説明

ハイブリッドコンピュータ

本発明のハイブリッドコンピュータでは、アナログ積分回路(1、2)およびマイクロコントローラを含むセルが、調整器セルを経由して互いに接続され、同期して動作し、時間的に連続して積分を実行する。マイクロコントローラによって分処理の結果が、データ取得システムを備えるデジタルコンピュータに送信されて処理される。処理後に、結果が、デジタルコンピュータ(7)に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスの最近の発達と進歩のおかげで、とても強力なデジタルコンピュータを作ることができるようになった。デジタルコンピュータは、いくつかの問題を正確に解くことができないだけでなく、いくつかの他の欠点も有する。
【0003】
デジタル計算機の欠点の1つは、デジタル回路を連続的に使用することにより、時間を積分することができないので、差分方程式を「有限差分」形式に変換する必要があることである。例えば、不安定状態圧縮流量問題を解くために使用されるナビエーストークス方程式を解く際に、デジタルコンピュータを使用して部分差分方程式を積分すると、不安定誤差および収束問題を容易に引き起こす。
【0004】
更に、多くの差分方程式を同時に解くことが必要なとき、効率的に並列動作できない事実が、デジタルコンピュータのもう1つの問題である。「最大の既存システムが、完全なプロテイン折り畳み計算を実行するには100年かかり得る。」Thomas Sterling,NASAジェット推進研究所、高性能計算機グループ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日のコンピュータが乗り越えねばならない複数の問題は、高費用および過電力消費である。これらと上記の理由とにより、積分器としてアナログ回路を考慮させる。しかし、積分を実行するアナログ回路から得られる結果は、演算増幅器(オペアンプ)の「電圧ドリフト」のために、著しい誤差を含む。フォロワとして使用される理想的なオペアンプは、出力が入力と正確に等しいことが当然であると思われる。しかし、実際に使用されているオペアンプが理想的ではなく、変化する気温および同様な理由により影響を受けるという事実のために、入力電圧と出力電圧との間に差があり、その差が上記の積分に反映されて上記の誤差を引き起こす。従来の技術では、このオフセットを相殺するために、いくつかの方法が試されてきたが、それらは複雑で不十分であった。最も重要な方法はチョッパー安定型である(Schwarz,Helmut”Elektrische Analogrechner”)。しかし、この方法によっても、必要な感度に達することができない。特に小さい差の積分に、大きな誤差が発生する場合を考えると、ドリフト電圧誤差を相殺することがより重要になってくる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、時間を連続的にかつ高速に積分できるアナログ積分回路を備えたハイブリッドコンピュータを開発することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のハイブリッドコンピュータは、少なくとも1つのポジティブ積分回路(2)を備えるポジティブ積分器セル、少なくとも1つのネガティブ積分回路(1)を備えたネガティブ積分器セル、これらのセルを互いに接続し、ネガティブ積分回路またはポジティブ積分回路(1、2)を含む調整器セル、およびマイクロコントローラ及びアナログ積分器からのデータを格納するデータ取得システム(DAS)(7)を備えるデジタルコンピュータを含む。
【0008】
本発明のハイブリッドコンピュータのセルの数およびこれらのセルに使用される回路の数は、所望の数にすることができる。セルはデジタルマイクロコントローラも含む。マイクロコントローラのA/D変換器およびD/A変換器は、セルのアナログ回路とマイクロコントローラとの間のデータ交換を行う。
【0009】
本発明のハイブリッドコンピュータでは、積分器セルが、調整器セルにより互いに接続され、同時に連続した方法で作動する。さらに、ポジティブ積分器セルおよびネガティブ積分器セルのアナログ積分回路の数は、望めば増やすことができる。上記のハイブリッドコンピュータは2つの主なモードで動作する。
