのN-末端ドメインは、右側半分の部位(R)と、左側のもの(L)のC-末端ドメインを認識する。
【0242】
単鎖I-Cre Iメガヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性アッセイ
プラスミドpGEMtarget (3.9 kb)を、PCRまたはシングルストレインハイブリダイゼーションにより得られる標的産物のTAまたは制限酵素クローニングにより構築した。標的産物は、次の認識および切断部位を含む:
【0243】
【表25】

【0244】
このプラスミドを切断アッセイに用いた。これはキアゲンマキシプレップDNA精製シス
テム(キアゲン)を用いて単離した。ほとんどの実験について、アッセイの前にこれをXmnIで線状化した。標準Sc I-Cre Iアッセイを、37℃で標準反応溶液(溶液A 0.5×、MgCl2 5
〜10 mMを添加)で行い、0.1容量の10×標準停止溶液で停止し、そして産物を室温での1%
アガロース/エチジウムブロマイドゲルでの電気泳動により分離した。トランスイルミネ
ーターを用いて蛍光をカメラで捉えた。
【0245】
1単位のエンドヌクレアーゼ活性(U)を、I-Cre I野生型と同じアッセイ条件において、37℃で60分間に標的DNA 200 ngを切断するのに必要なSc I-Cre Iの量と定義した。活性ア
ッセイを、DNA切断に対する温度の影響について野生型I-Cre Iと比較するのに65℃でも行った。
このメガヌクレアーゼはI-Sce I標的部位を切断せず、かつ野生型I-Cre I標的部位を切断したので、単鎖メガヌクレアーゼはその特異性を保存していた。これらの結果を図9Bに示す。
【0246】
酵母におけるインビボ切断アッセイ
単鎖I-Cre Iメガヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性アッセイ
メガヌクレアーゼを試験するために、我々は酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)でのインビボアッセイを開発した。この生物は、相同組換えを介して自然にそのDNAを組み換えるという利点を有する。
この試験は、興味のあるメガヌクレアーゼによる部位特異的二本鎖切断により誘導される比色マーカーの修復に基づいた。
標的は、Ura3選択マーカーにより分離された900 pbの内部重複をもつ、修飾されたβ-
ガラクトシダーゼ遺伝子、および研究されるメガヌクレアーゼに対する切断部位からなっていた(得られる構築物をLACURAZと称する) (図10A)。
【0247】
メガヌクレアーゼは、ガラクトース誘導可能なプロモーターの調節下において、2μ複
製起点、およびLeu2選択マーカーを持ち、いずれのロイシンも含まない培地上で形質転換された酵母が増殖するのを許容する核発現プラスミド(nuclear expression plasmid)から発現された(図10B)。レポーター遺伝子の発現(LACURAZ)は、構成プロモーターにより調節され、そしてARS-CEN 複製起点、およびTrp1選択マーカーを持ち、いずれのトリプトファンも含まない培地上で形質転換された酵母が増殖するのを許容する別のシャトルベクターにより運ばれた(図10A)。
【0248】
2つの構築物を用いて、適切な酵母株を同時に形質転換した。メガヌクレアーゼが発現
され(またはガラクトース培地上での誘導後に過剰発現され)、そしてレポーター構築物上の切断部位を認識すると、二本鎖切断、および一本鎖アニーリング機構による標的配列の間の部位特異的組換えを促進することができる。次いで、得られるレポーター遺伝子は完全に活性なβ-ガラクトシダーゼを発現するはずである。我々は、いずれのメガヌクレア
ーゼ遺伝子および切断部位を有さないレポーター構築物を発現しないプラスミドを用いて、全てのコントロール実験も行った(全ての可能な事象は図11に記載される)。
【0249】
アッセイは、次のようにして行う:
酵母を、発現プラスミドおよびレポータープラスミドで同時トランスフェクション(co-transfected)した。同時形質転換体を選択し、2つのプラスミドの存在を、ロイシンまた
はトリプトファンのいずれも含まない合成培地上での選択により達成した(表A)。さらに
、メガヌクレアーゼ遺伝子の過剰発現を許容するかまたは許容しない培地の2つの組を用
いた(すなわち、異なる炭素源の選択培地:メガヌクレアーゼの発現を誘導するガラクト
ース、またはグルコース)。コロニーが充分に大きいときに、オーバーレイアッセイはβ-ガラクトシダーゼ活性の存在または不在を明らかにした。
【0250】
理論的には、β-ガラクトシダーゼ活性は、メガヌクレアーゼおよびそれ自体の認識部
位が同じ酵母細胞内に存在するときにのみ検出されるはずである(レポーター構築物の自
発的な組み換えの自然なバックグラウンドを除いて) (図10を参照)。
この概要に従い、我々はI-Cre I単鎖遺伝子を我々のガラクトースで誘導可能なプラス
ミドに、そしてI-Cre I認識部位を我々のレポーター構築物中にサブクローニングし、そ
して両方のプラスミドを我々の酵母株に同時トランスフェクションした (コントロールとして、我々は同じレポーター構築物上のI-Cre I遺伝子を用いる)。
【0251】
表A:アッセイ当たりの形質転換数
【表26】