1.リセットモード
2.実行モード
【0010】
セル内の積分回路のスイッチは、上記の2つのモード間の切り換えを行う。本発明のハイブリッドコンピュータでは、積分を開始する前に、リセットモードで初期状態が積分回路にロードされる。初期状態は、ハイブリッドコンピュータがリセットモードのとき、積分を始める前にノード3(203)経由でポジティブ積分器セルおよびネガティブ積分器セルのアナログ回路のキャパシタ2(502)にロードされる。ノード3(203)とキャパシタ(502)との間を接続するスイッチ12(112)は、本発明のハイブリッドコンピュータが実行モードのとき、開いた位置にある。
【0011】
演算増幅器(オペアンプ)が積分器として使用されたときに起こり得るドリフト電圧は、リセットモードの際、ハイブリッドコンピュータのメモリ内に格納されるが、この拡大されたドリフト電圧は、実行モードの際に、誤差を補正するために使用される。定数による合計、減算、乗算または除算、および積分は、時間的に連続的に、あるいは隣り合うポジティブセルおよびネガティブセルから調整器セルに到達する時間変化情報の連続デジタル更新として、行われ、処理されたフィードバック情報のフローは調整器セルから隣り合う積分器セルに供給される。セルの中に設けられたマイクロコントローラおよびデジタルコンピュータのデータ取得システム(DAS)を用いて、コンピュータとアナログ回路との間の情報交換が行われ、デジタルコンピュータに送信される情報が処理され、結果が表示される。ハイブリッドコンピュータは、自由な時間間隔でリセットモードに移る。リセットモードでは、ハイブリッドコンピュータの全てのアナログ積分器(1、2)が、システムから隔離される。このように、温度などの物理的状態の変化のために、時間的に変化した可能性のあるドリフト(誤差)電圧が新しい誤差値として記録され、次の実行モードでは、これらの新しく更新された値が誤差相殺に使用される。短い隔離時間の間、適切なキャパシタが使用されると、調整器(6)フォロワ(5)回路のアナログメモリと同様に、ポジティブ積分器セルおよびネガティブ積分器セル(1、2)のキャパシタ電圧が変化せず、システムは機能停止するのみである。所望ならば、アナログ回路がリセットモードに設定される前に、積分器の値が、マイクロコントローラのデジタルメモリに記録され、実行モードが再開すると逆転送されてもよい。
【0012】
ハイブリッドコンピュータがリセットモードの中間であって、セル内に含まれるアナログ回路が互いに孤立している間、セルのマイクロコントローラ部分が、セルから到達する獲得された情報を処理および格納するデジタルコンピュータ(7)に応答し続ける。本発明のハイブリッドコンピュータが実行モードを再開すると、全ての積分器セルが調整器セル経由で相互接続され、積分処理が停止時点から再開する。実行モードでは、全てのセルが同時にかつ時間的に連続して動作し、アナログ回路から得られたデータが、マイクロコントローラのA/D(アナログ/デジタル)変換器経由で、デジタル回路に送信される。同様な方法で、デジタル回路から到達するデータは、マイクロコントローラのD/A(デジタル/アナログ)変換器経由で、アナログ回路に送信される。更に、本発明のハイブリッドコンピュータのマイクロコントローラはプログラム可能なものである。
【0013】
ハイブリッドコンピュータがリセットモードにあるとき。
【0014】
積分器入力電圧が積分の時間にその信号を変化させるので、ネガティブ積分回路(1)の非反転入力、つまりオペアンプ1(入力オペアンプ)(301)は、スイッチ1(101)経由で、ノード4(204)で接地される。スイッチ5(105)経由でオペアンプ1(301)の出力および反転入力に接続されたレジスタR1(401)は、レジスタR2(402)経由でノード4(204)に接続される。オペアンプ1(301)の出力は、レジスタR3(403)経由でスイッチ2(102)によりオペアンプ2(302)の反転入力に接続される。さらに、オペアンプ2(302)の出力および反転入力に接続されたレジスタがあり、このレジスタR3の値はレジスタの値に等しい。オペアンプ2(302)の出力は、閉じた位置にあるスイッチ3(103)を用いてキャパシタ1(501)に接続される。キャパシタ1(501)のこの端子は、オペアンプ3(303)の非反転入力にも接続される。しかし、ネガティブ積分回路(1)がリセットモードのとき、オペアンプ3(303)は、リセットモードのときは開いているスイッチ5(105)を用いて無効にされる。
【0015】
アナログメモリを備えたネガティブ積分回路がリセットモードのとき(図1a)、入力電圧の値は、オペアンプ1(301)の非反転(+)入力が接地されているので、0である。しかし、出力で発生する誤差電圧が、レジスタR1(401)の値のレジスタR2(402)の値に対する割合で使用されるオペアンプのタイプにより、可能な限り拡大されたオペアンプ2(302)の反転(−)入力に達し、オペアンプ2(302)の出力で、(−1)で乗算されて得られる。この値は、キャパシタ1(501)にロードされる。したがって、キャパシタ1(501)は、ネガティブ積分回路(1)の「拡大された誤差」のアナログメモリユニットを構成する。しかし、アナログメモリの代わりにデジタルメモリを使用することもできる。ネガティブ積分回路でデジタルメモリを使用する場合、オペアンプ1(301)の出力で発生するドリフト電圧値は、スイッチ2(102)経由でノード15(215)のA/D変換器を用いてデジタルメモリにロードされる。ネガティブ積分回路内のデジタルメモリを使用した場合、キャパシタ1(501)、オペアンプ2(302)およびオペアンプ3(303)は、回路内で使用されない。
【0016】
ポジティブ積分器セルのアナログ積分回路は、小さな差を有するネガティブ積分回路(1)と構造が似ている。ハイブリッドコンピュータが実行モードのとき、この差が現れる。アナログメモリを備えるポジティブ積分回路(2)がリセットモードのとき(図2a)、回路の入力のスイッチ6(106)は、開いていて、これにより、ポジティブ積分回路(2)が他の回路から隔離される。ネガティブ積分回路(1)に関して上述したように、誤差電圧が、アナログメモリユニットを備えるキャパシタ1(501)にロードされる。デジタルメモリは、アナログメモリの代わりのロード処理のために使用できる。デジタルメモリがポジティブ積分回路(4)内で使用されると、キャパシタ1(501)、オペアンプ3(303)、およびスイッチ(106)が回路の構造から取り除かれ、オペアンプ1(301)の出力が、スイッチ2(102)経由でノード15(215)のデジタルメモリに接続される。本発明のハイブリッドコンピュータがリセットモードのとき、オペアンプ1の出力で発生する誤差電圧値はこのデジタルメモリにロードされる(図5a)。A/D変換器はロードのために使用される。
【0017】
本発明のハイブリッドコンピュータでは、ポジティブ積分セルとネガティブ積分セルとの間を接続する調整器セルは、互いに対称の2つの回路、および、フォロワ回路(5)とフォロワ回路(5)に接続されたポジティブ積分回路(1)またはネガティブ積分回路(1)とから成る調整器回路(6)を備える。隣り合うポジティブ積分器セルおよびネガティブ積分器セルの出力に接続された調整器入力レジスタR5およびR6(405、406)は、オペアンプ5(305)の反転入力に接続され、入力レジスタR7およびR8(407、408)は、オペアンプ5(305)の非反転入力に接続される。入力レジスタR5はノード10(210)でレジスタR9(409)に接続される。オペアンプ5(305)の出力電圧は、レジスタR9(409)経由でこのオペアンプ(305)の反転入力にフィードバックされる。この入力レジスタR8(408)はノード9(209)でレジスタR10(410)に接続され、レジスタR10の他端は接地されている。オペアンプ5(305)の出力はノード11(211)でフォロワ回路(5)に接続されている。フォロワ回路(5)の出力はR(τ)(404)に接続されている。調整器回路(6)の他の対称部分内に、隣り合うポジティブ積分器セルおよびネガティブ積分器セルの出力にも接続された入力レジスタが存在する。これらから、レジスタR11およびR12(411、412)はオペアンプ6(306)の反転入力に接続され、レジスタR13およびR14(413、414)はオペアンプ6(306)の非反転入力(+)に接続されている。上記のように、調整器のこの部分において、入力レジスタに接続されたオペアンプの出力は、フォロワ回路(5)に接続されている。調整器回路(6)を構成する対称構造の2つの回路は、調整器セルのポジティブ積分回路(1、2)またはネガティブ積分回路(1、2)の入力(201)への接続が設けられている場所から、ノード14(214)において、結合される。