各形質転換は、グルコースおよびガラクトース培地上におく。
【0252】
方法:
酵母細胞形質転換
1.液体YPGlu 2〜5 ml、または最少培地10 mlに植菌し、振とうしながら30℃で一晩イ
ンキュベーションする。
2.培養を計測し、温YPGlu 50 mlに、5×106細胞/mlの細胞密度の培養物を植菌する。
3.培養物を、2×107細胞/ml に等しくなるまで30℃で200 rpmの振とう器上でインキュベートする。これは、3〜5時間要する。この培養は、10の形質転換に充分な細胞を与える。
4.50 mlの滅菌遠心管中に、3000 g (5000 rpm)で5分間、培養物を回収する。
5.培地を捨て、滅菌水25 ml中に細胞を再懸濁して、再び遠心分離する。
6.水を捨て、100 mM LiAc (酢酸リチウム) 1 ml中に細胞を再懸濁し、懸濁物を1.5 mlのマイクロ遠心管に移す。
【0253】
7.15秒間、最高速度で細胞をペレット化し、マイクロピペットでLiAcを除く。
8.最終容積500μlに細胞を再懸濁する (2×109細胞/ml) (100 mM LiAc約400μl)。
9.サケ精子-DNA のサンプル1 mlを5分間沸騰させ、素早く氷水で冷却する。
10.細胞懸濁液をボルテックスし、サンプル50μlをラベルしたマイクロ遠心管にピペ
ットで移す。細胞をペレット化し、そしてマイクロピペットでLiAcを除く。
【0254】
11.基本的な「形質転換ミックス」は:
240μl PEG (50% w/v)
36μl 1.0 M LiAc
50μl SS-DNA (2.0 mg/ml)
Xμl プラスミドDNA (0.1〜10μg)
34-Xμl 滅菌ddH2O
360μl 合計
からなる。
これらの成分を、記載した順番で注意深く添加する。
(プラスミドDNA以外の成分を予め混合し、そして細胞ペレットの上に「形質転換ミックス」 355μlを添加することもできる。次いで、プラスミドDNA 5μlを添加して混合する
。「形質転換ミックス」は粘性があるので、正確な容積をもたらすように注意する)。
【0255】
12.細胞のペレットが完全に混ざるまで各チューブを勢いよくボルテックスする。
13.30℃で30分間インキュベーションする。
14.42℃の温浴中で30分間ヒートショックする。
15.6〜8000 rpmで15秒間マイクロ遠心分離し、マイクロピペットで形質転換ミックス
を除く。
16.滅菌YPGlu 1 mlをピペットで移し、細胞を30℃で1〜2時間そのままにする。これにより、グルコースおよびガラクトースプレート上で増殖する形質転換体の同じ数を得ることができる。
【0256】
17.6〜8000 rpmで15秒間マイクロ遠心分離し、上清を除く。
18.滅菌YPGlu 50% 200μl mlを各チューブにピペットで移し、静かにピペットで上下
することによりペレットを再懸濁する。
17.選択プレートに形質転換100μlを広げる。
18.プレートを2〜4日間インキュベートして、形質転換体を得る。
【0257】
X-Galアガロースオーバーレイアッセイ
2枚のプレートに、次の溶液を与える:
1.水中の1%アガロース5 mlを電子レンジにかける。
2.X-Galミックスを
1M リン酸ナトリウムバッファー 5 ml
ジメチルホルムアミド(DMF) 600μl
10% SDS 100μl
とともに調製する。
3.アガロースとミックスとを合わせ、攪拌しながら55℃まで冷却させる。
4.上記の溶液が準備できたとき、DMF中の10% X-Gal 20μlを添加する。
【0258】
5.プラスチックピペットを用いて、温かい溶液5 mlで細胞の各プレートの表面をカバ
ーする。
6.寒天が冷却して固まった後、プレートを25℃、30℃または37℃のいずれかでインキ
ュベートすることができる。インデューサーの強さに依存して、数時間で青色が現れる。
7.5日後であっても、上部の寒天を通してコロニーを採取することができる。滅菌パスツールピペットを持ち、それを所望のコロニーまたは斑点に寒天を通して突く。次いで、パスツールピペットの先端を用いて新鮮なプレート上に画線し、透過にもかかわらず(despite the permeabilization)、細胞が増殖する。
【0259】
結果:
1- I-Cre Iを用いたコントロール実験
【表27】