【0018】
ハイブリッドコンピュータがリセットモードのとき、ポジティブ積分回路およびネガティブ積分回路(1、2)が調整器回路(6)から隔離され、それ故、調整器のフォロワ回路(5)が調整器(6)から隔離されると同様に、それらの積分回路が互いに隔離される。
【0019】
ハイブリッドコンピュータがリセットモードのとき、調整器回路(6)に含まれる高い正確性を提供するフォロワ回路(5)は、スイッチ7(107)経由でノード12(212)に接続されたオペアンプ7(307)の非反転入力経由で接地される。これにより、フォロワ回路(3)は、リセットモードの際、調整器から隔離される。レジスタR17(417)はオペアンプ7(307)の出力及び反転入力に接続される。R17(417)もノード13(213)でレジスタR18(418)に接続される。レジスタR18(418)はスイッチ9(109)を用いてノード12(212)に接続される。レジスタR17(417)の値の、レジスタR18(418)の値への割合の程度により拡大されるオペアンプ7(307)の出力で発生する誤差電圧は、閉じられたスイッチ10(110)およびレジスタR19(419)経由で通過することにより、オペアンプ8(308)の非反転入力に接続されたキャパシタ3(503)にロードされる。一端がオペアンプ7(307)の非反転入力に接続されたキャパシタ3(503)は、誤差電圧が格納されたアナログメモリを構成する。フォロワ回路(5)がリセットモードで動作するとき(図4a)、オペアンプ3(308)の出力に接続されたスイッチ11(111)が開いているので、オペアンプ8(308)が回路を構成しない。
【0020】
ハイブリッドコンピュータが実行モードにあるとき。
【0021】
アナログメモリを備えたネガティブ積分回路(1)では(図1b)、時間の関数である入力電圧が入力レジスタR(τ)(404)に印加される(ノード1(201)経由の積分器時間定数[τ]=C(τ)R(τ)がオペアンプ1の反転入力に印加される)。積分回路が使用されている場所により、入力レジスタの数は増加してもよい。入力電圧を印加している間、回路がリセットモードのとき、キャパシタ1(501)にロードされる誤差電圧は、オペアンプ3(303)経由でレジスタ(401、402)の出力およびノード7(207)経由でオペアンプ1(301)の非反転入力に印加される。この結果として、誤差電圧は、リセットモードで印加された拡大量により縮小されてオペアンプ1(301)に達する。このように、逆信号であるが誤差電圧に等しく、入力電圧が0に設定される際にロードされる電圧が、オペアンプ1(301)の非反転入力に印加され、仮想アースがオペアンプ1(301)の反転入力およびキャパシタ2(502)の基準地点で得られる。誤差補正とともに実行される積分は、オペアンプ4(304)(フォロワオペアンプ)およびノード2(202)経由で時間的に連続して他の回路に送信される。ノード2(202)から得られる出力値は、逆信号の入力値の積分結果である。ネガティブ積分回路(1)が実行モードのとき、オペアンプ1(301)の出力は、スイッチ2(102)の位置により、ノード9(209)経由でキャパシタ2(502)およびオペアンプ4(304)の両方に接続される。
【0022】
ハイブリッドコンピュータが実行モードのときに(図4b)、ネガティブ積分回路(3)内のデジタルメモリを使用する場合、デジタルメモリの誤差電圧は、デジタルにマイナス1(−1)で乗算された後、D/A変換器を用いてノード16(216)からネガティブ積分回路(1)に印加され、このとき、ノード16(216)は、スイッチ5(105)経由でレジスタR1(401)の出力に接続される。誤差を最小にするために使用される方法は、アナログメモリを備えたネガティブ積分回路(1)に関して説明した方法と同様である。
【0023】
キャパシタ2(502)内では、ネガティブ積分回路(1)内の正の入力電圧は電圧の降下をもたらし、負の入力電圧は電圧の上昇をもたらす。
【0024】
ネガティブ積分回路(1)が調整器セルの調整器回路(6)に接続されたとき、レジスタR(τ)(404)が調整器回路(6)の構造内に既に存在するので、ネガティブ積分回路のレジスタR(τ)(404)は取り除かれる。