【0260】
2-単鎖I-Cre Iを用いた実験
【表28】

【0261】
これらの結果は、単鎖I-Cre I遺伝子が、それ自身の切断部位を認識して切断し、レポ
ーター配列の相同組換えを誘導することにより、天然のI-Cre I分子のようにふるまう活
性メガヌクレアーゼの発現を許容することを示す。薄い青色は、細胞内で非常に安定なメガヌクレアーゼのわずかな発現のためである。この少量のタンパク質は、レポーター構築物が組換えを起こして検出可能なβ-ガラクトシダーゼ活性の産生に導くのを許容する。
全ての「白色」プレートにおいて、10-2の平均の率でいくつかの青色のコロニーが出現する。このバックグラウンドは、酵母での高い自発組み換えのためである。
【0262】
哺乳動物細胞におけるインビボ切断アッセイ
単鎖I-Cre Iメガヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性
我々は、標的二本鎖切断により誘導される相同組み換えの検出に基づく、哺乳動物細胞
内でのアッセイも開発した。上記の酵母系におけるように、我々は興味のあるメガヌクレアーゼの切断活性に起因する機能的LacZマーカーの修復をモニターする。
【0263】
まず我々は、酵母レポーター系を哺乳動物発現プラスミドに移した。I-Cre I切断部位
を含むLACZ反復を介在配列と共にpcDNA3 (Invitrogene)にクローニングした。よって、組換えに起因するいずれの機能的LACZ遺伝子もpcDNA3のCMVプロモーターの調節下であり、
かつ機能的ターミネーター配列を示す。また、我々は、哺乳動物細胞のための自家製発現ベクターであるpCLS3.1に、I-Cre Iおよび単鎖I-Cre Iオープンリーディングフレームを
クローニングした。
【0264】
Effectene (キアゲン)トランスフェクションキットを用いて、レポータープラスミド 0.5μgを、pCLS3.1 0.5μg 、I-Cre I発現プラスミド0.5μg、または単鎖I-Cre I発現プラスミド0.5μgと共に、サルCOS細胞に同時トランスフェクションした。β-ガラクトシダーゼ活性を、以下に記載のアッセイによるトランスフェクションの72時間後にモニターした。コントロール実験では、いずれの切断部位も有さないレポータープラスミド0.5μgを、pCLS3.1 0.5μg 、I-Cre I発現プラスミド0.5μg、または単鎖I-Cre I発現プラスミド0.5μgと共に同時トランスフェクションした。
【0265】
このアッセイは、SSA (一本鎖アニーリング)と呼ばれるプロセスによりしばしば起こる縦列反復組み換え(tandem repeat recombination)の検出に基づく。したがって、我々は
、逆方向反復の間の組み換えの検出に基づくアッセイも設計した。逆方向反復の間での組み換えは、ほとんどが、別の種類の組み換え事象である遺伝子変換により起こる。
【0266】
I-Cre I切断部位により中断されている(よって機能的でない)完全LacZ ORFを、pcDNA3
に、CMVプロモーターとターミネーター配列の間に導入する。遺伝子の切り捨てられた非
機能的なコピーを逆方向でクローニングして、遺伝子変換のための相同供与体鋳型を得る。これは、プロモーターおよびターミネーター配列が側面にない。これは、I-Cre I切断部位が他のコピーにおいて見出される領域が重複する、LacZ ORFの内部の部分の2.5 Kbを含む。
【0267】
レポータープラスミド0.5μgを、pCLS3.1 0.5μg、I-Cre I発現プラスミド0.5μg、ま
たは単鎖I-Cre I発現プラスミド0.5μgと共に、COS細胞に同時トランスフェクションした。コントロール実験において、いずれの相同供与体鋳型を有さないレポータープラスミド0.5μgを、pCLS3.1 0.5μg、I-Cre I発現プラスミド0.5μg、または単鎖I-Cre I発現プラスミド0.5μgと共に同時トランスフェクションした。
【0268】
アッセイは、次のようにして行う:
COS細胞を、供給業者(キアゲン)のプロトコルに従ってEffecteneトランスフェクション試薬を用いてトランスフェクションした。トランスフェクションの72時間後、細胞をPBS1Xで2回リンスし、溶菌バッファー (Tris-HCl 10 mM pH7.5、NaCl 150 mM、トリトンX100 0.1%、BSA 0.1 mg/ml、プロテアーゼ阻害剤)中でインキュベーションした。溶菌液を遠心分離し、そして上清をタンパク質濃度測定およびβ-ガラクトシダーゼ液体アッセイに用いた。一般的には、抽出液30μlを3μlのMg 100Xバッファー(MgCl2 100mM、β-メルカプトエタノール 35%)、33μlのONPG 8 mg/mlおよび234μlのリン酸ナトリウム0.1M pH7.5と合わせた。37℃でのインキュベーション後、反応を1M Na2CO3 500μlで停止し、ODを415 nmで測定した。相対β-ガラクトシダーゼ活性をこのODの関数として測定し、反応時間およびタンパク質全量により標準化する。
【0269】
結果
1.縦列反復組換え:
【表29】