【0025】
ポジティブ積分回路(2)が実行モードのとき(図2b)、スイッチ6(106)は閉じられる。時間の関数である入力電圧は、ノード1(201)から積分回路に印加され、最初に、オペアンプ2(302)の反転入力に達し、オペアンプ2(302)の出力では、信号の変化が現れる。オペアンプ2(302)の出力で、スイッチ3(103)経由で入力レジスタR4(τ)に達する入力電圧が、オペアンプ1(301)にわたって積分されている間、最初にリセットモードの中間にキャパシタ1(501)にロードされる拡大誤差電圧は、最初に拡大レジスタ(401、402)の出力に達し、そこから、ノード7(207)経由でオペアンプ1(301)の非反転入力に達する。このように、誤差電圧に等しいが逆信号の電圧がオペアンプ1(301)の非反転入力に印加され、この結果として、キャパシタ2(502)の基準脚部に、仮想アースがノード8(208)経由で得られる。
【0026】
ポジティブ積分回路(2)が実行モードのとき(図2b)、時間の関数であり、ノード1(201)に印加される入力電圧は、最初、オペアンプ2(302)においてその信号を変化させ、次に、R4(τ)(404)およびオペアンプ1(301)を超えて積分される。したがって、正の入力値に関して、正の出力値がオペアンプ4(304)の出力、すなわちノード2(202)で得られる。入力レジスタの数は、積分回路が使用される場所によって、増加してもよい。
【0027】
ポジティブ回路およびネガティブ回路(1、2)のキャパシタ1(501)の1つの脚部、およびオペアンプ2(302)の非反転入力は、ノード6(206)で永久的に接地される。キャパシタ2(502)の入力脚部は、リセットモード時のみ、スイッチ4(104)およびノード5(205)経由で接地される。ポジティブ積分回路内のアナログメモリを使用する場合のように、誤差電圧に等しいが逆信号の電圧がオペアンプ1(301)の非反転入力に印加され、この結果として、キャパシタ2(502)の基準脚部において、ノード8(208)経由で仮想アースが得られる。キャパシタ2(502)内では、ポジティブ積分回路(2)内の正の入力電圧が、電圧の上昇をもたらし、負の入力電圧が電圧の降下をもたらす。
【0028】
ポジティブ積分回路(4)内のデジタルメモリを実行モードで使用する場合(図5b)、メモリの誤差電圧が、ノード16(216)からD/A変換器経由でレジスタR1(401)の出力に達する。一方では、スイッチ6(106)が閉じられているので、ノード1(201)から印加される入力電圧が、オペアンプ(302)の反転入力に達し、次にその信号が変化して、R(τ)(404)に印加される。
【0029】
ポジティブ積分器回路(2)を、調整器セルの調整器回路(6)に接続する場合、調整器回路(6)がレジスタR(τ)(404)を備えるので、ポジティブ積分器のレジスタR(τ)(404)が取り除かれる。
【0030】
本発明のハイブリッドコンピュータが実行モードのとき、隣り合うポジティブセルおよびネガティブセルの出力からの情報が、入力レジスタR5、R6、R7およびR8(405、406、407および408)経由で調整器回路内のオペアンプ5(305)に達し、定数による合計、加算、及び乗算などの演算の結果が、オペアンプ5(305)の出力に現れる。オペアンプ5(305)の出力、すなわちノード11(211)に現れるこの値は、レジスタンスR20を越えてオペアンプ7(307)の非反転入力に印加される。この時点では、リセットモードの間にフォロワ回路(3)内のキャパシタ3(503)にロードされる誤差電圧がオペアンプ8(308)の出力に現れ、スイッチ8(108)経由でレジスタR17(417)の出力に達する。誤差電圧が、レジスタR17(417)の値のレジスタR18(418)の値に対する比により縮小され、補正電圧としてオペアンプ7(307)の反転入力に印加される。キャパシタ3(503)の基準脚部がオペアンプ7の非反転入力に接続されているので、反転入力に印加される補正電圧は入力電圧の変化に影響され、入力電圧の全ての値に関して誤差のない出力電圧を得ることができる。