【0270】
2.逆方向反復組換え
【表30】

【0271】
これらの結果は、単鎖I-Cre I刺激が、I-Cre I切断部位の充分な切断を誘導して、直列反復の間、および逆方向反復の間の相同組換えを刺激し得ることを示す。
直列反復では、単鎖I-Cre I (#5〜6)またはI-Cre I (#3〜4)のいずれでも類似のレベルの誘導された組換えが観察された。組換えのこのレベルは、レポータープラスミド(#1〜2)の組換えのバックグラウンドのレベルと比べて2〜2.5倍の増加を表す。さらに、組換え
レベルのこのような増加は、I-Cre I切断部位を欠失しているレポータープラスミド(#7〜12)では観察されなかった。
【0272】
逆方向反復では、単鎖I-Cre I (#5〜6)およびI-Cre Iメガヌクレアーゼ(#3〜4)が遺伝
子変換の類似の刺激を誘導した;バックグラウンド(#1〜2)のレベルに比較して2.5〜4倍
の増加。真正な(bona fide)相同組換え事象から予測されるように、相同供与体鋳型を欠
失したレポータープラスミド(#7〜12)では、刺激が観察されなかった。
【0273】
【表31】

【0274】
【表32】

【0275】
【表33】

【0276】
【表34】

【0277】
【表35】

【0278】
【表36】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-末端からC-末端の方向に第一及び第二のドメインを含み、
第一及び第二のドメインがI-CreIモノ-ドデカペプチドメガヌクレアーゼに由来し、
前記第一のドメイン及び第二のドメインの各々が、ドデカペプチドモチーフ及びDNA結合部分を含むポリペプチドフラグメントからなり、
前記第一及び第二のドメインがリンカーにより結合されている、
DNA切断を起こし得る単鎖メガヌクレアーゼ。
【請求項2】
リンカーがI-DmoIループに由来する、請求項1に記載の単鎖メガヌクレアーゼ。
【請求項3】
リンカーが配列番号8〜11の配列からなる群より選択される配列を含む、請求項1又は2に記載の単鎖メガヌクレアーゼ。
【請求項4】
単鎖メガヌクレアーゼが配列番号6の配列を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単鎖メガヌクレアーゼ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のメガヌクレアーゼをエンコードする精製又は組換えポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項5に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項7】
請求項5に記載のポリヌクレオチド、請求項6に記載のベクター又は請求項1〜4のいずれか1つに記載のメガヌクレアーゼを含む宿主細胞。
【請求項8】
分子生物学的道具としての、請求項5に記載のポリヌクレオチド、請求項6に記載のベクター又は請求項1〜4のいずれか1つに記載のメガヌクレアーゼの使用。
【請求項9】
遺伝子工学のための、請求項5に記載のポリヌクレオチド、請求項6に記載のベクター又は請求項1〜4のいずれか1つに記載のメガヌクレアーゼの使用。
【請求項10】
遺伝子治療のための医薬品の製造のための、請求項5に記載のポリヌクレオチド、請求項6に記載のベクター又は請求項1〜4のいずれか1つに記載のメガヌクレアーゼの使用。
【請求項11】
1)請求項1〜4のいずれか1つに記載の対応するメガヌクレアーゼを用いて、ハイブリッド標的部位を含む標的遺伝子座に二本鎖切断を導入する工程;及び
2)標的遺伝子座に相同な配列が隣接した導入配列を含む標的構築物を提供する工程
を含む遺伝子工学の方法。
【請求項12】
標的遺伝子座がゲノム遺伝子座である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
メガヌクレアーゼが、請求項5に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクターによるか又は該メガヌクレアーゼ自身のいずれかにより提供される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
ウイルスゲノムの二本鎖切断が請求項1〜4のいずれか1つに記載のメガヌクレアーゼにより誘導され、かつウイルスゲノム又はその一部の欠失を導く組換え事象を導く、ウイルスゲノム又はその一部を欠失する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−188867(P2011−188867A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136315(P2011−136315)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【分割の表示】特願2003−576613(P2003−576613)の分割
【原出願日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【出願人】(504348769)
【氏名又は名称原語表記】CELLECTIS
【住所又は居所原語表記】28,rue du Docteur Roux,F−75015 Paris Cedex 15,FRANCE
【Fターム(参考)】