同時に、対称構造をもつ調整器回路(6)の第2の部分の入力レジスタR11、R12、R13およびR14(411、412、413および414)経由で到達する隣り合うポジティブ積分回路およびネガティブ積分回路からの情報がオペアンプ6(306)に印加され、オペアンプ6(306)の出力電圧が、上述したフォロワ回路(5)と同じ構造を有するもう1つのフォロワ回路(5)に印加される。フォロワ回路(5)の出力で発生する情報は、レジスタR(τ)(404)経由でノード1(201)に達し、これにより、調整器回路(6)に接続されたネガティブ積分回路またはポジティブ積分回路に達する。このように、隣り合う積分器セルから到達する値が入力レジスタ経由で調整器(6)に入力されることにより、定数による加算、減算、乗算などのいくつかの演算がなされ、次に、調整器セルのポジティブ積分回路又はネガティブ積分回路(1、2)経由で、他の隣り合う積分器セルに送信される。調整器セル(6)のレジスタの数は、所望の演算により変えることができる。
【0031】
調整器(6)のフォロワ回路(5)は、簡便にするために、図6では詳細には示されておらず、図3aおよび図3bで詳細に示されている。
【0032】
ハイブリッドコンピュータが実行モードのとき、調整器回路(6)のフォロワ回路(5)では、オペアンプ7(307)の非反転入力がスイッチ(107)経由でレジスタR20(420)に接続され、オペアンプ7(307)の出力が、スイッチ8(108)およびスイッチ9(109)経由でレジスタR18(418)に接続される。このとき、スイッチ10(110)は開いていて、これにより、オペアンプ7(307)の出力は、キャパシタ3(503)から切り離される。しかし、実行モードでは、キャパシタ3(503)の1つの脚部も、リセットモード時のように、オペアンプ7(307)の非反転入力に接続される。フォロワ回路(5)が実行モードで動作するとき、オペアンプ7(307)およびレジスタR17(407)の出力はスイッチ8(108)を用いて切り離される。レジスタR17(417)は、閉じたスイッチ11(111)により、オペアンプ8(308)の出力に接続される。ハイブリッドコンピュータが実行モードのとき、調整器回路(6)のオペアンプ(305、306)の出力電圧値は、少なくとも1つの入力レジスタ(420)経由でそれらのオペアンプの相互接続されたフォロワ回路(5)に達する。フォロワ回路(5)のキャパシタ(503)の基準脚部がオペアンプ1(301)の非反転入力に接続されているので、反転入力に印加される補正電圧は、入力電圧の変化により影響される。この結果として、出力電圧は、数マイクロボルトの範囲内で、入力電圧に等しく維持される。高い精度を提供するフォロワ回路は、この目的のために必要な場所に位置することができる。
【0033】
第1に、最初の状態が、本発明のハイブリッドコンピュータの積分器セルにロードされ、その間、積分器セルがリセットモードであって、誤差電圧をロードする。誤差電圧(ドリフト電圧)の値は、3から4次の大きさで拡大されたアナログ積分器のアナログメモリまたはデジタルメモリにロードされる。次に、積分器回路(1、2)が実行モードに設定され、無視できる誤差しかない演算を実行し、調整器回路(6)経由で互いに接続される。積分回路(1、2)は、積分の時間に補正電圧として積分回路のメモリにロードされる誤差電圧を使用する(±10V区間内の誤差はμVレベルである)。次にデータが、マイクロコントローラを用いてデータ取得システムを備えたデジタルコンピュータに送信され、デジタルコンピュータがこれらのデータを処理し、結果を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1a】アナログメモリを備えたネガティブ積分回路のリセットモード。
【図1b】アナログメモリを備えたネガティブ積分回路の実行モード。
【図2a】アナログメモリを備えたポジティブ積分回路のリセットモード。
【図2b】アナログメモリを備えたポジティブ積分回路の実行モード。
【図3a】フォロワ回路のリセットモード。
【図3b】フォロワ回路の実行モード。
【図4a】デジタルメモリを備えたネガティブ積分回路のリセットモード。
【図4b】デジタルメモリを備えたネガティブ積分回路の実行モード。
【図5a】デジタルメモリを備えたポジティブ積分回路のリセットモード。
【図5b】デジタルメモリを備えたポジティブ積分回路の実行モード。
【図6】調整回路。
【図7】本発明のハイブリッドコンピュータのブロック図。
【符号の説明】
【0035】
1 アナログメモリを備えたネガティブ積分回路
2 アナログメモリを備えたポジティブ積分回路
3 デジタルメモリを備えたネガティブ積分回路
4 デジタルメモリを備えたポジティブ積分回路
5 フォロワ回路
6 調整回路
7 デジタルコンピュータ
101 スイッチ1
102 スイッチ2
103 スイッチ3
104 スイッチ4
105 スイッチ5
106 スイッチ6
107 スイッチ7
108 スイッチ8
109 スイッチ9
110 スイッチ10
111 スイッチ11
112 スイッチ12
201 ノード1
202 ノード2
203 ノード3
204 ノード4
205 ノード5
206 ノード6
207 ノード7
208 ノード8
209 ノード9
210 ノード10
211 ノード11
212 ノード12
213 ノード13
214 ノード14
215 ノード15
216 ノード16
301 オペアンプ1
302 オペアンプ2
303 オペアンプ3
304 オペアンプ4
305 オペアンプ5
306 オペアンプ6
307 オペアンプ7
308 オペアンプ8
401 R1
402 R2
403 R3
404 R(τ)
405 R5
406 R6
407 R7
408 R8
409 R9
410 R10
411 R11
412 R12
413 R13
414 R14
415 R15
416 R16
417 R17
418 R18
419 R19
420 R20
501 キャパシタ1
502 キャパシタ2
503 キャパシタ3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間依存の入力電圧が少なくとも1つの入力抵抗経由で印加されるとともにその信号が積分後に変化する少なくとも1つの積分回路(1)を含む少なくとも1つのセルと、上記入力電圧がオペアンプ(302)の反転入力に印加されて信号を変化させてから少なくとも1つのレジスタに印加される少なくとも1つのアナログ積分回路(2)を含む少なくとも1つのセルと、少なくとも1つの調整器回路(6)ならびに上記調整器回路(6)と、マイクロコントローラ、およびデータ取得システムを含むデジタルコンピュータ(7)と、に接続された少なくとも1つのアナログ積分回路を含む少なくとも1つのセルと、を備えるハイブリッドコンピュータにおいて、
1.同期化され且つ時間的に連続した積分を実行する調整器回路(6)越しに相互接続されたアナログ積分回路(1、2)、
2.積分回路(1、2)内に含まれるメモリ内のオペアンプの入力電圧が0に設定されると発生する拡大された誤差電圧をロードして、要求される時間間隔での全てのアナログ積分器の相互切り離し、
3.アナログ積分回路(1、2)が再度相互接続されるときに、ロード中に印加され且つ積分中の誤差をなくすために使用する同じ拡大比率によって上記メモリにロードされる誤差電圧の縮小、および
4.所望の間隔でアナログ回路からデジタルコンピュータ(7)に送信し、処理後に結果を表示するデータ、
を特徴とするハイブリッドコンピュータ。
【請求項2】
請求項1に記載の調整器回路(6)であって、可変電圧の合計および減算、定数による乗算、定数による除算、ならびに上記調整器回路(6)に接続された上記アナログ積分回路経由で他のアナログ積分回路へのフィードバックとしての出力電圧を有する積分等の演算を実行する調整器回路。
【請求項3】
請求項1に記載のアナログ積分回路であって、反転入力および非反転入力を有し、演算増幅器(オペアンプ)(301)は、上記非反転入力が接地され、上記増幅器の出力電圧(誤差電圧)が、拡大されることにより、レジスタ(403)経由で非反転入力も備えるもう1つのオペアンプの反転入力に印加され、このオペアンプの出力電圧が、同じ抵抗を含むもう1つのレジスタ経由で、上記反転入力にフィードバックされ、上記オペアンプの出力電圧がキャパシタ(501)にロードされるとき、レジスタ(401)経由で上記反転入力にフィードバックされる出力電圧を提供するアナログ積分回路。
【請求項4】
請求項3に記載のアナログ積分回路(1)であって、入力電圧が時間の関数であって、オペアンプ(301)の非反転入力が接地されていないとき、少なくとも1つの入力レジスタR(τ)(404)経由で、上記オペアンプ(301)の反転入力に印加され、上記オペアンプ(301)の出力がキャパシタ(502)に接続され、上記オペアンプ(301)の非反転入力が拡大により接地されたとき、キャパシタ(501)にロードされる電圧は、拡大された量だけ縮小することによりスイッチ(105)を用いてレジスタ(401)経由でオペアンプ(301)の非反転入力に印加され、積分の結果は調整器回路(6)に送信されるアナログ積分回路。
【請求項5】
請求項3に記載のアナログ積分回路(2)であって、時間の関数としての入力電圧が、レジスタ(403)経由の非反転入力も備えるオペアンプ(302)の反転入力に印加され、上記オペアンプの出力電圧は、上記レジスタ(403)と同じ抵抗を有するもう1つのレジスタ(403)経由で、上記オペアンプ(302)の上記反転入力にフィードバックされ、逆信号を含む上記オペアンプの出力電圧は、少なくとも1つの入力レジスタR(τ)(404)経由で、反転及び非反転入力を有するもう1つのオペアンプ(301)の反転入力に印加され、上記オペアンプ(301)の出力がキャパシタ(502)に接続されてから上記キャパシタ(502)が入力レジスタ(404)に接続され、上記オペアンプ(301)の非反転入力が拡大により接地されているときにキャパシタ(501)にロードされた電圧は、上記オペアンプ(301)の非反転入力が接地されていないとき、スイッチによってレジスタ(401)経由でオペアンプ(301)の非反転入力に縮小によって印加され、積分の結果が調整器回路(6)に送信されるアナログ積分回路。
【請求項6】
請求項1に記載のハイブリッドコンピュータであって、反転入力および非反転入力を有するオペアンプ(307)の出力電圧が、上記オペアンプ(307)の非反転入力が接地されているときに、レジスタ(417)経由で上記オペアンプの上記反転入力にフィードバックされ、上記オペアンプ(307)の出力電圧は、拡大によりキャパシタ(503)にロードされ、上記キャパシタ(503)の基準脚部は、上記オペアンプ(307)の非反転入力に接続される回路を備えるハイブリッドコンピュータ。
【請求項7】
請求項6に記載の回路(5)であって、時間の関数としての入力電圧が、反転入力および少なくとも1つのレジスタ(420)経由の非反転入力を有するオペアンプ(307)の非反転入力に印加され、拡大される前に、キャパシタ(503)にロードされる電圧が、同じ比の縮小により、上記オペアンプ(307)の反転入力に印加される回路。
【請求項8】
請求項1に記載のコンピュータであって、誤差電圧がアナログメモリにロードされるコンピュータ。
【請求項9】
請求項1に記載のコンピュータであって、誤差電圧がデジタルメモリにロードされるコンピュータ。
【請求項10】
請求項3に記載の回路であって、初期状態が、入力レジスタ(404)に接続されたキャパシタ(502)にロードされる回路。
【請求項11】
請求項5に記載の回路であって、初期状態が、上記入力レジスタ(404)に接続された上記キャパシタ(502)にロードされる回路。
【請求項12】
請求項1に記載のコンピュータであって、積分の結果が時間的に連続してデジタルコンピュータ(7)に送信されるコンピュータ。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータであって、積分の結果が、少なくとも1つのマイクロコントローラによりデジタルコンピュータ(7)に連続して送信されるコンピュータ。
【請求項14】
請求項1に記載のコンピュータであって、少なくとも1つのプログラム可能なマイクロコントローラを備えるコンピュータ。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2007−525762(P2007−525762A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500726(P2007−500726)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/TR2004/000013
【国際公開番号】WO2005/083624
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(506280605)
【氏名又は名称原語表記】Nuri SARYAL